(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109022
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】飛沫防止パネル、及び飛沫防止パネル組立キット
(51)【国際特許分類】
A47B 96/04 20060101AFI20220720BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20220720BHJP
A47G 5/00 20060101ALI20220720BHJP
A47B 13/08 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
A47B96/04 Z
G07G1/00 301Z
A47G5/00 Z
A47B13/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004324
(22)【出願日】2021-01-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和2年5月1日に下記ウェブサイトにて公開 https://www.teraokaseiko.com/jp/news/press-release/2020/20200501012431/ https://digitalpr.jp/r/38754 https://japan.cnet.com/release/30439959/ https://japan.zdnet.com/release/30439959/ https://www.sankeibiz.jp/business/news/200501/prl2005011213090-n1.htm (2)令和2年4月24日に、スターバックスコーヒージャパン株式会社との間で販売契約を締結し、その後、令和2年5月2日よりその他企業も含めて販売を開始
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】千田 勝紀
(72)【発明者】
【氏名】横野 周作
(72)【発明者】
【氏名】小出 佳生
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 修
(72)【発明者】
【氏名】石田 勝
(72)【発明者】
【氏名】小森 宣浩
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 修
(72)【発明者】
【氏名】野口 卓朗
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142BA18
3E142BA20
(57)【要約】
【課題】
対面販売やレジなど接客の現場では、使い勝手の良い飛沫感染対策が求められていた。
【解決手段】
透明パネルと、スタンドベースと、支持部材とを備え、前記透明パネルは、前記スタンドベースと前記支持部材に接続固定されることにより前記透明パネルが有する可撓性を小さくできるように構成されていることを特徴とする飛沫防止パネルとした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明パネルと、スタンドベースと、支持部材とを備え、
前記透明パネルは、前記スタンドベースと前記支持部材に接続固定されることにより前記透明パネルが有する可撓性を小さくできるように構成されている
ことを特徴とする飛沫防止パネル。
【請求項2】
前記透明パネルと、前記支持部材は、接続固定される部分を除き、当接しない
ことを特徴とする請求項1に記載の飛沫防止パネル。
【請求項3】
前記支持部材は、前記透明パネルの下部固定部に接続し、前記下部固定部から次第に離反するような形で上部固定部に接続される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の飛沫防止パネル。
【請求項4】
前記スタンドベースは、前記透明パネルの下方領域の表裏面をパネル固定部材で挟み込むようにされた状態で前記透明パネルと共に前記支持部材に接続固定されている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の飛沫防止パネル。
【請求項5】
前記スタンドベースは、スタンド本体部とスタンド補助部材とから成る一体構造としての嵌込部を有し、
前記透明パネルは、前記嵌込部に差し込まれた状態で前記スタンドベースと前記支持部材に接続固定されている
