(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108846
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20220720BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
G09F9/00 350A
G09F9/00 351
G09F9/30 308Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004019
(22)【出願日】2021-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 賢智
(72)【発明者】
【氏名】金城 拓海
(72)【発明者】
【氏名】青木 逸
【テーマコード(参考)】
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA31
5C094BA23
5C094BA27
5C094BA43
5C094DA06
5C094DB02
5G435AA14
5G435AA18
5G435BB04
5G435BB05
5G435BB12
5G435EE13
5G435EE36
5G435EE49
5G435HH18
5G435HH20
(57)【要約】
【課題】 優れた信頼性を有する電子機器を提供する。
【解決手段】 一実施形態に係る電子機器は、複数の電気素子が形成される中央領域と、前記中央領域を囲む周辺領域とを有するフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板上に設けられたカバー部材と、前記カバー部材上に設けられ、前記周辺領域を覆うフレームと、を備えている。前記フレキシブル基板は、回路基板が実装される第1端部を有している。前記カバー部材は、前記第1端部側に位置する第1辺と、前記第1辺と反対側に位置する第2辺と、を有している。前記第1辺と前記フレームとの間に接着材が設けられており、前記第2辺と前記フレームとの間に隙間が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気素子が形成される中央領域と、前記中央領域を囲む周辺領域と、を有するフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板上に設けられたカバー部材と、
前記カバー部材上に設けられ、前記周辺領域を覆うフレームと、を備え、
前記フレキシブル基板は、回路基板が実装される第1端部を有し、
前記カバー部材は、前記第1端部側に位置する第1辺と、前記第1辺と反対側に位置する第2辺と、を有し、
前記第1辺と前記フレームとの間に接着材が設けられており、
前記第2辺と前記フレームとの間に隙間が設けられている、
電子機器。
【請求項2】
前記第1辺および前記第2辺と平行な曲げ軸に沿って折り曲げられる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記第1辺と前記第2辺とを接続する第3辺と、前記第3辺と反対側に位置する第4辺と、を有し、
前記第1辺と前記曲げ軸との間に位置する前記第3辺と前記第4辺の一部は、前記フレームに接着固定されている、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
第1面と、前記第1面と反対側に位置する第2面とを有する支持体をさらに備え、
前記フレキシブル基板は、前記第1面と前記カバー部材との間に位置し、前記第1端部において、前記回路基板が前記第2面側に位置するように折り曲げられている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第2面に対向するとともに、前記第1端部と前記曲げ軸との間に位置する検出素子をさらに備え、
前記フレキシブル基板は、前記検出素子と重なる位置に光を透過させる透過部を有している、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1辺は、前記フレームに接着固定されている、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第2辺は、前記フレームに固定されていない、
請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
第1面と、前記第1面と反対側に位置する第2面と、を有する支持体と、
前記第1面上に位置し、複数の電気素子が形成される中央領域と、前記中央領域を囲む周辺領域と、を有するフレキシブル基板と、
前記第1面と前記フレキシブル基板との間に位置する接着層と、を備え、
前記フレキシブル基板は、回路基板が実装される第1端部と、前記第1端部と反対側に位置する辺と、を有し、
前記接着層は、前記第1端部側に位置する第1部材と、前記辺側に位置する第2部材と、を有し、
前記第2部材のヤング率は、前記第1部材のヤング率より小さく、
前記第1部材の形成領域は、前記第2部材の形成領域よりも小さい、
電子機器。
【請求項9】
前記第1端部および前記辺と平行な曲げ軸に沿って折り曲げられる、
請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記フレキシブル基板は、前記第1端部において、前記回路基板が前記第2面側に位置するように折り曲げられている、
請求項8または9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記第2面に対向するとともに、前記第1端部と前記曲げ軸との間に位置する検出素子をさらに備え、
前記フレキシブル基板は、前記検出素子と重なる位置に光を透過させる透過部を有し、
前記支持体は、前記透過部と重なる位置に開口部を有し、
前記第1部材は、前記開口部を囲むように形成され、前記透過部と重なっていない、
請求項10に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示面を折り畳んだり広げたりすることが可能な電子機器が開発されている(例えば特許文献1乃至3参照)。この種の電子機器は、折り畳まれた状態においては可搬性に優れ、広げた状態においては高い使用感をユーザに与えることができる。
【0003】
当該電子機器は、可撓性を有するフレキシブル基板や多種の機能性フィルム等を積み重ねることで形成されている。フレキシブル基板は外部と信号をやりとりするための回路基板等が実装される実装辺を有しており、実装辺側には折り曲げられた湾曲部が形成される場合がある。
【0004】
