(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109079
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】配線基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20220720BHJP
H05K 3/18 20060101ALI20220720BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20220720BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H05K1/02 N
H05K3/18 A
H05K3/18 B
H05K3/18 Z
H05K3/46 B
H01L23/12 N
H01L23/12 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004418
(22)【出願日】2021-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】今吉 孝二
【テーマコード(参考)】
5E316
5E338
5E343
【Fターム(参考)】
5E316AA32
5E316AA43
5E316BB02
5E316BB04
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC31
5E316CC32
5E316CC37
5E316CC38
5E316DD03
5E316DD24
5E316DD33
5E316EE33
5E316FF14
5E316GG17
5E316HH11
5E338AA03
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5E338CC06
5E338CC09
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5E338CD24
5E338CD25
5E338EE21
5E343AA16
5E343AA17
5E343AA18
5E343BB02
5E343BB23
5E343BB24
5E343BB27
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5E343BB44
5E343BB48
5E343DD23
5E343DD25
5E343DD43
5E343ER02
5E343ER49
5E343GG02
(57)【要約】
【課題】支持基板の上に微細な再配線層を形成し半導体素子を搭載する方式において、加熱時の基板の反りや、再配線層内部の応力に対して配線部の接続信頼性の高い配線基板及び配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体素子と、半導体素子に接合された半導体素子より太い配線パターンが形成された第2配線基板とを備え、第2配線基板の半導体素子の実装面の対向面に第1配線基板が接合される配線基板において、第2配線基板の導電材料からなる配線部の一辺1.5mm以上の大面積パターン部に対し、1.5mm以下の間隔で、感光性樹脂製の複数の島3Aからなるダミーパターンを配置し、配線部と感光性樹脂層とからなる各再配線層の研磨による表面うねりを抑え、平坦な再配線層を形成する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子に接合された第2配線基板と、
上記第2配線基板における、上記半導体素子との実装面とは反対側の対向面に実装される第1配線基板とを備える配線基板において、
第1配線基板、第2配線基板、半導体素子のそれぞれを構成する配線の幅が、最も細い位置での比較において、その順に細くなり、
上記第2配線基板は、2以上の再配線層が積層されて多層配線を構成し、
上記各配線層は、感光性樹脂からなる感光性樹脂層を備え、上記感光性樹脂層に開口した開口部が樹脂トレンチ部を形成し、
上記樹脂トレンチ部の一部として、導電材料が充填される、配線パターン部と、上記配線パターン部を取り囲む様に配置された感光性樹脂ベタパターン部と、更に感光性樹脂ベタパターン部を囲む様に配置された最狭部の幅が1.5mm以上の大面積パターンからなるグランドパターンとを有し、
上記樹脂トレンチ部の底面には、シード密着層とシード層とがこの順に形成されると共に、上記樹脂トレンチ部の内部に導電性材料が充填されて形成された導体層からなる配線部を有し、
上記配線部となる導体層を2層以上積層して上記多層配線が構成され、
上記配線部と感光性樹脂層とからなる各再配線層には、上記グランドパターン内に、1.5mm以下の間隔で感光性樹脂からなる複数の島状感光性樹脂パターンが配置されてなるダミーパターンを有する、
ことを特徴とする配線基板。
【請求項2】
上記感光性樹脂ベタパターン部が、最狭部の幅が1.5mm以上の大面積パターンからなる場合、上記感光性樹脂ベタパターン部内に1.5mm以下の間隔で導電性材料からなる複数の島状導体パターンを配置されてなるダミーパターンを有することを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
隣り合う再配線層の層間を接続する接続ビア部は、上記第1配線基板ないし上記第2配線基板が実装される側の一方面、及び側面に対し、シード密着層があることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
上記導電性材料は銅を含むことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項5】
