(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109063
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】位置決めシステム
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20220720BHJP
【FI】
B66F9/24 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004388
(22)【出願日】2021-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中島 丘史
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333FA04
3F333FA25
3F333FD11
(57)【要約】
【課題】載車両の駐車位置を細かく調整することなく、荷物を移載することができる位置決めシステムを提供することである。
【解決手段】位置決めシステ1ムは、位置決め装置10と自動移載車両20とを備える。位置決め装置10は、撮像部11と特徴点抽出部110と荷台形状推定部112と荷台位置特定部114と送信部12とを備える。撮像部11は、駐車スペースを撮像し画像を生成する。特徴点抽出部110は、駐車スペースに駐車している積載車両の荷台の特徴点を抽出する。荷台形状推定部112は、積載車両の荷台の形状を推定する。荷台位置特定部114は、駐車スペースにおける荷台の位置を特定する。送信部12は、荷台の位置を示す位置情報を送信する。自動移載車両20は、位置情報を受信する受信部と位置情報に基づいて自車を荷台まで移動させる運転制御部とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車スペースに駐車されている積載車両の荷台に荷物の積み降ろしをすべく、位置決め装置が、前記荷台に対し、自動走行可能な自動移載車両が移動する位置を位置決めするための位置決めシステムであって、
前記位置決め装置は、
前記駐車スペースを撮像し、画像を生成する撮像部と、
前記画像に基づいて、前記駐車スペースに駐車している前記積載車両の前記荷台の特徴点を抽出する特徴点抽出部と、
前記特徴点に基づいて、前記荷台の形状を推定する荷台形状推定部と、
前記荷台の形状に基づいて、前記駐車スペースにおける前記荷台の位置を特定する荷台位置特定部と、
前記荷台の位置を示す位置情報を、前記自動移載車両に送信する送信部と、を備え、
前記自動移載車両は、
前記送信部から前記位置情報を受信する受信部と、
前記位置情報に基づいて、自車を前記荷台まで移動させる運転制御部と、を備える、
ことを特徴とする位置決めシステム。
【請求項2】
前記撮像部は、前記駐車スペースの天井に設置され、前記駐車スペースを上方から撮像する、
請求項1に記載の位置決めシステム。
【請求項3】
前記特徴点抽出部は、前記荷台にウィングを有する前記積載車両における前記ウィングを開いた状態での前記積載車両の前後方向における前記ウィングの端部を前記特徴点として抽出する、
請求項1または2に記載の位置決めシステム。
【請求項4】
前記特徴点抽出部は、前記荷台に側面あおりを有する前記積載車両における前記側面あおりを開いた状態での前記積載車両の前後方向における前記側面あおりの端部を前記特徴点として抽出する、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の位置決めシステム。
【請求項5】
前記荷台位置特定部は、前記荷台における前記積載車両の左右方向の中心位置を特定し、
前記送信部は、前記中心位置を示す中心位置情報を前記自動移載車両に送信し、
前記運転制御部は、前記中心位置情報に基づいて、前記荷台の左右から前記中心位置に向かって自車を移動させる、
