(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108776
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20220720BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003896
(22)【出願日】2021-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】517065334
【氏名又は名称】東京アセット・パートナーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 宗也
(72)【発明者】
【氏名】黒田 ゆう
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC27
(57)【要約】
【課題】レンタルオフィスとしての空部屋の活用を促進することができる情報処理装置及びプログラムを提供すること。
【解決手段】情報処理装置10は、住宅の立地条件及び当該住宅の空部屋の有無を示す情報を含む住宅情報2を受け付ける住宅情報取得部21と、予め設定される判定条件3に基づいて、取得された住宅情報2の住宅のオフィス利用の適否を判定する利用適否判定部22と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の立地条件及び当該住宅の空部屋の有無を示す情報を含む住宅情報を受け付ける住宅情報取得部と、
予め設定される判定条件に基づいて、取得された前記住宅情報の前記住宅のオフィス利用の適否を判定する利用適否判定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記住宅情報には、空部屋を有する住宅が空家又は住人がいる住宅の何れかであるかを示す情報が含まれる請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記利用適否判定部は、前記住宅情報の前記住宅が空家である場合は、オフィスへの適用性があると判定する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記住宅情報には、前記空部屋の大きさ及び前記空部屋が有する設備の少なくとも何れか一方に関するオフィス環境情報が含まれる請求項1から3の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記利用適否判定部は、前記オフィス環境情報が、空部屋の大きさが所定以上であり、かつ、所定の前記設備を有することを示している場合は、オフィスへの適用性があると判定する請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記利用適否判定部は、前記住宅の立地が、予め設定される高環境エリアに入る場合は、オフィスの適用性があると判定する請求項1から5の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記住宅のオフィス利用を希望するユーザによって指定される利用条件情報を受け付ける利用条件受付部と、
前記利用適否判定部によってオフィスに適用できると判定された前記住宅から前記利用条件情報に適合する住宅を特定するオフィス特定部と、
前記オフィス特定部によって特定された前記住宅を前記ユーザに表示するための処理を行う表示処理部と、
を備える請求項1から6の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
住宅の立地及び当該住宅の空部屋の有無を示す情報を含む住宅情報を受け付ける住宅情報取得機能と、
予め設定される判定条件に基づいて、取得された前記住宅情報の前記住宅のオフィス利用の適否を判定する利用適否判定機能と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅に関する情報を処理する情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータを用いて空家住宅の情報を管理する技術が知られている。この種の技術が記載されるものとして例えば特許文献1がある。
【0003】
特許文献1には、空家に関する調査・情報収集を効率的に処理することができる空家マップ装置が記載されている。特許文献1の空家マップ装置は、調査情報に関する調査条件・調査結果を入力する入力手段と、空家情報を参照して家情報に関する調査条件及び調査結果の検索を行う検索手段と、ネットワークを介して空家情報にアクセスし検索問合せ及び検索結果を送受信可能とする通信手段と、少なくとも空家情報に関する内容及び住宅マップを表示する表示手段と、住宅マップ及び検索結果についての空家情報を少なくとも一時的に記憶する記憶手段とを備えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、Web会議やリモートアクセス等の環境が整備され、出社せずに自宅で作業を行うリモートワークの利用が活発になっている。しかしながら、リモートワークでは、一緒に居住している家族であっても会社の機密情報を漏らすことができなかったり、仕事に集中し難かったりするという問題がある。また、自宅の外で仕事を行う場合であっても、共同のワーキングスペースやカフェでは、第三者の目があるため機密情報の取り扱いが難しかった。