当該電子機器を曲げるとフレキシブル基板等には曲げひずみが生ずるが、曲げひずみの増加を抑制するために中立面分離技術が従来から適用されている。しかし、中立面を分離させると曲げた際に各層が曲げの円周方向にずれるため、実装辺側の湾曲部等に対する負荷が予想される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第9377817号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/0146387号明細書
【特許文献3】韓国公開特許第10-2017-0111827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、曲げられた場合にも優れた信頼性を有する電子機器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る電子機器は、複数の電気素子が形成される中央領域と、前記中央領域を囲む周辺領域とを有するフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板上に設けられたカバー部材と、前記カバー部材上に設けられ、前記周辺領域を覆うフレームと、を備えている。前記フレキシブル基板は、回路基板が実装される第1端部を有している。前記カバー部材は、前記第1端部側に位置する第1辺と、前記第1辺と反対側に位置する第2辺と、を有している。前記第1辺と前記フレームとの間に接着材が設けられており、前記第2辺と前記フレームとの間に隙間が設けられている。
【0008】
また、一実施形態に係る電子機器は、第1面と、前記第1面と反対側に位置する第2面と、を有する支持体と、前記第1面上に位置し、複数の電気素子が形成される中央領域と、前記中央領域を囲む周辺領域と、を有するフレキシブル基板と、前記第1面と前記フレキシブル基板との間に位置する接着層と、を備えている。前記フレキシブル基板は、回路基板が実装される第1端部と、前記第1端部と反対側に位置する辺と、を有している。前記接着層は、前記第1端部側に位置する第1部材と、前記辺側に位置する第2部材と、を有している。前記第2部材のヤング率は、前記第1部材のヤング率より小さく、前記第1部材の形成領域は、前記第2部材の形成領域よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る電子機器の概略的な斜視図である。
【
図2】
図2は、中立面分離を適用した積層体の概略的な断面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す積層体のA部の概略的な拡大図である。
【
図4】
図4は、
図2に示す積層体のA部の概略的な拡大図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る電子機器の概略的な分解斜視図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る電子機器の組み立てられた状態における概略的な斜視図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る電子機器の組み立てられた状態における概略的な平面図である。
【
図8】
図8は、カバー部材とフレームとの接着部分を示す一例である。
【
図9】
図9は、カバー部材とフレームとの接着部分を示す他の一例である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る電子機器の概略的な拡大断面図である。
【
図17】
図17は、第3実施形態に係る電子機器の概略的な断面図である。
【
図18】
図18は、第3実施形態に係る電子機器の概略的な平面図である。
【
図19】
図19は、第3実施形態に係る電子機器の概略的な平面図である。
【
図20】
図20は、第3実施形態に係る電子機器の概略的な平面図である。
【
図21】
図21は、第4実施形態に係る電子機器の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。各図において、連続して配置される同一または類似の要素については符号を省略することがある。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0011】
本実施形態においては電子機器の一例として、自発光型の有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置を開示する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、電子機器としては、その他に透過型の液晶表示装置、発光ダイオード(LED)表示装置等がある。また、電子機器は、表示装置の他にも光センサ、温度センサおよびタッチセンサ等の各種センサであってもよい。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る電子機器1の概略的な斜視図である。本実施形態においては、図示したように第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zを定義する。第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zは互いに直交するが、90°以外の角度で交差してもよい。以下、第1方向Xおよび第2方向Yで規定されるX-Y平面を見ることを平面視という。
【0013】
電子機器1は、複数の画素PXを有するフレキシブル基板2と、フレキシブル基板2に重なるカバー部材3と、カバー部材3に重なるフレーム4とを備えている。フレキシブル基板2は例えば多層構造であって、ポリイミド等の樹脂材料等から形成される基材を有している。フレキシブル基板2は、各種絶縁層や導電層、薄膜トランジスタ(TFT)などを含んでもよい。カバー部材3は、カバーフィルムまたはプロテクトフィルムと呼ぶこともできる。
【0014】
図示した例において、フレキシブル基板2の平面視における形状は、第1方向Xに沿う一対の長辺と、第2方向Yに沿う一対の短辺とを有する長方形である。第3方向Zは、フレキシブル基板2の厚さ方向に相当する。フレーム4は、長方形の開口を有した枠状である。フレーム4で囲われた領域が複数の画素PXを含む表示領域DAに相当する。
【0015】
本実施形態においては、フレキシブル基板2、カバー部材3およびフレーム4等の電子機器1の要素がフレキシブルである。これにより、電子機器1は、曲げ軸AYに沿って、開方向R1または閉方向R2に折り曲げることができる。なお、電子機器1は、曲げ軸AYに沿って、開方向R1および閉方向R2の両方に曲げることができてもよい。
【0016】
例えば、図示したように実施形態に係る電子機器1を表示装置とした場合、開方向R1に曲げられると、表示面を視認できるようになる。一方、閉方向R2に曲げられると、表示面が外部から視認できないように閉じられる。