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の位置決めシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決めシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物をトラック等の積載車両に積載する技術が知られている。特許文献1には、複数の荷物を一括して積載車両に積載するトラックローダーに関する技術が記載されている。また、特許文献2には、積載車両の両側のレールを走行し、コンベア等に貯留された荷物を積載車両の荷台の両側から積み込む自動移載車両に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-327291号公報
【特許文献2】特開2007-230683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、トラックローダーや、レール走行の自動移載車両が、荷物を積載できる位置に積載車両を正確に駐車させる必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する位置決めシステムは、駐車スペースに駐車されている積載車両の荷台に荷物の積み降ろしをすべく、位置決め装置が、前記荷台に対し、自動走行可能な自動移載車両が移動する位置を位置決めするための位置決めシステムである。前記位置決め装置は、撮像部と、徴点抽出部と、荷台形状推定部と、荷台位置特定部と、送信部と、を備える。撮像部は、前記積載車両の駐車スペースを撮像し、画像を生成する。特徴点抽出部は、前記画像に基づいて、前記駐車スペースに駐車している前記積載車両の荷台の特徴点を抽出する。荷台形状推定部は、前記特徴点に基づいて、前記積載車両の荷台の形状を推定する。荷台位置特定部は、前記荷台の形状に基づいて、前記駐車スペースにおける前記荷台の位置を特定する。送信部は、前記荷台の位置を示す位置情報を、前記自動移載車両に送信する。前記自動移載車両は、前記送信部から前記位置情報を受信する受信部と、前記位置情報に基づいて、自車を前記荷台まで移動させる運転制御部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
かかる構成によれば、位置決め装置は、駐車スペース内に駐車された積載車両の荷台の形状を推定し、荷台の位置を特定する。そして、自動移載車両は、位置決め装置により推定された荷台形状と、荷台の位置とに基づいて自走し、積載車両において移載する。したがって、位置決めシステムによれば、積載車両の駐車位置を細かく調整することなく、荷物を移載することができる。
【0007】
上記位置決めシステムにおいて、前記撮像部は、前記駐車スペースの天井に設置され、前記駐車スペースを上方から撮像してもよい。
かかる構成によれば、撮像部は、積載車両の全体を上方から撮像する。したがって、位置決めシステムは、高精度に積載車両の荷台の形状を推定することができる。
【0008】
上記位置決めシステムにおいて、前記特徴点抽出部は、前記荷台にウィングを有する前記積載車両における前記ウィングを開いた状態での前記積載車両の前後方向における前記ウィングの端部を前記特徴点として抽出してもよい。
【0009】
かかる構成によれば、荷台形状推定部は、特徴点抽出部により抽出された積載車両の前後方向におけるウィングの端部の特徴点に基づいて、荷台の形状を推定する。ここで、積載車両の荷台の長さは、積載車両の前後方向におけるウィングの長さと合致する。したがって、位置決めシステムは、ウィングの端部の特徴点に基づいて、荷台の形状を推定することにより、高精度に積載車両の荷台の形状を推定することができる。
【0010】
上記位置決めシステムにおいて、前記特徴点抽出部は、前記荷台に側面あおりを有する前記積載車両における前記側面あおりを開いた状態での前記積載車両の前後方向における前記側面あおりの端部を前記特徴点として抽出してもよい。
【0011】
かかる構成によれば、荷台形状推定部は、特徴点抽出部により抽出された積載車両の前後方向における側面あおりの端部の特徴点に基づいて、荷台の形状を推定する。ここで、積載車両の荷台の長さは、積載車両の前後方向における側面あおりの端部間の長さと合致する。したがって、位置決めシステムは、側面あおりの端部の特徴点に基づいて、荷台の形状を推定することにより、高精度に積載車両の荷台の形状を推定することができる。
【0012】