【0006】
ところで、使用していない空部屋をレンタルオフィスとして活用することが考えられる。しかし、空部屋を有している住宅がオフィスに適用できるか否かの判断は、空部屋を有する住宅のオーナーであっても容易ではない。この点、特許文献1に記載される技術は空家をマップ表示することができる。しかしながら、空家がわかったとしても、その空家をオフィスとして活用できるか否かはわからず、空家のレンタルオフィスとしての活用が難しかった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みたものであり、レンタルオフィスとしての空部屋の活用を促進することができる情報処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、住宅の立地条件及び当該住宅の空部屋の有無を示す情報を含む住宅情報を受け付ける住宅情報取得部と、予め設定される判定条件に基づいて、取得された前記住宅情報の前記住宅のオフィス利用の適否を判定する利用適否判定部と、を備える情報処理装置に関する。
【0009】
また、本発明は、住宅の立地及び当該住宅の空部屋の有無を示す情報を含む住宅情報を受け付ける住宅情報取得機能と、予め設定される判定条件に基づいて、取得された前記住宅情報の前記住宅のオフィス利用の適否を判定する利用適否判定機能と、をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の情報処理装置及びプログラムによれば、レンタルオフィスとしての空部屋の活用を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の機能的構成のうち、オフィス判定機能とユーザ利用機能を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る情報処理装置のオフィス判定機能を示す模式図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の判定条件の例を示す表である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の判定条件によってスクリーニングされる対象住宅のエリアを示した模式図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る情報処理装置のオフィス利用を希望するユーザに対してオフィス利用できる住宅を提示する機能を示す模式図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る情報処理装置によってユーザ端末に表示される契約内容の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置10のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0013】
図1に示す情報処理装置10は、対象住宅がオフィス利用可能か否かを判定するオフィス判定機能と、オフィス利用できる住宅をユーザに提示するユーザ利用機能と、を有するコンピュータである。
【0014】
情報処理装置10は、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば、汎用のパーソナルコンピュータである。なお、情報処理装置10は、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
【0015】
<ハードウェア構成>
情報処理装置10のハードウェア構成について説明する。情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、入力部14と、出力部15と、記憶部16と、通信部17と、を備える。
【0016】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス18を介して相互に接続されている。CPU11は、CPU11は、ROM12に記録されているプログラム又はRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
【0017】
バス18は入出力インターフェース19にも接続される。入出力インターフェース19には、入力部14と、出力部15と、記憶部16と、通信部17と、が接続されている。
【0018】