【0017】
このようにフォルダブルな電子機器1を実現するにあたっては、フレキシブル基板2やカバー部材3を含む積層体において中立面分離が適用される。以下、
図2乃至
図4を参照して中立面分離を適用した積層体において生じ得る課題につき説明する。
【0018】
図2は、中立面分離を適用した積層体101の概略的な断面図である。積層体101は、フレキシブル基板102と、カバー部材103と、支持体105と、筐体106とを備えており、これらは第3方向Zにおいて積み重ねられている。筐体106は、プレート状の第1ベース106Aおよび第2ベース106Bと、曲げ軸AYを中心としてこれらベース106A,106Bを回動可能に連結するヒンジ106Cとを有している。
【0019】
さらに、積層体101は、フレキシブル基板102とカバー部材103とを接着する接着層107と、フレキシブル基板102と支持体105とを接着する接着層108とを有している。接着層107および接着層108は、例えば柔らかい接着材で構成されている。
【0020】
柔らかい接着材とは、硬化状態における接着材のヤング率がフレキシブル基板2等のヤング率と比較して小さいことをいう。一例としては、硬化状態における接着材のヤング率は、フレキシブル基板2のヤング率の1000分の1程度であることが好ましい。一方、硬い接着材とは、例えば硬化状態における接着材のヤング率がフレキシブル基板2等と同程度であることが好ましい。
【0021】
支持体105の裏面は、ベース106A,106Bに接着されている。このような構成の積層体101において、ベース106A,106Bを互いに回動させると、フレキシブル基板102、カバー部材103および支持体105が曲がる。
【0022】
図3および
図4は、
図2に示す積層体101のA部の概略的な拡大図であり、第1ベース106A側の端部を示している。
図3および
図4に図示した例において、フレキシブル基板102の一端はカバー部材103の端部や支持体105の端部よりも突出している端部102aを有している。端部102aには、回路基板が実装されている。端部102aは、一部が支持体105の裏面側に位置するように折り曲げられている。端部102aを折り曲げることで、回路基板が実装される辺の狭額縁化を実現することができる。
【0023】
図3は積層体101が曲げられる前の状態であり、この状態ではフレキシブル基板102、カバー部材103および支持体105の位置はずれていない。
図4は、積層体101が閉方向R2に曲げられた状態である。中立面分離を適用した積層体101においては、接着層107,108が応力分離層として機能する。
【0024】
積層体101が曲げられると、フレキシブル基板102とカバー部材103がそれぞれ矢印方向に滑ることで、積層間で応力が分離される。つまり、フレキシブル基板102やカバー部材103は、移動可能であるといえる。移動可能であるとは、例えば積層体101を曲げた際にフレキシブル基板102やカバー部材103の各々が筐体106に対して移動すること、またはフレキシブル基板102やカバー部材103が変形することをいう。
【0025】
これにより、フレキシブル基板102やカバー部材103は、各々の中立面を有する。積層体101の中立面が複数に分離されることで、フレキシブル基板102やカバー部材103の表面等に加わる圧縮応力や引張応力が低減される。
【0026】
図4に図示したようにフレキシブル基板102には、
図3と比較して支持体105に対して距離D1のずれが生じている。フレキシブル基板102は配線等を有するため、曲げられた際に距離D1のずれが生じると端部102aに負荷がかかりクラック等の破損が発生する可能性があり、配線の断線の原因となり得る。
【0027】
本実施形態に係る電子機器1は、このように曲げられた場合でも優れた信頼性を提供することが可能な構造を備えている。以下、電子機器1の構造の詳細について説明する。
【0028】
図5は、第1実施形態に係る電子機器1の概略的な分解斜視図である。
図6は、第1実施形態に係る電子機器1の組み立てられた状態における概略的な斜視図である。なお、これらの図においては、説明を容易化するために
図1に比べ各部をより模式的に示している。
【0029】
図5に示すように、電子機器1は、上述のフレキシブル基板2、カバー部材3およびフレーム4を備えている。さらに、電子機器1は、支持体5と、筐体6とを備えている。筐体6は、プレート状の第1ベース6Aおよび第2ベース6Bと、曲げ軸AYを中心として回動可能となるようにベース6A,6Bを連結するヒンジ6Cとを有している。
【0030】
図5の例においては、曲げ軸AYが第2方向Yと平行である。ただし、曲げ軸AYは、第2方向Yと交差してもよい。また、曲げ軸AYの位置は特に限定されず、例えば図示したように筐体6の第1方向Xにおける中心に近い位置になくてもよい。ヒンジ6Cの構成は特に限定されず、例えば図示したようにベース6A,6Bを連結するための複数の部材を含んでもよいし、ベース6A,6Bに接続されたフレキシブルなフィルム状の部材であってもよい。
【0031】
フレキシブル基板2は、表示面に画像を表示するための複数の画素PXが形成されている表示領域(中央領域)DAと、表示領域DAの周囲の周辺領域SAとを有している。画素PXは、電気素子の一例である。
【0032】
画素PXには、例えば赤色、緑色および青色の副画素が含まれる。副画素は、スイッチング素子と、スイッチング素子に接続された画素電極と、画素電極に対向する共通電極と、画素電極と共通電極の間に配置された有機層とを備えている。有機層は、画素電極と共通電極の間の電位差に応じて発光する。
【0033】
フレキシブル基板2は、各副画素のスイッチング素子に映像信号を供給する複数の信号線と、各副画素のスイッチング素子に走査信号を供給する複数の走査線とを備えている。複数の信号線は、表示領域DAにおいて第1方向Xに延びるとともに第2方向Yに並んでいる。複数の走査線は、表示領域DAにおいて第2方向Yに延びるとともに第1方向Xに並んでいる。
【0034】
フレキシブル基板2は、第1方向Xにおいて、回路基板20が実装される第1端部2aと、第1端部2aと反対側に位置する辺2bとを有している。図示した例において、第1端部2aおよび辺2bは第2方向Yと平行である。
【0035】
第1端部2aは、回路基板20が実装される部分であり、支持体5よりも突出している部分を有している。なお、
図5に図示した例においては、第1端部2aは折り曲げられる前の状態である。電子機器1を組み立てる際に、第1端部2aの一部が支持体5とベース6Aとの間に位置するように折り曲げられる。回路基板20は例えばフレキシブル回路基板であり、第1端部2aに形成された複数の端子を介してフレキシブル基板2に接続される。
