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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109034
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】物品収容容器
(51)【国際特許分類】
   G07F 11/00 20060101AFI20220720BHJP
   G07F 11/44 20060101ALI20220720BHJP
   G07F 11/54 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
G07F11/00 Z
G07F11/44
G07F11/54
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004352
(22)【出願日】2021-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】近藤 創
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 達志
(72)【発明者】
【氏名】黒川 信夫
【テーマコード(参考)】
3E046
【Fターム(参考)】
3E046AA02
3E046BA01
3E046BB07
3E046CB02
3E046EB05
3E046FA03
3E046GA03
(57)【要約】
【課題】物品をより確実に供給可能な自動販売機の物品収容容器を提供することができる。
【解決手段】物品供給装置1に装着可能な物品収容容器10であって、物品Pが1個ずつ通過可能な第1孔部11hが底部11dに形成されている物品収容容器本体部10bと、物品収容容器本体部10bの底壁部15wに回転可能に配置され、物品Pを1個ずつ収容可能な複数の第2孔部22hが形成されている回転部20と、物品収容容器本体部10b内に設けられて物品Pを案内する物品案内部30と、を備え、物品案内部30は、第1孔部11hと物品Pが通過可能に連通している連通状態の第2孔部22hを横断する位置にあり、且つ、連通状態の第2孔部22h以外の他の第2孔部22hを横断しない位置にある、物品収容容器10。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品供給装置に装着可能な物品収容容器であって、
物品が1個ずつ通過可能な第1孔部が底壁部に形成されている物品収容容器本体部と、
前記底壁部に回転可能に配置され、前記物品を1個ずつ収容可能な複数の第2孔部が形成されている回転部と、
前記物品収容容器本体部内に設けられて前記物品を案内する物品案内部と、を備え、
前記物品案内部は、前記第1孔部と物品が通過可能に連通している連通状態の前記第2孔部を横断する位置にあり、且つ、前記連通状態の前記第2孔部以外の他の前記第2孔部を横断しない位置にある、
物品収容容器。
【請求項2】
請求項1に記載の物品収容容器であって、
前記物品案内部は、前記第1孔部に対して、二つの前記第2孔部が前記物品を通過不能に同時に連通する状態において、二つの前記第2孔部の上方に位置している、
物品収容容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の物品収容容器であって、
前記物品案内部は、前記連通状態の前記第2孔部の縁部よりも内側の上方の位置に設けられている、
物品収容容器。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の物品収容容器であって、
前記物品案内部は、前記回転部に接触する位置から離れた位置に設けられている、
物品収容容器。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の物品収容容器であって、
前記物品案内部は、少なくとも二か所のうち一方の被支持端部が、前記物品収容容器本体部の第一の側壁近傍に支持されている、
物品収容容器。
【請求項6】
請求項5に記載の物品収容容器であって、
前記物品案内部の他方の被支持端部は、前記第一の側壁に交差する第二の側壁から突出する突出部に支持されている、
物品収容容器。
【請求項7】
請求項6に記載の物品収容容器であって、
