IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本アキュライド株式会社の特許一覧

特開2022-108983自動引き込み装置付きスライドレール
<>
  • 特開-自動引き込み装置付きスライドレール 図1
  • 特開-自動引き込み装置付きスライドレール 図2
  • 特開-自動引き込み装置付きスライドレール 図3
  • 特開-自動引き込み装置付きスライドレール 図4
  • 特開-自動引き込み装置付きスライドレール 図5
  • 特開-自動引き込み装置付きスライドレール 図6
  • 特開-自動引き込み装置付きスライドレール 図7
  • 特開-自動引き込み装置付きスライドレール 図8
  • 特開-自動引き込み装置付きスライドレール 図9
  • 特開-自動引き込み装置付きスライドレール 図10
  • 特開-自動引き込み装置付きスライドレール 図11
  • 特開-自動引き込み装置付きスライドレール 図12
  • 特開-自動引き込み装置付きスライドレール 図13
  • 特開-自動引き込み装置付きスライドレール 図14
  • 特開-自動引き込み装置付きスライドレール 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108983
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】自動引き込み装置付きスライドレール
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/467 20170101AFI20220720BHJP
   A47B 88/477 20170101ALI20220720BHJP
   A47B 88/493 20170101ALI20220720BHJP
   A47B 88/487 20170101ALI20220720BHJP
【FI】
A47B88/467
A47B88/477
A47B88/493
A47B88/487
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004245
(22)【出願日】2021-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】390002255
【氏名又は名称】日本アキュライド株式会社
(72)【発明者】
【氏名】津村 優
【テーマコード(参考)】
3B160
【Fターム(参考)】
3B160AA01
3B160AB31
3B160AB32
3B160EA03
3B160EA13
3B160EA14
3B160EB02
3B160EB23
3B160EB33
3B160EB72
3B160EB73
3B160EB82
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、シリンダーを有するブレーキ機構付きの自動引き込み装置あっても、スライドレールの全長を抑えることが可能な自動引き込み装置付きスライドレールを提供する。
【解決手段】スライドレール100のアウターレール1に、自動引き込み部材7を設置し、インナーレール2に係合体8を設置し、自動引き込み部材を、本体と、スライド方向に移動可能とされるスライド部材とスライド部材内に設置される係合部材とスライド部材を収縮方向に付勢する付勢手段と緩衝器で構成し、自動引き込み部材の引き出し状態で、係合部材のスライド部材の動きを制御する制御部を、シリンダーの上方に配置するとともに、シリンダーから突出するピストンロッドがシリンダーから突出する部分近傍に配置し、係合部材を、少なくとも、ベース体と、係合体と係合する係合軸と、制御部と、回動軸部である支持片で構成し、支持片を係合軸より引き出し側に配置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともアウターレールとインナーレールを備えたスライドレールのアウターレールに、自動引き込み装置の自動引き込み部材が設置され、インナーレールに自動引き込み部材に係合する係合体が設置され、自動引き込み部材が、主に、アウターレールに固定される本体と、スライドレールのスライド方向に移動可能とされるスライド部材と、スライド部材内に設置されスライド部材と共に移動する係合部材と、スライド部材をスライドレールの収縮方向に付勢する付勢手段と、スライド部材の収縮方向への移動速度を規制する緩衝器で構成される自動引き込み装置付きスライドレールにおいて、自動引き込み部材の引き出し状態で、係合部材のスライド部材の動きを制御する制御部を、シリンダーの上方に配置するとともに、シリンダーから突出するピストンロッドがシリンダーから突出する部分近傍に配置し、係合部材を、少なくとも、ベース体と、係合体と係合する係合軸と、制御部と、回動軸部である支持片で構成し、支持片を係合軸より引き出し側に配置することを特徴とする自動引き込み装置付きスライドレール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に引き出しやグリル調理器等の物品を直線移動させるスライドレールに用いられる自動引き込み装置付きスライドレールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記自動引き込み装置として数々のものが提供されている。
そして、自動引き込み装置では、引き込み機構に加え、エアーダンパーやオイルダンパーと組み合わせることによって、引き込み動作にブレーキ機能を加えたものが提供されている(例えば特許文献1)。
特許文献1のものは、引っ張りコイルばねによって引き込み方向に付勢され引き込み動作を行うスライド部材71を、シリンダー741とピストンロッド742からなる緩衝器74により、ブレーキ機能を効かせ緩やかに動作させるものである。
