IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブランテックインターナショナル株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-氷スラリー製造装置 図1
  • 特開-氷スラリー製造装置 図2
  • 特開-氷スラリー製造装置 図3
  • 特開-氷スラリー製造装置 図4
  • 特開-氷スラリー製造装置 図5
  • 特開-氷スラリー製造装置 図6
  • 特開-氷スラリー製造装置 図7
  • 特開-氷スラリー製造装置 図8
  • 特開-氷スラリー製造装置 図9
  • 特開-氷スラリー製造装置 図10
  • 特開-氷スラリー製造装置 図11
  • 特開-氷スラリー製造装置 図12
  • 特開-氷スラリー製造装置 図13
  • 特開-氷スラリー製造装置 図14
  • 特開-氷スラリー製造装置 図15
  • 特開-氷スラリー製造装置 図16
  • 特開-氷スラリー製造装置 図17
  • 特開-氷スラリー製造装置 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108702
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】氷スラリー製造装置
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/08 20060101AFI20220719BHJP
   F25D 9/00 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
F25C1/08 Z
F25D9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067350
(22)【出願日】2021-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2021003781
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】518403539
【氏名又は名称】ブランテックインターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】廣兼 美雄
【テーマコード(参考)】
3L044
【Fターム(参考)】
3L044AA04
3L044BA04
3L044CA04
3L044DB02
3L044FA01
3L044KA04
(57)【要約】
【課題】小型化が容易な氷スラリー製造装置を提供する。
【解決手段】ブラインを貯える冷凍槽12と、冷凍槽12の内側に配置されブラインWsに浸かることが可能なフレークアイス作成部15と、を備え、フレークアイス作成部15は、冷凍機14から供給された冷媒をその内部に循環させると共にブラインWsの氷を生成する板面26a、26bを有するディスク部26と、板面26a、26bにブラインWsの流れを与えるノズル部41と、板面26a、26bに対し変位することにより板面26a、26bに生じた氷を当該板面26a、26bから分離する掃き取り部33を有する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラインを貯える氷スラリー製造槽と、
前記氷スラリー製造槽の内側に配置されブラインに浸かることが可能な氷製作部と、
を備え、
前記氷製作部は、冷凍機から供給された冷媒をその内部に循環させると共に少なくともその1面でブラインの氷を生成する製氷面を有する製氷プレートと、
前記製氷面にブラインの流れを与える流れ形成部と、
前記製氷面に対し変位することにより前記製氷面に生じた氷を当該製氷面から分離する掃き取り部を有することを特徴とする氷スラリー製造装置。
【請求項2】
前記掃き取り部は、前記製氷面に対して回転、又は回転往復動するような駆動部に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の氷スラリー製造装置。
【請求項3】
前記氷製作部は、少なくとも前記製氷プレートと前記駆動部とを一体に保持する保持部を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の氷スラリー製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、食品やその他の被冷凍品を冷凍する氷スラリーを製造する氷スラリー製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、魚介類や精肉等といった生鮮食品を被冷凍品として冷凍し、これらの被冷凍品を保管したり輸送したりすることが一般に行われている。そして、被冷凍品の冷凍には氷スラリーが用いられ、被冷凍品を氷スラリーに浸け、瞬間的に凍らせて食材の鮮度が保たれる。また、後掲の特許文献1には、氷スラリー原料製造装置(200)から落下したフレークアイス(氷のはく片)を貯氷タンク(500)に落下させて氷スラリーを製造し、貯氷タンク(500)の氷スラリーを、氷スラリー供給管(45)を介して冷凍装置(6)に供給することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-207046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されたような従来の氷スラリー製造装置(200)や冷凍システムでは、氷スラリー原料製造装置(200)が貯氷タンク(500)の上に設置され、貯氷タンク(500)から冷凍装置(6)へ氷スラリー供給管(45)を介して、氷スラリーが供給されていた。このため、氷スラリー製造装置や冷凍システムが大型化し易く、氷スラリー製造装置や冷凍システムを小型化することは容易ではなかった。
【0005】
本発明は、小型化が容易な氷スラリー製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するために本発明は、ブラインを貯える氷スラリー製造槽と、
前記氷スラリー製造槽の内側に配置されブラインに浸かることが可能な氷製作部と、
を備え、
前記氷製作部は、冷凍機から供給された冷媒をその内部に循環させると共に少なくともその1面でブラインの氷を生成する製氷面を有する製氷プレートと、
前記製氷面にブラインの流れを与える流れ形成部と、
前記製氷面に対し変位することにより前記製氷面に生じた氷を当該製氷面から分離する掃き取り部を有することを特徴とする氷スラリー製造装置である。
(2)上記課題を解決するために他の発明は、前記掃き取り部は、前記製氷面に対して回転、又は回転往復動するような駆動部に配置されたことを特徴とする上記(1)に記載の氷スラリー製造装置である。
(3)上記課題を解決するために他の発明は、前記氷製作部は、少なくとも前記製氷プレートと前記駆動部とを一体に保持する保持部を更に備えたことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の氷スラリー製造装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、小型化が容易な氷スラリー製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の氷スラリー製造装置及び冷凍システムに係る第1実施形態を概略的に示す斜視図である。
図2】ディスク部の冷媒配管に係る第1実施形態を模式的に示す平面図、(b)はディスク部の冷媒配管に係る第2実施形態を模式的に示す平面図である。
図3】ディスク部の周囲における水溶液の流れを模式的に示す側面図である。
図4】(a)は掃き取り部に係る第1実施形態のバフがディスク部から氷を分離する原理を模式的に示す側面図、(b)は掃き取り部に係る第2実施形態の金属板がディスク部から氷を分離する原理を模式的に示す側面図である。
図5】(a)は冷凍槽に係る第2実施形態を模式的に示す平面図、(b)は(a)に係る冷凍槽を模式的に示す側面図である。
図6】(a)は冷凍槽に係る第3実施形態を模式的に示す平面図、(b)は(a)に係る冷凍槽を模式的に示す側面図である。
図7】(a)は冷凍槽に係る第4実施形態を模式的に示す平面図、(b)は(a)に係る冷凍槽を模式的に示す側面図である。
図8】他の実施形態に係る冷凍システムを模式的に示す側面図である。
図9図8の実施形態に係る冷凍システムを模式的に示す平面図である。
図10図8及び図9に示す冷凍システムに係る氷スラリー製造装置を模式的に示す拡大図である。
図11】更に他の実施形態に係る冷凍システムを模式的に示す説明図である。
図12図9及び図10に示す氷スラリー製造装置の変形例を示す拡大図である。
図13図8及び図9に示す冷凍システムの変形例を示す側面図である。
図14図13の実施形態に係る冷凍システムを模式的に示す平面図である。
図15】(a)は図11に示す冷凍システムに係る氷スラリー製造装置の変形例を示す拡大図、(b)は同じく図11に示す冷凍システムに係る氷スラリー製造装置の他の変形例を示す拡大図である。
