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特開2022-108766法面吹付工法及びそれに用いられる吹付用機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108766
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】法面吹付工法及びそれに用いられる吹付用機械
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20220720BHJP
【FI】
E02D17/20 104B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003875
(22)【出願日】2021-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】390036504
【氏名又は名称】日特建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】弁理士法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石垣 幸整
(72)【発明者】
【氏名】三上 登
(72)【発明者】
【氏名】窪塚 大輔
(72)【発明者】
【氏名】西田 昂平
【テーマコード(参考)】
2D044
【Fターム(参考)】
2D044DA39
(57)【要約】      (修正有)
【課題】機械的に吹付作業を施工出来、吹付装置を一品製作でなく用意出来、吹付材を法面の表面上に均一厚さに正確に吹き付け出来る法面吹付工法及び吹付用機械の提供。
【解決手段】車両にアタッチメント1を取り付ける工程を有し、アタッチメント1は、長手方向に移動可能で且つ直交する方向に延在する板状部材2、板状部材2に沿って移動可能な吹付用ノズル3を備え、吹付用ノズル3を法面の表面形状に追随、移動するノズル移動工程を有し、ノズル移動工程では、アタッチメント1を伸縮する工程、アタッチメント1を揺動する工程、板状部材2をアタッチメント1の長手方向に移動する工程、板状部材2に沿い吹付用ノズル3を移動する工程、アタッチメント1の長手方向の回転中心に対し板状部材2を回動する工程、吹付用ノズル3を回動する工程を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両にアタッチメントを取り付ける工程を有し、
当該アタッチメントは、その長手方向に移動可能で且つ長手方向と直交する方向に延在する板状部材と、当該板状部材に沿って移動可能な吹付用ノズルを備えており、
吹付用ノズルを法面の表面形状に追随して移動するノズル移動工程を有し、
当該ノズル移動工程では、
アタッチメントを長手方向に伸縮する工程と、
前記アタッチメントを揺動する工程と、
前記板状部材をアタッチメントの長手方向に移動させる工程と、
前記板状部材に沿って吹付用ノズルを移動する工程と、
アタッチメントの長手方向に延在する回転中心に対して、前記板状部材を回動する工程と、
吹付用ノズルを回動する工程を含むことを特徴とする法面吹付工法。
【請求項2】
吹付材を吹き付ける場所が車両に設けられたブームの最高到達点よりも低い位置にある場合には、前記アタッチメントを取り付けることなく、前記車両に設けられたブームの車両と反対側の先端に吹付用ノズルを取り付けて、当該ブームを動かしつつ吹付用ノズルから吹付材を噴射し、
吹付材を吹き付ける場所が車両に設けられたブームの最高到達点よりも高い位置にある場合には、前記車両に設けられたブームの車両と反対側の先端にアタッチメントを取り付ける請求項1の法面吹付工法。
【請求項3】
吹付材を吹付用ノズル側に供給する吹付材供給系統は吹付固化材用ポンプを備え、吹付固化材用ポンプは移動可能な台車に載置されており、
吹付用ノズルから吹付材を噴射する際には当該吹付用ノズルに近接する位置に台車を移動する工程を有する請求項1、2の何れかの法面吹付工法。
【請求項4】
請求項1の吹付工法で用いられる吹付用機械において、
車両に設けられているブームに取り付け及び/又は当該ブームから取り外すためのアタッチメント側接続手段を有するアタッチメントを備え、
当該アタッチメントは、
最長な形状を有する第1の部材及び第2の部材を有し、第2の部材を第1の部材に摺動することにより長手方向に伸縮可能に構成され、
第2の部材の長手方向に移動可能で且つ長手方向と直交する方向に延在する板状部材と、当該板状部材に沿って吹付用ノズルを移動させる横方向移動用部材と、
第2の部材の長手方向に延在する回転中心に対して、前記板状部材を回動する第1の回動用部材と、
吹付用ノズルを回動する第2の回動用部材を含んでおり、
前記車両には第1の部材を揺動する車両側揺動部材が設けられていることを特徴とする吹付用機械。
【請求項5】
吹付材を吹き付ける場所が車両に設けられたブームの最高到達点よりも低い位置にある場合に、ブームに前記アタッチメントを取り付けずに、吹付用ノズルを直接ブームの車両と反対側の先端に取り付けるため、前記ブームの車両と反対側の先端には前記吹付用ノズルを取り付け/取り外し可能なブーム側接続部材が設けられている請求項4の吹付用機械。