そして、自動引き込み装置は、自動引き込み部材7の引き出し側端部付近の係合部材72と、係合体8との係合によって作動する。
そして、スライド部材71は、ピストンロッド742側に連結され、シリンダー741は、自動引き込み装置のスライド部材71が一番引き込まれた状態で、スライド部材71よりさらに引き込み方向に突出した位置に配置されるように構成されている。
そのため、引き込み状態で、緩衝器74の大部分が、係合部材72よりスライドレールの引き込み方向に突出することになるため、スライドレールの最収縮時の全体の長さを短くすることが難しいといった問題があった。
また、スライドレールの最収縮時の全体の長さを短くするとインナーメンバーの長さも短くなるから、インナーメンバーと連結する物体との連結部分も短くなることから、連結部分の強度の問題で、スライドレールの採用が難しいといった問題があった。
また、インナーメンバーの長さもが短くすると、スライドレールを引き出した状態で、スライドレールの強度が不足するといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-180926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、シリンダーを有するブレーキ機構付きの自動引き込み装置あっても、スライドレールの全長を抑えることが可能な自動引き込み装置付きスライドレールであって提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
少なくともアウターレールとインナーレールを備えたスライドレールのアウターレールに、自動引き込み装置の自動引き込み部材を設置し、インナーレールに自動引き込み部材に係合する係合体を設置し、自動引き込み部材を、主に、アウターレールに固定される本体と、スライドレールのスライド方向に移動可能とされるスライド部材と、スライド部材内に設置されスライド部材と共に移動する係合部材と、スライド部材をスライドレールの収縮方向に付勢する付勢手段と、スライド部材の収縮方向への移動速度を規制する緩衝器で構成し、自動引き込み部材の引き出し状態で、係合部材のスライド部材の動きを制御する制御部を、シリンダーの上方に配置するとともに、シリンダーから突出するピストンロッドがシリンダーから突出する部分近傍に配置し、係合部材を、少なくとも、ベース体と、係合体と係合する係合軸と、制御部と、回動軸部である支持片で構成し、支持片を係合軸より引き出し側に配置する構成とした。
【発明の効果】
【0006】
本構成により、係合部材と係合体が係合する位置をより引き込み側に設定できるため、引き込み状態の引き込み部材の引き込み側端寄りまで、インナーレールを伸ばすことが可能となる。
特に、支持片を係合軸より引き出し側に配置しているので、係合部材と係合体が係合する位置を、さらに引き込み状態の自動引き込み部材の引き込み端側に寄せることが可能となるので、よりインナーレールを伸ばすことが可能となる。
このように、インナーレールの長さを長くすることが可能であるから、スライドレールの伸長長くすることや、インナーレールを支持するボールの数を増やすことが可能になる。
また、インナーレールの長さを長くすると、インナーメンバーと連結する物体との連結部分の長さも長くなるから、スライドレールの伸長時の強度、取付強度が向上する。
そのため、これまで強度面で採用できなかったところにも使用可能となる。
また、自動引き込み部材の引き込み状態で、係合部材と係合体が係合する位置が引き込み部材の引き込み側端寄りであるため、引き込み端側への部材の突出が少なくすること可能で、スライドレールの全長を短くすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明を備えたスライドレールの引き出された状態の斜視図
図2】本発明を備えたスライドレールの引き込まれた状態の斜視図
図3】本発明を備えたスライドレールの分解斜視図
図4】スライドレールの基本断面図
図5】自動引き込み部材の上面側からの分解斜視図
図6】自動引き込み部材の上面側からの斜視図
図7】自動引き込み部材の下面側からの斜視図
図8】自動引き込み部材の下面側からの分解斜視図
図9】係合体の六面図
図10】自動引き込み部材が引き込まれた状態での自動引き込み部材と係合体の関係を示す説明図
図11】自動引き込み部材の引き出し途中での自動引き込み部材と係合体の関係を示す説明図
図12】自動引き込み部材が引き出された状態での自動引き込み部材と係合体の関係を示す説明図
図13】自動引き込み部材が引き込まれた状態での緩衝器の状態を示す説明断面図
図14】自動引き込み部材が引き出された状態での緩衝器の状態を示す説明断面図
図15】自動引き込み部材の補助緩衝材が作用した状態を示す説明断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の最良の実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
尚、図1における左側斜め下方向を引き込み側、右側斜め上方向を引き出し側とし、引き込み側、引き出し側の両方向をスライド方向として説明する。
図1図4において、符号1はアウターレールを示し、符号2はインナーレールを示し、符号3は中間レールを示し、符号4はアウターレール1のボール保持板を示し、符号5はインナーレール2のボール保持板を示し、アウターレール1、インナーレール2、中間レール3、ボール保持板4、ボール保持板5に回転自在に保持されたボール400・・・、500・・・にて、スライドレール100が構成されている。
符号7は、アウターレール1の引き込み側端部内面に設けられた自動引き込み部材を示し、符号8は、自動引き込み部材7に対応して、インナーレール2の引き込み側内面に設けられた係合体を示している。