前記突出部の先端は、前記第1孔部と前記第2孔部とが前記物品が通過可能に連通している状態において、前記第1孔部と連通している前記第2孔部と、当該第2孔部に隣接している他の前記第2孔部との隔壁の上方に位置している、
物品収容容器。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の物品収容容器であって、
前記物品案内部は、前記一方の被支持端部から前記他方の被支持端部において直線を成している、
物品収容容器。
【請求項9】
請求項8に記載の物品収容容器であって、
前記物品案内部の長さは、前記第2孔部の直径の2倍の長さ未満に設定されている、
物品収容容器。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の物品収容容器であって、
前記物品案内部は、前記第1孔部と前記第2孔部とが連通直前の状態から連通移行途中の状態において、前記第2孔部内に位置している前記物品を、前記底壁部との間で挟持可能に配置されている、
物品収容容器。
【請求項11】
請求項10に記載の物品収容容器であって、
前記物品案内部は、挟持可能な前記物品が1つとなるように設けられている、
物品収容容器。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載の物品収容容器であって、
前記物品案内部は、弾性部材により構成されている、
物品収容容器。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載の物品収容容器であって、
前記物品が通過可能に前記第1孔部と連通する前記第2孔部は、前記回転部の回転中心からの距離が、前記回転中心と前記第1孔部の距離と同じに構成されている、
物品収容容器。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載の物品収容容器であって、
前記物品収容容器本体部には、前記第1孔部の上方の少なくとも一部を覆う傾斜壁部が前記物品収容容器本体部の側壁部に接して設けられている、
物品収容容器。
【請求項15】
請求項14に記載の物品収容容器であって、
前記傾斜壁部は、同一傾斜角度の平板として構成されている、
物品収容容器。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の物品収容容器であって、
前記傾斜壁部は、前前記物品収容容器本体部の側壁部に設けられた突出部の少なくとも一部の上方に設けられている、
物品収容容器。
【請求項17】
請求項14~16の何れか一項に記載の物品収容容器であって、
前記傾斜壁部は、前記回転部に向かって傾斜している、
物品収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品供給装置における物品収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、硬貨を投入してハンドルを回すと、商品(物品)が払い出される手動式の販売装置(物品供給装置)が広く普及している。一般に、特許文献1に記載される物品供給装置においては、装置本体に対して着脱可能な物品収容容器を設け、この物品収容容器に商品を多数収容するようにしている。この物品収容容器の底部には、操作子(ハンドル)と連動して回転する商品保持部材が設けられ、この商品保持部材がその周方向に商品(物品)を1つずつ保持する複数の保持用の孔部を備えて回転可能に配置されている。そして、商品保持部材の下方には、商品保持孔部と連通可能な孔部が設けられ、商品保持部材の回転に伴って、商品(物品)を1つずつ払い出し可能な構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6584615号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、商品(物品)を複数の保持用の孔部に保持した商品保持部材が、回転することで、商品(物品)を1つずつ払い出しする構造であるが、場合によっては物品の払い出しが上手く行われない場合もあり得る。したがって、物品の払い出しにおいて、これまで以上に、物品をより確実に払い出し可能な構造が望まれる。
【0005】
本発明は、物品供給装置において、物品をより確実に供給可能な物品収容容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る物品収容容器は、
