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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108692
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】紫外発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/56 20100101AFI20220719BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20220719BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
H01L33/56
H01L23/30 F
H01L23/28 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003828
(22)【出願日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087723
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 修
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【弁理士】
【氏名又は名称】角谷 智広
(72)【発明者】
【氏名】松嶌 健史
(72)【発明者】
【氏名】下西 正太
(72)【発明者】
【氏名】松浦 健一
(72)【発明者】
【氏名】川岡 あや
(72)【発明者】
【氏名】守護 高志
(72)【発明者】
【氏名】袴田 新太郎
(72)【発明者】
【氏名】後藤 裕貴
【テーマコード(参考)】
4M109
5F142
【Fターム(参考)】
4M109BA03
4M109EA18
4M109ED06
4M109EE12
4M109GA01
5F142AA02
5F142AA58
5F142BA32
5F142CA11
5F142CD02
5F142CG03
5F142CG14
5F142CG42
5F142DB12
(57)【要約】
【課題】 高出力であって基板とレンズ等との間の剥離を抑制することのできる紫外発光装置を提供することである。
【解決手段】 発光装置100は、基板110と、紫外発光素子120と、接合層130と、レンズ140と、接着剤層150と、フッ化炭素化合物160と、を有する。接着剤層150は、紫外発光素子120を間に挟んだ状態で基板110とレンズ140とを接着している。フッ化炭素化合物160は常温常圧で液体である。フッ化炭素化合物160は、紫外発光素子120の第2面120bとレンズ140との間の隙間をこれらに接触した状態で埋めるとともに、紫外発光素子120の側面120cに接触しており、接着剤層150に接触していない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
紫外発光素子と、
接合層と、
透光部材と、
接着剤層と、
フッ化炭素化合物と、
を有し、
前記基板は、
前記紫外発光素子を実装するための実装面を有し、
前記紫外発光素子は、
電極を有する第1面と前記第1面の反対側の第2面と側面とを有し、
前記接合層は、
前記紫外発光素子の前記第1面の前記電極と前記基板の前記実装面の一部とを接合しており、
前記透光部材は、
紫外線を透過させるものであり、
前記接着剤層は、
前記基板と前記透光部材とを接着しており、
前記基板と前記透光部材とは、
これらの間に前記紫外発光素子を挟んだ状態で配置されており、
前記フッ化炭素化合物は常温常圧で液体であり、
前記フッ化炭素化合物は、
前記紫外発光素子の前記第2面と前記透光部材との間の隙間をこれらに接触した状態で埋めるとともに、
前記紫外発光素子の前記側面に接触しており、
前記接着剤層に接触していないこと
を含む紫外発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の紫外発光装置において、
空気層を有し、
前記空気層は、
前記基板と前記透光部材との間に位置するとともに、
前記フッ化炭素化合物および前記接着剤層に接触していること
を含む紫外発光装置。
【請求項3】
請求項2に記載の紫外発光装置において、
前記空気層は、
前記紫外発光素子の周囲を取り囲んでおり、
前記空気層と前記紫外発光素子との間には、
前記フッ化炭素化合物が存在していること
を含む紫外発光装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の紫外発光装置において、
前記空気層における前記基板の前記実装面から最も遠い位置に位置する点から前記基板の前記実装面までの距離は、
前記紫外発光素子の前記第2面から前記基板の前記実装面までの距離より大きいこと
を含む紫外発光装置。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載の紫外発光装置において、
前記空気層における前記基板の前記実装面から最も遠い位置に位置する点から前記基板の前記実装面までの距離は、
前記紫外発光素子の前記第2面から前記基板の前記実装面までの距離より小さいこと
を含む紫外発光装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の紫外発光装置において、
前記フッ化炭素化合物は、
前記基板の前記実装面に接触していないこと
を含む紫外発光装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の紫外発光装置において、
前記フッ化炭素化合物は、
前記接合層に接触していないこと
を含む紫外発光装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の紫外発光装置において、
前記紫外発光素子の前記側面に接触している前記フッ化炭素化合物の厚みは、
前記基板の前記実装面から離れるほど厚くなっていること
