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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108665
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】端子部品および二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/572 20210101AFI20220719BHJP
   H01M 50/543 20210101ALI20220719BHJP
   H01M 50/172 20210101ALI20220719BHJP
   H01G 11/16 20130101ALI20220719BHJP
   H01G 11/74 20130101ALI20220719BHJP
   H01G 2/14 20060101ALN20220719BHJP
【FI】
H01M2/34 A
H01M2/30 B
H01M2/30 D
H01M2/06 A
H01G11/16
H01G11/74
H01G2/14 101
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003789
(22)【出願日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康介
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 貴宏
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA11
5E078AB06
5E078KA10
5H011AA13
5H011EE04
5H011FF04
5H011GG02
5H011HH02
5H043AA04
5H043BA11
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA12
5H043CB08
5H043DA01
5H043DA11
5H043DA13
5H043DA16
5H043GA03
5H043GA04
5H043HA06D
5H043HA06E
5H043HA08D
5H043HA08E
5H043JA01
5H043JA01D
5H043JA09
5H043JA09D
5H043JA21
5H043JA21D
5H043KA08E
5H043KA09D
5H043KA09E
5H043KA45
5H043KA45D
5H043LA21
5H043LA21D
5H043LA22
5H043LA22D
5H043LA25
5H043LA25D
(57)【要約】
【課題】ヒューズとして機能する端子を提供する。
【解決手段】端子部品200は、電池ケース内部で一部が内部端子と接続され、かつ、一部が電池ケース外部に露出するように電池ケースに取り付けられる。端子部品200は、第1金属201と、第1金属201に重ねられた第2金属202とを備え、第1金属201は、内部端子と接続される部位を有し、かつ、第2金属202は、電池ケース外部に露出する部位を有している。第1金属201と第2金属202とが重ねられた界面において、第1金属201と第2金属202のうち、一方の金属は、頂部201d1が平坦な凸部201dを備える。他方の金属は、頂部201d1と接合されている。凸部201dは、第1金属201と第2金属202の間に予め定められた電流値以上の電流が流れた時に溶断が起こるように、凸部201dの突出方向に直交する横断面が設定されている。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池ケース内部で一部が内部端子と接続され、かつ、一部が電池ケース外部に露出するように前記電池ケースに取り付けられる端子部品であって、
第1金属と、
前記第1金属に重ねられた第2金属と
を備え、
前記第1金属は、前記内部端子と接続される部位を有し、かつ、前記第2金属は、前記電池ケース外部に露出する部位を有しており、
前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面において、
前記第1金属と前記第2金属のうち、一方の金属は、頂部が平坦な凸部を備え、他方の金属は、前記頂部と接合されており、
前記凸部は、前記第1金属と前記第2金属の間に予め定められた電流値以上の電流が流れた時に溶断が起こるように、前記凸部の突出方向に直交する横断面が設定されている、端子部品。
【請求項2】
前記第1金属と前記第2金属はそれぞれ、異なる金属から構成されている、請求項1に記載された端子部品。
【請求項3】