上記位置決めシステムにおいて、前記荷台位置特定部は、前記荷台における前記積載車両の左右方向の中心位置を特定し、前記送信部は、前記中心位置を示す中心位置情報を前記自動移載車両に送信し、前記運転制御部は、前記中心位置情報に基づいて、前記荷台の左右から前記中心位置に向かって自車を移動させてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、自動移載車両は、荷台の中心位置に向かって積載車両に荷物を移載する。この場合、自動移載車両は、積載車両の左右のいずれからも中心位置に向かって荷物を移載することができる。したがって、位置決めシステムは、効率よく荷物を移載することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、積載車両の駐車位置を細かく調整することなく、荷物を移載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】位置決めシステムの全体構成の一例を示す図。
【
図3】駐車スペースに駐車された積載車両の側面図。
【
図7】荷台形状推定部の処理の説明に用いられる図。
【
図8】荷台位置特定部の処理の説明に用いられる図。
【
図9】位置決め装置の処理の一例を示すフローチャート。
【
図10】自動移載車両の処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態]
<位置決めシステム1について>
以下、本発明を具体化した実施形態を、図面を用いて説明する。
図1に示すように、位置決めシステム1は、例えば、位置決め装置10と、一以上の自動移載車両20とを備える。
図1において、水平面を、直交するX,Y方向で規定するとともに、上下方向をZ方向で規定している。
【0017】
積載車両30は、例えば、トラック等の荷台31を有する車両である。本実施形態では、積載車両30が、ウィング32と、側面あおり33とを有する車両であるものとする。ウィング32は、荷台31の上部と、側面の一部とを覆い、側面が開閉する。側面あおり33は、側面の他の一部を覆う。ウィング32及び側面あおり33が開状態となることにより、自動移載車両20が荷台31に対し荷物を移載することができる。ウィング32及び側面あおり33の一部分は、開状態において積載車両30の幅方向よりも外側に位置する。
【0018】
自動移載車両20は、例えば、荷物を積載車両30に積載する車両である。
図1に示す一例では、位置決めシステム1が、三つの自動移載車両20-1,20-2,20-3を備えている。なお、位置決めシステム1は、少なくとも一つの自動移載車両20を備えていればいずれの数の自動移載車両20を備えていてもよい。以降の説明において、三つの自動移載車両20-1,20-2,20-3を互いに区別しない場合には、単に「自動移載車両20」と記載する。
【0019】
本実施形態において、自動移載車両20は、自動運転制御により走行するフォークリフトであるものとする。自動運転とは、自動移載車両20に乗車した乗員による運転操作に依らずに、自動移載車両20の操舵または速度のうち一方または双方を制御して車両を運転させることである。自動移載車両20は、位置決め装置10から取得した情報に基づいて自動運転制御により走行し、荷物を積載車両30に対し移載する。自動移載車両20の詳細については、後述する。
【0020】
位置決め装置10は、後述する駐車スペースSP内に駐車された積載車両30の荷台31の形状を推定し、推定した荷台31の位置を示す位置情報を自動移載車両20に送信する装置である。
【0021】
<自動移載車両20について>
図2に示すように、自動移載車両20は、例えば、車輪21と、フォーク22と、ハンドル23と、操作レバー24と、車輪21を駆動する走行アクチュエータ25aと、フォーク22を駆動する荷役アクチュエータ25bと、通信部26と、制御部27とを備える。フォーク22の上下動により、荷物の積み込み又は積み降ろしを行う。ハンドル23は、自動移載車両20に運転者が乗車した場合、自動移載車両20の操舵を行う際に用いられる。また、操作レバー24は、自動移載車両20に運転者が乗車した場合、フォーク22の操作を行う際に用いられる。
【0022】
なお、上述したように、本実施形態において、自動移載車両20は、自動運転制御により走行するフォークリフトであるため、自動移載車両20に乗車する運転者が、自動移載車両20を操作する際に用いるハンドル23や操作レバー24を備えていなくてもよい。
