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特開2022-108757基板検査装置および検査装置用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108757
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】基板検査装置および検査装置用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20220720BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
G01R31/28 K
H05K3/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003850
(22)【出願日】2021-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】村山 林太郎
(72)【発明者】
【氏名】小河原 豪
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 恒明
【テーマコード(参考)】
2G132
【Fターム(参考)】
2G132AA20
2G132AD15
2G132AE23
2G132AF02
2G132AF06
2G132AL03
2G132AL09
(57)【要約】
【課題】基準検査位置に対して検査対象基板が変位した状態においても短時間で確実に検査可能とする。
【解決手段】検査対象基板が予め規定された基準検査位置から変位した状態となっているときに、処理部が、プロービング処理において、検査手順データに基づいて特定される両検査用プローブの接触位置を基準検査位置からの変位状態に応じてそれぞれ変更すると共に(ステップ22)、一方の検査用プローブの変更後の接触位置である第1の接触位置に一方の検査用プローブを接触させつつ他方の検査用プローブの変更後の接触位置である第2の接触位置に他方の検査用プローブを接触させるように移動機構によって両検査用プローブを移動させることができないときに(ステップ23)、一方の検査用プローブを第2の接触位置に接触させ、かつ他方の検査用プローブを第1の接触位置に接触させるように移動機構によって両検査用プローブを移動させる(ステップ29)。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象基板に接触させられる一対の検査用プローブと、
前記両検査用プローブをそれぞれ移動させる移動機構と、
前記両検査用プローブを介して被測定量を測定する測定部と、
前記移動機構を制御して前記検査対象基板における一対の検査ポイントに前記両検査用プローブをそれぞれ接触させるプロービング処理、前記測定部を制御して前記被測定量を測定させる測定処理、および測定された当該被測定量に基づいて前記両検査ポイントの間の良否を判別する判別処理を検査手順データに従って実行する処理部とを備えた基板検査装置であって、
前記処理部は、前記検査対象基板が予め規定された基準検査位置から変位した状態となっているときに、前記プロービング処理において、前記検査手順データに基づいて特定される前記両検査用プローブの接触位置を当該基準検査位置からの変位状態に応じてそれぞれ変更すると共に、一方の前記検査用プローブの変更後の接触位置である第1の接触位置に当該一方の検査用プローブを接触させつつ他方の前記検査用プローブの変更後の接触位置である第2の接触位置に当該他方の検査用プローブを接触させるように前記移動機構によって当該両検査用プローブを移動させることができないときに、当該一方の検査用プローブを当該第2の接触位置に接触させ、かつ当該他方の検査用プローブを当該第1の接触位置に接触させるように当該移動機構によって当該両検査用プローブを移動させる基板検査装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記プロービング処理において前記一方の検査用プローブを前記第2の接触位置に接触させ、かつ前記他方の検査用プローブを前記第1の接触位置に接触させたときに、前記測定処理において前記検査手順データによってそれぞれ指定されている当該両検査用プローブの前記測定部に対する接続態様を入れ替えて当該測定部に前記被測定量を測定させる請求項1記載の基板検査装置。
【請求項3】
検査対象基板に接触させられる一対の検査用プローブと、
前記両検査用プローブをそれぞれ移動させる移動機構と、
前記両検査用プローブを介して被測定量を測定する測定部と、
検査手順データに従い、前記移動機構を制御して前記検査対象基板における一対の検査ポイントに前記両検査用プローブをそれぞれ接触させるプロービング処理、前記測定部を制御して前記被測定量を測定させる測定処理、および測定された当該被測定量に基づいて前記両検査ポイントの間の良否を判別する判別処理を実行する処理部とを備えた基板検査装置における当該処理部に当該プロービング処理、当該測定処理および当該判別処理を実行させる検査装置用プログラムであって、
前記検査対象基板が予め規定された基準検査位置から変位した状態となっているときに、前記プロービング処理において、前記検査手順データに基づいて特定される前記両検査用プローブの接触位置を当該基準検査位置からの変位状態に応じてそれぞれ変更すると共に、一方の前記検査用プローブの変更後の接触位置である第1の接触位置に当該一方の検査用プローブを接触させつつ他方の前記検査用プローブの変更後の接触位置である第2の接触位置に当該他方の検査用プローブを接触させるように前記移動機構によって当該両検査用プローブを移動させることができないときに、当該一方の検査用プローブを当該第2の接触位置に接触させ、かつ当該他方の検査用プローブを当該第1の接触位置に接触させるように当該移動機構によって当該両検査用プローブを移動させる処理を前記処理部に実行させる検査装置用プログラム。
【請求項4】
