(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109012
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】圧力センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 5/00 20060101AFI20220720BHJP
【FI】
G01L5/00 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004305
(22)【出願日】2021-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 仁
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AB07
2F051AC01
(57)【要約】
【課題】押圧力の検出位置によらず安定して押圧力を検出できる圧力センサを提供する。
【解決手段】圧力センサ1は、基板10に沿って配置された複数の第1電極20と、複数の第1電極20に接する弾性体50と、弾性体50に接して第1電極20との間で弾性体50を挟む第2電極30と、第2電極30よりも基板10側に設けられて第2電極30と電気的に接続される第3電極40と、を備える。弾性体50は、第1電極20と第2電極30とを近接させる押圧力が働いた場合に第1電極20と第2電極30とを電気的に接続する導電粒子を含む。第3電極40は、少なくとも一方向に隣り合う第1電極20同士の間を区切る格子状に連続する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に沿って配置された複数の第1電極と、
前記複数の第1電極に接する弾性体と、
前記弾性体に接して前記第1電極との間で前記弾性体を挟む第2電極と、
前記第2電極よりも前記基板側に設けられて前記第2電極と電気的に接続される第3電極と、を備え、
前記弾性体は、前記第1電極と前記第2電極とを近接させる押圧力が働いた場合に前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続する導電粒子を含み、
前記第3電極は、少なくとも一方向に隣り合う第1電極同士の間を区切る格子状に連続する、
圧力センサ。
【請求項2】
前記複数の第1電極が行列状に配置された検出領域を有し、
前記検出領域は、行方向又は列方向の一方に沿う複数の信号線と、行方向又は列方向の他方に沿う複数の走査線と、を含み、
ソース又はドレインの一方が前記第1電極と接続され、ソース又はドレインの他方が前記信号線と接続され、ゲートが前記走査線と接続されたトランジスタを備える、
請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記第3電極と前記複数の第1電極とは同層に形成される、
請求項1又は2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記第3電極は、各第1電極の四方を囲むよう前記基板に沿って連続する、
請求項3に記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記第3電極のシート抵抗は、前記第2電極のシート抵抗よりも小さい、
請求項1から4のいずれか一項に記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記第3電極は、前記複数の第1電極が設けられた領域の外側に延出して給電部と接続される延出部を有し、
前記第2電極と前記第3電極と、は、前記押圧力が働いた場合に電気的に接続される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の圧力センサ。
【請求項7】
前記第2電極は、前記複数の第1電極が設けられた領域の外側に設けられた給電部と接続される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の圧力センサ。
【請求項8】
前記第2電極は、前記第3電極と電気的に接続されていない場合、電気的にフローティングである、
請求項1から7のいずれか一項に記載の圧力センサ。
【請求項9】
1つの前記トランジスタは、2つ以上の前記第1電極と接続される、
請求項2に記載の圧力センサ。
【請求項10】
前記第3電極は、1つの前記トランジスタに接続された2つ以上の前記第1電極のうち少なくとも一方向に隣り合う第1電極同士の間を区切る、
請求項9に記載の圧力センサ。
【請求項11】
前記第3電極は、前記第3電極よりも前記基板側に積層された給電部と電気的に接続されている、
請求項9又は10に記載の圧力センサ。
【請求項12】
前記給電部は、前記信号線と同層である、
請求項11に記載の圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
押圧力の有無に応じてスイッチの電気的接続状態が切り替わることで押圧力を検出する圧力センサが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
押圧力の被検出面で二次元的な分解能を圧力センサに持たせる場合、複数のスイッチが二次元的に配置される。ここで、各スイッチの電気的特性が不統一であると、押圧力の有無に応じた電気的変化が相対的に乏しいスイッチが設けられた位置での押圧力の検出精度を確保する技術的難易度が高くなってしまう。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたもので、押圧力の検出位置によらず安定して押圧力を検出できる圧力センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による圧力センサは、基板に沿って配置された複数の第1電極と、前記複数の第1電極に接する弾性体と、前記弾性体に接して前記第1電極との間で前記弾性体を挟む第2電極と、前記第2電極よりも前記基板側に設けられて前記第2電極と電気的に接続される第3電極と、を備え、前記弾性体は、前記第1電極と前記第2電極とを近接させる押圧力が働いた場合に前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続する導電粒子を含み、前記第3電極は、少なくとも一方向に隣り合う第1電極同士の間を区切る格子状に連続する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、圧力センサの主要な構成を含む積層構造の断面図である。
