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  • 特開-具材付与装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109084
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】具材付与装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20220720BHJP
【FI】
A23L7/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004427
(22)【出願日】2021-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】591165942
【氏名又は名称】市川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 剛
(72)【発明者】
【氏名】市川 雄介
(72)【発明者】
【氏名】松橋 攝
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LE14
4B023LT60
4B023LT65
(57)【要約】      (修正有)
【課題】具材を位置精度良く付与できる具材付与装置を提供する。
【解決手段】具材付与ヘッド1と、具材付与ヘッドに具材2を供給する具材供給装置と、具材が付与される被付与物を具材付与ヘッドの下方に搬送する搬送装置5と、を備え、具材付与ヘッドが、鉛直に立設された中空筒状のバレル部14を含み、バレル部の下方に、バレル部の下端側の開口部を開閉するシャッター部材15が配設され、バレル部の上方に、バレル部内を上下に摺動する押下部材16が配設され、バレル部の下端側の開口部を閉塞した状態にあるシャッター部材と、上動限にある前記押下部材との間に、所定の容積とされた定量室17が形成され、具材供給装置から定量室に具材が供給されて定量されると、シャッター部材が駆動して、バレル部の下端側の開口部を開放するとともに、押下部材が下動して、定量された具材を押し下げることにより、被付与物4に向けて当該具材を投下する具材付与装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
具材付与ヘッドと、
前記具材付与ヘッドに具材を供給する具材供給装置と、
前記具材が付与される被付与物を前記具材付与ヘッドの下方に搬送する搬送装置と、
を備え、
前記具材付与ヘッドが、鉛直に立設された中空筒状のバレル部を含み、
前記バレル部の下方に、前記バレル部の下端側の開口部を開閉するシャッター部材が配設され、
前記バレル部の上方に、前記バレル部内を上下に摺動する押下部材が配設され、
前記バレル部の下端側の開口部を閉塞した状態にある前記シャッター部材と、上動限にある前記押下部材との間に、所定の容積とされた定量室が形成され、
前記具材供給装置から前記定量室に前記具材が供給されて定量されると、前記シャッター部材が駆動して、前記バレル部の下端側の開口部を開放するとともに、前記押下部材が下動して、定量された前記具材を押し下げることにより、前記被付与物に向けて当該具材を投下することを特徴とする具材付与装置。
【請求項2】
前記押下部材の下動速度が0.5~2m/sである請求項1に記載の具材付与装置。
【請求項3】
前記具材が、フレーク状の固形食品である請求項1又は2に記載の具材付与装置。
【請求項4】
前記被付与物が食品である請求項1~3のいずれか一項に記載の具材付与装置。
【請求項5】
前記食品が、おにぎり又はおにぎりに成形する前のシート状の米飯である請求項4に記載の具材付与装置。
【請求項6】
前記具材供給装置がスクリューフィーダーである請求項1~5のいずれか一項に記載の具材付与装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具材付与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シート状の米飯上に具材を付与した後、前記シート状の米飯を、内部に具材を挟むように折り曲げて、成形することによって、具材が充填されたおにぎりを製造することが開示されている。ここで、具材の付与は手作業によって行われる。
【0003】
一方、特許文献2には、筒体と、該筒体の先端部に等配され、前記筒体の内圧に応じて開閉するように構成された弁体とを備えたシリコーンゴム製のノズルを備えた流動体吐出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】2016-202022号公報