【0009】
アウターレール1は、金属製の細長条板の短手両端部を内向き円弧状に折り曲げた内面長手方向にボール案内溝を有する上下折曲縁11、11と、家具等の本体側(固定体)と連結される基板12より略チャンネル型に形成されている。
そして、アウターレール1の基板12の引き出し側端部近傍でインナーレール2方向に折り曲げてボール保持板4の引き出し側端部が当接する固定側移動時ストッパー(図示せず。)が形成される。
このように形成されたアウターレール1の引き込み側端部付近に自動引き込み部材7が取り付けられる。
【0010】
中間レール3は、上記アウターレール1に挿入可能な大きさでアウターレール1より、後述する自動引き込み部材7の引き込み状態のスライド部材71のクッション片711gの引き出し側端から、アウターレール1の引き出し端までの長さで、基板30と上下折曲縁31、31よりアウターレール1と同方向の略チャンネル型に形成され、上下折曲縁31、31の外面に、摺動方向に渡って前記ボール400・・・が転動する外面側ボール摺動溝を有し、上下折曲縁31、31の内面に、摺動方向に渡ってボール500・・・が転動する内面側ボール摺動溝を有している。
そして、基板30の引き込み側の上下端部には、中間レール3の最大引出し時に、前記アウターレール1のリテーナー前ストッパー(図示せず。)に引き出し側端部が当接したボール保持板4の引き込み側端部に当接して、中間レール3の最大引き出し量を規制するボール保持板後ストッパー(図示せず。)が形成され、基板30の引き出し側端部内面に、インナーレール2が最大伸長状態となった時、ボール保持板5の引き出し側端部が当接するとともに、インナーレール2が引き込まれ最短収縮状態となった時、インナーレール2の引き出し側端部に形成されたインナーレール前端ストッパー(図示せず。)が当接する前ストッパー部材(図示せず。)が着脱自在に設けられている。
【0011】
複数個のボール400・・・は、帯状金属板にて形成されたボール保持板4に回転自在に保持され、ボール保持板4はアウターレール1のほぼ3分の1程度の長さに形成されている。
前記アウターレール1と中間レール3の基板12、30間に挿入可能な大きさのコ字形基板40と、コ字形基板40の上下両端部よりL字形に突出し、アウターレール1と中間レール3の各上下折曲縁11、11、31、31間に位置する上下突出縁41、41より断面略コ字形に形成され、上下突出縁41、41の摺動方向に複数個のボール400・・・を回転自在に保持している。
【0012】
インナーレール2は、アウターレール1とほぼ同長に形成され、ボール保持板5に保持されたボール500・・・を介して中間レール3に摺動自在な大きさで、金属製の細条板の短手両端部を外向き円弧状に折り曲げて形成され、外面長手方向にボール500・・・のボ-ル摺動溝を有する上下折曲縁21、21と基板20より断面略C字型に形成されている。
そして、基板20には、インナーレール2の最大伸長時に、前記中間レール3の前ストッパー部材に当接して、インナーレール2の最大伸長量を規制する後ストッパー部材(図示せず。)が設けられている。
このように形成されたインナーレール2の基板20の引き込み側に設けられた保持孔20aに係合体8が取り付けられる。
【0013】
ボール保持板5は、帯状金属板にて中間レール3の半分程度の長さとし、前記中間レール3とインナーレール2の基板30、20間に挿入可能な大きさのコ字形基板50と、コ字形基板50の上下両端部よりL字形に突出し、中間レール3とインナーレール2の各上下折曲縁31、31、21、21間に位置する上下突出縁51、51より断面略コ字形に形成され、上下突出縁51、51の摺動方向に複数個のボール500・・・を回転自在に保持している。
【0014】
スライドレール100は、上記の如く構成され、アウターレール1に対する中間レール3の引き出し(伸長)方向への摺動、中間レール3に対するインナーレール2の引き出し(伸長)方向への摺動は次のようになる。
中間レール3がアウターレール1に対し引き出し方向に摺動すると、同時に、ボール保持板4も中間レール3の移動量の約半分の移動量をもって引き出し側に移動し、やがて、ボール保持板4の引き出し側端部はアウターレール1のリテーナー前ストッパー(図示せず。)に当接して停止し、同時に、中間レール3のボール保持板後端ストッパー(図示せず。)がボール保持板前ストッパー(図示せず。)に当接したボール保持板4の引き込み側端部に当接して停止する。
【0015】
そして、中間レール3に対しインナーレール2が引き出し方向に摺動すると、ボール保持板5もインナーレール2の移動量の約半分の移動量をもって引き出し方向に移動し、やがて、ボール保持板5の引き出し側端部が中間レール3の前ストッパー部材の引き込み側端部に当接して停止し、同時にボール保持板5の引き込み側端部に、インナーレール2の後ストッパー部材が当接してインナーレール2が停止する。
【0016】
一方、アウターレール1に対する中間レール3の引き込み(収縮)方向への摺動、中間レール3に対するインナーレール2の引き込み(収縮)方向への摺動は次のようになる。
中間レール3がアウターレール1に対し収縮方向に摺動すると、同時に固定側ボールリテーナー3も中間レール3の移動量の約半分の移動量をもって収縮方向に移動し、やがて、中間レール3の引き込み側端部が、スライド部材71のクッション片711gに衝突し、中間レール3の摺動が停止する。
【0017】
中間レール3に対しインナーレール2が引き込み側に摺動すると、ボール保持板5もインナーレール2の移動量の約半分の移動量をもって収縮方向に移動し、やがて、インナーレール2の引き込み側に設けられた係合体8が、アウターレール1に取り付けられた自動引き込み部材7に連係し、インナーレール2が自動的に引き込み側に引き込まれ、スライドレール100の最短引き込み(収縮)状態となる。
