IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ユタックスの特許一覧

<>
  • 特開-マスクおよびマスクの製造方法 図1
  • 特開-マスクおよびマスクの製造方法 図2
  • 特開-マスクおよびマスクの製造方法 図3
  • 特開-マスクおよびマスクの製造方法 図4
  • 特開-マスクおよびマスクの製造方法 図5
  • 特開-マスクおよびマスクの製造方法 図6
  • 特開-マスクおよびマスクの製造方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022010874
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】マスクおよびマスクの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A41D13/11 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111648
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000138554
【氏名又は名称】株式会社ユタックス
(74)【代理人】
【識別番号】100123021
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 元幸
(72)【発明者】
【氏名】宇高 章平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 洋文
(57)【要約】
【課題】 着用時に口元の空間を一定の状態に安定して確保し、快適に着用することができるマスクを提供する。
【解決手段】 着用者の口及び鼻孔を覆うマスク本体部と、マスク本体部の左右にそれぞれ着用者の耳を掛けるための耳掛け部とを備えたマスク1であって、マスク本体部は、2枚の生地2が幅方向中心部において接合されて構成されており、この2枚の生地の接合部分である中央部3に、可撓性を有する棒状の芯材4が配置されていることを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の口及び鼻孔を覆うマスク本体部と、マスク本体部の左右にそれぞれ着用者の耳を掛けるための耳掛け部とを備えたマスクであって、
マスク本体部の幅方向中心部に可撓性を有する棒状又は平板状の芯材が配置されている
ことを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記芯材は、マスク本体部の外縁の形状に沿うように曲げて配置されている
ことを特徴とする請求項1記載のマスク。
【請求項3】
前記芯材は、合成樹脂製又は金属製である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のマスク。
【請求項4】
前記マスク本体部は、合成繊維により構成されている
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項5】
前記マスク本体部は、2枚の生地が幅方向中心部において接合されて構成されており、
前記芯材は、2枚の生地の接合部分に配置されている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項6】
前記マスク本体部は、マスク本体部の幅方向中心部に筒状の袋部が形成されており、
前記芯材が前記袋部に挿入可能になっている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項7】
口及び鼻孔を覆うマスク本体部と、マスク本体部の左右に設けられた耳掛け部分とを備えるマスクの製造方法であって、
マスク本体部を構成する2枚の生地のうち一方の生地の、マスク本体部の幅方向の中心部となる位置に接着剤を塗布し、当該一方の生地と可撓性を有する棒状の芯材とを接着する芯材接着工程と、
他方の生地の、マスク本体部の幅方向の中心部となる位置に接着剤を塗布し、2枚の生地を重ね合わせ、熱プレスを行いマスク本体部を作成するマスク本体部作成工程とを含み、
前記芯材接着工程において、マスク本体部の中心部の外縁の形状に沿うように芯材を撓ませて、当該一方の生地と可撓性を有する棒状の芯材とを接着する