【
図2】
図2は、第2電極側から押圧力を受けた圧力センサを示す図である。
【
図3】
図3は、圧力センサの回路構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、アレイの構造例を示す平面図である。
【
図5】
図5は、複数のアレイの位置関係例を示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図3に示す回路で構成された圧力センサが動作する場合の電気的制御の例を示すタイミングチャートである。
【
図7】
図7は、参考例による圧力センサの構成例を示す断面図である。
【
図8】
図8は、変形例1による圧力センサの検出領域内の電極の形状を例示する平面図である。
【
図9】
図9は、給電線Vbias及び信号線が設けられた配線層のアレイUn内の形態の一例を示す平面図である。
【
図10】
図10は、
図8に示す電極層と
図9に示す配線層とを接続するコンタクトのアレイUn内の配置例を示す平面図である。
【
図11】
図11は、変形例2による圧力センサの主要な構成を含む積層構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(実施形態)
図1は、圧力センサ1の主要な構成を含む積層構造の断面図である。圧力センサ1は、基板10上に複数の構成が積層されたいわゆるデバイス基板である。当該複数の構成は、半導体を利用した電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)を含む。具体的には、基板10上には、基板10により近い側から順に、絶縁膜11、第1配線層12、第1絶縁層13、半導体層14、第2配線層15、第2絶縁層16、第3配線層17、第3絶縁層18、第4配線層19等が積層されている。第1配線層12、第2配線層15、第3配線層17及び第4配線層19は例えばメタル電極のように導電性を有する素材を用いて形成される。第1絶縁層13、第2絶縁層16及び第3絶縁層18は、例えば酸化シリコンや窒化シリコンを含む絶縁体を用いて形成される。半導体層14は、FETのチャネルとして機能する半導体である。FETがMOSFET(Metal Oxide Semiconductor FET)である場合、半導体層14は例えばシリコン(Si)である。これらの積層構造によって、
図1に示す第1素子61ならびに後述する
図3に示す第2素子62、第3素子63及び第4素子64のようなFETが基板10上に形成されている。
【0010】
以下の説明において、基板10に沿う一方向を第1方向Dxとする。また、基板10に沿い、かつ、第1方向Dxに直交する他の一方向を第2方向Dyとする。また、第1方向Dx及び第2方向Dyに直交する方向を第3方向Dzとする。第3方向Dzは、基板10に形成された積層構造の積層方向である。
【0011】
第4配線層19の上側には、さらに、被覆部HRC、電極層等が積層されている。被覆部HRCは、第4配線層19と当該電極層との間に積層されて第4配線層19と当該電極層とを絶縁する。また、被覆部HRCは、被覆部HRCよりも下層側の構成に後述する第2電極30側からの押圧力が加わることを抑制して当該下層側の構成を保護する有機層である。当該電極層は、第1電極20と、第3電極40と、を含む。第1電極20と第3電極40とは離隔している。当該電極層の上側には、さらに、弾性体50が設けられている。弾性体50は、薄膜状の弾性部材である。弾性体50は、複数の導電性粒子51を含む。導電性粒子51を含む弾性体50は、感圧導電性を示す。
【0012】
また、弾性体50の上側には、さらに、第2電極30が設けられている。第2電極30は、導電シートであるが、第2電極30は、少なくとも弾性体50側が導電性を示すシート状の部材であればよい。より具体的には、第2電極30は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の化合物性薄膜が弾性体50側に設けられている。第2電極30のうち弾性体50の反対側は導電性を有していてもよいし、合成樹脂等の絶縁体で被膜されていてもよい。
【0013】
図2は、第2電極30側から押圧力を受けた圧力センサ1を示す図である。
図1に示す圧力センサ1が第2電極30側から第3方向Dzの押圧力を受けた場合、
図2に示すように、弾性体50が第3方向Dzに圧縮される。これによって、弾性体50に含まれる複数の導電性粒子51のうち一部が第3電極40と第2電極30との間及び第1電極20と第2電極30との間を電気的に導通させる導通経路を形成する。
図2では、第3電極40と第2電極30との間を導電性粒子51aが接続し、第1電極20と第2電極30との間を導電性粒子51bが接続している状態を模式的に例示している。導電性粒子51a、導電性粒子51bは、複数の導電性粒子51の一部である。第2電極30側から第3方向Dzの押圧力がなくなると、
図2に示す状態から
図1に示す状態に戻り、当該導通経路が失われる。このように、圧力センサ1は、当該導通経路の成立の有無によって第2電極30側からの押圧力を検出できる。また、第2電極30側からの押圧力に応じて当該導通経路を形成する第3電極40、第2電極30、第1電極20及び弾性体50は、当該押圧力に応じて開閉が切り替わるスイッチ80として機能する。なお、実施形態の第2電極30は、当該押圧力を受けておらず第1電極20及び第3電極40と非接続の状態である場合にフローティング状態になる。
【0014】
より具体的には、弾性体50は、第3方向Dzに沿う方向の押圧力に応じて第3電極40と第2電極30との導通及び第1電極20と第2電極30との導通を成立させ、かつ、他の方向(基板10に沿う方向等)への導通を成立させない異方性の感圧導電性を示す。導電性粒子51は、このような感圧導電性を成立させるように弾性体50内に設けられている。
【0015】
実施形態では、第3電極40のシート抵抗は、第2電極30のシート抵抗よりも小さい。具体的には、第1電極20及び第3電極40を構成する電極層は銀(Ag)のような導電性が極めて高い金属製である。第3電極40の具体的組成はこれに限られるものでないが、第3電極40はできるだけ導電性が高くシート抵抗が低い素材からなることが望ましい。