【0036】
回路基板20には、例えば制御モジュール等が実装される。第1端部2aは、実装辺と呼ぶこともできる。また、フレキシブル基板2は、ベース6A,6Bを互いに回動させた際に曲がる曲げ部2cを第1端部2aと辺2bとの間に有している。曲げ部2cは第3方向Zにおいてヒンジ6Cや曲げ軸AYと重なっている。曲げ部2cは電子機器1を曲げた際に曲げられる部分であり、電子機器1を曲げた際に曲率を有する部分である。
【0037】
カバー部材3は、長方形であって、第3方向Zにおいてフレキシブル基板2上に設けられており、表示領域DAおよび周辺領域SAの双方を覆っている。カバー部材3は、第1方向Xにおいてフレキシブル基板2の第1端部2a側に位置する第1辺3aと、辺2b側に位置する第2辺3bとを有している。さらに、カバー部材3は、第2方向Yにおいて一端に位置し、第1辺3aと第2辺3bとを接続する第3辺3cと、第3辺3cと反対側に位置する第4辺3dとを有している。図示した例において、第1辺3aおよび第2辺3bは第2方向Yと平行であり、第3辺3cおよび第4辺3dは第1方向Xと平行である。
【0038】
カバー部材3としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィンポリマー(COP)またはポリイミド等の材料で形成されたフレキシブルかつ透明なフィルムを用いることができる。
【0039】
支持体5は、長方形であって第3方向Zにおいてフレキシブル基板2の下方に位置しており、フレキシブル基板2と重なっている。支持体5は、フレキシブル基板2を支持するものであり、例えば支持フィルム等である。支持体5は、フレキシブル基板2に対向する第1面51と、第1面51と反対側に位置する第2面52とを有している。フレキシブル基板2は、第1面51とカバー部材3との間に位置している。フレキシブル基板2、カバー部材3および支持体5を含む積層体は、ベース6A,6Bに接着等の適宜の方法で接続される。
【0040】
フレーム4は、第3方向Zにおいてカバー部材3上に設けられ、表示領域DAに対応する大きさの長方形の開口40を有している。さらに、フレーム4は、電子機器1が組み立てられた状態において筐体6に接続される基端部41と、開口40の周囲の縁部42とを有している。縁部42は、ベゼルと呼ぶこともできる。
【0041】
基端部41と縁部42は、例えば一体的に形成されている。縁部42は、例えば第1方向Xおよび第2方向Yと平行な枠状であり、カバー部材3やフレキシブル基板2の周辺領域SAを覆っている。フレーム4は、例えばゴム等のフレキシブルな材料で形成されており、ベース6A,6Bが回動した際にフレキシブル基板2、カバー部材3および支持体5とともに変形する。基端部41は、接着等の適宜の方法で筐体6に接続されている。
【0042】
図6に図示した例においては、表示領域DAの全体が平坦である。以下、この状態における電子機器1の形状を平坦形状F0と呼ぶ。平坦形状F0からベース6A,6Bを互いに回動させることにより、電子機器1は、開形状F1と、閉形状F2とに変形可能である。開形状F1は
図1に示す開方向R1に電子機器1を曲げた状態(凸曲げ)であり、閉形状F2は
図1に示す閉方向R2に電子機器1を曲げた状態(凹曲げ)である。
【0043】
図7は、第1実施形態に係る電子機器1の組み立てられた状態における概略的な平面図である。フレキシブル基板2は、第1方向Xにおいて曲げ部2cと第1端部2aの間に位置する領域FAと、曲げ部2cと辺2bの間に位置する領域NFAとを有している。
【0044】
カバー部材3の少なくとも一部は、領域FAと重なる部分でフレーム4に接着されている。
図7に図示した例において、カバー部材3の第1辺3aは、フレーム4の縁部42と重なる部分で接着されている。つまり、第1辺3aは、フレーム4に接着固定されている。
図7においては、カバー部材3と縁部42が接着されている部分に斜線を付して示す。
【0045】
一方、カバー部材3は、領域NFAと重なる部分ではフレーム4に接着されていない。つまり、第2辺3bは、フレーム4に固定されていない。また、カバー部材3は、曲げ部2cと重なる部分でもフレーム4に接着されていない。電子機器1が曲げられた際に中立面分離を適用するためには、カバー部材3がフレーム4に接着されていない部分(例えば、領域NFAおよび曲げ部2cと重なる部分)は、カバー部材3の第2辺3bから第1方向Xにおける中心よりも第1辺3a側まで広がっていることが好ましい。
【0046】
領域FAには、後述の検出部DPが位置している。領域FAにおける検出部DPの位置は特に限定されず、例えば図示したように領域FAの第2方向Yにおける中心に近い位置になくてもよい。
【0047】
図8および
図9は、カバー部材3とフレーム4との接着部分を示す例である。
図8および
図9に図示した例において、カバー部材3は、第1辺3aだけでなく、第1辺3aから第1方向Xに沿って第3辺3cおよび第4辺3dの各々でフレーム4の縁部42に接着されている部分を有している。すなわち、カバー部材3は、第1辺3a、第3辺3cおよび第4辺3dの3辺でフレーム4に接着されているといえる。各図においては、カバー部材3と縁部42が接着されている部分に斜線を付して示す。
【0048】
図8においては、第3辺3cおよび第4辺3dのうち、第1辺3aから第1方向Xに沿って領域FAと重なる部分の一部が縁部42に接着固定されている。
図9においては、第3辺3cおよび第4辺3dの領域FAと重なる部分の全体が縁部42に接着固定されている。各図において、検出部DPは、第2方向Yにおいて第3辺3cおよび第4辺3dのうち縁部42に接着されている部分の間に位置している。検出部DPは、第2方向Yにおいて第3辺3cおよび第4辺3dのうち縁部42に接着されている部分の間に位置していなくともよい。
【0049】
図7乃至
図9に図示した例においては第1辺3aの全体が縁部42に接着されているが、第1辺3aの一部のみが縁部42に接着されてもよい。また、第3辺3cと第4辺3dの少なくともどちらかの一部のみが縁部42に接着されてもよい。第1辺3a、第3辺3cおよび第4辺3dが縁部42に接着される部分は、領域FAと重なる部分であればよく、図示した例に限られない。第1辺3a、第3辺3cおよび第4辺3dが縁部42に接着される範囲は、検出部DPの位置に応じて任意に決定してもよい。
【0050】
図10は、
図7に示す電子機器1のB-B線に沿う概略的な断面図である。
図11は、
図10に示す電子機器1のC部の概略的な拡大図である。
図11は、フレキシブル基板2の第1端部2a側を示している。なお、
図10および
図11においては筐体6の図示を省略している。ここでは、第1辺3aと縁部42との接着について説明するが、第3辺3cと縁部42との接着および第4辺3dと縁部42との接着においても同様である。