を含む紫外発光装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の紫外発光装置において、
前記フッ化炭素化合物は、
紫外線を透過させるフィラーを含有し、
前記フィラーの屈折率は、
1.2以上1.6以下であること
を含む紫外発光装置。
【請求項10】
請求項9に記載の紫外発光装置において、
前記フィラーは、
フッ素を含まない材料であり、
前記フィラーの粒子径が、
前記紫外発光素子の発光波長のピーク値よりも小さいこと
を含む紫外発光装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の紫外発光装置において、
前記透光部材は、
レンズであり、
前記レンズにおける前記基板の前記実装面の側には凹部が形成されており、
前記凹部は、
天井面と内側壁とを有すること
を含む紫外発光装置。
【請求項12】
請求項11に記載の紫外発光装置において、
前記フッ化炭素化合物は、
前記内側壁の上に存在すること
を含む紫外発光装置。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の紫外発光装置において、
前記紫外発光素子の前記第2面と前記レンズの前記天井面との間の距離が、
0.1μm以上500μm以下であること
を含む紫外発光装置。
【請求項14】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の紫外発光装置において、
前記基板は、
前記紫外発光素子の周囲を前記紫外発光素子に非接触で取り囲む壁を有し、
前記透光部材は、
前記基板側に平坦面を有し、
前記接着剤層は、
前記基板の前記壁と前記透光部材の前記平坦面とを接着しており、
前記壁の前記実装面からの高さは、
前記紫外発光素子の前記第2面の前記実装面からの高さより低いこと
を含む紫外発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の技術分野は、紫外発光素子を有する紫外発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可視光を発する発光装置においては、基板に実装した半導体発光素子を樹脂で封止する。封止樹脂は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂である。これらの樹脂の屈折率は大気の屈折率よりも高い。そのため、半導体発光素子と封止樹脂との界面における反射が抑制される。つまり、光取り出し効率が高い。
【0003】
近年、紫外発光素子を用いた発光装置が研究開発されてきている。紫外線はシリコーン樹脂、エポキシ樹脂を変性させる。これにより、封止樹脂にクラックが発生するおそれがある。このため、紫外発光素子の周囲を樹脂で封止しない発光装置が開発されている。紫外発光素子の屈折率は1.7程度であり、大気の屈折率と大きく異なっている。したがって、紫外発光素子と大気との界面で全反射が生じやすくなる。つまり、このような空気出射型の発光装置における光取り出し効率は低い傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-207754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、紫外発光素子を用いる発光装置に対して、封止する技術がある。例えば、特許文献1では、液体の有機ハロゲン化物により封止する技術が開示されている(特許文献1の段落[0042]-[0044])。しかし、これらの液体は紫外線による劣化はしにくいものの、接着剤と反応するおそれがある。この場合には、基板とレンズ等とが剥離してしまうことがある。また、液体が接着剤のわずかな隙間から漏れ出るおそれがある。
【0006】
このため、基板とレンズ等との間の剥離を抑制することが好ましい。また、液体の漏れを防止することが好ましい。もちろん、発光装置の出力は高いことが好ましい。
【0007】
本明細書の技術が解決しようとする課題は、高出力であって基板とレンズ等との間の剥離を抑制することのできる紫外発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様における紫外発光装置は、基板と、紫外発光素子と、接合層と、透光部材と、接着剤層と、フッ化炭素化合物と、を有する。基板は、紫外発光素子を実装するための実装面を有する。紫外発光素子は、電極を有する第1面と第1面の反対側の第2面と側面とを有する。接合層は、紫外発光素子の第1面の電極と基板の実装面の一部とを接合している。透光部材は、紫外線を透過させるものである。接着剤層は、基板と透光部材とを接着している。基板と透光部材とは、これらの間に紫外発光素子を挟んだ状態で配置されている。フッ化炭素化合物は常温常圧で液体である。フッ化炭素化合物は、紫外発光素子の第2面と透光部材との間の隙間をこれらに接触した状態で埋めるとともに、紫外発光素子の側面に接触しており、接着剤層に接触していない。
【0009】
この紫外発光装置においては、紫外発光素子からの光取り出し効率が高い。また、基板と透光部材とを接着する接着剤層が、フッ化炭素化合物から悪影響を受けるおそれがほとんどない。このため、この紫外発光装置は高出力である。また、基板と透光部材との間の剥離が生じにくい。
【発明の効果】
【0010】
本明細書では、高出力であって基板とレンズ等との間の剥離を抑制することのできる紫外発光装置が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態の発光装置100の概略構成図である。
図2】第1の実施形態の発光装置100のレンズ140を示す断面図である。
図3】第1の実施形態の発光装置100のレンズ140を示す平面図である。
図4】第1の実施形態の発光装置100の空気層170とフッ化炭素化合物160との位置関係を示す図である。
図5】第1の実施形態の発光装置100の空気層170の領域を示す図である。