【特許文献2】2015-131682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1におけるおにぎりへの具材の付与を、手作業に代えて、特許文献2に開示されるような流動体吐出装置を用いて行うことが考えられる。しかしながら、特許文献2をはじめとする従来の装置には、特に具材が固形食品である場合に、具材をおにぎりに位置精度良く付与する観点でさらなる改善の余地があった。
【0006】
本発明の目的の1つは、具材を位置精度良く付与できる具材付与装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、以下の具材付与装置を提供できる。
1.具材付与ヘッドと、
前記具材付与ヘッドに具材を供給する具材供給装置と、
前記具材が付与される被付与物を前記具材付与ヘッドの下方に搬送する搬送装置と、
を備え、
前記具材付与ヘッドが、鉛直に立設された中空筒状のバレル部を含み、
前記バレル部の下方に、前記バレル部の下端側の開口部を開閉するシャッター部材が配設され、
前記バレル部の上方に、前記バレル部内を上下に摺動する押下部材が配設され、
前記バレル部の下端側の開口部を閉塞した状態にある前記シャッター部材と、上動限にある前記押下部材との間に、所定の容積とされた定量室が形成され、
前記具材供給装置から前記定量室に前記具材が供給されて定量されると、前記シャッター部材が駆動して、前記バレル部の下端側の開口部を開放するとともに、前記押下部材が下動して、定量された前記具材を押し下げることにより、前記被付与物に向けて当該具材を投下することを特徴とする具材付与装置。
2.前記押下部材の下動速度が0.5~2m/sである1に記載の具材付与装置。
3.前記具材が、フレーク状の固形食品である1又は2に記載の具材付与装置。
4.前記被付与物が食品である1~3のいずれか一項に記載の具材付与装置。
5.前記食品が、おにぎり又はおにぎりに成形する前のシート状の米飯である4に記載の具材付与装置。
6.前記具材供給装置がスクリューフィーダーである1~5のいずれか一項に記載の具材付与装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、具材を位置精度良く付与できる具材付与装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る具材付与装置を概念的に説明する図である。
図2図1の具材付与装置に供されるおにぎりを示す概略斜視図である。
図3図1の具材付与装置が備える具材付与ヘッドを概念的に説明する図である。
図4】具材付与ヘッドの動作を説明する図である。
図5】具材付与ヘッドの動作を説明する図である。
図6】具材付与ヘッドの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の具材付与装置について詳述する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る具材付与装置を概念的に説明する図である。
【0012】
本実施形態において、具材付与装置は、具材付与ヘッド1と、具材付与ヘッド1に具材2を供給するスクリューフィーダー(具材供給装置)3と、具材付与ヘッド1から具材2が付与されることになるおにぎり(被付与物)4を搬送する搬送コンベヤ(搬送装置)5と、を備えている。
【0013】
本実施形態において、具材2はフレーク状の固形食品である。フレーク状の固形食品としては、例えば鮭フレーク、ツナフレーク等が特に好適である。
【0014】
図2は、図1の具材付与装置に供されるおにぎり4を示す概略斜視図である。
【0015】
本実施形態において、おにぎり4は、三角形状に成形されている。このおにぎり4は、互いに平行な2つの主面6,7と、これら2つの主面6,7の縁同士を接続する側周部8とを有している。2つの主面6,7はそれぞれ三角形状である。尚、おにぎり4の形状(主面6,7に付与される形状)は三角形状である場合に限定されず、例えばD字形状、円形状等であってもよい。
【0016】
おにぎり4の一方の主面6には具材2を充填するための具材溝9が形成されている。この具材溝9は、具材付与ヘッド1が具材2を付与する際のターゲットである。具材溝9の寸法は格別限定されない。具材溝9の直径は、例えば10~40mm、好ましくは12~30mm、より好ましくは15~25mmである。具材溝9の深さは、例えば5~20mm、好ましくは10~15mmである。