【0051】
各図に示すように、カバー部材3は、フレキシブル基板2に対向する面と反対側に位置する上面3uを有している。縁部42は、上面3uと対向する下面42aを有している。
図11に図示したように、フレキシブル基板2の第1端部2aはカバー部材3の第1辺3aや支持体5の端部よりも突出している部分を有している。第1端部2aは、回路基板20が第2面52側に位置するように折り曲げられている。
【0052】
フレキシブル基板2は、支持体5の第2面52側に折り曲げられフレキシブル基板2の部分同士が第3方向Zに重なる重なり領域MAを有している。重なり領域MAは、フレキシブル基板2のうちカバー部材3と支持体5との間に位置する部分と重なっている。フレキシブル基板2の折り曲げられた部分は、接着等の適宜の方法で第2面52に接続されている。
【0053】
図10および
図11に図示した例において、電子機器1は、支持体5の第1面51とフレキシブル基板2との間に位置し、第1面51とフレキシブル基板2とを接着する第1接着層AD11と、フレキシブル基板2とカバー部材3との間に位置し、フレキシブル基板2とカバー部材3とを接着する第2接着層AD12とを有している。第1接着層AD11および第2接着層AD12は、例えば
図2において説明した柔らかい接着材で形成されている。
【0054】
第1辺3aと縁部42との間に接着材71が設けられており、第1辺3a側の上面3uは接着材71によって縁部42の下面42aに接着されている。一方、第2辺3bと縁部42との間に隙間Gが設けられており、第2辺3b側の上面3uは下面42aに接着されていない。
【0055】
接着材71は樹脂材料等であってもよく、樹脂材料等を設けることで上面3uが下面42aに接着されてもよい。支持体5とフレキシブル基板2との間、フレキシブル基板2とカバー部材3との間、およびカバー部材3とフレーム4との間には他の部材が介在してもよい。
【0056】
第1辺3a側の上面3uが下面42aに接着されることにより、第1辺3a側の上面3uがフレーム4を介して筐体6と接続される。これにより、電子機器1が曲げられた際に領域FAにおけるフレキシブル基板2、カバー部材3および支持体5を含む積層体の移動が阻害されるため、フレキシブル基板2の第1端部2a、カバー部材3の第1辺3aおよび支持体5の端部がフレーム4に対してずれにくくなる。
【0057】
電子機器1が曲げられた際に当該積層体の位置がずれにくくなることで、第1端部2aに対する負荷が抑制され、フレキシブル基板2が有する配線等にクラック等の破損が発生する可能性が低減する。特に、
図11に図示したように、第1端部2aの湾曲している部分や、当該部分と第1接着層AD11、第2接着層AD12および支持体5との接着部分への負荷を抑制することができる。
【0058】
一方、第2辺3b側の上面3uは下面42aに接着されていないため中立面分離が適用でき、電子機器1が曲げられた際に領域NFAにおけるフレキシブル基板2、カバー部材3および支持体5の移動は阻害されにくい。つまり、電子機器1が曲げられた際にフレキシブル基板2の辺2b、カバー部材3の第2辺3bおよび支持体5はフレーム4に対して移動可能である。また、曲げ部2cと重なる部分においてもカバー部材3はフレーム4の縁部42に接着されていないため、カバー部材3等の変形は阻害されにくい。
【0059】
さらに、電子機器1は、第2面52に対向するとともに、第1端部2aと曲げ軸AYとの間に位置する検出素子DEを備えている。検出素子DEは、例えばカメラモジュール(例えば、ホール式カメラ)やセンサモジュール等である。電子機器1は、第3方向Zにおいて検出素子DEと重なる位置に検出部DPを有している。
図11に図示した例においては、検出素子DEが設けられた位置は、第3方向Zにおいて重なり領域MAと重なっていない。
【0060】
検出部DPは、フレキシブル基板2が有する光(例えば、可視光)を透過させる第1透過部TP1と、第1接着層AD11が有する第1開口部O1と、支持体5が有する第2開口部O2と、第2接着層AD12が有する第3開口部O3とを有している。
【0061】
第1透過部TP1は、表示領域DAの他の部分よりも光が透過しやすい領域である。例えば、第1透過部TP1においては、表示領域DAの他の部分と比較して画素PXや副画素が縮小され、画素PX間や副画素間に光の透過領域が形成されている。他の例として、第1透過部TP1においては、表示領域DAの他の部分と画素PXや副画素の配列が異なり、第1方向Xおよび第2方向Yの少なくともどちらか一方において画素PXや副画素が間引かれ、この間引かれた箇所に光の透過領域が形成されている。
【0062】
さらに他の例として、第1透過部TP1においては画素PXや副画素が配置されておらず、その略全体にわたり光の透過領域が形成されている。さらに他の例として、第1透過部TP1は、貫通孔であってもよい。以上例示した構成により、第1透過部TP1は、フレキシブル基板2において他の領域と比較して透明な(透過率の高い)領域として形成することができる。
【0063】
各開口部O1~O3は、例えば貫通孔である。各開口部O1~O3の形状は、円形であってもよいし、四角形状であってもよい。第1透過部TP1、第1開口部O1、第2開口部O2および第3開口部O3は、第3方向Zにおいて同軸上に位置しており、互いに重なっている。第1開口部O1は第1透過部TP1に重なり、第2開口部O2は第1開口部O1に重なっているといえる。このような構成により、検出部DPは、カバー部材3と検出素子DEとの間で光を透過させることができる。
【0064】
領域FAにおいてはフレキシブル基板2、カバー部材3および支持体5の移動が阻害されているため、電子機器1が曲げられた際に検出部DPの第1透過部TP1、第1開口部O1、第2開口部O2および第3開口部O3の位置はずれにくい。
【0065】
検出部DPを構成する各層の位置が曲げた際にずれると、例えば第1透過部TP1における光の透過が各開口部O1~O3により妨げられる。このため、電子機器1を曲げた際において、検出部DPを介して検出素子DEに光を透過することができる面積が電子機器1を曲げる前と比較して、小さくなる。このため、検出素子DEを設ける際に、予め電子機器1を曲げた際の検出部DPの当該面積に合わせて検出素子DEを選択する必要があった。
【0066】
検出部DPを構成する各層の位置がずれにくくなることで、電子機器1の曲げの前後における検出部DPの当該面積の変化が減少する。これにより、電子機器1を曲げる前における検出部DPの当該面積と同程度の大きさの検出素子DEを設けることができ、検出素子DEの設置も容易となる。
【0067】
以上説明した本実施形態によれば、曲げられた場合にも優れた信頼性を有する電子機器1を得ることができる。すなわち、第1辺3a側に位置する上面3uが下面42aに接着されることにより、