ことを特徴とするマスクの製造方法。
【請求項8】
口及び鼻孔を覆うマスク本体部と、マスク本体部の左右に設けられた耳掛け部分とを備えるマスクの製造方法であって、
マスク本体部を構成する2枚の生地を、マスク本体部の幅方向の中心部で繋ぎ合わせてマスク本体部を作成するマスク本体部作成工程と、
左右2枚の生地が繋ぎ合わされたマスク本体部の幅方向の中心部の内側に、可撓性を有する平板状の芯材を配置し、当該芯材を左右2枚の両生地にまたがるように縫製により生地に芯材を縫い付ける芯材縫着工程とを含み、
前記芯材縫着工程において、マスク本体部の中心部の形状に沿うように芯材を撓ませて、当該生地に可撓性を有する平板状の芯材を縫着する
ことを特徴とするマスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、快適に着用することができるマスクおよびマスクの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、花粉やほこりの侵入を防ぐため、鼻や口を覆うマスクが使用されている。マスクは、鼻と口を覆う本体部分と耳掛け部分とを有している。衛生的な観点から使い捨てマスクが一般的に認知されているが、洗濯することで繰り返し使用が可能なマスクも提案されている。
【0003】
マスク本体を構成する生地としては不織布を用いることがあるが、不織布の伸長性は低いため、マスクの着用時に着用者の鼻の形状にそぐわず、マスクと肌との間に隙間が発生してしまう。その対策として、容易に塑性変形を起こす材料を芯材として構成されたマスクがある。マスクを着用した時に、鼻の凹凸に沿うように芯材を塑性変形させて調整することで、マスクと肌との間の隙間を少なくして、マスクの密着性を高められるようになっている。
【0004】
その他、マスクの鼻と口とを覆う本体部分が襞状(プリーツ状)になっているマスクや、鼻と口とを覆う本体部分を左右2枚の布から構成し、鼻と口とを結ぶ縦のラインに合うように左右2枚の生地を縫製や接着でつなぎ合わせたマスクも提案されている。これらのマスクは、鼻と口の部分に空間が形成されて呼吸が行いやすくなるという特徴を有している。
【0005】
上記従来の一般的なマスクは、口元付近とマスク本体部分との距離が近く、マスクを着用した状態で呼吸するとマスク本体が口元に吸い寄せられる。襞状(プリーツ状)のマスクや2枚の生地を中心部でつなぎ合わせたマスクは、口元に空間が形成されているものの、繰り返し使用した後ではマスク本体の強度が低下するため、同様にマスク本体が口元に吸い寄せられてしまう。寒い時期であればマスクが口についてもすぐに離れるが、暑い時期、特に夏場になると汗や湿気を生地が吸い込み、生地が口にまとわりつくため、息苦しくなるという問題があった。
【0006】
そのような問題を解決するために、本体部分に芯材を用いたマスクが開示されている(例えば、特許文献1や特許文献2参照。)。これらのマスクは1つの生地から構成され、マスク本体部分に、接着剤からなる非伸縮性の芯材や硬質プラスチックの芯材を用いており、マスク本体に芯材を有することで、マスク本体の強度が上がり、鼻と口の部分の空間を保持する効果が高くなるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8-308946号公報
【特許文献2】実用新案登録第3145026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1のマスクは本体部分が1枚の生地から構成されており、広く空間を作るには芯材が前後方向に曲がるようにマスクを左右に引っ張る必要があるところ、マスク着用時には、鼻を頂点として斜め後方に引っ張らなければならず、芯材を十分に曲げることができず、口元の空間が狭いままになるという問題がある。
【0009】
また、上記特許文献2のマスクでは、襞(プリーツ)部分に硬質プラスチックの芯材を設けており、マスク本体の強度は高くなっているが、マスク着用時には、プリーツ部分を広げて空間を構成しているため、硬質プラスチックで構成されている芯材を、曲げるだけの力を発生させることはできない。たとえ発生させることができたとしても、マスク本体と芯材は平面で構成されているため、マスク着用時に左右へ引っ張る力が強い場合はマスク本体部の中央部が顔へ近づき、空間が狭くなると同時に芯材も顔に当たるため煩わしさを感じさせるという問題がある。