【0023】
走行アクチュエータ25aは、自動移載車両20の走行に用いられるものであり、具体的には車輪21を回転駆動させるとともに、操舵角(進行方向)を変更する。荷役アクチュエータ25bは、フォーク22を用いた荷役動作を行わせるためのものであり、具体的にはフォーク22を上下方向に移動させるリフト動作と、フォーク22を傾けるチルト動作を行わせる。
【0024】
自動移載車両20は、例えばバッテリフォークリフトであるとよい。この場合、走行アクチュエータ25aは、車輪21を回転駆動させる走行用電動モータ及び操舵用電動モータ等である。また、荷役アクチュエータ25bは、荷役動作を行わせるための油圧ポンプ及び油圧シリンダ等である。
【0025】
通信部26は、例えば、セルラー網やWi-Fi網、Bluetooth(登録商標)等を利用して、位置決め装置10と通信する。
制御部27は、位置決め装置10の制御に基づいて、走行アクチュエータ25a及び荷役アクチュエータ25bを制御する。詳しくは、通信部26は、位置決め装置10から、荷台31の位置を示す位置情報を受信する。制御部27は、位置情報に基づいて、当該位置情報が示す荷台31の位置まで走行するように、走行アクチュエータ25a及び荷役アクチュエータ25bを制御する。
【0026】
なお、位置情報には、荷台31の位置のほか、自動移載車両20の走行速度、加速度及び操舵角に関する情報、上下方向におけるフォーク22の位置(リフト位置)及びリフト動作中の場合にはその動作速度に関する情報が含まれていてもよい。また、位置情報には、鉛直方向に対するフォーク22の傾斜角度及びチルト動作中の場合にはその動作速度に関する情報等が含まれていてもよい。
【0027】
<駐車スペースSPについて>
図3に示すように、駐車スペースSPの上部には庇CPが設けられている。これにより、駐車スペースSPに駐車された積載車両30には、ウィング32を開けたままにしていても、雨や雪等による影響を受けずに、荷物の積み降ろしをすることができる。また、駐車スペースSPの天井には、撮像部11が設けられる。撮像部11は、駐車スペースSPを上方から駐車スペースSPの全体を撮像し、画像IMを生成する。
図4に示すように、駐車スペースSPは、例えば、区画線により示される長方形の範囲であって、積載車両30を駐車可能な広さを有している。積載車両30は、駐車スペースSP内であれば、いずれの位置に駐車されてもよい。
【0028】
<位置決めシステム1の構成について>
図5に示すように、位置決め装置10は、例えば、撮像部11と、通信部12と、制御部100と、記憶部150とを備える。撮像部11は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。通信部12は、例えば、セルラー網やWi-Fi網、Bluetooth等を利用して、自動移載車両20と通信する。
【0029】
制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め記憶部150に記憶される。記憶部150は、例えば、HDDやフラッシュメモリなどの非一過性の記憶媒体により実現される。記憶部150には、更に駐車スペース位置情報151が記憶される。駐車スペース位置情報151は、例えば、駐車スペースSPの絶対位置を示す情報である。
【0030】
制御部100は、例えば、特徴点抽出部110と、荷台形状推定部112と、荷台位置特定部114とを備える。
特徴点抽出部110は、例えば、撮像部11が駐車スペースSPを撮像し、生成した画像IMに基づいて、駐車スペースSPに駐車している積載車両30の荷台31の特徴点Pを抽出する。荷台形状推定部112は、特徴点抽出部110により抽出された特徴点Pに基づいて、荷台31の形状を推定する。荷台位置特定部114は、荷台形状推定部112により推定された荷台31の形状に基づいて、駐車スペースSPにおける荷台31の位置を特定する。特徴点抽出部110、荷台形状推定部112、及び荷台位置特定部114の処理の詳細については、後述する。
【0031】