入力部14及び出力部15は、有線又は無線により電気的に入出力インターフェース19に接続されるユーザインターフェースである。入力部14は例えばキーボードやマウス等によって構成され、出力部15は、画像を表示するディスプレイや音声を拡声するスピーカ等によって構成される。なお、出力部15及び入力部14は、タッチパネルのように表示機能と入力機能が一体的な構成であってもよい。
【0019】
記憶部16は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリで構成され、情報処理装置10の種々のデータを保存する装置である。
【0020】
通信部17は、CPU11が、インターネット等のネットワークを介して他のコンピュータとの間で通信を行う装置である。
【0021】
ここで示したハードウェア構成は、あくまで一例であり、特にこの構成に限定されるわけではない。シングルプロセッサ、マルチプロセッサ及びマルチコアプロセッサ等の各種処理装置単体によって構成されるものの他、これら各種処理装置と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field‐Programmable Gate Array)等の処理回路とが組み合わせられたものをプロセッサとして機能的構成を実現するものとして採用してもよい。
【0022】
<機能的構成>
次に、情報処理装置10の機能的構成について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置10の機能的構成のうち、オフィス判定機能とユーザ利用機能を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0023】
本実施形態における機能的構成は、演算処理を実行するCPU11によって実現される。住宅情報取得部(住宅情報取得機能)21と、利用適否判定部(利用適否判定機能)22と、オフィス情報登録部(オフィス情報登録機能)23と、利用条件受付部(利用条件受付機能)24と、オフィス特定部(オフィス特定機能)25と、表示処理部(表示処理機能)26と、利用登録部(利用登録機能)27と、がCPU11により実現される。
【0024】
<オフィス判定機能>
図3を参照して住宅情報取得部21と、利用適否判定部22と、オフィス情報登録部23と、によって実現されるオフィス判定機能について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置10のオフィス判定機能を示す模式図である。
【0025】
住宅情報取得部21は、住宅の立地条件及び当該住宅の空部屋の有無を示す情報を含む住宅情報2を受け付ける処理を実行する。住宅の立地条件は、例えば住宅の住所に関する情報や住宅の住所と基準地に設定される位置との関係を示す情報である。
【0026】
住宅の空部屋の有無は、住宅にオフィスとして貸し出される空部屋があるか否かを示す情報である。空部屋は、例えば、壁や扉によって閉鎖された空間であり、戸建やマンションの一部屋を単位としてもよい。また、本実施形態の住宅情報2は、住宅の立地条件及び当該住宅の空部屋の有無の他に、住宅の環境や設備等の情報を含めることができる。
【0027】
住宅情報2は、情報処理装置10の入力部14を介して入力されてもよい。例えば、オフィスとして住宅を貸し出したいオーナーの登録申込をオペレータ等の担当者が直接又は電話等によって聞き取り、担当者が入力部14を操作することにより情報処理装置10に住宅情報2が入力される形式でもよい。あるいは、インターネット等のネットワークを通じてオーナーが外部のコンピュータから入力した情報が住宅情報2として情報処理装置10に入力される形式であってもよい。
【0028】
利用適否判定部22は、住宅情報取得部21によって受け付けられた住宅情報2と、予め設定される判定条件3と、を照合し、住宅情報2に対応する対象住宅がレンタルオフィスとして利用できる住宅(以下、レンタルオフィス住宅と称する)か否かを判定する。
【0029】
判定条件3の一例について
図4及び
図5を参照して説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置10の判定条件3の例を示す表である。この例では、東京駅の周辺に勤務地があるユーザや東京及びその周囲に生活するユーザを対象とするため、対象住宅をスクリーニングするための基準地を東京駅としている。なお、基準値は対象とするユーザの居住エリア等に応じて適宜変更することができる。例えば、東京駅以外の中京圏では名古屋駅、大阪都市圏では梅田駅、福岡都市圏では博多駅を基準地とすることもできる。あるいは、駅以外の場所を基準地とすることもできる。このように、基準地の場所は特に限定されるわけではない。この場合、基準地に応じて判定条件の各種数値も適宜変更することが好ましい。
【0030】