前記プロービング処理において前記一方の検査用プローブを前記第2の接触位置に接触させ、かつ前記他方の検査用プローブを前記第1の接触位置に接触させたときに、前記測定処理において前記検査手順データによってそれぞれ指定されている当該両検査用プローブの前記測定部に対する接続態様を入れ替えて当該測定部に前記被測定量を測定させる処理を前記処理部に実行させる請求項3記載の検査装置用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象基板における一対の検査ポイントに接触させた一対の検査用プローブを介して被測定量を測定して両検査ポイントの間の良否を判別する基板検査装置および検査装置用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の基板検査装置として、出願人は、一対のプローブ、両プローブを移動させるプローブ移動機構(以下、単に移動機構ともいう)、予め規定された被測定量を測定する測定部、および移動機構や測定部を制御すると共に測定部による測定結果に基づいて回路基板(検査対象基板)を検査する制御部を備えた回路基板検査装置(以下、単に「検査装置」ともいう)を下記の特許文献に開示している。
【0003】
この検査装置では、検査位置にセットされた回路基板の各検査ポイント(測定ポイント)に対して移動機構が制御部の制御に従って両プローブを接触させ、測定部が制御部の制御に従って両プローブを介して両検査ポイント間に検査用信号を供給すると共に両プローブ間を流れる電流を測定して電流波形データを出力する。また、制御部は、出力された電流波形データ内の各値が、許容範囲データに記録されている許容範囲内の値であるか否かに基づき、両プローブを接触させている一対の検査ポイントの間の絶縁状態が正常であるか否かを判別する。この一連の処理を回路基板上に規定されたすべての検査ポイントを対象として順次実行することにより、回路基板の良否が検査される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-014392号公報(第3-7頁、第1-7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、出願人が開示している検査装置には、以下のような改善すべき課題が存在する。具体的には、出願人が開示している検査装置では、移動機構によって一対のプローブをそれぞれ移動させて回路基板上の検査ポイントに接触させ、プローブを接触させた両検査ポイントの間の絶縁状態が正常であるか否かを電気的に検査する構成が採用されている。この場合、出願人が開示している検査装置の移動機構は、各種の回路基板を対象とする検査において両プローブを任意の位置に接触させることができるように、両プローブをXYZ方向(左右方向、前後方向および上下方向)に別個独立して移動させることができるように構成されている。
【0006】
また、この種の検査装置に搭載される移動機構のなかには、装置の省スペース化や製造コストの低減を目的として、両プローブのX方向(X軸方向:左右方向)への移動を案内するX軸方向案内部(X軸ガイドレール等)、および両プローブのY方向(Y軸方向:前後方向)への移動を案内するY軸方向案内部(Y軸ガイドレール等)のいずれかを共用する構成が採用されたものが存在する。
【0007】
例えば、X軸方向案内部を共用する構成の移動機構においては、一方のプローブのY方向への移動を案内するY軸方向案内部(以下、「第1のY軸方向案内部」ともいう)、および他方のプローブのY方向への移動を案内するY軸方向案内部(以下、「第2のY軸方向案内部」ともいう)の2つが、1つのX軸方向案内部によってX方向への移動をそれぞれ案内される構成が採用されている。これにより、X軸方向案内部を共用する構成の移動機構では、X軸方向案内部において第1のY軸方向案内部が第2のY軸方向案内部よりも左方に配設されていたとき(第2のY軸方向案内部が第1のY軸方向案内部よりも右方に配設されていたとき)に、第1のY軸方向案内部を第2のY軸方向案内部よりも右方に移動させることができず、かつ第2のY軸方向案内部を第1のY軸方向案内部よりも左方に移動させることができなくなる。
【0008】
このため、この種の装置においては、X軸方向案内部における第2のY軸方向案内部の位置に応じて第1のY軸方向案内部の左右方向への移動可能範囲が制限されると共に、X軸方向案内部における第1のY軸方向案内部の位置に応じて第2のY軸方向案内部の左右方向への移動可能範囲が制限されるという現状がある。したがって、X軸方向案内部を共用する構成の移動機構を備えた検査装置では、上記のような第1のY軸方向案内部の左右方向への移動可能範囲、および第2のY軸方向案内部の左右方向への移動可能範囲を考慮して回路基板上の一対の検査ポイントに両プローブをそれぞれ接触させることができるように両プローブの接触位置が規定されて検査手順データが生成されている。
【0009】
この検査手順データは、検査装置の基準検査位置にセットした回路基板における各検査ポイントのXYZ座標を特定可能な情報でプローブの接触位置を特定させるデータで構成されている。また、この種の検査装置では、装置に対して回路基板をセットする位置や姿勢が検査の都度変位する(回路基板が基準検査位置からずれる)状態となることを想定して、セットされた回路基板の位置や姿勢を検出して、基準検査位置からの変位の状態に応じて検査手順データにおける両プローブの接触位置を補正する構成が採用されている。
【0010】
この場合、セットされた回路基板が基準検査位置に対して単にX方向および/またはY方向に変位した状態となっているときには、一方のプローブを接触させるべき検査ポイントのX方向への変位量と他方のプローブを接触させるべき検査ポイントのX方向への変位量とが同様で、かつ一方のプローブを接触させるべき検査ポイントのY方向への変位量と他方のプローブを接触させるべき検査ポイントのY方向への変位量とが同様となる。したがって、基準検査位置に対する回路基板の変位の状態に応じて両プローブを接触させるべき2つの接触位置をX方向および/またはY方向へ同様に変更することで、変位した状態の回路基板における両検査ポイントに両プローブをそれぞれ接触させることができる。
