(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108772
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】車両構造
(51)【国際特許分類】
B60N 3/04 20060101AFI20220720BHJP
A62C 3/07 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
B60N3/04 A
A62C3/07 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003886
(22)【出願日】2021-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】奥野 倫子
(72)【発明者】
【氏名】梶本 恵子
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088FA03
3B088FB06
3B088FC01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】面ファスナー等を用いることなく、消火器取付用のブラケットを覆い隠すフロアカーペットの切り欠き片のバタつきを防止することのできる車両構造を提供する。
【解決手段】フロアクロスメンバー3を覆うフロアカーペット2に、開閉可能な切り欠き片5を一部に有する切り欠き部を形成する。切り欠き片5を捲って露出させたフロアクロスメンバー3に消火器取付用のブラケット4を固定する。切り欠き片5でブラケット4を覆い隠して見栄えをよくし、切り欠き片5の端部をブラケット4と消火器6とで挟持してバタつきを抑制する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアカーペットで覆われた車両床面に消火器取付用のブラケットが固定された車両構造において、前記車両床面のうちの前記ブラケットを固定する部位を覆うフロアカーペットに、開閉可能な切り欠き片を一部に有する切り欠き部が形成され、前記切り欠き片の端部がブラケットと消火器との間に挟持されたことを特徴とする車両構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアカーペットで覆われた車両床面に消火器取付用のブラケットが固定された車両構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両内に消火器を取り付ける場合、例えばシートの直ぐ前方の車両床面にブラケットを固定し、このブラケットによって消火器を保持することが多い(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両床面は、フロアカーペットで覆われていることが多く、そのような車両床面に消火器取付用のブラケットを固定するには、ブラケットをフロアカーペットの上側からフロアカーペットを共締めしつつ車両床面にボルト締結したり、フロアカーペットに穴をあけて露出させた車両床面にブラケットを直接固定したりすることが多い。ただ、これらの手法で固定したブラケットは、いずれもその全体を車両内に露出させるものであり、その見栄えが悪くなりやすい。
【0005】
これに対して、フロアカーペットの一部を切り欠いて、一時的に露出させた車両床面にブラケットを直接固定した後、フロアカーペットの切り欠き片を被せてブラケットを隠すことが考えられる。
【0006】
しかしながら、フロアカーペットの切り欠きを小さくすると、その復元力が大きくなり、車両床面へのブラケットの固定作業が完了するまで車両床面を露出させておくのが難しくなりやすい。一方、ブラケットを固定する際の作業性を考慮して、フロアカーペットの切り欠きを大きくすると、ブラケットを隠すように被せた切り欠き片がバタつくおそれがあり、これを止めるのに面ファスナー等を必要とする。
【0007】
本発明は、面ファスナー等を用いることなく、消火器取付用のブラケットを覆い隠すフロアカーペットの切り欠き片のバタつきを防止することのできる車両構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両構造は、フロアカーペットで覆われた車両床面に消火器取付用のブラケットが固定されたものであり、前記車両床面のうちの前記ブラケットを固定する部位を覆うフロアカーペットに、開閉可能な切り欠き片を一部に有する切り欠き部が形成され、前記切り欠き片の端部がブラケットと消火器との間に挟持されたものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のとおり、本発明によると、フロアカーペットで覆われた車両床面に消火器取付用のブラケットを固定することを前提とし、車両床面のうちのブラケットを固定する部位を覆うフロアカーペットに、開閉可能な切り欠き片を一部に有する切り欠き部を形成し、その切り欠き片の端部をブラケットと消火器との間に挟持するようにしている。
【0010】
これにより、フロアカーペットの切り欠き片でブラケットの取付部を覆い隠して見栄えをよくすることができ、しかも、フロアカーペットを大きく切り欠いてブラケットの取付作業性を高めることができる。さらに、消火器を取り付けて切り欠き片の端部を挟み込むことにより、切り欠き片のバタつきを抑制することができ、別途、面ファスナー等を必要とせず、コストや重量、生産性等を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】消火器取付部の斜視図で、(a)は消火器を取り付けて示す図、(b)は消火器を取り除いて示す図、(c)はさらに切り欠き片を捲って示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る車両構造を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0013】
