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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108739
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】ウェブ移送制御装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/038 20060101AFI20220719BHJP
【FI】
B65H23/038
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003531
(22)【出願日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】21151278
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】522016682
【氏名又は名称】ベーエステー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】BST GmbH
【住所又は居所原語表記】Remusweg 1, 33729 Bielefeld, Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ プリムス
(72)【発明者】
【氏名】ロビン ローレンツ
(72)【発明者】
【氏名】ヨルゲン シューマッハ
【テーマコード(参考)】
3F104
【Fターム(参考)】
3F104AA08
3F104CA05
3F104CA27
3F104CA36
3F104GA02
(57)【要約】
【課題】必要なスペースを削減したウェブ移送制御装置を提供する。
【解決手段】回転フレームユニットEは、それぞれの搬入ローラー14及び搬出ローラー16の間に延在する複数のウェブBのウェブ区画bが互いに平行になるように、互いが入れ子構造(嵌め合い構造)になっている。隣接する2つのウェブ区画bの間の間隔は、当該ウェブ区画bが延在する搬入ローラー14及び搬出ローラー16の直径の合計以下である。また、複数の回転フレームユニットEの搬入ローラー14は、ウェブ区画bに平行な方向おいて、互いにオフセットされている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転フレームユニット(E1、E2)及びウェブガイドシステム(U、V)を備え、
前記複数の回転フレームユニット(E1、E2)は、それぞれが、支持体フレーム(10)及び回転フレーム(12)を備え、
前記回転フレーム(12)は、前記支持体フレーム(10)と平行であり、制御される材料ウェブ(B)のための搬入ローラー(14)及び搬出ローラー(16)を備え、ベアリングによって前記支持体フレーム(10)上で枢動可能に支持され、
前記ウェブガイドシステム(U、V)は、複数の前記材料ウェブ(B)のそれぞれが前記搬入ローラー(14)の1つに供給され、そこで方向が変えられ、前記搬出ローラー(16)で再び方向が変えられるように配置され、
前記回転フレームユニット(E1、E2)は、前記搬入ローラー(14)及び前記搬出ローラー(16)の間にそれぞれ延在する複数の前記材料ウェブ(B)のウェブ区画(b)が互いに平行になるように、互いが入れ子構造になっており、
隣接する2つの前記ウェブ区画(b)の間の間隔は、間に前記ウェブ区画(b)が延在する前記搬入ローラー(14)及び前記搬出ローラー(16)の直径の合計以下であり、
前記複数の回転フレームユニット(E1、E2)の前記搬入ローラー(14)は、前記ウェブ区画(b)に平行な方向おいて、互いにオフセットされた、ウェブ移送制御装置。
【請求項2】
前記材料ウェブ(B)の方向が、前記搬入ローラー(14)で90°傾けられる、請求項1に記載のウェブ移送制御装置。
【請求項3】
前記複数の回転フレームユニット(E1、E2)及び前記ウェブガイドシステム(U、V)は、Z字型の経路用に構成されている、請求項1又は2に記載のウェブ移送制御装置。
【請求項4】
前記複数の回転フレームユニット(E1、E2)が同じ寸法を有する、請求項3に記載のウェブ移送制御装置。
【請求項5】
前記複数の回転フレームユニット(E1、E2)及び前記ウェブガイドシステム(U、V)は、U字型の経路用に構成され、
前記U字型の経路が前記入れ子構造になっており、
前記搬入ローラー(14)と前記搬出ローラー(16)の間の前記間隔が、外側に向かって大きくなっている、請求項1に記載のウェブ移送制御装置。
【請求項6】
前記複数の回転フレームユニット(E1、E2)の全ての前記搬入ローラー(14)及び前記搬出ローラー(16)が同じ直径を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のウェブ移送制御装置。
【請求項7】
