(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108996
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】電源管理装置及び電源管理プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20220720BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02J9/06 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004276
(22)【出願日】2021-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000164438
【氏名又は名称】九州電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】古屋鋪 悟
(72)【発明者】
【氏名】倉山 功治
(72)【発明者】
【氏名】城崎 竜司
【テーマコード(参考)】
5G015
5G064
【Fターム(参考)】
5G015GA01
5G015KA08
5G064AA04
5G064AC08
5G064BA07
5G064CB06
(57)【要約】
【課題】電源装置の日常的な使用状態を管理することで、電力系統が停止した場合に使用可能な電源装置を適正に選択して利用するための電源管理装置等を提供する。
【解決手段】例えば災害が発生し、電力系統が停止する非日常状態が生じた場合に当該非日常状態が生じたことを示す災害情報を受信する災害情報受信部23と、電源装置12に関する電源情報を記憶する電源情報記憶部22と、災害情報受信部23が前記災害情報を受信した場合に、前記電力系統が停止した対象地域に供給可能な前記電源装置12を、予め設定された条件に基づいて前記電源情報記憶部22から抽出する抽出演算部24と、前記抽出演算部24で演算された結果情報を前記対象地域を管理する自治体の自治体管理装置14宛てに送信する出力制御部26とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統が停止する非日常状態が生じた場合に当該非日常状態が生じたことを示す発生情報を受信する発生情報受信手段と、
電源装置に関する電源情報を記憶する電源情報記憶手段と、
前記発生情報受信手段が前記発生情報を受信した場合に、前記電力系統が停止した対象地域に供給可能な前記電源装置を、予め設定された条件に基づいて前記電源情報記憶手段から抽出する抽出演算手段と、
前記抽出演算手段で演算された結果情報を前記対象地域を管理する管理者宛てに送信する送信手段とを備えることを特徴とする電源管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源管理装置において、
前記抽出演算手段は、前記電源情報に含まれる前記電源装置の稼働率の情報が所定の割合以下である場合に、前記対象地域に供給可能な対象電源装置として抽出する電源管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電源管理装置において、
前記発生情報受信手段が受信した前記発生情報に応じて、前記予め設定された条件を変更する設定情報演算手段を備えることを特徴とする電源管理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の電源管理装置において、
前記電源情報に含まれる電池残量を示す電池残量情報に基づいて、充電を必要とする前記電源装置を抽出する監視手段を備え、
前記送信手段が、前記監視手段が抽出した前記電源装置の情報を前記管理者宛てに送信する電源管理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の電源管理装置において、
前記管理者が使用する管理者装置から送信される情報であって、前記対象地域において必要とする前記電源装置の容量に関する必要情報を受信する必要情報受信手段と、
前記電源情報及び前記必要情報に基づいて、前記対象地域に供給する対象電源装置の手配方法を演算する手配演算手段とを備える電源管理装置。
【請求項6】
電力系統が停止する非日常状態が生じた場合に当該非日常状態が生じたことを示す発生情報を受信する発生情報受信手段、
電源装置に関する電源情報を記憶する電源情報記憶手段、