前記第1金属と前記第2金属は、前記凸部の先端において金属接合されている、請求項1または2に記載された端子部品。
【請求項4】
電池ケースと、
該電池ケースに取り付けられた電極端子と
を備え、
前記電極端子は、請求項1~3に記載された端子部品を含む、二次電池。
【請求項5】
前記端子部品の前記凸部は、前記電池ケース外部に設けられている、請求項4に記載された二次電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子部品および二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2013-77546号公報には、ヒューズを電極端子に含んだ二次電池が開示されている。同公報で開示された二次電池は、電池ケース内部の集電部材にヒューズとして機能する部分を含んでいる。ヒューズとして機能する部分は、集電部材に過電流が流れたときに、周囲よりも幅が狭くなっているヒューズの部分が溶融することによって電気的な連結を遮断できるとされている。
特開2014-86177号公報には、電池ケース外部に配置された、反転板を備えた密閉型電池の圧力型電流遮断装置が開示されている。同公報に開示された圧力型電流遮断装置は、電池ケース内部の圧力上昇に応じて反転板が変形することによって、反転板と、当該反転板に接続された端子とを電気的に遮断できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-77546号公報
【特許文献2】特開2014-86177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、二次電池に用いられる部材にヒューズとなる部位が含まれている場合、それ以外の部分と電気比較して抵抗が高くなりうる。そのため、電流が流れた際に、ヒューズとなる部位の発熱量は、それ以外の部分と比較して多くなりうる。本発明者の知見によると、電池ケース内部にヒューズとなる部位を設けると、当該部位での発熱によって電池ケース内部に熱がこもる可能性がある。それによって、電池ケース内部の温度が上昇し、電解液の分解等が起こり、電池性能の劣化を招くおそれがある。
本発明者は、二次電池に関してヒューズとして機能する新規構造を提案したいと考えている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで開示される端子部品は、電池ケース内部で一部が内部端子と接続され、かつ、一部が電池ケース外部に露出するように電池ケースに取り付けられる端子部品であって、第1金属と、第1金属に重ねられた第2金属とを備える。第1金属は、内部端子と接続される部位を有し、かつ、第2金属は、電池ケース外部に露出する部位を有する。第1金属と第2金属とが重ねられた界面において、第1金属と第2金属のうち、一方の金属は、頂部が平坦な凸部を備える。他方の金属は、頂部と接合されている。凸部は、第1金属と第2金属の間に予め定められた電流値以上の電流が流れた時に溶断が起こるように、凸部の突出方向に直交する横断面が設定されている。
かかる端子部品は、第1金属および第2金属のうち一方が備えている凸部がヒューズとして機能する。
【0006】
第1金属と第2金属はそれぞれ、異なる金属から構成されていてもよい。第1金属と第2金属は、凸部の先端において金属接合によって接合されていてもよい。
【0007】
電池ケースと、電池ケースに取り付けられた電極端子とを備えた二次電池において、電極端子は、上述した端子部品で構成された部位が含まれていてもよい。端子部品の凸部は、電池ケース外部に設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、リチウムイオン二次電池10の部分断面図である。
図2図2は、図1のII-II断面を示す断面図である。
図3図3は、図2のIII-III断面図である。
図4図4は、端子部品200を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、ここで開示される端子部品および二次電池の一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。本発明は、特に言及されない限りにおいて、ここで説明される実施形態に限定されない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
《二次電池》
本明細書において「二次電池」とは、充電と放電を行なうことができるデバイスをいう。二次電池には、一般にリチウムイオン電池やリチウム二次電池などと称される電池の他、リチウムポリマー電池、リチウムイオンキャパシタなどが包含される。ここでは、二次電池の一形態として、リチウムイオン二次電池を例示する。