物品供給装置に装着可能な物品収容容器であって、
物品が1個ずつ通過可能な第1孔部が底壁部に形成されている物品収容容器本体部と、
前記底壁部に回転可能に配置され、前記物品を1個ずつ収容可能な複数の第2孔部が形成されている回転部と、
前記物品収容容器本体部内に設けられて前記物品を案内する物品案内部と、を備え、
前記物品案内部は、前記第1孔部と物品が通過可能に連通している連通状態の前記第2孔部を横断する位置にあり、且つ、前記連通状態の前記第2孔部以外の他の前記第2孔部を横断しない位置にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、物品供給装置において、物品をより確実に供給可能な物品収容容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の物品収容容器を備えた物品供給装置の外観を示す斜視図である。
図2図1のA-A線に沿った断面図であって、物品供給装置の内部構造を示す断面図である。
図3図2に示す物品収容容器の分解斜視図である。
図4図2に示す物品収容容器の内部を示す拡大斜視図である。
図5】第2孔部と第1孔部とが物品通過可能に連通した状態の平面図である。
図6図5におけるB-Bに沿った断面図であって、第1孔部に連通する直前の第2孔部及び第1孔部に連通状態の第2孔部を示す断面図である。
図7図5におけるE―E線に沿った断面図であって、第1孔部に連通状態の第2孔部及び第1孔部と連通直後の第2孔部を示す断面図である。
図8】第1孔部に対して二つの第2孔部が同時に連通する状態を示す平面図である。
図9図8のおけるF-F断面であって、物品が第1孔部にまさに供給されようとしている状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態である物品収容容器について、図1図9を参照して説明する。
【0010】
図1は、物品収容容器を備えた物品供給装置の外観を示す斜視図である。
本実施形態の物品収容容器10は、図1に示す物品供給装置1の一部を構成しており、物品供給装置1に対して着脱可能に構成された容器である。したがって、先ず、全体構成である物品供給装置1から説明する。
【0011】
物品供給装置1は、図1に示すように、物品Pを収容した物品収容容器10が設けられる筐体61にて構成されている。筐体61には、例えば、前方側を覆う前カバー63、後方側を覆う後カバー65及び上側を覆う上カバー66により適宜覆われている。前カバー63には、物品供給装置1を操作する操作部分が配置されている。そして、前カバー63の上側が開口されており、この開口から物品収容容器10を着脱(図2参照)することができる。
【0012】
前カバー63には、硬貨投入口77、ハンドル78、物品取り出し口71、硬貨返却ボタン72および硬貨返却口73が設けられる。ハンドル78は、硬貨が硬貨投入口77に投入されることで回転可能になるように構成される。硬貨投入口77に投入された硬貨は、購入者によってハンドル78が回転操作されると、硬貨収集ボックス(図示省略)に収集される。しかし、ハンドル78が回転操作されずに硬貨返却ボタン72が押されると、硬貨返却口73に戻るようになっている。物品取り出し口71は、物品収容容器10に連通しており、ハンドル78が回転操作されたとき、1個の物品Pが物品収容容器10から物品取り出し口71に払い出される。なお、本実施形態における物品供給装置1に使用される硬貨については、貨幣の他、装置を設置する店側から提供される商品交換用のメダル等が含まれる。
【0013】
図2は、図1に示す物品供給装置の内部構造を示すA-A線に沿った断面図である。
図2に示すように、ハンドル78は、筐体61に回転可能に設けられ、筐体61内を前後方向に延びる駆動軸75が接続されている。駆動軸75には、後カバー65寄りの位置(駆動軸75の後方側の先端)に歯車76が設けられている。この歯車76は、複数の歯車からなる歯車列80を介して物品収容容器10の底壁部15wに設けられた回転部20のラック22gに噛み合うように構成されている。したがって、ハンドル78が回転操作されることによって、その回転力が駆動軸75を介して回転部20に伝わり、回転部20が回転する。
【0014】
筐体61内部において、物品収容容器10が設けられた下部には、物品Pを下方側の物品取り出し口71に払い出すための排出部82が設けられている。この排出部82には、前後に、内方且つ下方に向けた下り傾斜のシュート82aが設けられている。したがって、このシュート82aによって、上方から払い出された物品Pを、物品取り出し口71に案内する。