前記発生情報受信手段が前記発生情報を受信した場合に、前記電力系統が停止した対象地域に供給可能な前記電源装置を、予め設定された条件に基づいて前記電源情報記憶手段から抽出する抽出演算手段、
前記抽出演算手段で演算された結果情報を前記対象地域を管理する管理者宛てに送信する送信手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする電源管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統が停止した場合に必要となる電源装置の情報を管理する電源管理装置等に関する
【背景技術】
【0002】
近年災害が頻発しており電力系統からの電力供給が停止するケースが多くなっている。一方で二次電池等を利用した比較的大容量のポータブルの電源装置が普及しており、電力系統からの電力に頼らなくても数時間~数日であれば、電源装置の電力のみで日常生活を送ることが可能となっている。
【0003】
このような二次電池の電力を利用し、災害時に電力を供給する技術が開示されている。例えば特許文献1に示す技術は、バッテリと、前記バッテリから供給される電力を使用して移動する移動手段と、前記移動手段により移動することによりサービスを提供する提供手段と、災害モードに移行した場合、前記バッテリから前記移動手段への電力の供給を停止するよう制御する制御手段と、災害モードに移行した場合に動作し、前記バッテリの電力を外部機器へ出力する出力手段と、を備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示す技術は、通常モードにおいて自走式プリンタとして機能し、災害モードにおいて周囲への電力供給を優先するサービス提供装置であるが、当該装置の通常時における利用領域でしか電力を供給することができないため、装置を利用していない領域で災害が起こった場合には、この装置の電力を災害用に活用することが難しいという課題を有する。
【0006】
また、サービス提供装置が、直接的な被害が小さいような災害が発生した場合に極めて重要な自走式プリンタとして機能しているときであっても、当該プリンタとしての機能が止まってしまうことになるため、極めて重要なプリントができなくなってしまうという課題を有する。
【0007】
本発明は、電源装置の日常的な使用状態を管理することで、電力系統が停止した場合に使用可能な電源装置を適正に選択して利用するための電源管理装置及び電源管理プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電源管理装置は、電力系統が停止する非日常状態が生じた場合に当該非日常状態が生じたことを示す発生情報を受信する発生情報受信手段と、電源装置に関する電源情報を記憶する電源情報記憶手段と、前記発生情報受信手段が前記発生情報を受信した場合に、前記電力系統が停止した対象地域に供給可能な前記電源装置を、予め設定された条件に基づいて前記電源情報記憶手段から抽出する抽出演算手段と、前記抽出演算手段で演算された結果情報を前記対象地域を管理する管理者宛てに送信する送信手段とを備えるものである。
【0009】
このように、本発明に係る電源管理装置においては、電源装置に関する電源情報を電源情報記憶手段に記憶し、電力系統が停止したような場合に、当該電力系統が停止した対象地域に供給可能な電源装置を予め設定された条件に基づいて電源情報記憶手段から抽出し、その結果情報を電力系統が停止した対象地域を管理する管理者宛てに送信するため、例えば災害などが発生して系統電力が停止したような場合であっても、被災地に供給することが可能な余っている電源装置や稼働していない電源装置の台数を自治体等の管理者に伝達することができるため、管理者が災害救援を効率良く行うことが可能になると共に、被災者が出来る限りの電力供給を受けることが可能になるという効果を奏する。
【0010】
本発明に係る電源管理装置は必要に応じて、前記抽出演算手段は、前記電源情報に含まれる前記電源装置の稼働率の情報が所定の割合以下である場合に、前記対象地域に供給可能な対象電源装置として抽出するものである。
【0011】
このように、本発明に係る電源管理装置においては、電源情報に含まれる電源装置の稼働率の情報が所定の割合以下である場合に、対象地域に供給可能な対象電源装置として抽出するため、必要な電源装置は通常通り使用可能にしつつ、稼働率が低く通常時には重要度が低い電源装置のみを選択して供給することが可能になるという効果を奏する。
【0012】
本発明に係る電源管理装置は必要に応じて、前記発生情報受信手段が受信した前記発生情報に応じて、前記予め設定された条件を変更する設定情報演算手段を備えるものである。