上記第2配線基板の上記シード層は銅を含む層であることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項6】
上記第2配線基板の上記シード密着層はチタンを含む層であることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項7】
半導体素子に接合された第2配線基板を備える配線基板であって、上記第2配線基板は、2以上の再配線層が積層されて多層配線を構成し、上記各配線層は、感光性樹脂からなる感光性樹脂層を備え、上記感光性樹脂層に開口した開口部が樹脂トレンチ部を形成し、
上記樹脂トレンチ部の一部は、導電材料が充填される配線パターン部を形成し、上記樹脂トレンチ部の底面には、シード密着層とシード層とがこの順に形成されると共に、上記樹脂トレンチ部の内部に導電性材料が充填されて導体層からなる配線部が形成される、配線基板の製造方法であって、
上記再配線層の形成方法が、
上記感光性樹脂層に樹脂トレンチ部を形成する工程と、
上記樹脂トレンチ部と感光性樹脂層上にシード密着層とシード層を設ける工程と、
上記シード層上に導電性材料をベタ膜で積層形成する工程と、
上記ベタ膜で形成した導電性材料を、基板の積層表面より研磨する第1の研磨で、樹脂トレンチ部内の導電性材料を残し、感光性樹脂層表面に積層形成された不要な導電性材料を研磨除去する工程と、
上記第1の研磨にて露出した基板表面の、シード密着層とシード層と導電性材料からなる導体層及び感光性樹脂層の表面を、第2の研磨で除去し、樹脂トレンチ部内を導電性材料で充填した構造からなる再配線層を形成する工程と、
を備え、
上記再配線層を形成する工程を、必要層数分繰り返して、再配線層を2層積層形成することを特徴とする配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高速、高集積化が進む中で、FC-BGA(Flip Chip Bal-l Grid Array)用配線基板に、半導体素子との接続端子の狭ピッチ化、及び基板配線の微細化が求められている。一方、FC-BGA用配線基板とマザーボードとの接続は、従来とほぼ変わらないピッチの接続端子での接続が要求されている。
【0003】
このFC-BGA用配線基板における半導体素子との接続端子の狭ピッチ化や基板配線の微細化のため、シリコン基板上に配線を形成して半導体素子接続用の基板(シリコンインターポーザ)として、それぞれFC-BGA用基板に接続する方式が知られている。また、FC-BGA用配線基板の表面をCMP(Chemical Mechanical
Polishing:化学機械研磨)等で平坦化してから微細配線を形成する方式が、特許文献1に開示されている。また、支持基板の上に微細な配線層を形成しFC-BGA用配線基板に搭載した後、支持基板を剥離することで狭ピッチな配線基板を形成する方式が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-225671号公報
【特許文献2】国際公開第2018/047861号
【特許文献3】特許第6247032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シリコンインターポーザは、シリコンウェハを利用して、半導体前工程の設備を用いて製作されている。シリコンウェハは、形状及びサイズに制限がある。このため、1枚のウェハから製作できるインターポーザの数が少なく、設備費も高価であるため、インターポーザも高価となる。
また、シリコンウェハが半導体であることから、伝送特性も劣化するという問題がある。
また、FC-BGA用配線基板の平坦化を行い、その上に微細配線を形成する方式においては、シリコンインターポーザに見られる伝送特性劣化は小さいが、FC-BGA用配線基板の製造不良と難易度の高い微細配線形成時の不良との通算で、同一基板面内収率が低下する問題や、FC-BGA用配線基板の反り・歪みに起因した半導体素子の実装における問題がある。
【0006】
一方、支持基板の上に微細な配線を形成し、これに半導体素子を実装した後に、支持基板を剥離して、半導体素子を上記の微細な配線を介してFC-BGA用配線基板に搭載すると、次のような問題があった。
例えば、微細な配線パターンをセミアディティブ法で形成し、微細な配線を感光性絶縁樹脂層で被覆し、その上に積層形成する配線パターンとの接続部となるビア部を開口して、必要層数、積層する工法がある。
【0007】
この場合、配線パターンの有無や粗密によって、配線パターンの無い部分の絶縁樹脂層の高さが低くなり、被覆した絶縁樹脂層の表面にウネリを生じる。これによって、積層形成する配線パターンの寸法のバラつきが生じるといった問題や、半導体素子との実装の際、接続端子間の高さバラツキによって発生する電気的な接続不良の原因となるといった問題があった。
なお、この問題は、支持基板の上に微細な配線を形成し、これをFC-BGA用配線基板に実装し、半導体素子に搭載する工程でも同じである。
【0008】
また、微細な配線パターンを、感光性絶縁樹脂層に対しトレンチパターンを形成して導電性材料で充填しCMPを使用したダマシン工法で作製する場合もある。この場合、配線パターンや接続ビア部やランド部などからなる配線部、グランドパターン部やダミーパターン部や、及び配線基板を作製するのに使用するアライメントマークや補助パターンなどからなるアクセサリパターン部を、CMPによって形成すると、最狭幅が1.5mm以上の導電材料ないし感光性樹脂からなる単一材料からなる大面積パターン部では、過剰に研磨され、断面形状が凹形状に仕上がるおそれがある。そして、この凹形状の深さは、配線部の直線寸法が長いほど深くなる傾向があり、配線部の直線寸法にもよるが、凹形状の深さがコンマ数μmから数μmまでに変動する。
【0009】
