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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109074
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】機械学習装置及び異常識別装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20220720BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20220720BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20220720BHJP
   E02D 29/12 20060101ALI20220720BHJP
   E03F 5/02 20060101ALI20220720BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
G06T7/00 610Z
G06N20/00 130
G06T7/00 350B
G06T1/00 300
E02D29/12 Z
E03F5/02
G01N21/88 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004410
(22)【出願日】2021-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】美馬 賢司
(72)【発明者】
【氏名】木瀬 信一
(72)【発明者】
【氏名】藤村 海飛
【テーマコード(参考)】
2D063
2D147
2G051
5B057
5L096
【Fターム(参考)】
2D063DA07
2D147BA00
2G051AA90
2G051AB02
2G051EB05
5B057AA17
5B057BA02
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC01
5B057DA03
5B057DB02
5B057DB09
5L096AA06
5L096BA03
5L096CA02
5L096DA02
5L096EA43
5L096FA17
5L096FA69
5L096KA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マンホール内に設置される金物の錆や腐食状態を自動で特定する機械学習装置及び異常識別装置を提供する。
【解決手段】マンホール内の異常を識別するための学習モデルを構築する機械学習装置であって、第1学習部~第4学習部のうちの第1学習部は、マンホール内の設備を被写体として含む現場写真を第1入力データとして取得する第1入力データ取得手段111と、マンホール内の設備を被写体として含む現場写真に含まれる金物の錆・腐食状態の判定結果を第1ラベルとして取得する第1ラベル取得手段112と、第1入力データと第1ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、マンホール内の設備を被写体として含む新たな現場写真に含まれる金物の錆・腐食状態を判定するための第1学習モデルを構築する第1学習モデル構築手段113と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホール内の異常を識別するための学習モデルを構築する機械学習装置であって、
前記マンホール内の設備を被写体として含む現場写真を第1入力データとして取得する第1入力データ取得手段と、
前記マンホール内の設備を被写体として含む現場写真に含まれる金物の錆・腐食状態の判定結果を第1ラベルとして取得する第1ラベル取得手段と、
前記第1入力データと前記第1ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記マンホール内の設備を被写体として含む新たな現場写真に含まれる前記金物の錆・腐食状態を判定するための第1学習モデルを構築する第1学習モデル構築手段と、
を備える機械学習装置。
【請求項2】
前記マンホール内の設備を被写体として含む現場写真を第2入力データとして取得する第2入力データ取得手段と、
前記マンホール内の設備を被写体として含む現場写真に含まれる壁におけるクラックの発生箇所の判定結果を第2ラベルとして取得する第2ラベル取得手段と、
前記第2入力データと前記第2ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記マンホール内の設備を被写体として含む新たな現場写真に含まれる壁におけるクラックの発生箇所を判定するための第2学習モデルを構築する第2学習モデル構築手段と、
を更に備える、請求項1に記載の機械学習装置。
【請求項3】
前記マンホール内の水位、前記マンホール内の貯留水のpH及び硫化水素濃度、前記マンホールに設置される前記金物の取付日時、及び、前記金物の素材に係る情報を含む第1現地状況データを、第3入力データとして取得する第3入力データ取得手段と、
前記第3入力データの示す日時より所定期間後の前記金物の腐食レベルを第3ラベルとして取得する第3ラベル取得手段と、
前記第3入力データと前記第3ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、新たな前記第1現地状況データの示す日時より前記所定期間後の前記金物の腐食レベルを予測するための第3学習モデルを構築する第3学習モデル構築手段と、
を更に備える、請求項1又は請求項2に記載の機械学習装置。
【請求項4】
前記マンホール内の水位、前記マンホール内の貯留水のpH及び硫化水素濃度、前記マンホールに設置される前記金物の取付日時、前記金物の素材に係る情報、及び前記マンホール内の設備を被写体として含む現場写真を含む第2現地状況データを、第4入力データとして取得する第4入力データ取得手段と、