【0011】
しかしながら、セットされた回路基板が基準検査位置に対して基板面に沿って回動した状態となっているときには、一方のプローブを接触させるべき検査ポイントのX方向への変位量と他方のプローブを接触させるべき検査ポイントのX方向への変位量とが相違し、かつ一方のプローブを接触させるべき検査ポイントのY方向への変位量と他方のプローブを接触させるべき検査ポイントのY方向への変位量とが相違する状態となる。したがって、例えば、X軸方向案内部を共用する構成の移動機構を備えた検査装置による検査に際しては、前述した第1のY軸方向案内部や第2のY軸方向案内部の左右方向への移動可能範囲の制限により、検査手順データにおいて規定されている両検査ポイントに両プローブをそれぞれ接触させるのが困難となることがある。
【0012】
具体的には、回路基板上の極く近距離に規定されている一対の検査ポイントに関して、一方のプローブを補正後の接触位置に接触させた場合に、他方のプローブの補正後の接触位置が移動可能範囲外に位置した状態となって他方のプローブを補正後の接触位置に接触させることができなくなったり、他方のプローブを補正後の接触位置に接触させた場合に、一方のプローブの補正後の接触位置が移動可能範囲外に位置した状態となって一方のプローブを補正後の接触位置に接触させることができなくなったりすることがある。このような場合には、基準検査位置に対する回動量を減少させるように回路基板を再セットする必要が生じて、検査に要する時間が長時間化してしまう。また、再セットによって基準検査位置に対する回路基板の回動量が減少しないこともあり、再セットを複数回実施する必要が生じるおそれもある。このため、上記のような課題を改善するのが好ましい。
【0013】
なお、X方向またはY方向への両プローブの移動を案内する案内部(ガイドレール等)を有する移動機構を備えた構成において生じる課題について説明したが、例えば、別個独立して動作可能なロボットアームで構成された移動機構を備えた構成においても、一方のアームの位置に応じて他方のアームの移動可能範囲が制限されて、他方のアームの位置に応じて一方のアームの移動可能範囲が制限されるため、前述した課題と同様の課題が生じる。
【0014】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、基準検査位置に対して検査対象基板が変位した状態においても短時間で確実に検査し得る基板検査装置および検査装置用プログラムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の基板検査装置は、検査対象基板に接触させられる一対の検査用プローブと、前記両検査用プローブをそれぞれ移動させる移動機構と、前記両検査用プローブを介して被測定量を測定する測定部と、前記移動機構を制御して前記検査対象基板における一対の検査ポイントに前記両検査用プローブをそれぞれ接触させるプロービング処理、前記測定部を制御して前記被測定量を測定させる測定処理、および測定された当該被測定量に基づいて前記両検査ポイントの間の良否を判別する判別処理を検査手順データに従って実行する処理部とを備えた基板検査装置であって、前記処理部は、前記検査対象基板が予め規定された基準検査位置から変位した状態となっているときに、前記プロービング処理において、前記検査手順データに基づいて特定される前記両検査用プローブの接触位置を当該基準検査位置からの変位状態に応じてそれぞれ変更すると共に、一方の前記検査用プローブの変更後の接触位置である第1の接触位置に当該一方の検査用プローブを接触させつつ他方の前記検査用プローブの変更後の接触位置である第2の接触位置に当該他方の検査用プローブを接触させるように前記移動機構によって当該両検査用プローブを移動させることができないときに、当該一方の検査用プローブを当該第2の接触位置に接触させ、かつ当該他方の検査用プローブを当該第1の接触位置に接触させるように当該移動機構によって当該両検査用プローブを移動させる。
【0016】
また、請求項2記載の基板検査装置は、請求項1記載の基板検査装置において、前記処理部は、前記プロービング処理において前記一方の検査用プローブを前記第2の接触位置に接触させ、かつ前記他方の検査用プローブを前記第1の接触位置に接触させたときに、前記測定処理において前記検査手順データによってそれぞれ指定されている当該両検査用プローブの前記測定部に対する接続態様を入れ替えて当該測定部に前記被測定量を測定させる。
【0017】
また、請求項3記載の検査装置用プログラムは、検査対象基板に接触させられる一対の検査用プローブと、前記両検査用プローブをそれぞれ移動させる移動機構と、前記両検査用プローブを介して被測定量を測定する測定部と、検査手順データに従い、前記移動機構を制御して前記検査対象基板における一対の検査ポイントに前記両検査用プローブをそれぞれ接触させるプロービング処理、前記測定部を制御して前記被測定量を測定させる測定処理、および測定された当該被測定量に基づいて前記両検査ポイントの間の良否を判別する判別処理を実行する処理部とを備えた基板検査装置における当該処理部に当該プロービング処理、当該測定処理および当該判別処理を実行させる検査装置用プログラムであって、前記検査対象基板が予め規定された基準検査位置から変位した状態となっているときに、前記プロービング処理において、前記検査手順データに基づいて特定される前記両検査用プローブの接触位置を当該基準検査位置からの変位状態に応じてそれぞれ変更すると共に、一方の前記検査用プローブの変更後の接触位置である第1の接触位置に当該一方の検査用プローブを接触させつつ他方の前記検査用プローブの変更後の接触位置である第2の接触位置に当該他方の検査用プローブを接触させるように前記移動機構によって当該両検査用プローブを移動させることができないときに、当該一方の検査用プローブを当該第2の接触位置に接触させ、かつ当該他方の検査用プローブを当該第1の接触位置に接触させるように当該移動機構によって当該両検査用プローブを移動させる処理を前記処理部に実行させる。