ことを特徴とする請求項4に記載の飛沫防止パネル。
【請求項6】
前記嵌込部は、前記透明パネルが差し込まれる際に突き当たるパネル止めを有している
ことを特徴とする請求項5に記載の飛沫防止パネル。
【請求項7】
前記透明パネルは、前記スタンドベースの幅に左右所定幅を加えた商品販売データ処理装置が載置される領域に対応する上部を遮蔽するように構成されているものの、前記商品販売データ処理装置が載置される領域に隣接する左右いずれかの領域のうち少なくとも一方の領域に対応する部分が開放部とされている
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の飛沫防止パネル。
【請求項8】
前記透明パネルは、前記開放部の上方を遮蔽するように構成されている
ことを特徴とする請求項7に記載の飛沫防止パネル。
【請求項9】
前記透明パネルは、商品販売データ処理装置が載置される領域に対応する下部であって、前記商品販売データ処理装置の顧客側操作パネルに対応する箇所が開口されている
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の飛沫防止パネル。
【請求項10】
前記スタンドベースは、商品販売データ処理装置が載置される領域の下面に、切り欠き部、及び/又は、孔部を有する
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の飛沫防止パネル。
【請求項11】
前記透明パネルと前記支持部材は、前面略上端部と前面略下端部で固定される一方で、スタンドベースとは別にされた状態で同梱されている
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の飛沫防止パネルを組み立てるための飛沫防止パネル組立キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛沫防止パネル、及び飛沫防止パネル組立キットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な感染症対策としてはマスク、フェースガード、防護服など種々のものがあったが、対面販売やレジなどの飛沫感染への対策は十分ではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、対面販売やレジなど接客の現場では、使い勝手の良い飛沫感染対策が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の飛沫防止パネルは、少なくとも以下の構成を具備するものである。
透明パネルと、スタンドベースと、支持部材とを備え、前記透明パネルは、前記スタンドベースと前記支持部材に接続固定されることにより前記透明パネルが有する可撓性を小さくできるように構成されていることを特徴とする飛沫防止パネルである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本発明の実施形態に係る飛沫防止パネルの正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る飛沫防止パネルを右前方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る飛沫防止パネルの右側面図である。
【
図5】
図4をさらに拡大したものであって、透明パネル部が外された状態の拡大図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る飛沫防止パネルの平面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る飛沫防止パネルを構成するスタンドベースの平面図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る飛沫防止パネル組立キットが梱包されている様子を示した図(写真)である。
【
図11】本発明の実施形態に係る飛沫防止パネルの組立工程の一を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る飛沫防止パネルの組立工程の一を示す図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る飛沫防止パネルの組立工程の一を示す図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る飛沫防止パネルの組立工程の一を示す図である。
【