図16】同じく図11に示す冷凍システムに係る氷スラリー製造装置の他の変形例を示す拡大図である。
図17図10に示すハッチ部や氷スラリー製造装置の変形例を示す平面図である。
図18図11に示す氷スラリー製造装置の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の氷スラリー製造装置と、この氷スラリー製造装置を用いた冷凍システムについて、図面に基づき説明する。図1は、本発明の氷スラリー製造装置及び冷凍システムに係る第1実施形態を示している。図1に示す冷凍システム10は、氷スラリー製造装置11、冷凍槽12、及び、水溶液ポンプ13等を組み合わせて構成されている。
【0010】
これらのうち、氷スラリー製造装置11は、例えば食塩等の水溶液(ブラインとなる塩水)から氷を析出させてフレーク状(薄片状、剥片状、小塊状、或いは、粒状などともいう)の氷(フレークアイス)を作成することが可能なものとなっている。この氷スラリー製造装置11は、冷凍機14、氷製作部としてのフレークアイス作成部15、及び、冷媒案内部16等を有している。さらに、氷スラリー製造装置11においては、これらの冷凍機14、フレークアイス作成部15、及び、冷媒案内部16が、保持部としてのフレーム部17に搭載され、互いに一体化されている。
【0011】
氷スラリー製造装置11の冷凍機14、フレークアイス作成部15、及び、冷媒案内部16は、冷凍サイクルを構成し、所定の冷媒液(液冷媒)を循環させて、冷媒の圧縮、凝縮、膨張、及び、蒸発を行えるようになっている。ここで、冷凍サイクルの形態としては、一般的な種々のものを採用することが可能である。
【0012】
冷凍機14からは、冷媒案内部16を介して、フレークアイス作成部15に冷媒が送出されるようになっている。冷媒案内部16は、冷凍機14から冷媒をフレークアイス作成部15に導入する冷媒導入管18aや、フレークアイス作成部15から導出された冷媒を冷凍機14に戻す冷媒導出管18bを備えている。
【0013】
冷媒導入管18aや冷媒導出管18bとしては、例えば、銅管を断熱材で覆ったような一般的な冷媒管を採用することができる。また、冷媒導入管18aや冷媒導出管18bは、このような冷媒管を、一般的な配管継手を介して接続したものとすることも可能である。
【0014】
本実施形態において、冷媒導入管18a及び冷媒導出管18bの各端部は、詳細な図示は省略するが、配管継手を介して冷凍機14とフレークアイス作成部15に接続されている。また、冷媒導入管18a及び冷媒導出管18bは、上方に突な逆U字状に湾曲するよう曲がった形状を有している。さらに、冷媒導入管18a及び冷媒導出管18bは、互いに同様な長さや大きさを有している。
【0015】
また、冷媒導入管18a及び冷媒導出管18bは、逆U字状に曲がった内側の部分を冷凍槽跨ぎ部19としている。そして、氷スラリー製造装置11を、冷凍機14が冷凍槽12(後述する)の外側に位置し、フレークアイス作成部15が冷凍槽12の内側に位置するよう設置した場合に、冷凍槽12の一部の壁部12aが、冷媒導入管18a及び冷媒導出管18bの冷凍槽跨ぎ部19に入り込むようになっている。
【0016】
ここで、冷媒導入管18a及び冷媒導出管18bとしては、例えば、氷スラリー製造装置11の組み立てを行う作業者が、工具を用いずに手で直接曲げることができるようなフレキシブル管を採用することも可能である。そして、この場合にも、フレキシブル管の周囲を断熱材で覆うことが望ましい。
【0017】
続いて、フレークアイス作成部15は、冷却部21、駆動部としての回転駆動部22、氷分離部としての掃き取り部23等を備えている。これらのうち、冷却部21は、製氷プレートとしてのディスク部26や冷媒配管28を備えている。
【0018】
ディスク部26は、矩形(ここでは正方形)板面(製氷面)と所定の厚みを有する金属板により形成され、フレーム部17(後述する)に固定されている。ここで、ディスク部26は矩形に限らず円形であってもよい。ディスク部26の素材としては、銅、ステンレス鋼、防錆効果が得られるよう表面処理を施した鉄鋼、アルミニウム、ジュラルミンなどを例示できる。
【0019】
ディスク部26のサイズ(寸法)は、例えば30cm角程度とすることが可能である。また、本実施形態において、ディスク部26の上面(板面26a)及び下面(板面26b)は、ほぼ平坦に、且つ、互いに平行になるよう加工されている。さらに、ディスク部26の内部には、複数の穴が、ほぼ等間隔で平行に並び貫通するよう形成されている。
【0020】
ディスク部26の内部の穴には、前述の冷媒配管28が通されている。この冷媒配管28は、図2(a)に示すように、直線部分と湾曲部分とを交互に組み合わせた蛇行状に形成されている。さらに、冷媒配管28の一端部は冷媒導入管18aに接続され、他端部は冷媒導出管18bに接続されている。そして、冷媒配管28の内側(管路)には、冷凍機14から供給された冷媒が流れるようになっている。
【0021】
また、冷媒配管28の外周面は、ディスク部26の穴の内周面に熱伝達が可能なように接している。冷媒配管28の素材としては、一般的に熱伝導率が高い銅管を例示することができる。そして、冷媒配管28の内部を冷媒が流れることにより、ディスク部26の熱が奪われ、ディスク部26が冷却される。
【0022】
なお、冷媒配管28の素材として、銅以外のもの(例えばステンレス鋼、アルミ、ジュラルミンなど)を採用することも可能である。また、冷媒配管28の外周面(或いはディスク部26の穴の内周面)に、熱伝導性に優れた被膜を形成することなども可能である。
【0023】
また、冷媒配管28は、物理的な管状部品としての配管をディスク部26の穴に挿し込んで形成することに限らず、例えば、管状部品を省略し、ディスク部26の内部にドリリングで設けた穴を、直接、冷媒配管(冷媒流路)として利用することも可能である。このようにした場合は、冷媒がディスク部26の穴の内周面に接しながら流れることとなる。また、上述のように管状部品を省略した場合は、折り返しとなるU字管をディスク部26に接続し、U字管の内部空間をディスク部26の穴における内部空間と液密的に繋げることにより、蛇行した形状の冷媒流路を形成することが可能である。
【0024】
さらに、これらに限らず、ディスク部26の内部に直線部分と折り返し部分を有する蛇行状の穴を設けることも可能である。この場合は、冷媒流路を形成するための鋳造中子を使用し、鋳造により蛇行穴付きのディスク部26を形成することが考えられる。
【0025】
また、本実施形態では、冷媒配管28の、冷媒導入管18aや冷媒導出管18bに繋がる端部28a、28bは、図2(a)に示すようにディスク部26を平面視した場合に、他の直線部分に対して直交する方向に延びている。また、冷媒配管28の、冷媒導出管18bに繋がる端部28bは、他の部分に対し、ディスク部26の厚み方向に重なる位置関係を有している。
【0026】
なお、図示は省略するが、冷媒配管28をより多く蛇行を繰り返す形状とし、ディスク部26の厚み方向に、例えば2重や3重、或いはそれ以上に重なるよう形成することも可能である。このようにすることで、ディスク部26の内部を流れる冷媒の流量を増大させることができ、ディスク部26の冷却をより効果的に行うことが可能となる。
【0027】
また、これらに限らず、例えば、冷媒配管28の、冷媒導入管18aや冷媒導出管18bに繋がる端部28a、28bを、図2(b)に示すようにディスク部26を平面視した場合に、他の直線部分に対して平行な方向に延びるように形成してもよい。このようにすることで、冷媒配管28の加工や、ディスク部26内の穴加工を容易に行うことが可能となる。また、ディスク部26の薄型化が容易になる。
【0028】
続いて、前述した掃き取り部23は、図3に示すように、バフ支持体31を備えており、各バフ支持体31には、複数のバフ33が装着されている。バフ33は、冷却部21におけるディスク部26の各板面26a、26bに対向するよう配置されている。さらに、本実施形態において、バフ33は、ディスク部26の各板面26a、26bに適度に弱い圧力(低面圧)で接するよう配置されている。そして、バフ33は、後述するように、ディスク部26の各板面26a、26bに表出した氷を掃いて、ディスク部26から分離させる機能(掃き取り機能)を有している。
【0029】
バフ33の素材や材質としては、研磨等に一般的に用いられるような各種のものを採用可能である。例えば、バフ33の素材として、ウレタンやその他の合成樹脂、金属、或いは、ウールなどを採用することが可能である。また、バフ33の材質として、上述した各種の素材を用いたスポンジ、フォーム、ブラシ、たわし(束子)、樹脂網、不織布などといったものを例示できる。さらに、バフ33の材質として、或る程度の柔軟性を有するものを例示できる。
【0030】
また、各バフ33は、バフ支持体31に備えられた棒状のスポーク34に装着されている。バフ支持体31のスポーク34は、ディスク部26の各板面26a、26bに面するよう、4つずつ90度間隔で配置されている。また、バフ支持体31は、丸棒状の回転伝達軸35に一体に結合されている。