【0013】
このように、本発明に係る電源管理装置においては、発生情報受信手段が受信した前記発生情報に応じて、前記予め設定された条件を変更する設定情報演算手段を備えるため、例えば人命に関わるような緊急性が高い場合には、稼働率が高めの電源装置であっても対象地域に供給可能とするような対応が可能となり、発生情報の内容に応じて適正な電源装置の管理を行うことができるという効果を奏する。
【0014】
本発明に係る電源管理装置は必要に応じて、前記電源情報に含まれる電池残量を示す電池残量情報に基づいて、充電を必要とする前記電源装置を抽出する監視手段を備え、前記送信手段が、前記監視手段が抽出した前記電源装置の情報を前記管理者宛てに送信するものである。
【0015】
このように、本発明に係る電源管理装置においては、電源情報に含まれる電池残量を示す電池残量情報に基づいて、充電を必要とする前記電源装置を抽出する監視手段を備え、前記送信手段が、前記監視手段が抽出した前記電源装置の情報を前記管理者宛てに送信するため、対象地域において使用中の電源装置についてもその使用状態を把握して充電管理等を行うことが可能となり、特に災害などが発生した場合には管理者である自治体等の作業を効率化すると共に、被災者が電力不足等で不便になる可能性を下げることができるという効果を奏する。
【0016】
本発明に係る電源管理装置は必要に応じて、前記管理者が使用する管理者装置から送信される情報であって、前記対象地域において必要とする前記電源装置の容量に関する必要情報を受信する必要情報受信手段と、前記電源情報及び前記必要情報に基づいて、前記対象地域に供給する対象電源装置の手配方法を演算する手配演算手段とを備えるものである。
【0017】
このように、本発明に係る電源管理装置においては、管理者から送信される対象地域において必要とする前記電源装置の容量に関する必要情報を受信し、電源情報及び必要情報に基づいて、前記対象地域に供給する対象電源装置の手配方法を演算するため、電源装置の運搬や配送に要する労力や時間を低減し、対象地域に効率よく電源装置を手配することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1の実施形態に係る電源管理装置を用いた電源管理システムのシステム構成図である。
【
図2】第1の実施形態に係る電源管理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る電源管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】第2の実施形態に係る電源管理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】第2の実施形態に係る電源管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】第3の実施形態に係る電源管理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図7】第3の実施形態に係る電源管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】第4の実施形態に係る電源管理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図9】第4の実施形態に係る電源管理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る電源管理装置について、
図1ないし
図3を用いて説明する。本実施形態に係る電源管理装置は、例えば二次電池等を用いたポータブルの電源装置の普段の使用状態を記憶しておき、災害等が発生して系統電力が停止したような場合に、被災地以外で余っている電源装置の情報を被災地の自治体等に提供することで被災者の避難生活の役に立てるものである。なお、災害発生時以外にも系統電力が停止した場合であれば本装置を適用可能であり、例えば災害以外の原因による長期間の停電や電力施設の機能停止による停電等も含まれる。以下の説明では、仮に災害が発生したことにより系統電力が停止した場合に、その自治体への救援として臨時に電源装置の供給を行う場合を例に説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る電源管理装置を用いた電源管理システムのシステム構成図である。電源管理システム1は、使用者2(2a~2z)により使用される電源装置12(12a~12z)と、電源管理者3により使用され、各電源装置12と無線による通信を可能とし各電源装置12の使用情報に関する電源情報を管理する電源管理装置13と、各地域を管理する自治体4(4a~4z)が使用している自治体管理装置14(14a~14z)とを備える。各装置は例えばインターネット11に接続されて相互に情報通信が可能になっている。