【0011】
《リチウムイオン二次電池10》
図1は、リチウムイオン二次電池10の部分断面図である。図1では、略直方体の電池ケース41の片側の幅広面に沿って、内部を露出させた状態が描かれている。図1に示されたリチウムイオン二次電池10は、いわゆる密閉型電池である。図2は、図1のII-II断面を示す断面図である。図2では、略直方体の電池ケース41の片側の幅狭面に沿って内部を露出させた状態の部分断面図が模式的に描かれている。
【0012】
リチウムイオン二次電池10は、図1に示されているように、電極体20と、電池ケース41と、正極端子42と、負極端子43とを備えている。
【0013】
〈電極体20〉
電極体20は、絶縁フィルム(図示は省略)などで覆われた状態で、電池ケース41に収容されている。電極体20は、正極要素としての正極シート21と、負極要素としての負極シート22と、セパレータとしてのセパレータシート31,32とを備えている。正極シート21と、第1のセパレータシート31と、負極シート22と、第2のセパレータシート32とは、それぞれ長尺の帯状の部材である。
【0014】
正極シート21は、予め定められた幅および厚さの正極集電箔21a(例えば、アルミニウム箔)に、幅方向の片側の端部に一定の幅で設定された未形成部21a1を除いて、正極活物質を含む正極活物質層21bが両面に形成されている。正極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、リチウム遷移金属複合材料のように、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸収しうる材料である。正極活物質は、一般的にリチウム遷移金属複合材料以外にも種々提案されており、特に限定されない。
【0015】
負極シート22は、予め定められた幅および厚さの負極集電箔22a(ここでは、銅箔)に、幅方向の片側の縁に一定の幅で設定された未形成部22a1を除いて、負極活物質を含む負極活物質層22bが両面に形成されている。負極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、天然黒鉛のように、充電時にリチウムイオンを吸蔵し、充電時に吸蔵したリチウムイオンを放電時に放出しうる材料である。負極活物質は、一般的に天然黒鉛以外にも種々提案されており、特に限定されない。
【0016】
セパレータシート31,32には、例えば、所要の耐熱性を有する電解質が通過しうる多孔質の樹脂シートが用いられる。セパレータシート31,32についても種々提案されており、特に限定されない。
【0017】
ここで、負極活物質層22bの幅は、例えば、正極活物質層21bよりも広く形成されている。セパレータシート31,32の幅は、負極活物質層22bよりも広い。正極集電箔21aの未形成部21a1と、負極集電箔22aの未形成部22a1とは、幅方向において互いに反対側に向けられる。また、正極シート21と、第1のセパレータシート31と、負極シート22と、第2のセパレータシート32とは、それぞれ長さ方向に向きを揃え、順に重ねられて捲回されている。負極活物質層22bは、セパレータシート31,32を介在させた状態で正極活物質層21bを覆っている。負極活物質層22bは、セパレータシート31,32に覆われている。正極集電箔21aの未形成部21a1は、セパレータシート31,32の幅方向の片側にはみ出ている。負極集電箔22aの未形成部22a1は、幅方向の反対側においてセパレータシート31,32からはみ出ている。
【0018】
上述した電極体20は、図1に示されているように、電池ケース41のケース本体41aに収容されうるように、捲回軸を含む一平面に沿った扁平な状態とされる。そして、電極体20の捲回軸に沿って、片側に正極集電箔21aの未形成部21a1が配置され、反対側に負極集電箔22aの未形成部22a1が配置されている。
【0019】
〈電池ケース41〉
電池ケース41は、図1に示されているように、電極体20を収容している。電池ケース41は、一側面が開口した略直方体の角形形状を有するケース本体41aと、開口に装着された蓋41bとを有している。この実施形態では、ケース本体41aと蓋41bは、軽量化と所要の剛性を確保するとの観点で、それぞれアルミニウムまたはアルミニウムを主とするアルミニウム合金で形成されている。
【0020】
〈ケース本体41a〉
ケース本体41aは、図1および図2に示されているように、一側面が開口した略直方体の角形形状を有している。ケース本体41aは、略矩形の底面部61と、一対の幅広面部62,63と、一対の幅狭面部64,65とを有している。一対の幅広面部62,63は、それぞれ底面部61のうち長辺から立ち上がっている。一対の幅狭面部64,65は、それぞれ底面部61のうち短辺から立ち上がっている。ケース本体41aの一側面には、一対の幅広面部62,63と一対の幅狭面部64,65で囲まれた開口41a1が形成されている。
