(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109189
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】後部座席用介助補助装置及びそれが取り付けられた自動車
(51)【国際特許分類】
B60N 3/02 20060101AFI20220720BHJP
A61G 3/00 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
B60N3/02 A
A61G3/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004578
(22)【出願日】2021-01-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 石畠 俊如運転のタクシー 令和2年9月15日~10月15日
(71)【出願人】
【識別番号】521022587
【氏名又は名称】石畠 俊如
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【弁理士】
【氏名又は名称】藤河 恒生
(72)【発明者】
【氏名】石畠 俊如
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088DA03
3B088DA06
(57)【要約】
【課題】高齢者又は身体障害者が自動車の後部座席に乗り降りするときに注意力及び体力の負担を軽減することができる後部座席用介助補助装置を提供する。
【解決手段】この後部座席用介助補助装置1は、自動車2の後部サイドドア3に取り付けられるドアアタッチメント11と、ドアアタッチメント11に固定された第1棒体12と、第1棒体12に対してその長手方向にスライド可能に結合する第2棒体13と、第2棒体13に固定され、かつ、自動車2の前席背もたれ4に取り付けられる前席アタッチメント14と、を備える。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の後部サイドドアに取り付けられるドアアタッチメントと、
該ドアアタッチメントに固定された第1棒体と、
該第1棒体に対してその長手方向にスライド可能に結合する第2棒体と、
該第2棒体に固定され、かつ、前記自動車の前席背もたれに取り付けられる前席アタッチメントと、
を備える後部座席用介助補助装置。
【請求項2】
請求項1に記載の後部座席用介助補助装置において、
前記ドアアタッチメントは、前記後部サイドドアに固定されるドア固定部と前記第1棒体に固定される棒体固定部を有し、該ドア固定部と該棒体固定部が互いに任意の方向に回動可能に結合している構成である後部座席用介助補助装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の後部座席用介助補助装置において、
前記第1棒体は、パイプ形状であり、その中空部に前記第2棒体が挿通している後部座席用介助補助装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の後部座席用介助補助装置において、
前記第1棒体の外側面は、断面丸形状である後部座席用介助補助装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の後部座席用介助補助装置において、
前記第1棒体には、反射テープが間隔をあけて複数個巻かれている後部座席用介助補助装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の後部座席用介助補助装置が取り付けられている自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者又は身体障害者のための後部座席用介助補助装置及びそれが取り付けられた自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者又は身体障害者は、通常、自動車の後部サイドドア(リアサイドドア)や前席背もたれなどに手を掛けて倒れないように気を付けて後部座席に乗り降りする。しかし、それは注意力及び体力の大きな負担を必要とし、また、中には、倒れてしまう場合も起こり得る。そこで、従来より、高齢者又は身体障害者を介助して乗降を補助する介助補助装置が提案されている。例えば、特許文献1には、ドア内張りの上縁部へ固定可能であり固定されたとき窓ガラスと対向する面に指掛け可能な指掛部が形成されている車両用手摺り(介助補助装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されているようなドアに固定する介助補助装置は、自動車に乗る際には最終的には介助補助装置から手を放して前席背もたれなどに手を掛けることになり、また、自動車から降りる際には最終的には前席背もたれなどから手を放してドアに固定された介助補助装置に手を掛けることになり、注意力及び体力の負担は余り軽減されないことにもなりかねない。