【0018】
自動引き込み装置の自動引き込み部材7は、図5図8に示すように、本体70と、本体70にスライド移動可能に取り付けられるスライド部材71と、本体70に対してスライド移動可能であってスライド部材71に内包するように取り付けられる係合部材72と、スライド部材71を引き込み側に付勢する付勢装置である引っ張りコイルばね73、73と、スライド部材71の引き込み方向の移動時にスピード調整を行う緩衝器74と、緩衝器74への衝撃を一時的に吸収する補助緩衝材75で構成される。
【0019】
本体70は、合成樹脂によって一体成型されているものであって、図1図5に示すように、主に、アウターレール1に取り付けられた状態で、アウターレール1の基板12の内面に当接する底板部701と、底板部701の引き出し側端から引き出し方向に延伸するスライド基体702で構成される。
底板部701には、底板部701からアウターレール1の上下両折曲縁11、11にそれぞれ突設し上下両折曲縁11、11の内面に沿って当接する取り付け片701a、701aと、中心部でインナーレール2側に膨出しスライド方向に長いスライド案内部704と、底板部701からインナーレール2側に突出し、スライド案内部704を挟んで対向してバネ掛かり701c、701cが設けられている。
そして、スライド案内部704は、裏面(アウターレール1の基板12側)から凹溝のシリンダー収容部705が設けられ、スライド案内部704の前方(引き出し側)端にはピストンが挿通可能な開口部705aが設けられ、シリンダー収容部705と、開口部705aと、後述する保持溝706が一体的に形成されている。
【0020】
スライド案内部704の正面(インナーレール2側の基板20側)には前後方向に長い貫通溝孔である保持溝706が設けられている。
スライド溝706は、スライド方向に延伸する直線部706aの引き出し側端でアウターレール1の上下折曲縁11側(図12における上側)に屈曲する引き込み待機部706bでL字状に形成される。
さらに、直線部706aの引き込み側端でアウターレール1の上下折曲縁11側(図12における上側)に屈曲する退避部706cが設けられ、退避部706cには、引き出し側から引き込み側に向かって突出する弾性変形可能な突片でリセット片706dが設けられる。
【0021】
スライド基体702は、細長板状で、アウターレール1の基板12の内面に沿うように形成されている。
図7に示すように、スライド基体702の外周部の長尺の片のアウターレール1の基板12側が段付き状に形成され、第1スライド部702a、702aとされる。
そして、スライド基体702の表面、すなわち、インナーレール2側から、底面、すなわち、アウターレール1の基板12側に向かって凹状のスライド溝703が形成されている。
スライド溝703の長尺側の両直線部に沿うように、インナーレール2側から、アウターレール1の基板12側に向かって凹溝状のガイド溝707、707が設けられている。
そして、前記、底板部701には、スライド案内部704両直線部に沿うように並行にスライド方向に長尺なスリット状の貫通孔の主ガイド溝708、708が設けられている。
また、主ガイド溝708、708のアウターレール1の基板12側には、図7に示すように、互いに対向するように段付き状に第2スライド部708a、708aが形成される。
【0022】
スライド部材71は、合成樹脂によって一体成型されているものであって、図5図8に示すように、スライド方向に縦長な細長い角柱状の基体部711と、基体部711の引き出し側端部から引き込み側に、基体部711の縦長寸法のおよそ3分の1の位置に設けられる第1ガイド部712、712と、基体部711の引き込み側端部から引き出し側に、基体部711の縦長寸法のおよそ3分の1の位置に設けられるレールガイド部713、713と、基体部711の引き込み側端部近傍に設けられる第2ガイド部714、714で構成されるもので、第1ガイド部712、レールガイド部713は、基体部711から、アウターレール1の上下折曲縁11、11方向にむかって突出するように形成され、第2ガイド部714は、アウターレール1の基板12側に向かって突出形成されている。
【0023】
基体部711は、アウターレール1の基板12側に面する底面が開口部とされる断面コ字状に形成され、引き込み側端面が連続して開放され、凹状のピストンロッド収容部711aが形成されている。
そして、引き出し側端面に引き出し側の突出して設けられる腕状のクッション片711g、基体部711の該底面の対向面側の上面711bの、第2ガイド部714、714間に位置で引き込み端からやや引き出し側の位置に、小判型の貫通孔の小判孔711cが設けられ、上面711bの小判孔711cから引き込み側に、アウターレール1の基板12側の対向側の突出する内振れ止め711dが形成され、小判孔711cから引き出し側に同方向に突出する外振れ止め711e、711eが形成され、上面711bの小判孔711cより引き出し側であるレールガイド部713、713間に、貫通孔である回転軸孔711fが設けられている。
クッション片711gは腕状で、一方端が基体部711に連結し、他方端が上下折曲縁側に突出しており、スライドレール100が収縮する際、中間レール23の引き込み側端がクッション片711gに接触し、クッション片711gの弾性変形を利用して、接触音の低減と接触時の衝撃を緩和するものである。
【0024】
第1ガイド部712、712、レールガイド部713、713、第2ガイド部714、714は、それぞれ同型のものが対称に形成されているので一方のみを説明する。
尚、各部のアウターレール1の基板12に面する側(図13における下側)を下側、その対向面側(図13における上側)を上側として説明する。