図2に示した比較例とは異なり、電子機器1が曲げられた際において領域FAにおけるフレキシブル基板2、カバー部材3および支持体5の移動が阻害されているため、フレキシブル基板2の第1端部2a、カバー部材3の第1辺3aおよび支持体5の位置がずれにくくなる。
【0068】
これにより、回路基板20が実装される第1端部2aに対する負荷が抑制され、フレキシブル基板2が有する配線等にクラック等の破損が発生する可能性を低減することができ、電子機器1が曲げられた際における信頼性を高めることができる。
【0069】
一方で、領域NFAや曲げ部2cと重なる部分においては、カバー部材3はフレーム4に接着されていないため、電子機器1が曲げられた際には中立面分離を適用することができる。つまり、電子機器1が曲げられた際における信頼性を向上させることと中立面分離を適用することとの両立が可能となる。
【0070】
さらに、検出素子DEと重なる位置で画素PXや副画素を縮小したり、画素PXや副画素を間引いたり、画素PXや副画素を設けないことにより第1透過部TP1が形成される場合には、フレキシブル基板2に対して穴あけや切り欠き等の加工をする必要がない。これにより、加工工程を減らすことができるだけでなく加工による欠陥を排除することができるため、信頼性の高い電子機器1を提供することが可能となる。その他にも、本実施形態からは上述した種々の効果を得ることができる。
【0071】
本実施形態においては、カバー部材3の上面3uと縁部42の下面42aを接着材71で接着しているが、第1方向Xにおける基端部41と基端部41と対向するカバー部材3の側面等との間に形成される隙間に樹脂材料等を設けることで接着してもよい。また、本実施形態においては、電子機器1は検出素子DEを備えているが、検出素子DEを備えなくともよい。回路基板20が実装される第1端部2aが第2面52側に折り曲げられているが、第1端部2aは折り曲げられなくともよい。
【0072】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。特に言及しない構成については第1実施形態と同様のものを適用できる。
【0073】
図12は、第2実施形態に係る電子機器1の概略的な拡大断面図である。
図12においては、電子機器1のフレキシブル基板2の第1端部2a側を拡大して示している。第1実施形態と同様に、第1端部2aは、回路基板20が第2面52側に位置するように折り曲げられている。検出素子DEが設けられた位置が第3方向Zにおいて重なり領域MAと重なる点で、
図11に図示した例と相違する。なお、
図12においては筐体6の図示を省略している。
【0074】
電子機器1は、第1実施形態と同様にフレキシブル基板2、カバー部材3、フレーム4および支持体5を備えている。さらに、電子機器1は、支持体5の第1面51とフレキシブル基板2とを接着する第1接着層AD11と、フレキシブル基板2とカバー部材3とを接着する第2接着層AD12とを有し、領域FAと重なる部分においてカバー部材3の上面3uは接着材71により縁部42の下面42aに接着されている部分を有している。図示されていないが、領域NFAと重なる部分においては、カバー部材3は縁部42の下面42aに接着されていない。
【0075】
電子機器1は接着材72をさらに備えている。フレキシブル基板2の第1端部2aの折り曲げられた部分は、重なり領域MAにおいて支持体5の第2面52に接着材72で接着されている。接着材72は、例えばPressure Sensitive Adhensive(PSA)である。接着材72は、第1実施形態においても同様に適用することができる。
【0076】
検出素子DEが設けられた位置が第3方向Zにおいて重なり領域MAと重なるため、検出部DPも第3方向Zにおいて重なり領域MAと重なっている。検出部DPは、第1透過部TP1、第1開口部O1、第2開口部O2および第3開口部O3を有し、第1端部2aの折り曲げられた部分が有する光を透過させる第2透過部TP2をさらに有している。第1透過部TP1や第2透過部TP2は、フレキシブル基板2の重なり領域MAに設けられている。第1透過部TP1には、第1実施形態において説明した構成を適用することができる。各開口部O1~O3は、例えば貫通孔である。
【0077】
図13は、
図12に示すフレキシブル基板2の第2透過部TP2の模式図である。第2透過部TP2においては、
図13に図示したようにフレキシブル基板2が有する信号線等の配線Wが検出部DP(第2透過部TP2)と重なる部分を迂回している。すなわち、配線Wは、直線状に延びる部分と、検出部DP(第2透過部TP2)の形状に沿って湾曲した部分とを含む。これにより、第2透過部TP2は、第1透過部TP1と同様にフレキシブル基板2において他の領域と比較して透明な(透過率の高い)領域として形成することができる。
【0078】
検出部DPが重なり領域MAに設けられる場合、各開口部O1~O3には、充填材LMが充填される。充填材LMとしては、例えばOptical Clear Resin(OCR)等がある。充填材LMは、各開口部O1~O3の全部に充填されてもよいし、各開口部O1~O3のうち一部にのみ充填されてもよい。
【0079】
検出部DPが重なり領域MAに設けられる場合、電子機器1が曲げられた際に元の形状に戻ろうとする影響により、検出部DPの第3方向Zにおける厚さ(膜厚)は変化しやすい。各開口部O1~O3に充填材LMを充填することで、当該影響を抑制し検出部DPの第3方向Zにおける厚さの変化を低減することができる。また、第1透過部TP1が貫通孔である場合、第1透過部TP1に充填材LMが充填されてもよい。充填材LMは、第1実施形態においても同様に適用することができる。充填材LMの代わりにレンズモジュール等の光学素子等が埋め込まれてもよい。
【0080】
次に、検出部DP(充填材LM)と接着材72との関係について説明する。
図14乃至
図16は、
図12に示す電子機器1の接着材72の例を示す模式図である。
図14乃至
図16は、検出部DP(充填材LM)と接着材72との関係を平面視において示している。各図に図示したように、検出部DPは、第3方向Zにおいて接着材72と重ならない位置に設けられており、接着材72は検出素子DEの光軸と重なっていない。
【0081】
図14においては、接着材72は第2方向Yにおいて検出部DPと重ならない位置に設けられている。
図15および
図16においては、接着材72は第2方向Yにおいて検出部DPと重なる位置に設けられている。
図15においては、接着材72が第1方向Xの全体において検出部DPと重なっている。
図16においては、接着材72が第1方向Xの一部において検出部DPと重なっている。
【0082】
図15および