図15】本発明の実施形態に係る飛沫防止パネルの利用太陽を
【
図17】本発明のさらに別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の実施形態に係る飛沫防止パネルは、透明パネルと、スタンドベースと、支持部材とを備え、前記透明パネルは、前記スタンドベースと前記支持部材に接続固定されることにより前記透明パネルが有する可撓性を小さくできるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を使って説明するが、以下の図面は説明を目的に作成されたもので、分かりやすくするため、説明に不要な部材を意図的に図示していない場合がある。また、説明のため部材を意図的に大きくまたは小さく図示している場合があり、正確な縮尺を示す図面ではない。なお、以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。本発明の実施形態は図示の内容を含むが、これのみに限定されるものではない。
【0008】
(飛沫防止パネルの全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る飛沫防止パネル1の正面図である。ここでの方向は、店舗で店員と顧客が対面する際に、店員が位置する側を正面側とし、顧客が位置する側を背面側とすることで定義されている。
図2は、本発明の実施形態に係る飛沫防止パネル1を右前方から見た斜視図であり、
図3は、本発明の実施形態に係る飛沫防止パネル1の右側面図である。
本実施形態の飛沫防止パネル1は、L字形のスタンドベース4の上に約80cmの高さを有する透明パネル2が自立して配置されるものである。強い感染力を有する感染症への対策としては、従来のように一時的に飛沫を遮ることができれば十分ということはなく、こまめにパネルを消毒する必要がある。ところが、アクリル製のパネルをアルコール等の消毒液で頻繁に拭くとアクリル板が白濁してしまう。そこで、透明パネル2の素材として、本実施形態では、PET部材(ポリエチレンテレフタラート)を採用している。PET部材は耐アルコール性に優れ、アルコール等の消毒液で拭いても白濁しない。なお、素材については、PC(ポリカーボネイト)やPVC(ポリ塩化ビニル)といった耐アルコール性、耐候性に優れたものを適宜に採用してよい。また、これとは、逆に、本発明が、透明パネル2の素材としてアクリル板を用いることを排除するものでもない。後記するように、本実施形態は透明パネル2を清掃するための有利な構造を有しており、これによって、水拭きと拭き取りという多少作業が煩雑となる清掃の仕方でも容易に対応できるようになっている。そのため、耐アルコール性を有するPET部材等を用いることが有利であることには違いないが、そうでなく、アクリル板を用いる場合であっても、発明としての十分な意義を備えるものである。
話を本実施形態に戻して、素材をPET部材等にすれば十分というものでもない。仮に、透明パネル2の下部分をスタンドベース4に固定しただけの構造としたならば、特に、PET部材の場合にはアクリル板ほどの剛性を持たないため、使用中に簡単に撓んで、ペロンペロンと振動してしまう。この問題を解消するために、本実施形態の飛沫防止パネル1では、支持部材3が、透明パネル2の上部と下部を逆ハ字状に結んで支持することによって、透明パネル2が有する可撓性を小さくできるようにしている。本実施形態の透明パネル2には、上方に2か所また下方に4か所の合計6か所のねじ止め用の孔が予め決められた位置に穿設されている。
支持部材3は、主体となるパイプ部と、上下に透明パネル2ないしスタンドベース4にねじ止め固定するためのジョイント部から構成されており、側面視においてコ字形である。スタンドベース4は、
図3に示されるように、スタンド本体部41とスタンド補助部材42とから構成されるところ、スタンド本体部41の垂直壁部分と水平板部分とでL字形の形状を構成している。スタンド本体部41の水平板部分の上には、レジ・ドロア、POS端末や量り売りの計量器が載置されることが想定されている。これらの使用態様においては、機器の重みでスタンドベース4がレジ(レジ回り)の上に安定した状態で載置されることとなり、飛沫防止パネル1が不用意に倒れたりすることがなくなる。
もちろん、カウンターの下にドロアが配置される形態であっても使用可能である。その際には、スタンドベース4が安定するような措置を講じるのが好ましい。
【0009】
(スタンドベースの構成)
図4は、
図3のA部分の拡大図であり、
図5は、