【0031】
回転伝達軸35は、冷媒配管28を避けて、ディスク部26を厚み方向に貫通しており、軸心を中心として、正逆方向に回転できるようになっている。そして、回転伝達軸35は、静止しているディスク部26に対し、バフ33とともに回転変位できるようになっている。
【0032】
本実施形態では、図1に示すように、各バフ33の形状は羽根状(楕円状)となっており、バフ33は、4枚羽根のプロペラ状に並んで、ディスク部26の各板面26a、26bに臨んでいる。
【0033】
このような掃き取り部23は、回転伝達軸35を介して、回転駆動部22に連結されている。この回転駆動部22には、モータ(バフ駆動モーター)が組み込まれており、回転駆動部22は、後述するように、冷凍槽12に貯えられた水溶液Ws(液面を図1中に二点鎖線で仮想的に示す)の中で掃き取り部23を継続的に回転させることが可能なものとなっている。
【0034】
ここで、回転駆動部22は、モータと減速部(ギヤ部)とを一体に備えたもの(ギヤードモータ)とすることが可能である。また、回転駆動部22は、水溶液Wsの液面よりも上の部位に位置し、水溶液Wsの外に出るよう配置されている。また、回転駆動部22は、掃き取り部23を一方向へ回転させるものに限らず、回転往復動させるもの(正逆方向の往復回転動作を行わせるもの)であってもよい。
【0035】
なお、前述したバフ33の配置については、図1図3に示すものに限らず、種々の態様を採用することが可能である。例えば、バフ33の数を、ディスク部26の各板面26a、26bにつき、4つ未満、或いは5個以上としてもよい。
【0036】
続いて、前述したフレーム部17は、例えば、棒状の部品を繋ぎ合わせて骨組みを形成することにより構成されている。フレーム部17の材料としては、一般的なアングル材や、丸パイプ、角パイプ、或いは、押出材などといったものを採用することができる。図1では、図面が煩雑になるのを避けるため、フレーム部17の部品は帯板状に描かれているが、必要となる強度や構造を考慮して材料を選択することが望ましい。
【0037】
フレーム部17の部品の結合には、溶接やビス締め(ボルト締めを含む)等を採用することが可能である。また、フレーム部17の素材としては、金属や合成樹脂を採用することが可能であり、このうち金属としては、鉄鋼、ステンレス鋼、アルミなどのように一般的な種々のもの採用することが可能である。さらに、鉄鋼等の金属を採用する場合は、防錆を考慮し、一般的な種々の表面処理を行うことが考えられる。
【0038】
フレーム部17には、冷凍機14とフレークアイス作成部15が固定されており、フレーム部17は、冷凍機14とフレークアイス作成部15を支持している。冷凍機14とフレークアイス作成部15のフレーム部17への固定は、例えばボルト止めやビス止めなどの一般的な手段により行うことができる。また、フレーム部17は、フレークアイス作成部15の回転駆動部22が水溶液Wsの外に出るよう、フレークアイス作成部15を支持している。
【0039】
前述したように、冷凍機14とフレークアイス作成部15には、冷媒案内部16の冷媒導入管18aや冷媒導出管18bが接続されており、フレーム部17は、冷凍機14とフレークアイス作成部15を介して、冷媒案内部16の冷媒導入管18aや冷媒導出管18bも支持している。
【0040】
なお、図1の例では、冷媒案内部16の冷媒導入管18aや冷媒導出管18bが、フレーム部17に対して浮いた状態で支持されているが、フレーム部17に、冷媒導入管18aや冷媒導出管18bに接触して冷媒導入管18aや冷媒導出管18bを支持する部分(拘束部)を形成することも可能である。
【0041】
氷スラリー製造装置11を床面等に置いた場合、冷凍機14は、下方に位置するフレーム部17の一部分を挟んで床上に設置されることとなる。これに対してフレークアイス作成部15は、冷凍機14に対して水平方向に所定量ずれた位置で、且つ、冷凍機14よりも幾分高い位置に支持される。
【0042】
そして、冷凍機14とフレークアイス作成部15との間には、冷媒導入管18aや冷媒導出管18bの冷凍槽跨ぎ部19が、下向きに開いた状態で位置するようになっている。ここで、図1においては、フレーム部17や冷凍槽12の一部が、二点鎖線で示すように仮想的に切り欠いて描かれている。
【0043】
なお、氷スラリー製造装置11の下端から上端までの高さを80~90cm程度とすることが可能である。さらに、氷スラリー製造装置11の下端を、フレーム部17の、床面に接する部分とし、氷スラリー製造装置11の上端を、回転駆動部22の上端とすることが可能である。氷スラリー製造装置11の高さ寸法を80cm程度とすることで、後述する冷凍槽12の高さが、冷凍作業を行う作業者が作業し易い高さとなる。
【0044】
次に、冷凍槽12や、冷凍槽12に貯えられる水溶液Wsについて説明する。本実施形態において、冷凍槽12は、矩形容器状に形成され、上部を開放している。また、図1では省略されているが、冷凍槽12の周囲は、断熱材により囲われている。ここで、断熱材としては、一般的な種々のものを採用することが可能である。
【0045】
また、冷凍槽12の各壁(底部壁を含む)を、例えば断熱材を内蔵したものや、中空なものなどとすることが可能である。そして、冷凍槽12の各壁のみで十分な断熱性を得ることができる場合には、冷凍槽12の周囲の断熱材は適宜省略することができる。
【0046】
図1に二点鎖線で示す水溶液Wsは、氷スラリーの原液となるもの(ブラインとも称する)である。そして、本実施形態では、水溶液Wsとして、所定の濃度(ここでは23.5%)の食塩水が用いられている。水溶液Wsの量は、例えば、200L(リットル)程度とすることが可能である。
【0047】
冷凍槽12の内側には、氷スラリー製造装置11のフレークアイス作成部15における多くの部分が入り込んでいる。つまり、氷スラリー製造装置11の冷凍機14は、冷凍槽12の外側に位置し、冷凍槽12の長手方向における一端部の壁部12aに外側から面している。
【0048】
これに対して、フレークアイス作成部15は、壁部12aの内側に在り、最下部から中間程度の高さまでの部分が、冷凍槽12に所定量貯えられた水溶液Wsに浸漬されるようになっている。そして、フレークアイス作成部15の最下部には、ディスク部26が配置されており、フレークアイス作成部15が水溶液Wsに浸けられると、ディスク部26の全体も水溶液Wsに浸ることとなる。
【0049】
続いて、前述した水溶液ポンプ13の機能について説明する。水溶液ポンプ13は、図1に二点鎖線の矢印A1で示すように、水溶液Wsを汲み上げ、矢印A2で示すように、冷凍槽12に導かれる。そして、水溶液ポンプ13は、水溶液Wsを、フレークアイス作成部15のディスク部26に向けて噴出させる。ここで、図1では、矢印A1、A2により水溶液の経路を示し、配管の図示は省略している。
【0050】
また、水溶液ポンプ13としては一般的な種々のポンプを採用することが可能であるが、水溶液Wsに固体(ここではフレークアイス)が混合することを考慮して水溶液ポンプ13を選定することが考えられる。また、フレークアイスが混合した水溶液Wsを配管中や水溶液ポンプ13に通すことで、流路の目詰まりを防止する効果が得られることもある。しかし、水溶液ポンプ13にフレークアイスを通さないようにする場合には、配管の入口や水溶液ポンプ13の前段に、水溶液Wsからフレークアイスや異物を除去するためのフィルタを配置することなども考えられる。
【0051】
水溶液ポンプ13により送出された水溶液Wsは、図3に示すように、ノズル部41から噴出される。ノズル部41は、冷凍槽12に貯められた水溶液Wsに浸漬されており、ノズル部41から噴出された水溶液Ws(ここでは矢印A3で示す)は、冷凍槽12内の水溶液Wsを巻き込んで水流を形成する。そして、ノズル部41から噴出された水溶液Ws(矢印A3)は、冷凍槽12に貯められている水溶液Wsに流速を生じさせ、運動量を与える。つまり、水溶液ポンプ13やノズル部41等は、水溶液Wsの流れを形成する流れ形成部としての水流発生機構(推進機構)を構成している。
【0052】
ノズル部41としては、一般的な種々のものを採用することが可能である。そして、ノズル部41としては、水溶液Wsを矢印A3で示すように円錐状に噴出させるものや、図示は省略するが、直線状に噴出させるものなどを例示できる。
【0053】
ノズル部41は、フレークアイス作成部15におけるディスク部26の周囲に水流を発生させることができるよう、水溶液Wsに浸漬されている。ノズル部41から吐出される水溶液により発生した水流は、冷凍槽12の長さ方向(長手方向、図1の左右方向)の端部に位置する壁部12a、12bの間で循環する。
【0054】
前述したように、ディスク部26は、冷凍機14からの冷媒の冷熱により冷却されることから、ディスク部26の周辺を流れる水溶液Wsが、ディスク部26により冷却されることとなる。そして、ディスク部26を十分に冷却することにより条件が整えられ、ディスク部26の各板面26a、26b等に氷が析出し、ディスク部26の周囲に微小な氷が付着する。