通信部12は、荷台位置特定部114により特定された荷台31の位置を示す位置情報を、自動移載車両20に送信する。自動移載車両20に位置情報を送信する処理において、通信部12は、「送信部」の一例である。
【0032】
<制御部100の処理の詳細について>
以下、制御部100が備える各部の処理の詳細について説明する。上述したように、特徴点抽出部110は、撮像部11によって生成された画像IMに基づいて、駐車スペースSPに駐車された積載車両30の特徴点Pを抽出する。特徴点Pには、例えば、駐車スペースSPのうち、地面と積載車両30との境界となっている点や、積載車両30が備える各部の端点等が含まれる。特徴点抽出部110は、例えば、画像IMの色調の差や、被写界深度検出等の一般的な画像処理を行って、特徴点Pを抽出する。
【0033】
図6に示すように、特徴点抽出部110は、積載車両30の先頭部を表す複数の特徴点Pのうち、右端を表す一以上の特徴点P1と、左端を表す一以上の特徴点P2とを抽出する。また、特徴点抽出部110は、右側のウィング32を表す複数の特徴点Pの内、積載車両30の前後方向におけるウィング32の前端を表す一以上の特徴点P3と、後端を表す一以上の特徴点P4とを抽出する。また、特徴点抽出部110は、左側のウィング32を表す複数の特徴点Pの内、積載車両30の前後方向におけるウィング32の前端を表す一以上の特徴点P5と、後端を表す一以上の特徴点P6とを抽出する。以下、特徴点抽出部110が、特徴点P1~P6をそれぞれ複数抽出するものとして説明する。
【0034】
次に、荷台形状推定部112は、特徴点抽出部110により抽出された特徴点P1~P6に基づいて、荷台31の形状を推定する。
図7に示すように、荷台形状推定部112は、例えば、特徴点P1~P6に基づいて、長方形上の荷台31の四つの頂点PT1~PT4を推定し、推定した頂点PT1~PT4を結んだ長方形を荷台31の形状として推定する。
【0035】
詳しくは、荷台形状推定部112は、複数の特徴点P1により表される線分L1と、複数の特徴点P3により表される線分L3との交点を、頂点PT1として推定する。次に、荷台形状推定部112は、複数の特徴点P2により表される線分L2と、複数の特徴点P5により表される線分L5との交点を、頂点PT2として推定する。次に、荷台形状推定部112は、複数の特徴点P4により表される線分L4と、積載車両30の前後方向に延伸した線分L1との交点を、頂点PT3として推定する。次に、荷台形状推定部112は、複数の特徴点P6により表される線分L6と、積載車両30の前後方向に延伸した線分L2との交点を、頂点PT4として推定する。荷台形状推定部112は、画像IMにおける頂点PT1~PT4の位置を示す情報を、荷台31の形状の推定結果として荷台位置特定部114に出力する。
【0036】
荷台位置特定部114は、荷台形状推定部112から画像IMにおける頂点PT1~PT4の位置を示す情報を取得し、駐車スペースSPにおける荷台31の位置を特定する。荷台位置特定部114は、例えば、駐車スペース位置情報151に基づいて、画像IMにおける頂点PT1~PT4の位置が、駐車スペース位置情報151に示される駐車スペースSPの絶対座標のうち、どの座標に対応するかを特定する。荷台位置特定部114は、特定した座標を示す情報を、位置情報として自動移載車両20に対して通信部12に送信させる。
【0037】
また、荷台位置特定部114は、荷台31における積載車両30の左右方向の中心位置を特定し、特定した中心位置を示す中心位置情報を自動移載車両20に提供してもよい。
図8に示すように、荷台位置特定部114は、例えば、頂点PT1と頂点PT2との中点CP1と、頂点PT3と頂点PT4との中点CP2とを、結んだ中心線CLを導出する。荷台位置特定部114は、導出した中心線CLの位置が、駐車スペース位置情報151に示される駐車スペースSPの絶対座標のうち、どの座標に対応するかを特定する。荷台位置特定部114は、特定した中心線CLの座標を、荷台31における積載車両30の左右方向の中心位置を示す中心位置情報として、自動移載車両20に対して通信部12に送信させる。
【0038】