【0016】
図3は、圧力センサ1の回路構成例を示す図である。
図3に示す回路は、アレイ構成部SCと、リセット部RCと、を備える。
【0017】
アレイ構成部SCは、第1素子61、第2素子62、第3素子63等を備える。第1素子61、第2素子62及び第3素子63は、FETで構成されたスイッチング素子である。第1素子61は、ソース又はドレインの一方がスイッチ80に接続されており、他方が第2素子62、第3素子63及びキャパシタ70に接続されている。第2素子62は、ソース又はドレインの一方が信号線Sigに接続されており、他方が第1素子61、第3素子63及びキャパシタ70に接続されている。第3素子63は、ソース又はドレインの一方が初期化電位線Vblに接続されており、他方が第1素子61、第2素子62及びキャパシタ70に接続されている。また、第1素子61は、ゲート及びバックゲートが検出動作信号伝送線Vsに接続されている。また、第2素子62は、ゲート及びバックゲートが走査線Gateに接続されている。また、第3素子63は、ゲート及びバックゲートが初期化信号伝送線Vdchに接続されている。
【0018】
キャパシタ70は、二つの端子の一方が共通電位線Vcomに接続されており、他方が第1素子61、第2素子62及び第3素子63に接続されている。スイッチ80は、第1素子61のソース又はドレインの一方と給電線Vbiasとを開閉可能に設けられる。
【0019】
リセット部RCは、第4素子64を備える。第4素子64は、FETで構成されたスイッチング素子である。第4素子64は、ソース又はドレインの一方が信号線Sigに接続されており、他方がリセット電位線VR1に接続されている。また、第4素子64は、ゲート及びバックゲートがリセット信号伝送線Vrstに接続されている。
【0020】
アレイ構成部SCは、個別に圧力を検出可能なアレイ毎に個別に設けられる。圧力センサ1には、後述する
図5で例示するように、複数のアレイが設けられる。走査線Gateは、第1方向Dxに並ぶ複数のアレイで共有される。信号線Sigは、第2方向Dyに並ぶ複数のアレイで共有される。検出動作信号伝送線Vs、給電線Vbias、共通電位線Vcom、初期化電位線Vbl、初期化信号伝送線Vdchは、全てのアレイで共有される。
【0021】
図4は、アレイの構造例を示す平面図である。平面図と記載した場合、基板10の板面に沿う第1方向Dx-第2方向Dy平面を正面視する図をさす。
図4に示すように、1つのアレイには、第1素子61、第2素子62及び第3素子63が設けられる。また、
図3を参照して説明した回路が成立するよう、走査線Gate、信号線Sig、検出動作信号伝送線Vs、共通電位線Vcom、初期化電位線Vbl、初期化信号伝送線Vdchが設けられている。
図4に示すようなアレイの構造は、
図1を参照して説明した基板10上の積層構造によって成立する。
図4に示す第1電極20と第3電極40とは、
図1に示すように、同一の層(電極層)に設けられている。第1素子61、第2素子62及び第3素子63ならびに走査線Gate、信号線Sig、検出動作信号伝送線Vs、共通電位線Vcom、初期化電位線Vbl及び初期化信号伝送線Vdchは、電極層よりも基板10側に設けられる。
【0022】
図4に示すように、第1素子61の平面視点での位置と第1電極20の平面視点での位置とは一部が重複する。
図1に示すように、第1素子61を構成するFETの半導体層14の上側に積層される第2配線層15は、半導体層14と接続されて第1素子61のソース又はドレインの一方として形成される電極15aを含む。電極15aは、第2絶縁層16及び第3絶縁層18に形成されたコンタクトホールを介して接続部19aと接続される。接続部19aは、第4配線層19の積層時に形成される。接続部19aは、第1電極20と電極15aとを接続する。接続部19aと第1電極20とは、被覆部HRCにおいて接続部19aの上側に形成されたコンタクトホールを介して接続される。
図1等では、第1電極20が当該コンタクトホールに沿って湾曲した断面形状を有しているが、これは第1電極20の形状の一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0023】
第1電極20は、
図1及び
図4に示すように、第3電極40と離隔するよう形成されている。
図4では、四辺のうち対向する二辺が第1方向Dxに沿い、他の対向する二辺が第2方向Dyに沿う正方形状の第1電極20を例示している。第1電極20の形状は、これに限られるものでない。第1電極20の形状は、第3電極40との離隔が好適に成立する形状であればよく、適宜変更可能である。
図4に示すように、1つのアレイには、例えば1つの第1電極20が設けられる。
【0024】
図5は、複数のアレイの位置関係例を示す平面図である。
図4を参照して説明した第1電極20は、例えば
図5に示すように、複数設けられる。
図5に示す複数の第1電極20は、第1方向Dxと第2方向Dyに沿って行列状に配置される。
図5では、第1方向Dxと第2方向Dyに3×3の第1電極20が配置されているが、実際の圧力センサ1は、より多くの第1電極20を備える。具体例を挙げると、80×84の第1電極20が配置される。また、第1方向Dx(又は第2方向Dy)に隣り合う第1電極20同士のピッチは321μmである。この具体例はあくまで一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0025】
図3及び
図4を参照して説明したアレイは、
図5を参照して説明した複数の第1電極20の配置に対応するよう、複数設けられる。第1方向Dxに沿って配置される複数の第1電極20に対応するよう設けられた複数のアレイは、走査線Gateを共有する。
図4に示すように、走査線Gateは、第1方向Dxに沿って延在するように設けられる。第2方向Dyに沿って配置される複数の第1電極20に対応するよう設けられた複数のアレイは、信号線Sigを共有する。