【請求項6】
吹付材を吹付用ノズル側に供給する吹付材供給系統を備え、
当該吹付材供給系統には吹付固化材用ポンプが介装されており、
吹付用ノズルから吹付材を噴射する際に当該吹付用ノズルと前記吹付固化材用ポンプとの距離を短縮するため、当該吹付固化材用ポンプは移動可能な台車に載置されている請求項4、5の何れかの吹付用機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、法面表面に吹付材を吹き付ける法面吹付工法と、それに用いられる吹付用機械に関する。
【背景技術】
【0002】
不陸の多い法面の表面に吹付材を吹き付ける法面吹付工法は、作業員が吹付用ノズルを持って、所定箇所に吹付材を吹き付けることにより実行される作業(人手による作業)が多かった。
人手による吹付作業は転落その他の危険があり、また、人手により吹付用ノズルを把持しなければならないため、ホース閉塞時には作業員が危険に晒されてしまう。さらに作業効率が低い(例えば、作業員一人当たりの作業面積が100m2/日)という問題があった。
これに対して、機械を用いて吹付作業を行えば、人手による作業に比較して、遥かに作業効率が向上する。そして、作業員の危険が減少する。
そのため、自走可能な法面吹付装置(例えば、特許文献1)が提案されている。
【0003】
しかし、係る法面吹付装置(特許文献1)は、いわゆる「一品製作」で製造される場合があり、一品製作された場合には価格が高く、導入コストが高騰するという問題を有している。
また、吹付作業時に装置を固定するため、車両のアウトリガーを張り出さなければならず、アウトリガーによる固定作業に時間を費やしてしまう。
それに加えて、吹付用ノズルの位置や噴射方向の自由度が低いため、不陸の大きい法面の表面に、均一厚さで吹付材を吹き付けることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6454123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、機械的に吹付作業を施工することが出来て、使用する機械を一品製作することなく用意することが出来て、しかも吹付材を法面の表面上に均一厚さにて正確に吹き付けることが出来る法面吹付工法及びそれに用いられる吹付用機械の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の法面吹付工法は、
車両(30:無限軌道帯により進行する機械を含む)にアタッチメント(1)を取り付ける工程を有し、
当該アタッチメント(1)は、その長手方向に移動可能で且つ長手方向と直交する方向(横方向)に延在する板状部材(2)と、当該板状部材(2)に沿って移動可能な吹付用ノズル(3)を備えており、
吹付用ノズル(3)を法面(F)の表面形状に追随して移動するノズル移動工程を有し、
当該ノズル移動工程では、
アタッチメント(1)を長手方向(軸方向)に伸縮する工程と、
前記アタッチメント(1)を揺動する工程と、
前記板状部材(2)をアタッチメント(1)の長手方向に移動する工程と、
前記板状部材(2)に沿って吹付用ノズル(3)を移動する工程と、
アタッチメント(1)の長手方向に延在する回転中心に対して、前記板状部材(2)を回動する(揺動及び/又は回転する場合を含む)工程と、
吹付用ノズル(3)を回動する(揺動及び/又は回転する場合を含む)(吹付用ノズル3を前記板状部材2に対して回動する場合を含む)工程を含むことを特徴としている。
【0007】
本発明の法面吹付工法において、
吹付材を吹き付ける場所が車両(30:例えばバックホウの様に、無限軌道帯により進行する機械を含む)に設けられたブーム(31)の最高到達点よりも低い位置にある場合には、前記アタッチメント(1)を取り付けることなく、前記車両(30)に設けられたブーム(31)の車両(30)と反対側の先端に吹付用ノズル(3)を取り付けて、当該ブーム(31)を動かしつつ吹付用ノズル(3)から吹付材を噴射し、
吹付材を吹き付ける場所が車両(30:無限軌道帯により進行する機械を含む)に設けられたブーム(31)の最高到達点よりも高い位置にある場合には、前記車両(30)に設けられたブーム(31)の車両(30)と反対側の先端にアタッチメント(1)を取り付けるのが好ましい。
【0008】
また、本発明の法面吹付工法において、
吹付材を吹付用ノズル側に供給する吹付材供給系統(20)は吹付固化材用ポンプ(21:例えばコンクリートポンプ)を備え、吹付固化材用ポンプ(21)は移動可能な台車(22)に載置されており、
(ポンプ圧送距離に施工範囲が限定されてしまうことを可能な限り避けるため)吹付用ノズル(3)から吹付材を噴射する際には当該吹付用ノズル(3)に近接する位置に台車(22)を移動する工程を有することが好ましい。
【0009】
本発明の法面吹付工法(請求項1の吹付工法)で用いられる吹付用機械(100)は、
車両(30:無限軌道帯により進行する機械を含む)に設けられているブーム(31)に取り付け及び/又は当該ブーム(31)から取り外すためのアタッチメント側接続手段(4)を有するアタッチメント(1)を備え、
当該アタッチメント(1)は、