前記第4入力データの示す日時より所定期間後の前記現場写真を第4ラベルとして取得する第4ラベル取得手段と、
前記第4入力データと前記第4ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、新たな前記第2現地状況データの示す日時より前記所定期間後の前記マンホール内の設備を被写体として含む予測写真を生成するための第4学習モデルを構築する第4学習モデル構築手段と、
を更に備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の機械学習装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の機械学習装置で構築した前記第1学習モデルを用いた異常識別装置であって、
前記マンホール内の設備を被写体として含む新たな現場写真を取得する現場写真取得手段と、
前記現場写真と前記第1学習モデルとに基づいて、前記金物の錆・腐食状態を判定する錆・腐食状態判定手段と、
を備える異常識別装置。
【請求項6】
請求項2に記載の機械学習装置で構築した前記第2学習モデルを更に用いた異常識別装置であって、
前記マンホール内の設備を被写体として含む新たな現場写真を取得する現場写真取得手段と、
前記現場写真と前記第2学習モデルとに基づいて、前記マンホール内の設備を被写体として含む新たな現場写真に含まれる壁におけるクラックの発生箇所を判定するクラック判定手段と、
を更に備える、請求項5に記載の異常識別装置。
【請求項7】
前記マンホール内の設備を被写体として含む現場写真から、前記マンホールに備わるケーブルの異常を判定する、ケーブル異常判定手段を更に備える、請求項5又は請求項6に記載の異常識別装置。
【請求項8】
前記金物の錆・腐食状態、前記クラックの発生箇所、及び前記ケーブルの移動量のうち少なくとも1に基づいて、前記マンホール内の異常を識別する、請求項7に記載の異常識別装置。
【請求項9】
請求項3に記載の機械学習装置で構築した前記第3学習モデルを更に用いた異常識別装置であって、
前記マンホールの新たな前記第1現地状況データを取得する第1現地状況データ取得手段と、
前記第1現地状況データと前記第3学習モデルとに基づいて、新たな前記第1現地状況データの示す日時より前記所定期間後の前記金物の腐食レベルを予測する腐食レベル予測手段と、
を更に備える、請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の異常識別装置。
【請求項10】
請求項4に記載の機械学習装置で構築した前記第4学習モデルを更に用いた異常識別装置であって、
前記マンホールの新たな前記第2現地状況データを取得する第2現地状況データ取得手段と、第2現地状況データと前記第4学習モデルとに基づいて、新たな前記第2現地状況データの示す日時より前記所定期間後の前記マンホール内の設備を被写体として含む予測写真を生成する予測写真生成手段と、
を更に備える、請求項5から請求項9のいずれか1項に記載の異常識別装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械学習装置及び異常識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地中送電線を格納するマンホール内の点検として、主に、測定器具によるケーブル移動量の測定、目視による金具の劣化状況の確認、及び目視によるマンホール躯体内のひびや管路口の漏水の確認を実施している。
【0003】
ケーブル移動量の測定については、ケーブル曲げ半径が最大となる位置を目視で予測した後、測定器具を当てながら実際に最大となる位置を探し出すなど、測定者により測定値が異なることがある。また数ミリ単位での管理が必要となるが、測定者による誤差が大きい。
【0004】
金物の劣化状況の確認については、錆の色見本や発生した腐食性生物に基づいて判定しているが、点検者の判断により判定が異なることがある。
【0005】
マンホール躯体内のひびや管路口の漏水については、人間の目視だけでは微小なひび割れや、微量の漏水などを見逃す可能性があり、次回点検時までに異常が大きく進行していることがある。
【0006】
例えば、特許文献1は、機械学習によりコンクリート表面上のひびを特定する技術を開示している。しかし、特許文献1に係る技術においては、マンホール躯体内のひびのみならず、マンホール内に設置される金物の錆や腐食状態を自動で特定することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-038132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、マンホール内に設置される金物の錆や腐食状態を自動で特定する機械学習装置及び異常識別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備えている。
【0010】
(1) マンホール内の異常を識別するための学習モデルを構築する機械学習装置であって、前記マンホール内の設備を被写体として含む現場写真を第1入力データとして取得する第1入力データ取得手段と、前記マンホールの現場写真に含まれる金物の錆・腐食状態の判定結果を第1ラベルとして取得する第1ラベル取得手段と、前記第1入力データと前記第1ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記マンホール内の設備を被写体として含む新たな現場写真に含まれる前記金物の錆・腐食状態を判定するための第1学習モデルを構築する第1学習モデル構築手段と、を備える機械学習装置。
【0011】
(1)によれば、マンホール内に設置される金物の錆や腐食状態を自動で特定する機械学習装置を提供することが可能となる。
【0012】