図16に図示したように、接着材72は、切欠部N1を有している。切欠部N1は検出部DPと第3方向Zにおいて重なる位置に設けられている。このため、接着材72が第2方向Yにおいて検出部DPと重なる位置に設けられた場合であっても、接着材72は検出素子DEに対する光の透過を妨げにくい。
【0083】
切欠部N1の位置や形状は図示した例に限定されず、検出部DPとの関係において適宜変更することが可能である。例えば、
図14および
図16に図示した例において、接着材72と検出部DPの位置を第1方向Xにおいて逆にしてもよい。
【0084】
本実施形態に係る電子機器1の構造であっても、第1実施形態と同じく曲げられた場合にも優れた信頼性を有する電子機器1を得ることができる。また、本実施形態のように検出素子DEが重なり領域MAと重なる位置に設けられた場合であっても、フレキシブル基板2に第1透過部TP1や第2透過部TP2が設けられることで、検出素子DEによるセンシングが阻害されにくい。
【0085】
さらに、配線Wが検出素子DEと重なる位置を迂回することにより第2透過部TP2が形成される場合には、第1透過部TP1と同じくフレキシブル基板2に対して穴あけや切り欠き等の加工をする必要がなく、加工工程を減らしたり、加工による欠陥を排除したりすることができる。また、検出部DPが重なり領域MAに設けられた場合であっても、各開口部O1~O3に充填材LMが充填されることで、検出部DPの第3方向Zにおける厚さの変化を低減することができる。
【0086】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。特に言及しない構成については上述の各実施形態と同様のものを適用できる。
【0087】
図17は、第3実施形態に係る電子機器1の概略的な断面図である。電子機器1は、上述の実施形態と同様にフレキシブル基板2、カバー部材3および支持体5を備えている。電子機器1は第1実施形態において説明したフレーム4や筐体6を備えているが、ここでは図示を省略している。
【0088】
フレキシブル基板2は、第1方向Xにおいて曲げ部2cと第1端部2aの間に位置する領域FAと、曲げ部2cと辺2bの間に位置する領域NFAとを有している。
図17に図示したように、フレキシブル基板2の第1端部2aはカバー部材3の第1辺3aや支持体5の端部よりも突出している部分を有している。第1端部2aは、回路基板20が第2面52側に位置するように折り曲げられている。フレキシブル基板2は、支持体5の第2面52側に折り曲げられフレキシブル基板2の部分同士が第3方向Zに重なる重なり領域MAを有している。重なり領域MAは、フレキシブル基板2のうちカバー部材3と支持体5との間に位置する部分と重なっている。
【0089】
フレキシブル基板2の折り曲げられた部分は、接着等の適宜の方法で第2面52に接続されており、
図12において説明した接着材72により接着されてもよい。また、カバー部材3は、図示しないフレーム4に接着されていないことが好ましい。
【0090】
電子機器1は、支持体5の第1面51とフレキシブル基板2とを接着する第1接着層AD11と、フレキシブル基板2とカバー部材3とを接着する第2接着層AD12とを有している。さらに、第1接着層AD11は、第1部材A1と、硬化状態において第1部材A1のヤング率よりもヤング率の小さい第2部材A2とを有している。例えば、第1部材A1と第2部材A2の境界は、第1部材A1から第2部材A2にかけて硬化状態におけるヤング率が段階的に小さくなっている。第1接着層AD11が第1部材A1および第2部材A2を有する点で、上述の各実施形態と主に相違する。
【0091】
第1接着層AD11が有する第2部材A2および第2接着層AD12は、例えば
図2において説明した柔らかい接着材で形成されている。第1部材A1は、例えばOCRやOptical Clear Adhesive(OCA)等で形成されており、上述の柔らかい接着材よりも硬い接着材である。
【0092】
第1部材A1は、第1端部2a側に位置し、フレキシブル基板2の第1端部2aの少なくとも一部と支持体5とを接着している。第2部材A2は、辺2b側に位置し、辺2bと支持体5とを接着している。電子機器1が曲げられた際に中立面分離を適用するためには、第2部材A2が形成される領域(形成領域)はフレキシブル基板2の辺2b側から第1方向Xにおける中心よりも第1端部2a側まで広がっていることが好ましい。第1部材A1の形成領域は、第2部材A2の形成領域よりも小さいことが好ましい。
【0093】
フレキシブル基板2の第1端部2aが第1部材A1によって支持体5に接着されることにより、電子機器1が曲げられた際に領域FAにおけるフレキシブル基板2、カバー部材3および支持体5を含む積層体の移動が阻害される。これにより、第1端部2a、カバー部材3の第1辺3aおよび支持体5がずれにくくなる。第1端部2aは、第1部材A1により支持体5を介して図示しない筐体6に接続されているといえる。
【0094】
電子機器1が曲げられた際に領域FAにおける当該積層体の位置がずれにくくなることで、第1端部2aに対する負荷が抑制され、フレキシブル基板2が有する配線等にクラック等の破損が発生する可能性が低減する。
【0095】
一方、フレキシブル基板2の辺2bは第2部材A2により支持体5に接着されている。このため、電子機器1が曲げられた際に領域NFAにおけるフレキシブル基板2、カバー部材3および支持体5の移動は阻害されにくい。
【0096】
電子機器1が曲げられた際に辺2b、カバー部材3の第2辺3bおよび支持体5は領域NFAにおいて移動可能である。フレキシブル基板2の曲げ部2cは、第2部材A2により支持体5に接着されているため、曲げ部2cやカバー部材3等の変形は阻害されにくい。
【0097】
電子機器1は、第2面52に対向するとともに、第1端部2aと曲げ軸AYとの間に位置する検出素子DEを備えている。
図17に図示した例においては、検出素子DEが設けられた位置は第3方向Zにおいて重なり領域MAと重なっていない。
【0098】
電子機器1は、第3方向Zにおいて検出素子DEと重なる位置に検出部DPを有している。検出部DPは、フレキシブル基板2が有する光を透過させる第1透過部TP1と、第1接着層AD11が有する第1開口部O1と、支持体5が有する第2開口部O2と、第2接着層AD12が有する第3開口部O3とを有している。
【0099】
第1透過部TP1、第1開口部O1、第2開口部O2および第3開口部O3は、第3方向Zにおいて同軸上に位置しており、互いに重なっている。第1透過部TP1には、第1実施形態において説明した構成を適用することができる。各開口部O1~O3は、例えば貫通孔である。また、検出部DPには、第2実施形態において説明した充填材LMが充填されてもよい。
【0100】
図18乃至
図20は、第3実施形態に係る電子機器1の概略的な平面図である。
図18乃至