図4に示すように、判定条件3には、立地条件を示す「最寄り駅までの距離L」、「最寄り駅から東京駅までの移動時間T」、「対象住宅から東京駅までの交通費C」、「対象住宅周辺の路線価V」が含まれる。
【0031】
本実施形態では、「最寄り駅までの距離L」、「最寄り駅から東京駅までの移動時間T」、「対象住宅から東京駅までの交通費C」は、東京駅に到達するまでの利便性が高いエリアを除外するための条件として使用されている。これは、対象住宅が東京駅に到達するまでの利便性が高いエリアであれば、当該対象住宅をレンタルオフィス住宅として利用するメリットが低くなるためである。以下、判定項目ごとに説明する。
【0032】
最寄り駅までの距離Lは、最寄り駅から一定以上離れているエリアの対象住宅をレンタルオフィス住宅としてスクリーニングする基準として用いられる。
図4の例では、徒歩の速度を毎分80mとしたときに徒歩7分を超えるエリアの対象住宅をレンタルオフィス住宅に設定する条件の1つとしている。
【0033】
最寄り駅から東京駅までの移動時間Tは、東京駅に到達するために時間が一定程度以上のエリアの対象住宅をレンタルオフィス住宅としてスクリーニングする基準として用いられる。
図4の例では、対象住宅から東京駅までの移動時間Tが20分を超えるエリアの対象住宅をレンタルオフィス住宅に設定する条件の1つとしている。
【0034】
対象住宅から東京駅までの交通費Cは、通勤等の移動費用が一定程度以上のエリアの対象住宅をレンタルオフィス住宅としてスクリーニングする基準として用いられる。
図4の例では、対象住宅から東京駅までの交通費として定期代の費用が8000円/月を超えるエリアの対象住宅をレンタルオフィス住宅に設定する条件の1つとしている。
【0035】
次に、立地条件のうち、オフィス利用が考え難いエリアを除外するための条件として使用される「対象住宅周辺の路線価V」について説明する。
図4の例では、対象住宅周辺の路線価Vが330千円/m
2を超えるエリアの対象住宅をレンタルオフィス住宅に設定する条件の1つとしている。
【0036】
図5は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置10の判定条件3によってスクリーニングされる対象住宅のエリアを示した模式図である。
図5には、上述の4つの立地条件(「最寄り駅までの距離L」、「最寄り駅から東京駅までの移動時間T」、「対象住宅から東京駅までの交通費C」、「対象住宅周辺の路線価V」)を全て満たしたエリアが地図上に示されている。
図5において、白色の部分が判定条件3によって選別される対象住宅のエリアであり、灰色の部分が除外されるエリアである。
【0037】
都心(基準値)に勤務地がある場合、都心にレンタルオフィス住宅があったとしても、自宅からオフィス利用可能な住宅に出勤するまでの時間や交通費がかかってしまい、住宅をオフィスとして利用するメリットが薄れてしまう。また、都心(基準値)から離れ過ぎているエリアでは、レンタルオフィス住宅を利用するユーザにとっても、対象住宅への移動に時間がかかったり、利用するためのコストが高くなり過ぎたりするおそれもある。そこで、
図5に示すように、上述の4つの立地条件を満たしたエリアの対象住宅をオフィス利用の対象として選別することで、都心又は都心に近すぎるエリアを除外するとともに都心から離れ過ぎているエリアを除外することができる。これによって、後述するユーザ利用機能において、レンタルオフィス住宅の周囲に居住するユーザにとって、最寄り駅より近い場所にオフィスとして利用できるレンタルオフィス住宅があることを提示したり、移動時間Tの短いオフィスとして利用価値の高いレンタルオフィス住宅を提示したりすることができる。
【0038】
図4に戻って判定条件3の判定項目の1つである「対象住宅の利用状況」について説明する。対象住宅の利用状況は、空部屋の有無を示す情報である。利用適否判定部22は、空部屋が有ることを条件とし、対象住宅のレンタルオフィス住宅としての利用可能性を判定する。
【0039】
また、本実施形態では、空部屋がある住宅が空家か否かを区別して住宅情報2に含めることもできる。ここでいう空家か否かとは、空部屋以外の部屋に住人がいるかいないかである。利用適否判定部22は、空家である場合は、空家ではない場合に比べてオフィス利用性が高いことを判定結果4として出力してもよい。あるいは、空部屋の条件を空家のみにし、判定条件を厳しくすることも可能である。
【0040】
判定条件3の判定項目の1つである「対象住宅の周囲環境」について説明する。対象住宅の周囲環境は、対象住宅が立地している周囲がオフィスとして活用できる環境か否かを判定する基準として用いられる。
図4の例では、対象住宅の住所(位置)が予め設定される高環境エリアにあるか否かに基づいてレンタルオフィス住宅に適しているか否かが判定される。高環境エリアは、例えば、住宅街に設定される。高環境エリアは、都市計画法の区域に基づいて設定されてもよい。
【0041】