(2) (1)に記載の機械学習装置において、前記マンホール内の設備を被写体として含む現場写真を第2入力データとして取得する第2入力データ取得手段と、前記マンホール内の設備を被写体として含む現場写真に含まれる壁におけるクラックの発生箇所の判定結果を第2ラベルとして取得する第2ラベル取得手段と、前記第2入力データと前記第2ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記マンホール内の設備を被写体として含む新たな現場写真に含まれる壁におけるクラックの発生箇所を判定するための第2学習モデルを構築する第2学習モデル構築手段と、を更に備えることが好ましい。
【0013】
(2)によれば、マンホール躯体内のひびや管路口の漏水を自動で特定する機械学習装置を提供することが可能となる。
【0014】
(3) (1)又は(2)に記載の機械学習装置において、前記マンホール内の水位、前記マンホール内の貯留水のpH及び硫化水素濃度、前記マンホールに設置される前記金物の取付日時、及び、前記金物の素材に係る情報を含む第1現地状況データを、第3入力データとして取得する第3入力データ取得手段と、前記第3入力データの示す日時より所定期間後の前記金物の腐食レベルを第3ラベルとして取得する第3ラベル取得手段と、前記第3入力データと前記第3ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、新たな前記第1現地状況データの示す日時より前記所定期間後の前記金物の腐食レベルを予測するための第3学習モデルを構築する第3学習モデル構築手段と、を更に備えることが好ましい。
【0015】
(3)によれば、マンホール内に設置される金物の腐食レベルを自動で予測する機械学習装置を提供することが可能となる。
【0016】
(4) (1)~(3)に記載の機械学習装置において、前記マンホール内の水位、前記マンホール内の貯留水のpH及び硫化水素濃度、前記マンホールに設置される前記金物の取付日時、前記金物の素材に係る情報、及び前記マンホール内の設備を被写体として含む現場写真を含む第2現地状況データを、第4入力データとして取得する第4入力データ取得手段と、前記第4入力データの示す日時より所定期間後の前記現場写真を第4ラベルとして取得する第4ラベル取得手段と、前記第4入力データと前記第4ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、新たな前記第2現地状況データの示す日時より前記所定期間後の前記マンホール内の設備を被写体として含む予測写真を生成するための第4学習モデルを構築する第4学習モデル構築手段と、を更に備えることが好ましい。
【0017】
(4)によれば、マンホール内の設備を被写体として含む予測写真を自動で生成する機械学習装置を提供することが可能となる。
【0018】
(5) (1)~(4)までのいずれか1に記載の機械学習装置で構築した前記第1学習モデルを用いた異常識別装置であって、前記マンホール内の設備を被写体として含む新たな現場写真を取得する現場写真取得手段と、前記現場写真と前記第1学習モデルとに基づいて、前記金物の錆・腐食状態を判定する錆・腐食状態判定手段と、を備える異常識別装置。
【0019】
(5)によれば、マンホール内に設置される金物の錆や腐食状態を自動で判定する異常識別装置を提供することが可能となる。
【0020】
(6) (5)に記載の異常識別装置において、(2)に記載の機械学習装置で構築した前記第2学習モデルを更に用いた異常識別装置であって、前記マンホール内の設備を被写体として含む新たな現場写真を取得する現場写真取得手段と、前記現場写真と前記第2学習モデルとに基づいて、前記マンホール内の設備を被写体として含む新たな現場写真に含まれる壁におけるクラックの発生箇所を判定するクラック判定手段と、を更に備えることが好ましい。
【0021】
(6)によれば、マンホール躯体内のひびや管路口の漏水を自動で判定する異常識別装置を提供することが可能となる。
【0022】
(7) (6)に記載の異常識別装置において、前記マンホール内の設備を被写体として含む現場写真から、前記マンホールに備わるケーブルの異常を判定する、ケーブル異常判定手段を更に備えることが好ましい。
【0023】
(7)によれば、マンホール躯体内のケーブルの移動量を自動で判定する異常識別装置を提供することが可能となる。
【0024】
(8) (7)に記載の異常識別装置において、前記金物の錆・腐食状態、前記クラックの発生箇所、及び前記ケーブルの移動量のうち少なくとも1に基づいて、前記マンホール内の異常を識別することが好ましい。
【0025】
(8)によれば、マンホール躯体内の異常を自動で識別する異常識別装置を提供することが可能となる。
【0026】
(9) (5)~(8)に記載の異常識別装置において、(3)に記載の機械学習装置で構築した前記第3学習モデルを更に用いた異常識別装置であって、前記マンホールの新たな前記第1現地状況データを取得する第1現地状況データ取得手段と、前記第1現地状況データと前記第3学習モデルとに基づいて、新たな前記第1現地状況データの示す日時より前記所定期間後の前記金物の腐食レベルを予測する腐食レベル予測手段と、を更に備えることが好ましい。
【0027】
(9)によれば、マンホール内に設置される金物の腐食レベルを自動で予測する異常識別装置を提供することが可能となる。
【0028】
(10) (5)~(9)のいずれか1に記載の異常識別装置において、(4)に記載の機械学習装置で構築した前記第4学習モデルを更に用いた異常識別装置であって、前記マンホールの新たな前記第2現地状況データを取得する第2現地状況データ取得手段と、第2現地状況データと前記第4学習モデルとに基づいて、新たな前記第2現地状況データの示す日時より前記所定期間後の前記マンホール内の設備を被写体として含む予測写真を生成する予測写真生成手段と、を更に備えることが好ましい。
【0029】