図6】第1の実施形態の発光装置100における紫外発光素子120の第2面120bとレンズ140の天井面144との間の距離を示す図である。
図7】第1の実施形態の発光装置100の製造方法を説明する図(その1)である。
図8】第1の実施形態の発光装置100の製造方法を説明する図(その2)である。
図9】第1の実施形態の発光装置100の製造方法を説明する図(その3)である。
図10】第1の実施形態の変形例における発光装置200の概略構成図である。
図11】第1の実施形態の変形例における発光装置300の概略構成図である。
図12】第1の実施形態の変形例における発光装置400のレンズ440を説明するための図である。
図13】第1の実施形態の変形例における発光装置500のレンズ540を説明するための図である。
図14】第1の実施形態の変形例における発光装置600の空気層670の領域を示す図である。
図15】第2の実施形態の発光装置700の概略構成図である。
図16】第2の実施形態の変形例における発光装置800の概略構成図である。
図17】第2の実施形態の変形例における発光装置900の概略構成図である。
図18】第2の実施形態の変形例における発光装置1000の概略構成図である。
図19】評価試験における比較例2のサンプルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施形態について、紫外発光装置を例に挙げて図を参照しつつ説明する。しかし、本明細書の技術はこれらの実施形態に限定されるものではない。実施形態とは異なる構造を有していても構わない。そして、それぞれの図における各層の厚みの比は、概念的に示したものであり、実際の厚みの比を示しているわけではない。
【0013】
(第1の実施形態)
1.発光装置
図1は、第1の実施形態の発光装置100の概略構成図である。図1に示すように、発光装置100は、基板110と、紫外発光素子120と、接合層130と、レンズ140と、接着剤層150と、フッ化炭素化合物160と、空気層170と、を有する。発光装置100は、紫外線を発する紫外発光装置である。
【0014】
基板110は、紫外発光素子120を実装するための基板である。基板110は、実装面110aを有する。実装面110aは、紫外発光素子120を実装するための面である。実装面110aは、回路パターンの表面である。
【0015】
紫外発光素子120は、紫外光を発する半導体発光素子である。紫外発光素子120の発光波長は、例えば、200nm以上320nm以下である。紫外発光素子120は接合層130を介して基板110に実装されている。紫外発光素子120は、第1面120aと第2面120bと側面120cとを有する。第1面120aは電極を有する。第1面120aは基板110の実装面110aと対面している。第2面120bは第1面120aの反対側の面である。第2面120bは紫外発光素子120の外部に光を取り出す光取り出し面である。第2面120bはレンズ140と対面している。側面120cは、第1面120aおよび第2面120b以外の面である。
【0016】
接合層130は、紫外発光素子120を基板110に実装するための層である。接合層130は、紫外発光素子120の第1面120aの電極と、基板110の実装面110aの回路パターンと、を接合する。接合層130の材質は、例えば、Au-Sn半田である。
【0017】
レンズ140は、紫外発光素子120から発せられる紫外光を外部に好適に取り出すための透光部材である。レンズ140は、もちろん、紫外線を透過させる。レンズ140は、例えば、石英ガラスである。レンズ140の屈折率は、大気の屈折率より大きい。レンズ140の屈折率は、例えば、1.2以上1.6以下である。
【0018】
図2は、第1の実施形態の発光装置100のレンズ140を示す断面図である。図2に示すように、レンズ140は、凸面141と平坦面142と内側壁143と天井面144と基部145とを有する。レンズ140は、基板110の実装面110aの側に凹部U1を有する。凹部U1は、内側壁143と天井面144とを有する。凸面141は発光装置100の外部に面する。凸面141は回転放物面を有する。また、発光装置100は、凸面141から紫外光を発する(図1の矢印L1参照)。平坦面142は基板110との接着面である。内側壁143は、天井面144とともに基板110と対面する。内側壁143は、基板110に向かうにつれて広がっている。天井面144は、基板110との接着後には基板110および紫外発光素子120と対面する面である。基部145は、レンズ140の根本に位置する部分である。
【0019】
図3は、第1の実施形態の発光装置100のレンズ140を示す平面図である。図3に示すように、凸面141は、回転放物面であるため、平面視では円形である。基部145は、平面視では正方形である。
【0020】
接着剤層150は、基板110とレンズ140とを接着する。接着剤層150は、基板110とレンズ140とが紫外発光素子120を間に挟んだ状態で基板110とレンズ140とを接着している。このため、基板110とレンズ140とは、基板110とレンズ140との間に紫外発光素子120を挟んだ状態で配置されている。
【0021】
フッ化炭素化合物160は、紫外発光素子120とレンズ140との間に位置している。
【0022】
空気層170は、基板110とレンズ140との間に位置する閉空間である。
【0023】
2.フッ化炭素化合物
2-1.フッ化炭素化合物の領域
フッ化炭素化合物160はCF結合を有するポリマーである。フッ化炭素化合物160は常温常圧で液体である。フッ化炭素化合物160における炭素原子数は、フッ化炭素化合物160におけるフッ素原子数の1.9倍以下である。フッ化炭素化合物160は、例えば、パーフルオロポリエーテル(PFPE)である。フッ化炭素化合物160の屈折率は、大気の屈折率より大きく紫外発光素子120の屈折率と同程度以下であればよい。フッ化炭素化合物160の屈折率は、例えば、1.2以上1.6以下である。
【0024】
図1に示すように、フッ化炭素化合物160は、紫外発光素子120の第2面120bとレンズ140との間の隙間を埋めている。このため、フッ化炭素化合物160は、紫外発光素子120の第2面120bとレンズ140とに接触している。