【0015】
図3は、物品収容容器10の構成要素を示す分解斜視図である。
図3に示すように、物品収容容器10は、左側の第一の側壁部11w、後側の第二の側壁部12w、右側の第三の側壁部13w、前側の第四の側壁部14w及び底壁部15wからなり、上方が開口された箱型の物品収容容器本体部10bを備えている。底壁部15wには、円形の凹部15eが形成されている。凹部15eの底面15dには、物品Pを排出するための、本発明でいう第1孔部である円形の排出孔11hが形成されている。要するに、排出孔11hは、物品Pが1個ずつ通過可能な大きさに形成されている。物品収容容器10は、多数の物品Pを収納すると共に、物品Pを1個ずつ払い出す機能を有する。また、凹部15eの後端側(図中において右寄りの位置)には、矩形状の貫通孔15gが設けられる。
【0016】
底壁部15wの凹部15e内に、回転部20が回転可能に嵌合される。回転部20は、その下部周縁には、ラック22gが形成されており、貫通孔15gからラック22gが露出して、歯車列80に噛み合うことができる。要するに、ラック22gは、貫通孔15gを通じて歯車列80(図2参照)と噛み合うことで、回転部20が凹部15e内において回転する。回転部20には、物品Pを1個ずつ収容可能とする複数の、本発明でいう第2孔部である保持孔22hが形成されている。
【0017】
また、物品収容容器本体部10b内には、後述するように、物品Pを排出孔11hに1個ずつ導くための物品案内部30、更には、物品収容容器本体部10bの隅部に物品Pが滞留することを防ぐ傾斜板である傾斜壁部18、及び前方側から後方側に向けて傾斜する傾斜面部19が設けられる。なお、第四の側壁部14は、光透過性の樹脂等により形成され、内部の様子がある程度目視できるように構成されている。
【0018】
なお、物品Pは、ここでは、合成樹脂製の略球形状のカプセルに小型の玩具を収納したカプセル玩具である。しかし、この物品Pの形態および種類は特に特定するものではなく任意である。
【0019】
回転部20の回転中心の上部には、例えば複数の撹拌ばね21bを備える撹拌部材21が取付けられる。この撹拌ばね21bは、回転部20と共に回転する。これにより、物品収容容器10内の物品P(図2参照)を混ぜて物品Pの滞留を防ぐ。
【0020】
図4は、物品収容容器10の内部を示す拡大斜視図である。
図4に示すように、物品案内部30は、一本の直線状のばね部材にて構成されている。物品案内部30は、その一方の被支持端部30eが第一の側壁部11wの取付部16に支持され、他方の被支持端部30tが第一の側壁部11wに直交する第二の側壁部12wに支持されている。第二の側壁部12w側の取り付け構造は、容器内側に比較的大きく突出する突出部17に支持されている。これによって、図示のごとく、上側から見て、物品Pが通過可能な排出孔11hを横断する位置に設けられ、更に、物品案内部30は、その一方の被支持端部30e側が、排出孔11hと物品Pが通過可能に連通している連通状態の保持孔22hに対して、排出孔11hに隣接する保持孔22h(図中において左下側)に接近している。
【0021】
図5は、保持孔22hと排出孔11hとが物品Pの通過が可能に連通した状態の平面図である。
図5に示すように、物品案内部30の一方の被支持端部30eは、物品収容容器本体部10bの第一の側壁部11wの取付部16に設けられている。この取付部16は、第一の側壁部11wに接近した位置に被支持端部30eが固定されている。そして物品案内部30は、1つの保持孔22hが排出孔11hと物品Pが通過可能に連通している状態において、隣の保持孔22hの縁部22eに略一致するように配置されている。要するに、物品案内部30は、保持孔22h(排出孔11hに連通する直前の保持孔22h)を横断する位置には配置されていない。好ましくは、物品案内部30が、保持孔22h(排出孔11hに連通する直前の保持孔22h)の縁部22eよりも内側に位置するようになっていないことがよい。
【0022】