(10)によれば、マンホール内の設備を被写体として含む予測写真を自動で生成する異常識別装置を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、マンホール内に設置される金物の錆や腐食状態を自動で特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施形態に係る異常識別システムの全体構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る機械学習装置に備わる第1学習部の機能ブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る異常識別装置の機能ブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係る機械学習装置の動作を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係る機械学習装置の動作を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係る機械学習装置の動作を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態に係る機械学習装置の動作を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態に係る異常識別装置の動作を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態に係る異常識別装置の動作を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態に係る異常識別装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について、図1図10を参照することにより説明する。
【0033】
〔1 実施形態の構成〕
まず、本実施形態に係る異常識別システム100の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る異常識別システムを示すブロック図である。異常識別システム100は、図1に示すように、機械学習装置10及び異常識別装置20を備えている。
【0034】
ここで、機械学習装置10と異常識別装置20とは1対1の組とされて、通信可能に接続されている。なお、図1では図示しないが、機械学習装置10と異常識別装置20とはネットワークを介して、互いに接続されていてもよい。ネットワークは、例えば、LAN(Local Area Network)や、インターネット、公衆電話網、あるいは、これらの組み合わせである。ネットワークにおける具体的な通信方式や、有線接続及び無線接続のいずれであるか等については、特に限定されない。あるいは、機械学習装置10と異常識別装置20とは、ネットワークを用いた通信ではなく、接続部を介して直接接続してもよい。
【0035】
機械学習装置10は、教師あり学習により、異常識別装置20で用いる学習モデルを構築する。そのため、機械学習装置10は、図1に示すように、第1学習部11~第4学習部14を備える。
【0036】
第1学習部11は、マンホール内の設備を被写体として含む新たな現場写真に含まれる金物の錆・腐食状態を判定するための第1学習モデルを構築する。なお、この「マンホール内の設備」には、マンホールの内壁も含まれる。
【0037】
図2は、第1学習部11の機能ブロック図である。第1学習部11は、図2に示すように、第1入力データ取得部111、第1ラベル取得部112、第1学習モデル構築部113、第1学習モデル記憶部114を備える。
【0038】
第1入力データ取得部111は、マンホール内の設備を被写体として含む現場写真を第1入力データとして取得する。ここで、マンホール内の設備を被写体として含む現場写真には、マンホール内に設置される接続箱、ケーブルの線形、管路口、金物が写り込んでいることが好適である。
【0039】
第1ラベル取得部112は、マンホール内の設備を被写体として含む現場写真に含まれる金物の錆・腐食状態の判定結果を第1ラベルとして取得する。なお、この判定結果は、例えば、第1入力データとして用いるマンホール内の設備を被写体として含む現場写真を、熟練の作業員が目視することにより得られる、当該現場写真に含まれる金物の錆・腐食状態であってよい。
【0040】
ここで、金物の腐食状態には、金物の腐食の進行度合いを示す腐食レベルが含まれてよい。腐食レベルとしては、例えば以下に示すレベルA~レベルDの4段階のレベルを用いてもよい。
【0041】
レベルAは、隙間腐食が発生し、マンホールに含まれるケーブルに著しく損傷を与えているレベルである。より詳細には、1年以内に、電気設備技術基準違反、設計強度不足、営業運転ができない等の状態になるため、早急に改修する必要がある状態である。
【0042】
レベルBは、隙間腐食の発生により、ケーブルへの損傷が予想されるレベルである。より詳細には、修理の必要性があるか、詳細な調査を要すると共に、1年以内にレベルAの状態に移行すると思われる状態である。
【0043】
レベルCは、表面に孔食・腐食が発生し、次回の点検までにケーブルを損傷する可能性がある状態である。より詳細には、レベルBに比較すれば腐食による生成物が少なく、数年後にレベルAまでに移行すると思われるため、継続監視が必要な状態である。
【0044】
レベルDは、孔食・腐食が発生していないか、又は、表面に孔食・腐食が発生しているものの、次回点検までに損傷はないと思われるために、経過観察が必要な程度の状態である。
【0045】
第1学習モデル構築部113は、第1入力データと第1ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、マンホール内の設備を被写体として含む現場写真に含まれる金物の錆・腐食状態を判定するための第1学習モデルを構築し、構築した第1学習モデルを、異常識別装置20に送信する。
