(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022010909
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】超音波探傷装置
(51)【国際特許分類】
G01N 29/06 20060101AFI20220107BHJP
G01N 29/26 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G01N29/06
G01N29/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111695
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】591041417
【氏名又は名称】ジャパンプローブ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】日本メクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄介
(72)【発明者】
【氏名】平野 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岩田 典朗
(72)【発明者】
【氏名】古田土 英明
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047BA02
2G047BC02
2G047DA02
2G047DB04
2G047GB02
2G047GG12
2G047GH06
(57)【要約】
【課題】表面形状の曲率が一定ではない被検体の計測を容易化すること。
【解決手段】可撓性を有する基部材に配置された複数の超音波振動子31-1~31-nと、その配置に対応して基部材に配置され、それぞれ基部材の曲率に応じた電気信号を発生する複数の曲げ感知FPC41-1~41-3と、曲げ感知FPC41-1~41-3で得た電気信号から前記基部材の曲率分布を算出し、算出した曲率分布に基づいて超音波振動子31-1~31-nによる反射信号情報を画像化する探傷制御解析部(15)とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する基部材に配置された複数の超音波振動子と、
前記複数の超音波振動子の配置に対応して前記基部材に配置され、それぞれ前記基部材の曲率に応じた電気信号を発生する複数の曲率感知部と、
前記複数の曲率感知部で得た電気信号から前記基部材の曲率分布を算出し、算出した曲率分布に基づいて前記複数の超音波振動子による反射信号情報を画像化する画像処理部と、
を備える超音波探傷装置。
【請求項2】
前記曲率感知部は、無給電で曲率に応じた電圧信号を発生するフレキシブルプリント基板を用いる、請求項1記載の超音波探傷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波探傷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
計測対象の曲面に合わせて曲げることが可能な可撓性を有する超音波探触子が存在する。この種の超音波探触子では、曲面からの超音波計測による画像化が可能となる。画像化時には、曲面の曲率に応じて超音波探触子から得た複数の画像を加工する必要がある。この場合、曲面の曲率が一定、且つ既知である場合には、複数の画像の加工を正確に行なうことができる。一方で、例えば人体などの、曲率が一定ではない曲面を被検体とする場合、超音波計測と併せて、被検体表面の曲率を適宜計測する必要がある。
【0003】
曲面形状を計測する方法の一例として、レーザによる形状計測があるが(例えば、非特許文献1、2)、レーザ装置の設置スペースが必要なことや、リアルタイムに形状計測ができないために、人体などの変形する材料の形状がわからないという不具合がある。
【0004】
因みに、様々な形状を有する被検体に対する検査を容易にすると共に、欠陥等の検出精度悪化を抑制することを目的とした技術が提案されている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「中畑和之、徳増純男「可撓性アレイプローブを用いた不規則面からの内部きずの超音波映像化」、電子情報通信学会技術研究報告、US、超音波、112(84)、1-5(2012)」