このためCMPを使用して配線部を形成した基板の表面は、感光性絶縁樹脂層の表面に対し、コンマ数μmから数μm凹んだウネリを生じたものになり、この再配線層(配線部)の上に次ぎの再配線層を積層形成する際、感光性絶縁樹脂層が下層のウネリに添って塗工され、トレンチパターンにもウネリを生じる。
上に積層形成したトレンチパターンを導体層で被覆し、被覆した導体層をCMPにて研磨して、配線部やアクセサリパターン部を形成する際、下層のウネリの深い部分で、感光性絶縁樹脂層のトレンチパターンの表面まで研磨が入らず、パターンが形成できないおそれがあるという問題があった。
また、各層のウネリの上に形成した接続端子部も高さにバラツキを生じ、半導体素子との実装の際、接続端子間の高さバラツキによる電気的な接続不良の原因となるおそれがあった。
【0010】
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたものであり、配線部の接続信頼性の高い配線基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決する手段として、本発明の請求項1に記載の発明は、半導体素子に接合された第2配線基板と、上記第2配線基板における、上記半導体素子との実装面とは反対側の対向面に実装される第1配線基板とを備える配線基板において、第1配線基板、第2配線基板、半導体素子のそれぞれを構成する配線の幅が、最も細いものの比較において、その順に細くなり、上記第2配線基板は、2以上の再配線層が積層されて多層配線を構成し、上記各配線層は、感光性樹脂からなる感光性樹脂層を備え、上記感光性樹脂層に開口した開口部が樹脂トレンチ部を形成し、上記樹脂トレンチ部の一部として、導電材料が充填される、配線パターン部と、上記配線パターンを取り囲む様に配置された感光性樹脂ベタパターン部と、更に感光性樹脂ベタパターン部を囲む様に配置された最狭部の幅が1.5mm以上の大面積パターンからなるグランドパターンとを有し、上記樹脂トレンチ部の底面には、シード密着層とシード層とがこの順に形成されると共に、上記樹脂トレンチ部の内部に導電性材料が充填されて形成された導体層からなる配線部を有し、上記配線部となる導体層を2層以上積層して上記多層配線が構成され、上記配線部と感光性樹脂層とからなる各再配線層には、上記グランドパターン内に、1.5mm以下の間隔で感光性樹脂からなる複数の島状感光性樹脂パターンが配置されてなるダミーパターンを有する。
【0012】
上記感光性樹脂ベタパターン部が、最狭部の幅が1.5mm以上の大面積パターンからなる場合、上記樹脂ベタパターン部内に1.5mm以下の間隔で導電性材料からなる複数の島状導電性パターンが配置されてなるダミーパターンを有する。
【0013】
また、本発明の態様は、半導体素子に接合された第2配線基板を備える配線基板であって、上記第2配線基板は、2以上の再配線層が積層されて多層配線を構成し、上記各配線層は、感光性樹脂からなる感光性樹脂層を備え、上記感光性樹脂層に開口した開口部が樹脂トレンチ部を形成し、上記樹脂トレンチ部の一部は、導電材料が充填される配線パターン部を形成し、上記樹脂トレンチ部の底面には、シード密着層とシード層とがこの順に形成されると共に、上記樹脂トレンチ部の内部に導電性材料が充填されて導体層からなる配線部が形成される、配線基板の製造方法であって、上記再配線層の形成方法が、上記感光性樹脂層に樹脂トレンチ部を形成する工程と、上記樹脂トレンチ部と感光性樹脂層上にシード密着層とシード層を設ける工程と、上記シード層上に導電性材料をベタ膜で積層形成する工程と、上記ベタ膜で形成した導電性材料を、基板の積層表面より研磨する第1の研磨で、樹脂トレンチ部内の導電性材料を残し、感光性樹脂層表面に積層形成された不要な導電性材料を研磨除去する工程と、上記第1の研磨にて露出した基板表面の、シード密着層とシード層と導電性材料からなる導体層及び感光性樹脂層の表面を、第2の研磨で除去し、樹脂トレンチ部内を導電性材料で充填した構造からなる再配線層を形成する工程と、を備え、上記再配線層を形成する工程を、必要層数分繰り返して、再配線層を2層積層形成する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の態様によれば、微細な配線層を形成し半導体素子を実装する第2配線基板において、配線層間のビア接続部の電気的接続信頼性と配線間の絶縁信頼性を向上できる。このため、本発明の態様によれば、断線やショートが無く、配線基板の信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】支持基板上に剥離層を形成した状態を示す断面図である。
【
図2A】感光性樹脂層を形成した状態を示す断面図である。
【
図2B】シード密着層を形成した状態を示す断面図である。
【
図2C】シード層を形成した状態を示す断面図である。
【
図2D】導体層を形成した状態を示す断面図である。
【
図2E】表面研磨により導体層とシード層を研磨した状態を示す断面図である。
【
図2F】表面研磨により導体層とシード密着層、及び感光性樹脂層を研磨し第1配線基板との接合用の接続端子を形成した状態を示す断面図である。
【
図3A】接続ビア部の感光性樹脂層を形成した状態を示す断面図である。
【
図3B】接続ビア部と配線部の感光性樹脂層を形成した状態を示す断面図である。
【
図3C】シード密着層を形成した状態を示す断面図である。
【
図3D】シード層を形成した状態を示す断面図である。
【
図3E】導体層を形成した状態を示す断面図である。
【
図3F】表面研磨により接続ビア部及び配線部を形成した状態を示す断面図である。
【
図5A】感光性樹脂層を形成した状態を示す断面図である。
【
図5B】シード密着層を形成した状態を示す断面図である。
【