【0010】
一方、空間を構成するために左右へ引っ張る力を抑えた場合はマスク着用時の密着性が低下するため、襞(プリーツ)部分に芯材を入れていても、呼吸時にマスク本体部分が口元に吸い付いて快適性が低いという問題がある。
【0011】
他にも、使用する芯材が座屈しやすい材質の場合では、手で押さえたときや息を吸ったときにマスク本体がつぶれてしまい、口周りの空間を一定の状態に安定して確保することができないという問題がある。
【0012】
さらに、人の顔は千差万別であるので、柔軟性がある芯材であれば、鼻頭から顎にかけてきれいな曲線を描くことができるが、柔軟性があっても座屈しやすい芯材の場合は、鼻頭のところや顎で、曲がってしまう可能性があり、外観が損なわれることがある。その他、芯材を取り付ける場合には、芯材をマスクの口から鼻のラインに沿った曲線状に加工する工程や各サイズに合わせる工程が必要となりコストや手間がかかるという問題がある。
【0013】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、着用時に口元の空間を一定の状態に安定して確保し、快適に着用することができるマスクを提供することを目的とする。また、そのようなマスクの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明に係るマスクは、着用者の口及び鼻孔を覆うマスク本体部と、マスク本体部の左右にそれぞれ着用者の耳を掛けるための耳掛け部とを備えたマスクであって、マスク本体部の幅方向中心部に可撓性を有する棒状又は平板状の芯材が配置されていることを特徴とする。
【0015】
ここで、前記芯材は、マスク本体部の外縁の形状に沿うように曲げて配置されているのが好ましい。
【0016】
また、前記芯材は、合成樹脂製又は金属製であるのが好ましく、前記マスク本体部は、合成繊維により構成されているのが好ましい。
【0017】
さらに、前記マスク本体部は、2枚の生地が幅方向中心部において接合されて構成されており、前記芯材は、2枚の生地の接合部分に配置されているのが好ましい。
【0018】
また、前記マスク本体部は、マスク本体部の幅方向中心部に筒状の袋部が形成されており、前記芯材が前記袋部に挿入可能になっていると構成してもよい。
【0019】
また、本発明に係るマスクの製造方法は、口及び鼻孔を覆うマスク本体部と、マスク本体部の左右に設けられた耳掛け部分とを備えるマスクの製造方法であって、マスク本体部を構成する2枚の生地のうち一方の生地の、マスク本体部の幅方向の中心部となる位置に接着剤を塗布し、当該一方の生地と可撓性を有する棒状の芯材とを接着する芯材接着工程と、他方の生地の、マスク本体部の幅方向の中心部となる位置に接着剤を塗布し、2枚の生地を重ね合わせ、熱プレスを行いマスク本体部を作成するマスク本体部作成工程とを含み、前記芯材接着工程において、マスク本体部の中心部の外縁の形状に沿うように芯材を撓ませて、当該一方の生地と可撓性を有する棒状の芯材とを接着することを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係るマスクの製造方法は、次のように構成してもよい。
【0021】
すなわち、口及び鼻孔を覆うマスク本体部と、マスク本体部の左右に設けられた耳掛け部分とを備えるマスクの製造方法であって、マスク本体部を構成する2枚の生地を、マスク本体部の幅方向の中心部で繋ぎ合わせてマスク本体部を作成するマスク本体部作成工程と、左右2枚の生地が繋ぎ合わされたマスク本体部の幅方向の中心部の内側に、可撓性を有する平板状の芯材を配置し、当該芯材を左右2枚の両生地にまたがるように縫製により生地に芯材を縫い付ける芯材縫着工程とを含み、前記芯材縫着工程において、マスク本体部の中心部の形状に沿うように芯材を撓ませて、当該生地に可撓性を有する平板状の芯材を縫着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るマスクによれば、マスクの形状が崩れにくくなり、着用時に口元の空間を一定の状態に安定して確保するので、快適に着用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係るマスクの第一実施例を示す斜視図である。