【0046】
第1学習モデル構築部113は、例として、サポート・ベクター・マシン(Support Vector Machine、以下SVMともいう)を用いて実現することが可能である。
【0047】
この場合、第1学習モデル構築部113は、上記の第1ラベルとして、特定の腐食レベルに該当するか否かに係る二値化されたラベルを用いると共に、上記の第1入力データを含む空間を、上記の特定の腐食レベルに該当するか否かに関して、マージンが最大となるように分離する超平面を算出する。さらに、第1学習モデル構築部113は、この超平面の係数を、後述の異常識別装置20が腐食レベル判定のために用いる学習モデルのパラメータとすることが可能である。
【0048】
第1学習モデル記憶部114は、第1学習モデル構築部113が構築した学習モデルを記憶する。
【0049】
第2学習部12は、マンホール内の設備を被写体として含む新たな現場写真に含まれる壁におけるクラックの発生箇所を判定するための第2学習モデルを構築する。
第2学習部12は、第2入力データ取得部121、第2ラベル取得部122、第2学習モデル構築部123、第2学習モデル記憶部124を備える。なお、第2学習部12の構成は、図2に示す第1学習部11の構成と同様であるからその図示を省略する。
【0050】
第2入力データ取得部121は、マンホール内の設備を被写体として含む現場写真を第2入力データとして取得する。
【0051】
第2ラベル取得部122は、マンホール内の設備を被写体として含む現場写真に含まれる壁におけるクラックの発生箇所の判定結果を第2ラベルとして取得する。なお、この判定結果は、例えば、第2入力データとして用いるマンホール内の設備を被写体として含む現場写真を、熟練の作業員が目視することにより得られる、当該現場写真に含まれるクラックの発生箇所であってよい。
【0052】
この「クラックの発生箇所」としては、単にクラックが発生している箇所のみならず、クラックからの漏水箇所を含んでもよい。
【0053】
第2学習モデル構築部123は、第2入力データと第2ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、マンホール内の設備を被写体として含む新たな現場写真に含まれる壁におけるクラックの発生箇所を判定するための第2学習モデルを構築し、構築した第2学習モデルを、異常識別装置20に送信する。
【0054】
第2学習モデル記憶部124は、第2学習モデル構築部123が構築した学習モデルを記憶する。
【0055】
第3学習部13は、新たな第1現地状況データの示す日時より所定期間後の金物の腐食レベルを予測するための第3学習モデルを構築する。
第3学習部13は、第3入力データ取得部131、第3ラベル取得部132、第3学習モデル構築部133、第3学習モデル記憶部134を備える。なお、第3学習部13の構成は、図2に示す第1学習部11の構成と同様であるからその図示を省略する。
【0056】
第3入力データ取得部131は、マンホール内の水位、マンホール内の貯留水のpH及び硫化水素濃度、マンホールに設置される金物の取付日時、及び、金物の素材に係る情報を含む第1現地状況データを、第3入力データとして取得する。
【0057】
第3ラベル取得部132は、第3入力データの示す日時より所定期間後の前記金物の腐食レベルを第3ラベルとして取得する。
【0058】
例えば、所定日時における、マンホール内の水位、マンホール内の貯留水のpH及び硫化水素濃度、マンホールに設置される金物の取付日時、金物の素材に係る情報、及び当該所定日時における金物の腐食レベルから構成される履歴データを元に、第3入力データ取得部131が、第1の日時におけるマンホール内の水位、マンホール内の貯留水のpH及び硫化水素濃度、マンホールに設置される金物の取付日時、金物の素材に係る情報を、第3入力データとして取得し、第3ラベル取得部132が、同一マンホールにおける、所定期間経過後の第2の日時における金物の腐食レベルを、第3ラベルとして取得してもよい。
【0059】
第3学習モデル構築部133は、第3入力データと第3ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、新たな第1現地状況データの示す日時より所定期間後の金物の腐食レベルを予測するための第3学習モデルを構築し、構築した第3学習モデルを、異常識別装置20に送信する。
なお、第3学習モデル構築部133は、この「所定期間」として、複数種類の「所定期間」を設定し、これら複数種類の「所定期間」に応じて、各々に対応する複数個の学習モデルを構築してもよい。
【0060】
第3学習モデル記憶部134は、第3学習モデル構築部133が構築した学習モデルを記憶する。
【0061】
第4学習部14は、新たな第2現地状況データの示す日時より所定期間後の現場写真を予測するための第4学習モデルを構築する。
第4学習部14は、第4入力データ取得部141、第4ラベル取得部142、第4学習モデル構築部143、第4学習モデル記憶部144を備える。なお、第4学習部14の構成は、図2に示す第1学習部11の構成と同様であるからその図示を省略する。
【0062】
第4入力データ取得部141は、マンホール内の水位、マンホール内の貯留水のpH及び硫化水素濃度、マンホールに設置される金物の取付日時、金物の素材に係る情報、及びマンホール内の設備を被写体として含む現場写真を含む第2現地状況データを第4入力データとして取得する。
【0063】
第4ラベル取得部142は、第4入力データの示す日時より所定期間後のマンホール内の設備を被写体として含む現場写真を第4ラベルとして取得する。
【0064】
