(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108827
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】継手金具
(51)【国際特許分類】
E21D 11/04 20060101AFI20220720BHJP
F16B 7/20 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
E21D11/04 A
F16B7/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003993
(22)【出願日】2021-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000220675
【氏名又は名称】東京都下水道サービス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000230010
【氏名又は名称】ジオスター株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】502092958
【氏名又は名称】株式会社芳賀技研工業
(74)【代理人】
【識別番号】100078695
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 司
(72)【発明者】
【氏名】高久 節夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】横田 正和
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 真
【テーマコード(参考)】
2D155
3J039
【Fターム(参考)】
2D155BA01
2D155GC04
3J039AA03
3J039BB01
3J039CA02
3J039CA17
3J039JA17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】引張り性能を満足させながら耐震性能を高める事ができる継手金具を提供する。
【解決手段】円筒形ハウジング44内に収めるものとして、係止部材46と板バネ環体47に並ぶようにクリアランス補強座金45と、接合棒4が挿入される挿入孔11aを中央に形成した前端板とを配設し、これらクリアランス補強座金と前端板との間に皿ばね座金9,10を逆方向に向けて重ね合わせる直列重ね方式で介在させた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接合させる一方側の部材に設けられ、他方側の部材方向へ延在する接合棒を有する雄型継手金具と、他方側の部材に設けられ、前記雄型継手金具の接合棒が挿入され、この接合棒を係止する雌型継手金具とからなり、
前記雄型継手金具は、前記接合棒の先端側にテーパ部を形成し、その挿入方向に対して反対側に係合凹段部を形成し、
前記雌型継手金具は、前記接合棒が挿入される挿入孔を中央に有し、埋設アンカーに係合する雌型受けボックスからなる円筒形ハウジングと、
この円筒形ハウジング内に前記係合凹段部の幅に対応する厚さ分の環体を2分割した2個の半円形の係止部材と、これら係止部材を内周側へ付勢する正三角形の板バネ環体とを配置し、2個の半円形の係止部材の外側が板バネ環体の正三角形の辺の中央に内接し、また、円筒形ハウジング内周に対して板バネ環体の正三角形の角部が当接するように配設した継手金具において、
円筒形ハウジング内に収めるものとして、前記係止部材と板バネ環体に並ぶようにクリアランス補強座金と、前記接合棒が挿入される挿入孔を中央に形成した前端板とを配設し、これらクリアランス補強座金と前端板との間に皿ばね座金を逆方向に向けて重ね合わせる直列重ね方式で介在させたことを特徴とする継手金具。
【請求項2】
前端板は厚みのある平盤であり、円筒形ハウジングに開口蓋として収まる請求項1記載の継手金具。
【請求項3】
前端板は円筒形ハウジングに螺合させた請求項2記載の継手金具。
【請求項4】
前端板、皿ばね座金、クリアランス補強座金はほぼ同径のものとする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の継手金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トンネルを構成するセグメントやコンクリート函体に設けられ、これらを接合する継手金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、シールドセグメントトンネルでは多数のセグメントでトンネル壁体を構築する場合、セグメントの組立て、接合が必要となり、これは周方向にセグメントの組立てリングとし、また、組立てたセグメントリングをトンネル進行方向に接合していく。