第1ガイド部712は、平板状の基部712aと、基部712aの下面に下側に突出して設けられる第1ガイド片712bと、基部712aの引き込み側で上側に突出して設けられる前バネ掛かり712cで形成されている。
第1ガイド片712bは、下方側に突出し、該突出端でさらに、対向する他方の第1ガイド片712b側に向かって突出する形状となっている。
前バネ掛かり712cは、角柱状の突出し、上端部の引き出し側に突出する外れ止め片が設けられた形状となっている。
【0025】
レールガイド部713は、平板状の基部713aと基部713aの上下折曲縁11側の端部で上方に突出するレールガイド片713bからなり、レールガイド片713bの上部が、対向する他方のレールガイド片713b側に向かって膨出する形状となっている。
第2ガイド部714は、下方側に突出し、該突出端でさらに、対向する他方の第2ガイド部714側に向かって突出する形状となっている。
【0026】
係合部材72は、図5図8に示すように合成樹脂によって一体成型されているものであって、細長板状のベース体721と、スライドベース体721の引き出し側端部が上方に向かって段付き状に突出する支持片722と、スライドベース体721の引き込み側端部で上方に向かって円柱状に突出する係合軸723と、係合軸723の対向側で下方に向かって円柱状に突出するガイドピン724からなる。
尚、ガイドピン724は後述する制御部である。
【0027】
引っ張りコイルばね73は、引っ張り側に付勢力が働くコイル状のばねで両端部にリング状の引っ掛け部731、731が設けられている。
【0028】
緩衝器74は、シリンダー741とピストンロッド742とピストンからなり、シリンダー741内にオイルが封入され、オイルの粘度を利用するオイルダンパーであって、広く知られているものである。実施例における緩衝器74は、シリンダー741内にコイルバネを備え、ピストンロッド742を常に伸張側に押し出す方向に付勢しているものであって、外力により、ピストンロッド742が縮んでも、外力がなくなると該付勢力によりピストンロッド742はもとの状態に伸びるように施されている。
【0029】
補助緩衝材75は、本実施例では圧縮コイルばねを使用している。しかしながら、スライドレールを使用する物品の仕様に合わせて、弾性材であるゴムやスポンジ、合成樹脂片などを使用することもある。
【0030】
このように構成される自動引き込み部材7の各部材は次のように組み立てられる。
係合部材72の支持片722を、ピストンロッド収容部711aから、スライド部材71の回転軸孔711fに挿入し、係合軸723を、スライド部材71の小判孔711cに挿入する。この状態で、回転軸孔711fの上面側に露呈する係合部材72の支持片722を上面から指で押さえて係合部材72の脱落を止めておくと、係合部材72は、支持片722部を軸として、係合軸723が小判孔711c内を移動するように回動可能となる。
【0031】
次に、この状態のスライド部材71を、本体70のスライド案内部704にスライド案内部704の上部から、スライド部材71をピストンロッド収容部711a側から被せる。
そして、スライド案内部704がピストンロッド収容部711aに納まり、係合部材72のガイドピン723が、スライド案内部704の保持溝706に納まる位置関係とした状態で、さらにスライド部材71を上面から強く押し込むと、合成樹脂の弾性力を利用して、図7に示すように、係合部材72の第2ガイド部714、714が、第2スライド部708a、708aに係合し、係合部材72の第1ガイド片712b、712bが、第1スライド部702a、702aに係合する。さらに、基体部711の引き出し側端の下面端部が、本体70のガイド溝707内に納まる。
この状態で、スライド部材71は、本体70に対し、本体70から容易に外れることなくスライド方向にスライド移動可能となる。
尚、第1スライド部702a、702a、第2スライド部708a、708aが段付き状に形成されているのは、第1ガイド片712b、712b、第2ガイド部714、714が本体70の下面側の突出しないようにするためである。
【0032】
次に、本体70の下面のシリンダー収容部705から、緩衝器74のピストンロッド742先端を、開口部705aに挿入し、ピストンロッド742を、係合部材72のピストンロッド収容部711aに配置しピストンロッド742の引き出し側の端部をピストンロッド収容部711a引き出し側端面に当接させ、シリンダー741を本体70のシリンダー収容部705に収容する。
この状態で、ピストンロッド742は、シリンダー収容部705から引き出し側に突出した状態で係合部材72は引き出された位置になっており、緩衝器74は、シリンダー収容部705内をスライド方向に移動可能となっている。
そして、シリンダー収容部705の引き込み側端部に、シリンダー741の引き込み側端面に押し付けるように補助緩衝材75を挿入すると、補助緩衝材75の付勢力により、シリンダー741は、引き込み側端面から引き出し側に向かって押圧され、緩衝器74が所定の位置に納まり緩衝器74は取り付けられる。
【0033】
このようにして緩衝器74が取り付けられるが、緩衝器74は前述のとおり外力により、ピストンロッド742が縮んでも、外力がなくなると該付勢力によりピストンロッド742はもとの状態に伸びるように施されているから、ピストンロッド742の突出端部を起点として、シリンダー741が引き込み側に伸びるようになる。そのため、ピストンロッド742の先端で押されてスライド部材71は引き出し側にスライド移動する。
前述のとおり、シリンダー741は、シリンダー収容部705内をスライド方向に移動可能になっており、通常は、補助緩衝材75によって、ピストンロッド収容部711a内のスライド方向への移動が規制されている。
【0034】