【0017】
スクリューフィーダー3は、ハウジング10と、該ハウジング10内に回転可能に設けられたスクリュー羽根11とを備えている。また、スクリューフィーダー3は、スクリュー羽根11の一端側に具材2を供給するホッパー12を備えている。スクリューフィーダー3は、スクリュー羽根11の一端側に供給された具材2を、該スクリュー羽根11の回転によって、該スクリュー羽根11の他端側に搬送し、該他端側に入口を有する具材供給管13を介して、該具材供給管13の末端に開口する吐出口から吐出するように構成されている。
【0018】
搬送コンベヤ5の上流側には、具材付与装置の上流に設けられた処理装置(図示省略)から間欠的におにぎり4が供給される。具材付与装置の上流に設けられる処理装置は格別限定されず、例えば、おにぎり成形装置、塩振り装置からなる群から選択される1種以上であり得る。
【0019】
搬送コンベヤ5は、具材溝9が形成された主面6を上方に配向した状態のおにぎり4を、具材付与ヘッド1の下方に順次搬送するように構成されている。また、搬送コンベヤ5は、おにぎり4の具材溝9が具材付与ヘッド1の直下に到達したところで搬送を一時的に停止するように構成されている。この停止期間のうちに、具材付与ヘッド1から具材溝9に具材2が付与される。搬送コンベヤ5は、上記具材2の付与後に搬送を再開し、次のおにぎり4(具材2が付与されていないおにぎり4)を具材付与ヘッド1の下方に搬送する。
【0020】
具材2が付与されたおにぎり4は、搬送コンベヤ5の下流側に搬送され、具材付与装置の下流に設けられた処理装置(図示省略)に導入される。具材付与装置の下流に設けられる処理装置は格別限定されず、例えば、海苔巻き装置、包装装置からなる群から選択される1種以上であり得る。
【0021】
図3は、図1の具材付与装置が備える具材付与ヘッド1を概念的に説明する図である。
【0022】
本実施形態において、具材付与ヘッド1は、鉛直に立設された中空筒状のバレル部14を含み、バレル部14の下方に、バレル部14の下端側の開口部を開閉するシャッター部材15が配設されている。これとともに、バレル部14の上方には、バレル部14内を上下に摺動する押下部材16が配設されている。シャッター部材15は、例えばエアシリンダー等の任意の駆動機構に接続されて、鉛直に対して直交する方向にスライドすることによって、バレル部14の下端側の開口部を開閉するように構成することができる。押下部材16は、例えばエアシリンダー等の任意の駆動機構に接続されて、上動限と下動限との間を鉛直に昇降することによって、バレル部14内を上下に摺動するように構成することがきる。
【0023】
また、バレル部14の下端側の開口部を閉塞した状態にあるシャッター部材15と、上動限にある押下部材16との間には、所定の容積とされた定量室17が形成される。そして、具材供給管13の吐出口がバレル部14の内面と面一に開口して、かかる定量室17内に具材2を吐出するように、具材供給管13の末端に具材付与ヘッド1が接続されている。これにより、スクリューフィーダー3から定量室17に具材2が供給されるようにして、具材2を定量できるようにしている。
【0024】
ここで、定量室17の容積は、定量室17が具材2で満たされることによって、具材2を定量できるように、定量される具材2の容積に応じて適宜調整することができる。
【0025】
次に、具材付与ヘッド1の動作について図3図5を参照して説明する。
【0026】
まず、図3に示すように、押下部材16が上動限に配置される。この状態において、バレル部14の下端側の開口部は、シャッター部材15によって閉塞されている。
【0027】
また、搬送コンベヤ5は、具材付与ヘッド1の下方におにぎり4(具材2が付与されていないおにぎり4)を搬送し、この位置で搬送を一時的に停止する。
【0028】
次いで、図4に示すように、スクリューフィーダー3から供給される具材2が、具材供給管13の吐出口から定量室17に吐出される。
【0029】
このとき、具材供給管13の吐出口から所定の吐出量で具材2が吐出されるように制御されていることが好ましい。制御方法は格別限定されず、自体公知の方法を用いることができる。具材供給装置としてスクリューフィーダー3を用いる本実施形態においては、例えばスクリュー羽根11の回転速度及び回転時間の設定により吐出量を制御できる。
【0030】
そして、定量室17が具材2で満たされて定量がなされると、図5に示すように、シャッター部材15を駆動させて、バレル部14の下端側の開口部を開放し、これと同時に又は適宜前後させて、押下部材16を下動させて、定量された具材2を押し下げる。