【0003】
かかるセグメントの接合は従来においては、セグメントの接合端面に孔部を有する継手板を埋め込んでおき、その後側は箱抜きとして、セグメントの接合端面同士を互いに当接させて、互いに連通した継手板の孔部へボルトを挿通させ、このボルトにナットを螺着させることにより多数のセグメント同士を順次接合して構築している。
【0004】
しかしながら、上記の接合構造では、セグメントの接合端面の継手板に形成された孔部にボルトを挿通させ、そのボルトにナットを螺着させて締め付けなければならず、その作業が極めて煩雑で手間がかかっていた。
【0005】
そこで、出願人は先に極めて容易にセグメント等を接合させることが可能なものであり、しかも、少ない部材点数で、簡単に、しかも正確に組立てることができ、接合精度や強度も高く、信頼性も高い、安価な継手金具として下記特許文献の継手金具を出願し、特許を取得した。
【特許文献1】特許第3927896号公報
【0006】
図5、
図6に示すように、特許文献1の継手金具は、それぞれセグメント等のコンクリート構造物(部材)に設けられる雄型継手金具1と雌型継手金具2とからなる。
【0007】
雄型継手金具1は異径鉄筋による埋設雄型ピン40を本体部とし、その先端部が鋼製の接合棒4となるが、接合棒4は先端を円錐台径のテーパ部8として形成した。
【0008】
なお、接合棒4は異径鉄筋による埋設雄型ピン40の一端を加工して形成してもよいが、該接合棒4の下半部を螺子構造40aとして埋設雄型ピン40に螺入するようにしてもよい。
【0009】
前記テーパ部8の挿入方向に対して反対側に(後方側)に少し間を置いて一定の幅を持つ溝状の係合凹段部41を形成した。テーパ部8と係合凹段部41との間はテーパ部8が延設するスカート部となる。
【0010】
雌型継手金具2は、前記接合棒4が挿入される挿入孔42を前端板43の中央に形成し、雌受けボックスとしての後端開放の円筒形ハウジング44と、この円筒形ハウジング44内に収めるものとして、クリアランス補強座金45と、係止部材46と、板バネ環体47があり、また、本体部として太径の異径鉄筋による埋設アンカー48の先端に前記接合棒4の先端の円錐台径のテーパ部8と延設するスカート部が挿入する凹部49と、外周前端に螺子部50を形成した。円筒形ハウジング44と埋設アンカー48とはこの螺子部50を介して螺合する。
【0011】
前記係止部材46は、接合棒4の係合凹段部41の幅に対応する厚さ分の鋼製の環体を2分割した2個の半円形体46a、46bによるものである。
【0012】
板バネ環体47は前記係止部材46を内周側へ付勢する正三角形の板バネであり、鋼の帯金により形成し、角部はアールを設けて曲げ形成している。
【0013】
また、板バネ環体47の大きさは、前記2個の半円形体46a、46bの係止部材46の外側がこの板バネ環体47の正三角形の辺の中央に内接し、また、鋼の帯金の幅すなわち、板バネ環体47の深さは係止部材46の厚さと同じとした。
【0014】
さらに、板バネ環体47の大きさは、前記円筒形ハウジング44の内周に対してこの板バネ環体47の正三角形の角部が当接するようなものである。
【0015】
次に使用法について説明する。まず、組立てであるが、雌型継手金具2では埋設アンカー48に円筒形ハウジング44が取り付き、その際、円筒形ハウジング44内には
図2に示すように、クリアランス補強座金45と、係止部材46と、板バネ環体47を収める。
【0016】
クリアランス補強座金45はその中央の円孔を円筒形ハウジング44の前端板43の中央に形成した挿入孔42に一致させて該前端板43の裏側に配設し、板バネ環体47は正三角形の角部が当接するように円筒形ハウジング44に収める。
【0017】
また、板バネ環体47内に係止部材46を正三角形の辺の中央に内接するように収める。
【0018】
このようにして、雄型継手金具1と雌型継手金具2を接合すべきセグメント等のコンクリート構造物へ埋設し、接合する場合は雌型継手金具2の円筒形ハウジング44の挿入孔42へ雄型継手金具1の接合棒4を挿入する。
【0019】
このようにすると、この雄型継手金具1の接合棒4の先端部が、雌型継手金具2の円筒形ハウジング44内に設けられた係止部材46を