【0055】
このようにして表出して付着した氷は、図3に矢印A4で示すように、掃き取り部23のバフ33が連続して回転し、付着した氷に衝突することにより、ディスク部26から掃き取られて分離する。掃き取り部23が回転していることから、バフ33が一定の場所を断続的に通過することとなり、氷は大きく成長する前にディスク部26から分離されることとなる。
【0056】
ディスク部26の各板面26a、26bから分離した氷はフレークアイスとなり、これらのフレークアイスは、水溶液Wsの流れ(矢印A5で示す)に巻き込まれて飛ばされ、水溶液Wsを水溶液Wsの凝固点(前述の23.5%の食塩水の場合-21℃程度)まで冷却する。
【0057】
上述したような氷の付着、氷の掃き取りを、水溶液Wsに流動性を与えながら継続することにより、水溶液Ws中のフレークアイスの量が徐々に増え、被冷凍品の冷凍作業に適した程度の温度(例えば-21℃程度)で氷濃度(IPF)10%~30%程度の氷スラリーが製造される。
【0058】
前述したような濃度23.5%の塩水の氷スラリーは、氷が残っている限り凝固点温度(-21℃程度)を維持するため効果的に冷凍を行うことができる。さらに、被冷凍品の冷凍は、例えば、図1に符号45で示す金属製のかごに被冷凍品を収容し、作業者がかご45を持って氷スラリーの中に浸漬することにより行うことが可能である。
【0059】
なお、水溶液ポンプ13やノズル部41等の水流発生機構を、フレーム部17に一体に組み付けて固定することも可能である。この場合は、水流発生機構を、氷スラリー製造装置11に一体に設けられたものとすることができる。また、例えば、水溶液ポンプ13はフレーム部17から離れた位置に設置し、ノズル部41や、ノズル部41に繋がる配管のみフレーム部17に固定してもよい。水溶液ポンプ13をフレーム部17から離れた位置に設置した場合には、支持する各機器を含めたフレーム部17の重量を軽くすることができる。
【0060】
次に、図4(a)は、バフ33がディスク部26から氷を分離する状態を模式的に示している。スポーク34に装着されたバフ33は、二点鎖線の矢印Cで示すように図中の左から右へ水平に移動(回転移動)する。図4(a)の例では、バフ33は、ディスク部26の上方の板面26aに適度に弱い圧力(低面圧)で接している。バフ33は、或る程度の柔軟性を有する材質で形成されており、矩形(ここではほぼ正方形)の断面形状を有している。
【0061】
また、図4(a)の例において、バフ33は、ディスク部26の板面26aに接しながら移動することで、摩擦を生じ、断面形状が平行四辺形状になるよう変形している。そして、バフ33は、ディスク部26の板面26aに発生した氷(図示略)を叩いて氷に外力を与え、ディスク部26の板面26aから掃き取る。さらに、ディスク部26の反対側の面(下方の板面26b)においても、同様の原理により、バフ33が氷を掃き取るようになっている。
【0062】
図4(a)の例では、バフ33による掃き取りの原理説明にあたり、バフ33の断面形状、及び、スポーク34の断面形状を、いずれも矩形としている。しかし、これに限らず、例えば、スポーク34としては、角棒のほかに丸棒やその他の形状のものを採用することが可能である。また、バフ33の断面形状も、矩形以外の形状とすることが可能であり、矩形以外の形状としては、例えば、三角形状、多角形状、真円状、或いは、楕円状などを例示できる。
【0063】
さらに、各バフの断面形状だけではなく、平面形状についても、羽根状以外の種々の形状を採用することが可能である。また、図示は省略するが、バフ33の平面形状を、例えば直径30cm程度の真円の板状などとし、更にバフ33の数をディスク部26の片面につき1つとし、このバフ33を中心周りに水平に自転させる、といったことも可能である。さらに、バフ33の外径を30cm程度よりも小さくし、1つ又は複数のバフ33を自転させながら旋回させるといったことも可能である。
【0064】
また、更なる変形例として、ディスク部26に回転伝達軸35を通す穴を開けずに、バフ(図示略)に対し、ディスク部26の側部(端部横)から動力の伝達を行うことが可能である。この場合、例えば、平行クランク機構を介し、ディスク部26を挟んだ状態で平行クランク機構のリンク(アーム)を相互に往復動作させることが考えられる。このような機構を採用することで、掃き取り部23を、ディスク部26を挟み、あたかも車のワイパーの様に作動して氷を掃き取るのものとすることができる。
【0065】
また、バフ33と、ディスク部26の各板面26a、26bとの間に所定量(例えば1mm以下~数mm程度)の隙間を空け、隙間以上の大きさに成長した氷を掃き取るようにしてもよい。
【0066】
ここで、バフ33のスポーク34への固定は、一般的な種々の方法で行うことができる。そして、固定の方法としては、例えば、接着、ビス止め(ボルト止め)、リベット止め、挟持などを例示できる。
【0067】
なお、バフ33に代えて、図4(b)に示すように、金属板38を用いることも可能である。さらに、金属板38以外に、例えば合成樹脂板なども採用することも可能である。そして、これらの剛体を用いた場合には、図4(b)に示すように、ディスク部26との間に隙間Hを介在させることが考えられる。このようにすることにより、金属板38等やディスク部26の摩耗を防止することができる。
【0068】
また、隙間Hを空けて金属板38等を移動させることにより、図4(b)に複数の矢印Dで示すように、金属板38等の例えば前後に乱流を発生させることができる。また、図示は省略するが、金属板38等とディスク部26との間の隙間Hにも乱流を発生させることができると考えられる。そして、金属板38等とディスク部26とが接触していなくても、この乱流を利用して氷をディスク部26から分離させることができる。この乱流は、金属板38等をある程度素早く移動させることで発生し易くなる。
【0069】
ここで、金属板38等のスポーク34への固定は、一般的な種々の態様で行うことができる。そして、固定の態様としては、例えば、ビス止め(ボルト止め)、リベット止め、挟持のほか、溶接なども例示できる。
【0070】
なお、バフ33や金属板等は、例えば定期的に取り換えて、メンテナスすることが可能である。
【0071】
次に、ディスク部26の側部に対する氷付着予防策について説明する。本実施形態においては、ディスク部26の各板面26a、26bに付着した氷は、掃き取り部23のバフ33によりディスク部26から分離される。しかし、ディスク部26の側面などのように、バフ33が接しない部分に付着した氷については、水溶液Wsの水流は当たるものの、それ以上の外力は作用しない。
【0072】
このため、ディスク部26に付着した氷が成長して大となり、予期しないような形状や大きさに成長した場合には、成長した氷が周囲の機器(例えば、冷媒配管28など)を圧迫し、周囲の機器に対して過大な負荷を与えることも考えられる。また、成長した氷が、ディスク部26の板面26a、26bにまで到達し、バフ33に干渉して、バフ33の動作を妨げることも考えられる。
【0073】
そこで、これらのような点を考慮し、ディスク部26に、図2(a)、(b)に符号46で示すように、氷付着防止部を部分的に設けることが可能である。この氷付着防止部46は、図2(a)、(b)の例においては、冷媒配管28の、ディスク部26から飛び出した湾曲部を覆うように形成されている。
【0074】
氷付着防止部46は、例えば、ディスク部26の素材である金属に比べて熱伝導率が低い合成樹脂などで形成することが可能である。また、氷付着防止部46の表面を、鋭角的な角部がない滑らかな形状に成型し、氷が付着し難いものとすることが可能である。なお、図2(a)、(b)の例において、氷付着防止部46は、二点鎖線により輪郭のみ示されている。
【0075】
以上説明したような本実施形態の冷凍システム10や氷スラリー製造装置11によれば、氷スラリー製造装置11において、冷凍機14、ディスク部26、回転駆動部22、バフ33が一体に構成されているため、氷スラリー製造装置11をユニット化することができる。したがって、氷スラリーを製造する際には、フレークアイス作成部15が冷凍槽12の内側に入り、冷凍機14が冷凍槽12の外側に位置するよう、氷スラリー製造装置11を床面に置けばよく、フレークアイスの作成に必要な機器の設置を従来よりも簡便に、且つ、容易に行うことが可能となる。
【0076】
また、フレークアイス作成部15のディスク部26を、冷凍槽12内の水溶液Wsに直接浸漬していることから、フレークアイスを冷凍槽12内に送り込むための配管が不要であり、氷スラリーの製造を簡便な機構により行うことが可能となる。そして、冷凍作業が行われる冷凍槽12の中で直接氷スラリーを製造できるため、従来のように一旦氷を作成して氷を原液と混合し氷スラリーを調製するといった作業が不要になる。
【0077】