図2】第一実施例の右側面図である。
図3】第一実施例の中央部分の断面を模式的に示す図である。
図4】本発明に係るマスクの第二実施例の背面図である。
図5】第ニ実施例の中央部分の断面を模式的に示す図である。
図6】本発明に係るマスクの第三実施例を示す斜視図である。
図7】第三実施例の中央部分の断面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るマスクについて、実施の形態に基づいて説明する。
【0025】
図1から図3は本発明に係る第一実施例のマスクを示す図であり、図1は斜視図、図2は右側面図、図3は中央部分の断面を模式的に示す図である。
【0026】
第一実施例のマスク1は、鼻と口を覆うマスクの本体部が2枚の生地2で構成されている。マスク本体部となる2枚の生地2は左右対称の形状となるように裁断されており、左右の2枚の生地2の左右端には着用時に着用者の耳に引っ掛けるための耳掛け部がそれぞれ形成されている。この左右の2枚の生地2はマスク1の幅方向(左右)の中心部3においてつなぎ合わされている。
【0027】
マスク本体部を構成する生地2は、合成繊維を材料とした生地が用いられており、マスク1ではナイロンとポリウレタンを含む編地を使用することで、マスク本体部に伸縮性を持たせている。生地2は、伸縮性があり柔らかい生地で構成され、伸ばして着用できるようサイズを設定することで、生地2が顔の凹凸に追従するようにしている。
【0028】
ここで使用する生地2は、伸張性が1.0kgfで150%である生地を使用している。マスク1は、マスク本体部が左右方向へ上記の伸張性を持つ構造となっている。
【0029】
コース×ウェルは、5000以上であることが好ましく、8000以上であるとさらに好ましい。
【0030】
この第一実施例のマスク1では、ナイロンとポリウレタンを使用しているが、合成繊維としてはナイロン以外にも、ポリエステルやアクリルなどを使用することも可能である。
【0031】
ナイロン糸は、3.3テックスの太さ、34フィラメントで構成されているため、柔らかい生地となっている。また、ナイロン糸1本を構成するフィラメントが24本以上で構成されているため、非常に柔らかいため、顔の凹凸にフィットさせることができ、マスクに一般的に使用されている座屈する芯材を必要としない。
【0032】
生地を構成するポリウレタン糸については、3.3テックスのモノフィラメントを使用しているが、ポリウレタン糸はナイロン等に比べ、非常に柔らかいため生地の柔らかさに影響しない。ポリウレタン糸としては、太さ1.1テックスから4.4テックス以内のものであることが好ましく、フィラメント数に関しては特に制限はない。
【0033】
第一実施例の生地の編み組織は、ナイロンがプレーンコード、ポリウレタンが二目編みのものを使用した。
【0034】
上記の編み組織では、一つの編み目から糸が多方向に出ており、編み目間の隙間が他の編み組織よりも小さい。
【0035】
ヨコ編みの場合では、インターロックなどのダブルニットが好ましい。
【0036】
編み組織により生地が粗い場合もあるが、その場合には生地を二重にする、あるいは他の生地や不織布やガーゼなどを内側に仮止めすることで隙間をふさぐことも可能であり、マスクの伸びが著しく阻害されない限りは、タテ編みやヨコ編みのいずれの編み組織の使用に加え、織物を使用することも可能である。
【0037】
この第一実施例では、図3に示すように、マスク1の幅方向(左右)の中心部3において左右の生地2が接着剤5によって接合されている。マスク1は、この接合部分に棒状の芯材4が配置された構成となっている。棒状の芯材4は、可撓性を有する材質で構成されており、屈曲しにくいものを用いるのが好ましい。撓むものであれば合成樹脂(例えば、ポリアミドなど)で構成してもよく、反応型ホットメルトなどの接着剤を硬化させたものであってもよい。また、金属であってもよく鉄線などを撚り合わせたものを使用することも可能である。
【0038】
本実施例のマスク1の作成の手順は、次のとおりである。
【0039】