図5C】シード層を形成した状態を示す断面図である。
【
図5D】レジストパターンを形成した状態を示す断面図である。
【
図5E】導体層を形成した状態を示す断面図である。
【
図5F】レジストパターンを除去した状態を示す断面図である。
【
図5G】不用なシード密着層及びシード層をエッチング除去した状態を示す断面図である。
【
図5H】導電材料パターンないし感光性絶縁樹脂パターンからなる大面積パターン部に配置する島状のダミーパターンを示す図である。
【
図5I】表面処理、はんだ接合部を形成し、支持基板上の配線基板が完成した状態を示す断面図である。
【
図6A】第2配線基板に半導体素子を接合した状態を示す断面図である。
【
図6B】第2配線基板と半導体素子との間をアンダーフィルで充填した状態を示す断面図である。
【
図6C】第2配線基板上の半導体素子を封止樹脂でモールドした状態を示す断面図である。
【
図6D】剥離層にレーザ光を照射する状態を示す断面図である。
【
図6E】支持基板を除去した状態を示す断面図である。
【
図6F】半導体素子を実装した状態を示す断面図である。
【
図7】半導体素子と第2配線基板と第1配線基板とを、接合した状態を示す断面図である。
【
図8】1ピースのイメージ図と、そのイメージ図のうちのa-b部の拡大図を下段に示す。配線部は数μmのパターンの集合体であり、1ピース図では塗りつぶしで表記した。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
以下、
図1~
図8を用いて、本発明の一実施形態に係る支持基板を用いた配線基板の製造工程の一例を説明する。
まず、
図1に示すように、支持基板1の一方の面に、剥離層2を形成する。剥離層2は、後の工程で支持基板1を剥離するために形成される。
剥離層2は、例えば、UVなどの光を吸収して発熱、もしくは、変質によって剥離可能となる樹脂でもよく、熱によって発泡することにより剥離可能となる樹脂でもよい。剥離層2として、UV光などの光、例えばレーザ光によって剥離可能となる樹脂を用いる場合、剥離層2を設けた側とは反対側の面から支持基板1に光を照射して、支持基板上の配線基板11と半導体素子15との接合体から支持基板1を取り去ることができる。
【0018】
剥離層2の材料としては、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、マレイミド樹脂、及びアクリル樹脂などの有機樹脂や、アモルファスシリコン、ガリウムナイトライド、金属酸化物膜などの無機層から選ぶことができる。さらに剥離層2は、光分解促進剤や光吸収剤、増感剤、フィラー等の添加材を含有してもよい。さらに剥離層2は、複数層で構成されていてもよく、例えば支持基板1上に形成される多層再配線層(第2配線基板)の保護を目的として、剥離層2上にさらに保護層を設けることや、支持基板1との密着性を向上させる層を剥離層2の下層に設けてもよい。
さらに剥離層2と多層再配線層との間にレーザ反射層や金属層を設けてもよく、その構成は本実施形態により限定されない。
【0019】
支持基板1は、支持基板1を通じて剥離層2に光を照射させる場合もあるため、透明性を有することが好ましく、支持基板1として、例えばガラスを用いることができる。ガラス基板は、平坦性に優れており、また剛性が高いため、支持基板1上の配線基板11の微細なパターン形成に向いている。また、ガラスは、CTE(Coefficient of thermal expansion:熱膨張率)が小さく歪み難いことから、パターン配置精度及び平坦性の確保に優れている。支持基板1としてガラスを用いる場合、ガラスの厚さは、製造プロセスにおける反りの発生を抑制する観点から厚い方が望ましく、その厚みは、例えば0.7mm以上、好ましくは1.1mm以上の厚みである。また、ガラスのCTEは3ppm以上15ppm以下が好ましく、半導体素子15、FC-GBA用配線基板12のCTEの観点から、ガラスのCTEは9ppm程度がより好ましい。
【0020】
ガラスとしては、例えば石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、ソーダガラス、又はサファイヤガラス等が例示できる。一方、剥離層2に熱によって発泡する樹脂を用いる等、支持基板1を剥離する際に支持基板1に光の透過性が必要でない場合、支持基板1には、歪みの少ない材料、例えば、メタルやセラミックスなどからなる基板を用いることができる。
本発明の1実施形態では、剥離層2としてUV光を吸収して剥離可能となる樹脂を用い、支持基板1にはガラスを用いる。
【0021】
次に、
図2Aに示すように、剥離層2の上に感光性樹脂層3を形成する。
本実施形態では、感光性樹脂層3を、例えば、感光性のエポキシ樹脂をスピンコート法によって形成する。感光性のエポキシ樹脂は、比較的低温で硬化することができ、形成後の硬化よる収縮が少ないため、その後の微細パターン形成に優れる。感光性樹脂層3の形成方法は、その形成に液状の感光性樹脂を用いる場合、スリットコート、カーテンコート、ダイコート、スプレーコート、静電塗布法、インクジェットコート、グラビアコート、スクリーン印刷、グラビアオフセット印刷、スピンコート、ドクターコートから選定できる。感光性樹脂層3の形成方法は、フィルム状の感光性樹脂を用いる場合、ラミネート、真空ラミネート、真空プレスなどが適用できる。
感光性樹脂層3は、例えば感光性ポリイミド樹脂、感光性ベンゾシクロブテン樹脂、感光性エポキシ樹脂及びその変性物を絶縁樹脂として用いることも可能である。
【0022】
次いで、フォトリソグラフィーにより、感光性樹脂層3に開口部からなる樹脂トレンチ部21を設ける(