【0018】
また、請求項4記載の検査装置用プログラムは、請求項3記載の検査装置用プログラムにおいて、前記プロービング処理において前記一方の検査用プローブを前記第2の接触位置に接触させ、かつ前記他方の検査用プローブを前記第1の接触位置に接触させたときに、前記測定処理において前記検査手順データによってそれぞれ指定されている当該両検査用プローブの前記測定部に対する接続態様を入れ替えて当該測定部に前記被測定量を測定させる処理を前記処理部に実行させる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の基板検査装置では、検査対象基板が予め規定された基準検査位置から変位した状態となっているときに、処理部が、プロービング処理において、検査手順データに基づいて特定される両検査用プローブの接触位置を基準検査位置からの変位状態に応じてそれぞれ変更すると共に、一方の検査用プローブの変更後の接触位置である第1の接触位置に一方の検査用プローブを接触させつつ他方の検査用プローブの変更後の接触位置である第2の接触位置に他方の検査用プローブを接触させるように移動機構によって両検査用プローブを移動させることができないときに、一方の検査用プローブを第2の接触位置に接触させ、かつ他方の検査用プローブを第1の接触位置に接触させるように移動機構によって両検査用プローブを移動させる。また、請求項3記載の検査装置用プログラムでは、処理部に上記のような処理を実行させる。
【0020】
したがって、請求項1記載の基板検査装置、および請求項3記載の検査装置用プログラムによれば、基準検査位置に対する検査対象基板の変位に起因して、検査手順データにおいて一方の検査用プローブを接触させるように規定されている検査ポイント、および他方の検査用プローブを接触させるように規定されている検査ポイントに両検査用プローブを接触させることができない状態となっているときに、検査対象基板を再セットすることなく、検査手順データにおいて一方の検査用プローブを接触させるように規定されている検査ポイントに他方の検査用プローブを接触させ、かつ他方の検査用プローブを接触させるように規定されている検査ポイントに一方の検査用プローブを接触させて両検査ポイントの間の被測定量を測定することができるため、検査に要する時間が長時間化することなく、短時間で確実に検査対象基板を検査することができる。
【0021】
請求項2記載の基板検査装置では、処理部が、プロービング処理において一方の検査用プローブを第2の接触位置に接触させ、かつ他方の検査用プローブを第1の接触位置に接触させたときに、測定処理において検査手順データによってそれぞれ指定されている両検査用プローブの測定部に対する接続態様を入れ替えて測定部に被測定量を測定させる。また、請求項4記載の検査装置用プログラムでは、処理部に上記のような処理を実行させる。したがって、請求項2記載の基板検査装置、および請求項4記載の検査装置用プログラムによれば、両検査用プローブの接触位置を入れ替えた場合に、想定されている被測定量を測定できないような測定処理を実行する必要がある検査対象基板についても、想定されている被測定量を確実に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】基板検査装置1の構成を示す構成図である。
図2】基板保持部2、コンタクトプローブ3および移動機構4の平面図である。
図3】コンタクトプローブ3a,3bの接触可能範囲について説明するための説明図である。
図4】基板検査処理20のフローチャートである。
図5】回動が生じていない状態にセットされた検査対象基板Xにおける検査ポイントの位置とコンタクトプローブ3a,3bの接触可能範囲との関係について説明するための説明図である。
図6】回動が生じた状態にセットされた検査対象基板Xにおける検査ポイントの位置とコンタクトプローブ3a,3bの接触可能範囲との関係について説明するための説明図である。
図7】コンタクトプローブ3a,3bの接触位置の変更(入替え)について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、基板検査装置および検査装置用プログラムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0024】
図1に示す基板検査装置1は、「基板検査装置」の一例であって、基板保持部2、コンタクトプローブ3a,3b、移動機構4、カメラ5、測定部6、操作部7、表示部8、処理部9および記憶部10を備え、後述する「検査装置用プログラム」に従って検査対象基板Xなどの良否を電気的に検査可能に構成されている。この場合、検査対象基板Xは、「検査対象基板」の一例であって、各導体パターンの導通状態、隣接する導体パターンの間の絶縁状態、および各種電子部品の実装状態などを電気的に検査するための複数の検査ポイントが規定されている。
【0025】
一方、基板保持部2は、検査対象基板Xを載置可能な図外の載置台を備えると共に、載置された検査対象基板Xを吸着または挟持して保持することができるように構成されている。コンタクトプローブ3a,3b(以下、区別しないときには「コンタクトプローブ3」ともいう)は、「一対の検査用プローブ」に相当し、一例として、伸縮型のピンプローブで構成されると共に、測定部6に対してそれぞれ電気的に接続され、かつ移動機構4によって移動させられて検査対象基板Xに接触(プロービング)させられる。移動機構4は、「移動機構」の一例であって、処理部9の制御に従って両コンタクトプローブ3を任意のXY方向(検査対象基板Xの表面に沿った方向)およびZ方向(検査対象基板Xの表面に垂直な方向)に移動させて任意の検査ポイントにそれぞれ接触させることができるように構成されている。
【0026】