図4に示すように、信号線Sigは、第2方向Dyに沿って延在するように設けられる。このように設けられる第1電極20及びアレイの構成によって、平面視点では、第1方向Dxに並ぶ複数の第1電極20のうち隣接する第1電極20同士の間に信号線Sigが1つ第2方向Dyに沿って通っている状態になる。また、平面視点では、第2方向Dyに並ぶ複数の第1電極20のうち隣接する第1電極20同士の間に走査線Gateが1つ第1方向Dxに沿って通っている状態になる。すなわち、平面視点で、信号線Sigと走査線Gateとによって複数の第1電極20が格子状に区切られている。
【0026】
第3電極40は、
図5に示すように、第1電極20を格子状に区切る一続きの電極として形成される。
図5に示す第3電極40は、第1方向Dxに並ぶ複数の第1電極20同士の間及び第2方向Dyに並ぶ複数の第1電極20同士の間を区切る。言い換えれば、第3電極40は、内側に第1電極20を収める開口部25を有する。すなわち、第3電極40は、開口部25が行列状に並ぶ電極である。開口部25によって、第1電極20と第3電極40とは離隔している。具体的には、
図4に示すように、第1電極20の一辺と当該一辺に対向する第3電極40の開口部の一辺とが間隔Wiをおいて離隔している。なお、開口部25の形状は正方形状に限られるものでなく、適宜変更可能である。なお、間隔Wiは、例えば50μmであるが、これに限られるものでなく、適宜変更可能である。間隔Wiは、弾性体50の第3方向Dzの厚み以上であって、かつ、信号線Sigと走査線Gateとで格子状に区切られる各領域の第1方向Dxの幅又は第2方向Dyの幅のうち小さい方の幅の25%未満(例えば、22.5%程度)であることが望ましい。また、
図4では図示を省略しているが、間隔Wiが記載されている側の第1電極20の辺と対向する側の辺と第3電極40との間隔も、間隔Wiである。
【0027】
第3電極40は、複数の第1電極20が設けられた検出領域SAの外側に設けられた給電線Vbiasと接続される。なお、検出領域SAは、
図5に示すように、複数の第1電極20が設けられて第2電極30側からの押圧力を検出可能な領域である。
【0028】
図5に示すように、検出領域SAの外側を囲うように周辺領域FAが設けられる。給電線Vbiasは、周辺領域FAをなぞるように設けられる。給電線Vbiasと第3電極40とは、コンタクト45を介して第3方向Dzに接続される。具体的には、第3電極40は、検出領域SAから周辺領域FAに延出する延出部40aを有する。延出部40aは、平面視点で給電線Vbias及びコンタクト45と重なる。延出部40aは、コンタクト45を介して給電線Vbiasと接続される。これによって、第3電極40の電位は給電線Vbiasの電位(例えば、後述する定電位C4)になる。このように、給電線Vbiasは、給電部として機能する。なお、給電線Vbiasは、基板10上であって被覆部HRCよりも下側の配線層(例えば、第1配線層12、第2配線層15、第3配線層17、第4配線層19)のいずれかと同層に形成されるが、これに限られるものでない。例えば、給電線Vbias専用の配線層を基板10上に積層してもよい。コンタクト45は、給電線Vbiasが形成された配線層と第3電極40とを接続するように被覆部HRC及び当該配線層より上側に位置する絶縁層を第3方向Dzに貫通するよう形成されたコンタクトホールに形成されたコンタクトである。
【0029】
図5では、検出領域SAの外縁のうち一角付近の周辺領域FAを例示しているが、周辺領域FAは、平面視点で検出領域SAを取り巻くように設けられる。給電線Vbiasは、平面視点で周辺領域FAと重複し、検出領域SAを取り巻くように設けられる。複数のコンタクト45は、平面視点で周辺領域FAと重複し、検出領域SAを取り巻き、給電線Vbiasをなぞるように設けられる。なお、
図5では、単列状のコンタクト45が給電線Vbiasをなぞるように設けられているが、複数列状のコンタクト45が給電線Vbiasをなぞるように設けられていてもよい。
【0030】
図4及び
図5では図示されていないが、
図3に示すリセット部RCは、信号線Sigを共有する複数のアレイで共有される。リセット電位線VR1は、全てのリセット部RCで共有される。
【0031】
図6は、
図3に示す回路で構成された圧力センサ1が動作する場合の電気的制御の例を示すタイミングチャートである。
図6で特筆的に示す期間T1以外の期間では、第3素子63はソース-ドレイン間の信号伝送を遮断(OFF)する状態である。また、
図6で特筆的に示す期間T2以外の期間では、第1素子61はソース-ドレイン間の信号伝送を遮断(OFF)する状態である。また、
図6で特筆的に示す期間T3以外の期間では、第2素子62はソース-ドレイン間の信号伝送を遮断(OFF)する状態である。また、
図6で特筆的に示す期間T3以外の期間では、第4素子64はソース-ドレイン間の信号伝送が可能(ON)な状態である。言い換えれば、期間T1,T2,T3以外の期間の初期化信号伝送線Vdch、検出動作信号伝送線Vs、リセット信号伝送線Vrst及び走査線Gateは、そのような第1素子61、第2素子62、第3素子63及び第4素子64の状態を実現するよう電位が設定されている。なお、初期化電位線Vbl、リセット電位線VR1、共通電位線Vcom、給電線Vbiasの電位は予め個別に定められた定電位である。
図5に示す初期化電位線Vblの定電位C1と、リセット電位線VR1の定電位C2と、共通電位線Vcomの定電位C3と、給電線Vbiasの定電位C4と、は全て異なる電位であってもよいし、一部が等しい電位であってもよい。実施形態では、定電位C3と定電位C4とは等しい。
【0032】
また、走査線Gateは、第1方向Dxに並ぶ複数のアレイの数に応じて複数設けられる。
図6では、複数の走査線Gateを示す記載として、走査線Gate(1),・・・,走査線Gate(n)の符号が図示されている。複数の走査線Gateは、図示しない走査回路から駆動信号を順次与えられる。当該走査回路は、例えばシフトレジスタを含む。当該シフトレジスタのシフト出力数は、走査線Gateの数(n)と同一である。nは、2以上の自然数である。当該シフトレジスタによって走査回路が出力する駆動信号が与えられる走査線Gateが走査線Gate(1),・・・,走査線Gate(n)に順次シフトする。
【0033】
