(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108913
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】配線ボックス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/08 20060101AFI20220720BHJP
【FI】
H02G3/08 060
H02G3/08 030
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004140
(22)【出願日】2021-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】501314396
【氏名又は名称】古河樹脂加工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】木村 泰樹
【テーマコード(参考)】
5G361
【Fターム(参考)】
5G361AC01
5G361AC04
5G361AC09
(57)【要約】
【課題】 意図せずキャップが脱落することを抑制し、作業性も良好な配線ボックスを提供する。
【解決手段】 本体部3は、少なくとも一方が開口し、開口部11が形成される。本体部3の各辺に対応する側壁9には、取付け孔13が設けられる。閉塞具5は、取付け孔13の少なくとも一部を塞ぐための部材である。蓋部7を開いた状態では、閉塞具5は、側壁9に対してスライドさせることで、本体部3に対して脱着可能である。蓋部7は、本体部3の開口部11を塞ぐ部材である。蓋部7を閉じると、蓋部7の一部が、閉塞具5の一部と接触することで、閉塞具5のスライド方向への移動が規制される。すなわち、蓋部7の一部が、閉塞具5の移動を規制する規制部として機能し、蓋部7を閉じた状態では、規制部(蓋部7)により、本体部3に対する閉塞具5の脱着が規制される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線の取り回し部に使用可能な配線ボックスであって、
少なくとも一方が開口する本体部と、
前記本体部の開口部を塞ぐ蓋部と、
前記本体部の側壁に取り付け可能な閉塞具と、
を具備し、
前記側壁には、配管接続具を接続可能な取付け孔が形成され、前記閉塞具によって、前記取付け孔の少なくとも一部を塞ぐことが可能であり、
前記蓋部は、前記閉塞具の移動を規制する規制部を有し、
前記蓋部を開いた状態では、前記本体部に対して前記閉塞具の脱着が可能であり、前記蓋部を閉じた状態では、前記規制部により、前記本体部に対する前記閉塞具の脱着が規制されることを特徴とする配線ボックス。
【請求項2】
前記閉塞具は、前記側壁に対して、前記開口部の方向にスライド可能であり、前記規制部は、前記閉塞具の一部と接触することで、前記閉塞具のスライド方向への移動を規制することを特徴とする請求項1記載の配線ボックス。
【請求項3】
前記閉塞具を前記本体部に取り付けた状態において、前記本体部の前記側壁の外面の形態と前記閉塞具の外面との形態とが略一致して、略連続した面を形成可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の配線ボックス。
【請求項4】
前記蓋部側から見た際に、前記蓋部から前記閉塞具の一部がはみ出しており、前記蓋部を取り付けた状態で前記閉塞具の一部を視認可能であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の配線ボックス。
【請求項5】
前記閉塞具には、前記取付け孔よりも小さなサイズの孔が形成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の配線ボックス。
【請求項6】
前記閉塞具に、複数の孔が形成されることを特徴とする請求項5記載の配線ボックス。
【請求項7】