図2A参照)。樹脂トレンチ部21を構成する開口部は、導電材料が充填されて、配線パターンやランドや接続ビアからなる配線部や、グランドパターン部やダミーパターン部や、配線基板を作製するのに使用するアライメントマークや補助パターンからなるアクセサリパターン部となる部分である。
ランド部は、φ100μm以下の開口部に形成される。アライメントマークは、直線寸法が数百μmから2mm程度の十字形や、円形のパターン、及びその集合体の開口部として形成される。
【0023】
配線パターンの最小線幅は製品の形態により選択すればよく、1例として、配線幅14nmからなる半導体素子を、配線幅2μmでバンプピッチ50μmからなる第2配線基板と電気的に接続し、更に配線幅10μmでバンプピッチ160μmからなる第1配線基板と電気的に接続することで、半導体装置として使用が容易となる。
第2配線基板において、配線幅3μm以下ではこれまで配線形成に使用されてきたセミアディティブ工法では難しくなり、CMPを使用したダマシン工法が有効になる。
グランドパターンは、感光性樹脂ベタパターンを介し配線パターンを取り囲むように、不定形で最狭部の幅が1.5mm以上の大面積の開口部からなる。
【0024】
本発明の一実施形態では、
図8に示すように、配線部とアクセサリパターン27とグランドパターン30Aと感光性樹脂ベタパターン30Bとダミーパターン28を配置した配線基板を形成するものである。
図5Hに示すように、感光性樹脂層3で囲まれた大面積の開口で導電材料にて形成したグランドパターン30Aが形成されている。そのグランドパターン30Aの開口部に、複数の感光性樹脂層3からなるダミーパターン28を配置した。なお、グランドパターンの開口部には導電材料が充填される。また、
図5Hには、配線パターンが省略されている。グランドパターン21Aの外形輪郭は
図5H記載の如く配線パターン部を囲むよう配置し不定形である。
また、導電材料部と感光性樹脂部の位置関係を逆転し、導電材料で囲まれた感光性樹脂ベタパターン30Bに導電材料からなるダミーパターン28を配置することも可能である。
【0025】
図5Hに示すダミーパターン21は、所定の配列パターンで配置されて構成される。隣り合うダミーパターン28及びグランドパターン30Aの外周輪郭部までの間隔が1.5mm以下となるように設定する。ダミーパターン28の単位面積辺りの配置する個数は、1辺3mmの正方形の中に1個以上配置する為、0.11(=1/9) 個/mm2□以上の密度で配置すれば良い。
ダミーパターン28の寸法や形状は特に規定しないが50μm以上500μm以下の寸法でパターン形状も丸、八角形、楕円形、正方形などが可能である。ダミーパターン28の配置間隔は1.5mm以下、望ましくは1mm以下が良く、下限は500μm以上で配置すればよい。
【0026】
ダミーパターンを構成する島3Aの配置間隔が1.5mmより広いと、研磨にて感光性樹脂層3の上に析出した導体層6を研磨除去する際、配置したダミーパターン間の導電性材料の凹み量が0.1μmより大きくなるため、再配線層に-0.1μmより大きいウネリを生じ、次の再配線層を積層形成する際の障害となる。
こうして形成したダミーパターン28の上端面は、他の感光性樹脂層3と面一の高さとなっている。
樹脂トレンチ部21に対して、現像時の樹脂残渣の除去を目的として、プラズマ処理を行ってもよい。感光性樹脂層3の厚みは、開口部に形成する導体層の厚みに応じて設定され、本発明の1実施形態では例えば厚み8μmで形成する。
【0027】
また、発明の1実施形態では、剥離層2の上に形成する再配線層が半導体素子15の実装面になり、積層して形成した剥離層2と対向する面が第1配線基板12の実装面になる構造において、アライメントマークなどのアクセサリパターン27やグランドパターン30Aや感光性樹脂ベタパターン30Bに対し、1mm間隔でφ200μmのダミーパターン28を配置する。
剥離層2の上に形成する再配線層が、第1配線基板12の実装面になり、積層して形成した剥離層2と対向する面が半導体素子15の実装面になる構造も、本発明で得られる支持基板1上の配線基板11の構造は同一であり、本請求の範囲に含まれる。
【0028】
次いで、
図2B、
図2Cに示すように、真空中で、シード密着層4、及び、シード層5をこの順に形成する。
シード密着層4は、感光性樹脂層3へのシード層5の密着性を向上させる層であり、シード層5の剥離を防止する層である。シード層5は、配線部形状において、電解めっきの給電層として作用する。
シード密着層4及びシード層5は、例えば、スパッタ法、又は蒸着法などにより形成され、その材料としては、例えば、Cu、Ni、Al、Ti、Cr、Mo、W、Ta、Au、Ir、Ru、Pd、Pt、AlSi、AlSiCu、AiCu、NIFe、ITO、IZO、AZO、ZnO、PZT、TiN、Cu
3N
4、Cu合金や、これらを複数組み合わせたものを適用することができる。本実施形態では、電気特性、製造の容易性の観点及びコスト面を考慮して、シード密着層4としてチタン層を、続いてシード層5として銅層を順次スパッタリング法で形成する。チタン層と銅層の合計の膜厚は、電解めっきの給電層として1μm以下とするのが好ましい。本発明の一実施形態では、Ti:50nm、Cu:300nmを形成する。
【0029】
次に
図2Dに示すように、電解めっきにより導体層6を形成する。
導体層6は、FC-BGA基板12との接合用の電極となる。電解めっきとしては、電解ニッケルめっき、電解銅めっき、電解クロムめっき、電解Pdめっき、電解金めっき電解イリジウムめっき等が挙げられる。電解銅めっきであることが、簡便で安価で、電気導電性が良好であることから望ましい。
電解銅めっきの厚みは、第1配線基板12と接合用の電極となり、はんだ接合の観点から1μm以上、且つ生産性の観点から30μm以下であることが望ましい。
本発明の一実施形態では、感光性樹脂層3のトレンチ部21が充填される厚みとしてCu:9μmを形成し、感光性樹脂層3の上部にもCu:9μmを形成する。