【0025】
図4は、第1の実施形態の発光装置100の空気層170とフッ化炭素化合物160との位置関係を示す図である。図4に示すように、基板110は、基材111と回路パターン112とを有する。実装面110aは回路パターン112上の面である。
【0026】
フッ化炭素化合物160は、フィレット形状を形成している。フッ化炭素化合物160は、紫外発光素子120の側面120cおよびレンズ140の内側壁143に接触している。しかし、フッ化炭素化合物160は、基板110の実装面110aに接触していない。
【0027】
また、フッ化炭素化合物160は、紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cを覆うが、第1面120aを覆わない。このため、フッ化炭素化合物160は、接合層130を覆うこともない。
【0028】
そして、フッ化炭素化合物160は、接着剤層150に接触していない。
【0029】
フッ化炭素化合物160は、中心部161と、外縁部162と、を有する。中心部161と外縁部162とはつながっている。中心部161は、紫外発光素子120とレンズ140との間に挟まれた領域である。中心部161は直方体形状である。その直方体形状の縦横の長さは、紫外発光素子120の縦横の長さと等しい。
【0030】
外縁部162は、レンズ140と空気層170との間に挟まれた領域である。外縁部162は、紫外発光素子120の側面120cとレンズ140の内側壁143とに接触している。このため、紫外発光素子120のすぐ外側の領域においては、基板110、空気層170の環状部171、フッ化炭素化合物160の外縁部162、レンズ140の順に積層されている。
【0031】
紫外発光素子120の側面120cに接触しているフッ化炭素化合物160の厚みは、基板110の実装面110aから離れるほど厚くなっている。
【0032】
図4に示すように、点B1または点C1は、フッ化炭素化合物160のうち基板110の実装面110aに最も近い位置に位置している。点B1は、レンズ140の平坦面142と内側壁143とが交差する点である。点C1は、紫外発光素子120の側面120cと第1面110aとが交差する点である。
【0033】
すなわち、フッ化炭素化合物160のうち基板110の実装面110aに最も近い位置に位置している箇所は、レンズ140の内側壁143に沿う位置か、または、紫外発光素子120の側面120cに沿う位置に位置している。
【0034】
特に、フッ化炭素化合物160のうち基板110の実装面110aに最も近い位置に位置している箇所は、レンズ140の内側壁143上の点のうち最も実装面110aに近い位置(点B1)か、または、紫外発光素子120の側面120c上の点のうち最も実装面110aに近い位置(点C1)に位置している。
【0035】
2-2.フッ化炭素化合物の効果
フッ化炭素化合物160が紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cを覆っている。フッ化炭素化合物160の屈折率は、大気の屈折率より大きく紫外発光素子120の屈折率と同程度以下である。このため、紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cから出射しようとする光は、フッ化炭素化合物160との境界面で全反射されにくい。つまり、紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cの光取り出し効率は高い。
【0036】
フッ化炭素化合物160が紫外発光素子120の第1面120aを覆っていない。ここで、紫外発光素子120の屈折率は1.7程度であり、大気の屈折率は1程度である。このため、紫外発光素子120の第1面120aから出射しようとする光は、全反射しやすい。仮に、第1面120a側にも紫外線がある程度出射してしまう紫外発光素子120を用いる場合には、第1面120a側に出射しようとする光を第2面120b側に反射させることができる。
【0037】
3.空気層
3-1.空気層の領域
空気層170には、気体が充填されている。気体は、例えば、大気である。空気層170は、基板110とレンズ140との間に位置している。空気層170は、フッ化炭素化合物160および接着剤層150に接触している。
【0038】
空気層170は、紫外発光素子120の周囲を環状に囲う環状部171と、紫外発光素子120と基板110との間の隙間である連結部172と、を有する。環状部171は、紫外発光素子120の形状に合わせた四角形を基本とする環状の空間である。連結部172は、環状部171を連結する隙間である。
【0039】
環状部171は、基板110の実装面110aとフッ化炭素化合物160の外縁部162との間に位置している。環状部171は、紫外発光素子120の側面120cの周囲を取り囲んでいる。環状部171と紫外発光素子120の側面120cとの間にはフッ化炭素化合物160が存在している。
【0040】
連結部172は、基板110の実装面110aと紫外発光素子120の第1面120aとの間に位置している。このため、紫外発光素子120の第1面120aは、フッ化炭素化合物160に接触していない。
【0041】
図4に示すように、距離T1aは、距離T2より小さく距離T3、T4より大きい。距離T1aは、空気層170における基板110の実装面110aから最も遠い位置に位置する点Q1aから基板110の実装面110aまでの距離である。距離T2は、レンズ140の天井面144から基板110の実装面110aまでの距離である。距離T3は、紫外発光素子120の第2面120bから基板110の実装面110aまでの距離である。距離T4は、紫外発光素子120の第1面120aから基板110の実装面110aまでの距離である。
【0042】