また、物品案内部30は、回転部20の上方に位置しており、回転部20から離れて非接触に設けられている。したがって、保持孔22hに保持されている物品P2は、排出孔11hに移動する直前の状態において、物品案内部30の下側に入り込むように移動される。また、この時、物品案内部30は、物品のサイズによっては、若干上方に弾性変形する。要するに、物品案内部30は、物品のサイズによっては、物品Pが接触しながら当該物品Pの通過を許容する高さに設置されている。排出孔11hと保持孔22hの大きさは、ほぼ同じに構成されている。また、保持孔22hは、回転部20の回転中心Cからの孔中心の距離D2が、回転中心Cと排出孔11hの開口軸線CLまでの距離とは同じに構成されている。したがって、回転部20は、周方向に並んで設けられ保持孔22hによって、物品Pを順次払い出すことができる。
【0023】
図5に示すように、排出孔11hと保持孔22hとが略完全に重なる状態、すなわち、保持孔22hに収容されていた物品Pが排出孔11hを通過して下方に落下可能(払い出し可能)な連通状態においては、物品案内部30は、上方(排出孔11hの開口軸線CLに沿う方向)から見て(図6参照)、保持孔22hの縁部22eよりも孔部内側に位置して、保持孔22hを横断するように設けられている。また、物品案内部30の長さ(L1)は、保持孔22hの直径(D1)の2倍の長さ未満に設定されている。
【0024】
物品案内部30は、図5に示すように、排出孔11hと完全に連通(物品Pが通過可能な連通)した保持孔22hに対しては、横断するように位置しているが、後方の保持孔22h(図6において左側の保持孔22h)に対しては、孔の縁部22eとほぼ重なる位置となるように設置されている。要するに、先行する物品Pが払い出された後の続く物品P(P2)は、排出孔11hの直前の位置において、物品案内部30と接し始めることが可能な状態にある。このように、物品案内部30は、同時に2個の物品Pを保持することはない。
【0025】
図6は、図5におけるB―B線に沿った断面図であって、排出孔11hに連通する直前の保持孔22h及び排出孔11hに連通状態の保持孔22hを示す断面図である。
【0026】
図6に示すように、物品P(P2)が排出孔11hの直前の位置において、物品案内部30と接し始めることが可能な状態にあるときは、物品P(P2)と、その上方に位置する物品P(Pm)との間に物品案内部30が位置する。したがって、物品Pが容器内に多数収容されている状態において、排出孔11hに供給されようとしている物品P(P2)の進路方向(図6において右側)に対して他の物品Pmが進路妨害することはない。
【0027】
また、図6に示すように、物品案内部30が掛け渡され内側の側壁部角10kには、傾斜壁部18が設けられている。この傾斜壁部18は、物品案内部30よりも若干上側に配置され、排出孔11hの上方に下端縁18tが位置している。このように、傾斜壁部18は、排出孔11hの上方の一部を覆う(図5参照)ように第一の側壁部11w及び第二の側壁部12wに接して設けられている。要するに、傾斜壁部18は、排出孔11hに連通した保持孔22hの上方に位置している。したがって、物品案内部30によって、排出孔11hの上方側には、保持孔22hに保持された物品P2の進入可能な空間が確保される。
【0028】
また、傾斜壁部18は、側壁部角10kを高い位置にして下端縁18tが最下端になるように容器内方下方に向かって同一傾斜角度に構成されている。つまり、傾斜壁部18は、回転部20に向かって傾斜する平板であって、物品P(Pn)を回転部20側に移動させる。また、傾斜壁部18は、その下端縁18tが突出部17の上方に設けられている(図4及び図5参照)。
【0029】
図7は、図5におけるE―E線に沿った断面図であって、排出孔11hに連通状態の保持孔22h及び排出孔11hと連通直後の保持孔22hを示す断面図である。
【0030】
回転部20を上方から見たときに、突出部17は、排出孔11hに隣接し、且つ回転部20の半径方向に沿うように突出されている(図5参照)。要するに、突出部17の先端17tは、排出孔11hと保持孔22hとが物品Pが通過可能に連通している状態(図5に示す状態)においては、図7に示すように、回転部20における隣り合う保持孔22h間の隔壁21wの上部に位置する。
したがって、回転部20の回転方向において排出孔11hの前方側の保持孔22hにおいては、その上方側がオープンスペースとして形成される。つまり、排出孔11hの第1孔部1hから物品P(P1)が落とされる状態となったときには、先行する保持孔22hの上部から、物品Prの進入が可能になる。
【0031】