図4に示すように押し広げながら挿入され、次いで、
図5にも示すように係止部材46は接合棒4の係合凹段部41に入り込んで、首かせ状のストッパーとして取り付く。該係止部材46は、厚さもあり、しっかりと接合棒4の係合凹段部41に入り込んで、強固なストッパーとなる。その結果、充分期待させる接合強度が雄型継手金具1と雌型継手金具2との接合に得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
前記特許文献1の継手金具は引張り性能は満足するものであるが、耐震性能については考慮されたものではなかった。特許文献1の継手金具は引張り性能に加え施工性を追求した構造であり、一度勘合すると軸方向(引張り方向)の剛性が高く、地震時に各セグメントリングに負担が大きく、耐震性能としては問題がある。
【0021】
発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、引張り性能を満足させながら耐震性能を高める事ができる継手金具を提供することにある。
必要となった。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、互いに接合させる一方側の部材に設けられ、他方側の部材方向へ延在する接合棒を有する雄型継手金具と、他方側の部材に設けられ、前記雄型継手金具の接合棒が挿入され、この接合棒を係止する雌型継手金具とからなり、
前記雄型継手金具は、前記接合棒の先端側にテーパ部を形成し、その挿入方向に対して反対側に係合凹段部を形成し、
前記雌型継手金具は、前記接合棒が挿入される挿入孔を中央に有し、埋設アンカーに係合する雌型受けボックスからなる円筒形ハウジングと、
この円筒形ハウジング内に前記係合凹段部の幅に対応する厚さ分の環体を2分割した2個の半円形の係止部材と、これら係止部材を内周側へ付勢する正三角形の板バネ環体とを配置し、2個の半円形の係止部材の外側が板バネ環体の正三角形の辺の中央に内接し、また、円筒形ハウジング内周に対して板バネ環体の正三角形の角部が当接するように配設した継手金具において、
円筒形ハウジング内に収めるものとして、前記係止部材と板バネ環体に並ぶようにクリアランス補強座金と、前記接合棒が挿入される挿入孔を中央に形成した前端板とを配設し、これらクリアランス補強座金と前端板との間に皿ばね座金を逆方向に向けて重ね合わせる直列重ね方式で介在させたことを要旨とするものである。
【0023】
請求項1記載の本発明によれば、引張り性能においては雌型継手金具へ雄型継手金具の接合棒を挿入し、この接合棒によって係止部材を板バネ環体に抗して押し広げることで係止部材を接合棒の係合凹段部に入り込ませて接合棒を係止させて、該係止部材を接合棒に接合棒外周へ突設するように首かせ状のストッパーとして取り付け、これにより雄型継手金具と雌型継手金具とを接合させることができる。
【0024】
また、耐震性能においては皿ばね座金を逆方向に向けて重ね合わせる直列重ね方式で介在させたので、この皿ばね座金の重ね合わせが変形可能なクッション材となり、耐震性能を発揮できる。
【0025】
耐震性能に必要な引張り方向には、クリアランスが必要となるが、同時に引張り方向に剛性も必要となる。本発明は雄金物の細径部に軸方向に延長しクリアランスを確保し、このクリアランスに皿ばね座金を変形させたクッション材を追加することで、ある程度の引張り剛性を高めることもできる。
【0026】
しかも、皿ばね座金を並列重ね方式の場合には小さなストローク(変位)で大きな荷重を発生させることができるが、前記のように直列重ね方式の場合、小さな荷重で大きなストローク(変位)を発生させることができる。
【0027】
さらにクリアランス確保に皿ばね座金を利用したので、耐震設計により必要なクリアランス長さには範囲があることに対応することができ、しかも安価で入手できる皿ばね座金を組み合わせる事で継手金物の製造コストを最小限に抑えることができる。
【0028】
請求項2記載の本発明は、前端板は厚みのある平盤であり、円筒形ハウジングに開口蓋として収まることを要旨とするものである。
【0029】
請求項2記載の本発明によれば、前端板は凹部のない厚みのある平盤であり、円筒形ハウジングに開口蓋として収まることで円筒形ハウジングは閉鎖空間となり、皿ばね座金は円筒形ハウジング内に収めることでこの前端板に当接し、前端板を反力体としてずれもなく変形して耐震性能を発揮できる。
【0030】
請求項3記載の本発明は、前端板は円筒形ハウジングに螺合させたことを要旨とするものである。
【0031】