つまり、空気層170における基板110の実装面110aから最も遠い位置に位置する点Q1aから基板110の実装面110aまでの距離T1aは、レンズ140の天井面144から基板110の実装面110aまでの距離T2より小さい。また、空気層170における基板110の実装面110aから最も遠い位置に位置する点Q1aから基板110の実装面110aまでの距離T1aは、紫外発光素子120の第2面120bから基板110の実装面110aまでの距離T3より大きい。
【0043】
空気層170における基板110の実装面110aから最も遠い位置に位置する点Q1aは、紫外発光素子120の側面120cの外側であってレンズ140の平坦面142と内側壁143とが交差する点B1より内側に位置している。
【0044】
また、図4に示すように、紫外発光素子120の第2面120bとレンズ140の天井面144との間には空気層は存在しない。
【0045】
図5は、第1の実施形態の発光装置100の空気層170の領域を示す図である。図5では、紫外発光素子120の周囲のフッ化炭素化合物160が仮想的に描かれている。空気層170は、フッ化炭素化合物160を間に挟んで紫外発光素子120の周囲を取り囲んでいる。空気層170における紫外発光素子120の反対側の外縁は、四角形である。
【0046】
3-2.空気層の効果
フッ化炭素化合物160の外縁部162と基板110の実装面110aとの間に空気層170の環状部171があることにより、フッ化炭素化合物160が接着剤層150に接触しない。このため、フッ化炭素化合物160と接着剤層150とが反応するおそれはほとんどない。また、フッ化炭素化合物160が接着剤層150に到達しないため、接着剤層150にわずかな隙間があったとしても、この隙間からフッ化炭素化合物160が発光装置100の外部に零れるおそれがほとんどない。
【0047】
4.紫外発光素子とレンズとの間の距離
4-1.距離
図6は、第1の実施形態の発光装置100における紫外発光素子120の第2面120bとレンズ140の天井面144との間の距離を示す図である。紫外発光素子120の第2面120bは、紫外発光素子120における基板110の反対側に面する。図6に示すように、紫外発光素子120の第2面120bとレンズ140の天井面144との間の距離H1は、0.1μm以上500μm以下である。好ましくは、0.1μm以上以上400μm以下である。より好ましくは、0.1μm以上以上300μm以下である。
【0048】
4-2.距離の効果
フッ化炭素化合物160は紫外線をある程度吸収する。このため、紫外発光素子120の第2面120bとレンズ140の天井面144との間の距離H1は、小さいほうがよい。距離H1が小さいほど、紫外線はフッ化炭素化合物160に吸収されず光出力は大きい。
【0049】
5.屈折率
紫外発光素子120の屈折率は1.7程度である。フッ化炭素化合物160の屈折率は1.2以上1.6以下の程度である。レンズ140の屈折率は1.2以上1.6以下の程度である。大気の屈折率は1である。
【0050】
第1の実施形態では、紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cは、空気層170と接触していない。前述のように紫外発光素子120の屈折率は空気層170の屈折率より十分に大きい。紫外発光素子120のうち外部に光を取り出す第2面120bおよび側面120cが屈折率の低い空気層170と接触していないため、紫外発光素子120からの光は素子外部に出射しやすい。
【0051】
6.製造方法
6-1.素子実装工程
図7に示すように、基板110の実装面110aに紫外発光素子120を実装する。基板110の実装面110aの上に半田を載せる。紫外発光素子120の第1面120aの電極が半田と接触するように半田の上に紫外発光素子120を載せる。そして、例えば、リフローにより紫外発光素子120を基板110に実装する。
【0052】
6-2.滴下工程
図8に示すように、紫外発光素子120の第2面120bの上にフッ化炭素化合物160を滴下する。これにより、フッ化炭素化合物160は紫外発光素子120の第2面120bの上に濡れ広がる。また、この段階では、フッ化炭素化合物160は紫外発光素子120の側面120cには接触していない。
【0053】
6-3.レンズ接着工程
図9に示すように、基板110の実装面110aの上に接着剤層150を塗る。その後、レンズ140を基板110の実装面110aに接着させる。この際に、レンズ140の天井面144がフッ化炭素化合物160を押圧する。この圧力により、フッ化炭素化合物160は紫外発光素子120の第2面120bの上から外側に広がる。そして、フッ化炭素化合物160は、紫外発光素子120の側面120cに濡れ広がるとともに、レンズ140の内側壁143に濡れ広がる。これにより、発光装置100が製造される。
【0054】
7.第1の実施形態の効果
7-1.フッ化炭素化合物
フッ化炭素化合物160が紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cを覆っている。このため、紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cから素子外部に出射しようとする光は、フッ化炭素化合物160との境界面で全反射されにくい。つまり、紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cの光取り出し効率は高い。
【0055】
7-2.空気層
フッ化炭素化合物160の外縁部162と基板110の実装面110aとの間に空気層170の環状部171があることにより、フッ化炭素化合物160が接着剤層150に接触しない。このため、フッ化炭素化合物160と接着剤層150とが反応するおそれはほとんどない。また、フッ化炭素化合物160が発光装置100の外部にこぼれにくい。
【0056】
7-3.紫外発光素子とレンズとの間の距離
フッ化炭素化合物160は紫外線をある程度吸収する。このため、紫外発光素子120の第2面120bとレンズ140の天井面144との間の距離H1は、小さいほうがよい。距離H1が小さいほど、紫外線はフッ化炭素化合物160に吸収されず光出力は大きい。