【非特許文献2】「中畑和之、徳増純男、平成24年度第1回アコースティックイメージング研究会発表資料」(URL(2020年5月30日閲覧確認)「http://www.mech.cee.ehime-u.ac.jp/research_nakahata/AI2012a.pdf」)
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載された技術も含めて、被検体の表面の曲率が一定ではない場合、超音波計測と併せて、超音波探触子を設置する被検体表面の曲率を、その都度別途に計測する必要がある。
【0008】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、表面形状の曲率が一定ではない被検体の計測を容易化することが可能な超音波探傷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、可撓性を有する基部材に配置された複数の超音波振動子と、前記複数の超音波振動子の配置に対応して前記基部材に配置され、それぞれ前記基部材の曲率に応じた電気信号を発生する複数の曲率感知部と、前記複数の曲率感知部で得た電気信号から前記基部材の曲率分布を算出し、算出した曲率分布に基づいて前記複数の超音波振動子による反射信号情報を画像化する画像処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、表面形状の曲率が一定ではない被検体の計測を容易化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る被検体の表面が平板状である場合のリニアアレイ探触子の計測動作を例示する図。
【
図2】同実施形態に係る被検体の表面が曲面である場合のリニアアレイ探触子の計測動作を例示する図。
【
図3】同実施形態に係る超音波探傷装置の主として探傷プローブ側の構成例を示す斜視図。
【
図4】同実施形態に係るフレキシブルアレイプローブが備える複数の超音波振動子と曲率計測部13が備える曲げ感知FPCの配置構造を示す図。
【
図5】同実施形態に係る超音波探傷装置全体の機能回路の構成を示すブロック図。
【
図6】同実施形態に係る計測動作時の情報処理の内容を説明するフローチャート。
【
図7】同実施形態に係る凹凸面の計測における曲率半径と出力電圧の関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[概念]
まず、本発明の基本概念について説明する。
図1は、図示しない被検体の表面が平板状である場合の、リニアアレイ探触子UIAの計測動作を例示する図である。
図1(A)は、並列配置された複数の超音波振動子からなるリニアアレイ探触子UIAから出射され、被検体内を伝搬する超音波USの方向を示す。図示する如く、被検体内を複数の平行な超音波USとして伝搬する。そのため、
図1(B)に示すように、計測結果として得られるBモード画像も、横方向をリニアアレイ探触子UIAの各振動子の位置、縦方向を時間(=振動子からの時間)として画像化して表示させることができる。
【0013】
図2は、図示しない被検体の表面が曲面、例えば凸状の曲面である場合の、リニアアレイ探触子UIAの計測動作を例示する図である。
図2(A)は、複数の超音波振動子からなるリニアアレイ探触子UIAから出射され、被検体内を伝搬する超音波USの方向を示す。図示する如く、被検体内を互いに収束するような超音波USとして伝搬する。そのため、
図2(B)に示すように、計測結果として得られる第1のBモード画像(Bモード画像1)をそのまま
図1(B)の場合と同様に画像化して表示すると、実際の被検体の内部形状とは一致しないものとなる。したがって、計測時のリニアアレイ探触子UIAの湾曲した形状を同時に計測しておき、その計測結果に基づいて振動子座標と超音波の送信方向を判断し、第1のBモード画像を加工することで、被検体の形状に対応した、
図2(C)に示す第2のBモード画像(Bモード画像2)が得られることになる。
【0014】
したがって、計測時のリニアアレイ探触子UIAの湾曲した形状を正確に計測することが非常に重要となる。
【0015】
[構成]
図3は、本実施形態に係る超音波探傷装置の、主として探傷を行なうプローブ側の構成例を示す斜視図である。探傷装置本体11から、リニアアレイ探触子UIAを配置したフレキシブルアレイプローブ12が導出されている。