上記のマスク本体部を構成する2枚の生地2のうち一方の生地2に接着剤5を塗布する。このとき、マスク1の幅方向の中心部3で生地2同士がつなぎ合わされる中心部3が接合部分となるように接着剤5を塗布する。そして、接着剤5が塗布された生地2と棒状の芯材4とを接着する(芯材接着工程)。生地2と棒状の芯材4とを接着する際には、マスク1の中心部3の外縁の形状に沿うように芯材4を撓ませて接着する。中心部3の外縁の形状とは、図2に示す左側の湾曲した形状であり、マスク1の着用者の鼻先から顎にかけて外側(顔と反対側)に湾曲した形状である。
【0040】
その後、残りの一方の生地2にも同様に中心部3が接合部分となるよう接着剤5を塗布し、2枚の生地2を重ね合わせ、熱プレスを行いマスク本体部を作成する(マスク本体部作成工程)。
【0041】
このようにして本実施例のマスク1が完成する。
【0042】
本実施例では、接着剤6にはポリウレタン系ホットメルト接着剤を使用したが、他にもポリアミド系ホットメルト接着剤などの熱溶融型ホットメルト接着剤や反応型ホットメルト接着剤などを使用することも可能である。
【0043】
また、今回は接着のみを用いて作成を行ったが、2枚の生地2同士を接合するときに縫製を組み入れて接合するようにしてもよい。
【0044】
このようにして完成したマスク1は、2枚の生地2を中心部3で接合させた構造となっており、この中心部3は外側へ凸状に湾曲しているため、着用時に口元に空間が形成されることになる。そして、この中心部3の湾曲した形状に沿って芯材4が取り付けられている。
【0045】
芯材4は棒状で可撓性を有しており、撓んだ状態では常に棒状(直線状)に戻ろうとする力が働く。すなわち、芯材4が撓んだ状態では中心部3の湾曲の半径を広げるように力が働いているため、マスク着用時には、呼吸による口や鼻孔に吸い付く力に抗うように作用することになる。
【0046】
また、芯材4は可撓性を有しているので、マスク1はマスク本体の伸びに合わせて芯材4が曲がって密着性を高く維持することができ、また屈曲しにくいため、きれいな曲線の外観を維持することができる。
【0047】
マスク1を構成する生地2は伸縮性に富む生地であるため、左右に引っ張る力も少なくてよく、耳への負担が小さく長時間の使用時も快適となっている。
【0048】
このように本実施例のマスク1は、マスク1の本体部分の生地2がナイロンなどの合成繊維からなり、マスク1の左右方向の中心部3に可撓性を有する棒状の芯材4がマスク1の鼻から顎のラインに沿うように配置されている。マスク1を着用した時には、口元に空間が構成され、可撓性を有する棒状の芯材がマスク1のラインに沿って曲げて配置されているため、芯材4が元の棒状に戻る力がマスク1の中心部3で常に働くため、呼吸によるマスク1の形状の崩れを抑えることができ、長時間の着用でも口元の空間が狭くならず、快適である。
【0049】
次に、本発明の第二実施例のマスクについて説明する。
【0050】
図4は、第二実施例の背面図である。図5は、第ニ実施例の中央部分の断面を模式的に示す図である。
【0051】
本実施例のマスクも、第一実施例と同様に2枚の生地からなるマスクであり、第一実施例と共通する点について説明は省略し、異なる点を中心に説明する。
【0052】
第二実施例のマスク6は、図4および図5に示すように、2枚の生地2の繋ぎ目(接合部分)である中心部3の内側(着用時に着用者の顔が位置する側)に、左右2枚の生地2にまたがって平板状の芯材であるフィルムボーン7が配置されている。
【0053】
フィルムボーン7は、厚さ0.7mmの二軸延伸された合成樹脂フィルムを平板状(短冊状)に成型したものである。フィルムボーン7の素材である合成樹脂フィルムは、例えばポリエチレンテレフタレートである。このフィルムボーン7は、弾力性があり、可撓性を有しており、屈曲しにくい特徴を有している。
【0054】
本実施例のマスク2の作成の手順は、次のとおりである。
【0055】
左右2枚の生地2を中心部3で繋ぎ合わせてマスク本体部を作成する(マスク本体部作成工程)。
【0056】
左右2枚の生地2が繋ぎ合わされた中心部3の内側に、芯材となるフィルムボーン7を配置し、フィルムボーン7が左右2枚の生地2にまたがるよう縫製によりフィルムボーン7を縫い付ける(芯材縫着工程)。
【0057】
このようにして本実施例のマスク6が完成する。
【0058】