【0021】
〈蓋41b〉
蓋41bは、一対の幅広面部62,63の長辺と、一対の幅狭面部64,65の短辺とで囲まれたケース本体41aの開口41a1に装着される。そして、蓋41bの周縁部が、ケース本体41aの開口41a1の縁に接合される。かかる接合は、例えば、隙間がない連続した溶接によるとよい。かかる溶接は、例えば、レーザー溶接によって実現されうる。
【0022】
この実施形態では、蓋41bには、正極端子42と、負極端子43とが取り付けられている。正極端子42は、内部端子42aと、外部端子42bとを備えている。負極端子43は、内部端子43aと、外部端子43bとを備えている。内部端子42a,43aは、それぞれインシュレータ72を介して蓋41bの内側に取り付けられている。外部端子42b,43bは、それぞれガスケット71を介して蓋41bの外側に取り付けられている。内部端子42a,43aは、それぞれケース本体41aの内部に延びている。正極の内部端子42aは、正極集電箔21aの未形成部21a1に接続されている。負極の内部端子43aは、負極集電箔22aの未形成部22a1に接続されている。
【0023】
電極体20の正極集電箔21aの未形成部21a1と、負極集電箔22aの未形成部22a1とは、図1に示されているように、蓋41bの長手方向の両側部にそれぞれ取り付けられた内部端子42a,43aに取り付けられている。電極体20は、蓋41bに取り付けられた内部端子42a,43aに取付けられた状態で、電池ケース41に収容される。なお、ここでは、捲回型の電極体20が例示されている。電極体20の構造はかかる形態に限定されない。電極体20の構造は、例えば、正極シートと負極シートとが、セパレータシートとを介在させて交互に積層された積層構造でもよい。また、電池ケース41内には、複数の電極体20が収容されていてもよい。
【0024】
図3は、図2のIII-III断面図である。図3では、負極端子43が蓋41bに取り付けられた部位の断面が示されている。この実施形態では、負極の外部端子43bには、異種金属を接合した部材が用いられている。図3では、外部端子43bを構成する金属の構造、異種金属の界面、異種金属間の隙間等は図示されず、外部端子43bの断面形状が模式的に示されている。
【0025】
蓋41bは、図3に示されているように、負極の外部端子43bを取り付けるための取付孔41b1を有している。取付孔41b1は、蓋41bの予め定められた位置において蓋41bを貫通している。蓋41bの取付孔41b1には、ガスケット71とインシュレータ72を介在させて、負極の内部端子43aと外部端子43bとが取り付けられる。取付孔41b1の外側には、取付孔41b1の周りにガスケット71が装着される段差41b2が設けられている。段差41b2には、ガスケット71が配置される座面41b3が設けられている。座面41b3には、ガスケット71を位置決めするための突起41b4が設けられている。
【0026】
ここで、負極の外部端子43bは、図3に示されているように、頭部43b1と、軸部43b2と、カシメ片43b3とを備えている。頭部43b1は、蓋41bの外側に配置される部位である。頭部43b1は、取付孔41b1よりも大きな、ガスケット71に配置される部位である。軸部43b2は、ガスケット71を介して取付孔41b1に装着される部位である。軸部43b2は、頭部43b1の略中央部から下方に突出している。カシメ片43b3は、図3に示されているように、蓋41bの内部において、負極の内部端子43aにかしめられる部位である。カシメ片43b3は、軸部43b2から延びており、蓋41bに挿通された後で折曲げられて負極の内部端子43aにかしめられる。
【0027】
〈ガスケット71〉
ガスケット71は、図3に示されているように、蓋41bの取付孔41b1および座面41b3に取り付けられる部材である。この実施形態では、ガスケット71は、座部71aと、ボス部71bと、側壁71cとを備えている。座部71aは、蓋41bの取付孔41b1周りの外側面に設けられた座面41b3に装着される部位である。座部71aは、座面41b3に合わせて略平坦な面を有する。座部71aは、座面41b3の突起41b4に応じた凹みを備えている。ボス部71bは、座部71aの底面から突出している。ボス部71bは、蓋41bの取付孔41b1に装着されるように取付孔41b1の内側面に沿った外形形状を有している。ボス部71bの内側面は、外部端子43bの軸部43b2が装着される装着孔となる。側壁71cは、座部71aの周縁から上方に立ち上がっている。外部端子43bの頭部43b1は、ガスケット71の側壁71cで囲まれた部位に装着される。