例えば、所定日時における、マンホール内の水位、マンホール内の貯留水のpH及び硫化水素濃度、マンホールに設置される金物の取付日時、金物の素材に係る情報、及びマンホール内の設備を被写体として含む現場写真から構成される履歴データを元に、第4入力データ取得部141が、第1の日時におけるマンホール内の水位、マンホール内の貯留水のpH及び硫化水素濃度、マンホールに設置される金物の取付日時、マンホール内の設備を被写体として含む現場写真を、第4入力データとして取得し、第4ラベル取得部142が、同一マンホールにおける、所定期間経過後の第2の日時におけるマンホール内の設備を被写体として含む現場写真を、第4ラベルとして取得してもよい。
【0065】
なお、第4入力データに含まれるマンホール内の設備を被写体として含む現場写真と、第4ラベルに含まれる所定期間経過後のマンホールの現場写真とは、同一アングルで撮影されていると好適である。あるいは、所定期間経過後のマンホール内の設備を被写体として含む現場写真を、第4入力データに含まれるマンホール内の設備を被写体として含む現場写真と同一アングルの写真となるよう修正した上で、第4ラベルとしてもよい。
【0066】
第4学習モデル構築部143は、第4入力データと第4ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、新たな第2現地状況データの示す日時より所定期間後の現場写真を予測するための第4学習モデルを構築し、構築した第4学習モデルを、異常識別装置20に送信する。
なお、第4学習モデル構築部143は、この「所定期間」として、複数種類の「所定期間」を設定し、これら複数種類の「所定期間」に応じて、各々に対応する複数個の学習モデルを構築してもよい。
【0067】
第4学習モデル記憶部144は、第4学習モデル構築部143が構築した学習モデルを記憶する。
【0068】
図3は、異常識別装置20の機能ブロック図である。異常識別装置20は、制御部21と、記憶部22と、表示部23とを備える。
【0069】
制御部21は、異常識別装置20の全体を制御する部分であり、各種プログラムを、ROM、RAM、フラッシュメモリ又はハードディスク(HDD)等の記憶領域から適宜読み出して実行することにより、本実施形態における各種機能を実現している。制御部21は、CPUであってよい。制御部21は、現場写真取得部211、第1現地状況データ取得部212、第2現地状況データ取得部213、錆・腐食判定部214、クラック判定部215、ケーブル異常判定部216、異常識別部217、腐食レベル予測部218、予測写真生成部219を備える。
【0070】
現場写真取得部211は、機械学習装置10で機械学習をした際に用いた教師データに含まれるマンホール内の設備を被写体として含む現場写真とは別個に、マンホール内の設備を被写体として含む新たな現場写真を取得する。例えば、作業員が、異常識別装置20に備わるキーボードやマウス等の入力デバイスを操作することにより、異常識別装置20にマンホール内の設備を被写体として含む新たな現場写真を読み込ませた後、現場写真取得部211は、読み込ませた新たな現場写真を取得してもよい。
【0071】
第1現地状況データ取得部212は、機械学習装置10で機械学習をした際に用いた教師データに含まれる第1現地状況データとは別個に、マンホールの新たな第1現地状況データを取得する。例えば、作業員が、異常識別装置20に備わるキーボードやマウス等の入力デバイスを操作することにより、異常識別装置20にマンホールの新たな第1現地状況データを読み込ませた後、第1現地状況データ取得部212は、読み込ませた新たな第1現地状況データを取得してもよい。
【0072】
第2現地状況データ取得部213は、機械学習装置10で機械学習をした際に用いた教師データに含まれる第2現地状況データとは別個に、マンホールの新たな第2現地状況データを取得する。例えば、作業員が、異常識別装置20に備わるキーボードやマウス等の入力デバイスを操作することにより、異常識別装置20にマンホールの新たな第2現地状況データを読み込ませた後、第2現地状況データ取得部213は、読み込ませた新たな第2現地状況データを取得してもよい。
【0073】
錆・腐食判定部214は、現場写真取得部211によって取得された現場写真と第1学習モデルとに基づいて、マンホールに備わる金物の錆・腐食状態を判定する。
【0074】
クラック判定部215は、現場写真取得部211によって取得された現場写真と第2学習モデルとに基づいて、マンホールの新たな現場写真に含まれる壁におけるクラックの発生箇所を判定する。
【0075】
ケーブル異常判定部216は、現場写真取得部211によって取得されたマンホール内の設備を被写体として含む現場写真から、マンホールに備わるケーブルの異常を判定する。
【0076】
例えば、ケーブルの種類に基づいて、ケーブルの許容曲げ半径を判定し、現場写真取得部211によって取得される現場写真が3D写真の場合、当該3D写真を用いて算出される測量データとケーブルの許容曲げ半径との差分を求め、差分が規定値内であればケーブルは正常、規定値を超えれば異常と判定とする。
【0077】
ケーブル異常判定部216は、現時点、とりわけ後述の異常識別部217による異常判定時における現場写真からケーブルの異常を判定することが好適である。
【0078】
異常識別部217は、錆・腐食判定部214によって判定された金物の錆・腐食状態、クラック判定部215によって判定されたクラックの発生箇所、及び、ケーブル異常判定部216によって判定されたケーブルに係る異常判定に基づいて、マンホール内の異常を識別する。
とりわけ、金物の錆・腐食状態に関しては、錆の発生箇所や腐食箇所がケーブルに接触しており、ケーブルへの損傷が予想される箇所がある場合、異常識別部217は、当該錆の発生箇所や腐食箇所をマンホール内の異常として識別する。
【0079】
腐食レベル予測部218は、第1現地状況データ取得部212によって取得された第1現地状況データと、第3学習モデルに基づいて、第1現地状況データの示す日時より所定期間後の金物の腐食レベルを予測する。この「所定期間」とは、第3学習モデル生成時に用いた教師データにおける、第3入力データの示す日時と、第3ラベルの示す日時とのタイムラグに一致する。