【0057】
8.変形例
8-1.フィレットの形状
図10は、第1の実施形態の変形例における発光装置200の概略構成図である。発光装置200においては、フッ化炭素化合物260および空気層270が発光装置100と異なっている。図10に示すように、フッ化炭素化合物260は、紫外発光素子120の側面120cを覆っているが、レンズ140の内側壁143を覆っていない。
【0058】
この場合、紫外発光素子120の第2面120bから発せられる光は、紫外発光素子120とフッ化炭素化合物260との間の界面でそれほど反射されずに出射する。紫外発光素子120の屈折率とフッ化炭素化合物160の屈折率との差が小さいためである。
【0059】
同様に、紫外発光素子120の側面120cから発せられる光は、紫外発光素子120とフッ化炭素化合物260との間の界面でそれほど反射されない。つまり、紫外発光素子120からフッ化炭素化合物260へと多くの光が入射する。その光は、フッ化炭素化合物260から空気層270へと入射するが、フッ化炭素化合物260の屈折率は、紫外発光素子120の屈折率と空気層270の屈折率との間の値である。このため、紫外発光素子120から空気層へと直接入射する場合に比べて、フッ化炭素化合物260から空気層270へと入射する光の量は多い。
【0060】
図11は、第1の実施形態の変形例における発光装置300の概略構成図である。発光装置300においては、フッ化炭素化合物360および空気層370が発光装置100と異なっている。図11に示すように、距離T1bは、距離T2、T3より小さく距離T4より大きい。距離T1bは、空気層370における基板110の実装面110aから最も遠い位置に位置する点Q1bから基板110の実装面110aまでの距離である。
【0061】
このように、フッ化炭素化合物360の量が多い場合であっても、フッ化炭素化合物360のうち基板110の実装面110aに最も近い位置に位置している箇所は、レンズ140の内側壁143上の点のうち最も実装面110aに近い位置(点B1)か、または、紫外発光素子120の側面120c上の点のうち最も実装面110aに近い位置(点C1)に位置している。
【0062】
8-2.フィラー
フッ化炭素化合物160は紫外線を透過させるフィラーを含有してもよい。フィラーの材質は、例えば、フッ素パウダー、シリカである。フィラーの屈折率は、フッ化炭素化合物160の屈折率と同程度であるとよい。フィラーの屈折率は、例えば、1.2以上1.6以下である。フィラーの粒子径は、例えば、20nm以上50μm以下である。フッ化炭素化合物160に占めるフィラーの存在比は、例えば、0.1wt%以上50wt%以下である。
【0063】
フィラーがシリカのようにフッ素を含まない材料である場合には、フィラーが紫外線を吸収するおそれがある。この場合には、フィラーの粒子径は、紫外発光素子120の発光波長のピーク値よりも小さければよい。フィラーの粒子径は、例えば、20nm以上100nm以下である。
【0064】
フッ化炭素化合物160の静粘度および動粘度を調整するためにフィラーは用いるとよい。つまり、滴下する際には滴下しやすいように動粘度が低く、フィレットを形成した後にはフィレットの形状が崩れにくいよう静粘度が高いとよい。
【0065】
8-3.レンズの形状
図12は、第1の実施形態の変形例における発光装置400のレンズ440を説明するための図である。図12に示すように、レンズ440の内側壁443とレンズ440の平坦面442との間に凹部445が存在する。凹部445は、平坦面442または内側壁443からレンズ440の側に凹んでいる。凹部445は、フッ化炭素化合物160と接着剤層150との間に位置している。このため、フッ化炭素化合物160は、表面張力により凹部445の端部B2の位置で留まる。つまり、フッ化炭素化合物160は、接着剤層150に接触しにくい。
【0066】
図13は、第1の実施形態の変形例における発光装置500のレンズ540を説明するための図である。図13に示すように、レンズ540の内側壁543とレンズ540の平坦面542との間に凹部545が存在する。凹部545は、平坦面542または内側壁543からレンズ540の側に凹んでいる。凹部545は、フッ化炭素化合物160と接着剤層150との間に位置している。このため、フッ化炭素化合物160は、表面張力により凹部545の端部B3の位置で留まる。つまり、フッ化炭素化合物160は、接着剤層150に接触しにくい。
【0067】
8-4.空気層の形状
図14は、第1の実施形態の変形例における発光装置600の空気層670の領域を示す図である。図14では、紫外発光素子120の周囲のフッ化炭素化合物660が仮想的に描かれている。空気層670は、フッ化炭素化合物660を間に挟んで紫外発光素子120の周囲を取り囲んでいる。空気層670における紫外発光素子120の反対側の外縁は、円形である。空気層670の外縁は、レンズの内側壁の形状に依存する。空気層670の外縁は、その他の形状であってもよい。
【0068】
8-5.天井面
天井面144は基板110の実装面110aに平行な平面である。しかし、天井面144は基板110の実装面110aに平行でなくてもよい。また、天井面144は曲面であってもよい。
【0069】
8-6.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
【0070】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0071】
1.発光装置
図15は、第2の実施形態の発光装置700の概略構成図である。図15に示すように、発光装置700は、基板710と、紫外発光素子120と、接合層130と、ガラス740と、接着剤層750と、フッ化炭素化合物760と、空気層770と、を有する。
【0072】
基板710は、壁780を有する。
【0073】
ガラス740は、紫外光を透過させる透光部材である。ガラス740は、平板形状である。ガラス740は、基板110の側に平坦面を有する。
【0074】