判定条件3の判定項目の1つである「対象住宅の安全性」について説明する。対象住宅の安全性は、対象住宅がレンタルオフィス住宅として利用できるか否かを判定する基準として使用される。
図4の例では、対象住宅が所定の耐震基準を満たしているか否か等に基づいて対象住宅の安全性が満たされているか否かが判定される。
【0042】
判定条件3の判定項目の1つである「対象住宅のオフィス環境」について説明する。対象住宅のオフィス環境は、対象住宅の空部屋が労働するのに適しているか否かを判定する基準として用いられる。
図4の例では、空部屋の大きさ、換気性、冷暖房器具、空気調和設備、照明設備、水道設備、机椅子等の備品、トイレ、洗面設備、施錠装置、インターネット環境、ホームセキュリティの有無等の所定基準に合致するか否かに基づいて対象住宅のオフィス環境が満たされているか否かが判定される。
【0043】
各所定基準の例について説明する。空部屋の大きさは、床面積×(平均の)天井の高さである気積が10m3/人以上であることを所定基準とすることができる。換気性は、空部屋又は空家において、最大開放部分の面積が常時床面積の1/20以上である点や、一酸化炭素が50ppmm以下であって二酸化炭素5000ppm以下である点を所定基準とすることができる。冷暖房器具は、温度が10度以下の場合に暖房等の措置を行うことができることや、冷房実施時に外気温より著しく低くならないように設定できるものであることを所定基準とすることができる。
【0044】
空気調和設備は、浮遊粉じん量0.15mg/m3以下、一酸化炭素10ppm以下、二酸化炭素1000ppm以下、ホルムアルデヒド0.1mg/m3以下、気流0.5m/s以下、室温17℃以上28℃以下、相対湿度40%以上70%以下を調整できるものであることを所定基準とすることができる。
【0045】
照明設備は、ユーザの作業が精密な作業となることを想定する場合は照度が300ルクス以上のものであることを所定基準の条件とすることができる。また、ユーザの作業が普通の作業となることを想定する場合は照度が150ルクス以上であることを所定基準の条件とすることができる。同様に、ユーザの作業が粗な作業となることを想定する場合は照度が70ルクス以上であることを所定基準とすることができる。
【0046】
水道設備は、水道の利用可否とともに、水道水が所定の水質基準に適合する清潔さを有するか否かを所定基準とすることができる。例えば、水道設備が供給される水道水が通常遊離残留塩素の場合は0.1ppm以上、結合残留塩素の場合0.4ppm以上であることを所定基準とすることができる。
【0047】
トイレは、トイレの利用可否とともに、男性用便所と女性用便所が分けられているか否かを所定基準とすることができる。また、洗面設備は、それ自体の有無や更衣設備の有無を所定基準とすることができる。
【0048】
机椅子等の備品は、その有無を所定基準とすることができる。持続的立位業務ある場合には椅子が設置されていることが好ましい。また、空部屋又は空家を施錠する施錠装置の有無、WiFi(登録商標)等のインターネット利用が可能な環境の有無、ホームセキュリティの有無等も所定基準とすることができる。
【0049】
以上説明した複数の所定基準の全てを満たした場合に対象住宅のオフィス環境が満たされたと判定してもよいし、複数の所定基準の中から任意に選択した1つ又は複数の所定基準に合致した場合に対象住宅のオフィス環境が満たされたと判定されてもよい。更に、所定基準は、適宜変更することができる。
【0050】
また、
図4に示す判定条件3も、全て満たす必要があるわけではない。例えば、立地条件の1つを満たし、かつ、空部屋が有る場合に対象住宅をレンタルオフィス住宅と判定することもできる。また、
図4に示す以外の判定項目を加えてもよいし、判定項目の条件を適宜変更してもよい。例えばレンタルオフィス住宅のエリアに東京駅近郊が含まれるようにしてもよい。このように判定条件3は、適宜変更することができる。
【0051】
利用適否判定部22は、対象住宅が判定条件3に適合した場合は対象住宅がレンタルオフィス住宅として利用可能であることを示す判定結果4を出力する。利用適否判定部22は、判定項目に不適合な場合は対象住宅がオフィス利用不可である判定結果5を出力する。例えば、担当者が入力部14を介して住宅情報2を入力した場合は、出力部15に判定結果4又は判定結果5を表示する処理がCPU11によって実行される。また、オーナーが外部のコンピュータから住宅情報2を入力した場合は、当該コンピュータの出力部に判定結果4又は判定結果5を表示する処理がCPU11によって実行される。
【0052】
なお、判定結果は、点数等の数値(スコア)やレベルとともに出力されてもよい。あるいは、利用適否判定部22は、判定項目ごとに点数を振り分け、点数の合計値が予め設定される設定値以上となった場合に、対象住宅がオフィス利用可能であると判定してもよい。このように、利用適否判定部22による判定は、上述の実施形態に限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0053】