図4をさらに拡大した図であるが、透明パネル2が取り外されている様子を示している。既に述べたように、スタンド本体部41は垂直壁部分と水平板部分とでL字形の形状を構成している。スタンド補助部材42は、補助正面壁421を有し、スタンド本体部41の垂直壁部分とで透明パネル2を挟んで固定することで、透明パネル2を支持するようにされている。この補助正面壁421は、下縁の一部が延設された上で屈曲しており、透明パネル2を差し込む際のパネル止め424として機能している(
図9も併せ参照されたい。)。スタンド本体部41と補助正面壁421には、透明パネル2の下方の4か所の孔と対応する箇所に孔が穿設されているところ、これらの孔とパネル止め424の距離は所定のものとされているため、透明パネル2をパネル止め424に突き当たる奥まで差し込めば、そのまま上下高さについての位置決めが完了するようになっている。パネル止め424は、透明パネル2とテーブルカウンター上面との間に間隙を与えるため、加工精度の粗さから生じる不陸にも対処することが可能であるが、不陸の懸念が一切ないのであれば、本実施形態のパネル止め424を廃してスタンド本体部41の水平板部分の上面をパネル止めとして機能させるようにしてもよい。
スタンド補助部材42は、補助底面部423を有し、当該補助底面部423はスタンド本体部41の水平板部分と貼り合わせられた上で溶接によって固定されている。この構成によって、スタンド本体部41とスタンド補助部材42とは、ねじ止めがされない状態であっても、互いに分離することのない一体構造となっている。補助側面壁422は、スタンド補助部材の剛性ないし支持力を高める機能を果たしている。
【0010】
ところで、本発明の発明者は、当初、スタンド本体部41とスタンド補助部材42とを一体構造としないで、組立を行う際に透明パネル2を挟んでねじ止めして組み付ける構造の飛沫防止パネルを試作してみたが、作業性に難があり、2人がかりでの作業が強いられるものであった。このことについては、後に組立手順の項で説明する。
このように一体構造は組立に有利な構造であるが、本発明が一体構造のものを排除する意図はない。組立作業性よりも低コストを重視するのであれば別体の部材を組み付けるようにしてもよい。
【0011】
(POS端末等に対応させるための有利な構成)
図6は、本発明の実施形態に係る飛沫防止パネル1の平面図である。スタンドベース4の幅に左右所定幅を加えた領域には、レジ・ドロアやPOS端末が載置されて使用されることが想定されている(
図15も併せ参照されたい。)。レジ・ドロアやPOS端末等の機器が載置されるテーブルやカウンターには、これら機器の電源ケーブルやドロア接続ケーブルの取り回しが綺麗に納まるように、テーブル上面に開口部が設けられているのが普通である。仮に、スタンドベース4の水平板部分が単なる平板であったならば、折角の開口部を埋め殺しにしてしまうことを避けるため、開口部から若干ずれた位置にスタンドベース4を配置してケーブル類を一旦側方に取り回すといった対応が迫られることになる。そうすると、不用意で目障りとなるケーブル類が顧客の目線に入ってしまうことになる。そこで、本発明の実施形態のスタンドベース4は、前方から中央にかけて切り欠き部を、また、後方に孔部を、それぞれ有することによって、電源ケーブルやドロア接続ケーブルを機器の真下からテーブル上面に設けられた開口部にそのまま導くことができようにされている。
透明パネル2は、
図6に示されるように、POS端末等が載置される領域から左側にも延設されている。ただし、
図1,2に示されるように、商品等の受け渡しが可能となるように、下方部分は開放されており、正面視においてL字を180度回転させた形状となっている。折角、POS端末上方での顧客と店員の対面に対処しても、商品の受け渡しで横にずれた際に対面したのでは元も子もない。そこで、POS端末からずれた横位置でも透明パネル2が顧客と店員との対面を遮るようにしているのである。
ただし、商品受渡に伴う顧客と店員の対面が然程に頻出されない業務形態であるならば、矩形上の透明パネル2とすることも勿論可能である。
【0012】
(支持部材の構成)
図7は、
図6のB部分の拡大図である。支持部材3は、その主体となるパイプ部の上側が上側のジョイントと接続されており、当該上側のジョイントが透明パネル2の上方部分で上側ネジ31によって、固定されている。パイプ部の下側は下側のジョイントと接続されており、当該下側のジョイントが透明パネル2の下方部分と下側ネジ32によって、固定されている。この支持部材3は、透明パネル2に貼り合わせた骨組みといったものでなく、透明パネル2から離間した位置で、透明パネル2に対して平行に延びる側面視においてコ字形の形状となっているため、構造として十分に寄与するものとなっている。この支持部材3は、透明パネル2に対して着脱自在となっているため、一旦、透明パネル2の一面から取り外した後に、逆の面に取り付け直せば、左右反転タイプの飛沫防止パネル1を実現することが可能となっている。