【0030】
次に
図2Eに示すように、導体層6の導電性材料に対する化学研磨性を有するCMP(化学機械研磨)により、感光性樹脂層表面の銅層を研磨除去する。すなわち、樹脂トレンチ部21のトップ部を被覆したシード密着層4と、樹脂トレンチ部21の開口部に充填した導体層6が表面となるように、第1の研磨にて加工を行う。化学機械研磨にて使用する研磨材は、化学的な研磨成分と物理的な研磨成分を含んでおり、化学的な研磨成分が支配的な処方が望ましい。物理的な研磨成分の効果を高く調整した処方も使用可能であるが、導体層6、シード密着層4、及び感光性樹脂層3からなる硬さの異なる層が研磨とともに表面に出て来るため、配線の高さや、表面の凹凸の制御が難しくなる。
本発明の一実施形態では、感光性樹脂層3の上部導体層6のCu:9μm、及びシード層5のCu:300nmを、化学的な研磨成分が支配的な研磨材を使用して、第1の研磨により除去する。
【0031】
次に
図2Fに示すように、感光性樹脂層3と導体層6、及び、シード層5とを物理的に研磨除去する第2の研磨により、シード密着層4と、感光性樹脂層3の表層を除去する。第2の研磨は、シード密着層4と感光性樹脂層3の異種材料の研磨である。化学的な研磨では感光性樹脂層3は研磨できないので、フィラー等の研磨材による物理的な研磨が有効である。物理的な研磨では表面凹凸の高い部分が先に研磨されるため、第2の研磨は、第1の研磨で生じた表面凹凸の低減に有効である。
研磨材としては、物理的な研磨が支配的な研磨材に、導電性材料に対する化学的な研磨成分を少量添加し、導体層6の表面の整面性を付与した処方が望ましい。
導体層6と感光性樹脂層3の研磨速度を調節し、感光性樹脂層3の研磨速度を高くすることで、配線部が感光性樹脂層3より高くなった形状を実現する。
【0032】
また、樹脂トレンチ部21の開口幅が広く、第1の研磨により導体層6が凹形状に加工された部分は、凹形状の端部に位置する感光性樹脂層3やシード密着層4を優先的に研磨することで、凹形状の深さを低減することができる。
こうして、バンプ部17やランド部27やアクセサリパターン27など、種々の開口幅を有するパターンからなる樹脂トレンチ部21に対し、第1の研磨によって凹形状の深さがコンマ数μmから1μm弱となった再配線層を、第2の研磨によって表層をコンマ数μm研磨することで、配線部とグランドパターン部と感光性樹脂ベタパターン部の高さの仮想平面からのバラつきを-0.1から+0.1μmの範囲に制御できる。
【0033】
ここで、膜厚の測定は、触針式の膜厚計やレーザ顕微鏡などを用いて行い、感光性樹脂層3の高さを基準に各測定点の高さのバラつきを算出した。
仮想平面の式を下記1に表す。全域での三次元測定値を(xi、yi、zi)とする測定単位はμmで示す。
【0034】
【0035】
各測定点(xi、yi、zi)と最小二乗平面との距離が最小になるように定数(a、b、c)を決定すればよい。各測定点(xi、yi、zi)と最小二乗平面との高さをEiとし、全点の2乗和をFとすると、Fは下式で表される。
【0036】
【0037】
そして、F値を最小にするように定数(a、b、c)を決定する。すなわち、上記式を定数(a、b、c)について偏微分した値が=0になる3元連立方程式(下記式を参照)を解く。
【0038】
【0039】
実際には、計算機を用いた行列演算により定数(a、b、c)を求めることができる。さらに仮想平面からの二乗平均距離の3倍値は下記式から求めることができる。下記式は、再配線層の平坦性を示す下記値が、±0.1*3μm以下を示す。
【0040】
【0041】
この式の意味は、各測定点から求めた平面と各測定点との距離の標準偏差の3倍の値が0.3μm以下であることを示す。nは第1主面の測定点数で、nは少なくとも5×5=25点以上の格子点であることが望ましい。より望ましくはnは10×10=100以上であることが望ましい。測定点数nが25点未満である場合、サンプリング数が少なく真値を測定することが困難である。
こうして、研磨して得たパンプ部が、FC-BGA基板12や半導体素子15との接続端子となる。
【0042】
次に
図3Aに示すように、
図2Aと同様に、上面に感光性樹脂層3を形成する。
形成する感光性樹脂層3の厚みは、開口部に形成する導体層の厚みに応じて設定され、本発明の一実施形態では例えば厚み2μmとして感光性樹脂層3を形成する。また平面視のビア部の開口形状は、導体層6との接続の観点から設定され、本発明の一実施形態では例えばφ10μmの開口形状を形成する。この開口部は、多層再配線層の上下の再配線層をつなぐ接続ビア部19の形状である。
【0043】
さらに、その上面に
図3Bに示すように、
図2Aと同様に、上面に感光性樹脂層3を形成する。
形成する感光性樹脂層3の厚みは、開口部に形成する導体層の厚みに応じて設定され、本発明の一実施形態では例えば厚み2.5μmで感光性樹脂層3を形成する。樹脂トレンチ部21は、ランド部26と配線パターン部25からなる配線部と、アライメントマークなどからなるアクセサリパターン部27やグランドパターン30Aからなる。
【0044】
平面視のランド部26の開口形状は、積層体の接続性の観点から設定され下部の接続ビア部31の開口形状外側を囲って形成される。本発明の一実施形態では、例えばφ25μmの開口形状を形成する。配線パターン部は、例えばL/S=2/2μmの開口形状で形成する。
アライメントマークは、数百μmから2mm程度の十字形や、円形のパターン、及びその集合体の開口部からなり、グランドパターン30Aは配線パターン25を取り囲む200μmから500μm幅の樹脂ベタパターン30Bを介し、上記樹脂ベタパターン部30Bを囲む最狭部の幅が1mm以上の幅からなる大面積の凹パターンからなる。
【0045】