まず、期間T1に初期化信号伝送線Vdchの電位がハイ(H)となる。これによって、第3素子63のソース・ドレイン間の回路が接続状態になる。従って、第3素子63のソース又はドレインの他方と接続されているキャパシタ70の二つの端子の他方が初期化電位線Vblに電気的に接続される。キャパシタ70は、初期化電位線Vblに電気的に接続されることで、接続前に保持していた静電容量を放出する。すなわち、キャパシタ70が保持する静電容量が、共通電位線Vcomと初期化電位線Vblとの電位差に対応した状態になる。この状態は、キャパシタ70がリセットされた状態である。上述のように初期化信号伝送線Vdchは全てのアレイで共有されるので、期間T1に全てのアレイのキャパシタ70がリセットされる。
【0034】
次に、期間T2に検出動作信号伝送線Vsの電位がハイ(H)となる。これによって、第1素子61のソース・ドレイン間の回路が接続状態になる。従って、第1素子61のソース又はドレインの一方と接続されているスイッチ80のON/OFFに応じて、給電線Vbiasがキャパシタ70の端子の一方に接続されるかが変化する。具体的には、圧力センサ1が第2電極30側から押圧力を受けている場合、給電線Vbiasがキャパシタ70の端子の一方に接続される。一方、圧力センサ1が第2電極30側から押圧力を受けていない場合、給電線Vbiasがキャパシタ70の端子の一方に接続されない。このように、期間T2中に圧力センサ1が第2電極30側から押圧力を受けているかどうかによって、キャパシタ70に蓄えられる静電容量が変化する。
【0035】
そして、期間T3中にはリセット信号伝送線Vrstの電位がロー(L)となっている。なお、期間T3と期間T3前後の一部の期間とを除いた期間では、第4素子64がONであるため、信号線Sigとリセット電位線VR1とが接続されている。第4素子64がONである期間では、信号線Sigの電位がリセット電位線VR1の電位によってリセットされている。期間T3の前後で信号伝送線Vrstのロー(L)/ハイ(H)が逆転し、結果として期間T3中のリセット信号伝送線Vrstの電位がロー(L)となっていることで、信号線Sigとリセット電位線VR1との接続が遮断される。
【0036】
また、期間T3中に、走査線Gate(1),…,走査線Gate(n)が順次ハイ(H)/ロー(L)を逆転するよう電位を制御される。
図6では、上述の駆動信号が与えられることに応じて走査線Gate(1),…,走査線Gate(n)のいずれかがハイ(H)になる例を示している。これによって、信号線Sigを共有せず、走査線Gateを共有する複数のアレイ、すなわち、第1方向Dxに並ぶ複数のアレイの第2素子62が順次ONになり、キャパシタ70と信号線Sigとが接続される。従って、信号線Sigの電位が、キャパシタ70に保持されている静電容量に応じた電位になる。これによって、信号線Sigと接続された圧力センサ1による圧力の検出を行うことができる。圧力センサ1は、信号線Sigの電位に基づいて圧力センサ1が第2電極30側から押圧力を受けているかどうかを判定する回路である。
【0037】
図示しないが、圧力センサ1は、
図6を参照して説明した電気的制御を行うための各種の回路を備える。具体的には、初期化信号伝送線Vdch、初期化電位線Vbl、検出動作信号伝送線Vs、リセット信号伝送線Vrst等のハイ(H)/ロー(L)の各々に対応する電位や定電位C1,C2,C3,C4の各々に対応する電位を供給する電源回路、
図6を参照して説明した期間T1、期間T2、期間T3に対応するハイ(H)/ロー(L)の切替を制御する制御回路等が圧力センサ1に設けられる。
【0038】
以上、
図3の回路構成に基づいた説明を行ってきたが、圧力センサ1の回路構成は
図3に示すものに限られるものでない。原理的には、第1素子61、第2素子62、キャパシタ70及びスイッチ80ならびにこれらのソース-ドレイン間接続及びゲートへの電位供給があれば、本開示による圧力センサの動作は成立する。第3素子63、第4素子64は電位のリセットのための具体的構成例であり、圧力検出に必須でない。
【0039】
実施形態の圧力センサ1は、
図1、
図2、
図4、
図5を参照して説明したように、第1電極20と第3電極40とが開口部25を介して離隔している。言い換えれば、間隔Wi(
図4参照)を隔てて第1電極20と第3電極40とが非接触の位置関係で近傍となるよう、第1電極20と第3電極40とが設けられている。これによって、基板10の板面に沿って配置された複数の第1電極20を含む検出領域SAのどこで第2電極30側からの押圧力が検出されたとしても、当該押圧力に応じて導通した第1電極20と第3電極40との電気的な離隔距離は実質的に同一となる。なぜなら、第1電極20と第3電極40との間隔が間隔Wiで統一されていることから、第1電極20と第3電極40とが導電性粒子51及び第2電極30を介して導通する際の第2電極30の導通経路長が実質的に間隔Wiと同様の長さになるからである。加えて、実施形態では、第2電極30よりもシート抵抗が低い第3電極40を介して給電線Vbiasが供給されていることから、第2電極30の当該導通経路に至るまでの給電線Vbiasからの電流の減衰もほとんどない。従って、検出領域SAのどこで第2電極30側からの押圧力が加えられたとしても、第1電極20と第3電極40との導通経路が成立した場合の電気的状態と当該導通経路が成立しない場合の電気的状態との区別が明確な状態が成立する。このように、実施形態によれば、押圧力の検出位置によらず安定して当該押圧力を検出できる。
【0040】
図7は、参考例による圧力センサの構成例を示す断面図である。
図7に示す圧力センサは、実施形態と異なり、第3電極40を備えていない。このため、給電線Vbiasと同一の電位を示す給電源は、第2電極30に接続される。また、当該給電源と第2電極30とを検出領域SA内で接続する構成がないため、第2電極30は、必然的に検出領域SAの外側で当該給電源と接続される。なお、
図7に示す弾性体50は、第2電極30側からの押圧力を受けている状態である。
【0041】
第2電極30は、実施形態の第3電極40よりもシート抵抗が高いことから、押圧力の検出位置が参考例における給電源から遠ざかるほど、第2電極30のシート抵抗によって給電源からの電流の減衰が大きくなる。このため、給電源から遠ざかるほど、