ここで、冷凍システム10の作動につき説明する。最初に、冷凍槽12の中で調整した水溶液Ws(例えば23.5%食塩水)の温度を15度とすると、氷スラリー製造装置11を起動させると最初にディスク部26で製造されたフレーク氷(フレークアイス)はすぐに溶けて水溶液Wsを冷却する。このため最初は水溶液Wsの温度が低下する。水溶液Wsの温度が水溶液Wsの凝固点である-21℃まで低下すると、ディスク部26で製造されたフレーク氷は溶けずに水溶液Wsと混合され、スラリーが形成される。スラリー中の氷の割合(氷濃度)は、氷スラリー製造装置11の作動によってゼロから徐々に増加し、冷凍に適切な10~30%とすることができる。被冷凍品の冷凍作業を開始した後は、(例えば、冷凍機の出力調整によって) 被冷凍品の冷凍に必要な冷熱量に見合ったフレーク氷製造量とすることによって、スラリーの氷濃度を一定に保持することができる。
【0078】
また、本実施形態の冷凍システム10や氷スラリー製造装置11によれば、必要なときに必要なだけの氷スラリーを製造することができる。このため、製造した氷スラリーを事前に貯めておき、必要なときに冷凍槽12に送るための機器が不要であり、冷凍システム10や氷スラリー製造装置11を、全体的に小型化及び軽量化することが容易である。
【0079】
さらに、氷スラリー製造装置11は、冷凍機14とフレークアイス作成部15とをフレーム部17を介して連結した構造を有していることから、人手によりフレーム部17を持ち上げることにより、冷凍機14とフレークアイス作成部15とを一体に移動させることができる。このため、例えば、冷凍作業後に作業者が、氷スラリー製造装置11を持ち上げ、フレークアイス作成部15が冷凍槽12から取り出されるよう移動させ、水道水により、フレークアイス作成部15の水溶液Wsに漬かっていた部分を洗浄したり、保守したりすることも可能である。
【0080】
また、冷凍機14とフレークアイス作成部15と繋ぐ冷媒導入管18aや冷媒導出管18bに触れることなく、氷スラリー製造装置11の移動や洗浄等を行うことが可能である。このため、氷スラリー製造装置11の移動や洗浄等の際に、冷媒導入管18aや冷媒導出管18bを変形させたり破損させたりする可能性が低くすることができる。
【0081】
さらに、氷スラリー製造装置11は、図1に示すような向きに限らず、向きを変更して設置することが可能である。例えば、図1に示された冷凍槽12を動かさず、冷凍槽12を中心にして、氷スラリー製造装置11を、90度、180度、或いは、270度のいずれかに向きを変えて置き換えることも可能である。さらに、この場合には、ノズル部41も移動させることが可能である。ただし、水溶液Wsに十分な水流を発生させることができれば、ノズル部41の位置を変えずに、氷スラリー製造装置11の向きを変えることも可能である。
【0082】
ここで、ノズル部41や水溶液ポンプ13等をフレーム部17に組み付けた場合には、ノズル部41や水溶液ポンプ13等も、フレークアイス作成部15等と一体に向きを変えることとなる。
【0083】
また、本実施形態の冷凍システム10においては、氷スラリー製造装置11におけるディスク部26の両方の板面26a、26bにおける氷を掃き取っていることから、氷を付着させる面積を大とすることが容易であり、短時間により多くの氷スラリーを製造することが可能である。ここで、ディスク部26を複数枚(例えば2枚)並行に配置し、それぞれのディスク部26に対面するバフを設け、回転伝達軸35により、これらのバフを回転させるようにしてもよい。このようにすることで、より短時間に多くの氷スラリーを製造することが可能となる。
【0084】
また、フレーム部17は、フレークアイス作成部15の回転駆動部22が水溶液Wsの外に出るよう、フレークアイス作成部15を支持している。このため、フレークアイス作成部15を水溶液Wsに浸漬させても、回転駆動部22を水溶液Wsから保護することが可能である。
【0085】
さらに、上方を開口した冷凍槽12内でフレークアイスの作成や氷スラリーの製造が行われるため、例えば密閉された環境でフレークアイスの作成や氷スラリーの製造を行うものに比べ、氷が溶け易いとも考えられるが、例えば、冷凍槽12に十分な断熱を施すことにより、氷が溶けるのを防止することができる。
【0086】
また、本実施形態の冷凍システム10においては、氷スラリーの原液としてアルコール(アルコールブライン)ではなく、塩水である水溶液Ws(塩水ブライン)を用いているので、アルコールを用いた場合に比べて、コストが安く、取り扱いが容易である。
【0087】
さらに、アルコールは、種類にもよるが、熱伝導率が0.20W/mK前後であり、塩水の熱伝導率(約0.58W/mK)や、フレークアイスの熱伝導率(約2.2W/mK)に比べて低い。また、アルコールブラインによる冷凍は、顕熱による温度変化を利用した冷凍であるが、塩水ブラインによる冷凍は、主に潜熱による状態変化を利用した冷凍である。さらに、塩水ブラインによる冷凍は、氷と水溶液の両方を利用して被冷凍品を冷却するとともに、氷を被冷凍品に当てて(衝突させて)冷凍を行うものである。
【0088】
さらに、本実施形態のように氷スラリー製造装置11を小型化し、洗浄や保守を容易なものとすることで、以下のような用途の拡大が見込めるようになる。例えば、被冷凍品販売者の工場や、食品市場などのように大型なスペースを確保し易い環境に限らず、市街地の飲食店や商店などにおいても、氷スラリー製造装置11を設置することが可能となる。
【0089】
ここで、氷スラリー製造装置11は、冷凍機14、冷媒導入管18a、冷媒導出管18b、水溶液ポンプ13、ノズル部41、及び、フレーム部17などとして、一般的なものを採用できる。また、氷スラリー製造装置11は、小型化が容易なものであるから、上述の冷凍機14等の機器として小さくて安価なものを選定して採用することが可能である。このため、氷スラリー製造装置11は、従来の大型なものと比べて低コストで安価に製作することが可能である。この結果、冷凍システム10や氷スラリー製造装置11を、価格の面でも飲食店等に容易に普及し得るものとすることができる。
【0090】
なお、図1に示す冷凍システム10では、前述したように、水溶液ポンプ13やノズル部41等は、冷凍槽12内に水流を発生する水流発生機構を構成している。また、変形例として、水溶液ポンプ13やノズル部41等の水流発生機構を、フレーム部17に一体に組み付けて固定したものについても前述した。
【0091】
しかし、水溶液ポンプ13やノズル部41に代えて、或いは、水溶液ポンプ13やノズル部41と併用して、冷凍槽12に水流発生機構を設けることが可能である。以下に、冷凍槽12に水流発生機構を設けた実施形態について説明する。なお、図1に示す冷凍システム10と同様の部分については同一符号を付し、その説明は適宜省略する。
【0092】
図5(a)、(b)は、水流発生機構が付加された冷凍槽(以下では符号52を付す)を模式的に示している。そして、図5(a)は、冷凍槽52を上方から模式的に示しており、図5(b)は、冷凍槽52を縦断して側方から模式的に示している。
【0093】
図5(a)に矢印Bで示すように、冷凍槽52には、図中の反時計回りに循環する水流が発生している。この水流は、冷凍槽52の長手方向の端部に位置する壁部52a、52bにそれぞれ配置されたスクリュー部43を用いて形成されている。スクリュー部43は、図5(a)に示すように、水平方向(ここでは冷凍槽52の奥行方向)にずれた(シフトした)位置で、互いに逆向きに配置されている。また、スクリュー部43は、図5(b)に示すように、互いにほぼ同一の高さに配置されている。
【0094】
そして、スクリュー部43が、水溶液Ws中で回転することにより、逆向きの水流が発生し、冷凍槽52の長手方向の端部に位置する壁部52a、52bの間で循環する。また、冷凍槽52の平面形状が矩形(長方形)であることから、水溶液Wsは、図5(a)に示すように平面視した場合に、ほぼレーストラック状(オーバル状などともいう)に循環する。
【0095】
ここで、図5(a)、(b)に符号48で示すのは、水溶液Wsに浸された3つの被冷凍品である。被冷凍品48としては急速な冷凍が求められる種々の食品等を例示できる。ここでは、被冷凍品48も、矩形の図形により模式的に示している。また、3つの被冷凍品48を、例えば図1に示すような1つのかご(ここでは金属製のワイヤかご)45等に収容し、このかご45を、例えば作業者が手で持って水溶液Wsに浸すようにすることが可能である。
【0096】
図5(a)、(b)の例では、図5(a)に示すように、ディスク部26(掃き取り部23と組み合わされている)が、冷凍槽52の1つの隅部(図5(a)では右上隅部)に配置されている。また、被冷凍品48は、冷凍槽52の長さ方向(図5(a)の左右方向に相当する長手方向)に一列に並ぶように、冷凍槽52に浸けられている。さらに、被冷凍品48の1つは、冷凍槽52の幅方向(図5(a)の上下方向に相当する短手方向)において、ディスク部26と向かい合っている。
【0097】
さらに、図5(b)に示すように、ディスク部26と被冷凍品48が、スクリュー部43(ここではスクリュー部43の回転軸)とほぼ同様の高さに位置している。そして、循環する水溶液Wsが、ディスク部26と被冷凍品48に当りながら流れるようになっている。
【0098】