前記閉塞具を前記側壁に取り付けた際に、前記閉塞具と前記側壁の対応する位置に係止構造が形成され、前記閉塞具が前記側壁に係止されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の配線ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの分岐部等に用いられる配線ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケーブルの分岐部においては、ケーブルの分岐方向に対して電線管を接続することが可能な部材として配線ボックスが使用されてきた。この際、ケーブルが分岐されない部位に対しては、内部への異物の侵入等を防ぐため、開口部を塞ぐ必要があるため、従来は、ノックアウト方式の配線ボックスが使用されてきた。ノックアウト方式の配線ボックスは、現場にて、必要な分岐方向に対してのみ開口部を形成し、電線管等を接続することができる。
【0003】
しかし、このようなノックアウト方式の配線ボックスは、作業者がノックアウト方向を間違えると、元に戻すことができず、新たな配線ボックスを使用しなければならないという問題があった。
【0004】
これに対し、電線接続具(コネクタ)が接続可能な孔があらかじめ形成され、使用しない際には、この孔にキャップをねじ込むことで塞ぐことが可能な配線ボックスが提案されている(特許文献1)。
【0005】
特許文献1の配線ボックスには、雌ねじ構造を有する孔が形成され、使用しない際には、キャップの雄ねじを孔の雌ねじに固定することで孔を塞ぐことができ、使用時(電線接続具取付け時)には、キャップを取り外すことで、孔に電線接続具を接続することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の方法は、配線ボックスの外側からキャップの脱着を行うため、施工中や施工後の振動等によって、キャップが脱落するおそれがある。また、配線ボックスを見ただけでは、キャップが脱落しているかどうかが分かりにくい。このため、孔が完全にふさがれない状態で使用された結果、配線ボックス内への異物の侵入等の恐れがある。また、例えば配線ボックスの奥側(作業スペースから遠い側)の孔にキャップを取り付ける作業などは作業性も悪く、キャップの脱着作業も必ずしも容易ではない。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、意図せずキャップが脱落することを抑制し、作業性も良好な配線ボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達するために本発明は、配線の取り回し部に使用可能な配線ボックスであって、少なくとも一方が開口する本体部と、前記本体部の開口部を塞ぐ蓋部と、前記本体部の側壁に取り付け可能な閉塞具と、を具備し、前記側壁には、配管接続具を接続可能な取付け孔が形成され、前記閉塞具によって、前記取付け孔の少なくとも一部を塞ぐことが可能であり、前記蓋部は、前記閉塞具の移動を規制する規制部を有し、前記蓋部を開いた状態では、前記本体部に対して前記閉塞具の脱着が可能であり、前記蓋部を閉じた状態では、前記規制部により、前記本体部に対する前記閉塞具の脱着が規制されることを特徴とする配線ボックスである。
【0010】
前記閉塞具は、前記側壁に対して、前記開口部の方向にスライド可能であり、前記規制部は、前記閉塞具の一部と接触することで、前記閉塞具のスライド方向への移動を規制可能であっても良い。
【0011】
前記閉塞具を前記本体部に取り付けた状態において、前記本体部の前記側壁の外面の形態と前記閉塞具の外面との形態とが略一致して、略連続した面を形成可能であってもよい。
【0012】
前記蓋部側から見た際に、前記蓋部から前記閉塞具の一部がはみ出しており、前記蓋部を取り付けた状態で前記閉塞具の一部を視認可能であることが望ましい。
【0013】
前記閉塞具には、前記取付け孔よりも小さなサイズの孔が形成されてもよい。
【0014】
前記閉塞具に、複数の孔が形成されてもよい。
【0015】
前記閉塞具を前記側壁に取り付けた際に、前記閉塞具と前記側壁の対応する位置に係止構造が形成され、前記閉塞具が前記側壁に係止されてもよい。
【0016】
本発明によれば、閉塞具が本体部に対して脱着可能であり、閉塞具を取り付けた状態で蓋部を閉じると、閉塞具の脱着ができなくなるため、閉塞具が意図せずに脱落することを抑制することができる。
【0017】
また、閉塞具が、本体部の開口方向に対してスライドして脱着可能であれば、閉塞具の脱着がより容易である。
【0018】