【0021】
使用者2は、例えば日常において地下やトンネル内などの密閉空間や夜間などに工事を行ったり、電力の確保が難しい山間部や僻地で作業を行うような業者であり、軽油やガソリンを原料とする発電機からの排気ガスを避けたり、夜間の騒音を避けるために、排気ガスが出ず騒音も無い二次電池で駆動するポータブルの電源装置2を使用しているとする。このような使用者2は日常の業務において多数の電源装置2を使用しており、各電源装置2の使用状態に関する情報が収集され、電源管理者3により電源管理装置13で一元的に管理される。
【0022】
電源管理者3は、例えば電源装置2の製造・販売等を行った業者であり、各電源装置2の使用状態について各電源装置2から送信される情報を電源管理装置13で管理できるようになっている。ある地域で災害などが発生し、系統電力が停止した場合は、被災地以外の地域において被災地に提供することが可能な電源装置2の情報をその使用状態に基づいて抽出する。抽出された電源装置2の情報は、被災地を管理する自治体4(仮に自治体4aの管理地域で災害が発生したとする)が使用している自治体管理装置14aに送信される。
【0023】
災害が発生した自治体4aは、自治体管理装置14aで受信した電源装置2の情報を参考にして、使用者2から提供を受ける電源装置2の管理を行う。具体的には、被災地のどこに何台の電源装置2を配布するかといった決定や、充電がなくなった場合の電源装置2の入れ替えの管理等を行う。
【0024】
なお、
図1において使用者2が使用する電源装置12は、電源管理者3から譲渡されたものであってもよいし、リース会社を経由して使用者2に供給されたものであってもよい。リース会社を経由して電源装置2が供給される場合は、電源管理者3がリース会社からリース先の情報を取得し電源管理装置13に記憶されることとなる。
【0025】
図2は、本実施形態に係る電源管理装置13の構成を示す機能ブロック図である。ここで、電源管理装置13は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク、通信I/F及び入出力I/F等を備えており、ROMやハードディスクに格納されたオペレーティングシステムや各種プログラムを必要に応じてRAMに読み出し、CPUにより各プログラムが実行される。装置間の通信は通信I/Fを介して行われ、電源管理者3による入力操作や出力表示等は入出力I/Fを介して行われる。
【0026】
図2において、電源管理装置13は、使用されている複数の電源装置12a~12zから送信される当該電源装置12の使用状態に関する電源情報を定期的又は不定期に常時受信する電源情報受信部21と、電源情報受信部21が受信した情報を電源装置12a~12zごとに格納して記憶する電源情報記憶部22と、電力系統の稼働状態も含めた災害に関する情報を受信する災害情報受信部23と、当該災害情報受信部23が受信した災害に関する情報及び電源情報記憶部22に記憶された電源の使用状態に関する情報に基づいて、被災地に対して提供することが可能な電源装置12を抽出する抽出演算部24と、当該抽出演算部24が電源装置12を抽出する際の判断基準として予め入力された設定情報を記憶する設定情報記憶部25と、抽出演算部24により抽出された電源装置12に関する情報を自治体管理装置14に送信する出力制御部26とを備える。
【0027】
電源装置12a~12zの使用状態に関する情報は、日常的に電源情報受信部21が受信しており、稼働時間、連続稼働時間、稼働率、負荷状態、充放電状態、部品劣化状態、使用場所、保管場所、使用者、使用用途、使用年数、及び/又は、メンテナンス状態等が電源情報記憶部22に各電源装置12ごとに管理されている。
【0028】
災害情報受信部23は、災害が発生した際にその規模や被害状況に関する様々な情報を受信する。受信する情報の中には電力系統が停止して電気が使えない地域や規模の情報が含まれている。また、被災した自治体4aが管理する自治体管理装置14aからその地域に関する被害状況に関する情報などを受信するようにしてもよい。
【0029】