次に、オフィス情報登録部23について説明する。記憶部16には、対象住宅をレンタルオフィス住宅として登録するためのデータベースが構築されている。オフィス情報登録部23は、オフィス利用可能と判定された対象住宅を記憶部16のデータベースにレンタルオフィス住宅として登録する処理を実行する。
【0054】
なお、オフィス情報登録部23は、登録処理時にオフィス適合性を示すスコアを付加することもできる。例えば、複数の判定条件を満たす場合は、オフィス利用性が高いことを示す情報をレンタルオフィス住宅に付加してデータベースに登録することができる。また、オフィス情報登録部23は、登録処理時に利用条件を付加することもできる。例えば、対象住宅のオーナーの意向に応じて当該対象住宅をレンタルオフィス住宅として利用できるユーザの性別を限定することも可能である。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の情報処理装置10は、住宅の立地条件及び当該住宅の空部屋の有無を示す情報を含む住宅情報2を受け付ける住宅情報取得部21と、予め設定される判定条件3に基づいて、取得された住宅情報2の住宅のオフィス利用の適否を判定する利用適否判定部22と、を備える。
また、本実施形態のプログラムは、住宅の立地及び当該住宅の空部屋の有無を示す情報を含む住宅情報2を受け付ける住宅情報取得機能と、予め設定される判定条件に基づいて、取得された住宅情報2の住宅のオフィス利用の適否を判定する利用適否判定機能と、をコンピュータに実行させる。
【0056】
これにより、立地条件及び空部屋の有無に基づいて対象住宅をレンタルオフィス住宅として利用できるか否かを自動的に判定することができ、レンタルオフィスとしての空部屋の活用を促進できる。
【0057】
また、本実施形態では、住宅情報2には、空部屋を有する住宅が空家又は住人がいる住宅の何れかであるかを示す情報が含まれる。これにより、オフィスとして利用できる空部屋を有する対象住宅が間借りか空家かを区別して判定したり、データベースへの登録時に間借りであるか空家であることを示す情報を付加したりできる。
【0058】
また、本実施形態の利用適否判定部22は、住宅情報2の住宅が空家である場合は、オフィスへの適用性があると判定することもできる。これにより、他の住人がいない環境で住宅自体をオフィスとして利用できるので、他者に対する情報漏洩等のリスクをより低減でき、高いセキュリティ環境を実現できる対象住宅をレンタルオフィス住宅として判定することができる。
【0059】
また、本実施形態では、住宅情報2には、空部屋の大きさ及び空部屋が有する設備の少なくとも何れか一方に関するオフィス環境情報が含まれる。これにより、立地条件及び空部屋の有無の他に、オフィス環境を反映して対象住宅のレンタルオフィスへの適用性を判定したり、データベースへの登録時に空部屋の大きさや設備を示す情報を付加したりすることができる。
【0060】
また、本実施形態の利用適否判定部22は、オフィス環境情報が、空部屋の大きさが所定以上であり、かつ、所定の設備を有することを示している場合は、オフィスへの適用性があると判定することもできる。これにより、一定以上の安全性や衛生性を保障できる対象住宅をレンタルオフィス住宅として判定することができる。
【0061】
また、本実施形態の利用適否判定部22は、住宅の立地が、予め設定される高環境エリアに入る場合は、オフィスの適用性があると判定することができる。これにより、対象住宅の周辺の環境も加味して対象住宅をレンタルオフィス住宅として判定することができる。例えば、騒音が発生し難いエリアを高環境エリアとして設定しておくこともできる。
【0062】
<ユーザ利用機能>
次に、データベースに登録されたオフィス利用可能な住宅をユーザに提示するユーザ利用機能について説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置10のオフィス利用を希望するユーザに対してオフィス利用できる住宅を提示する機能を示す模式図である。
【0063】
まず、ユーザ利用機能の概要について説明する。
図6に示すように、ユーザは、インターネット等のネットワーク1を介して情報処理装置10に接続されるユーザ端末30を利用してレンタルオフィス住宅を検索し、利用登録等を行う。
【0064】
本実施形態のユーザ端末30は、CPU31と、ROM32と、RAM33と、入力部34と、出力部35と、記憶部36と、通信部37と、バス38と、入出力インターフェース39と、を備えるコンピュータである。ユーザ端末30は、スマートフォンやタブレットであってもよいし、パーソナルコンピュータであってもよく、その形式は特に限定されない。
【0065】
情報処理装置10は、レンタルオフィス住宅を利用するユーザのユーザ端末30にWebsite40を表示するサーバ機能を有する。ユーザ端末30は、所定のインターネットアドレスを入力することでWebsite40の内容を出力部35に表示できる。