ここで、図5(a)、(b)の例では、冷凍槽52の大きさ(長さ×奥行×高さ)を、図1に示す例における冷凍槽12と同程度とすることができる。さらに、図5(b)では、ディスク部26が、図中の右端に位置する1つの被冷凍品48の背後に位置している。
【0099】
また、3つの被冷凍品48が1つのかご45(図示略)に収容することに限らず、個々の被冷凍品48に1つずつのかご45を使用し、複数(ここでは3つ)のかご45を冷凍槽52に浸けることも可能である。そして、この場合には、図5(a)、(b)の被冷凍品48を、それぞれのかご45と置き換えて、本実施形態に係る発明を把握することも可能である。
【0100】
さらに、図5(a)、(b)の例では、冷凍槽52内の水流は、水平方向に循環する水平流である。また、図5(a)に示すように、3つの被冷凍品48とディスク部26との間には、仕切り板53が配置され、冷凍槽52の四隅の形状(平面形状)は、R(アール)が形成されて円弧状となっている。そして、冷凍槽52内の水流は、冷凍槽52の隅部におけるR形状や、仕切り板53により円滑に案内され、冷凍槽52内を水平に循環する。ここで、図5(b)においては、仕切り板53の図示は省略されている。
【0101】
続いて、図6(a)、(b)は、他の実施形態に係る冷凍槽54を模式的に示している。そして、図6(a)は、冷凍槽54を上方から模式的に示しており、図6(b)は、冷凍槽54を縦断して側方から模式的に示している。ここで、図5(a)、(b)に示す例と同様の部分については同一符号を付し、その説明は適宜省略する。
【0102】
図6(a)、(b)に示す例では、スクリュー部43が、冷凍槽54の長手方向の端部に位置する壁部54a、54bにそれぞれ配置されている。また、図6(a)に示すように、ディスク部26が、冷凍槽54の1つの隅部(図6(a)では左下隅部)に配置され、被冷凍品48が、ディスク部26とほぼ同一直線上に位置するよう、冷凍槽54に浸けられている。
【0103】
さらに、図6(b)に示すように、ディスク部26と被冷凍品48が、スクリュー部43(ここではスクリュー部43の回転軸)とほぼ同様の高さに位置している。そして、循環する水溶液Wsが、矢印Bで示すように、ディスク部26と被冷凍品48に当りながら流れるようになっている。
【0104】
また、図6(a)、(b)に示す例では、冷凍槽54の幅方向の寸法が、図5(a)、(b)の例における冷凍槽52よりも小さくなっている。つまり、被冷凍品48が、ディスク部26とほぼ同一直線上に位置するよう並べられることから、冷凍槽54の奥行が、図5(a)、(b)の例における冷凍槽52よりも小さく設定されている。
【0105】
さらに、図6(a)、(b)の例では、冷凍槽54内の水流は、図5(a)、(b)に示す例と同様に、水平方向に循環する水平流である。また、図6(a)に示すように、3つの被冷凍品48及びディスク部26と、対抗する壁部54cとの間には、仕切り板55が配置され、冷凍槽54の四隅の形状(平面形状)は、R(アール)が形成されて円弧状となっている。そして、冷凍槽54内の水流は、冷凍槽54の隅部におけるR形状や、仕切り板55により円滑に案内されて、冷凍槽54内を水平に循環する。ここで、図6(b)においては、仕切り板55の図示は省略されている。
【0106】
図6(a)、(b)に示すような冷凍槽54を備えた冷凍システムによれば、冷凍槽54を小型化する(奥行の薄型化を図る)ことができ、冷凍システムを更に小型化できるようになる。
【0107】
続いて、図7(a)、(b)は、他の実施形態に係る冷凍槽56を模式的に示している。そして、図7(a)は、冷凍槽56を上方から模式的に示しており、図7(b)は、冷凍槽56を縦断して側方から模式的に示している。ここで、図4(a)、(b)に示す例と同様の部分については同一符号を付し、その説明は適宜省略する。
【0108】
図7(a)、(b)に示す例では、スクリュー部43が、冷凍槽56の長手方向の端部に位置する壁部56a、56bにそれぞれ配置されている。また、図7(a)に示すように、ディスク部26が、冷凍槽56の1つの隅部(図7(a)では左下隅部)に配置され、被冷凍品48が、ディスク部26とほぼ同一直線上に位置するよう、冷凍槽56に浸けられている。さらに、スクリュー部43は、冷凍槽56の長手方向(長さ方向)の端部に配置され、互いにほぼ同一直線上に位置している。また、スクリュー部43は、図7(b)に示すように、高さ方向にずれた(シフトした)位置で、互いに逆向きに配置されている。
【0109】
さらに、図7(a)、(b)の例では、冷凍槽56内の水流は、縦方向に循環する縦流である。また、図7(b)に示すように、冷凍槽56の底部における隅部の形状(側面形状)は、R(アール)が形成されて円弧状となっている。そして、冷凍槽56内の水流は、冷凍槽56の隅部におけるR形状により円滑に案内されて、冷凍槽56内を縦に循環する。
【0110】
図7(a)、(b)に示すような冷凍槽56を備えた冷凍システムによれば、水溶液Wsを縦方向(高さ方向)に循環させることができ、縦型の水溶液循環システムを実現できる。そして、より高さのある被冷凍品48を効率よく冷凍することが可能となる。
【0111】
なお、図示は省略するが、これまでに説明した各冷凍槽12、52、54、56に、水溶液Wsが供給される給水口を設け、この給水口から冷凍槽12、52、54、56内に水溶液Wsを供給してもよい。また、各冷凍槽12、52、54、56に、給水口から水道水を供給し、水道水に食塩等を混ぜて、各冷凍槽12、52、54、56内で水溶液Wsを作成することも可能である。さらに、給水口に、バルブ(流量調整バルブ)を有する蛇口を設けることも可能である。
【0112】
また、図5~7には、水流発生機構を備えた冷凍槽52、54、56を示したが、図1に示す例のように、冷凍槽12には水流発生機構を設けず、水溶液ポンプ13やノズル部41を備えた水流発生機構で水溶液に流れを与えるようにすれば、冷凍槽に水流発生機構を設けるための加工を施す必要がなく、汎用の断熱水槽を冷凍槽として利用することができ、低コストである。しかし、図5~7の例のように、冷凍槽52、54、56に水流発生機構を備えた場合には、水溶液Wsを循環させ易くなる。また、水溶液ポンプ13等による水流発生機構と、冷凍槽52、54、56の水流発生機構とを併用した場合には、水溶液Wsを一層循環させ易くなる。
【0113】
以上説明した各実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。例えば、冷凍システム10について、氷スラリー製造装置11、冷凍槽12、水溶液ポンプ13、及び、ノズル部41等を組み合わせて構成されるものとして説明したが、「氷スラリー製造装置」が、冷凍槽12、水溶液ポンプ13、及び、ノズル部41等を含んで構成されるものとすることも可能である。
【0114】
また、冷凍システムや氷スラリー製造装置は、図8図10に示すようなタイプのものや、図11に示すようなタイプのものとすることが可能である。以下では、図8図10図11に基づき、他のタイプの冷凍システムや氷スラリー製造装置について説明する。なお、図1に示したタイプの冷凍システム10や氷スラリー製造装置11と同様の部分については適宜説明を省略する。また、図1に示したタイプの冷凍システム10や氷スラリー製造装置11と同様の部分について、同一符号を付して適宜説明を省略する。
【0115】
図8図10に示すタイプの冷凍システム110、及び、氷スラリー製造装置111は、タンク(以下では「氷スラリー製造槽」と称する)113を用いるものとなっている。氷スラリー製造槽113は、図8図9に示すように円筒状に形成されており、その内部には、氷スラリーの原液(ブラインとも称する)となる水溶液(符号省略)が貯えられている。氷スラリー製造槽113の側面には、氷スラリー製造装置111や、流れ形成部としての水流発生機構(推進機構)142が、水溶液の漏れがないよう組み付けられている。
【0116】
これらのうち、水流発生機構142は、スクリュー部43を有している。スクリュー部43は、氷スラリー製造槽113の内側に配置されており、氷スラリー製造槽113の外側に配置された回転駆動部144により、軸心回りに回転駆動されるようになっている。さらに、水流発生機構142は、氷スラリー製造槽113に対して斜めに向けられており、図8に符号α1で示す鉛直方向の角度や、図9に符号α2で示す水平方向の角度をもって、氷スラリー製造槽113に固定されている。そして、スクリュー部43は、氷スラリー製造装置111(後述する)に向けられており、回転することによって、氷スラリー製造槽113内に水溶液の流れ(水流)を発生させるようになっている。
【0117】
氷スラリー製造装置111は、図9図10に示すように、冷却部121、回転駆動部122、及び、氷分離部としての掃き取り部123等を備えている。これらのうち、冷却部121や掃き取り部123は、氷スラリー製造槽113の内側に配置されている。また、回転駆動部122は、氷スラリー製造槽113の外側に配置されている。
【0118】