制御部27は、位置決め装置10から受信した位置情報に基づいて、位置情報に示される荷台31に対し荷物の移載を行うように自動移載車両20を動作させる。制御部27は、例えば、荷役アクチュエータ25bを制御し、積載車両30に積載する荷物が載置された荷物置き場からフォーク22で荷物を持ち上げる。そして、制御部27は、走行アクチュエータ25aを制御し、自動移載車両20を荷台31まで移動させる。ここで、制御部27は、中心位置情報に基づいて走行アクチュエータ25a、荷役アクチュエータ25bを制御し、中心線CLに沿って荷物を並べて積載するように、自動移載車両20の位置やフォーク22を制御してもよい。位置決め装置10から位置情報を受信する処理において、通信部26は、「受信部」の一例であり、位置情報、又は中心位置情報に基づいて自動移載車両20を移動させる処理において、制御部27は、「運転制御部」の一例である。
【0039】
<動作フロー>
以下、
図9に示すフローチャートを用いて、位置決め装置10の動作について説明する。まず、撮像部11は、駐車スペースSPを撮像し、画像IMを生成する(ステップS100)。次に、特徴点抽出部110は、画像IMに基づいて、特徴点P1~P6を抽出する(ステップS102)。例えば、画像IMの色調の差や、被写界深度検出等の一般的な画像処理を行って、特徴点P1~P6を抽出する。
【0040】
荷台形状推定部112は、特徴点抽出部110により抽出された特徴点P1~P6に基づいて、荷台31の形状を推定する(ステップS104)。荷台形状推定部112は、例えば、特徴点P1~P6に基づいて、長方形上の荷台31の四つの頂点PT1~PT4を推定し、推定した頂点PT1~PT4を結んだ長方形を荷台31の形状として推定する。
【0041】
荷台位置特定部114は、荷台形状推定部112により推定された荷台31の形状に基づいて、駐車スペースSPにおける荷台31の位置を特定する(ステップS106)。荷台位置特定部114は、駐車スペース位置情報151に基づいて、画像IMにおける頂点PT1~PT4の位置が、駐車スペース位置情報151に示される駐車スペースSPの絶対座標のうち、どの座標に対応するかを特定する。また、荷台位置特定部114は、荷台31における積載車両30の左右方向の中心位置を特定し、特定した中心位置を示す情報を位置情報に更に含める。通信部12は、荷台位置特定部114により特定された座標を示す位置情報を、自動移載車両20に対して送信する(ステップS108)。
【0042】
以下、
図10に示すフローチャートを用いて、自動移載車両20の動作について説明する。通信部26は、位置決め装置10から位置情報を受信する(ステップS200)。制御部27は、走行アクチュエータ25aを制御して荷物置き場まで走行させ、フォーク22を制御して荷台31に積載する荷物を積む(ステップS202)。制御部27は、位置情報に基づいて走行アクチュエータ25aを制御し、荷台31の位置まで走行させる(ステップS204)。制御部27は、フォーク22を制御し、荷台31に荷物を積載させる(ステップS206)。
【0043】
制御部27は、荷台31への荷物の積載が完了したか否かを判定する(ステップS208)。制御部27は、例えば、自動移載車両20の周囲を認識する認識部(不図示)の認識結果が、荷物置き場に荷物が存在しないことを示す場合や、予め定められた数の荷物を積載した場合等に、荷台31への荷物の積載が完了したと判定する。制御部27は、荷台31への荷物の積載が完了していないと判定した場合、処理をステップS202に進め、ステップS202~S206の処理を繰り返す。制御部27は、荷台31への荷物の積載が完了したと判定した場合、処理を終了する。
【0044】
<自動移載車両20がウィング32を備えない場合について>
なお、上述では、自動移載車両20が、ウィング32及び側面あおり33の両方を備える場合について説明したが、これに限られない。自動移載車両20が、ウィング32を備えていない場合、特徴点抽出部110は、ウィング32の特徴点Pに代えて、側面あおり33の特徴点Pに基づいて、特徴点P3~P6を抽出する。
【0045】
詳しくは、特徴点抽出部110は、右側の側面あおり33を表す複数の特徴点Pの内、積載車両30の前後方向における側面あおり33の前端を表す一以上の特徴点Pを特徴点P3として抽出し、後端を表す一以上の特徴点Pを特徴点P4として抽出する。また、特徴点抽出部110は、左側の側面あおり33を表す複数の特徴点Pの内、積載車両30の前後方向における側面あおり33の前端を表す一以上の特徴点Pを特徴点P5として抽出し、後端を表す一以上の特徴点Pを特徴点P6として抽出する。これにより、荷台形状推定部112は、積載車両30がウィング32を備えていない場合であっても、荷台31の形状を推定することができる。