【0028】
ガスケット71は、蓋41bと外部端子43bとの間に配置され、蓋41bと外部端子43bとの絶縁を確保している。また、ガスケット71は、蓋41bの取付孔41b1の気密性を確保している。かかる観点で、耐薬品性や耐候性に優れた材料が用いられるとよい。この実施形態では、ガスケット71には、PFAが用いられている。PFAは、四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体(Tetrafluoroethylene Perfluoroalkylvinylether Copolymer)である。なお、ガスケット71に用いられる材料は、PFAに限定されない。
【0029】
〈インシュレータ72〉
インシュレータ72は、蓋41bの取付孔41b1の周りにおいて、蓋41bの内側に装着される部材である。インシュレータ72は、ベース部72aと、孔72bと、側壁72cとを備えている。ベース部72aは、蓋41bの内側面に沿って配置される部位である。この実施形態では、ベース部72aは、略平板状の部位である。ベース部72aは、蓋41bの内側面に沿って配置され、ケース本体41aに収められるように、蓋41bからはみ出ない程度の大きさを有している。孔72bは、取付孔41b1に対応して設けられた穴である。この実施形態では、孔72bは、ベース部72aの略中央部に設けられている。蓋41bの内側面に対向する側面において、孔72bの周りには凹んだ段差72b1が設けられている。段差72b1には、取付孔41b1に装着されたガスケット71のボス部71bの先端が収められる。側壁72cは、ベース部72aの周縁部から下方に立ち上がっている。ベース部72aには、負極の内部端子43aの一端に設けられる基部43a1が収められる。インシュレータ72は、電池ケース41の内部に配置されるため、所要の耐薬品性を備えているとよい。この実施形態では、インシュレータ72には、PPSが用いられている。PPSは、ポリフェニレンサルファイド樹脂(Poly Phenylene Sulfide Resin)である。なお、インシュレータ72に用いられる材料は、PPSに限定されない。
【0030】
負極の内部端子43aは、基部43a1と、接続片43a2(図1および図2参照)とを備えている。基部43a1は、インシュレータ72のベース部72aに装着される部位である。この実施形態では、基部43a1は、インシュレータ72のベース部72aの周りの側壁72cの内側に応じた形状を有している。接続片43a2は、図1および図2に示されているように、基部43a1の一端から延びており、ケース本体41a内に延びて電極体20の負極の未形成部22a1に接続されている。
【0031】
この実施形態では、取付孔41b1にボス部71bを装着しつつ、蓋41bの外側にガスケット71を取付ける。外部端子43bがガスケット71に装着される。この際、外部端子43bの軸部43b2がガスケット71のボス部71bに挿通され、かつ、ガスケット71の座部71aに外部端子43bの頭部43b1が配置される。蓋41bの内側には、インシュレータ72と内部端子43aが取り付けられる。そして、図3に示されているように、外部端子43bのカシメ片43b3が折曲げられて、内部端子43aの基部43a1にかしめられる。外部端子43bのカシメ片43b3と負極端子43の基部43a1とは、導通性を向上させるために部分的に金属接合されているとよい。
【0032】
ところで、リチウムイオン二次電池10の正極の内部端子42aでは、耐酸化還元性の要求レベルが負極に比べて高くない。そして、要求される耐酸化還元性と、軽量化の観点で、正極の内部端子42aにはアルミニウムが用いられうる。これに対して、負極の内部端子43aでは、耐酸化還元性の要求レベルが正極よりも高い。かかる観点で、負極の内部端子43aには、銅が用いられうる。他方で、外部端子43bが接続されるバスバとしては、軽量化および低コスト化の観点で、アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられうる。
【0033】
本発明者は、外部端子43bのうち内部端子43aに接合される部位に、銅または銅合金を用いること、および、外部端子43bのうちバスバに接続される部位に、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いること、を検討している。かかる構造を実現するため、この実施形態では、外部端子43bとして、銅とアルミニウムを異種金属接合させた部材が用いられている。以下、かかる外部端子43bとして用いられる、端子部品200の構造を説明する。