図20において、第1接着層AD11における第1部材A1の形成領域と第2部材A2の形成領域を例示する。
【0101】
図18に図示した例おいて、第1部材A1は第1方向Xにおいて第1端部2aから検出部DP(第1開口部O1)を含む範囲を支持体5と接着する範囲に形成されている。
図19に図示した例おいて、第1部材A1は、第1端部2aから検出部DPと重ならない範囲を支持体5と接着する範囲と、検出部DP(第1開口部O1)の周囲に形成されている。この場合、第1部材A1は、支持体5の第2開口部O2を囲むように形成されているともいえる。また、第1部材A1は検出部DPと重なっていない。第1開口部O1が第1部材A1に囲まれることで、電子機器1を曲げた際に第1開口部O1の近傍においてもフレキシブル基板2と支持体5の位置がずれにくくなる。
【0102】
図20に図示した例において電子機器1は検出部DPを有しておらず、第1部材A1は第1端部2aの近傍のみを支持体5と接着する範囲に形成されている。
図18乃至
図20に図示した例においては、第1部材A1の形成領域は第2部材A2の形成領域よりも小さい。第1部材A1の形成領域は領域FAと第3方向Zに重なる範囲であればよく、第1部材A1は領域FAの全体を支持体5と接着してもよい。第1部材A1の形成領域は、検出素子DEの位置に応じて任意に決定してもよい。また、第1部材A1は検出部DPの周囲に形成されなくともよい。
【0103】
本実施形態に係る電子機器1の構造であっても、上述の実施形態と同じく曲げられた場合にも優れた信頼性を有する電子機器1を得ることができる。また、上述の各実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態のように第1端部2aを第1部材A1により支持体5の第1面51に接着することで、電子機器1を曲げた際におけるフレキシブル基板2と支持体5との位置がずれることをより抑制することができる。
【0104】
さらに、検出部DPが有する第1開口部O1が第1部材A1に囲われることにより、検出部DPを構成する各層の位置がよりずれにくくなる。また、第1部材A1の形成領域を第2部材A2の形成領域よりも小さくすることで、電子機器1が曲げられた際における信頼性を向上させることと中立面分離を適用することとの両立が可能となる。
【0105】
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。特に言及しない構成については上述の各実施形態と同様のものを適用できる。
【0106】
図21は、第4実施形態に係る電子機器1の概略的な断面図である。検出素子DEが設けられた位置が第3方向Zにおいて重なり領域MAと重なる点で、
図17に図示した例と相違する。
【0107】
電子機器1は、上述の実施形態と同様にフレキシブル基板2、カバー部材3および支持体5を備えている。電子機器1は第1実施形態において説明したフレーム4や筐体6を備えているが、ここでは図示を省略している。
【0108】
電子機器1は、支持体5の第1面51とフレキシブル基板2とを接着する第1接着層AD11と、フレキシブル基板2とカバー部材3とを接着する第2接着層AD12とを有している。さらに、第3実施形態と同様に、第1接着層AD11は、第1部材A1と、硬化状態において第1部材A1のヤング率よりもヤング率の小さい第2部材A2とを有している。
【0109】
電子機器1は第2実施形態において説明した接着材72をさらに備えている。フレキシブル基板2の第1端部2aの折り曲げられた部分は、重なり領域MAにおいて支持体5の第2面52に接着材72で接着されている。
【0110】
検出素子DEおよび検出部DPが第3方向Zにおいて重なり領域MAと重なっている。検出部DPは、第1透過部TP1、第1開口部O1、第2開口部O2および第3開口部O3を有し、第1端部2aの折り曲げられた部分が有する光を透過させる第2透過部TP2をさらに有している。第1透過部TP1や第2透過部TP2は、フレキシブル基板2の重なり領域MAに設けられている。
【0111】
第1透過部TP1および第2透過部TP2には、第1実施形態や第2実施形態において説明した構成を適用することができる。また、各開口部O1~O3には、第2実施形態において説明した充填材LMが充填されているが、充填材LMが充填されなくともよい。また、第2実施形態において説明したように、検出部DPは第3方向Zにおいて接着材72と重ならない位置に設けられている。
【0112】
例えば、接着材72が第2方向Yにおいて検出部DPと重ならない位置に設けられたり、接着材72が切欠部N1を有したりすることで、接着材72による検出素子DEに対する光の透過の妨げを抑制している。
【0113】
本実施形態に係る電子機器1の構造であっても、上述の実施形態と同じく曲げられた場合にも優れた信頼性を有する電子機器1を得ることができる。また、上述の各実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態のように検出素子DEが重なり領域MAと重なる位置に設けられた場合であっても、フレキシブル基板2の第1端部2aを第1部材A1により支持体5の第1面51に接着することで、検出部DPの第3方向Zにおける厚さの変化をより低減することができる。
【0114】
以上、本発明の実施形態として説明した電子機器を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての電子機器も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0115】
電子機器1の一例として有機EL表示装置を示したが、上述の各実施形態において開示した構成は、電気素子として液晶表示素子や発光ダイオード表示素子等である画素PXを備える表示装置にも適用することができる。また、上述の各実施形態において開示した構成は、光センサ、温度センサおよびタッチセンサ等の各種センサを電気素子として備える電子機器にも適用することができる。
【0116】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0117】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0118】
1…電子機器、2…フレキシブル基板、2a…第1端部、2b…辺、2c…曲げ部、20…回路基板、3…カバー部材、3a…第1辺、3b…第2辺、3c…第3辺、3d…第4辺、4…フレーム、41…基端部、42…縁部、5…支持体、51…第1面、52…第2面、71,72…接着材、A1…第1部材、A2…第2部材、AD11…第1接着層、AD12…第2接着層、DE…検出素子、O1…第1開口部、O2…第2開口部、O3…第3開口部、TP1…第1透過部、TP2…第2透過部、MA…重なり領域、X…第1方向、Y…第2方向、Z…第3方向。