このような支持部材の構造は、透明パネルと支持部材とは、接続固定される部分を除き、当接しない構造ということができる。当該構造によれば、透明パネルと支持部材の当接する領域が小さくなるので、清掃作業、特に、拭き取り作業がし易くなる利点がある。しかし、アルコールを用いることができることから、拭き取り作業についての難点に多少なりとも目を瞑れるのであれば、支持部材の構造を板厚のある板金等にすることも可能である。
また、支持部材の構造は、前記透明パネルの下部固定部に接続し、前記下部固定部から次第に離反するような形で上部固定部に接続される構造ということもできる。より具体的には、
図1等に示されるように、逆ハの字の形状での接続ということであるが、V字での接続も可能である。この構造によれば、客表、客側ディスプレイ等と呼ばれる客側表示を視認性よく顧客に提供できるようになる。
【0013】
(スタンド補助部材の構成)
図8は、本発明の実施形態に係る飛沫防止パネル1を構成するスタンドベースの平面図であり、
図9は、
図8のC部分の拡大図である。補助底面部423の略中央部は、スタンド本体部41の水平板部分と溶接により固定されているため、スタンド本体部41とスタンド補助部材42は、分離されることのない一体構造となっている。補助正面壁421は、スタンド本体部41の垂直壁部分とで透明パネル2をしっかりと挟み込むようになっている。補助側面壁422は、スタンド補助部材42に剛性を与え、パネル止め424は、透明パネル2を組み立てる際の位置決めを容易にしている。これらスタンド補助部材42の構成は、飛沫防止パネル1の自立強度、組立のし易さに大きく貢献するところの一つであり、本発明の大きな特徴の一であるといえる。
【0014】
(飛沫防止パネルの組立手順)
飛沫防止パネル1の組立手順を説明する。
図10は、梱包を解いた際の組立前の飛沫防止パネル1の状態であって、飛沫防止パネル組立キットとしての商品を示している。
「丸数字1 フェンスASSY」と示されたパーツは、透明パネル2に支持部材3がねじ止めされて一体とされたものである。ただし、ねじ止めによる固定は、上方部分のみとされ、下方部分は輸送用テープで止められている。なお、この図で示されている透明パネル2は、これまで説明してきたL字状を180度回転させた形状のものではなく、矩形状のものである。
「丸数字2 スタンドベース」と示されたパーツは、この明細書で説明されるスタンドベース4そのものであり、既に説明したように、スタンド本体部41とスタンド補助部材42とが溶接により固定された一体構造物となっている。梱包物には、この他に、4つのネジ(スタンド本体部41、透明パネル2、スタンド補助部材42の最下端の2か所を止めるためのネジ2つと予備のネジ2つ)が含まれている。
【0015】
図11~14は、組立手順を工程順に示した図である。まず、
図11に示されている支持部材3の下端に張り付けられている輸送用テープを剥がし、仮固定されているネジを、一旦取り外す。次いで、
図12に示すように、透明パネル2をスタンドベース4の嵌込部にパネル止め424に突き当たるまで差し込む。この時、スタンド本体部41、透明パネル2、スタンド補助部材42のそれぞれに設けられた孔の上下の高さ位置は揃った状態となっているので、あとは透明パネル2の孔の位置が、スタンド本体部41とスタンド補助部材42の孔の位置に揃うように、透明パネル2の左右位置を調整すればよい。透明パネル2が嵌込部に支えられているため、この調整作業は一人でも簡単に行うことができる。
その後、一旦(仮固定を)取り外したネジ2つと、梱包されている4つのネジのうちの2つのネジとで、
図13に示すように、手を使って仮止めを行う。最後に、
図14に示すように、仮止めしたネジをスタンドベースの背面側からドライバーを使って本締めする。
【0016】
上で説明した組立の容易さは、本実施形態のスタンドベース4が有するスタンド本体部41とスタンド補助部材42との一体構造に依るものであることは容易に理解されるであろう。一体構造でない、換言すれば、嵌込部を伴うことのない別体としての2枚の平板を透明パネル2の表裏からねじ止めして組み立てるように構成した場合、パネルを支える作業者とねじ止めをする作業者と、最低でも二人の作業者が必要となる。飛沫感染を通じて強い感染力を示すウィルス感染症への対策としては、組立作業も省施工として、作業者どうしでの感染を防ぐことも重要であるところ、一体構造は、感染症対策に大きく寄与している。もっとも、強力な感染力を示すことのない普通程度の感染症への対応で十分であれば、低コストを重視して、一体構造以外の実施を行うようにしてもよいことは言うまでもないことである。