【0066】
次に、
図2に戻ってユーザ利用機能を実現する構成について説明する。本実施形態では、
図2に示す利用条件受付部24と、オフィス特定部25と、表示処理部26と、利用登録部27と、によってユーザ利用機能が実現される。
【0067】
利用条件受付部24は、ネットワーク1を介してユーザ端末30から送信されるユーザの利用条件情報を受け付ける処理を実行する。利用条件情報は、例えば、ユーザの居所、居所の最寄り駅、探したいエリア等の位置情報や空部屋の大きさや設備等のオフィス環境等である。利用条件情報は、
図3を参照して説明した判定条件3の判定項目と同様の情報であってもよい。
【0068】
本実施形態では、情報処理装置10によって提供されるWebsite40によってレンタルオフィス住宅を利用するための利用条件情報をユーザ端末30上で入力可能なインターフェースが実現される。ユーザはユーザ端末30の入力部34の操作によって利用条件情報を入力する。ユーザによって入力された情報は、ユーザ端末30の通信部37によってネットワーク1を介して情報処理装置10に送信される。利用条件受付部24は、この送信された利用条件情報を受け付ける。
【0069】
オフィス特定部25は、利用適否判定部22によってオフィスに適用できると判定され、記憶部16のデータベースに登録されているレンタルオフィス住宅の中から利用条件情報に適合するレンタルオフィス住宅を特定する。オフィス特定部25によって特定されるレンタルオフィス住宅は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0070】
表示処理部26は、オフィス特定部25によって特定されたレンタルオフィス住宅をユーザ端末30の出力部35に表示するための処理を実行する。例えば、特定された複数のレンタルオフィス住宅がリスト形式やマップ上にレンタルオフィス住宅の位置を示すマップ形式等によりユーザ端末30の出力部35に表示される。また、上述のスコア等の付加情報が設定されている場合は、スコアが高いものを優先して表示したり、色や表示形式等を変えて区別して表示したりしてもよい。
【0071】
リスト形式又はマップ形式等により、出力部35に表示されたレンタルオフィス住宅をユーザが入力部34を通じて選択すると、当該レンタルオフィス住宅の詳細情報が表示されてもよい。例えば、
図7に示す情報をユーザ端末30の出力部35に表示してもよい。
図7は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置10によってユーザ端末30に表示される契約内容の一例を示す図である。
【0072】
利用登録部27は、ユーザが利用する意思を示したレンタルオフィス住宅の利用登録処理を実行する。例えば、情報処理装置10は、ユーザ端末30の入力部34の操作を通じてレンタルオフィス住宅の申込情報を受信すると、利用登録部27が、当該申込情報に基づいて契約を行うための必要情報を促す画面をユーザ端末30の出力部35に表示する処理を実行する。ユーザ端末30の入力部34の操作を通じて必要情報をユーザが入力すると、当該情報がユーザ端末30から情報処理装置10に送信され、申込手続が完了する。
【0073】
以上説明したように、本実施形態の情報処理装置10は、住宅のオフィス利用を希望するユーザによって指定される利用条件情報を受け付ける利用条件受付部24と、利用適否判定部22によってオフィスに適用できると判定された住宅から利用条件情報に適合する住宅を特定するオフィス特定部25と、オフィス特定部25によって特定された住宅をユーザに表示するための処理を行う表示処理部26と、を備える。これによって、ユーザは、オフィスに適した空部屋を選択することができ、より一層空部屋の活用を促進することができる。
【0074】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディアは、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk),Blu-ray(登録商標) Disc(ブルーレイディスク)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されているのプログラムメモリやハードディスク等で構成される。
【0075】
なお、本発明は、上述の実施形態及び変形例の構成に限定されるわけではない。本発明の構成は、事情に応じて適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0076】
10 情報処理装置
21 住宅情報取得部(住宅情報取得機能)
22 利用適否判定部(利用適否判定機能)
23 オフィス情報登録部(オフィス情報登録機能)
24 利用条件受付部(利用条件受付機能)
25 オフィス特定部(オフィス特定機能)
26 表示処理部(表示処理機能)
27 利用登録部(利用登録機能)