【0016】
図3(A)は、図示しない被検体と当接する面を上面として、曲率計測部13が一体に貼付され、さらに被検体に一時的に接着するための両面接着シート14を備えた状態を例示している。フレキシブルアレイプローブ12の両面接着シート14に該当する部分に、ここでは図示しないリニアアレイ探触子UIAが配置されるとともに、曲率計測部13においても、両面接着シート14に該当する部分に、後述する複数、例えば3個の曲げ感知FPC(フレキシブルプリント基板)(41-1~41-3)が配置されるものとする。
【0017】
図3(B)は、両面接着シート14によりフレキシブルアレイプローブ12、曲率計測部13を試験用の被検体IOに当接して設置した状態を示す。被検体IOは、試験のために左側を含む上面の大部分を、予め一定の曲率、例えば半径90[mm]の曲面を形成して構成されたものであり、試験用として、他にも異なる曲率の曲面を形成した被検体IOを多種用意して実験を実施した。
【0018】
曲率計測部13に備えられる曲げ感知FPC41-1~41-3は、例えば日本メクトロン株式会社製の曲げ感知FPC(URL(2020年5月30日閲覧確認)「https://www.mektron.co.jp/technology/mage_fpc/」参照)を使用する。この曲げ感知FPCは、無給電で曲げ操作に対応した電圧信号を得られる。特に全体が一定の曲率となる範囲においては、曲率に対応して線形的に変化する電圧信号を取得できる。本実施形態では、複数の曲げ感知FPC41-1~41-3をリニア状に配列した構成とすることで、被検体IOの表面形状の曲率が一定しないような曲面である場合でも、各曲げ感知FPC41-1~41-3の出力する電圧信号から、面全体の曲率分布を算出できる。
【0019】
図4は、フレキシブルアレイプローブ12に備えられる、リニアアレイ探触子UIAを構成する複数の超音波振動子31-1~31-nと、曲率計測部13に備えられる曲げ感知FPC41-1~41-3の配置構造を示す図である。
【0020】
図4(A)は、フレキシブルアレイプローブ12が備える超音波振動子31-1~31-nと、曲率計測部13が備える曲げ感知FPC41-1~41-3の配置関係を例示する図である。矩形の複数、例えば8個の超音波振動子31-1~31-n(31-8)がその短辺に沿ってリニア状に配列されるのに対応し、より少ない複数、例えば3個の曲げ感知FPC41-1~41-3が、超音波振動子31-1~31-nの配列範囲を略均等に分割するように、同じくリニア状に近接配列される。
【0021】
曲げ感知FPC41-1~41-3の個数としては、理想的には隙間を空けずに超音波振動子31-1~31-nの範囲全体をカバーする個数を配置することが望ましい。反面、個々の曲げ感知FPCが曲げ角度に応じた電圧信号を出力するため、1個当たり2本の配線を導出する必要があり、曲率計測部13の幅と並列に配置する配線数のトレードオフによって曲げ感知FPCを設ける数が決定される。本実施形態では、より簡易な構成として3個の曲げ感知FPC41-1~41-3を配置した例を示している。
【0022】
図4(B)は、フレキシブルアレイプローブ12および曲率計測部13を、両面接着シート14(図示せず)を用いて、表面形状が平板状の被検体IOに設置固定した状態を示す。フレキシブルアレイプローブ12は、超音波振動子31-1~31-nを含む圧電体12Bを中心に、上面側のダンパ層12A、下面側で被検体IOと当接される側の整合層12Cの3層構造を有している。
【0023】
図4(C)は、フレキシブルアレイプローブ12および曲率計測部13を、両面接着シート14(図示せず)を用いて、上面側の表面形状が不規則な曲面状の被検体IOに設置固定した状態を示す。フレキシブルアレイプローブ12および曲率計測部13と両面接着シート14がいずれも十分な可撓性を有しており、被検体IOの表面形状に正確に合わせて設置、固定できる。
【0024】
図5は、超音波探傷装置全体の機能回路の構成を示すブロック図である。曲率計測部13において、曲げ感知FPC41-1~41-3の出力する各電圧信号が曲率分布算出部42に入力される。曲率分布算出部42は、曲げ感知FPC41-1~41-3の出力する各電圧信号によりそれぞれの部位における曲率を算出した上で、それら曲率からフレキシブルアレイプローブ12および曲率計測部13の全体範囲についての曲率分布を、例えばスプライン関数等を用いて算出する。曲率分布算出部42は、算出した曲率分布情報を、画像処理部として機能する探傷制御解析部15へ出力する。探傷制御解析部15は、探傷装置本体11内に設けられる。