本発明の一実施形態では、大面積のグランドパターンの開口部に、1mm間隔でφ200μmのダミーパターン28を形成した。
本発明の一実施形態では、感光性樹脂層3を2層塗工し各層、接続ビア部31と、ランド部27と配線パターン部25と分けて形成したが、諧調露光により1層塗工で1回のフォトリソ工程で形成することも可能である。
【0046】
次いで、
図3C、
図3Dに示すように、
図2B、
図2Cと同様に、真空中で、シード密着層4及びシード層5を形成する。本発明の一実施形態では、Ti:50nm、Cu:300nmを形成する。
次に
図3Eに示すように、電解めっきにより導体層6を形成する。導体層6は、配線部及びアクセサリパターン部となる。電解めっきとしては、電解ニッケルめっき、電解銅めっき、電解クロムめっき、電解Pdめっき、電解金めっき、電解ロジウムめっき、電解イリジウムめっき等が挙げられるが、電解銅めっきであることが簡便で安価で、電気導電性が良好であることから望ましい。
電解銅めっきの厚みは、配線部の電気抵抗の観点から0.5μm以上、生産性の観点から10μm以下であることが望ましい。本発明の一実施形態では、感光性樹脂層3の2重の開口部にはCu:5μmを形成し、感光性樹脂層3の1重の開口部と感光性樹脂層3の上部にもCu:5μmを形成する。
【0047】
次に
図3Fに示すように、
図2E、
図2Fと同じように、導体層の導電性材料に対する化学研磨性を有するCMP(化学機械研磨)によって、感光性樹脂層表面の銅層を研磨除去する。すなわち、樹脂トレンチ部21のトップ部を被覆したシード密着層4と、樹脂トレンチ部21の開口部を充填した導体層6が表面となるように、第1の研磨にて加工を行う。
また、感光性樹脂層3と導体層6、及び、シード層5とを物理的に研磨除去する第2の研磨により、シード密着層4と、感光性樹脂層3の表層を除去する。
研磨を行った後に残った導体層6が、接続ビア部31、ランド部26、配線パターン部25(配線部)の導体部、及びアクセサリパターン部27とグランドパターン30Aないし感光性樹脂ベタパターン30B内のダミーパターン28となる。
【0048】
本発明の一実施形態では、配線部やグランドパターン30Aやアクセサリパターン部27やなど種々の開口幅を有するパターンからなる樹脂トレンチ部21に対し、第1の研磨により凹形状の深さがコンマ数μmから1μm弱となった再配線層を形成する。また、第2の研磨により、配線部とアクセサリパターン部と感光性樹脂層の仮想平面からの高さのバラツキを-0.1から+0.1μmの範囲に制御できる。
そして、
図4に示すように、
図3A~
図3Fを繰り返すことで、順次再配線層を積層して多層配線を形成する。
本発明の一実施形態では、L/S=2/2μmからなる微細な配線部を有する再配線層を2層形成する。
【0049】
次いで、半導体素子15との接合電極を形成する工程を説明する。
図5Aに示すように、
図2A同様に、多層配線の上面に感光性樹脂層3を形成する。形成する感光性樹脂層3の厚みは、下層の導体層の厚みを被覆して上下層で電気的な絶縁性が得られる厚みに応じて設定される。本発明の一実施形態では例えば厚み4μmの感光性樹脂層3を形成する。
次いで、
図5B、
図5Cに示すように、
図2B、
図2Cと同様に、真空中で、シード密着層4及びシード層5を順次形成する。
【0050】
次いで、
図5Dに示すように、レジストパターン7を形成する。その後、
図5Eのように電解めっきにより導体層6を形成する。形成した導体層6は、半導体素子15との接合用の電極となる。電解めっきの厚みは、はんだ接合の観点から1μm以上、且つ生産性の観点から30μm以下であることが望ましい。
本発明の一実施形態では、例えばレジストパターン7はφ25μmの開口形状とし、間隔は55μmで形成し、導体層の厚みは感光性樹脂層3の開口部にはCu:10μmを形成し、感光性樹脂層3の上面にはCu:7μmを形成する。
【0051】
その後、
図5Fに示すようにレジストパターンを除去する。その後、
図5Gに示すように不要なシード密着層4及びシード層5をエッチング除去する。この状態で表面に残ったバンプ部17からなる導体層6が、半導体素子15との接合用の電極となる。
バンプ部17からなる導体層6は凸形状のまま使用してもよいし、フィラー入りの感光性樹脂を使用して被覆してもよい。
又は、
図5Cの後に導体層をベタ膜で形成し、
図5Fとなるように、研磨により樹脂トレンチ内に導体層が充填された形状を選択してもよい。
バンプ部17の形状は、半導体素子15との接合方式に合わせて選択すればよい。
そして、バンプ部17からなる導体層6の表面の酸化防止と、はんだバンプ10の濡れ性をよくするため、バンプ部17からなる導体層6の表面に表面処理層9を設ける(
図5I参照)。
【0052】
本発明の一実施形態では、表面処理層9として無電解Ni/Pd/Auめっきを形成する。なお、表面処理層9には、OSP(Organic Soiderability Preserbative:水溶性フラックスによる表面処理)膜を形成してもよい。
次いで、表面処理層9上に、はんだ材料を搭載した後、一度溶融冷却して固着させることで、はんだバンプ10の接合部を得る(
図5I参照)。これにより、支持基板1上に形成された配線基板11が完成する。
【0053】
次いで、
図6Aに示すように、はんだバンプ10の接合部によって、支持基板1上の配線基板11と、半導体素子15とを接合する。
次いで、
図6Bに示すように、上記の接合部をアンダーフィル22で封止する。
アンダーフィルを構成する樹脂材料としては、例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、及びマレイミド樹脂の1種又はこれらの樹脂の2種以上が混合された樹脂に、フィラーとしてのシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は酸化亜鉛等が加えられた材料が用いられる。アンダーフィル22は、液状の樹脂を充填させることで形成される。