【0034】
《端子部品200》
図4は、端子部品200を模式的に示す断面図である。端子部品200は、図1および図2に示されているように、電池ケース41内部で一部が内部端子43aと接続され、かつ、一部が電池ケース41外部に露出するように電池ケース41に取り付けられる。
【0035】
端子部品200は、第1金属201と、第1金属201に重ねられた第2金属202とを備えている。第1金属201は、一部が電池ケース41内部で内部端子43aと接続される。第2金属202は、電池ケース41外部に露出する。第1金属201と第2金属202とは、異なる金属から構成されている。
【0036】
第1金属201は、端子部品200が外部端子43bとして用いられたときに、一部が電池ケース41内部で内部端子43aと接続される部位である。この実施形態では、第1金属は銅で構成されている。第1金属201は、軸部201aと、フランジ部201bとを有している。軸部201aは、蓋41bの取付孔41b1に挿入される軸部43b2となる部位である。フランジ部201bは、軸部201aの一端に設けられた、軸部201aよりも広がった略矩形の平板状の部位である。軸部201aには、フランジ部201bが設けられた側とは反対側に、さらに内部端子43aにかしめられるカシメ片43b3となる部位201cが設けられている。
【0037】
第2金属202は、端子部品200が外部端子43bとして用いられたときに、電池ケース41外部に露出する部位である。第2金属202は、端子部品200が外部端子43bとして用いられたときに、電池ケース41外部に露出する部位である。この実施形態では、第2金属はアルミニウムから構成されている。
【0038】
この実施形態では、第1金属201は、頂部201d1が平坦な凸部201dを備えている。凸部201dは、フランジ部201bの対向面201b1の中心に設けられている。凸部201dは、略円盤状の部位である。
第2金属202は、第1金属201に重ねられた平板状の金属部材である。第2金属202は、第1金属201と対向する対向面202aが、第1金属201の対向面201b1に応じた略矩形状である。
【0039】
第2金属202は、第1金属201の凸部201dの頂部201d1と接合されている。この実施形態では、第1金属201と第2金属202は、第1金属201の凸部201dの頂部201d1において金属接合されている。当該金属接合された接合部203は、頂部201d1と、対向面202aの中心部分において形成されている。なお、凸部201dの頂部201d1と第2金属202との接合の方法は特に制限されないが、例えば、超音波圧接、摩擦圧接、抵抗溶接等の方法によって行うことができる。このように接合された接合部203は、接着剤やはんだ等の接着層を介さずに固相接合によって形成されている。
【0040】
この実施形態では、第1金属201の対向面201b1と第2金属202の対向面202aの間において、凸部201d以外の領域は空隙である。しかしながら、対向面201b1と対向面202aの間の領域は、かかる形態に限定されない。当該領域には、第1金属201と第2金属202を導通しない部材が配置されていてもよい。例えば、リチウムイオン二次電池10に振動が加わった場合に、バスバを介して端子部品200にも振動が伝わる場合がある。このような外的負荷が凸部201dに集中することを緩和するために、例えば、ガスケット71等が当該領域に配置されていてもよい。このような、第1金属201と第2金属202を導通しない部材は、当該領域に部分的に配置されていてもよく、全体に配置されていてもよい。
【0041】
ところで、リチウムイオン二次電池10の充電や放電の際に、外部端子43として用いられている端子部品200に電流が流れる。このとき、第1金属201と第2金属202にも電流が流れる。図4に示されているように、第1金属201の凸部201dは、周囲の部分と比較して電流が通過する断面積が狭くなっている。これによって、リチウムイオン二次電池10の充電や放電によって端子部品200に電流が流れる際に、凸部201dに電流が集中する構成になっている。このように、電流が集中する部分には、それ以外の部分と比較して大きなジュール熱が発生する。また、接合部203には、第1金属201と第2金属202とが接合された、異種金属接合が生じている。そのため、端子部品200に電流が流れる際に、凸部201dと接合部203には周囲の部分と比較して大きなジュール熱が発生する。
【0042】
ここで、凸部201dは、第1金属201と第2金属202の間に予め定められた電流値以上の電流が流れた時に溶断が起こるように、凸部201dの突出方向に直交する横断面が設定されている。ここでは、突出方向は、凸部201dが設けられている対向面201b1と垂直な方向である。