【0031】
このとき、押下部材16の下動速度(具材2を押し下げる速度)は、例えば、0.5~2m/sであることが好ましく、0.7~1.5m/sであることがより好ましい。
【0032】
図6に示すように、押下部材16は、下動限まで下動した後、停止する。押下部材16によって押し下げられた具材2は、具材付与ヘッド1の下方に配置されているおにぎり4に向けて投下され、具材溝9内に着弾(的中)する。このように、具材2を被付与物であるおにぎり4に向けて勢いづけて投下することによって、該具材2がばらばらになることを防止して、好ましくは該具材2をひと塊として、具材溝9内に位置精度良く着弾させることができる。
【0033】
その後、押下部材16を上動限まで上昇させる。また、搬送コンベヤ5を駆動して、具材付与ヘッド1の下方に次のおにぎり4(具材2が付与されていないおにぎり4)を搬送する。このようにして、図3図5の一連の動作が繰り返される。
【0034】
本実施形態によれば、定量された具材2を押下部材16によって押し下げて投下することにより、特に具材2がフレーク状の固形食品であっても、おにぎり(被付与物)4に位置精度良く具材2を付与できる。また、具材2の付与量も均一化できる。
【0035】
このような効果は、上述した特許文献2の装置によって得ることは困難である。即ち、上述した特許文献2の装置では、具材の吐出後に弁体に具材が挟まり易く、挟まった具材が予期しないタイミングで落下する虞がある。また、弁体に挟まった具材は、次の具材の吐出時に、位置精度を低下させたり、付与量を不均一化させたりする原因になり得る。
【0036】
本実施形態に係る具材付与装置を用いることによって、従来、手作業に依拠せざるを得なかったおにぎり4への具材2の付与工程を自動化することが可能になる。また、これにより、意図した位置に具材2が付与された高品質のおにぎり4を効率的に製造することが可能になる。
【0037】
以上の説明では、具材付与ヘッド1に具材2を供給する具材供給装置として用いられるスクリューフィーダー3が縦型(スクリュー羽根11が縦方向に配向される)である場合について説明したが、これに限定されず、スクリューフィーダー3は横型(スクリュー羽根11が横方向に配向される)であってもよい。また、具材供給装置は、スクリューフィーダー3に限定されず、自体公知のいずれの具材供給装置であってもよい。例えば、具材供給装置は、ロータリーポンプ式の具材供給装置であってもよい。
【0038】
以上の説明では、具材付与ヘッド1からおにぎり4に具材2が付与されるときに、搬送コンベヤ5によるおにぎり4の搬送を停止(おにぎり4を停止)する場合について主に示したが、これに限定されない。例えば搬送コンベヤ5による搬送速度が十分に低速である場合などにおいては、搬送コンベヤ5による搬送を継続したまま(停止することなく)、搬送されているおにぎり4に具材2を付与することができる。
【0039】
以上の説明では、おにぎり4を搬送する搬送装置が搬送コンベヤ5である場合について主に示したが、これに限定されない。搬送装置は、おにぎり4等の被付与物を搬送できるものであれば、自体公知のいずれの搬送装置であってもよい。
【0040】
以上の説明では具材2が付与されることになる被付与物がおにぎり4(特に成形されたおにぎり4)である場合について主に説明したが、これに限定されない。被付与物は成形前のおにぎりであってもよい。成形前のおにぎりは、米飯によって構成されており、その形状は格別限定されず、例えばシート状等であり得る。本発明の具材付与装置によれば、シート状の米飯上の所定位置(ターゲット)に具材2を付与することができる。その後、シート状の米飯を、内部に具材2を挟むように折り曲げて、成形することによって、内部に具材2が充填されたおにぎりが得られる。
【0041】
また、被付与物はおにぎり4あるいは成形前のおにぎり以外の各種の食品であってもよい。さらに、被付与物は食品に限定されず、食品以外であってもよい。食品以外の被付与物としては、例えば食品トレー等が挙げられる。本発明の具材付与装置によれば、例えば、食品トレーの一区画内に具材を充填する際においても、位置精度良く具材を充填できる。
【符号の説明】
【0042】
1:具材付与ヘッド
2:具材
3:スクリューフィーダー(具材供給装置)
4:おにぎり(被付与物)
5:搬送コンベヤ(搬送装置)
14:バレル部
15:シャッター部材
16:押下部材
17:定量室
図1
図2
図3
図4
図5
図6