また、閉塞具を本体部に取り付けた状態において、本体部の側壁の外面の形態と閉塞具の外面との形態とが略一致するようにすることで、見た目に優れ、閉塞具を目立たなくすることができる。また、閉塞具を取り付けた状態で、ケーブル等が閉塞具に引っかかることを抑制することができる。
【0019】
また、平面視において、蓋部を取り付けた状態でも閉塞具の一部が蓋部の外周からはみ出すことで、閉塞具が取り付けられていることを視認することができる。このため、閉塞具の取り付け忘れ等を抑制することができる。
【0020】
また、閉塞具に、取付け孔よりも小さなサイズの孔を形成することで、本体部に形成されている取付け孔に対して、孔のサイズを変更することができる。このため、取り付けられる配管接続具のサイズに応じて、閉塞具のみを変更して対応することができる。
【0021】
また、一つの閉塞具に複数の孔を形成することで、同じ方向に複数の電線接続具を取り付けることができる。
【0022】
また、閉塞具を本体部に取り付けた際に、両者を仮固定することが可能な係止構造を設けることで、施工時における閉塞具の脱落をより確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、意図せずキャップが脱落することを抑制し、作業性も良好な配線ボックスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】(a)は、蓋部を開いた状態の平面図、(b)は蓋部7を閉じた状態の平面図。
【
図3】(a)は、
図2(a)のA-A線断面図、(b)は
図2(b)のB-B線断面図。
【
図4】(a)から(c)は、配管接続具の接続方法を示す図。
【
図5】配管接続具33を取り付けた状態を示す図で、(a)は斜視図、(b)は断面図。
【
図6】他の実施形態の、本体部3aと閉塞具5aを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図。
【
図7】さらに他の実施形態の、本体部3bと閉塞具5bを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図。
【
図8】さらに他の実施形態の、本体部3cと閉塞具5cを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図。
【
図9】さらに他の実施形態の、本体部3dと閉塞具5cを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図。
【
図10】さらに他の実施形態の、本体部3c、蓋部7a、閉塞具5gを用いた例を示す図で、(a)は蓋部7aと本体部3cの側面図、(b)は閉塞具5gを取り付ける前の状態を示す側方断面図、(c)は閉塞具5gを取り付けた状態を示す側方断面図(d)は蓋部7aを閉じた状態を示す側方断面図。
【
図11】さらに他の実施形態の、本体部3cと閉塞具5dを示す斜視図。
【
図12】さらに他の実施形態の、本体部3cと閉塞具5eを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図。
【
図13】さらに他の実施形態の、本体部3cと閉塞具5fを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、配線ボックス1を示す分解斜視であり、
図2(a)は、蓋部7を開いた状態の平面図、
図2(b)は蓋部7を閉じた状態の平面図である。配線ボックス1は、配線等の取り回し部に使用可能であり、主に、本体部3、閉塞具5、蓋部7等から構成される。本体部3、閉塞具5、蓋部7は、例えば樹脂製である。
【0026】
本体部3は、底部19と底部19に対して起立する側壁9等からなる。すなわち、本体部3は、少なくとも一方が開口し、開口部11が形成される。底部19には、ノックアウト29(
図2(a))が形成される。本体部3は、平面視において略矩形であり、角部が円弧状に形成される。本体部3の各辺に対応する側壁9には、取付け孔13が設けられる。すなわち、取付け孔13は、4方向に形成される。取付け孔13は、後述する配管接続具を接続可能である。
【0027】
それぞれの取付け孔13の近傍において、側壁9の内面側には、取付け孔13を挟むように、一対の挿入溝15が形成される。挿入溝15は、底部19側から開口部11側に側壁9の起立方向に向けて連続して形成され、底部19側が塞がれている。