図8は、排出孔11hに対して二つの保持孔22hが同時に連通する状態を示す平面図である。図9は、図8のおけるF-F断面であって、物品Pが排出孔11hにまさに供給されようとしている状態を示す断面図である。
【0032】
図8に示すように、物品P(P2)が排出孔11hにまさに供給されようとしている状態においては、排出孔11hに対して二つの保持孔22hが同時に連通し、物品P(P2)を通過不能に排出孔11hに臨ませる位置となっている。この状態では、物品P(P2)は、物品案内部30及び傾斜壁部18の下側に位置している。
【0033】
この状態においては、物品P(P2)は、図9に示すように、物品のサイズによっては、物品案内部30によりその上面を押えられており、底面15dとの間に保持されている。このとき、物品案内部30は、物品P(P2)の最上面に接しており、例えば、若干伸びるような状態となっている。これにより、物品案内部30は、排出孔11hと保持孔22hとが連通直前の状態から連通移行途中の状態において、保持孔22h内に位置している物品P(P2)を、底壁部15wとの間で挟持可能としている。
【0034】
物品供給装置1の操作においては、物品Pは、排出孔11hに移動する直前の位置から、物品案内部30の内側に入り込む状態となって待機している。要するに、次の保持孔22h(回転部20の時計回りの回転方向上流側)内には、次の物品Pが収容されており、次の払い出しに備えた状態となっている。そして、ハンドル78を回転操作することで、物品Pは、物品案内部30に挟持され、この挟持状態のまま排出孔11hの位置まで移動されて、排出孔11hから下方に落下し払い出される。このとき、物品案内部30によって挟持されている物品Pは必ず1つである。
【0035】
このように、排出孔11hに供給される物品Pは、物品案内部30によって、排出孔11hに供給される直前から確実に保持されるだけでなく、排出孔11hの直前の位置から他の物品Pによる干渉が防止された状態が維持される。
【0036】
以上述べたように、本実施形態の物品収容容器10によれば、物品案内部30は、排出孔11hに物品Pが通過可能に連通済みの保持孔22hの縁部22eよりも孔部内側の上方に位置するので、他の物品Pが連通済み保持孔22hに対して上方側から進入するのを防止することができる。また、排出孔11hに連通済み保持孔22h内の物品Pに対して他の物品Pの干渉を防止することができる。
【0037】
更に、物品案内部30は、排出孔11hと連通していない非連通の保持孔22hの孔部を横断する位置にはないことで、非連通の保持孔22hの上方においては、物品Pが他の保持孔22h内に進入することを妨げない。このことにより、物品Pの払い出しに直接供していない他の保持孔22hに対して物品Pが入りやすい状態にできる。
【0038】
また、本実施形態の物品収容容器10では、二つの保持孔22hが物品Pを通過不能に同時に連通する状態、すなわち、回転方向の上流側の保持孔22hが物品Pを排出孔11hに移送する直前の位置から払い出し位置の上部に物品案内部30が位置するように配置されている構造である。これにより、排出孔11hの上方にある他の物品Pが落ち込まないようにし、更に、排出孔11h内に進入しようとしている物品Pに対して他の物品Pの干渉を防止できる。
【0039】
また、物品案内部30は、排出孔11hに連通する直前の状態から連通移行途中の保持孔22h内に位置している物品Pを、必ず1つずつ底面15d(底壁部15w)との間に挟持するので、物品Pを排出孔11hへ確実に案内することができる。
【0040】
また、物品案内部30が挟持する物品Pは必ず1つであるので、物品Pの挟持に伴う物品案内部30の負荷を最小限にすることができ、複数の物品Pを同時に挟持するように設けられたばねに比べ、ばねの劣化を抑えることができる。
【0041】
また、本実施形態の物品収容容器10では、排出孔11hに対して物品Pが通過可能に連通している保持孔22hを横断する位置に設けられているので、物品案内部30の上方から保持孔22hへの進入を確実に防止できる。
【0042】
また、本実施形態の物品収容容器10は、物品案内部30は、回転部20とは接触しない位置に配置されていることで、回転部20の回転に支障を来たす外力を加えることがなく、回転部20の回転動を円滑にする。
【0043】