前記材料ウェブ(B)の方向が、前記搬出ローラー(16)のそれぞれで90°傾けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載のウェブ移送制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の回転フレームユニットを有するウェブ移送制御装置に関するものである。複数の回転フレームユニットは、それぞれが、支持体フレーム及び回転フレームを備える。回転フレームは、支持体フレームと平行であり、制御される材料ウェブのための搬入ローラー及び搬出ローラーを備え、ベアリングによって支持体フレーム上で枢動可能に支持される。ウェブ移送制御装置は、ウェブガイドシステムをさらに備える。ウェブガイドシステムは、複数の材料ウェブのそれぞれが搬入ローラーの1つに供給され、そこで方向(走行方向)が変えられ、そして、搬出ローラーで再び方向(走行方向)が変えられるように配置されている。
【背景技術】
【0002】
たとえば、タイヤのカーカス用の複合ウェブの製造など、走行する材料ウェブを処理する場合に、複数の材料ウェブを横方向に正しく整列させなければならないことがよくある。ウェブが走行方向を横切る方向に移動するのを防ぐように、各ウェブの動きを操縦又はフィードバック制御する必要がある。そのために、ウェブは、搬入ローラー及び搬出ローラーのそれぞれで、走行方向がたとえば90°傾くように、回転フレームユニットに通される。走行方向が所望の方向から逸れた場合は、搬入ローラー及び搬出ローラーを支持する回転フレームが、支持体フレームに対して回転し、搬入ローラー及び搬出ローラーが他の姿勢を取り、ウェブを所望の方向に戻す。
【0003】
従来の回転フレーム構造のほとんどでは、搬入ローラー及び搬出ローラーは、それらの軸が平行になるように、回転フレームと平行であるが、ローラーが自由に回転できるように回転フレームの平面からオフセットされた平面に取り付けられる。回転フレームと支持体フレームはほぼ合同であり、互いにオフセットされた平面に配置されているため、互いに対して回転させることができる。したがって、全体として、回転フレーム構造は3層設計になっている。このような配置の例は、US2003/213867A1に開示されている。
【0004】
回転フレームが支持体フレームに対して回転する回転中心は、理想的には、ウェブ移送制御装置に流入するウェブの中心に配置されるべきである。これにより、回転軸は、回転フレームの平面に直交し、搬出ローラーの外側の頂点に対して接線方向に存在することになる。このようにして、回転フレームが回転することで、流入するウェブはほとんど同じ状態を保ったまま、流出するウェブを所望の方向に移動することができる。
【0005】
仮想回転中心を有するベアリングには、回転軸の理想的な位置に存在する流入ウェブと衝突する可能性のある機械的軸又はベアリング要素がなくても、回転軸の理想的な位置を実現できるという利点がある。ベアリングの構造は、ウェブの張力によって引き起こされ、回転フレームを支持体フレームから引き離す傾向がある力に耐えるのに十分安定している必要がある。
【0006】
DE202017100819U1は、特に低い構造高さを有する点で優れている回転フレーム構造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US2003/213867A1
【特許文献2】DE202017100819U1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、必要なスペースを削減したウェブ移送制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、上記目的を達成するために、回転フレームユニットは、搬入ローラー及び搬出ローラーの間にそれぞれ延在する複数のウェブのウェブ区画が互いに平行になるように、互いが入れ子構造(嵌め合い構造)になっている。隣接する2つのウェブ区画の間の間隔は、間に当該ウェブ区画が延在する搬入ローラー及び搬出ローラーの直径の合計以下である。また、複数の回転フレームユニットの搬入ローラーは、ウェブ区画に平行な方向おいて、互いにオフセットされている。
【0010】
本発明の有用な実施形態は、従属項に示されている。
【0011】
全ての回転フレームユニットの搬入ローラー及び搬出ローラーが同じ直径を有する場合は、平行なウェブ区画の間の間隔は、当該直径の2倍より小さくなる。Z字型の経路の場合は、回転フレームユニットは、側面視した場合に、ほぼL字型の全体構成を有し、L字の短い方の脚の長さは、ローラーの直径の2倍と等しくなる。また、回転フレームユニットは、フレームの平面に垂直な方向においても重なり合うように、入れ子構造になっている。
【0012】
一の実施形態では、すべての回転フレームユニットは、同じ寸法を有する。これにより、効率的な生産が可能になるだけでなく、搬出ローラーも、ウェブ区画の走行方向において互いにオフセットされるという利点が得られる。また、搬入ローラーのオフセットにより、搬入ローラーにおいてもウェブの方向(走行方向)を90°変えることができる。
【0013】