請求項3記載の本発明によれば、前端板を円筒形ハウジングに開口蓋として収めるのに螺合させることで簡単かつ確実に行うことができ、外れ難く、しかも、皿ばね座金は円筒形ハウジング内に収めた後で蓋をすることができるので、皿ばね座金のセットを楽に行うことができる。
【0032】
請求項4記載の本発明は、前端板、皿ばね座金、クリアランス補強座金はほぼ同径のものとすることを要旨とするものである。
【0033】
請求項4記載の本発明によれば、前端板、皿ばね座金、クリアランス補強座金はほぼ同径のものとすることで、皿ばね座金の径を最大まで生かすことができ、しかも皿ばね座金は前端板とクリアランス補強座金に挟まれて変形して耐震性能を発揮できる。
【発明の効果】
【0034】
以上述べたように本発明の継手金具は、トンネルを構成するセグメントやコンクリート函体に設けられ、これらを接合する継手金具として、引張り性能を満足させながら耐震性能を高める事ができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の継手金具の1実施形態を示す部品構成の分解側面図である。
【
図2】本発明の継手金具の1実施形態を示す部品構成の平面図である。
【
図3】本発明の継手金具の第1実施形態で、雄型継手金具と雌型継手金具の接合前の状態を示す一部切り欠いた側面図である。
【
図4】本発明の継手金具の第1実施形態で、雄型継手金具と雌型継手金具の接合前の状態を示す一部切り欠いた側面図である。
【
図7】従来例を示すの継手金具の接合の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の継手金具の1実施形態を示す部品構成の分解側面図で、それぞれセグメント等のコンクリート構造物(部材)に設けられる雄型継手金具1と雌型継手金具2とからなる。
【0037】
雄型継手金具1は異径鉄筋による埋設雄型ピン40を本体部とし、その先端部が鋼製の接合棒4となるが、接合棒4は先端を円錐台径のテーパ部8として形成した。
【0038】
なお、接合棒4は異径鉄筋による埋設雄型ピン40の一端を加工して形成してもよいが、該接合棒4の下半部を螺子構造40aとして埋設雄型ピン40に螺合させる。
【0039】
前記テーパ部8の挿入方向に対して反対側に(後方側)に少し間を置いて一定の幅を持つ溝状の係合凹段部41を形成した。テーパ部8と係合凹段部41との間はテーパ部8が延設するスカート部となる。
【0040】
雌型継手金具2は、前記接合棒4が挿入されるべく本体部として太径の異径鉄筋による埋設アンカー48の端部に雌受けボックスとしての前後端開放の円筒形ハウジング44を設けた。
【0041】
埋設アンカー48の先端に前記接合棒4の先端の円錐台径のテーパ部8と延設するスカート部が挿入する凹部49を形成し、前記円筒形ハウジング44はこの凹部49の前方を囲い込むものとなる。
【0042】
円筒形ハウジング44は埋設アンカー48の外周前端に螺子部50を形成した。円筒形ハウジング44と埋設アンカー48とはこの螺子部50を介して螺合してもよいし、また、溶接してもよい。
【0043】
この円筒形ハウジング44内に収めるものとして、係止部材46と、板バネ環体47と、接合棒4が挿入される挿入孔45aを中央に設けたクリアランス補強座金45とがあるが、前記従来例と同じく、係止部材46は、接合棒4の係合凹段部41の幅に対応する厚さ分の鋼製の環体を2分割した2個の半円形体46a、46bによるものである。
【0044】
板バネ環体47は前記係止部材46を内周側へ付勢する正三角形の板バネであり、鋼の帯金により形成し、角部はアールを設けて曲げ形成している。また、板バネ環体47の大きさは、前記2個の半円形体46a、46bの係止部材46の外側がこの板バネ環体47の正三角形の辺の中央に内接し、また、鋼の帯金の幅すなわち、板バネ環体47の深さは係止部材46の厚さと同じとした。
【0045】
さらに、板バネ環体47の大きさは、前記円筒形ハウジング44の内周に対してこの板バネ環体47の正三角形の角部が当接するようなものである。
【0046】
図中3は、記板バネ環体47内に係止部材46を正三角形の辺の中央に内接するように収める際に、2個の係止部材46内部に介在させる樹脂製または金属製のスペーサーで、スペーサー3を介在させてこれら2個の係止部材46が接合端部同士を離間させて内部径を拡径するようにした。
【0047】
前記スペーサー3の形状は円形でもよいが、楕円径が望ましく、その長径は少なくとも接合棒4の先端を円錐台径のテーパ部8の最大径と同程度とする。
【0048】