【0028】
閉塞具5は、取付け孔13の少なくとも一部を塞ぐための部材である。閉塞具5の両端部には、挿入部21が設けられ、本体部3の開口部11側から、挿入部21を挿入溝15に挿入することで、閉塞具5を本体部3の側壁9へ取り付けることができる。また、逆に、閉塞具5を側壁9に対して開口部11方向にスライドさせることで、取り外すことができる。すなわち、蓋部7を開いた状態では、閉塞具5は、側壁9に対してスライドさせることで、本体部3に対して脱着可能である。
【0029】
閉塞具5の外面は、略円弧状に形成される。また、閉塞具5は、側壁9の外面側において、取付け孔13を閉塞可能である。
図2(a)に示すように、閉塞具5を本体部3に取り付けると、本体部3の側壁9の外面の形態(前述した略矩形の角部の円弧形状)と閉塞具5の外面との形態とが略一致して、略連続した面を形成可能である。この際、取付け孔13は閉塞具5によって覆われるため、外面に露出しない。したがって、図示したように、閉塞具5を本体部3に全て取り付けると、平面視において略連続した略円形となる。
【0030】
蓋部7は、本体部3の開口部11を塞ぐ部材である。蓋部7の一部にはボルト孔25が形成され、本体部3に形成されるボルト孔31と位置を合わせて蓋部7を本体部3の開口部11に配置し、ボルトによって固定することができる。なお、以下の説明では、ボルトの図示は省略する。
【0031】
図2(b)に示すように、蓋部7は、本体部3の大部分を覆う。このため、蓋部7によって、挿入溝15が塞がれる。前述したように、挿入溝15には、閉塞具5の挿入部21が挿入されるため、蓋部7を閉じると、蓋部7の一部が、閉塞具5の一部と接触することで、閉塞具5のスライド方向への移動が規制される。すなわち、蓋部7の一部が、閉塞具5の移動を規制する規制部として機能し、蓋部7を閉じた状態では、規制部(蓋部7)により、本体部3に対する閉塞具5の脱着が規制される。
【0032】
なお、
図2(b)に示すように、蓋部7を取り付けた状態において、蓋部7側から見た際に、蓋部7から閉塞具5の一部がはみ出す。すなわち、蓋部7は、閉塞具5の全体を覆わずに、閉塞具5の一部のみを覆うことで移動を規制する。このため、蓋部7を取り付けた状態であっても、閉塞具5の一部を視認可能であり、閉塞具5が取り付けられているかどうかを容易に判断可能である。
【0033】
図1に示すように、本体部3の取付け孔13の近傍であって、側壁9の外面には、凹部17が形成される。また、閉塞具5の裏面側には凸部23が形成される。
図3(a)は、
図2(b)のA-A線断面図であり、凹部17と凸部23に対応する位置での断面図である。閉塞具5を側壁9に取り付けた際に、閉塞具5の凸部23と側壁9の凹部17とが対応する位置に配置される。したがって、凸部23が凹部17にはまり込み、閉塞具5が側壁9に係止される。すなわち、凸部23と凹部17が係止構造として機能する。
【0034】
なお、閉塞具5を逆向きに取り付けると、閉塞具5の凸部23と側壁9の凹部17との位置が同じ位置に配置されず、両者が係止されなくなる。このため、閉塞具5には、挿入方向を示すマーク(矢印等)が付されることが望ましい。
【0035】
図3(b)は、
図2(b)のB-B線断面図である。前述したように、蓋部7のボルト孔25と本体部3のボルト孔31との位置を合わせて、ボルトによって固定することができる。この際、蓋部7の背面側に係止爪27を設け、係止爪27を本体部3の凹部(又は孔)に係止することで、蓋部7を仮固定することができ、1か所のボルト止めでも蓋部7を確実に固定することができる。
【0036】
次に、配線ボックス1の使用方法について説明する。
図4(a)は、閉塞具5が全て取り付けられた状態の配線ボックス1を示す図である。この状態から、配管接続具を取り付けるには、一部の閉塞具5を取り外す必要があるが、前述したように、この状態では、蓋部7が取り付けられているため、閉塞具5の脱着を行うことはできない。
【0037】
そこで、まず、
図4(b)に示すように、ボルトを外して本体部3から蓋部7を取り外す。これにより、蓋部7による閉塞具5の移動が可能となる。
【0038】
次に、