他の実施形態では、ウェブガイドシステムは、U字型の経路用に構成される。この場合、搬入ローラーと搬出ローラーとの間の間隔は、回転フレームユニットごとに異なり、U字型のウェブの経路が、互いに入れ子構造になっている。
【発明の効果】
【0014】
回転フレームユニットの入れ子配置と、フレームの平面に垂直な方向におけるユニット間の小さな間隔とにより、ウェブ移送制御システム全体の設計を、非常にコンパクトなものにすることができる。これは、必要な設置スペースの削減だけでなく、ウェブの移動経路の短縮にもつながる。これにより、より安定したウェブの移送と、ウェブガイドシステムの簡素化された設計を実現できる。また、搬入ローラーを互いにオフセットさせるため、それぞれの搬入ローラーで、ウェブの走行方向を90°変えることができる。さらに、回転フレームの仮想回転中心が搬入ローラーの外側の頂点にある場合に、回転フレームの回転軸は、ウェブの流入する部分の中心と一致する。そのため、回転フレームが回転すると、ウェブの流入する部分がねじれを受けるだけであり、ウェブの張力は、ウェブの幅全体にわたって本質的に均一のままである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係るウェブ移送制御装置の概略図である。
図2】回転フレーム構造の概略を示す平面図である。
図3】わずかに回転した回転フレームを備えた回転フレーム構造を示す平面図である。
図4図2の矢印IV-IVの方向から見た回転フレーム構造の図である。
図5図2の矢印V-Vの方向から見た回転フレーム構造の拡大側面図である。
図6】他の実施形態に係るウェブ移送制御装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態の例を図面とともに説明する。
【0017】
図1は、4つの回転フレームユニットEを有する本発明に係るウェブ移送制御装置の設計を概略的に示す概略図である。4つの回転フレームユニットは全て、同じ寸法とL字型の全体構成を有しており、それにより、4つの材料ウェブBのZ字型の経路用に設計されている。回転フレームユニットEは、それぞれ、固定された支持体フレーム10と、支持体フレーム10に対して枢動可能な回転フレーム12とを有する。搬入ローラー14及び搬出ローラー16は、各回転フレーム12において回転可能に支持されている。ウェブガイドシステムは、2組の偏向ローラーU、Vによって形成されている。本実施形態では、ウェブBは、搬入ローラー14で、垂直方向から水平方向に90°走行方向を変えられ、搬出ローラー16で、再び走行方向を90変えられるように、偏向ローラー上に伸ばされている。ウェブは、下流の偏向ローラーVから、一対のローラーRで一つにまとまる。ウェブは、一対のローラーRのニップで互いに統合及び積層され、それらが一緒になって複合ウェブB’を形成する。
【0018】
搬出ローラー16と、下流の偏向ローラーVとの間の垂直な部分において、各ウェブの横方向の位置は、カメラKによって検出される。これらの位置データに基づいて、回転フレーム12の回転運動は、各ウェブの横方向の位置がそれぞれの目標値に調整されるように制御される。そのため、ウェブは、正しい位置レジスタで積層される。
【0019】
4つの回転フレームユニットEの支持体フレーム10の平面は、全て、互いに平行である。搬入ローラー14と搬出ローラー16との間で、各ウェブBは、フレームの平面に平行なウェブ区画bを形成する。したがって、4つのウェブ区画bは、全て互いに平行である。
【0020】
図1に示されている例では、4つの回転フレームユニットの搬入ローラー14及び搬出ローラー16は、全て、等しい直径を有する。この例では、フレームの平面に垂直な方向において測定された、隣接する2つのウェブ区画bの間の間隔は、搬入ローラー14及び搬出ローラー16の直径の1.5倍でしかない。そのため、各回転フレームユニット(最上段のものは除く)の搬入ローラー14は、次に高さの高い回転フレームユニットの搬出ローラー16と、高さ方向において重なり合っている。このようにして、L字型回転フレームユニットEは、互いにコンパクトな入れ子構造をとることができる。
【0021】
次に、個々の回転フレームユニットEの可能な設計の例を、図2~5に参照して説明する。
【0022】
図2は、回転フレームユニットEの1つを示す平面図である。図2には、支持体フレーム10及び回転フレーム12が示されている。回転フレーム12は、仮想回転中心Pを中心として、支持体フレームに対して枢動可能である。図3は、回転フレーム12をわずかに回転させた回転フレーム構造を示す平面図である。区別しやすいように、(固定された)支持体フレーム10に属するすべての部品は、回転フレーム12とともに移動可能な部品よりも太い線で示されている。
【0023】