このようにスペーサー3を介在させることで、板バネ環体47は正三角形の形状が変形するが、支障はない。また、板バネ環体47を正三角形以外の三角形状としてもよい。
【0049】
雄型継手金具1の接合棒4の先端部が、雌型継手金具2の円筒形ハウジング44内に設けられた係止部材46を押し広げながら挿入される際に、スペーサー3を介在させることで、2個の半円形の係止部材46が接合端部同士を離間させて内部径を拡径しておくことができ、これにより接合棒4の先端側のテーパ部8を係止部材46内に押入れるときに十分なクリアランスが確保できる。
【0050】
また、介在させたスペーサー3はそのまま本体部としての太径の異径鉄筋によるによる埋設アンカー48の凹部49に落とし込むようにする。
【0051】
前記円筒形ハウジング44内に収めるものとして、前記係止部材46と板バネ環体47に並ぶように、円錐上の形状になっている傘状の形状の皿ばね座金9、10を逆方向に向けて重ね合わせる直列重ね方式で介在させた。皿ばね座金9、10は接合棒4が挿入される挿入孔9a、10aを中央に形成した。
【0052】
皿ばね座金9、10はその形状から戻る力(変形範囲は約2mm)が作用し、それがばね効果となる。これら皿ばね座金9、10を積み重ねの組み合わせで配置することで単一の皿ばね座金では荷重が足りない荷重特性を変えることができる。なお、本発明は逆方向に向けて重ね合わせる直列重ね方式、すなわち、向い合せの組合わせで単一の場合に比較してたわみが組合せ数倍になる。(たわみ特性が向上する)
【0053】
図中11は前端板で、これは厚みのある平盤であり、接合棒4が挿入される挿入孔11aを中央に形成している。
【0054】
前端板は11は外周面に螺子溝11bを形成し、円筒形ハウジング44にはこの螺子溝11bが係合する螺子44aを設け、両者を螺合させた。
【0055】
次に使用法について説明する。まず、組立てであるが、雌型継手金具2では埋設アンカー48に円筒形ハウジング44が取り付き、その際、円筒形ハウジング44内には
図2に示すように、クリアランス補強座金45と、係止部材46と、板バネ環体47、スペーサー3、クリアランス補強座金45、皿ばね座金9、10を収め、前端板11で開口に蓋をする。
【0056】
図3はその状態を示し、前端板11の挿入孔11aと、皿ばね座金9、10の挿入孔10a,11aと、クリアランス補強座金45の挿入孔45aは中心を一致させている。
【0057】
板バネ環体47は正三角形の角部が当接するように円筒形ハウジング44に収め、また、板バネ環体47内に係止部材46を正三角形の辺の中央に内接するように収める。
【0058】
前記板バネ環体47内に係止部材46を正三角形の辺の中央に内接するように収める際に、2個の係止部材46内部に樹脂製または金属製のスペーサー3を介在させてこれら2個の係止部材46が接合端部同士を離間させて内部径を拡径するようにした。
【0059】
このようにして、雄型継手金具1と雌型継手金具2を接合すべきセグメント等のコンクリート構造物へ埋設し、接合する場合は雌型継手金具2の円筒形ハウジング44の挿入孔42へ雄型継手金具1の接合棒4を挿入する。
【0060】
このようにすると、この雄型継手金具1の接合棒4の先端部が、雌型継手金具2の円筒形ハウジング44内に設けられた係止部材46を
図4に示すように押し広げながら挿入され、次いで、
図4に示すように係止部材46は接合棒4の係合凹段部41に入り込んで、首かせ状のストッパーとして取り付く。該係止部材46は、厚さもあり、しっかりと接合棒4の係合凹段部41に入り込んで、強固なストッパーとなる。その結果、充分期待させる接合強度が雄型継手金具1と雌型継手金具2との接合に得られる。
【0061】
そして、皿ばね座金9、10は係止部材46に接するクリアランス補強座金45と前端板11との間に収まり、地震等で雄型継手金具1と雌型継手金具2とに引っ張り力もしくは押し込み力が加わった場合は、皿ばね座金9、10の重ね合わせが変形可能なクッション材となり、耐震性能を発揮できる。
【符号の説明】
【0062】
1…雄型継手金具 2…雌型継手金具
3…スペーサー 4…接合棒
8…テーパ部 9、10…皿ばね座金
9a、10a…挿入孔 11…前端板
11a…挿入孔 11b…螺子溝
40…埋設雄型ピン 40a…螺子構造
41…係合凹段部 42…挿入孔
43…前端板 44…円筒形ハウジング
44a…螺子 45…クリアランス補強座金
45a…挿入孔 46…係止部材
46a、46b…半円形体 47…板バネ環体
48…埋設アンカー 49…凹部
50…螺子部