図4(c)に示すように、所望の閉塞具5を開口部11方向にスライドさせて(図中矢印C)、閉塞具5を本体部3から取り外す。この際、閉塞具5は、凸部23と側壁9の凹部17との係止構造によって仮止めされているため、意図しない閉塞具5が外れることが抑制される。
【0039】
図5(a)は、配線ボックス1に配管接続具33を取り付けた状態の斜視図であり、
図5(b)は断面図である。配管接続具33(いわゆるコネクタ)は、公知の物を使用できる。例えば、配管接続具33の一部を本体部3の外側から取付け孔13に挿入し、本体部3の内部から取付け部材で配管接続具33を本体部3に固定することができる。配管接続具33には、所定の径の配管35を取り付けることができる。
【0040】
なお、配管接続具33を取り付けた後に、蓋部7を本体部3へ固定することで、本体部3を閉塞し、本体部3の内部への異物の侵入を防ぐことができるとともに、他の閉塞具5の脱落を抑制することができる。また、図示した例では、配線ボックス1の一方向にのみ配管接続具33を取り付けたが、必要に応じて2方向、3方向、4方向と配管接続具33を取り付けることができる。
【0041】
以上、第1の実施形態によれば、蓋部7によって、本体部3に対して閉塞具5の移動が規制されるため、蓋部7を閉じた状態では、閉塞具5が脱落することを抑制することができる。
【0042】
また、閉塞具5は、本体部3の開口部11方向に対してスライドさせて脱着可能であるため、本体部へのねじ込み作業等が不要である。このため、閉塞具5の脱着作業が容易である。
【0043】
また、閉塞具5を本体部3に取り付けた状態において、閉塞具5以外の部位の本体部3の側壁9の外面の形態と、閉塞具5の外面との形態とが略一致して、略連続した面を形成するため、見た目が良い。また、閉塞具5が本体部3の外面に突出せずに、配線ボックス1の外面に、過剰な凹凸が形成されないため、ケーブル等の引っ掛かりを抑制することができる。
【0044】
また、蓋部7を閉じても、蓋部7側から閉塞具5の一部を視認可能とすることで、閉塞具5の取付け忘れ等を抑制することができる。
【0045】
また、閉塞具5の凸部23と本体部3の凹部17が係止構造として機能するため、施工時に閉塞具5が意図せずに外れてしまうことを抑制することができる。同様に、蓋部7に係止爪27を設けることで、蓋部7を仮固定し、ボルト固定作業が容易である。
【0046】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
図6(a)は、本体部3aに閉塞具5aを取り付ける状態を示す図であり、
図6(b)は、本体部3aに閉塞具5aを取り付けた状態の平面図である。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同様の機能を奏する構成については、
図1~
図5と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0047】
前述した閉塞具5は、取付け孔を閉塞する閉塞部の背面側に挿入部21が屈曲して突出して、挿入部21が取付け孔13よりも本体部3の内側に形成された挿入溝15に挿入された。これに対し、本実施形態では、閉塞具5aは、閉塞面と挿入部21とが連続するように、一枚の板状に形成される。
【0048】
図示した例では、本体部3aは略円形に形成され、挿入溝15は、側壁9の内面側に配置される。すなわち、取付け孔13が形成される側壁9の内面と、挿入溝15とが連続するように配置される。このため、閉塞具5aの挿入部21を挿入溝15に挿入すると、取付け孔13は、閉塞具5aによって側壁9の内面側から閉塞される。
【0049】
閉塞具5aを本体部3aに取り付けた状態で、図示を省略した蓋部を本体部3aに取り付け、蓋部によって、閉塞具5aの少なくとも一部を覆うことで、閉塞具5aが本体部3aに対してスライド動作することを規制することができる。
【0050】
同様に、
図7(a)は、本体部3bに閉塞具5bを取り付ける状態を示す図であり、
図7(b)は、本体部3bに閉塞具5bを取り付けた状態の平面図である。本体部3bは、取付け孔13が形成される側壁9の外面と、挿入溝15とが連続するように配置される。このため、閉塞具5bの挿入部21を挿入溝15に挿入すると、取付け孔13は、閉塞具5bによって側壁9の外面側から閉塞される。
【0051】