図7に示すような第2電極30と第3電極40との導通経路が成立した場合の電気的状態と、当該導通経路が成立しない場合の電気的状態と、の区別が不明確になる。なぜなら、第2電極30のシート抵抗によって給電源からの電流の減衰がより大きくなるということは、当該導通経路が成立しても、当該電流の影響によって生じる電気的変化がより小さくなることを示すからである。このように、参考例に対し、実施形態では、検出領域SA内で押圧力が検出された位置と給電源との位置関係によって検出の精度がばらつくことを抑制できる。従って実施形態では、上述のように押圧力の検出位置によらず安定して当該押圧力を検出できる。
【0042】
以上のように、実施形態の圧力センサ1は、基板10に沿って配置された複数の第1電極20と、複数の第1電極20に接する弾性体50と、弾性体50に接して第1電極20との間で弾性体50を挟む第2電極30と、第2電極30よりも基板10側に設けられて第2電極30と電気的に接続される第3電極40と、を備える。弾性体50は、第1電極20と第2電極30とを近接させる押圧力が働いた場合に第1電極20と第2電極30とを電気的に接続する導電粒子を含む。第3電極40は、少なくとも一方向に隣り合う第1電極20同士の間を区切る格子状に連続する。すなわち、押圧力が働いた場合に第1電極20と接続される第2電極30と同電位の第3電極40が、隣り合う第1電極20同士の間を区切るように第1電極20の近傍に配置されている。従って、押圧時に電気的に接続される第1電極20と第3電極40とをより近傍な位置関係とすることができる。従って、第1電極20と第3電極40とを含むスイッチ(例えば、スイッチ80)の電気的特性を当該スイッチの配置によらずより安定させやすくなる。よって、圧力センサ1によれば、押圧力の検出位置によらず安定して押圧力を検出できる。
【0043】
また、圧力センサ1は、複数の第1電極20が行列状に配置された検出領域SAと、トランジスタ(第2素子62)を有する。検出領域SAは、行方向(第1方向Dx)又は列方向(第2方向Dy)の一方に沿う複数の信号線Sigと、当該行方向又は当該列方向の他方に沿う複数の走査線Gateと、を含む。当該トランジスタは、ソース又はドレインの一方が第1素子61を介して基板10と接続され、ソース又はドレインの他方が信号線Sigと接続され、ゲートが走査線Gateと接続される。これによって、各走査線Gate単位で当該トランジスタを動作させ、動作したトランジスタと第1素子61を介して接続されている第1電極20の電気的状態を示す信号を信号線Sig経由で得られる。すなわち、走査線Gateの走査によって第1電極20の電気的状態を走査できる。従って、第1電極20と第2電極30との電気的接続が生じた検出領域SA内での押圧部位の検出を実現できる。
【0044】
また、第3電極40と複数の第1電極20とは同層に形成される。これによって、第1電極20と第3電極40とを同一行程で形成でき、より低コストで圧力センサ1を製造できる。
【0045】
また、第3電極40は、各第1電極20の四方を囲むよう基板10に沿って連続する。これによって、押圧力が働いた場合に第1電極20と接続される第2電極30と同電位の第3電極40と、第1電極20と、の位置関係をより定性的にでき、第1電極20と第3電極40とを含むスイッチ(例えば、スイッチ80)の電気的特性を当該スイッチの配置によらずより安定させやすくなる。
【0046】
また、第3電極40のシート抵抗は、第2電極30のシート抵抗よりも小さい。これによって、押圧時に接続された第1電極20と第2電極30と第3電極40とのうち、当該第1電極20と最も近傍の第3電極40を含む導通経路が成立し、第1電極20と第3電極40とを含むスイッチ(例えば、スイッチ80)の電気的特性を当該スイッチの配置によらずより安定させやすくなる。
【0047】
また、第3電極40は、複数の第1電極20が設けられた領域(検出領域SA)の外側(周辺領域FA)に延出して給電線Vbiasと接続される延出部40aを有する。第1電極20と第3電極40と、は、第1電極20と第2電極30とを近接させる押圧力が働いた場合に電気的に接続される。これによって、第1電極20と第3電極40とを接続する構成と第1電極20と第2電極30とを接続する構成とを共通化できる。従って、より低コストで圧力センサ1を製造できる。
【0048】
また、第2電極30は、第3電極40と電気的に接続されていない場合、電気的にフローティングである。すなわち、第2電極30に対して恒常的に特定の電位を外部から与えるための構成が不要である。これによって、より低コストで圧力センサ1を製造できる。
【0049】
(変形例)
以下、実施形態とは一部の構成の具体的形態が異なる変形例について、
図8から
図11を参照して説明する。変形例の説明に係り、実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略することがある。
【0050】
(変形例1)
図8は、変形例1による圧力センサの検出領域SA内の電極の形状を例示する平面図である。
図8に示すように、変形例1では、アレイUn内にアレイ電極20Aと、アレイ電極20Bと、アレイ電極20Cと、アレイ電極20Dと、第3電極40Aと、が設けられている。符号を省略しているが、
図8では、第1方向Dxに3つ、第2方向Dyに3つ並ぶ3×3のアレイUnが配置された構成を例示している。検出領域SAにはより多くのアレイUnが配置されていてもよいし、より少ないアレイUnが配置されていてもよい。このように、変形例1の圧力センサは、平面視点で検出領域SA内に複数のアレイUnが行列状に配置されている。
【0051】
アレイ電極20A,20B,20C,20Dは、機能的には実施形態における第1電極20と同様の構成である。また、第3電極40Aは、機能的には実施形態における第3電極40と同様の構成である。変形例1では、各アレイの第1電極20がアレイ電極20A,20B,20C,20Dのような複数の第1電極に置換されている。また、変形例1では、当該複数の第1電極の数、形状及び配置に応じて、第3電極40Aのように、平面視点での形態が実施形態の第3電極40から変更されている。
【0052】