最長な形状を有する第1の部材(1-1:車両側部材)及び第2の部材(1-2:吹付用ノズル側部材)を有し、第2の部材(1-2)を第1の部材(1-1)に摺動(スライド)することにより長手方向に伸縮可能に構成され、
第2の部材(1-2:吹付用ノズル側部材)の長手方向に移動可能で且つ長手方向と直交する方向(横方向)に延在する板状部材(2)と、当該板状部材(2)に沿って吹付用ノズル(3)を移動させる横方向移動用部材(5)と、
第2の部材(1-2:吹付用ノズル側部材)の長手方向に延在する回転中心に対して、前記板状部材(2)を回動する第1の回動用部材(6)と、
吹付用ノズル(3)を回動する(吹付用ノズル3を前記板状部材2に対して回動することを含む)第2の回動用部材(7)を含んでおり、
前記車両(30)には第1の部材(1-1:車両側部材)を揺動する車両側揺動部材(8)が設けられていることを特徴としている。
【0010】
本発明の吹付用機械(100)において、
吹付材を吹き付ける場所が車両(30:例えばバックホウの様に、無限軌道帯により進行する機械を含む)に設けられたブーム(31)の最高到達点よりも低い位置にある場合に、ブーム(31)に前記アタッチメント(1)を取り付けずに、吹付用ノズル(3)を直接ブーム(31)の車両(30)と反対側の先端に取り付けるため、前記ブーム(31)の車両(30)と反対側の先端には前記吹付用ノズル(3)を取り付け/取り外し可能なブーム側接続部材(32)が設けられていることが好ましい。
【0011】
また、本発明の吹付用機械(100)において、
吹付材を吹付用ノズル側に供給する吹付材供給系統(20)を備え、
当該吹付材供給系統(20)には吹付固化材用ポンプ(21:例えばコンクリートポンプ)が介装されており、
吹付用ノズル(3)から吹付材を噴射する際に当該吹付用ノズル(3)と前記吹付固化材用ポンプ(21)との距離を短縮するため、当該吹付固化材用ポンプ(21)は移動可能な台車(22)に載置されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
上述の構成を具備する本発明によれば、人手によらず機械により吹付作業を施工できるので、従来の手作業に比較して作業者の危険が少ない。
また、ブーム(31)を有する既存の車両(30)における当該ブーム(31)にアタッチメント(1)を取り付けることにより、吹付装置(100)を一品製作することなく用意することが出来るので、施工コストが節約される。
そして、アタッチメント(1)を取り付けるべき車両(30)を適宜選択して、吹付作業の施工高さに対応した車両(30)を選択することにより、施工範囲が限定されることがない。
同様に、適切な作業を選択することにより、車両のアウトリガーの張り出しによる固定作業を省略することが可能となる。
そして、大容量の吹付材を施工するべき法面(F)に対して吹き付けることが出来る。
【0013】
それに加えて本発明によれば、吹付用ノズル(3)を法面(F)の表面形状に追随して移動し、ノズルを移動するに際しては、アタッチメント(1)を長手方向(軸方向)に伸縮し、前記アタッチメント(1)を揺動し、前記板状部材(2)をアタッチメント(1)の長手方向に移動し、前記板状部材(2)に沿って吹付用ノズル(3)を移動し、アタッチメント(1)の長手方向に延在する回転中心に対して前記板状部材(2)を回動し、或いは、吹付用ノズル(3)を回動するので、吹付用ノズル(3)の位置及び吹付材の吹付方向の自由度が大きくなり、その制御が高精度で行われる。そのため、吹付用ノズル(3)を法面(F)の表面形状に対して高精度にて追随して移動することが出来、不陸(凹凸)が多く複雑な形状の法面であっても、吹付用ノズル(3)から噴射される吹付材を法面(F)の表面上に、均一厚さにて正確に吹き付けることが出来る。その結果、法面(F)の表面に均一厚さの吹付層を正確に形成することが出来る。
【0014】
ここで、本発明ではアタッチメント(1)における第1の部材(1-1)及び第2の部材(1-2)は相互に摺動(スライド)して伸縮するので、固化材搬送用の配管として可撓性の高いゴムホース(11)を使用し、アタッチメント(1)の収縮時と伸長時の長手方向長さの差をゴムホース(11)を弛ませることによって吸収する必要がある。しかし、剛性のある配管に比較して、可撓性の高いゴムホース(11)は配管抵抗が高いことが知られている。そして、ゴムホース(11)を弛ませることによりアタッチメント(1)の収縮時と伸長時の長手方向長さの差を吸収するので、ゴムホース(11)を弛ませる分だけゴムホース(11)の全長を、固定配管に比較して長くする必要がある。そのため、ゴムホース(11)により構成されている吹付材供給系統(20)では配管抵抗が大きく、従来のエア圧送に比較して配管が閉塞する可能性が高い。
それに対して、本発明で、吹付材供給系統(20)に吹付固化材用ポンプ(21)を介装し、吹付固化材用ポンプ(21)を移動可能な台車(22)に載置すれば、台車(22)を移動して吹付固化材用ポンプ(21)吐出口から吹付用ノズル(3)までの距離(吹付固化材用ポンプ21吐出口から吹付用ノズル3までのゴムホース11の長さ)を短くして、吹付材供給系統(20)における配管抵抗を小さくすることが出来る。その結果、ゴムホース(11)の閉塞を抑制することが出来る。それに加えて、吹付固化材用ポンプ(21)を移動可能な台車(22)に載置しているので、ポンプ圧送距離に施工範囲が限定されてしまうことを可能な限り避けることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態の概要を示す説明図である。