閉塞具5bは、挿入部21以外の部位が、挿入部21に対して厚肉に形成され、外面側は、略円弧状に形成される。このため、閉塞具5bの挿入部21を挿入溝15に挿入すると、閉塞具5bの外面と本体部3の側壁9の外面とを略同一面に形成することができ、全体として略円形にすることができる。
【0052】
このようにして、閉塞具5bを本体部3bに取り付けた状態で、図示を省略した蓋部を本体部3bに取り付け、蓋部によって、閉塞具5bの少なくとも一部を覆うことで、閉塞具5bが本体部3bに対してスライド動作することを規制することができる。
【0053】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、挿入溝15を、側壁9の内面又は外面と連続するように形成することで、閉塞具の形状をより簡易なものとすることができる。また、閉塞具によって、取付け孔13の外面側から閉塞することで、取付け孔が外面に露出せず、側壁9の外面に凹凸が形成されることを抑制することができる。
【0054】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
図8(a)は、本体部3cに閉塞具5cを取り付ける状態を示す図であり、
図8(b)は、本体部3cに閉塞具5cを取り付けた状態の平面図である。
【0055】
本実施形態では、本体部3cは、略矩形状に形成される。すなわち、取付け孔13が形成される側壁9は、略直線状に形成される。また、閉塞具5cは、平らな1枚の板状に形成される。なお、図示した例では、挿入溝15は、取付け孔13が形成される側壁9の内面側に対して一直線上に配置されるが、
図7に示した例と同様に、取付け孔13が形成される側壁9の外面側に対して一直線上に配置されてもよい。
【0056】
この場合でも、閉塞具5cを本体部3cに取り付けた状態で、図示を省略した蓋部を本体部3cに取り付け、蓋部によって、閉塞具5cの少なくとも一部を覆うことで、閉塞具5cが本体部3cに対してスライド動作することを規制することができる。
【0057】
同様に、
図9(a)は、本体部3dに閉塞具5cを取り付ける状態を示す図であり、
図9(b)は、本体部3dに閉塞具5bを取り付けた状態の平面図である。本体部3dは、略8角形状に形成される。この場合でも、取付け孔13が形成される側壁9は、略直線状に形成され、閉塞具5cは、平らな1枚の板状に形成される。
【0058】
この場合でも、閉塞具5cを本体部3dに取り付けた状態で、図示を省略した蓋部を本体部3dに取り付け、蓋部によって、閉塞具5cの少なくとも一部を覆うことで、閉塞具5cが本体部3dに対してスライド動作することを規制することができる。
【0059】
第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。このように、本体部の形状は円形だけでなく、多角形であってもよく、この他、楕円形や長円形など、いずれの形状であってもよい。
【0060】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
図10(a)は、本体部3eと蓋部7aを示す側面図であり、
図10(b)~
図10(d)は、閉塞具5gを固定する方法を示す断面図である。前述した各閉塞具は、本体部に対して、開口部11の方向へスライド可能であったが、閉塞具の脱着方向は、必ずしもこのような方向には限られない。
【0061】
本実施形態では、本体部3eは、側壁9の取付け孔13の近傍に、係止部47とピン孔43が形成される。例えば、取付け孔13の下方(底部側)に係止部47が形成され、取付け孔13の上方(開口部側)にピン孔43が形成される。なお、本体部3eには、挿入溝は形成されない。
【0062】
図10(b)に示すように、側壁9に形成された係止部47とピン孔43にそれぞれ対応する部位の閉塞具5gの背面側には、係止爪45とピン41が形成される。
図10(c)に示すように、係止爪45を係止部47に挿入すると、係止爪45が係止部47に係止される。また、ピン孔43にはピン41が挿入される。
【0063】
ピン41は、所定の長さの小径部と、小径部の先端部に形成された太径部49とを有する。すなわち、ピン孔43は、ピン41の太径部49よりも径が大きい。この状態で蓋部7aを閉じると、