この移動機構4は、図2に示すように、X軸方向案内部11、Y軸方向案内部12a,12bおよびZ軸方向案内部13a,13bを備えおり、コンタクトプローブ3aが取り付けられたZ軸方向案内部13aがY軸方向案内部12aに取り付けられてX軸方向案内部11に取り付けられると共に、コンタクトプローブ3bが取り付けられたZ軸方向案内部13bがY軸方向案内部12bに取り付けられてX軸方向案内部11に取り付けられている。すなわち、本例の基板検査装置1における移動機構4では、両コンタクトプローブ3のX方向(X軸方向:左右方向)への移動を案内するX軸方向案内部11を共用する構成が採用され、省スペース化や製造コスト低減が図られている。
【0027】
また、本例の基板検査装置1では、基板保持部2の載置台上に規定されたプロービング可能領域Aに対して両コンタクトプローブ3を接触(プロービング)させることができるように各案内部11,12a,12b,13a,13bが配置されている。この場合、本例の移動機構4では、前述のようにY軸方向案内部12a,12bの2つが1つのX軸方向案内部11に取り付けられているため、Y軸方向案内部12aをY軸方向案内部12bよりも右方に移動させることができず、Y軸方向案内部12bをY軸方向案内部12aよりも左方に移動させることができない。このため、X軸方向案内部11におけるY軸方向案内部12bの位置に応じてY軸方向案内部12aの左右方向への移動可能範囲が制限されると共に、X軸方向案内部11におけるY軸方向案内部12aの位置に応じてY軸方向案内部12bの左右方向への移動可能範囲が制限されている。
【0028】
具体的には、図3に示すように、プロービング可能領域A内における位置Pb1にコンタクトプローブ3bを接触(プロービング)させるべくY軸方向案内部12bをX軸方向案内部11に案内させた状態においては、同図に示す一点鎖線Lb1よりも右方にコンタクトプローブ3aを接触(プロービング)させるようにY軸方向案内部12aをX軸方向案内部11に案内させることができない。つまり、この例においては、プロービング可能領域A内の一点鎖線Lb1よりも左方の領域がコンタクトプローブ3aの接触可能範囲となる。また、位置Pb2にコンタクトプローブ3bを接触させるべくY軸方向案内部12bをX軸方向案内部11に案内させた状態においては、同図に示す一点鎖線Lb2よりも右方にコンタクトプローブ3aを接触させるようにY軸方向案内部12aをX軸方向案内部11に案内させることができない。つまり、この例においては、プロービング可能領域A内の一点鎖線Lb2よりも左方の領域がコンタクトプローブ3aの接触可能範囲となる。
【0029】
さらに、位置Pa1にコンタクトプローブ3aを接触(プロービング)させるべくY軸方向案内部12aをX軸方向案内部11に案内させた状態においては、同図に示す二点鎖線La1よりも左方にコンタクトプローブ3bを接触(プロービング)させるようにY軸方向案内部12bをX軸方向案内部11に案内させることができない。つまり、この例においては、プロービング可能領域A内の二点鎖線La1よりも右方の領域がコンタクトプローブ3bの接触可能範囲となる。また、位置Pa2にコンタクトプローブ3aを接触させるべくY軸方向案内部12aをX軸方向案内部11に案内させた状態においては、同図に示す二点鎖線La2よりも左方にコンタクトプローブ3bを接触させるようにY軸方向案内部12bをX軸方向案内部11に案内させることができない。つまり、この例においては、プロービング可能領域A内の一点鎖線La2より右方の領域がコンタクトプローブ3bの接触可能範囲となる。
【0030】
カメラ5は、プロービング可能領域A内にセットされた検査対象基板Xを測定部6の制御下で撮像して撮像データを出力する。この場合、本例の基板検査装置1では、一例として、カメラ5がZ軸方向案内部13aと共にY軸方向案内部12aに取り付けられており、移動機構4によってコンタクトプローブ3aと共に任意のXY方向に移動させられる構成が採用されている。測定部6は、「測定部」の一例であって、後述するように、処理部9の制御に従い、検査対象基板Xに規定された各検査ポイントのうちの任意の2箇所にそれぞれ接触させられた両コンタクトプローブ3を介して両検査ポイントの間についての各種の電気的パラメータ(電圧値、電流値および抵抗値など:「被測定量」の一例)を測定して測定値データD2を出力する。
【0031】
操作部7は、基板検査装置1の動作条件(検査対象基板Xの検査条件)の設定操作や、後述する基板検査処理20(図4参照)などの開始/停止を指示する操作が可能な操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部9に出力する。表示部8は、処理部9の制御に従い、基板検査装置1の動作条件の設定画面や、検査対象基板Xについての検査時における動作状態の表示画面、および検査対象基板Xについての検査結果などを表示する。
【0032】
処理部9は、「処理部」の一例であって、基板検査装置1を総括的に制御する。具体的には、処理部9は、動作プログラムDpおよび検査手順データD0(「検査手順データ」の一例)に従って図4に示す基板検査処理20を実行し、検査対象基板Xの良否を検査して検査結果を表示部8に表示させると共に、検査結果データD3を生成して外部装置に出力可能に記憶部10に記憶させる。
【0033】
より具体的には、処理部9は、移動機構4を制御して検査対象基板Xにおける一対の検査ポイントに両コンタクトプローブ3をそれぞれ接触させる「プロービング処理」、測定部6を制御して「被測定量」を測定させる「測定処理」、および測定された「被測定量」と検査手順データD0とに基づいて両検査ポイントの間の良否を判別する「判別処理」を実行する。この場合、検査手順データD0には、前述のプロービング可能領域A内に規定されている基準検査位置にセットされた検査対象基板Xにおける各検査ポイントのXYZ座標を特定可能な情報や、各検査ポイントについて測定されるべき検査用基準値を特定可能な情報が記録されている。
【0034】