また、本実施形態の物品収容容器10では、物品案内部30の一方の被支持端部30eは、物品収容容器本体部10bの側壁近傍の取付部16に支持された構成となっている。これにより、物品案内部30を側壁部に近づけて固定できると共に回転部20の配置を側壁部に近づけた配置にすることができる。また、取付部16の張り出しを小さくできるので、特別な支持部材を設ける必要がなく、物品案内部30の支持構造において側壁部を利用しやすい。
【0044】
また、物品案内部30の他方の被支持端部30tは、方の被支持端部30eが取付けられた側壁部とは交差(略90度で交差)する側壁部の設けられる突出部17に支持される構造が採用されている。これにより、突出部17の突出寸法、更には突出向きによって、回転部20に対する物品案内部30の位置を所定に設定することができる。
【0045】
また、本実施形態の物品収容容器10では、突出部17の先端17tは、排出孔11hと物品通過可能な連通状態の保持孔22hと、この保持孔22hに隣接している他の保持孔22h(回転部20の回転方向において排出孔11hよりも時計回りの側に位置している保持孔22h)との隔壁21wの上方に位置している。この結果、物品案内部30は、排出孔11hに対応する領域のみに配置され、最小限の大きさにできる。更に、突出部17は、物品Pの払い出しに供した直後の保持孔22hに対して、次の物品Pの進入を阻害しない構造となっている。
【0046】
また、本実施形態の物品収容容器10では、物品案内部30は、直線状のばね部材にて形成されているので、必要最小限の大きさで、弾性を有するばね部材により構成されているので、物品Pを底面15d(底壁部15w)との間に弾性的に保持することができ、物品Pの確実な払い出しを可能にしている。
【0047】
また、物品案内部30は、その長さ(L1)が、保持孔22hの直径の2倍の長さ未満に設定されていることで、二つの保持孔22hに跨る構成において最小限の長さにできる。
【0048】
また、本実施形態の物品収容容器10では、複数の保持孔22hは、回転部20にその回転中心から排出孔11hと等距離で囲むように配列されているので、回転部20の回転に伴って順次排出孔11hと順次連通することができる。
【0049】
また、本実施形態の物品収容容器10では、排出孔11hの上方を覆う傾斜壁部18が設けられていることで、排出孔11hの上方の物品Pが排出孔11hの近傍に位置している物品Pへの干渉を防止する。
【0050】
また、本実施形態の物品収容容器10では、傾斜壁部18は、同一傾斜角度の平坦な平板として構成されていることで、物品Pが傾斜壁部18を移動し易い。また、傾斜壁部18に凹凸が形成されず物品Pの降下が安定する。
【0051】
また、本実施形態の物品収容容器10では、傾斜壁部18は、突出部17の少なくとも一部の上方に設けられているので、傾斜壁部18と突出部17とが協働して物品Pの排出孔11hの周辺位置における位置規制をすることができ、供給されようとしている物品Pに対する他の物品Pの干渉を防止することができる。
【0052】
また、本実施形態の物品収容容器10では、傾斜壁部18は、回転部20に向かって傾斜しているので、その上にある物品Pを保持孔22hに供給する方向に移動させることができる。
【0053】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はその技術思想の範囲で適宜変更することができる。例えば、上記実施形態においては、物品Pの形状は略球形の場合について説明したが、本発明にける物品Pは他の形状であっても良い。
【0054】
上記実施形態においては、物品案内部30は、コイルスプリング状のばね部材により構成したが、本発明においては、これに限定されるものではなく、例えば、ばね部材以外の変形例としてゴム部材でもよい。但し、ゴム部材の場合、摩擦抵抗の少ない、例えばスリーブ等で覆うようにしてもよい。
【0055】
また、上記実施形態における保持孔22hは5個設けた構成としたが、これに何ら制限されるものではない。
【符号の説明】
【0056】
1 物品供給装置
10 物品収容容器
10b 物品収容容器本体部
11h 排出孔(第1孔部)
11w 第一の側壁部
12w 第二の側壁部
15w 底壁部
17 突出部
17t 先端
18 傾斜壁部
20 回転部
21w 隔壁
22h 保持孔(第2孔部)
22e 縁部
30 物品案内部
30e 一方の被支持端部
30t 他方の被支持端部
C 回転中心
CL 開口軸線
P 物品

図1
図2
図3
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図9