図2】実施形態において、アタッチメントを長手方向に伸縮する工程を示す説明図である。
図3】アタッチメントを揺動する工程を示す説明図である。
図4】板状部材に沿って吹付用ノズルを横方向に移動する工程を示す説明図である。
図5】板状部材に沿って吹付用ノズルを横方向に移動する機構の一例を示す説明図である。
図6】前記板状部材を回動する工程を示す説明図である。
図7】板状部材を回動する機構の一例を示す説明図である。
図8】板状部材を回動する機構の図7とは異なる例を示す説明図である。
図9】ノズルを回動する工程を示す説明図である。
図10】ノズルを揺動する機構の一例を示す説明図である。
図11図10の機構における揺動を示す説明図である。
図12】ノズルを揺動する機構であって、図10図11で示すのとは別の例を示す説明図である。
図13】ノズル先端を回転する機構の一例を示す説明図である。
図14】吹付用ノズルの構造を示す説明図である。
図15】実施形態における吹付材供給系統の要部を示す説明図である。
図16】実施形態における吹付材供給系統における変形例を示す説明図である。
図17】実施形態において、アタッチメントを用いることなく吹付を行う態様を示す説明図である。
図18図17で示す態様の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
最初に図1を参照して、本発明の実施形態の概要を説明する。
図1において、本発明の実施形態に係る吹付用機械100は、車両30(軌道帯により進行する機械を含む)と、車両30のブーム31に取り付け可能/取り外し可能なアタッチメント1を有している。そしてアタッチメント1は、アタッチメント側接続手段4によりブーム31に接続されている。
後述する様に、アタッチメント1は第1の部材1-1(車両側部材)及び第2の部材1-2(吹付用ノズル側部材)を有しており、第1の部材1-1と第2の部材1-2が摺動(スライド)することにより、アタッチメント1は長手方向に伸縮可能である。換言すれば、第1の部材1-1に対して、第2の部材1-2は移動(摺動)可能である。
アタッチメント1には、長手方向と直交する方向(横方向)に延在する板状部材2と、当該板状部材2に沿って移動可能な吹付用ノズル3が設けられている。そして、吹付用ノズル3は、吹付作業が行われるべき法面F(施工法面)の表面形状に追随して移動する(ノズル移動工程を実行する)ように構成されている。なお、吹付用ノズル3に吹付材(固化材)を供給するゴムホース(供給ホース)が符号11で示されている。
【0017】
詳細を後述するように、図1の吹付機械100は、
アタッチメント1を長手方向(軸方向)に伸縮する工程(図2参照)、
前記アタッチメント1を揺動する工程(図3参照)、
前記板状部材2をアタッチメント1の長手方向に移動させる工程(図2参照)、
前記板状部材2に沿って吹付用ノズル3を移動する工程(図4参照)、
アタッチメント1の長手方向に延在する回転中心に対して、前記板状部材2を回動する(揺動及び/又は回転する場合を含む)工程(図7参照)、
吹付用ノズル3を(吹付用ノズルを前記板状部材に取り付ける取付機構において)回動する(揺動及び/又は回転する場合を含む)工程(図9参照)
が実行可能である様に構成されている。上記の各工程により、吹付用ノズル3を法面Fの表面形状に追随して移動するノズル移動工程が構成されている。
図1において、連接ロッド33を介して、車両30と台車22が接続されており、台車22にはコンクリートポンプ21が載置されている。図15を参照して後述するように、コンクリートポンプ21から吐出される吹付材(固化材)をゴムホース11で吹付用ノズル3(図示しない)に圧送する距離を短くして、ゴムホース11内の閉塞の危険性を減少するためである。
【0018】
アタッチメント1を長手方向に伸縮する工程が図2で示されている。
図2において、アタッチメント1は、長手方向に延在する形状を有する第1の部材1-1(車両側部材)及び第2の部材1-2(吹付用ノズル側部材)を有し、第2の部材1-2を第1の部材1-1にスライド(摺動)することにより、アタッチメント1(第1の部材1-1、第2の部材1-2)は長手方向に伸縮可能である。
アタッチメント1は、第1の部材1-1の車両側端部近傍にアタッチメント側接続手段4を有しており、アタッチメント側接続手段4を介して、車両30のブーム31に取り付け及び/又は取り外し自在に構成されている。
図2は、アタッチメント1を最も伸長した状態を示しており、第2の部材1-2の下端部は第1の部材1-1の上端部近傍に位置している。一方、図示しないが、アタッチメント1が最短となるように収縮した状態では、第2の部材1-2の上端部は第1の部材1-1の上端部近傍に位置する。図2において、矢印Sは第2の部材1-2の上端部の移動範囲を示している。