搬入ローラー14及び搬出ローラー16は、回転フレーム12内で回転可能に支持されている。回転フレーム構造によって動きが制御される材料ウェブ(図示せず)は、搬入ローラー及び搬出ローラーに通される。材料ウェブは、たとえば、図1に示すZ字型のスレッド(経路)で走行する。図1の場合は、搬入ローラー14まで下向き(図1の紙面の手前から奥側に向かう方向)に走行し、そこで走行方向が水平方向に変えられ、搬出ローラー16に送られる。そして、搬出ローラー16で走行方向が変えられ、その後再び下向きに移動する。
【0024】
支持体フレーム10は、水平なベースプレート18を有する。ベースプレート18の大部分は、図2において、回転フレーム12によって隠されているので、ベースプレート18の左側の端のみが見える。図2の右側では、ベースプレート18は、レバー20を形成している。レバー20は、回転フレーム12の横方向の端を越えて突出し、関節式の線形駆動装置22を介して、回転フレーム12のブラケット又はレバー24と連結されている。線形駆動装置22がレバー20及び24を一緒に引くと、回転フレーム12は、図3に示される回転中心Pを通る垂直の回転軸を中心に回転する。当該回転軸は搬入ローラー14の接線を形成するので、回転フレーム12が回転されたとしても、搬入ローラー14と、これに流入する材料ウェブは横方向に移動しない。これに対して、搬出ローラー16及び流出する材料ウェブは、横方向に移動される。
【0025】
回転フレーム12は、樋形で下向きに開いたケーシング26を形成する。ケーシング26の上部壁は、カムプレート30を保持するための横桟(クロスバー)28を形成する。カムプレート30は、ケーシング26の内部に格納され、壁部材32によって横桟28に連結されている。壁部材32は、平面視した場合に台形の形状を有する。
【0026】
カムプレート30の縁は、図2の下側に示す、円弧状に成形された2つの制御曲線34を形成する。また、カムプレート30の縁は、図2に上側に示す、円弧状に成形された別の制御曲線36を形成する。制御曲線34及び36は、仮想回転中心Pを中心としている。制御曲線34、36の曲率をより明確に示すために、図2では、円弧部分を延長して実線で示している。制御曲線34、36のそれぞれに関連付けられているのは、従動ロール38である。従動ロール38は、垂直軸を中心として回転可能であるように、支持体フレーム10上に支持されている。3つの従動ロール38は、実質的な遊びなしでカムプレート30の端と係合している。そのため、カムプレート30と、これとともに回転する回転フレーム12の全体は、支持体フレーム10に対して、仮想回転中心Pを中心とした円運動しか行うことできない。
【0027】
ベースプレート18から垂直に突き出ており、それぞれが支持ローラー42を支持する4つのブラケット40が、支持体フレーム10に溶接されている。4つの支持ローラー42のうちの2つは、図4に示す溝孔(スロット)44に収容されている。溝孔44は、平面視した場合に台形の壁部材32の脚において水平に延在する。壁部材32の脚は、仮想回転中心Pが中心の円の円弧に対して接線方向に延在するように角度が付けられている。たとえば重さのような下向きの力が回転フレーム12に作用すると、壁部材32、さらには回転フレーム12全体が支持ローラー42上に支持されるように、溝孔44の上端が支持ローラー42に押し付けられる。回転フレーム12を回転させると、支持ローラー42が溝孔44に対して相対的に動き、支持ローラー42は溝孔44の上端に沿って回転する。
【0028】
回転フレーム12が上向きの力を受ける場合は、支持ローラー42は、溝孔44の下端に対して押し付けられる。この場合に、支持ローラー42を回転させると、支持ローラー42は溝孔44の下端に沿って回転する。溝孔44内の支持ローラー42の遊びは、支持ローラー42が低い摩擦で動くことができる大きさであるが、壁部材32に対する支持ローラー42の垂直方向の動きが、遊びによって規定される許容範囲内にとどまるものとする。
【0029】
回転フレーム12のケーシング26は、別の壁部材46を収容する。壁部材46は、平面視した場合に台形の形状を有し、横桟28の下側に固定されている。また、壁部材46の角度の付いた脚には溝孔が形成されている。4つの支持ローラー42のうちの2つは、壁部材46の溝孔48に収容されている。また、壁部材46の脚は、仮想回転中心Pを中心とする円の円弧に対して接線方向に延在するように角度が付けられている。したがって、壁部材46は、壁部材32と同様に、支持ローラー42によって小さな遊びで誘導され、支持されている。全体として、溝孔44、48内の支持ローラー42の係合により、支持体フレーム10と、支持体フレーム10に対して垂直方向に動くことを防がれた回転フレーム12とは、正確に平行に配置されている。
【0030】
引張ばね52の一端のホルダー50は、支持体フレーム10のベースプレート18及びベースプレート18によって形成されたレバー20に取り付けられている。張力ばね52の他端は、回転フレーム12のレバー24に固定されている。これにより、レバー20及び24を一緒に引き寄せ、回転フレーム12を支持体フレーム10に対して反時計回りに回転させることができる、永久的な張力が生成される。しかしながら、線形駆動装置22は、少なくともその長さが減少する方向で自己停止する。そのため、引張ばね52によって加えられるトルクは、実際には回転フレーム12の回転を引き起こさない。しかしながら、引張ばね52によって引き起こされる弾性の片寄りは、制御曲線34、36及び従動ロール38によって形成されるベアリングの遊びを排除するという効果を有する。これは、線形駆動装置22及びレバー20、24とのその関節式ジョイントにおける遊びについても同様である。