【0017】
(飛沫防止パネルの使用態様)
本発明の実施形態に係る飛沫防止パネル1は、簡易な構造でありながら、安定した自立状態を保つことができる。これは、レジ・ドロアやPOS端末が上部に載置されることを前提として設計されたものだからこそのことである。そうであるにも関わらず、ドロア接続ケーブルや電源ケーブルの取り回しも綺麗に収めることが可能となっている。自立強度を保つために、支持部材3が備えられているものの、
図15から看て取ることができるように、店員と顧客との間に違和感を与えずに接客することが可能とされている。この点に関し、枠などが一切設けられていない透明パネルにあっては、そこにパネルが存在することに気づかない程のスマートさであり、かつ、このクリアなパネルは白濁することなく、いつまでも、スマートさを維持できることも有利な特徴である。
なお、本発明の実施形態での高さは、80cmであるが、この高さは、この実施形態で想定されるシーンでの適正な高さとして選択されたものである。飛沫防止パネルの高さは、設置された面から対面する人同士の飛沫を遮断する高さとして適正なものでなくてはならない。例えば、客側の高さが1m程度のカウンターの場合は、およそ80cm程度のパネルが必要であるが、客側と店側のカウンターまでの高さは同じとは限られず、メニュー等や商品を受け渡す場合に視野に入りやすいように、店舗側が高く客側が低くされたような形態もある。これらの要因によって、客側と店員側に対するパネルの高さを考慮する必要がある。店舗のカウンターの仕様が変更になった際には、飛沫防止パネルの高さも変更する必要が生じる場合があるが、本発明では、パネルのみを違った仕様(高さ)のものに交換することでの対応が可能である。そのような場合に、本発明の特徴が、簡便なパネル交換に資するものであることは、容易に理解されよう。
これまで、レジ・ドロアやPOS端末が設置される場面での使用例を説明したが、本発明は、飲食店で用いられる対面販売用の機器や、精肉店で用いられるプライスラベルを発行することのできる計量値付け機が設置される場面で使用することもできる。これらの販売形態の場合に、複数台の機器が並んで配置されることがあり、当然に飛沫防止パネル1も複数並んで配置されることになる。このような場合には、飛沫防止パネル1同士の間や客と店員との間がより自然なものと感じられ、違和感が殆どなくなり好適である。また、カウンター縁などは店員や客が通過する際に、特に外縁に視認可能な色彩等をテープや塗料で施すようにして、外縁に体を接触させないように加工すると安全面においても有効である。
【0018】
(別の実施形態)
図16は、本発明の実施形態に係る飛沫防止パネルの別の実施形態についての使用態様を示す図である。本発明の実施形態において、透明パネル2の形状は正面視においてL字を180度回転させた形状とされていたが、この実施形態では単に矩形状とされている。扱う商品が然程に嵩張らず簡単に受渡しすることができる日用雑貨の類であれば、このような透明パネル2であっても十分な効果をあげることができる。
図17は、さらに別の実施形態を示す図である。POS端末には、顧客側にも操作パネルが設けられている場合があるところ、そのようなPOS端末に対応できるように、透明パネル2の下方に、操作パネル用開口部5が設けられている。当該構成は、デザイン性に富み、POS端末操作中に接客する際の妨げにならないという利点がある。
【0019】
<実施形態の総括>
[技術分野]
本発明は、飛沫防止パネルに関する。
[背景技術]
一般的な感染症対策としてはマスク、フェースガード、防護服など種々のものがあったが、対面販売やレジなどの飛沫感染への対策は十分ではなかった。
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
したがって、対面販売やレジなど接客の現場では、使い勝手の良い飛沫感染対策が求められている。
[課題を解決するための手段]
(1)以上説明したように、本実施形態の一態様は、透明パネル2と、スタンドベースと4、支持部材3とを備え、前記透明パネル2は、前記スタンドベース4と前記支持部材3に接続固定されることにより前記透明パネル2が有する可撓性を小さくできるように構成されていることを特徴とする飛沫防止パネル1である。