そして、引っ張りコイルばね73の両端の引っ掛け部731、731を、それぞれ底板部701のバネ掛かり701c、スライド部材71の前バネ掛かり712cに引っ掛ける。
引っ張りコイルばね73、73を取り付けると、緩衝器74のコイルバネの付勢力は引っ張りコイルばね73、73の付勢力より弱く設定されているので、引っ張りコイルばね73の付勢力で、スライド部材71は引き込み側にスライド移動することになる。しかしながらこの状態では、後述するように、ガイドピン724が引き込み待機部706bに引っかかるようになっているため、スライド部材71は引き込み側にスライド移動しない。
【0035】
そして、このように組み立てられた自動引き込み部材7を、スライド基体702の先端部を、アウターレール1の基板12の所定の位置に形成された切り起こし片である固定片12aに差し込み、取り付け片701a、701aをアウターレール1の上下折曲縁11、11間に嵌入し、アウターレール1から容易に外れないように引き込み側端部に取り付ける。
本体70の裏面には適宜凹部を設け、該凹部に対応してアウターレール1の基板12に突起部を設け、突起部を凹部に挿入させることにより、自動引き込み部材7がアウターレール1に対してスライド方向に移動しないように施される。
【0036】
次に係合体8について詳述する。尚、引き続き各部のアウターレール1の基板12に面する側を下側、その対向面側を上側として説明する。
係合体8は、合成樹脂によって一体成型されているものであって、図9に示すように、上下面の面積が広く形成される板状の基体80と、基体80の引き出し側端部から引き出し方向に突出する取付部81と、基体80の引き出し方向と直行する方向の両端部から、該直行方向にそれぞれ突出する係止片82、82からなる。
そして、取付部81には上下方向に貫通する固定孔81aが設けられ、基体80の下面には、凹溝である作動ガイド溝83が形成されている。
【0037】
作動ガイド溝83は、下面視にて、引き込み側端部が開放されており、スライド方向に伸びる直線部である引き込み部83aと、引き込み部83aの先端で略直角に屈曲した引出部83bを有している。
尚、引き込み部83aは、引き込み側の間口が広く、引き出し側に向かって狭く形成されている。
【0038】
そして、係合体8は、作動ガイド溝83を下面にして、インナーレール2の基板20の引き込み側に設けられた保持孔20aに、基板20の下面から基体80を上方に向かって挿入し、係止片82、82の上面が基板20に当接した位置で、基板20に設けられて固定孔20bと係合体8の固定孔81aを利用してカシメ部材で固定される。
係止片82、82は、基板20の下面に接触して、係合体8がインナーレール2の基板20から上方に捲れ上がらないようにするものである。
【0039】
このように、自動引き込み部材7と係合体8からなる自動引き込み装置が取り付けられたスライドレール100の自動引き込み機能について説明する。
図2に示すインナーレール2がアウターレール1に引き込まれた状態のスライドレール100が最収縮状態で、自動引き込み部材7のスライド部材71は、本体70に対して、引き込み側に移動し、引っ張りコイルばね73によって常に引き込み力が付与された状態で引き込まれている(図10に示す状態)。
そしてこの時、スライド案内部704の保持溝706の直線部706aの最引き込み側の位置に、係合部材72のガイドピン724が待機している。
また、この状態で、係合部材72の係合軸723が、係合体8の作動ガイド溝83の引出部83bの位置にあり、係合軸723が引出部83bの引き込み側面を押圧し、係合体8とともにインナーレール2は、引っ張りコイルばね73によって常に引き込み力を付与された状態で引き込まれている。
【0040】
そして、このスライドレール100の最収縮状態から、インナーレール2が引き出されると、引出部83bの引き込み側面で係合軸723を引き込み側から押圧し、係合軸723を引き出し側に引っ張っていく(図11に示す状態)。スライド部材71に取り付けられた係合部材72の係合軸723が引き出し側に引っ張られるので、スライド部材71も併せて引き出し側に移動する。
このスライド部材71の移動時には、ガイドピン724が、保持溝706の直線部706a内を直線的に移動する。そして、ガイドピン724が保持溝706の引き出し側の引き込み待機部706b部に達すると、支持片722部が回転軸となって係合部材72が回動するようにガイドピン724が、引き込み待機部706bに沿ってスライド方向と直行する方向に移動する。
ガイドピン724が引き込み待機部706bに沿って移動すると、係合軸723も併せて同方向に移動するので、係合軸723が係合体8の引出部83bの引き込み側面から外れ、作動ガイド溝83側に移動する。その状態でインナーレール2を引き出し続けると、係合軸723は作動ガイド溝83を移動するので、係合軸723が作動ガイド溝83から逸脱し係合軸723と係合体8は分離する(図12に示す状態)。
【0041】
係合軸723と係合体8が分離した状態で、ガイドピン724は、引き込み待機部706bに移動し、スライド部材71が引っ張りコイルばね73によって引き込み側に引っ張られているから、ガイドピン724は、引き込み待機部706bの引き込み側面を押圧するため、ガイドピン724は、引き込み待機部706に留まった状態となる。
この状態が、自動引き込み部材7の引き込み待機状態である。そして、インナーレール2はそのまま引き出され、中間レール3も引き出され、スライドレール100は最長伸長状態となる。
【0042】
そして、引き込み待機状態で、インナーレール2が引き込み側にスライド移動し、スライドレール100の引き込み(収縮)が開始されると、インナーレール2に合わせて中間レール3が引き込み側にスライド移動する。