【0080】
予測写真生成部219は、第2現地状況データ取得部213によって取得された第2現地状況データと、第4学習モデルに基づいて、第2現地状況データの示す日時より所定期間後のマンホール内の設備を被写体として含む予測写真を生成する。この「所定期間」とは、第4学習モデル生成時に用いた教師データにおける、第4入力データの示す日時と、第4ラベルの示す日時とのタイムラグに一致する。
【0081】
記憶部22は、機械学習装置10から取得した第1学習モデル~第4学習モデルを記憶する。また、記憶部22は、現場写真取得部211によって取得されたマンホール内の設備を被写体として含む現場写真、第1現地状況データ取得部212によって取得された第1現地状況データ、第2現地状況データ取得部213によって取得された第2現地状況データ、錆・腐食判定部214、クラック判定部215、ケーブル異常判定部216による判定結果、異常識別部217による識別結果、腐食レベル予測部218による予測結果、予測写真生成部219によって生成される予測写真を記憶してもよい。
【0082】
表示部23は、錆・腐食判定部214、クラック判定部215、ケーブル異常判定部216による判定結果、異常識別部217による識別結果、腐食レベル予測部218による予測結果、予測写真生成部219によって生成される予測写真を表示するモニタである。
【0083】
〔2 実施形態の動作〕
次に、本実施形態に係る異常識別システム100の動作について説明する。まず、図4図7を参照し、機械学習装置10の動作について説明する。
【0084】
〔2.1 機械学習装置10の動作〕
図4は、第1学習部11の動作を示すフローチャートである。
ステップS11において、第1入力データ取得部111が、マンホール内の設備を被写体として含む現場写真を第1入力データとして取得する。
【0085】
ステップS12において、第1ラベル取得部112が、マンホール内の設備を被写体として含む現場写真に含まれる金物の錆・腐食状態の判定結果を第1ラベルとして取得する。
【0086】
ステップS13において、第1学習モデル構築部113は、第1入力データと第1ラベルとの組を教師データとする。
【0087】
ステップS14において、第1学習モデル構築部113は、ステップS13の教師データを用いて教師あり学習を行う。
【0088】
ステップS15において、機械学習が終了した場合(S15:YES)には、処理はステップS16に移行する。機械学習がまだ終了していない場合(S15:NO)には、処理はステップS11に移行する。
【0089】
ステップS16において、第1学習モデル構築部113は、構築した第1学習モデルを異常識別装置20に送信する。その後、全ての処理を終了する。
【0090】
図5は、第2学習部12の動作を示すフローチャートである。
ステップS21において、第2入力データ取得部121が、マンホール内の設備を被写体として含む現場写真を第2入力データとして取得する。
【0091】
ステップS22において、第2ラベル取得部122が、マンホール内の設備を被写体として含む現場写真に含まれる壁におけるクラックの発生箇所の判定結果を第2ラベルとして取得する。
【0092】
ステップS23において、第2学習モデル構築部123は、第2入力データと第2ラベルとの組を教師データとする。
【0093】
ステップS24において、第2学習モデル構築部123は、ステップS23の教師データを用いて教師あり学習を行う。
【0094】
ステップS25において、機械学習が終了した場合(S25:YES)には、処理はステップS26に移行する。機械学習がまだ終了していない場合(S25:NO)には、処理はステップS21に移行する。
【0095】
ステップS26において、第2学習モデル構築部123は、構築した第2学習モデルを異常識別装置20に送信する。その後、全ての処理を終了する。
【0096】
図6は、第3学習部13の動作を示すフローチャートである。
ステップS31において、第3入力データ取得部131が、マンホールの第1現地状況データとして、マンホール内の水位、マンホール内の貯留水のpH及び硫化水素濃度、マンホールに設置される金物の取付日時、及び、金物の素材に係る情報を第3入力データとして取得する。
【0097】
ステップS32において、第3ラベル取得部132が、第3入力データの示す日時より所定期間後の金物の腐食レベルを第3ラベルとして取得する。
【0098】
ステップS33において、第3学習モデル構築部133は、第3入力データと第3ラベルとの組を教師データとする。
【0099】
ステップS34において、第3学習モデル構築部133は、ステップS33の教師データを用いて教師あり学習を行う。
【0100】
ステップS35において、機械学習が終了した場合(S35:YES)には、処理はステップS36に移行する。機械学習がまだ終了していない場合(S35:NO)には、処理はステップS31に移行する。
【0101】
ステップS36において、第3学習モデル構築部133は、構築した第3学習モデルを異常識別装置20に送信する。その後、全ての処理を終了する。
【0102】
図7は、第4学習部14の動作を示すフローチャートである。
ステップS41において、第4入力データ取得部141が、マンホール内の水位、マンホール内の貯留水のpH及び硫化水素濃度、マンホールに設置される金物の取付日時、及び、金物の素材に係る情報、及びマンホール内の設備を被写体として含む現場写真を含む第2現地状況データを第4入力データとして取得する。
【0103】
ステップS42において、第4ラベル取得部142が、第4入力データの示す日時より所定期間後の所定期間後のマンホール内の設備を被写体として含む現場写真を第4ラベルとして取得する。
【0104】
ステップS43において、第4学習モデル構築部143は、第4入力データと第4ラベルとの組を教師データとする。
【0105】
ステップS44において、第4学習モデル構築部143は、ステップS43の教師データを用いて教師あり学習を行う。