抽出演算部24は、災害情報受信部23が災害情報を受信したことをトリガーとして、電源情報記憶部22から被災地に提供することが可能な電源装置12の情報を抽出する。このとき、抽出対象となる電源装置12を選択するための基準となる設定値を設定情報記憶部25から読み出す。具体的には、例えば、所定の稼働率、重要拠点での使用回数、稼働時間、主/予備電源のいずれであるか、予め災害時用に登録されているか、使用期間、緊急性の度合いなどの設定値が設定情報記憶部25に記憶されており、それを抽出演算部24が読みだして抽出対象となる電源装置12を選択する。
【0030】
そして、抽出演算部24は、電源情報記憶部22の情報と設定情報記憶部25の情報とに基づいて、例えば、日頃から稼働率が所定値以下の電源装置12、重要拠点での使用が少ない電源装置12、予備電源として通常は稼働していない電源装置12、予め災害時には提供可能であると登録されている電源装置12等が抽出される。その他にも、例えば使用期間が決まっている(所定の季節のみ使用する、所定の月や週のみ使用する)電源装置12や使用期間は不定期であるが所定期間不使用状態となる電源装置12等も抽出対象としてもよい。すなわち、被災地以外の地域で緊急性が低いような使用状態の電源装置12が抽出される。
【0031】
抽出された電源装置12の情報は自治体管理装置14aに送信され、自治体4a側で情報を精査し、必要な電源装置12が被災地の自治体4aに輸送されて提供される。
【0032】
なお、電源装置12がリース会社を経由して使用者2に供給されている場合は、リース中の電源装置2の使用者に関する情報(リース先の情報)がリース会社から提供されて電源情報記憶部22に格納されるようにしてもよい。この場合、リース会社が情報提供する見返りとして電源情報記憶部22の情報を閲覧可能にする等の取り決めが行われてもよい。
【0033】
次に、本実施形態に係る電源管理装置の動作について説明する。
図3は、本実施形態に係る電源管理装置の動作を示すフローチャートである。まず、電源情報受信部21が電源装置12の使用状態に関する電源情報を常時受信し(S1)、電源情報記憶部22に保存する(S2)。災害情報受信部23が災害情報を受信したかどうかを判断し(S3)、災害情報を受信していない、すなわち災害の発生がない場合はS1に戻って通常通り情報収集を継続する。災害情報受信部23が災害情報を受信した場合は、抽出演算部24が電源情報記憶部22の情報に基づいて被災地に提供可能な電源装置12を抽出する(S4)。抽出された電源装置12の情報は、被災した地域を管轄とする自治体4aの自治体管理装置14aに送信されて(S5)、処理を終了する。
【0034】
このように、本実施形態に係る電源管理装置13においては、災害などが発生して系統電力が停止したような場合であっても、被災地に供給することが可能な余っている電源装置12や稼働していない電源装置12の台数を自治体等の管理者に伝達することができるため、管理者が災害救援を効率良く行うことが可能になると共に、被災者が出来る限りの電力供給を受けることが可能になる。
【0035】
また、電源情報に含まれる電源装置12の稼働率の情報が所定の割合以下である場合に、被災地域に供給可能な電源装置12として抽出することで、必要な電源装置12は通常通り使用可能にしつつ、稼働率が低く通常時には重要度が低い電源装置12のみを選択して供給することが可能になる。
【0036】
(本発明の第2の実施形態)
本実施形態に係る電源管理装置について、
図4及び
図5を用いて説明する。本実施形態に係る電源管理装置は、例えば災害が発生した場合の災害の種別や規模に応じて、被災地に提供することが可能な電源装置であるかどうかの判断基準を設定するものである。なお、本実施形態において前記第1の実施形態と重複する説明は省略する。
【0037】
図4は、本実施形態に係る電源管理装置の構成を示す機能ブロック図である。
図4において前記第1の実施形態における
図2の構成と異なるのは、災害情報受信部23が受信した災害情報に基づいて、設定情報記憶部25に記憶されている設定情報を更新する設定情報演算部27を備えることである。
【0038】
災害情報受信部23が受信する災害情報には、災害の種別(例えば、地震、津波、噴火、台風、洪水、大雨等)やその規模、発生時間、発生地域、被害状況に関する情報が含まれる。これらのパラメータの違いにより被害の拡大の仕方や救援方法が異なってくる。例えば、大規模な災害で多くの救援が必要となる場合は、できるだ多くの電源装置12が提供できるように設定情報を更新し、小規模な災害であれば最小限の救援で賄える程度の電源装置が提供できるように設定情報を更新する。