この時、スライドレール100への荷重などの条件によるスライドレール100の動きによって、中間レール3の引き込み側端面が、引き込み待機状態のスライド部材71のクッション片711gに衝突することがある。この時の衝撃力や衝撃音をクッション片711gにて緩和する
【0043】
本実施例では、アウターレール1が固定され、インナーレール2、中間レール3がスライド移動するもので記載しているが、このようなスライドレール100の場合、インナーレール2を固定し、中間レール3、アウターレール1がスライド移動する使い方もできるので、本実施例の自動引き込み装置が取り付けられたスライドレール100も同様な使い方ができる。当然ながらインナーレール2を固定する方法であっても、自動引き込み装置は同じ構成で機能する。
【0044】
次に、引き出されたインナーレール2が収納されていくと、係合体8が係合軸723に近づいていく。そして、係合体8が係合軸723に近づくと、スライド部材71の外振れ止め711e、711e間を係合体8の基体80が通過し、併せて、スライド部材71のレールガイド片713b、713b間を、インナーレール2の上下折曲縁21、21が通過する。
外振れ止め711e、711eとレールガイド片713b、713bは、それぞれ、係合体8のスライド方向への移動、インナーレール2のスライド方向への移動を確実にするための振れ止め機能として設置されており、係合体8、インナーレール2がスライド方向と直行する方向に振れると接触して移動を規制する。
【0045】
さらに、インナーレール2が収納されていくと、インナーレール2側の作動ガイド溝83に、引き込み待機状態のスライド部材71の係合軸723が作動ガイド溝83の引き込み側の開口部から入っていく(図12に示す状態と同じ)。
そして、係合軸723が引出部83bの引き出し側面に接触すると、係合軸723が引出部83bに沿って、スライド方向に直行する方向に移動する。
この時、スライド部材71の内振れ止め711dが引き込み部83aに挿入される。
内振れ止め711dが引き込み部83aに挿入されると、係合体8が、スライド方向と直行する方向に振れると、内振れ止め711dが引き込み部83a内で接触して係合体8振れを規制できるので、より確実に係合軸723を引出部83bに沿って案内させることができる。
そして、係合軸723が引出部83bに沿って移動するのに合わせて、ガイドピン724が、保持溝706の引き込み待機部706bから直線部706aに移動する。
ガイドピン724が直線部706aに移動すると、引っ張りコイルばね73の付勢力によって、スライド部材71が引き込み側に移動する(図11に示す状態と同じ)。そして、この時、係合軸723が、係合体8の引出部83bの引き込み側面を押圧し、インナーレール2が自動引き込み部材7によって引き込まれていく。
【0046】
そして、スライド部材71によって、ピストンロッド742が押され、ピストンロッド742がシリンダー741に入り込んでゆき、緩衝器74の作用によって、スライド部材71移動速度が調整されるので、併せてインナーレール2の動きも調整される。
そして、ガイドピン724が保持溝706内で、引き込み側端部に移動し、スライドレール100が図2に示す最収縮状態となる(図10に示す状態と同じ)。本作動が引き込み動作である。
以上のように、自動引き込み装置は、係合部材72の係合軸723に連動するガイドピン724が主となって動作制御されるもので、ガイドピン724が制御部となる。
【0047】
スライド部材71の係合部材72は、図13に示すようにスライド部材71に対して、引き込み側端部近傍に設置されているから、スライドレール100が最収縮状態の時、インナーレール2は、自動引き込み部材7は引き込み状態にあるが、この時、係合部材72は、自動引き込み部材7の引き込み側端近傍の位置にある。
したがって、係合部材72によって引き込まれた係合体8も同じく自動引き込み部材7の引き込み側端近傍の位置にある。
そのため、インナーレール2の引き込み側は、自動引き込み部材7の大部分の上方の位置に収容されてインナーレール2が自動引き込み部材7をオーバーラップした状態となることから、自動引き込み部材7が、インナーレール2の引き込み側端よりさらに引き込み側の突出することを抑えることが可能である。
実施形態では、係合部材72のベース体721を薄平板状に形成することにより上下方向の厚みを抑えているから自動引き込み部材7全体の上下方向の厚みを抑えることが可能であり、インナーレール2が自動引き込み部材7上を通過できる。
【0048】
尚、インナーレール2が自動引き込み部材7上を通過できるためインナーレール2の長さを長くすることが可能である。
そして、インナーレール2の係合体8のすぐ間際まで固定孔20cを設けることができるので、物品の荷重をインナーレール2の前後端で受けることができるようになり、スライドレールの強度を増やすことができる。
インナーレールが短いと、物品の荷重が引き出したスライドレールの先端付近で支えることになるためスライドレールの強度が不足する場合があり、強度不足を補うためインナーレールを長くするとスライドレール全体が長くなりすぎることがあるため、インナーレール2を長くできると、インナーレール2と連結される物品との接触部分が長くできる。
そのため、スライドレールを引き出した状態で、長いインナーレール全体で物品の荷重を受けることが可能となる。
【0049】
このようなスライドレール100が引き出し等の物品に取り付けられ、自動引き込み装置が引き込み待機状態で、スライドレール100が伸張した状態から、物品を勢いよく操作した場合、スライドレール100が勢いよく収縮し、前記のようにスライド部材71側のピストンロッド742によってシリンダー741が押圧され、緩衝器74の作用によって、移動速度が早くなりすぎないように調整されながら移動する過程で、緩衝器74に大きな衝撃(押圧力)が加わり、緩衝器74の能力を超え、スピード調整できないばかりか、緩衝器74に過度な負荷がかかり、緩衝器74が破損しやすい状態になる。