接着剤層750は、基板710の壁780とガラス740とを接着させるためのものである。接着剤層750は、基板710の壁780と、ガラス740における基板110側の平坦面と、を接着している。接着剤層750の材質は、例えば、シリコーン樹脂である。
【0075】
壁780は、基板110の実装面110aの上に形成されている。壁780は、紫外発光素子120の四方を囲んでいる。壁780は、個々の紫外発光素子120を区画するためのものである。壁780は、紫外発光素子120の周囲を紫外発光素子120に非接触で取り囲んでいる。壁780の材質は、例えば、銅、AlNである。壁780の材質は、紫外線を吸収しにくい材質であるとよい。
【0076】
2.フッ化炭素化合物
フッ化炭素化合物760は、フィレット形状を形成している。そのため、フッ化炭素化合物760は、紫外発光素子120の側面120cおよびガラス740の天井面740aに接触している。しかし、フッ化炭素化合物760は、基板110の実装面110aに接触していない。
【0077】
また、フッ化炭素化合物760は、紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cを覆うが、第1面120aを覆わない。このため、フッ化炭素化合物760は、接合層130を覆うこともない。そして、フッ化炭素化合物760は、壁780および接着剤層750に接触していない。
【0078】
フッ化炭素化合物760は、中心部761と、外縁部762と、を有する。中心部761は、紫外発光素子120とガラス740との間に挟まれた領域である。中心部761は直方体形状である。その直方体形状の縦横の長さは、紫外発光素子120の縦横の長さと等しい。
【0079】
外縁部762は、ガラス740と空気層770との間に挟まれた領域である。外縁部762は、紫外発光素子120の側面120cとガラス740の天井面740aとに接触している。このため、紫外発光素子120のすぐ外側の領域においては、基板110、空気層770の環状部771、フッ化炭素化合物760の外縁部762、ガラス740の順に積層されている。
【0080】
中心部761では、フッ化炭素化合物760が、紫外発光素子120の第2面120bとガラス740の天井面740aとの間の隙間を埋めている。
【0081】
3.空気層
空気層770は、紫外発光素子120の周囲を環状に囲う環状部771と、紫外発光素子120と基板110との間の隙間である連結部772と、を有する。環状部771は、紫外発光素子120の形状に合わせた四角形を基本とする環状の空間である。連結部772は、環状部771を連結する隙間である。
【0082】
環状部771は、基板110の実装面110aとフッ化炭素化合物760の外縁部762との間に位置している。環状部771は、紫外発光素子120の側面120cの周囲を囲っている。環状部771と紫外発光素子120の側面120cとの間にはフッ化炭素化合物760が存在している。
【0083】
4.壁の高さ
壁780は、上面780aを有する。上面780aは、壁780における基板110の反対側に位置している。壁780の高さは、基板110の実装面110aから壁780の上面780aまでの距離である。基板110の実装面110aから壁780の上面780aまでの距離は、基板110の実装面110aから紫外発光素子120の第2面120bまでの距離よりも小さい。
【0084】
フッ化炭素化合物760の中心部761の厚みは、接着剤層750の厚みよりも薄い。
【0085】
5.発光装置の製造方法
5-1.素子実装工程
基板110の実装面110aに紫外発光素子120を実装する。
【0086】
5-2.壁形成工程
紫外発光素子120の周囲に壁780を形成する。
【0087】
5-3.滴下工程
紫外発光素子120の第2面120bの上にフッ化炭素化合物760を滴下する。
【0088】
5-4.接着工程
壁780の上面780aの上に接着剤層750を塗布し、ガラス740を接着させる。この際に、フッ化炭素化合物760は押圧されて濡れ広がる。
【0089】
6.第2の実施形態の効果
6-1.フッ化炭素化合物
フッ化炭素化合物760が紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cを覆っている。このため、紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cから素子外部に出射しようとする光は、フッ化炭素化合物760との境界面で全反射されにくい。つまり、紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cの光取り出し効率は高い。
【0090】
6-2.空気層
フッ化炭素化合物760の外縁部762と基板110の実装面110aとの間に空気層770の環状部771があることにより、フッ化炭素化合物760が接着剤層750に接触しない。このため、フッ化炭素化合物760と接着剤層750とが反応するおそれはほとんどない。また、フッ化炭素化合物760が発光装置700の外部にこぼれにくい。
【0091】
7.変形例
7-1.フッ化炭素化合物
図16は、第2の実施形態の変形例における発光装置800の概略構成図である。図16に示すように、発光装置800では、フッ化炭素化合物860が基板110の実装面110aに接触するとともに覆っている。空気層870は、壁780の上面780aの端部からガラス740の天井面740aにかけて形成されている。フッ化炭素化合物760は、接着剤層750に接触していない。
【0092】
7-2.壁
図17は、第2の実施形態の変形例における発光装置900の概略構成図である。図17に示すように、壁980の上面780aの基板710からの高さが、紫外発光素子120の第2面12bの基板710からの高さよりも高い。
【0093】
発光装置900では、フッ化炭素化合物960が基板710の実装面に接触するとともに覆っている。フッ化炭素化合物960は、中心部961と、外縁部962と、を有する。中心部961と外縁部962とは分離している。
【0094】