【0005】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、高齢者又は身体障害者が自動車の後部座席に乗り降りするときに注意力及び体力の負担を軽減することができる後部座席用介助補助装置及びそれが取り付けられた自動車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の後部座席用介助補助装置は、自動車の後部サイドドアに取り付けられるドアアタッチメントと、該ドアアタッチメントに固定された第1棒体と、該第1棒体に対してその長手方向にスライド可能に結合する第2棒体と、該第2棒体に固定され、かつ、前記自動車の前席背もたれに取り付けられる前席アタッチメントと、を備える。
【0007】
請求項2に記載の後部座席用介助補助装置は、請求項1に記載の後部座席用介助補助装置において、前記ドアアタッチメントは、前記後部サイドドアに固定されるドア固定部と前記第1棒体に固定される棒体固定部を有し、該ドア固定部と該棒体固定部が互いに任意の方向に回動可能に結合している構成である。
【0008】
請求項3に記載の後部座席用介助補助装置は、請求項1又は2に記載の後部座席用介助補助装置において、前記第1棒体は、パイプ形状であり、その中空部に前記第2棒体が挿通している。
【0009】
請求項4に記載の後部座席用介助補助装置は、請求項1~3のいずれか1項に記載の後部座席用介助補助装置において、前記第1棒体の外側面は、断面丸形状である。
【0010】
請求項5に記載の後部座席用介助補助装置は、請求項1~4のいずれか1項に記載の後部座席用介助補助装置において、前記第1棒体には、反射テープが間隔をあけて複数個巻かれている。
【0011】
請求項6に記載の自動車は、請求項1~5のいずれか1項に記載の後部座席用介助補助装置が取り付けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の後部座席用介助補助装置及び自動車によれば、高齢者又は身体障害者が自動車の後部座席に乗り降りするときに注意力及び体力の負担を軽減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】本発明の実施形態に係る後部座席用介助補助装置が取り付けられた自動車の例において、後部サイドドアが開いた状態を示す後方から見た外観図である。
【
図1B】
図1Aに示した自動車の例における後部サイドドアが閉じた状態を示す後方から見た外観図である。
【
図2】同上の後部座席用介助補助装置を示すものであって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は反射テープが間隔をあけて複数個巻かれているものの正面図である。
【
図3】同上の後部座席用介助補助装置のドアアタッチメント及びその近傍を拡大して示す正面図である。
【
図4】同上の後部座席用介助補助装置の形状が自動車の後部サイドドアの開閉に追従して変化することを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施形態に係る後部座席用介助補助装置1は、
図1A及び
図1Bに示すように、自動車2に取り付けられるものである。後部座席用介助補助装置1は、ドアアタッチメント11と第1棒体12と第2棒体13と前席アタッチメント14を備える。なお、
図1A及び
図1Bは、後部サイドドア(リアサイドドア)3の乗降口より後方は省略している。
【0015】
ドアアタッチメント11は、自動車2の後部サイドドア3に取り付けられるものである。ドアアタッチメント11は、
図2(a)、(b)に示すように、後部サイドドア3に固定されるドア固定部11aと第1棒体12に固定される棒体固定部11bを有し、ドア固定部11aと棒体固定部11bが互いに任意の方向(三次元の任意の方向)に回動可能に結合(例えば、後に詳述するボールジョイント)している構成にすることができる。
【0016】
ドア固定部11aは、具体的な構造が特に限定されるものではないが、
図3に示すように、差し込み平板部分11aaとボールジョイント支持部分11abとボールジョイント本体部分11acを有するようにすることができる。
【0017】
差し込み平板部分11aaは、自動車2の後部サイドドア3における固定ガラス固定ゴム3a(
図1A及び
図4参照)とドアインナーパネル3b(
図1A及び
図4参照)の間の隙間3c(
図4参照)に下方向に向かって差し込まれる(
図1A中の破線部分参照)ことにより、後部サイドドア3に固定可能なものである。差し込み平板部分11aaは、固定ガラス固定ゴム3aとドアインナーパネル3bに挟まれてそれらの弾力により固く固定されるようにすることができる。差し込み平板部分11aaは、例えば、厚さ2mm~3mm程度である。なお、固定ガラス固定ゴム3aは、後部サイドドア3のディビジョンバー3dで仕切られた昇降ガラス3eと固定ガラス3fのうち後方の固定ガラス3fを固定している(
図1A参照)。
【0018】
ボールジョイント支持部分11abは、差し込み平板部分11aaに連続して設けられ、後に詳述するボールジョイント本体部分11acを支持するものである。ボールジョイント支持部分11abは、差し込み平板部分11aaが後部サイドドア3に固定されたとき、水平方向(