フィルムボーン7を生地2に縫い付ける際には、マスク6の形状に沿うように、平板状のフィルムボーン7を曲げつつ生地2に縫い付ける。ここにいうマスク6の形状とは、マスク6の中心部3の外縁の形状という縦方向の形状だけではなく、図5に示すように、マスク6の中心部3の幅方向の形状も含む意である。平板状のフィルムボーン7が中心部3の縦方向の曲げにも幅方向の曲げにも沿うように、撓ませた状態で生地2へ縫い付けられているため、第一実施例と同様に、マスク着用時に着用者が息を吸う時もマスク6の形状が崩れにくくなるという効果を発揮することができ、着用時の快適性を実現することができる。
【0059】
続いて、本発明の第三実施例のマスクについて説明する。
【0060】
図6は、第三実施例を示す斜視図である。図7は、第三実施例の中央部分の断面を模式的に示す図である。
【0061】
本実施例のマスクも、第一実施例および第二実施例と同様に2枚の生地からなるマスクであり、第一実施例および第二実施例と共通する点について説明は省略し、異なる点を中心に説明する。
【0062】
第三実施例のマスク8は、図6および図7に示すように、2枚の生地2の繋ぎ目(接合部分)である中心部に、筒状の袋部分9が構成されている。この筒状の袋部分9に可撓性を有する棒状の芯材10が挿入可能になっている。マスク8を着用する際に、この筒状の袋部分9に芯材10を挿入することで、第一実施例と同様の効果を得られるようになっている。
【0063】
本実施例のマスク8では、筒状の袋部分9の上端か下端かのいずれか、または、両端を開閉できるようにし、芯材10を取り外し可能にすることで、着用しない時に芯材10を外して、洗濯時などにマスク8の本体へ負荷をかけないようにすることができる。
【0064】
以上説明したように、本発明に係るマスクは、左右の2枚の生地で構成される本体部と、本体部の幅方向中心部に芯材とを備えており、本体部は顔から離れる方向へ凸状になっている2枚の生地を繋ぎ合わせているため、マスクの着用時に口元に空間を作り出し、口にマスクの布が直接当たらない構造となっている。
【0065】
本発明によるマスクは伸縮性があり柔らかい生地で構成され、着用時に生地を伸ばして使用するようサイズを設定することで、生地が顔の凹凸に追従するようになっている。そのため、従来のような塑性変形の芯材を使用しなくても、マスクと肌との間の隙間を少なくすることができる。
【0066】
また、本発明のマスクでは、中心部に配置されている芯材を可撓性を有する棒状又は平板状とし、本体部が2枚の生地で構成されているため、着用時にマスクと肌との間に空間を発生させるための左右に引っ張る力が少なくて済むので、耳掛け部による耳への負担を少なくすることができる。
【0067】
さらに、可撓性を有する棒状又は平板状の芯材を使用しているため、マスクの形状やサイズが変わった場合は芯材の長さを調整するだけで済み、新しい形状に合わせた芯材を作る必要がなく経済的でもある。
【0068】
また、本発明によるマスクの芯材は棒状又は平板状であり、その芯材をマスクの形状に沿うように曲げて配置しているため、芯材が棒状又は平板状に戻る力が常に働く構造となっており、着用時に口元の空間を一定の状態に安定して確保し、快適に着用することができ、息を吸う力によるマスクの形状の崩れが発生しにくく、長時間の使用でも快適に着用することができる。
【0069】
以上、本発明に係るマスクについて実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の目的を達成でき、かつ発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々設計変更が可能であり、それらも全て本発明の範囲内に包含されるものである。
【0070】
例えば、上記実施形態では、鼻と口を覆うマスクの本体部を2枚の生地を接合して構成することとしたが、3枚以上の生地であってもよいし、また、1枚の生地であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明に係るマスクは、衛生用マスクとして有用である。
【符号の説明】
【0072】
1,6,8 マスク
2 生地
3 中央部
4,10 芯材
5 接着剤
7 フィルムボーン
9 袋部分

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7