中心部961は、紫外発光素子120の第2面120bとガラス740の天井面740aとの間に位置する。外縁部962は、壁980と紫外発光素子120との間の隙間を埋めている。外縁部962は、紫外発光素子120の第2面120bまたは壁980の上面980aまで満たされている。フッ化炭素化合物960は、接着剤層950に接触していない。
【0095】
7-3.ざぐり
図18は、第2の実施形態の変形例における発光装置1000の概略構成図である。図18に示すように、壁1080はざぐり1081を有する。ガラス740は、ざぐり1081の上に載せられている。そして、壁1080とガラス740とは、接着剤層1050により接着されている。
【0096】
7-4.ガラス
平板形状のガラス以外の透光部材を用いてもよい。透光部材は、例えば、下面が平坦面であり下面の反対側が凸レンズである部材であってもよい。この場合であっても、透光部材は、基板110の側に平坦面を有する。この平坦面は、接着剤層により壁に接着されている。
【0097】
7-5.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
【0098】
(実施形態の組み合わせ)
第1の実施形態および第2の実施形態について変形例を含めて組み合わせてよい場合がある。
【0099】
(評価試験)
1.サンプル
レンズを有する発光装置について実験を行った。発光装置の内部にフッ化炭素化合物の領域を変えて発光装置の明るさを評価した。フッ化炭素化合物の領域以外については、どのサンプルも同じである。
【0100】
2.実験結果
表1は試験結果をまとめた表である。実施例1は、第1の実施形態に相当する。比較例1は、フッ化炭素化合物を全く入れなかったサンプルである。比較例2は、図19に示すように、紫外発光素子とレンズの天井面との間にのみフッ化炭素化合物を充填したサンプルである。比較例3は、基板とレンズとの間の隙間にフッ化炭素化合物を充填し、空気層を設けなかったサンプルである。
【0101】
比較例1の明るさを1として規格化した。
【0102】
表1に示すように、実施例1では、明るさが高く密着性も優れていた。比較例1、2では、密着性は十分であるが、明るさがやや弱い。比較例3では、最も明るかったが、密着性が不十分であった。つまり、基板とレンズとの間で剥離が生じた。
【0103】
[表1]
サンプル フッ化炭素化合物 明るさ 密着性
実施例1 図1 1.4 ○
比較例1 無し 1 ○
比較例2 図19 1.3 ○
比較例3 フル充填 1.5 ×
【0104】
(付記)
第1の態様における紫外発光装置は、基板と、紫外発光素子と、接合層と、透光部材と、接着剤層と、フッ化炭素化合物と、を有する。基板は、紫外発光素子を実装するための実装面を有する。紫外発光素子は、電極を有する第1面と第1面の反対側の第2面と側面とを有する。接合層は、紫外発光素子の第1面の電極と基板の実装面の一部とを接合している。透光部材は、紫外線を透過させるものである。接着剤層は、基板と透光部材とを接着している。基板と透光部材とは、これらの間に紫外発光素子を挟んだ状態で配置されている。フッ化炭素化合物は常温常圧で液体である。フッ化炭素化合物は、紫外発光素子の第2面と透光部材との間の隙間をこれらに接触した状態で埋めるとともに、紫外発光素子の側面に接触しており、接着剤層に接触していない。
【0105】
第2の態様における紫外発光装置は、空気層を有する。空気層は、基板と透光部材との間に位置するとともに、フッ化炭素化合物および接着剤層に接触している。
【0106】
第3の態様における紫外発光装置においては、空気層は、紫外発光素子の周囲を取り囲んでいる。空気層と紫外発光素子との間には、フッ化炭素化合物が存在している。
【0107】
第4の態様における紫外発光装置においては、空気層における基板の実装面から最も遠い位置に位置する点から基板の実装面までの距離は、紫外発光素子の第2面から基板の実装面までの距離より大きい。
【0108】
第5の態様における紫外発光装置においては、空気層における基板の実装面から最も遠い位置に位置する点から基板の実装面までの距離は、紫外発光素子の第2面から基板の実装面までの距離より小さい。
【0109】
第6の態様における紫外発光装置においては、フッ化炭素化合物は、基板の実装面に接触していない。
【0110】
第7の態様における紫外発光装置においては、フッ化炭素化合物は、接合層に接触していない。
【0111】
第8の態様における紫外発光装置においては、紫外発光素子の側面に接触しているフッ化炭素化合物の厚みは、基板の実装面から離れるほど厚くなっている。
【0112】
第9の態様における紫外発光装置においては、フッ化炭素化合物は、紫外線を透過させるフィラーを含有する。フィラーの屈折率は、1.2以上1.6以下である。
【0113】
第10の態様における紫外発光装置においては、フィラーは、フッ素を含まない材料である。フィラーの粒子径が、紫外発光素子の発光波長のピーク値よりも小さい。
【0114】
第11の態様における紫外発光装置においては、透光部材は、レンズである。レンズにおける基板の実装面の側には凹部が形成されている。凹部は、天井面と内側壁とを有する。
【0115】
第12の態様における紫外発光装置においては、フッ化炭素化合物は、内側壁の上に存在する。
【0116】
第13の態様における紫外発光装置においては、紫外発光素子の第2面とレンズの天井面との間の距離が、0.1μm以上500μm以下である。
【0117】
第14の態様における紫外発光装置においては、基板は、紫外発光素子の周囲を紫外発光素子に非接触で取り囲む壁を有する。透光部材は、基板側に平坦面を有する。接着剤層は、基板の壁と透光部材の平坦面とを接着している。壁の実装面からの高さは、紫外発光素子の第2面の実装面からの高さより低い。
【符号の説明】
【0118】
100…発光装置
110…基板
120…紫外発光素子
130…接合層
140…レンズ
150…接着剤層
160…フッ化炭素化合物
170…空気層
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