【0031】
ウェブ移送制御装置が作動しているとき、材料ウェブの横方向の位置はセンサーによって検出される。また、線形駆動装置22は、材料ウェブの位置が目標値に調整されるように、制御装置によって制御される。このフィードバック制御処理において、線形駆動装置22は、回転フレーム12を一方向または他の方向に回転させるために、交互に伸長および収縮される。引張ばね52は、この制御処理でヒステリシスが発生しないことを保証する。引張ばね52は、遊びによって規定される移動範囲の制限と同じ、一定の遊びが生じ得るシステムの全ての構成要素を常に保持しているからである。
【0032】
図4は、回転フレーム構造の正面図である。支持体フレーム10のベースプレート18に溶接されているのは、従動ロール38が回転可能に支持されている支持プレート54である。
【0033】
支持ローラー42のブラケット40も支持プレート54に溶接されている。ブラケット40の正確な位置決め及び確実な固定を確かにするため、ブラケット40は、支持プレート54に面する縁に留めくぎ(ペグ)で形成される。留めくぎは図示されていないが、支持プレート54の対応する留めくぎ穴に係合している。
【0034】
図4では、壁部材46は、その前に配置された壁部材32によって大部分が隠されている。そのため、下向きに突き出たスタッド66だけが見えている。これらのスタッド66は、カムプレート30の留めくぎ穴70に係合する留めくぎ68とともに、壁部材46の下端に形成されている。カムプレート30は留めくぎ68に溶接され、それによって回転フレーム12内のその位置に固定される。さらなる安定化のために、カムプレート30は、両端に突起72を有し、これらの突起は、ケーシング26の側壁74の対応する窪みと嵌合する。
【0035】
図5は、回転フレーム構造を示す側面図である。支持体フレーム10のうち、ベースプレート18のみが表示されている。回転フレーム12のケーシング26の側壁74は、両端が延長されて、搬入ローラー14及び搬出ローラー16のためのベアリングブラケット76を形成する。これらのベアリングブラケット76は、材料ウェブの所望の種類の経路に応じて、異なる形状を有することができる。図5には、Z字型の経路の構成を示す。ベアリングブラケット76と搬入ローラー14がない場合は、回転フレーム構造の全体の構造の高さは、搬入ローラー14及び搬出ローラー16の直径よりもわずかに大きいだけである。さらに、図5には、側壁74を貫通するカムプレートの突起72の1つを示す。
【0036】
ウェブ移送制御装置の他の可能な実施形態を、図6に示す。図6のウェブ移送制御装置は、入れ子構造になったU字型のスレッド(経路)用に構成された2つの回転フレームユニットE1及びE2を有する。搬入ローラー14と搬出ローラー16との間の水平なウェブ区画bは平行に伸びており、図1に示す間隔と同じ間隔を有する。2つの回転フレームユニットE1、E2の搬入ローラー14は、偏向ローラーUで走行方向が変えられる、流入するウェブ部分が、垂直方向に、そして互いに平行に延在できる範囲内で、ウェブ区画bの走行方向にオフセットされている。
【0037】
また、図6に示す例では、搬出ローラー16は、偏向ローラーVへ送られる、流出するウェブ部分が垂直方向に、そして互いに平行に延在することができるように、互いにオフセットされている。図6に示す例では、ウェブBが2つしかないので、位置検出用のカメラKをウェブの反対側に配置することができる。そのため、流出するウェブ部分の間の間隔を非常に狭く保つことができる。
【0038】
また他の実施形態では、搬出ローラー16を、上下方向に垂直に配置してもよい。また、偏向ローラーVを、流出するウェブ部分が垂直方向に対してわずかに傾き、それにより異なる平面にあるように配置してもよい。
【符号の説明】
【0039】
10…支持体フレーム
12…回転フレーム
14…搬入ローラー
16…搬出ローラー
18…ベースプレート
20…レバー
22…線形駆動装置
24…レバー
26…ケーシング
28…横桟
30…カムプレート
32…壁部材
34…制御曲線
36…制御曲線
38…従動ロール
40…ブラケット
42…支持ローラー
44…溝孔
46…壁部材
48…溝孔
50…ホルダー
54…支持プレート
66…スタッド
68…留めくぎ
70…留めくぎ穴
72…突起
74…側壁
76…ベアリングブラケット
b…ウェブ区画
B…ウェブ
B’…複合ウェブ
E、E1、E2…回転フレームユニット
K…カメラ
P…仮想回転中心
R…ローラー
U、V…ウェブガイドシステム、偏向ローラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6