【0025】
また、フレキシブルアレイプローブ12において、超音波振動子31-1~31-nは、探傷制御解析部15の測定条件設定部21からの制御信号に基づいて超音波パルスを被検体IOに向けて発振し、被検体IOから得られる反射波の超音波パルスを受信する。超音波振動子31-1~31-nでの各受信信号は、所定の増幅率を持って増幅された後に、探傷制御解析部15の解析部22、周波数変換部(FFT)23、および表示部24に出力される。
【0026】
探傷制御解析部15は、専用の装置として構成する他、例えば市販のパーソナルコンピュータ(PC)と、計測のためにフレキシブルアレイプローブ12、曲率計測部13を当該PCに接続する入出力インタフェイスとにより構成することも可能であり、測定条件設定部21、解析部22、周波数変換部23、表示部24、および操作部25を備える。
【0027】
測定条件設定部21は、操作部25からの操作信号を受け付けて、超音波探傷を行う際のパルスの強度や発振タイミングを超音波振動子31-1~31-nに対して指示する他、周波数変換部(FFT)23に対して周波数変換を行なう周波数範囲の指定を行う。
【0028】
解析部22は、超音波振動子31-1~31-nの受信信号の信号レベルを、曲率計測部13の曲率分布算出部42から得た曲率分布情報に基づいて加工、補正することで、被検体IOの形状に対応した画像を表示部24に表示させる。
【0029】
周波数変換部(FFT)23は、フレキシブルアレイプローブ12の超音波振動子31-1~31-nから送られてくる受信信号に対し、測定条件設定部21で指定される周波数範囲で周波数変換である高速フーリエ変換(FFT)を実施し、変換後の受信信号を表示部24へ出力する。
【0030】
表示部24は、例えばPCを構成する液晶ディスプレイ等で構成され、超音波探傷の計測結果を画像化して表示する。操作部25は、例えばPCを構成するキーボードやマウス等のポインティングデバイスで構成され、計測時の各種条件設定や実行タイミングを操作する。
【0031】
本実施形態に係る情報処理、具体的には探傷制御解析部15の測定条件設定部21、解析部22、および周波数変換部(FFT)23と、曲率計測部13の曲率分布算出部42が実行する画像処理を含む情報処理は、専用の装置で実現する他、記憶装置に記憶されたプログラムをプロセッサが実行することでも実現可能となる。
【0032】
また、超音波振動子31-1~31-nによる計測結果、および曲げ感知FPC41-1~41-3と曲率分布算出部42とによる曲率分布情報は、記憶装置に適宜記憶、保存される。
【0033】
なお、曲率計測部13には曲げ感知FPC41-1~41-3のみを設けるものとし、曲率分布算出部42は探傷制御解析部15側に設けるものとしてもよい。
【0034】
[動作]
以下、本発明の動作について説明する。
図6は、計測動作時の一連の情報処理の内容を説明するフローチャートである。
【0035】
当初に、
図3(B)で示したようにフレキシブルアレイプローブ12および曲率計測部13を被検体IOに両面接着シート14によって設置、固定した状態から、操作部25での操作に応じて、フレキシブルアレイプローブ12の超音波振動子31-1~31-nによる超音波探傷の計測を実施し、得た受信信号を解析部22を出力するとともに、記憶装置に記憶、保存する(ステップS01)。
【0036】
同時に曲率計測部13の曲げ感知FPC41-1~41-3が出力する各電圧信号を検出し、曲率分布算出部42を介して記憶装置に記憶、保存する(ステップS02)。
【0037】
ここで測定条件設定部21は、超音波振動子31-1~31-nからの電圧信号の出力があったか否かにより、被検体IOの表面形状の少なくとも一部に曲面が存在したか否かを判断する(ステップS03)。
【0038】
超音波振動子31-1~31-nからの電圧信号の出力がなく、被検体IOの表面形状に全く曲面が存在しないと判断した場合(ステップS03のNO)、解析部22では、曲率分布算出部42からの曲率分布情報を用いることなく、超音波振動子31-1~31-nから得られる受信信号のみを用いて、各探傷結果から超音波振動子31-1~31-nが存在する範囲のBモード画像を生成し、表示部24により表示させて(ステップS06)、以上で一連の計測処理を完了する。