【0054】
次いで、
図6Cに示すように、半導体素子15を封止する封止樹脂23を形成する。
封止樹脂23には、アンダーフィル22とは異なる材料であり、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂の1種又はこれらの樹脂の2種以上が混合された樹脂に、フィラーとしてシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は酸化亜鉛等が加えられた材料が使用され、コンプレッションモールド、トランスファーモールド等によって形成される。
【0055】
次いで、
図6Eのように、支持基板1を剥離する。剥離は、例えば、
図6Dに示すように、剥離層2にUVレーザ光13を照射して剥離する。支持基板1の背面より、すなわち、支持基板1の半導体素子15とは逆側の面からレーザ光13を支持基板1との界面に形成された剥離層2に照射し剥離可能な状態とすることで、
図6Eに示すように支持基板1を取り外すことが可能となる。
次に、表層の導体層6の表面に形成されているシード密着層4とシード層5を除去し、
図6Fに示すような基板を得る。本発明の実施形態では、シード密着層4のチタンを用い、シード層5に銅を用いており、それぞれアルカリ系のエッチング剤と、酸系のエッチング剤にて溶解除去することができる。
【0056】
このようにして、2以上の再配線層(多層配線)かなる第2配線基板14と、半導体素子15とが接合された、
図6Fに示すような半導体装置を得る。
この後、第2配線基板14の表面に露出した導体層6の、酸化防止と、はんだバンプ部17の濡れ性をよくするため、表面に露出した導体層6に対し、無電解Ni/Pd/Auめっき、OSP、無電解スズめっき、無電解Ni/Auめっきなどの表面処理を施してもよい。
【0057】
この後、
図7に示すように、以上の処理で得た半導体装置(
図6F参照)をFC-BGA基板(第1配線基板)12に接合すると共に、接合部にアンダーフィル22を充填し、半導体装置とFC-BGA基板12の固定及び接合部の封止を行い半導体装置24が完成する、
【実施例0058】
表1及び表2に、本実施形態における効果確認として、導体層のダミーパターン寸法(島間の配置間隔(表中の横欄の数字))と研磨による凹み量との結果を示す。
表には、導電性材料(導電層)としては銅を使用した場合、化学研磨性の高い第1研磨と、物理研磨性の高い第2研磨後の凹み量と、感光性樹脂に対し銅が凸形状/凹形状のいずれに仕上がったかを示した。
第1研磨には、銅の化学研磨を目的としたスラリを使用し、銅の酸化剤、有機還元剤、防錆材、錯化剤などを分散している。
第2研磨には、銅、シード層、無機密着層、感光性樹脂とを物理的研磨することを目的としたスラリを使用し、数十nmの径のコロイダルシリカからなるフィラーと、フィラーの分散安定剤、添加剤などを分散している。
【0059】
表1は、第1研磨にスラリAを用いた場合を示している。表2は、第1研磨にスラリBを用いた場合を示している。
スラリAは、銅のエッチング性が強いスラリで、感光性樹脂の開口幅20μmと狭いパターン域でも銅のエッチングが入り、感光性樹脂に対する銅の凹み量が大きく仕上がっている。
スラリBは、銅のエッチング性を抑えたスラリで、感光性樹脂の開口幅20μmと狭いパターン域では銅にエッチングが入りにくく、開口幅が広くなり研磨パッドが追従し易くなる領域で銅の凹み量が大きくなり始めている。
銅のエッチング性は、スラリの構成成分のバランスで調整可能である。
【0060】
【0061】
【0062】
第2配線基板の配線部は200μm以下の領域であり、-0.1から+0.1μmの範囲で、配線基板内の凹凸が制御可能である。
アクセサリパターン部は、アライメントマークや、グランドパターン、ダミーパターンなど大面積のパターンからなり、上記表1、2に記載の2mmより大きい導電材料によるベタパターン部もある。本発明のダマシン工法で大面積のパターンのベタパターンを形成する場合、表1、2より1.5mm間隔より狭く、望ましくは1mm間隔より狭く、導電材料とは異なる材料、例えは感光性樹脂にてダミーパターンを配置することが有効である。
【0063】
本実施形態では、
図2F、
図3F、
図4の導体層6を形成する上で、アクセサリパターン部の直線寸法が1mmより大きい体面積パターン部に、φ200μmからなるダミーパターンを1mm間隔で島状に配置した。
また、感光性絶縁樹脂の直線寸法1mmよい大きい大面積パターン部には、φ200μmからなる導電材料からなるダミーパターンを1mm間隔で島状に配置した。
このパターン配置により、各再配線層の仮想平面からの高さのバラツキを-0.1μmから+0.1μmの範囲で制御することができた。
【0064】
また、各再配線層の仮想平面からの高さのバラツキを-0.1μmから+0.1μmの範囲に制御することで、上層に積層形成する感光性絶縁樹脂の塗工時のうねりを低減すると共に、樹脂トレンチ部21の高さバラツキや寸法の解像性のバラつきを抑えることができた。
そして、半導体素子と接続するバンプの高さバラツキを制御でき電気的な接続信頼性の向上に効果的である。
また、各再配線層の仮想平面からの高さのバラツキが-2μmから+0.1μmの範囲になったことで、上層に積層形成する感光性絶縁樹脂の塗工時のうねりを受け、樹脂トレンチ部21の高さバラツキや寸法の解像性のバラつきが生じると共に、ウネリの谷の部分の研磨が上手く入らず、銅がベタ膜で残る部分が発生するなど、パターン解像性が低下した。
上記の実施形態は一例であって、その他、具体的な細部構造などについては適宜に変更可能なことはもちろんである。