【0039】
なお、これらの設定情報は、過去の災害状況における電力系統の被害状況などから、必要となる電源装置12の電力量をAIなどの学習機能により演算できるようにしてもよい。また、被害の拡大に応じて時間の経過と共に設定情報を更新できるようにしてもよい。例えば、災害の種別、規模、被害状況から被害の拡大期と縮小期のそれぞれに応じて適正な設定情報を演算できるようにしてもよい。
【0040】
図5は、本実施形態に係る電源管理装置の動作を示すフローチャートである。第1の実施形態における
図3の場合と異なるのは、ステップS3で災害情報受信部23が災害情報を受信した場合に、設定情報演算部27が、設定情報記憶部25に記憶されている設定情報を更新する処理(S4)が含まれていることである。設定情報が更新された後は、
図3の場合と同様に、抽出演算部24が電源情報記憶部22の情報に基づいて被災地に提供可能な電源装置12を抽出し(S5)、被災した地域を管轄とする自治体4aの自治体管理装置14aに送信されて(S6)、処理を終了する。
【0041】
このように、本実施形態に係る電源管理装置においては、災害情報に応じて予め設定された設定情報を変更するため、例えば人命に関わるような緊急性が高い場合には、稼働率が高めの電源装置12であっても対象地域に供給可能とするような対応が可能となり、災害情報の内容に応じて適正な電源装置12の管理を行うことができる。
【0042】
(本発明の第3の実施形態)
本実施形態に係る電源管理装置について、
図6及び
図7を用いて説明する。本実施形態に係る電源管理装置は、例えば災害が発生した場合の被災地への提供が決まった電源装置12について、被災地への電源装置12の手配を効率よく行うものである。なお、本実施形態において前記各実施形態と重複する説明は省略する。
【0043】
図6は、本実施形態に係る電源管理装置の構成を示す機能ブロック図である。
図6において前記第1の実施形態における
図2の構成と異なるのは、自治体管理装置14aから送信された必要とされる電源装置12に関する情報(自治体4aが要求する救援に必要なワット数とその地域に関する情報)を受信すると共に、抽出演算部24が抽出した電源装置12に関する情報を電源情報記憶部22から読み出して、効率的な手配方法を演算する手配演算部28を備えることである。
【0044】
電源装置12は、普段一ケ所に保管されている状態とは限らず、様々な場所に散在して使用されている可能性が高い。そのため、被災地に提供可能な電源装置12を一旦一ケ所に集めて被災地に送るよりも、電源装置12の使用地点から最寄りの被災地に直接送られる方が時間も人手も掛からず効率的である。手配演算部28は、自治体管理装置14aから送信される要求情報にできるだけ適合するように電源装置12の手配情報を生成する。例えば、どの被災地域にどの電源装置12を何台手配するといった手配情報が生成される。手配情報を作成する際には、自治体4aからの要求に対して提供できる電源装置12が十分にある場合は、それらを必要な箇所に効率よく運搬できるよう手配する。具体的には、例えば、手配手段が最も効率よく(最短距離又は最短時間で)巡回できるルートを演算したり、被害が大きい地域から優先して電源装置12を運搬できるようなルートの演算であってもよい。なお、手配手段としては具体的には運送会社等が所有する配送車、公共交通機関が所有する移動体、タクシー、ボランティアや被災者自身の自家用車等が該当し、その運搬能力や位置情報がシステムに登録されていることが望ましい。
【0045】
また、自治体4aからの要求に対して提供できる電源装置12が十分ではないような場合は、できるだけ不公平にならないように被災者の数に応じた電源装置12(電力量)の割り振りを行って手配情報を生成する。これらの演算は、学習機能を有するAI等により行われるようにしてもよい。
【0046】
図7は、本実施形態に係る電源管理装置の動作を示すフローチャートである。ここでは、自治体4aにより、各被災地ごとに必要とする電力量が把握された後の手配処理の部分のみを示しており、その他の処理について前記各実施形態と同じである。まず、手配演算部28が、自治体管理装置14aから送信される救援に必要な電源装置2に関する要求情報を受信する(S1)。手配演算部28は、抽出演算部24が抽出した電源装置12に関する情報を電源情報記憶部22から読み出す(S2)。自治体管理装置14aから受信した要求情報と電源情報記憶部22から読み出した電源装置12の使用状態に関する情報とに基づいて、被災地に提供する電源装置12を手配するための手配情報を生成する(S3)。手配情報には、上述したように、電源装置12の運搬を効率化するためのルート情報等が含まれる。手配情報を出力して(S4)処理を終了する。なお、手配情報は手配手段に対して通信による送信を行ってもよいし、ディスプレイや紙に出力して渡すようにしてもよい。