また、本例の基板検査装置1では、処理部9が、「プロービング処理」に先立ち、セットされている検査対象基板Xをカメラ5に撮像させると共に、カメラ5から出力される撮像データを解析することで、基準検査位置に対する検査対象基板Xの変位の状態を特定する「基板位置特定処理」を実行する。この場合、本例の基板検査装置1では、一例として、検査対象基板Xの角部に記されている基板位置特定用マーク(フェデューシャルマーク)のプロービング可能領域A内における位置を特定することで、検査対象基板Xが基準検査位置からどの向きにどの程度移動したり回動したりしているか(変位の状態)を特定する構成が採用されている。
【0035】
さらに、本例の基板検査装置1では、上記の「プロービング処理」に際して、検査手順データD0に基づいて特定される両コンタクトプローブ3の接触位置を「基板位置特定処理」において特定した変位の状態に応じてそれぞれ変更する。この場合、本例の基板検査装置1および動作プログラムDpでは、一例として、検査手順データD0において規定されている各検査ポイントに対して両コンタクトプローブ3を接触させる際に両コンタクトプローブ3の接触位置を都度補正する構成・手順が採用されているが、このような構成・手順に代えて、検査対象基板Xに規定されているすべての検査ポイントについての両コンタクトプローブ3の接触位置を、特定した「変位の状態」に応じて一括して補正した後に「プロービング処理」を実行する構成・手順を採用することもできる。
【0036】
また、処理部9は、一方のコンタクトプローブ3の変更後の接触位置(第1の接触位置)に一方のコンタクトプローブ3を接触させつつ他方のコンタクトプローブ3の変更後の接触位置(第2の接触位置)に他方のコンタクトプローブ3を接触させるように移動機構4によって両コンタクトプローブ3を移動させることができないときに、一方のコンタクトプローブ3を他方のコンタクトプローブ3の変更後の接触位置(第2の接触位置)に接触させ、かつ他方のコンタクトプローブ3を一方のコンタクトプローブ3の変更後の接触位置(第1の接触位置)に接触させるように移動機構4によって両コンタクトプローブ3を移動させる。
【0037】
さらに、処理部9は、上記の「プロービング処理」において一方のコンタクトプローブ3を他方のコンタクトプローブ3の変更後の接触位置(第2の接触位置)に接触させ、かつ他方のコンタクトプローブ3を一方のコンタクトプローブ3の変更後の接触位置(第1の接触位置)に接触させたときに、「測定処理」において、検査手順データD0によってそれぞれ指定されている両コンタクトプローブ3の測定部6に対する接続態様を入れ替えて測定部6に「被測定量」を測定させる。なお、処理部9によって実行される各処理については、後に詳細に説明する。
【0038】
記憶部10は、処理部9による上記の各処理の手順が記録された動作プログラムDp(「検査装置用プログラム」の一例)、検査対象基板Xについての検査手順や検査用基準値が記録された検査手順データD0、上記の「基板位置特定処理」において処理部9が生成する接触位置補正データD1(「変位の状態」を特定可能な情報)、測定部6から出力される測定値データD2、および処理部9によって生成される検査結果データD3などを記憶する。
【0039】
次に、基板検査装置1による検査対象基板Xの検査について添付図面を参照して説明する。
【0040】
最初に、検査対象基板Xを基板保持部2上にセットする(載置して保持させる)。この場合、検査対象基板Xのセットや、検査完了後の退避(検査完了位置への搬送)については、オペレータが手作業で実施する構成、および図示しない基板搬送機構に実施させる構成のいずれかを採用することができる。また、検査対象基板Xのセットが完了したとき(操作部7の図示しない開始スイッチが操作されたとき、または、基板搬送機構から搬送完了信号が出力されたとき)に、処理部9は、動作プログラムDpに従い、図4に示す基板検査処理20を開始する。この基板検査処理20において、処理部9は、最初に、セットされた検査対象基板Xの基板保持部2上における位置および姿勢を特定し、基準検査位置に対する検査対象基板Xの変位の状態を特定して接触位置補正データD1を生成する(ステップ21)。
【0041】
具体的には、処理部9は、移動機構4(X軸方向案内部11およびY軸方向案内部12a)を制御してカメラ5を検査対象基板Xの上方に移動させると共に、カメラ5を制御して検査対象基板Xを撮像させる。これにより、基板保持部2上に載置された検査対象基板Xの撮像データが生成される。次いで、処理部9は、撮像データを解析することで基板保持部2上の検査対象基板Xにおける基板位置特定用マークの位置(すなわち、基板保持部2上における検査対象基板Xの位置や姿勢)を特定すると共に、検査手順データD0に記録されている基準の位置(基準検査位置にセットされた検査対象基板Xにおける基板位置特定用マークの位置)との相違の有無および相違の度合いに基づき、基準検査位置に対する検査対象基板Xの変位の状態を特定する。続いて、処理部9は、特定した「変位の状態」に基づき、基板保持部2上の検査対象基板Xにおける各検査ポイントに対してコンタクトプローブ3を接触させることが可能となる接触位置補正データD1を生成して記憶部10に記憶させる。
【0042】
次いで、処理部9は、「プロービング処理」を開始する。具体的には、処理部9は、検査手順データD0に記録されている検査ポイントの座標、およびステップ21において生成した接触位置補正データD1の座標補正情報に基づき、コンタクトプローブ3aを接触させるべき接触位置(検査対象基板Xの変位の状態に応じて補正したコンタクトプローブ3aのプロービング位置)、およびコンタクトプローブ3bを接触させるべき接触位置(検査対象基板Xの変位の状態に応じて補正したコンタクトプローブ3bのプロービング位置)をそれぞれ特定する(ステップ22)。続いて、処理部9は、両コンタクトプローブ3a,3bを補正後の接触位置にそれぞれ接触させることができるか否かを判別する(ステップ23)。
【0043】