【0050】
特に、オイル方式やエアー方式の緩衝器の場合、減衰力が作動速度に応じて変化し、作動速度が早いと抵抗力が大きくなるため、緩衝器74に大きな衝撃が加わるとシリンダー741の初期の移動速度が早くなり抵抗値が増加する。抵抗値が増すと、緩衝器74に大きな力が加わるので、オイルやエアーの漏れや、調整弁の破損などの原因となる。
そのために、緩衝器74を、衝撃に耐えうる大きなものにすると、スライドレールに設置できないことや、緩衝器74を収縮させる場合に大きな力が必要となるため、引っ張りコイルばね73の付勢力を強める必要があり、自動引き込み装置の引き込み状態から引っ張り出す場合に引っ張りコイルばね73の付勢力に抗して大きな力が必要になるといった問題がある。
【0051】
本発明品は、前記のようにスライドレール100が勢いよく収縮した場合で緩衝器74に大きな衝撃が加わると、図15に示すように衝撃がシリンダー741だけに加わるのではなく、シリンダー741に加わって受け止められない衝撃がシリンダー741を介して補助緩衝材75に伝わり、シリンダー741が補助緩衝材75を引き込み側に押圧する。
そして、シリンダー741は、シリンダー収容部705内をスライド方向に移動可能に設置されているから、該大きな衝撃は、一旦、補助緩衝材75が受け止めることが可能である。
そのため、補助緩衝材75の弾性力で前記衝撃力が緩和され、衝撃力を緩和しながら、かつ、押しつぶされた補助緩衝材75は、復元しながら前記引き込み動作に移行する。
【0052】
そして、補助緩衝材75の弾性力は、緩衝器74の抵抗値より大きく設定しないと、緩衝器74の通常の引き込み動作で補助緩衝材75が押圧されてしまい、過度な衝撃を緩和する前に補助緩衝材75が押しつぶれてしまい衝撃吸収力が発揮できない。
また、補助緩衝材75の弾性力を過度に強く設定すると過度な衝撃でも補助緩衝材75が弾性変形せずに衝撃を吸収できず、衝撃力が緩衝器74の最大減衰力を超えると緩衝器74の破損につながるため、補助緩衝材75弾性力は、緩衝器74の最大減衰力より弱い範囲で設定する。
したがって、補助緩衝材75の弾性力は、通常の引き込み動作はでは、押しつぶれず、緩衝器74の最大減衰力より弱い範囲で設定するのがよい。
また、本実施例においては、補助緩衝材75は、緩衝器のシリンダー側に設置されているが、ピストンロッドの引き出し側に設置してもよい。
【0053】
尚、自動引き込み装置の引き込み待機状態で、係合部材72に直接何らかの力が加わり、引き込み待機状態が解除され、自動引き込み部材7が引き込まれてしまった場合、この状態でスライドレール100が収縮していくと、引き込まれた状態の係合部材72の係合軸723に、係合体8が近づき、引き込み部83aの間口が広い引き込み側開口部に係合軸723が入っていく。そして、引き込み部83aは引き出し側に向かって狭くなっているので、係合軸723がスライド方向に直行する方向に案内され移動する。
この時、通常、係合軸723は、ガイドピン724が直線部706bにあるため、該方向には移動できないが、直線部706bの引き込み側に設けられたリセット片706dを弾性変形させながら移動可能となる。
そして、さらにスライドレール100が収縮され、係合軸723が、引出部83bに移動するとリセット片706dの復元力により、係合軸723が引出部83bに移動し、係合軸723が引出部83b係合し自動引き込み部材7がリセットされる。
【0054】
本発明の自動引き込み装置は、実施例では、スリーレールのスライドレール100と組み合わされているが、アウターレールとインナーレールからなるツーレールのスライドレールへの使用も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明のスライドレールは、引き出し式の収納家具に限らず、調理台におけるグリル器や、複写機の用紙トレーや、自動車用コンソールなど、物品を直線移動させるものに広範囲に利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 アウターレール
11 上下折曲縁
12 基板
100 スライドレール
2 インナーレール
20 基板
20a 保持孔
21 上下折曲縁
3 中間レール
30 基板
31 上下折曲縁
4 ボール保持板
400 ボール
5 ボール保持板
50 コ字形基板
7 自動引き込み部材
70 本体
701 底板部
701a 取り付け片
701c バネ掛かり
702 スライド基体
702a 第1スライド部
703 スライド溝
704 スライド案内部
705 シリンダー収容部
705a 開口部
706 保持溝
706a 直線部
706b 引き込み待機部
706c 退避部
706d リセット片
707 ガイド溝
708 主ガイド溝
708a 第2スライド部
71 スライド部材
711 基体部
711a ピストンロッド収容部
711b 上面
711c 小判孔
711d 内振れ止め
711e 外振れ止め
711f 回転軸孔
711g クッション片

712 第1ガイド部
712a 基部
712b 第1ガイド片
712c 前バネ掛かり
713 レールガイド部
713a 基部
713b レールガイド片
714 第2ガイド部
72 係合部材
721 ベース体
722 支持片
723 係合軸
724 ガイドピン
73 引っ張りコイルばね
731 引っ掛け部
74 緩衝器
741 シリンダー
742 ピストンロッド
75 補助緩衝材
8 係合体
80 基体
81 取付部
81a 固定孔
82 係止片
83 作動ガイド溝
83a 引き込み部
83b 引出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15