アタッチメント1の第2の部材1-2を第1の部材1-1に対してスライドするための機構としては、例えばフォークリフトで用いられている公知の機構を採用することが出来る。
【0019】
図2において、アタッチメント1の第2の部材1-2には、第2の部材1-2の長手方向に移動可能であって、且つ長手方向と直交する方向(横方向)に延在(図4参照)する板状部材2が取り付けられている。図2では、単一の板状部材2が第2の部材1-2の最上方に移動した状態と、最下方に移動した状態と、最上方と最下方の中間位置に移動した状態とが示されている。板状部材2が3個設けられている訳ではない。
アタッチメント1が最短となるように収縮した状態(図示せず)を含めると、板状部材2がアタッチメント1の長手方向について移動可能な範囲は、図2に示す3つの位置の範囲の概略2倍の範囲となる。板状部材2を第2の部材1-2の長手方向に移動するための機構として、従来公知の機構を用いることが出来る。
板状部材2には吹付用ノズル3が取り付けられ、吹付用ノズル3は板状部材2に沿って横方向(図2で紙面に垂直な方向)に移動可能である。なお、図2において、吹付用ノズル3に固化材(吹付材)を供給する供給ホースが符号11で示されている。
【0020】
アタッチメント1を揺動する工程が図3で示されている。
図3において、車両30のブーム31には、アタッチメント1(の第1の部材1―1)を揺動する車両側揺動部材8が設けられている。図3では、車両側揺動部材8によりアタッチメント1を最大15°の範囲で揺動するように設定されるが、「最大15°」は例示であり、その他の角度に設定することが出来る。
アタッチメント1を揺動する車両側揺動部材8として、従来公知の機構を用いることが出来る。
【0021】
板状部材2に沿って吹付用ノズル3がスライド(摺動:移動)する工程が図4に示されている。
図4において、吹付用ノズル3は板状部材2に沿って、アタッチメント1の長手方向と直交する方向(矢印A4方向)にスライド(移動)する。図4では、単一の吹付用ノズル3が、板状部材2の長手方向(矢印A4方向)の両端位置及び中央位置に位置した状態が表示されている。吹付用ノズル3が3個設けられている訳ではない。
吹付用ノズル3には供給ホース11が接続されている。
吹付用ノズル3は横方向移動用部材5により板状部材2に沿って移動する。横方向移動用部材5について、図5を参照して説明する。
【0022】
図5において、板状部材2に配置される横方向移動用部材5は、一対のスプロケット5A、5A、スプロケット5Aにより駆動されるチェーン5B、チェーン5Bに固定されたノズル取付部材5Cを有している。ノズル取付部材5Cはチェーン5Bに固定されていると共に、板状部材2に取り付けられている角状パイプ(図示せず)に回転ローラー(図示せず)を介して取り付けられている。そしてノズル取付部材5Cには吹付用ノズル3が取り付けられている。
板状部材2に沿って吹付用ノズル3を移動する際は、一対のスプロケット5Aのうち一方を駆動源(例えば、図示しない油圧モータ)により正転或いは逆転し、それによりチェーン5Bが左右に走行する。そして、チェーン5Bに固定されたノズル取付部材5Cと共に吹付用ノズル3が図5の左右方向(矢印A5)に移動する。
吹付施工者の操作により図示しない油圧モータを停止することにより、ノズル取付部材5Cに取り付けられた吹付用ノズル3は、任意の位置に停止、固定する。
なお、図5では吹付用ノズル3は、板状部材2の長手方向に対して垂直方向(図5で紙面に垂直な方向)を向いて配置されているが、図9図13を参照して後述する様に、吹付用ノズル3を回動(揺動及び/又は回転する場合も含む)することが出来る。
【0023】
図6は、板状部材2の回転中心軸C6を中心とした回動(矢印R1)が示されている。回転中心軸C6は、アタッチメント1の第2の部材1-2の長手方向に延在している。図示の煩雑を防ぐために、図6ではノズル3の図示は省略している。
板状部材2の回動は、図7図8を参照して後述する第1の回動用部材6、6-1により実行される。
【0024】
図7で模式的に示す第1の回動用部材6は、伸縮自在な第1のシリンダ6A及び第2のシリンダ6Bを備え、第1のシリンダ6Aはシリンダ取付部6Cと板状部材2における回動自在な軸支点2aを連結し、第2のシリンダ6Bはシリンダ取付部6Cと板状部材2における回動自在な軸支点2bとを連結している。
第1及び第2のシリンダ6A、6Bの伸縮量を等しい場合には、板状部材2は実線で示す回動位置P1となり、第1のシリンダ6Aを伸長して第2のシリンダ6Bを収縮すると板状部材2は回動し(矢印R2)、例えば破線で示す回動位置P2となる。第1のシリンダ6Aの伸縮量を調整することにより、板状部材2を様々な位置に固定することが出来る。
【0025】
第1の回動用部材の変形例6-1を示す図8において、第2の部材1-2(図8では図示せず)に取り付けられた第1の回動用部材6―1は、板状部材支持部6-1A及び取付部2cにより、板状部材2を回動自在に軸支している。板状部材支持部6-1Aは第1の回動用部材6―1の本体部の先端近傍に設けられ、取付部2cは板状部材2側の取付ブラケット2Aに設けられている。