【0039】
またステップS03において、超音波振動子31-1~31-nからの電圧信号の出力があり、被検体IOの表面形状の少なくとも一部に曲面が存在すると判断した場合(ステップS03のYES)、解析部22では、曲率分布算出部42によって曲げ感知FPC41-1~41-3の出力する電圧信号に基づいた曲面分布を算出させる(ステップS04)。
【0040】
実験により得た曲率と出力電圧の結果を例示する。
図7(A)は、凸面計測における曲率半径と、曲げ感知FPC41-1(~41-3)の出力電圧の関係を示す図である。凸面ブロックの曲率R=15[mm]、30[mm]、50[mm]、60[mm]、70[mm]、90[mm]とした場合の、1番乃至5番の計5個の曲げ感知FPCの出力の各平均値から近似曲線を設定した結果、出力電圧V[mV]と曲率R[mm]の関係として、
V=(12.158/R)-0.0051 …(1)
なる結果が得られた。この(1)式を変形することで、
R=12.158/(V+0.0051) …(1)′
となり、曲げ感知FPC41-1~41-3個々の配置される位置での曲率が算出できる。
【0041】
図7(B)は、凹面計測における曲率半径と、曲げ感知FPC41-1(~41-3)の出力電圧の関係を実験により検証した結果を示す図である。凹面ブロックの曲率R=15[mm]、30[mm]、50[mm]、60[mm]、70[mm]、90[mm]とした場合の、1番乃至5番の計5個の曲げ感知FPCの出力の各平均値から近似曲線を設定した結果、出力電圧V[mV]と曲率R[mm]の関係として、
V=(-13.701/R)+0.0024 …(2)
なる結果が得られた。この(2)式を変形することで、
R=-13.701/(V-0.0024) …(2)′
となり、曲げ感知FPC41-1~41-3個々の配置される位置での曲率が算出できる。
【0042】
曲率分布算出部42では、被検体IOの凹凸に応じて曲げ感知FPC41-1~41-3から得られる電圧信号から前述した(1)′式または(2)′式により個々の位置での曲率を算出した上で、例えば3次程度のスプライン関数等を用いてフレキシブルアレイプローブ12の超音波振動子31-1~31-nが存在する範囲全体の曲率分布を算出し、算出した結果を解析部22へ出力する。
【0043】
解析部22は、超音波振動子31-1~31-nの受信信号の信号レベルを、曲率分布算出部42から受けた曲率分布情報に基づいて加工、補正することで、その時点でフレキシブルアレイプローブ12が設置されたている被検体IOの表面形状に正確に対応した画像を表示部24に表示させて(ステップS06)、以上で一連の計測処理を完了する。
【0044】
以上詳述した如く本実施形態によれば、表面形状の曲率が一定ではない被検体の計測を容易化することが可能となる。
【0045】
また本実施形態では、曲率を算出する手段として曲げ感知FPCを用いる構成としたことにより、曲げ操作に応じて抵抗値が変化する歪みセンサのような給電用の配線を必要とせず、温度変化の影響を受けにくいなど、取扱いが容易となるとともに、各配置位置での曲率を容易に算出できる。
【0046】
さらに本実施形態では、フレキシブルアレイプローブ12および曲率計測部13を被検体IOに当接するために両面接着シート14を用いて設置、固定するものとしたので、計測に際して、実験を行う者が手で押える場合に比して、算出される曲率の誤差を、例えば半分以下、1/3程度と、大幅に低く抑えることができる。
【0047】
なお、本願発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。さらに、前記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0048】
11…探傷装置本体、
12…フレキシブルアレイプローブ、
13…曲げ感知FPC部、
14…両面接着シート、
15…探傷制御解析部、
21…測定条件設定部、
22…解析部、
23…周波数変換部、
24…表示部、
25…操作部、
31-1~31-n…超音波振動子、
41-1~41-3…曲げ感知FPC、
42…曲率分布算出部、
IO…被検体、
UIA…リニアアレイ探触子。