【0047】
このように、本実施形態に係る電源管理装置においては、災害等が発生した後の電源装置12の手配をできるだけ効率化して、被災者等に届けることが可能になる。
【0048】
(本発明の第4の実施形態)
本実施形態に係る電源管理装置について、
図8及び
図9を用いて説明する。本実施形態に係る電源管理装置は、被災地に提供している間の電源装置12の管理(主に充放電管理)を行うものである。なお、本実施形態において前記各実施形態と重複する説明は省略する。
【0049】
図8は、本実施形態に係る電源管理装置の構成を示す機能ブロック図である。
図8において前記第1の実施形態における
図2の構成と異なるのは、電源情報受信部21が受信した情報のうち、被災地に提供されなかった電源装置12の使用状態に関する情報を電源情報記憶部22に格納し、被災地に提供された電源装置12の使用状態に関する情報を災害時電源情報記憶部22aに格納して記憶することである。また、災害時電源情報記憶部22aに記憶された情報に基づいて、被災地で使用されている電源装置12の充放電状態を監視する監視部29を備え、充電が必要な電源装置12に関する情報を出力制御部26を介して自治体管理装置14aに送信することである。
【0050】
被災地においては電源装置12を充電することが困難であることから、充電が必要となった電源装置12は系統電力が正常な地域まで運んで充電する必要がある。そういった充電が必要な電源装置12の情報を電源管理装置13から自治体管理装置14aに送信することで、自治体4aによる電源装置12の充放電管理を効率的に行うことが可能となる。
【0051】
次に、本実施形態に係る電源管理装置の動作について説明する。
図9は、本実施形態に係る電源管理装置の動作を示すフローチャートである。まず、電源情報受信部21が被災地に提供された電源装置12の使用状態に関する情報を受信し(S1)、災害時電源情報記憶部22aに保存する(S2)。監視部29が、災害時電源情報記憶部22aの情報を監視し、充電が必要になりそうな電源装置12を抽出する(S3)。このとき、電源装置12の回収に必要な時間や代わりの電源装置12の有無(直ちに供給可能な電力量等を含む)を考慮して充電が必要な電源装置12を抽出する。出力制御部26が、抽出された電源装置12の情報を自治体管理装置14aに送信して(S4)、処理を終了する。
【0052】
このように、本実施形態に係る電源管理装置においては、電源装置12から送信される電源情報に含まれる電池残量を示す電池残量情報に基づいて、充電を必要とする電源装置12を抽出する監視部29を備え、監視部29が抽出した電源装置12の情報を自治体管理装置14aに送信するため、被災地などの対象地域において使用中の電源装置12についてもその使用状態を把握して充電管理等を行うことが可能となり、自治体等の作業を効率化すると共に、被災者が電力不足等で不便になる可能性を下げることができる。
【0053】
なお、本発明に係る電源管理システムにおいて、電源装置12に使用者2の会社名等を記載しておくようにしてもよい。それにより、使用者2は社会貢献をアピールすることが可能となる。
【0054】
また、上記各実施形態において
図2、
図4、
図6及び
図8の各構成は適宜組み合わせることが可能であり、例えば
図4に示した設定情報演算部27と
図8の災害用電源情報記憶部22aとの双方を備えるような構成であってもよい。
【0055】
さらに、上記説明においては救援者として自治体及び自治体管理装置を例に挙げて説明したが、これに限らず電力系統が停止した場合に被害者を管理する個人及び団体等であれば本発明に係る電源管理システムを適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 電源管理システム
2(2a~2z) 使用者
3 電源管理者
4(4a~4z) 自治体
11 インターネット
12(12a~12z) 電源装置
13 電源管理装置
14(14a~14z) 自治体管理装置
21 電源情報受信部
22 電源情報記憶部
22a 災害用電源情報記憶部
23 災害情報受信部
24 抽出演算部
25 設定情報記憶部
26 出力制御部
27 設定情報演算部
28 手配演算部
29 監視部