第1の回動用部材6-1には伸縮自在なシリンダ6―1Bが設けられている。シリンダ6―1Bは、第1の回動用部材6-1本体部のシリンダ取付部6-1Cとシリンダ取付部2dとを連結している。シリンダ取付部2dは、板状部材2側の取付ブラケット2Aに設けられている。
【0026】
図8に示す様に、板状部材2のシリンダ取付部2dは、取付ブラケット2Aに設けられた取付部2c(本体部の板状部材支持部6-1A)とは、シリンダ取付部6-1Cのシリンダ伸縮方向に対してオフセットしている。そのため、シリンダ6-1Bを伸縮すると、板状部材2を回動させることが出来る(矢印R3)。
例えば、シリンダ6-1Bを実線で示す様に圧縮すると、板状部材2を図8において実線で示す回動位置P3とすることが出来る。或いは、シリンダ6-1Bを点線で示す様に伸長すると、板状部材2を図8において破線で示す回動位置P4とすることが出来る。そしてシリンダ6-1Bの伸縮量を調整することにより、板状部材2を様々な回動位置に固定することが出来る。
【0027】
図9は、吹付用ノズル3の回動(揺動)を示している。
図9において、吹付用ノズル3は、図示しない板状部材2に取付機構9により移動可能に設けられており、矢印R4で示す様に回動(揺動及び/又は回転する場合を含む)する。図9で符号11は吹付用ノズル3に固化材を供給する供給ホースを示す。
吹付用ノズル3は第2の回動用部材7により回動され、第2の回動用部材7について図10図13を参照して説明する。
【0028】
図10で示す第2の回動用部材7は、吹付用ノズル3を回動する機構の一例である。
図10において、第2の回動用部材7は、本体部7Aに設けられた回転軸7Bにより円盤部7Cが回転し、円盤部7Cにはロッド7Dの一端部7DAが回動自在に軸支されている。ロッド7Dの他端部7DBは、吹付用ノズル3の基部近傍において、連結部材7Eを介して接続部材3Dに連結されている。接続部材3Dは、吹付用ノズル3と供給ホース11を接続している。
明確には図示されていないが、ロッド7Dの他端部7DBは、連結部材7Eに対して、例えば、図11において上下方向には移動可能であるが、左右方向には移動しない様に軸支されている。他端部7DBをその様に軸支した場合には、第2の回動用部材7の円盤部7Cを回転させると(図11の矢印R5)、円盤部7Cの回転は、ロッド7D、連結部材7E、接続部材3Dを介して吹付用ノズル3に伝達され、吹付用ノズル3は、例えば図10において矢印R6で示す様に揺動する。揺動角度は、例えば片側で45°である。
なお、ロッド7Dの一端部7DAの円盤部7Cにおける位置(回転中心7C1との位置関係)等を調整し、且つ、ロッド7Dの他端部7DBは連結部材7Eに対して回転自在に固定(軸支)することにより、吹付用ノズル3の先端は、図10において矢印R7で示す様に回転させることが出来る。
【0029】
吹付用ノズル3を回動する機構は図10図11で示す機構に限定される訳ではなく、例えば、図12で示すような機構であっても良い。図12は吹付用ノズル3を回動する機構である第2の回動用部材の変形例7-1を示している。
図12において、第2の回動用部材7-1は、伸縮自在な第1のシリンダ7-1A及び第2のシリンダ7-1Bを備え、第1のシリンダ7-1Aは第1のシリンダ取付部7―1Cと吹付用ノズル3側のブラケット3Aにおける取付部3aとを連結しており、第2のシリンダ7-1Bは第2のシリンダ取付部7―1Dと吹付用ノズル3側のブラケット3Aにおける取付部3bとを連結している。
【0030】
第1及び第2のシリンダ7-1A、7-1Bの伸縮量に応じて、吹付用ノズル3は回動中心3Bに対して回動(揺動)し(矢印R8)、所定の揺動角度に保持される。第1及び第2のシリンダ7-1A、7-1Bの伸縮量を等しくすると、吹付用ノズル3は図12における実線の位置(位置P5)に保持される。
第1のシリンダ7-1Aを収縮し、第2のシリンダ7-1Bを伸長すると、吹付用ノズル3は揺動中心3Aに対して左側(図12で)に移動し、破線で示す揺動位置(位置P6)に位置する。一方、第1のシリンダ7-1Aを伸長し、第2のシリンダ7-1Bを収縮すると、吹付用ノズル3は揺動中心3Aに対して右側(図12で)に移動し、破線で示す揺動位置(位置P7)となる。そして、第1のシリンダ7-1A、第2のシリンダ7-1Bの伸縮量を調整することにより、吹付用ノズル3を様々な揺動位置とすることが出来る。
図12において、吹付用ノズル3の揺動角度は、例えば片側で15°である。
【0031】
吹付用ノズル3を回動については、図10図12で示す様な揺動に加えて、吹付用ノズル3の先端が小円の軌跡を描くように回転させる場合も含む。図13は、吹付用ノズル3の先端が小円の軌跡を描くように回転させる第2の回動用部材の第2の変形例7-2を示している。
図13において、第2の回動用部材7-2は、本体部7-2Aに設けられた回転軸7-2Bに第1の円盤部7-2Cが回転自在に軸支され、第1の円盤部7-2Cには第2の円盤部7-2Dが軸部7-2DAで回転自在に軸支されている。第1の円盤部7-2Cの回転中心7-2CAは第1の円盤部7-2Cの中心(円形の中心点)に対してオフセットされている。
第2の円盤部7-2Dの端部7-2DB(図13で上端)は接続部材7-2Eに連結されており、接続部材7‐2Eには吹付用ノズル3の支持部材3Eが固定されている。
【0032】