【0020】
上記構成によれば、透明パネル2がペロンペロンとすることのない飛沫防止パネル1を提供することができる。
【0021】
(2)本実施形態の一態様は、(1)に記載の飛沫防止パネル1において、前記透明パネル2と、前記支持部材3は、接続固定される部分を除き、当接しない。
上記構成によれば、透明パネルと支持部材の当接する領域が小さくなるので、清掃作業、特に、拭き取り作業がし易くなる利点がある
【0022】
(3)本実施形態の一態様は、(1)又は(2)に記載の飛沫防止パネル1において、前記支持部材3は、前記透明パネル2の下部固定部に接続し、前記下部固定部から次第に離反するような形で上部固定部に接続される。
上記構成によれば、客表、客側ディスプレイ等と呼ばれる客側表示を視認性よく顧客に提供できるようになる。
【0023】
(4)本実施形態の一態様は、(1)から(3)のいずれか一に記載の飛沫防止パネル1において、前記スタンドベース4は、前記透明パネル2の下方領域の表裏面をパネル固定部材で挟み込むようにされた上で前記透明パネル2と共に前記支持部材3に接続固定されている。
上記構成によれば、透明パネル2を十分な強度で支持固定することができる。
【0024】
(5)本実施形態の一態様は、(4)に記載の飛沫防止パネル1において、前記スタンドベース4は、スタンド本体部41とスタンド補助部材42とから成る一体構造としての嵌込部を有し、前記透明パネル2は、前記嵌込部に差し込まれた状態で前記スタンドベース4と前記支持部材3に接続固定されている。
上記構成によれば、透明パネル2のスタンドベース4に対する上下高さの位置調整が不要となり、組立作業の省力化に寄与することが可能となる。
【0025】
(6)本実施形態の一態様は、(5)に記載の飛沫防止パネル1において、前記嵌込部は、前記透明パネル2が差し込まれる際に突き当たるパネル止め424を有している。
上記構成によれば、透明パネル2とテーブルカウンター上面との間に間隙を与えるため、加工精度の粗さから生じる不陸にも対処することが可能である。
【0026】
(7)本実施形態の一態様は、(1)から(6)のいずれか一に記載の飛沫防止パネル1において、前記透明パネル2は、前記スタンドベース4の幅に左右所定幅を加えた商品販売データ処理装置が載置される領域に対応する上部を遮蔽するように構成されているものの、前記商品販売データ処理装置が載置される領域に隣接する左右いずれかの領域のうち少なくとも一方の領域に対応する部分が開放部とされている。
上記構成によれば、開放部から商品の受け渡しが可能となる。
【0027】
(8)本実施形態の一態様は、(7)に記載の飛沫防止パネル1において、前記透明パネル2は、前記開放部の上方を遮蔽するように構成されている。
上記構成によれば、商品を受け渡す際に店員と顧客が対面する場合であっても安全な飛沫防止パネル1を提供することができる。
【0028】
(9)本実施形態の一態様は、(1)から(8)のいずれか一に記載の飛沫防止パネル1において、前記透明パネル2は、前記商品販売データ処理装置が載置される領域に対応する下部であって、前記商品販売データ処理装置の顧客側操作パネルに対応する箇所が開口されている。
上記構成によれば、顧客側に操作パネルが設けられた商品販売データ処理装置に対応できる飛沫防止パネル1を提供することができる。
【0029】
(10)本実施形態の一態様は、(1)から(9)のいずれか一に記載の飛沫防止パネル1において、前記スタンドベース4は、前記商品販売データ処理装置の領域となる下面に、切り欠き部、及び/又は、孔部を有する。
上記構成によれば、ドロア接続ケーブルや電源ケーブルの取り回しを綺麗に収めることが可能な飛沫防止パネル1を提供することができる。
【0030】
(11)本実施形態の一態様は、(1)から(10)のいずれか一に記載の飛沫防止パネル1を組み立てるための飛沫防止パネル組立キットにおいて、前記透明パネル2と前記支持部材3は、前面略上端部と前面略下端部で固定される一方で、スタンドベース4とは別にされた状態で同梱されている。
上記構成によれば、全パーツが完全に分離されているところから組み立てを開始しなくてよく、組立作業を簡単に行うことができる。
【符号の説明】
【0031】
1 飛沫防止パネル
2 透明パネル
3 支持部材
31 上側ネジ
32 下側ネジ
4 スタンドベース
41 スタンド本体部
42 スタンド補助部材
421 補助正面壁
422 補助側面壁
423 補助底面部
424 パネル止め
5 操作パネル用開口部