図8に示す例では、アレイUn内で第1方向Dxに並ぶアレイ電極20Aとアレイ電極20Bとが間に第3電極40Aを挟まずに隣り合っている。また、アレイUn内で第1方向Dxに並ぶアレイ電極20Cとアレイ電極20Dとが間に第3電極40Aを挟まずに隣り合っている。一方、アレイUn内で第2方向Dyに並ぶアレイ電極20Aとアレイ電極20Cとは、間に第3電極40Aを挟んで隣り合っている。また、アレイUn内で第2方向Dyに並ぶアレイ電極20Bとアレイ電極20Dとは、間に第3電極40Aを挟んで隣り合っている。このように、第3電極40Aは、アレイUn内で隣り合う複数の第1電極のうち少なくとも一方向(例えば、第2方向Dy)に隣り合う第1電極同士の間を区切る格子状に連続する。なお、アレイUn内における複数の第1電極と第3電極40Aとの位置関係はこれに限られるものでない。例えば、
図8における第1方向Dxと第2方向Dyとが入れ替わってもよい。また、第3電極40AがさらにアレイUn内でアレイ電極20Aとアレイ電極20B及びアレイ電極20Cとアレイ電極20Dを区切るように延出していてもよい。
【0053】
変形例1では、アレイ電極20A,20B,20C,20Dのように1つのアレイUn内に設けられた複数の第1電極は、1つの第2素子62を共有する。なお、変形例1では、
図3に示す第1素子61を省略し、スイッチ80と、第2素子62、第3素子63及びキャパシタ70とが接続されている構成であってもよい。変形例1におけるスイッチ80の開閉(ON/OFF)とは、第3電極40-第2電極30-アレイ電極20A,20B,20C,20D間の導通(ON)と非導通(OFF)との切り替わりである。
【0054】
図9は、給電線Vbias及び信号線Sigが設けられた配線層のアレイUn内の形態の一例を示す平面図である。
【0055】
図10は、
図8に示す電極層と
図9に示す配線層とを接続するコンタクトのアレイUn内の配置例を示す平面図である。
図10に示すコンタクトは、被覆部HRCを貫通するよう形成される。
【0056】
図9に示すように、変形例1の接続部19aは、平面視点でアレイ電極20A,20B,20C,20Dの形状及び配置に対応するように延出している。このように延出した接続部19aは、
図10に示すコンタクト形成領域20P,20Q,20R,20Sに含まれる1つ以上のコンタクトを介してアレイ電極20A,20B,20C,20Dと接続される。具体的には、アレイ電極20Aは、
図10に示すコンタクト形成領域20Pに含まれるコンタクト451を介して
図9に示す接続部19aと接続される。また、アレイ電極20Bは、
図10に示すコンタクト形成領域20Qに含まれるコンタクト452を介して
図9に示す接続部19aと接続される。また、アレイ電極20Cは、
図10に示すコンタクト形成領域20Rに含まれるコンタクト453を介して
図9に示す接続部19aと接続される。また、アレイ電極20Dは、
図10に示すコンタクト形成領域20Sに含まれるコンタクト454を介して
図9に示す接続部19aと接続される。
【0057】
アレイ電極20A,20B,20C,20Dと個別に接続された複数の接続部19aは、例えばアレイUnの中央付近に位置する共通接続部19cを介して相互接続される。共通接続部19cは、接続部19aと同層に設けられる。
図1に示す構成で接続部19aと電極15aとが接続されていた構造が、変形例では、共通接続部19cと電極15a(
図1参照)との接続に置換される。接続部19aと電極15aとの接続の具体的な形態はこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。また、アレイ電極20A,20B,20C,20Dのようなアレイ電極の数及び配置は
図9に示す例に限られるものでなく、適宜変更可能である。例えば、平面視点で共通接続部19cの上側にアレイ電極のうち1つが位置する配置であってもよい。この場合、当該アレイ伝虚構と共通接続部19cとを接続するコンタクトが設けられる。また、接続部19a(又は共通接続部19c)と1つのアレイ電極とを接続するコンタクト数が多いほど接続構成間の電流経路が増えて各コンタクト単体での電気抵抗をより下げることができるので、その観点でも共通接続部19c及びコンタクトを利用したアレイ電極との接続を行ってもよい。
【0058】
図9に示すように、変形例の給電線Vbiasは、接続部19a及び信号線Sigと非接触となる配置で第2方向Dyに延出する。具体的には、アレイUnの四辺のうち第1方向Dxに対向して第2方向Dyに延出する二辺に沿って給電線Vbiasが設けられる。給電線Vbiasと第3電極40Aとは、
図10に示すコンタクト形成領域45Aに含まれるコンタクト455を介して接続される。また、
図8に示すアレイ電極20Aとアレイ電極20Cとの間に対応する位置に、
図9に示すダミー電極DFが配置されている。ダミー電極DFは、
図10に示すコンタクト形成領域45Aに含まれるコンタクトのうちコンタクト形成領域20Pとコンタクト形成領域20Rとの間に位置するコンタクト456を介して第3電極40Aと接続される。ダミー電極DFには、コンタクト形成領域45Aのコンタクト及び第3電極40Aを介して給電線Vbiasの電位が与えられる。これによって、アレイ電極20Aとアレイ電極20Cとの間の電気的特性と、アレイ電極20Bとアレイ電極20Bとの間の電気的特性と、をより近いものにすることができ、押圧力の検出の精度をより高められる。なお、
図10では、各領域のコンタクト(コンタクト451,452,453,454,455,456)に2つだけ代表的に符号を付しているが、符号を付された正方形状の構成と同様の形状で図示されているものも、同様にコンタクトとして機能する。
【0059】
変形例1では、行列状に配置された複数のアレイUnのうち隣り合うアレイUn同士はその間に位置する給電線Vbias及び第3電極40を共有する。
【0060】
図9に示す配線層は、例えば実施形態における第4配線層19(
図1参照)であるが、これに限られるものでなく、他の配線層であってもよい。その場合、
図10に示すコンタクト及び当該コンタクトによる接続を成立させるためのコンタクトホールが当該他の配線層まで延出する。
【0061】
なお、
図8から
図10を参照して説明した形態例では、アレイUn内に4つの第1電極(アレイ電極20A,20B,20C,20D)が1つの第2素子62を共有しているが、変形例1において1つの第1素子61を共有できる第1電極の数は4つに限られるものでなく、2つ以上であればよい。また、1つの第2素子62を共有する複数の第1電極の平面視点での配置及び各第1電極の形状は任意である。
【0062】
以上、特筆した事項を除いて、変形例1は、実施形態と同様である。すなわち、アレイ電極20A,20B,20C,20D及び第3電極40Aを形成する電極層のさらに上には、実施形態と同様、弾性体50、第2電極30が設けられている。