図13において、第1の円盤部7-2Cが回転軸7-2CAを中心に回転すると(矢印R9)、第2の円盤部7-2Dが偏芯回転し、当該偏芯回転は、接続部材7-2E、支持部材3Eを介して吹付用ノズル3に伝達され、吹付用ノズル3の先端は小円の軌跡を描くように回転する(矢印R12)。
第1の円盤部7-2Cの回転中心7-2CAのオフセット量、第2の円盤部7-2Dの軸支位置7-2DA等を調整することにより、吹付用ノズル3の先端の回転R12の回転半径等を調整することが出来る。
なお、図示の簡略化と説明を平易にするため、図13は実機に対して上下逆の態様で表現されている。
【0033】
次に主として図14図16を参照して、図示の実施形態における吹付材供給系統20について説明する。
図示の実施形態では、コンクリートポンプ23(図15図16参照)から供給ホース11により圧送されて吹付用ノズル3から噴射される固化材(コンクリート等)は、硬化により吹付材供給系統を閉塞することを防止するためスランプ値が大きく、そのままの状態では、法面に付着しない。
そのため、吹付材供給系統20における吹付用ノズル3の噴射直前の位置に急結剤リング12を設け、急結剤リング12でエアと急結剤と固化材とを混入して噴射している。急結剤を混入することにより、固化材のスランプ値が大きくても、吹付用ノズル3から吹き付けられた材料が法面で固化する。
【0034】
図14において、吹付材供給系統20は、コンクリートポンプ21から固化材を吹付用ノズル3に供給する固化材配管11(ゴムホース)、吹付用ノズル3の上流側に隣接する位置で固化材配管11に接続する(合流する)様に配置された急結剤リング12、図示しないエア供給源から急結剤リング12の上流側にエアを供給するエア配管13(例えばゴムホース)、図示しない急結剤供給源から急結剤リング12の上流側に急結剤を供給する急結剤配管14(例えばゴムホース)を有している。
急結剤リング12は、固化材配管11に合流する合流部12A、エア配管13との接続部12B、急結剤配管14との合流部12Cを備えている。
コンクリートポンプ21から固化材配管11により圧送される固化材には、急結剤リング12の合流部12Aにおいてエアと急結剤が混入され、当該エアと急結剤が混入された固化材(吹付材)は吹付用ノズル3から施工法面に対して噴射される。
【0035】
図示の実施形態では、図2で示す様に、アタッチメント1(第1の部材1-1、第2の部材1-2)が収縮する。アタッチメント伸長時と収縮時の長手方向寸法の差を吸収するため、可撓性の高いゴムホース11(固化材配管)を使用して、アタッチメント収縮時にはゴムホース11を弛ませて対応している。しかし、アタッチメント伸長時に対応して配管抵抗の大きいゴムホース11の全長を長くすると、ゴムホース11内における閉塞の可能性が大きくなる。
そのため図示の実施形態では、図15に示す様に、ミキサー車23で製造された吹付材(固化材)をゴムホース11で吹付用ノズル3(図示しない)に圧送するためのコンクリートポンプ21(吹付固化材用ポンプ)を台車22に載置している。台車22を吹付工法の施工現場近傍まで移動させて、吹付用ノズル3に近接する位置に台車22を移動すれば、コンクリートポンプ21から吹付用ノズル3までの距離(ゴムホース11の全長)を短くすることが出来て、以て、ゴムホース11内の閉塞の危険性を減少することが出来る。この場合、例えば図1で示す様に、車両30と台車22を連接ロッド33を介して接続することが出来る。
図示の実施形態における吹付材供給系統20では、図16で示す様に、コンクリートポンプ21を台車22に載置しないことが可能である。その場合、固化材用のプラント(コンクリートミキサー車23、コンクリートポンプ21を含む)が、吹付工法の施工現場近傍に設けられることになる。
【0036】
図1図16を参照して説明した実施形態では、吹付材を吹き付ける場所(例えば法面F)が車両30に設けられたブーム31の最高到達点よりも低い位置にある場合には、アタッチメント1を取り付けると吹付用ノズル3は吹き付ける場所よりも高い位置となり、吹き付けが困難になる。
吹付材を吹き付ける場所がブーム31の最高到達点よりも低い位置にある場合には、図17で示す様に、車両30に設けられたブーム31にアタッチメント1を取り付けずに、ブーム31の車両30と反対側の先端(最高到達点側の先端)に、吹付用ノズル3を取り付け/取り外し可能なブーム側接続部材32を介して吹付用ノズル3を取り付けて、ブーム31を動かしつつ吹付用ノズル3から吹付材を噴射する。
吹付材を吹き付けるべき箇所がブーム31の最高到達点よりも高い位置にある場合には、図1図16を参照して説明したように、ブーム31にアタッチメント1を取り付けて、吹付作業を行う。
【0037】
図17で示す態様では、ノズル3はブーム側接続部材32に固定されているが、図18で示す様に、ブーム側接続部材32に板状部材2を取り付け、ノズル3は板状部材2の長手方向(図18の左右方向:矢印A4方向)に移動可能に構成することが出来る。
ノズル3を板状部材2の長手方向に移動可能とするには、例えば、図4を参照して説明した工程を実行するための構成を用いれば良い。