図10(d)に示すように、係止部39が、ピン41の太径部49と側壁9との間にはまり込む。すなわち、太径部49と係止部39とが干渉することで、ピン41がピン孔43から抜ける方向への移動が規制される。
【0064】
第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。このように、蓋部を閉じた状態で、閉塞具の脱着が不可能となるように、蓋部によって閉塞具の移動を規制することができれば、その構造は特に限定されず、閉塞具の取付け方向や取り付け構造は、各種の方法を適用可能である。
【0065】
なお、これまで説明した各閉塞具は、閉塞部はいずれも板状(一部厚みが異なる板状)であったが、
図11に示す閉塞具5dのように、背面側には補強用のリブ37を設けてもよい。すなわち、閉塞具の外面側は、取り付けた際に、側壁外面の凹凸が形成されることを避けるため、平滑であることが望ましいが、閉塞具の内面側は、平滑である必要はない。なお、このようなリブ37は、他の閉塞具にも適用可能である。
【0066】
また、上述した閉塞具は、いずれも、取付け孔13を完全に塞ぐものであったが、これには限られない。すなわち、閉塞具は、取付け孔13の少なくとも一部を塞ぐことが可能であればよい。
【0067】
例えば、
図12(a)は、閉塞具5eを用いた状態を示す斜視図であり、
図12(b)は、閉塞具5eを本体部3cに取り付けた状態の側面図である。閉塞具5eには、取付け孔13aが形成される。取付け孔13aは、取付け孔13よりも小さな径である。すなわち、閉塞具5eには、側壁9に形成される取付け孔13よりも小さなサイズの孔が形成される。
【0068】
前述したように、取付け孔13には、配管接続具33が接続される(
図5)。配管接続具33は、接続される配管の径によってサイズが異なる。このため、取付け孔13は、取り付けられる配管接続具33のサイズに合わせて形成される。
【0069】
しかし、分岐される電線の本数が少ない場合や、径が小さい場合には、より小さな配管を用いる方が効率的である。このような場合には、閉塞具5eを用いることで、取付け孔13を取付け孔13aのサイズに変更し、より小径の配管接続具を取り付けることができる。このため、本体部3cはそのままで、複数のサイズの配管接続具33に対応させることができる。
【0070】
なお、この場合にも、配管接続具33を接続しない部位には取付け孔13aが形成されていない閉塞具5c等を用いて取付け孔13を完全に塞ぐことができる。また、大径の配管接続具33を用いる場合には、閉塞具5cを取り外し、取付け孔13に直接、配管接続具33を固定し、小径の配管接続具33を用いる場合には、閉塞具5cを取り外して閉塞具5eを取り付け、取付け孔13aに配管接続具33を固定すればよい。
【0071】
また、
図13(a)は、閉塞具5fを用いた状態を示す斜視図であり、
図13(b)は、閉塞具5fを本体部3cに取り付けた状態の側面図である。閉塞具5eには、側壁9に形成される取付け孔13よりも小さなサイズの取付け孔13aが複数形成される。
【0072】
このように、閉塞具5fを用いれば、小径の配管接続具33を同一方向に向けて複数接続することができる。このため、大径の配管接続具で接続した配管を、さらにその先で分岐させる必要がない。
【0073】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0074】
例えば、前述した各実施形態における各構成は、互いに組み合わせることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0075】
1………配線ボックス
3、3a、3b、3c、3d、3e………本体部
5、5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g………閉塞具
7、7a………蓋部
9………側壁
11………開口部
13、13a………取付け孔
15………挿入溝
17………凹部
19………底部
21………挿入部
23………凸部
25………ボルト孔
27………係止爪
29………ノックアウト
31………ボルト孔
33………配管接続具
35………配管
37………リブ
39………係止部
41………ピン
43………ピン孔
45………係止爪
47………係止部
49………太径部