【0063】
変形例1のように、複数の第1電極が1つの第1素子61を共有する形態では、実施形態における第1電極20と第2電極30との導通(
図2参照)と同様の導通が、第2電極30側からの押圧力に応じて複数の第1電極で個別に生じる。このため、複数の第1電極のうち一部が第2電極30と導通する場合と、複数の第1電極の全てが第2電極30と導通する場合と、が生じ得る。すなわち、複数の第1電極の少なくとも1つが第2電極30と導通する場合が生じ得る。例えば、
図8に示すようにアレイ電極20A,20B,20C,20Dが1つの第2素子62を共有する形態では、アレイ電極20A,20B,20C,20Dのいずれも第2電極30と導通しない第1の場合と、アレイ電極20A,20B,20C,20Dのうち1つが第2電極30と導通する第2の場合と、アレイ電極20A,20B,20C,20Dのうち2つが第2電極30と導通する第3の場合と、アレイ電極20A,20B,20C,20Dのうち3つが第2電極30と導通する第4の場合と、アレイ電極20A,20B,20C,20Dのうち4つが第2電極30と導通する第5の場合と、が生じ得る。信号線Sigと接続される検出回路が、第1の場合から第5の場合までを識別可能な電気的分解能を有することで、圧力センサによる各アレイでの押圧力の検出に階調性を持たせることができる。すなわち、第2電極30側からの押圧力の強さの差によって生じ得る第1の場合から第5の場合までの場合分けを個別に検出可能にすることで、押圧力の有無に加えて、押圧力の強さの度合いを検出できる。ここでは第1の場合から第5の場合を例としたが、検出回路の電気的分解能は、1つの第2素子62を共有する第1電極の数に応じたものであればよい。
【0064】
変形例1によれば、1つのトランジスタ(第2素子62)は、2つ以上の第1電極(例えば、アレイ電極20A,20B,20C,20D)と接続される。これによって、当該トランジスタを介して信号線Sigに出力される信号の強度が、当該2つ以上の第1電極のうち第2電極30と接続された第1電極の数に応じて変化するようにすることができる。すなわち、当該信号の強度に、当該1つのトランジスタと第1素子61を介して接続される第1電極の数に応じた階調性を与えることができる。これによって、検出領域SA内における押圧部位と押圧力の検出精度をより高められる。
【0065】
また、第3電極40は、1つのトランジスタ(第2素子62)に接続された2つ以上の第1電極(例えば、アレイ電極20A,20B,20C,20D)のうち少なくとも一方向に隣り合う第1電極同士の間を区切る。これによって、第1素子61を介して1つのトランジスタ(第2素子62)に接続された2つ以上の第1電極と第3電極40との位置関係による電気的特性をより安定させやすくなる。
【0066】
また、第3電極40は、当該第3電極40よりも基板10側に積層された給電線Vbiasと電気的に接続されている。これによって、給電線Vbiasを検出領域SA内に配置して第3電極40と接続できる。
【0067】
また、給電線Vbiasは、信号線Sigと同層である。これによって、給電線Vbiasと信号線Sigとを同一行程で形成でき、より低コストで圧力センサ1を製造できる。
【0068】
(変形例2)
図11は、変形例2による圧力センサ1Bの主要な構成を含む積層構造の断面図である。なお、
図11に示す弾性体50は、第2電極30側からの押圧力を受けている状態である。圧力センサ1Bは、実施形態の構成に加えて、さらに、導電部90を備える。また、変形例2では、
図11に示すように、被覆部HRCの上側に設けられて外部に露出した給電線Vbiasを備える。被覆部HRCの上側に設けられて外部に露出した給電線Vbiasは、実施形態の給電線Vbiasと同じ電位を与える外部の給電源と接続された後付けの電極であってもよいし、第3電極40が外部に延出したものであってもよい。
【0069】
導電部90は、例えば、第2電極30及び被覆部HRCの上側に設けられて外部に露出した給電線Vbias側の面が導電性及び粘着性を有する導電性テープである。
図11に示すように、導電部90は、被覆部HRCの上側に設けられて外部に露出した給電線Vbiasと第2電極30とを接続する。これによって、第2電極30には給電線Vbiasの電位が与えられる。導電部90は、同様に機能する他の構成であってもよい。
【0070】
なお、変形例2においても、圧力センサ1Bが第2電極30側からの押圧力を受けていない場合、実施形態と同様に第1電極20と第2電極30との間の導通が成立しないので、押圧力の有無に応じた第1素子61の一方側からの給電線Vbiasの電位の印加の有無の切り替わりが生じる。従って、変形例2においても、実施形態と同様に押圧力の検出を行える。さらに、変形例2によれば、第2電極30が常に給電線Vbiasの電位を与えられているので、圧力センサ1Bが第2電極30側からの押圧力を受けた場合に第1素子61を介してキャパシタ70(
図3参照)に与えられる給電線Vbiasの電位をより安定させることができる。加えて、実施形態と同様、第1電極20と第3電極40とが開口部25を介して近傍に配置されているので、アレイの電気的特性が検出領域SA内におけるアレイの行列方向の配置によらず、極めて安定する。従って、変形例2によれば、より安定的な条件下でより高精度な押圧力の検出を行える。
【0071】
以上のように、変形例2によれば、第2電極30は、複数の第1電極20が設けられた領域の外側に設けられた給電部(給電線Vbias)と接続される。これによって、第2電極30の電位をあらかじめ第3電極40と同電位とすることができ、第1電極20、第2電極30及び第3電極40を含むスイッチ(例えば、スイッチ80)の電気的特性を当該スイッチの配置によらずより安定させやすくなる。
【0072】
なお、実施形態及び変形例において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0073】
1,1B 圧力センサ
10 基板
20 第1電極
20A,20B,20C,20D アレイ電極
30 第2電極
40,40A 第3電極
40a 延出部
50 弾性体
51,51a,51b 導電性粒子
62 第2素子
Gate 走査線
Sig 信号線
Vbias 給電線