冷却部121は、ディスク部126や冷媒配管128を備えている。ディスク部126や冷媒配管128としては、図1に示す氷スラリー製造装置11の冷却部21と同様のものを採用することが可能である。また、冷媒配管128は、冷凍機(図示略)に接続され、冷凍機から供給された冷媒が流れるようになっているが、冷凍機としては、図1に示す氷スラリー製造装置11と同様に、一般的な種々のものを採用することが可能である。
【0119】
ディスク部126は、ステー141を介して、氷スラリー製造槽113の内側に固定されている。ステー141は、氷スラリー製造槽113に着脱自在に取り付けられたハッチ部143に固定されている。そして、ディスク部126は、ステー141により、ハッチ部143の内周面から離れた位置で支持されている。
【0120】
ここで、ハッチ部143は、図8図10に示すように、氷スラリー製造槽113の一部を構成しており、水溶液の漏れがないようにシールされて、氷スラリー製造槽113に組み付けられている。さらに、図示は省略するが、ハッチ部143は、ロック機構を介して氷スラリー製造槽113に組み付けられている。また、冷媒配管128も、水溶液の漏れがないようにシールされて、ハッチ部143を貫通している。さらに、氷スラリー製造装置111においては、冷却部121、回転駆動部122、及び、掃き取り部123により氷製作部が構成されている。
【0121】
回転駆動部122は、図10に示すように、ハッチ部143の外周側に固定されている。さらに、回転駆動部122には、モータ(バフ駆動モーター)が組み込まれており、モータの回転軸145は、水溶液の漏れがないようシールされて、ハッチ部143を貫通している。そして、回転駆動部122は、氷スラリー製造槽113に貯えられた水溶液の中で掃き取り部123を継続的に回転させることが可能なものとなっている。ここで、回転駆動部122は、モータと減速部(ギヤ部)とを一体に備えたもの(ギヤードモータ)とすることが可能である。
【0122】
掃き取り部123は、回転駆動部122における回転軸145に固定されたバフ133を備えている。バフ133の素材や材質としては、図1に示す氷スラリー製造装置11のバフ33と同様なものを採用することができる。また、バフ133の形状としても、図1に示す氷スラリー製造装置11のバフ33と同様なもの(羽根状など)を採用することが可能である。
【0123】
図8図10に示す例では、図1に示す例と同様に、水溶液中においてディスク部126が、冷凍機(図示略)からの冷媒の冷熱により冷却され、ディスク部126の周辺を流れる水溶液が、ディスク部126により冷却されることとなる。そして、ディスク部126を十分に冷却することにより条件が整えられ、ディスク部26の各板面126a、126b等に氷が析出し、ディスク部126の周囲に微小な氷が付着する。
【0124】
このようにして表出して付着した氷は、図10に矢印A6で示すように、掃き取り部123のバフ133が連続して回転し、付着した氷に衝突することにより、ディスク部126から掃き取られて分離する。ディスク部126が回転していることから、バフ133が一定の場所を断続的に通過することとなり、氷は大きく成長する前にディスク部126から分離されることとなる。
【0125】
ディスク部126の各板面126a、126bから分離した氷はフレークアイスとなり、これらのフレークアイスは、水溶液の流れに巻き込まれて飛ばされ、水溶液に混ざって氷スラリーを形成する。このような氷の付着、氷の掃き取りを、水溶液に流動性を与えながら継続することにより、水溶液中のフレークアイスの量が徐々に増え、氷スラリー製造槽113内に、所定程度の温度(例えば-21℃程度)の氷スラリーが貯えられる。
【0126】
さらに、図示は省略するが、氷スラリー製造槽113は、氷スラリー供給管や氷スラリー戻管を介して、被冷凍品が浸漬される冷凍装置と繋がれており、冷凍装置との間で氷スラリーの供給や回収を行えるようになっている。なお、氷スラリー供給管、氷スラリー戻管、冷凍装置、及び、これらに付帯する機器としては、前掲の特許文献1(特開2019-207046号公報)における氷スラリー供給管(45)、氷スラリー戻管(46)、冷凍装置(6)、及び、これらに付帯する機器と同様のものを採用することが可能である。
【0127】
このような冷凍システム110、及び、氷スラリー製造装置111によれば、小型で簡便な氷スラリー製造装置111により、氷スラリーを製造することが可能となる。また、氷スラリー製造装置111が、着脱自在なハッチ部143に設けられていることから、水溶液を、液面がハッチ部143よりも下がった位置に達する程度まで水溶液を減らし、ハッチ部143を氷スラリー製造槽113から外すことで、氷スラリー製造装置111を容易に洗浄したり、保守したりすることが可能である。
【0128】
なお、ディスク部126を複数枚(例えば2枚、或いは、3枚)並行に(同軸に)配置し、それぞれのディスク部126に対面するバフを設け、これらのバフを回転させるようにしてもよい。このようにすることで、より短時間に多くの氷スラリーを製造することが可能となる。図12には、ディスク部126を2枚並行に(同軸に)配置した例を示している。また、図12では、図示が煩雑になるのを避けるため、内側(図12の上段、氷スラリー製造槽113の中心寄りの段)に配置されたディスク部126に接続された冷媒管等の図示は省略している。
【0129】
さらに、図8図10に示す各例のようにスクリューによって水流を当てるのでなく、ディスク部126とバフ133等を備えた冷却部121を、例えば図13及び図14に示す冷凍システム150のように、冷却部121等を水溶液Wsの水面上に配置して、ポンプ(水溶液ポンプ)151でくみ上げた水溶液Wsをディスク部126の各製氷面(板面126a、126b)に十分な流速で、供給管部152から連続的に供給してもよい。この場合、各製氷面(板面126a、126b)に対して水溶液が十分な(適度な)流速で連続的に供給されれば、ディスク部126を水溶液Ws中に配置する(浸漬する)のと実質的に同じである。このように冷却部121を水溶液Wsの外側に配置した場合、冷却部121が水面上にあるため、冷却部121保守が容易になる。ここで、供給管部152は、図13に符号α3で示す鉛直方向の角度や、図14に符号α4で示す水平方向の角度をもって、氷スラリー製造槽113に固定されている。
【0130】
また、図8図9に示す冷凍システム110について、氷スラリー製造装置111や水流発生機構142等を組み合わせて構成されるものとして説明したが、「氷スラリー製造装置」が、上述の氷スラリー製造装置111や水流発生機構142等を含んで構成されるものとすることも可能である。
【0131】
次に、図11に示す冷凍システム160、及び、氷スラリー製造装置161について説明する。なお、図1に示す冷凍システム10、及び、氷スラリー製造装置11や、図8図10に示す冷凍システム110、及び、氷スラリー製造装置111と同様の部分については、同一符号を付して適宜説明を省略する。
【0132】
図11に示す冷凍システム160の氷スラリー製造装置161は、図8図10の例と同様の冷却部121、回転駆動部122、及び、掃き取り部123を備えている。しかし、図11に示す氷スラリー製造装置161は、ケース162内に冷却部121と掃き取り部123とが収容されている。
【0133】
ケース162は、掃き取り部123よりも幾分大きい程度の外形寸法を有しており、掃き取り部123の周囲に、水溶液を流通させるための空間部163を形成している。また、ケース162には、水溶液入口164と水溶液出口165が形成されている。
【0134】
水溶液入口164には、水溶液ポンプ166と流量調整バルブ167を介してブラインタンク(水溶液タンク)168に繋がっている。そして、流量調整バルブ167を開状態として水溶液ポンプ166を作動させることにより、水溶液タンク168の水溶液が、ケース162内に連続的に供給される。ここで、図11の例では、水溶液ポンプ166が、流れ形成部としての水流発生機構(推進機構)として機能している。
【0135】
ケース162の水溶液出口165は、氷スラリータンク173に繋がっている。水溶液出口165と氷スラリータンク173の間の配管には、温度センサ171やIPF(氷濃度)センサ172が設置されている。
【0136】
このような氷スラリー製造装置161では、図8図10の例と同様に、水溶液中においてディスク部126が、冷凍機(図示略)からの冷媒の冷熱により冷却される、ディスク部126の周辺を流れる水溶液が、ディスク部126により冷却されることとなる。そして、ディスク部126に表出して付着した氷は、図11に矢印A6で示すように、掃き取り部123のバフ133が連続して回転し、付着した氷に衝突することにより、ディスク部126から掃き取られて分離する。
【0137】
ディスク部126から分離した氷はフレークアイスとなり、これらのフレークアイスは、水溶液の流れに巻き込まれて飛ばされ、水溶液に混ざって、ケース162から吐出される。そして、フレークアイスが混ざった水溶液は、氷スラリータンク173に順次送り出され、氷スラリータンク173に貯えられる。
【0138】