【0046】
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)位置決めシステム1は、駐車スペースSPに駐車されている積載車両30の荷台31に荷物の積み降ろしをすべく、位置決め装置10が、荷台31に対し、自動走行可能な自動移載車両20が移動する位置を位置決めするための位置決めシステム1である。位置決め装置10は、撮像部11と、特徴点抽出部110と、荷台形状推定部112と、荷台位置特定部114と、送信部(この一例では、通信部12)とを備える。撮像部11と、積載車両30の駐車スペースSPを撮像し、画像IMを生成する。特徴点抽出部110は、画像IMに基づいて、駐車スペースSPに駐車している積載車両30の荷台31の特徴点Pを抽出する。荷台形状推定部112は、特徴点Pに基づいて、積載車両30の荷台31の形状を推定する。荷台位置特定部114は、荷台31の形状に基づいて、駐車スペースSPにおける荷台31の位置を特定する。通信部12は、荷台31の位置を示す位置情報を、自動移載車両20に送信する。自動移載車両20は、通信部12から位置情報を受信する受信部(この一例では、通信部26)と、位置情報に基づいて、自動移載車両20を荷台31まで移動させる運転制御部(この一例では、制御部27)と、を備えることを特徴とする。
【0047】
かかる構成によれば、位置決め装置10は、駐車スペースSP内に駐車された積載車両30の荷台31の形状を推定し、荷台31の位置を特定する。そして、自動移載車両20は、位置決め装置10により推定された荷台31形状と、荷台31の位置とに基づいて自走し、積載車両30に荷物を積載する。したがって、位置決めシステム1によれば、駐車スペースSPにおける積載車両30の駐車位置を細かく調整することなく、荷物を移載することができる。
【0048】
(2)撮像部11は、駐車スペースSPの天井に設置され、駐車スペースSPを上方から撮像してもよい。
ここで、撮像部11が駐車スペースSPの側方に設置される場合、撮像部11は、荷台31の全体を撮像することができない場合がある。一方、撮像部11が駐車スペースSPの天井に設置されることにより、撮像部11は、積載車両30の全体を上方から撮像することができる。したがって、位置決めシステム1は、高精度に積載車両30の荷台31の形状を推定することができる。
【0049】
(3)特徴点抽出部110は、荷台31にウィング32を有する積載車両30におけるウィング32を開いた状態での積載車両30の前後方向におけるウィング32の端部を特徴点Pとして抽出してもよい。
【0050】
一般に、荷台31の左右方向の長さは、積載車両30の先頭部の左右方向の長さと略一致する。一方、荷台31の前後方向の長さは、積載車両30の前後方向の長さから、積載車両30の先頭部の前後方向の長さを除いた長さとなるため、一意に特定しづらい場合がある。ここで、ウィング32の前後方向の長さは、荷台31の前後方向の長さと略一致する。かかる構成によれば、荷台形状推定部112は、特徴点抽出部110により抽出されたウィング32の端部の特徴点P4~P6に基づいて、荷台31の形状を推定することにより、高精度に積載車両30の荷台31の形状を推定することができる。
【0051】
(4)特徴点抽出部110は、荷台31に側面あおり33を有する積載車両30における側面あおり33を開いた状態での積載車両30の前後方向における側面あおり33の端部を特徴点Pとして抽出してもよい。
【0052】
上述したように、荷台31の前後方向の長さは、積載車両30の前後方向の長さから、積載車両30の先頭部の前後方向の長さを除いた長さとなるため、一意に特定しづらい場合がある。ここで、側面あおり33の前後方向の長さは、荷台31の前後方向の長さと略一致する。かかる構成によれば、荷台形状推定部112は、特徴点抽出部110により抽出された側面あおり33の端部の特徴点P4~P6に基づいて、荷台31の形状を推定することにより、高精度に積載車両30の荷台31の形状を推定することができる。