ここで、予め定められた電流値は、例えば、電池の通常の使用態様におけるピーク電流値を元に設定される。これに限られないが、予め定められた電流値は上述したピーク電流値の2倍以上に設定することができる。
予め定められた電流値以上の電流が流れた時に溶断が起こるとは、例えば、第1金属201と第2金属202のうち一方の金属が溶融することにより、凸部において第1金属と第2金属が電気的に切り離されることである。ここでいう溶断は、凸部201dが融点に達して溶融することによって起こってもよく、凸部201dは溶融せず、接合部203において他方の金属202が溶融することによって起こってもよい。
【0043】
凸部201dの突出方向に直交する横断面が、このような横断面で設定されているので、凸部201dは、過電流が発生した際に第1金属201と第2金属202の電気的接続を遮断するヒューズとして機能する。
【0044】
ここで開示される端子部品200において、ヒューズとして機能する凸部201dの寸法は、想定される過電流や第1金属201と第2金属202の金属種等に応じて適宜設定することができる。以下、一例を説明する。
【0045】
ここでは、遮断電流を940A、通電時間を100秒とした場合の凸部201dの寸法の設定について説明する。円盤状の凸部201dを備える第1金属201は銅から構成されており、第2金属202はアルミニウムから構成されている。上述の電流が第1金属201の凸部201dに流れたときに、第1金属201よりも融点の低い第2金属202が溶融する場合を考える。
【0046】
まず、第1金属201よりも融点が低い第2金属202が溶融する条件を考える。第2金属202が溶融するために必要な熱量Qは、質量m、比熱cおよび温度差ΔTを用いて、Q=m×c×ΔTで表される。
第2金属201を構成するアルミニウムの融点は660.3℃である。室温が25℃のとき、第2金属202を溶融させるために必要な温度差ΔTは、635.3℃である。アルミニウムの比重ρは、2.7g/cmである。アルミニウムの比熱cは、0.9J/(g・℃)である。接合部203の面積をSとする。この実施形態では、接合部203において、0.1mmの第2金属が溶融し、第1金属201と第2金属202が溶断する。
第2金属202が溶融するために熱量Qは、下記の式で表される。
=S×0.1(mm)×2.7(g/cm)×0.9(J/(g・℃))×635.3(℃)
【0047】
次に、第1金属201の凸部201dで発生するジュール熱を考える。第1金属201の凸部201dで発生するジュール熱Qは、抵抗値R、電流値Iおよび通電時間tを用いて、Q=R×I×tで表される。
上述したように、想定される電流値Iは、940Aである。通電時間tは、100秒である。抵抗値Rは、体積抵抗率ρ、電流が流れる長さLおよび電流が流れる断面積Sを用いて、R=ρ×L/Sで表される。例えば、20℃において、第1金属201を構成する銅の体積抵抗率ρは、1.69μΩ・cmである。電流が流れる長さLは、凸部201dの高さである。
第1金属201の凸部201dで発生するジュール熱Qは、以下の式で表される。
=1.69(μΩ・cm)×L/S×(940(A))×100(秒)
【0048】
第1金属201の凸部201dで発生するジュール熱Qが、第2金属202が溶融するために必要な熱量Qよりも高い場合に、凸部201dに溶断が起こる。即ち、Q<Qを満たすように第1金属201の凸部201dの断面積と高さを設定することができる。
【0049】
例えば、第1金属201の凸部201dの高さを0.1mm、直径を6mmとすることができる。このとき、上記の電流が流れた際に、凸部201dに5.3Jのジュール熱が発生し、凸部201dと接触する第2金属202が溶融することによる溶断が起こる。
【0050】
接合部203には、接合界面が異種金属接合されていることによって、接触抵抗が発生する。また、第1金属201の温度上昇に伴って、凸部201dの体積抵抗率が上昇する。すなわち、接合部203には、上記の計算よりも多くのジュール熱が発生しうる。例えば、コンピュータによるシミュレーションを利用する、端子部品200の構造を模擬したサンプルを用いて予め試験を行う等の方法によって、凸部201dの寸法を適宜調整するとよい。
【0051】
ここで提案される端子部品200は、第1金属201と第2金属202の接合界面に凸部201dを備えている。第1金属201と第2金属202は、凸部201dの頂部201d1で接合されている。凸部201dは、上述したように、予め定められた電流値以上の電流が流れた時に溶断が起こるように、凸部201dの突出方向に直行する横断面が少なくとも一部において設定されている。この場合、端子部品200は、予め定められた電流値以上の電流が流れた時に溶断される。このため、端子部品200は、ヒューズとしての機能を備えうる。