氷スラリー製造装置161から送り出された氷スラリーの温度は、温度センサ171を用いて監視される。そして、氷スラリーの温度が所定の温度(例えば-21℃程度)となるように、ディスク部126の温度が調節される。また、氷スラリーの管路中における氷濃度がIPFセンサ172を用いて監視され、氷濃度が所定値を維持するように、流量調整バルブ167が調節される。
【0139】
ここで、上述のような温度管理や氷濃度管理は、作業者が、温度センサ171やIPFセンサ172の出力を目視しながら人手により行ってもよく、或いは、温度センサ171やIPFセンサ172の出力信号を利用した自動制御により行ってもよい。
【0140】
また、図11の例では、ケース162における空間部163の凹陥部で水溶液や氷スラリーの流れが滞らず円滑化されるよう、凹陥部が充填材169により埋められている。充填材169の材質としては、合成樹脂等を採用することが可能である。ここで、図11においては、充填材169には断面であることを示すハッチングが描かれているが、ケース162については、図が煩雑にならないよう、ハッチングの図示は省略されている。
【0141】
このような冷凍システム160、及び、氷スラリー製造装置161によれば、より一層小型な氷スラリー製造装置161により、氷スラリーを製造することが可能となる。また、ケース162のサイズを小型化することで、ケース内における水溶液の流速(バイパス流の流速)を上げることができる。
【0142】
ここで、例えば図15(a)に模式的に示すように、ディスク部126を複数枚(例えば3枚)並行に(同軸に)配置し、それぞれのディスク部126に対面するバフ133を設け、これらのバフを回転させ、水溶液が3枚のディスク部126に並行して均等に流れるように仕切り板154を設けてよい。ここで、図15(a)中の矢印Eは水溶液の流れを示している。また、図15(a)において仕切り板154は、三角形状の断面を有するよう描かれており、水溶液入口164から流入した水溶液を2方向に分流させるものとなっている。
【0143】
また、図15(b)に模式的に示すように、同じくディスク部126を複数枚(例えば3枚)並行に(同軸に)配置し、それぞれのディスク部126に対面するバフ133を設け、これらのバフを回転させるようにして、水溶液が同軸に配置された3枚のディスク部126に順次接しながら直列に流れるように(水溶液がかぎ状に2回折り返して流れるように) 仕切り板156、157を設けてよい。図15(b)において一方の(前段の)仕切り板156は、水溶液入口164から流入した水溶液を案内し、他方の(後段の)仕切り板157は、水溶液出口165へ向かう水溶液を案内するものとなっている。
【0144】
また、図16に模式的に示すように、流れの方向に直列に並んだ3枚のディスク部126に順次接しながら流れるようにしてもよい。図15(a)、(b)や図16に示す例のようにディスク部126を配置することで、より短時間に多くの氷スラリーを製造することが可能となる。また、図15(a)、(b)に示す例のようにディスク部126を配置することで、ディスク部126等の設置面積(投影面積)を抑制してディスク部126等を配置することが可能貯なる。また、図16に示す例のようにディスク部126を配置することで、水流の経路を単純化することが可能となる。
【0145】
なお、図11の冷凍システム160で行っている温度管理や氷濃度管理は、図1の冷凍システム10や、図8図10図13、及び、図14の冷凍システムにおいても適宜採用することが可能である。また、図11の氷スラリー製造装置161におけるケース162の隅部をR(アール)形状として水流を円滑に案内することが可能である。このことは、図15(a)、(b)や図16に示すタイプの氷スラリー製造装置においても同様である。
【0146】
次に、図8図10に示したタイプの冷凍システム110、及び、氷スラリー製造装置111(更には図13及び図14に示す冷凍システム150)に係る変形例について、図17に基づき説明する。なお、図8図10に示したタイプの冷凍システム110や氷スラリー製造装置111と同様の部分については、同一符号を付して適宜説明を省略する。
【0147】
図8図10等に示した例においては、冷却部121のディスク部126が、ハッチ部143の内側に配置されており、冷媒配管128が、ハッチ部143を貫通していた。これに対し図17に示す例では、氷スラリー製造装置181におけるディスク部186が、ハッチ部193に形成された開口部193aに入り込み、ハッチ部193の内側に幾分突出して、開口部193aを塞いでいる。そして、ディスク部186の外側面186bが、開口部193aから、氷スラリー製造槽113の外側に露出している。
【0148】
ディスク部186の周囲は、水溶液の漏れがないよう、液密的にシールされている。シールのための手段としては、シール材の塗布や溶接などといった一般的な手段を採用できる。図17の例では、一部を示すように、シール材194により、ディスク部186の周囲が塞がれている。そして、ディスク部186は、内側面186aのみが、氷スラリー製造槽113の中の水溶液に接するようになっている。
【0149】
また、図17の例では、冷媒配管188が、ディスク部186の外側面186bから、氷スラリー製造槽113の外側に導出されている。さらに、回転駆動部122は、ディスク部186の外側に配置されている。回転駆動部122の回転軸145は、水溶液の漏れがないようシールされて、ディスク部186を水平方向に貫通している。そして、回転駆動部122は、氷スラリー製造槽113に貯えられた水溶液の中で掃き取り部123を継続的に回転させることが可能なものとなっている。
【0150】
掃き取り部123は、ディスク部186の内側に、バフ133を備えている。バフ133は、回転駆動部122の回転軸145に固定されており、ディスク部186の、水溶液が接する内側面186aに付着した氷に衝突して、氷をディスク部186から分離させる。
【0151】
図17の例のような構成を採用することにより、冷媒配管188が水溶液に直接には接触せず、冷媒配管188への氷の付着を防止することが可能となる。
【0152】
次に、図11に示したタイプの冷凍システム160、及び、氷スラリー製造装置161に係る変形例について、図18に基づき説明する。なお、図11に示したタイプの冷凍システム160や氷スラリー製造装置161と同様の部分については、同一符号を付して適宜説明を省略する。
【0153】
図11に示した例においては、冷却部121のディスク部126が、ケース162の内側に収まっており、冷媒配管128がケース162を貫通していた。これに対し図18に示す例では、氷スラリー製造装置201におけるディスク部206の端部207が、ケース212から突出しており、冷媒配管218が、このディスク部196の端部207から外側に導出されている。
【0154】
ケース212には、複数の塩水入口用配管(水溶液入口用配管)219aや、同じく複数の塩水出口用配管(水溶液出口用配管)219bが接続されており、塩水入口用配管219aを介して塩水がケース212の中の空間部163に導入される。ケース212の中の空間部163に導入された塩水(水溶液)は、ディスク部206の板面206a、206bに接し、ディスク部206により冷却される。
【0155】
ディスク部206の板面206a、206bに表出して付着した氷は、回転するバフ133によりディスク部206から掃き取られて分離する。そして、ディスク部206から分離した氷はフレークアイスとなり、これらのフレークアイスは、塩水に混ざり、塩水出口用配管219bを介してケース212から吐出される。
【0156】
バフ133を回転させる回転駆動部122は、ケース212の上部に配置されており、回転駆動部122の回転軸145が、ケース212に下向きに差し込まれている。そして、回転軸145とケース212との間は、塩水の漏れがないようシールされている。
【0157】
図18の例のような構成を採用することにより、冷媒配管218が塩水に直接には接触しないこととなり、冷媒配管218への氷の付着を防止することが可能となる。また、図18の例においては、回転駆動部122の回転軸145が、ケース212に下向きに差し込まれていることから、ケース212の、回転軸145を通す穴(符号省略)が上向きに開口することとなり、ケース212からの塩水の漏れが生じ難い。
【符号の説明】
【0158】
10、110、160…冷凍システム、11、111、161…氷スラリー製造装置、12、52、54、56…冷凍槽、13、166…水溶液ポンプ(流れ形成部)、14…冷凍機、15…フレークアイス作成部(氷製作部)、16…冷媒案内部、17…フレーム部(保持部)、22、122…回転駆動部、23、123…掃き取り部、26、126…ディスク部(製氷プレート)、26a、26b、126a、126b…板面(製氷面)、33…バフ(分離部)、38…金属板(分離部)、41…ノズル部(流れ形成部)、142…水流発生機構(流れ形成部)、Ws…水溶液(ブライン)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18