【0053】
(5)荷台位置特定部114は、荷台31における積載車両30の左右方向の中心位置を特定し、通信部12は、中心位置を示す中心位置情報を自動移載車両20に送信し、制御部27は、中心位置情報に基づいて、荷台31の左右から中心位置に向かって自動移載車両20を移動させてもよい。
【0054】
荷台31において荷物の移載を行う際に、積載車両30の幅方向に二列で荷物を積載する場合がある。かかる構成によれば、自動移載車両20は、荷台31の中心位置に向かって積載車両30に荷物を積載する。この場合、自動移載車両20は、積載車両30の左右のいずれからも中心位置に向かって荷物を積載することができる。したがって、位置決めシステム1は、一方向から荷物を積載する場合に比して、効率よく積載車両30に荷物を積載することができる。
【0055】
上記各実施形態は以下のように変更してもよい。なお、上記実施形態及び以下の各別例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせてもよい。
○荷台31には、予め荷物を積載する位置(以下、パレット位置)が定められていてもよい。この場合、荷台位置特定部114は、荷台31の位置を示す位置情報に代えて(或いは、加えて)、パレット位置を示す位置情報を自動移載車両20に提供してもよい。
【0056】
○撮像部11は、複数のカメラにより実現されてもよい。例えば、一つのカメラにより荷台31の全体を撮像することができない場合等において、複数のカメラにより荷台31を撮像し、生成した画像の合成により、荷台31の全体を合成後の画像IMに示すことができれば、撮像部11は、複数のカメラにより実現されてもよい。
【0057】
○撮像部11は、ステレオカメラであってもよく、3Dレーダ装置であってもよい。この場合、特徴点抽出部110は、ステレオカメラや3Dレーダ装置により検出された特徴点Pまでの距離に基づいて、特徴点P1~P6を抽出してもよい。
【0058】
○駐車スペースSPの上部には、庇CPが設けられていなくてもよい。この場合、撮像部11は、駐車スペースSPの側方において、荷台31を撮像可能な位置に設けられ、ステレオカメラや3Dレーダ装置により実現される。
【0059】
○位置決め装置10は、すべての自動移載車両20に対して位置情報を送信してもよく、複数の自動移載車両20のうち、予め定められた自動移載車両20に対してのみ位置情報を送信してもよい。予め定められた自動移載車両20は、他の自動移載車両20に位置情報を共有する処理を行う。これにより、自動移載車両20の数が多い場合の位置決め装置10の処理負荷を低減することができる。
【0060】
○位置決め装置10は、すべての自動移載車両20の動作を指示する指示装置(不図示)に対して位置情報を送信してもよい。この場合、指示装置は、受信した位置情報や自動移載車両20の現在位置を示す情報に基づいて、自動移載車両20に各種動作を指示してもよい。これにより、自動移載車両20は、指示装置の指示に基づいて、効率よく荷台31に荷物を積載することができる。
【0061】
○位置決め装置10と、自動移載車両20とは、一体に構成されていてもよい。詳しくは、位置決め装置10は、自動移載車両20に搭載されていてもよい。
○上述では、位置決めシステム1が、自動移載車両20が積載車両30に荷物を積載する場合の詳細について説明したが、これに限られない。位置決めシステム1は、同様の処理を積載車両30から荷物を積み降ろす場合に行ってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…位置決めシステム、10…位置決め装置、11…撮像部、12…通信部、20、20-1、20-2、20-3…自動移載車両、21…車輪、22…フォーク、23…ハンドル、24…操作レバー、25a…走行アクチュエータ、25b…荷役アクチュエータ、26…通信部、27…制御部、30…積載車両、31…荷台、32…ウィング、100…制御部、110…特徴点抽出部、112…荷台形状推定部、114…荷台位置特定部、150…記憶部、151…駐車スペース位置情報、CL…中心線、CP…庇、CP1、CP2…中点、IM…画像、P、P1、P2、P3、P4、P5、P6…特徴点、SP…駐車スペース。