この際に、一例として、図5に示すように、コンタクトプローブ3bを接触させるべき接触位置が位置P1である場合、コンタクトプローブ3aを接触させることができる接触可能範囲は、一点鎖線L1よりも左方の範囲となる。したがって、同図に示す例のようにコンタクトプローブ3aを接触させるべき接触位置が位置P2であるときには、この位置P2が接触可能範囲内となっており、処理部9は、上記のステップ23において、コンタクトプローブ3bを位置P1に接触させた状態においてコンタクトプローブ3aを位置P2に接触させることができると判別する。
【0044】
この際に、処理部9は、ステップ22において特定された接触位置(位置P2および位置P1)に両コンタクトプローブ3a,3bをそれぞれ接触させる(ステップ24)。次いで、処理部9は、「測定処理」を実行して測定部6に「被測定量」を測定させる。続いて、「判別処理」を実行して測定部6から出力された測定値データD2に記録されている測定値と検査手順データD0に記録されている基準値との比較によってコンタクトプローブ3a,3bの接触位置(すなわち、検査対象基板X上の一対の検査ポイント)の間の良否を判別した後に(ステップ25)、未検査の検査ポイントが存在するか否かを判別する(ステップ26)。
【0045】
一方、一例として、図6に示すように、コンタクトプローブ3bを接触させるべき接触位置が位置P3である場合、コンタクトプローブ3aを接触させることができる接触可能範囲は、一点鎖線L2よりも左方の範囲となる。したがって、同図に示す例のようにコンタクトプローブ3aを接触させるべき接触位置が位置P4であるときには、この位置P4が接触可能範囲外(接触可能範囲よりも右方)となっており、処理部9は、上記のステップ23において、コンタクトプローブ3bを位置P3に接触させた状態ではコンタクトプローブ3aを位置P4に接触させることができないと判別する。この際に、処理部9は、動作プログラムDpにおいて、コンタクトプローブ3a,3bの接触位置の入替え(後述のステップ29の処理)を許容されているか否かを判別する(ステップ27)。
【0046】
例えば、コンタクトプローブ3aを接触させるように規定されている検査ポイントにコンタクトプローブ3bを接触させたとき、または、コンタクトプローブ3bを接触させるように規定されている検査ポイントにコンタクトプローブ3aを接触させたときに、検査対象基板Xに実装されている電子部品との位置関係によって電子部品を破損させるおそれがあるときや、コンタクトプローブ3a,3bの接触位置を入れ替えた状態において測定される「被測定量」が、移動機構4等の構成要素と検査対象基板Xの構成要素との位置関係の相違に起因して、入れ替えを行わない状態において測定される「被測定量」や検査用の基準値とは大きく相違する値となるおそれがあるときには、その検査ポイントを含む検査時の接触位置の入替えが検査手順データD0において規制されている。したがって、検査手順データD0において接触位置の入替えを規制されている検査ポイントを対象としているときに、処理部9は、コンタクトプローブ3a,3bを接触させようとしている両検査ポイントを検査不能と判定し(ステップ28)、検査を行わなかったことを表示部8に表示させると共に、未検査の検査ポイントが存在するか否かを判別する(ステップ26)。
【0047】
また、動作プログラムDpにおいて、コンタクトプローブ3a,3bの接触位置の入替え(後述のステップ29の処理)を許容されているときに(ステップ27)、処理部9は、ステップ22において特定された接触位置(位置P4および位置P3)を入れ替えてコンタクトプローブ3aを位置P3に接触させ、コンタクトプローブ3bを位置P4に接触させる(ステップ29)。この場合、図7に示すように、基準検査位置から変位した状態の検査対象基板Xに対してコンタクトプローブ3bを接触させるべき接触位置が位置P4である場合、コンタクトプローブ3aを接触させることができる接触可能範囲は、一点鎖線L3よりも左方の範囲となる。したがって、同図に示す例のようにコンタクトプローブ3aを接触させるべき接触位置が位置P3であるときには、この位置P3が接触可能範囲内となっており、コンタクトプローブ3bを位置P4に接触させた状態においてコンタクトプローブ3aを位置P3に接触させることが可能となる。
【0048】
次いで、処理部9は、「測定処理」を実行して測定部6に「被測定量」を測定させると共に、「判別処理」を実行して測定部6から出力された測定値データD2に記録されている測定値と検査手順データD0に記録されている基準値との比較によってコンタクトプローブ3a,3bの接触位置(すなわち、検査対象基板X上の一対の検査ポイント)の間の良否を判別する(ステップ25)。
【0049】
この場合、処理部9は、上記のステップ22において特定した接触位置を入れ替えてステップ29において検査対象基板Xに両コンタクトプローブ3a,3bの接触させたときに、「測定処理」において両コンタクトプローブ3の測定部6に対する接続態様を入れ替えた状態で「被測定量」を測定させる。これにより、コンタクトプローブ3aを接触させる検査ポイントを高電位とし、かつコンタクトプローブ3bを接触させる検査ポイントを低電位とする直流電圧を印加するような「測定処理」や、両検査ポイント間に一方向性素子が配設されている両検査ポイント間を流れる直流電流を測定するような「測定処理」を実行する必要がある検査対象基板Xについても、接触位置を入れ替えたコンタクトプローブ3a,3bを介して確実に「被測定量」を測定することができる。
【0050】
続いて、処理部9は、未検査の検査ポイントが存在するか否かを判別する(ステップ26)。この後、検査手順データD0に記録されているすべての検査ポイントについて上記の各処理を順次実行し、未検査の検査ポイントが存在しない状態となったときに(ステップ26)、処理部9は、各検査ポイントについての検査結果(良否判別の結果や、検査を行わなかった旨の情報)を記録した検査結果データD3を生成して、この基板検査処理20を終了する。以上により、検査対象基板Xについての検査が完了する。
【0051】