【0106】
ステップS45において、機械学習が終了した場合(S45:YES)には、処理はステップS46に移行する。機械学習がまだ終了していない場合(S45:NO)には、処理はステップS41に移行する。
【0107】
ステップS46において、第4学習モデル構築部143は、構築した第4学習モデルを異常識別装置20に送信する。その後、全ての処理を終了する。
【0108】
〔2.2 異常識別装置20の動作〕
次に、図8図10を参照し、異常識別装置20の動作について説明する。
【0109】
まず、図8を参照することにより、異常識別装置20による異常識別方法について説明する。
【0110】
ステップS51において、現場写真取得部211が新たな現場写真を取得する。
【0111】
ステップS52において、錆・腐食判定部214は、現場写真取得部211によって取得された現場写真と第1学習モデルとに基づいて、マンホールに備わる金物の錆・腐食状態を判定する。
【0112】
ステップS53において、クラック判定部215は、現場写真取得部211によって取得された現場写真と第2学習モデルとに基づいて、マンホール内の設備を被写体として含む新たな現場写真に含まれる壁におけるクラックの発生箇所を判定する。
【0113】
ステップS54において、ケーブル異常判定部216は、現時点における現場写真からケーブルの異常を判定する。
【0114】
ステップS55において、異常識別部217は、錆・腐食判定部214によって判定された金物の錆・腐食状態、クラック判定部215によって判定されたクラックの発生箇所、及び、ケーブル異常判定部216によって判定されたケーブルの異常に基づいて、マンホール内の異常を識別する。その後、全ての処理を終了する。
【0115】
次に、図9を参照することにより、異常識別装置20による腐食レベル予測方法について説明する。
【0116】
ステップS61において、第1現地状況データ取得部212は、機械学習装置10で機械学習をした際に用いた教師データに含まれる第1現地状況データとは別個に、マンホールの新たな第1現地状況データを取得する。
【0117】
ステップS62において、腐食レベル予測部218は、第1現地状況データ取得部212によって取得された第1現地状況データと、第3学習モデルに基づいて、第1現地状況データの示す日時より所定期間後の金物の腐食レベルを予測する。その後、全ての処理を終了する。
【0118】
次に、図10を参照することにより、異常識別装置20による予測写真生成方法について説明する。
【0119】
ステップS71において、第2現地状況データ取得部213は、機械学習装置10で機械学習をした際に用いた教師データに含まれる第2現地状況データとは別個に、マンホールの新たな第2現地状況データを取得する。
【0120】
ステップS72において、予測写真生成部219は、第2現地状況データ取得部213によって取得された第2現地状況データと、第4学習モデルに基づいて、第2現地状況データの示す日時より所定期間後の前記マンホール内の設備を被写体として含む予測写真を生成する。その後、全ての処理を終了する。
【0121】
〔3 変形例〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0122】
〔3.1 変形例1〕
上記の実施形態において、機械学習装置10と異常識別装置20とを別体として示したがが、これには限定されない。例えば、機械学習装置10が異常識別装置20の筐体に組み込まれることにより、異常識別システム100が一体化されて実現される態様としてもよい。
【0123】
〔3.2 変形例2〕
また、上記の実施形態において、第1学習部11の第1入力データ取得部111は、マンホール内の設備を被写体として含む現場写真を第1入力データとして取得し、第2学習部12の第2入力データ取得部121は、マンホール内の設備を被写体として含む現場写真を第2入力データとして取得するとしたが、これには限定されない。例えば、第1入力データ取得部111及び第2入力データ取得部121は、マンホール内の設備を被写体として含む現場写真に加えて、マンホール内データ(マンホールの寸法、接続箱の壁面からの距離、管路口の位置)、接続箱及び金物の寸法のうちいずれか1以上を、第1入力データ又は第2入力データとして取得してもよい。
【0124】
異常識別システム100による異常識別方法は、ソフトウェアにより実現される。ソフトウェアによって実現される場合には、このソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。また、これらのプログラムは、リムーバブルメディアに記録されてユーザに配布されてもよいし、ネットワークを介してユーザのコンピュータにダウンロードされることにより配布されてもよい。
【符号の説明】
【0125】
10 機械学習装置
11 第1学習部
12 第2学習部
13 第3学習部
14 第4学習部
20 異常識別装置
21 制御部
22 記憶部
23 表示部
111 第1入力データ取得部
112 第1ラベル取得部
113 第1学習モデル構築部
114 第1学習モデル記憶部
121 第2入力データ取得部
122 第2ラベル取得部
123 第2学習モデル構築部
124 第2学習モデル記憶部
131 第3入力データ取得部
132 第3ラベル取得部
133 第3学習モデル構築部
134 第3学習モデル記憶部
141 第4入力データ取得部
142 第4ラベル取得部
143 第4学習モデル構築部
144 第4学習モデル記憶部
211 現場写真取得部
212 第1現地状況データ取得部
213 第2現地状況データ取得部
214 錆・腐食判定部
215 クラック判定部
216 ケーブル異常判定部
217 異常識別部
218 腐食レベル予測部
219 予測写真生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10