【0052】
凸部201dは、電池ケース41の外部に設けられるように構成されていてもよい。かかる構成によって、凸部201dに電流が集中し、周囲と比較して大きなジュール熱が発生した際にも、電池ケース41内部の温度には影響しない。そのため、電池ケース41内部にヒューズが設けられている場合と比較して、凸部201dの発熱による電池ケース41内部での電解液の分解等を抑えることができる。つまり、ヒューズとして機能する部位の発熱による電池性能の劣化を抑えることができる。
【0053】
ここで開示される端子部品200は、第1金属201と第2金属202とが異なる金属から構成されていてもよい。例えば、第1金属201をバスバの金属種と同じ金属種とすることによって、第1金属201とバスバの接合界面との接合強度を高めることができる。第2金属202を内部端子43aと同じ金属種とすることによって、第2金属202と内部端子43aとの接合強度を高めることができる。このように、内部端子と接続される部位を有する第1金属201と、電池ケース外部に露出する部位を有する第2金属202とを異種金属とすることによって、電池ケース外部に異種金属の接合箇所が設けられるのを除外できる。
【0054】
異なる金属が接合されている接合部203には、異種金属による金属接合が形成されている。このような接合部は、同種の金属からなる接合部や、一種類の金属の一部を細くして形成されたものと比較して、電気抵抗が高くなる。異なる金属が接合されている接合部203には、より大きなジュール熱が発生する。異なる金属から構成されている端子部品200と、同種の金属からなる端子部品とを同じ遮断電流に設定した場合に、異なる金属から構成されている端子部品200の凸部201dをより太く短い形状とすることができる。つまり、凸部201dにヒューズとしての機能を持たせながらも、より強い機械強度を実現することができる。
【0055】
ここで開示される端子部品200において、第1金属201と第2金属202は、凸部の頂部201d1において金属接合されている。第1金属201と第2金属202が、はんだやろう材等の中間層を介さずに、いわゆる固相接合によって接合されている。このように中間層を介さずに第1金属201と第2金属202とが接合されていることによって、通常の電池使用時においても第1金属201と第2金属202との良好な導通が確保される。
【0056】
上述した実施形態では、第1金属201が凸部201dを備えているが、かかる形態に限定されない。第2金属が、頂部が平坦な凸部を備えており、第1金属が当該凸部と接合されていてもよい。このとき、第1金属の、第2金属と対向する面は平坦な面であるとよい。
上述した実施形態では、凸部は円盤状であったが、かかる形態に限定されない。凸部は、例えば、四角柱等の多角形の平板状の部位であってもよい。また、凸部の横断面の形状や面積は、一定である必要はない。凸部の横断面は、凸部の基端から頂部に向かって細くなっていてもよい。凸部の横断面は、凸部の基端から頂部に向かって太くなっていてもよい。
【0057】
以上、ここで開示される端子部品、二次電池および組電池について、種々説明した。特に言及されない限りにおいて、ここで挙げられた端子部品および電池の実施形態などは本発明を限定しない。また、ここで開示される電池は、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。
【符号の説明】
【0058】
10 リチウムイオン二次電池
20 電極体
21 正極シート
21a 正極集電箔
21a1 未形成部
21b 正極活物質層
22 負極シート
22a 負極集電箔
22a1 未形成部
22b 負極活物質層
31,32 セパレータシート
41 電池ケース
41a ケース本体
41a1 開口
41b 蓋
41b1 取付孔
41b2 段差
41b3 座面
41b4 突起
42 正極端子
42a 正極の内部端子
42b 正極の外部端子
43 負極端子
43a 負極の内部端子
43a1 基部
43a2 接続片
43b 負極の外部端子
43b1 頭部
43b2 軸部
43b3 カシメ片
61 底面部
62,63 幅広面部
64,65 幅狭面部
71 ガスケット
71a 座部
71b ボス部
71c 側壁
72 インシュレータ
72a ベース部
72b 孔
72b1 段差
72c 側壁
200 端子部品
201 第1金属
201a 軸部
201b フランジ部
201b1 対向面
201c 部位
201d 凸部
201d1 頂部
202 第2金属
202a 対向面
203 接合部

図1
図2
図3
図4