このように、この基板検査装置1では、検査対象基板Xが予め規定された基準検査位置から変位した状態となっているときに、処理部9が、「プロービング処理」において、検査手順データD0に基づいて特定される両コンタクトプローブ3の接触位置を基準検査位置からの変位状態に応じてそれぞれ変更すると共に、「第1の接触位置」に一方のコンタクトプローブ3を接触させつつ「第2の接触位置」に他方のコンタクトプローブ3を接触させるように移動機構4によって両コンタクトプローブ3を移動させることができないときに、一方のコンタクトプローブ3を「第2の接触位置」に接触させ、かつ他方のコンタクトプローブ3を「第1の接触位置」に接触させるように移動機構4によって両コンタクトプローブ3を移動させる。また、この動作プログラムDpでは、処理部9に上記のような処理を実行させる。
【0052】
したがって、この基板検査装置1、およびその動作プログラムDpによれば、基準検査位置に対する検査対象基板Xの変位に起因して、検査手順データD0においてコンタクトプローブ3aを接触させるように規定されている検査ポイント、およびコンタクトプローブ3bを接触させるように規定されている検査ポイントにコンタクトプローブ3a,3bを接触させることができない状態となっているときに、検査対象基板Xを再セットすることなく、検査手順データD0においてコンタクトプローブ3aを接触させるように規定されている検査ポイントにコンタクトプローブ3bを接触させ、かつコンタクトプローブ3bを接触させるように規定されている検査ポイントにコンタクトプローブ3aを接触させて両検査ポイントの間の「被測定量」を測定することができるため、検査に要する時間が長時間化することなく、短時間で確実に検査対象基板Xを検査することができる。
【0053】
また、この基板検査装置1では、処理部9が、「プロービング処理」において一方のコンタクトプローブ3を「第2の接触位置」に接触させ、かつ他方のコンタクトプローブ3を「第1の接触位置」に接触させたときに、「測定処理」において検査手順データD0によってそれぞれ指定されている両コンタクトプローブ3の測定部6に対する接続態様を入れ替えて測定部6に「被測定量」を測定させる。また、この動作プログラムDpでは、処理部9に上記のような処理を実行させる。したがって、この基板検査装置1、およびその動作プログラムDpによれば、コンタクトプローブ3a,3bの接触位置を入れ替えた場合に、想定されている「被測定量」を測定できないような「測定処理」を実行する必要がある検査対象基板Xについても、想定されている「被測定量」を確実に測定することができる。
【0054】
なお、「基板検査装置」の構成、および「検査装置用プログラム」の内容については、上記の基板検査装置1の構成、および動作プログラムDpによる基板検査処理20の内容の例に限定されない。例えば、Y軸方向案内部12a,12bの2つを1つのX軸方向案内部11によって左右方向(X軸方向)に案内する構成(X軸方向案内部11を共用する構成)の移動機構4を備えた基板検査装置1を例に挙げて説明したが、移動機構4におけるY軸方向案内部12a,12bに相当する構成要素を別個のX軸方向案内部によってそれぞれ案内する構成を採用することもできる。このような構成においても、Y軸方向案内部12aをY軸方向案内部12bよりも右方に移動させたりY軸方向案内部12bをY軸方向案内部12aよりも左方に移動させたりすることができないことがあるため、前述の基板検査処理20のように各処理を実行することで、基準検査位置に対して検査対象基板Xが変位した状態においても短時間で確実に検査することができる。
【0055】
また、X軸方向案内部、Y軸方向案内部およびZ軸方向案内部を備えた構成に代えて、コンタクトプローブ3a,3bを別個独立して移動可能な多軸アームを備えて「移動機構」を構成することもできる。このような構成においても、コンタクトプローブ3aを移動させるアームの存在に起因してコンタクトプローブ3bを任意の検査ポイントに接触させることができない状態となったり、コンタクトプローブ3bを移動させるアームの存在に起因してコンタクトプローブ3aを任意の検査ポイントに接触させることができない状態となったりすることがあるため、前述の基板検査処理20のように各処理を実行することで、基準検査位置に対して検査対象基板Xが変位した状態においても短時間で確実に検査することができる。
【0056】
さらに、移動機構4に取り付けたカメラ5によって撮像した撮像データの解析によって基準検査位置からの検査対象基板Xの変位の状態を特定する例について説明したが、このような構成・方法に代えて、光学測距計による計測結果に基づいて基準検査位置からの検査対象基板Xの変位の状態を特定する構成・方法を採用することもできる。また、上記の基板検査装置1において処理部9が生成する接触位置補正データD1については、「基板検査装置」に接続された外部装置(検査対象基板Xの変位の状態の特定や、特定結果に基づく補正情報の生成を実行可能な装置)によって生成されたデータを利用することもできる。
【0057】
また、コンタクトプローブ3a,3bの接触位置を入れ替えたときに、コンタクトプローブ3a,3bの測定部6に対する接続態様を入れ替えて「測定処理」を実行する構成・方法を例に挙げて説明したが、測定部6に対する接続態様を入れ替えなくても所望の「被測定量」を測定可能な「測定処理」時には、接続態様を入れ替えずに「測定処理」を実行することもできる。
【符号の説明】
【0058】
1 基板検査装置
2 基板保持部
3a,3b コンタクトプローブ
4 移動機構
5 カメラ
6 測定部
9 処理部
10 記憶部
11 X軸方向案内部
12a,12b Y軸方向案内部
13a,13b Z軸方向案内部
20 基板検査処理
A プロービング可能領域
D0 検査手順データ
D1 接触位置補正データ
D2 測定値データ
D3 検査結果データ
Dp 動作プログラム
X 検査対象基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7