図1及び
図2に示すように、本発明に係る車両構造は、消火器取付部1として、フロアカーペット2で覆われた車両床面のうちの例えばフロアクロスメンバー3に消火器取付用のブラケット4を固定したものであり、フロアクロスメンバー3のうちのブラケット4を固定する部位を覆うフロアカーペット2に、開閉可能な切り欠き部の切り欠き片5を形成し、この切り欠き片5の端部をブラケット4と消火器6との間に挟持したものである。
【0014】
フロアクロスメンバー3は、車体に対して横方向に配置されて、車両床面を構成するフロアパネルを補強する部材であり、例えば、シートの前方に位置して車両床面から逆台形状に隆起し、フロアカーペット2の穴7から露出する部位でシートの前側を支持する。フロアクロスメンバー3の前面には、ブラケット4を固定する部位が設定され、この部位をフロアカーペット2の切り欠き片5を捲って露出させるようになっている。
【0015】
ブラケット4は、フロアクロスメンバー3に固定される略長方形のベース板8の両端に、消火器6を係止する係止部9と、消火器6の全周を把持するホルダー10とを設けた構造とされる。ブラケット4のベース部8は、フロアカーペット2の切り欠き片5を捲って露出させたフロアクロスメンバー3の前面に2本のボルト11でボルト締結され、そのボルト11の頭部と消火器6との間に例えば5mm程度の隙間(a)をあけるように設定される。
【0016】
切り欠き片5は、フロアカーペット2のうちのフロアクロスメンバー3の前面から上面に至る範囲に、ブラケット4のベース板8の長さと同程度の幅で、上方が開放されたコ形の切れ目を入れて形成される。この切り欠き片5は、これを捲って露出させた部位にベース部8を固定した後、ベース部8を覆い隠すようになっている。
【0017】
切り欠き片5を構成するフロアカーペット2の厚さ(t)は、例えば隙間(a)よりも薄い4mm程度に設定され、フロアクロスメンバー3の前面にボルト締結されたベース部8を覆って、消火器6とベース部8とで挟み込んだ後、2本のボルト11を覆う部位と、消火器6との間に例えば1mm程度の余裕をあけて、消火器6を付けたまま抜き差しできるようになっている。
【0018】
図3に示すように、切り欠き片5は、フロアクロスメンバー3の前面から上面に至るまで大きく形成することによって、その柔軟性が十分に高められ、ブラケット4をボルト締結する際、そのボルト締結の邪魔にならないよう、内向きに折り返して仮止めすることができる。
【0019】
次に、
図4を用いて、消火器取付部1を構成する手順を説明する。
【0020】
まず、
図4(a)に示すように、フロアカーペット2のうちのフロアクロスメンバー3の前面から上面に至る範囲に、ブラケット4のベース板8の長さと同程度の幅で、上方が開放されたコ形の切れ目を入れて切り欠き片5を形成する。
【0021】
次いで、
図4(b)に示すように、切り欠き片5を内向きに折り返して仮止めし、露出したフロアクロスメンバー3の前面に、ベース部8を2本のボルト11でボルト締結することにより、ブラケット4を固定する。
【0022】
図4(c)に示すように、内向きに折り返した切り欠き片5を元に戻してベース部8を覆い隠す。
【0023】
図4(d)に示すように、ブラケット4の係止部9及びホルダー10で消火器6を保持し、ブラケット4のベース部8と消火器6との間に切り欠き片5の端部を挟み込むことにより、消火器取付部1が構成される。
【0024】
上記構成によれば、フロアカーペット2に切り欠き片5を形成するので、フロアクロスメンバー3の前面の一部を露出させてブラケット4を固定することができ、さらに、その切り欠き片5でブラケット4のベース部8を覆い隠して見栄えをよくすることができる。
【0025】
また、切り欠き片5を大きく形成して柔軟性を十分に高めることにより、専用の留め具を用いることなく、切り欠き片5を捲った状態に仮止めすることができ、ブラケット4の取付作業性を高めることができる。また、ブラケット4を固定してベース部8を切り欠き片5で覆った後、消火器6を取り付けて切り欠き片5の端部を挟持することにより、専用の留め具を用いることなく、柔軟性の高い切り欠き片5のバタつきを抑制することができる。
【0026】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、ブラケット4は、フロアクロスメンバー3の前面に固定するだけでなく、車両床面を構成するフロアパネルに固定することもできる。また、ブラケット4は、ボルト締結するだけでなく、フロアクロスメンバー3やフロアパネルに溶接して固定することもできる。また、切り欠き片5は、消火器6を付けたまま抜き差しできる程度の隙間をあけて挟み込むだけでなく、消火器6とベース部8とで、切り欠き片5の変位を阻止するまでカーペットを押し潰す程度に挟み込んでもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 消火器取付部
2 フロアカーペット
3 フロアクロスメンバー
4 ブラケット
5 切り欠き片
6 消火器
7 穴
8 ベース板
9 係止部
10 ホルダー
11 ボルト
a ボルトの頭部と消火器との隙間
t 切り欠き片の厚さ