図18で示す態様(図17で示す態様の変形例)では、吹付材を吹き付ける場所がブーム31の最高到達点よりも低い位置にある場合において、ブーム側接続部材32近傍の領域のみならず、ブーム側接続部材32から板状部材2の長手方向(図18の左右方向:矢印A4方向)に離隔した個所に対しても吹付材を噴射することが出来る。
【0038】
図示の実施形態によれば、吹付用機械100を使用して吹付作業を施工できるので、従来の作業者の手作業に比較して作業者の危険が少ない。加えて作業効率も高い。
また、ブーム31を有する既存の車両30におけるブーム長手方向に伸縮自在なアタッチメント1を取り付けることにより、一品製造によらずに吹付用装置100を用意することが出来るので、施工コストが節減される。
そして、アタッチメント1を取り付けるべき車両30を適宜選択することにより、施工範囲が限定されることがなくなり、アウトリガーの張り出しによる固定作業を省略することが可能になる。
そのため、大容量の吹付材を施工するべき法面(F)に対して吹き付けることが出来る。
【0039】
それに加えて図示の実施形態によれば、吹付用機械100のアタッチメント1は、その長手方向に移動可能で且つ長手方向と直交する方向(横方向)に延在する板状部材2、当該板状部材2に沿って移動可能な吹付用ノズル3、板状部材2に沿って吹付用ノズル3を移動させる横方向移動用部材5、アタッチメント1の第2の部材1-2の長手方向に延在する回転中心に対して板状部材2を回動する第1の回動用部材6、吹付用ノズル3を回動する第2の回動用部材7を含んでおり、また、前記車両30にはアタッチメント1の第1の部材1-1を揺動する車両側揺動部材8が設けられている。そして、吹付用ノズル3を法面Fの表面形状に追随して移動するノズル移動工程を有し、ノズル移動工程では、アタッチメント1(第1の部材1-1、第2の部材1-2)を長手方向に伸縮する工程と、アタッチメント1を揺動する工程と、板状部材2をアタッチメント1の長手方向に移動させる工程と、板状部材2に沿って吹付用ノズル3を移動する工程と、アタッチメント1の長手方向に延在する回転中心に対して板状部材2を回動する工程と、吹付用ノズル3を回動する工程を含んでいる。
そのため、吹付用ノズル3の位置及び吹付材の吹付方向の自由度が大きくなり、その制御が高精度で行われるので、吹付用ノズル3を法面Fの表面形状に対して正確に追随して移動することが出来る。したがって、不陸(凹凸)が多く複雑な形状の法面であっても、吹付用ノズル3から噴射される吹付材を法面Fの表面上に、均一厚さにて正確に吹き付けることが出来、法面Fの表面に均一厚さの吹付層を正確に形成することが出来る。
【0040】
また、図示の実施形態によれば、吹付材供給系統20に吹付固化材用ポンプ21(コンクリートポンプ)を介装し、コンクリートポンプ21は移動可能な台車22に載置しているので、台車22を移動することによりコンクリートポンプ21吐出口から吹付用ノズル3までの距離を短くして、固化材用配管であるゴムホース11の全長を短くすることが出来るので、ゴムホース11における配管抵抗を小さくすることが出来、配管閉塞の可能性を低減出来る。
【0041】
さらに、図示の実施形態によれば、吹付材供給系統20は、吹付用ノズル3の上流側に隣接する合流部12Aで固化材配管11に合流する急結剤リング12を配置し、急結剤リング12は上流側の接続部12Bでエア配管13からのエアを導入し、上流側の合流部12Cで急結剤配管14からの急結剤を導入しているので、ゴムホース11により圧送される固化材のスランプ値が大きくても、エアと急結剤が混入された固化材(吹付材)は吹付用ノズル3から法面に噴射されると、法面で確実に固化する。
【0042】
また、吹付材を吹き付ける法面等が車両30に設けられたブーム31の最高到達点よりも低い位置にある場合には、ブーム31にはアタッチメント1を取り付けることなく、ブーム31の車両30と反対側の先端に、吹付用ノズル3を取り付け/取り外し可能なブーム側接続部材32を介して、吹付用ノズル3を取り付けて、当該ブーム31を動かしつつ吹付用ノズル3から吹付材を噴射することが出来る。
この場合、図18で示す様に、吹付ノズル3を板状部材2の長手方向(図18では左右方向:矢印A4方向)に移動可能に構成して、効率的に吹付材を噴射することが可能である。
そのため、ブーム31の最高到達点よりも低い位置の吹付作業も容易且つ高精度に施工できて、正確な位置への吹き付け、均一の厚さの吹き付けが可能となる。
【0043】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【符号の説明】
【0044】
1・・・アタッチメント
1-1・・・第1の部材(車両側部材)
1-2・・・第2の部材(吹付用ノズル側部材)
2・・・板状部材
3・・・吹付用ノズル
4・・・アタッチメント側接続手段
5・・・横方向移動用部材
6・・・第1の回動用部材
7・・・第2の回動用部材
8・・・車両側揺動部材
11・・・ゴムホース(固化材用配管)
20・・・吹付材供給系統
21・・・コンクリートポンプ(吹付固化材用ポンプ)
22・・・台車
30・・・車両
31・・・ブーム
32・・・ブーム側接続部材
100・・・吹付用機械
F・・・法面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18