図2(a)、(b)では左右方向)に延びている。水平方向に延びる長さKは、後部サイドドア3が所望の角度(
図1A及び
図4においては90度)開くとき、ディビジョンバー3dなどが後に詳述する第1棒体12の邪魔にならないような長さとすることができる。また、ボールジョイント支持部分11abには、固定具によりボールジョイント本体部分11acが固定されるようにすることができる(
図3参照)。ボールジョイント支持部分11abの下方には、後ドアインナーパネル3bとの間に緩衝材を配置してもよい。
【0019】
ボールジョイント本体部分11acは、球面部分(
図3中の破線部分とその下側の少し露出した実線部分参照)を有し、差し込み平板部分11aaが後部サイドドア3に固定されたとき、上部に球面部分が位置する。
【0020】
棒体固定部11bは、具体的な構造が特に限定されるものではないが、ボールジョイント可動部分11baと棒体固定部分11bbを有するようにすることができる。
【0021】
ボールジョイント可動部分11baは、ボールジョイント本体部分11acの球面部分に球面接触(つまり、ボールジョイント)(
図3中の破線部分参照)して任意の方向に回動可能に結合する部分である。
【0022】
棒体固定部分11bbは、第1棒体12が固定される部分である。棒体固定部分11bbは、第1棒体12が後述するようにパイプ形状の場合、その中空部に挿入して接着剤や固定具などで固定されるようにすることができる(
図3中の右側破線部分参照)。
【0023】
第1棒体12は、長尺の棒体であり、ドアアタッチメント11に固定されている。第1棒体12は、上述したようにして、ドアアタッチメント11に固定されるようにすることができる。
【0024】
第1棒体12は、パイプ形状(例えば、外径が約30mm)とすることができる。そうすると、第1棒体12は、強度が高く、また、その中空部に後に詳述する第2棒体13(例えば、外径が約28mm)が挿通することにより容易に長手方向にスライド可能に結合させることができる。それにより、自動車2の後部サイドドア3側に配置される第1棒体12の外側面の長さが長く(例えば、700mm~900mm程度)、また、その長さが変わらないので、利用者は、自動車2の後部座席5の乗降の際に、太さが均一な第1棒体12の外側面を持って持ち替えながら乗降することができる。第1棒体12の外測面は、利用者の持ち易さの点から、断面丸形状であるのが好ましい。
【0025】
第1棒体12は、
図2(c)に示すように、反射テープ12Aが間隔をあけて複数個巻かれているようにすることができる。そうすると、自動車2の後部サイドドア3を開いたときに、利用者にとって視認し易く、また、自動車2の横を通過しようとする二輪車などに対して注意喚起し易い。また、反射テープ12Aは、注意喚起の点から、黄色であるのが好ましい。
【0026】
第2棒体13は、第1棒体12に対してその長手方向にスライド可能に結合している。第2棒体13は、第1棒体12と同様に、パイプ形状とすることができる。第2棒体13の露出する長さ(第1棒体12から飛び出ている長さ)Lは、短い(例えば、後部サイドドア3を閉じたときに50mm~200mmとなる)のが好ましい。
【0027】
第1棒体12と第2棒体13は、利用者の力に耐え得るものならば素材が特に限定されるものではないが、例えば、スチールやアルミニウム合金などの金属、プラスチック、炭素繊維材などが可能である。
【0028】
前席アタッチメント14は、第2棒体13に固定されている。また、前席アタッチメント14は、自動車2の前席背もたれ4に取り付けられている。前席アタッチメント14は、具体的には、前席背もたれ4の背部に設けられた手摺り4aに取り付けられるようにすることができる。
【0029】
前席アタッチメント14は、棒体固定部14aと前席取付部14bを有している。棒体固定部14aは、第2棒体13に固定される部分である。棒体固定部14aは、具体的な構造が特に限定されるものではないが、第2棒体13がパイプ形状の場合、その中空部に挿入して接着剤や固定具などで固定されるようにすることができる。前席取付部14bは、具体的な構造が特に限定されるものではないが、鉤形状とし、手摺り4aに引っ掛けて取り付けられるようにすることができる。
【0030】
このような構成の後部座席用介助補助装置1は、ドアアタッチメント11のドア固定部11aに対して、第1棒体12(及び第2棒体13及び前席アタッチメント14)が任意の方向に回動可能であり、また、第2棒体13の露出する長さLが変動可能である。それにより、後部座席用介助補助装置1は、
図4に示すように、後部サイドドア3の開閉に追従して形状が変化することができ、それゆえに自動車2に取り付けられることが可能である。後部座席用介助補助装置1が自動車2に取り付けられていると、高齢者又は身体障害者などの利用者は、第1棒体12の外側面を持って自動車2の後部座席5に乗り降りすることができ、注意力及び体力の負担を軽減することが可能になる。また、利用者は、自動車2が走行するときも、第1棒体12の外側面を持って支えとすることができる。
【0031】
なお、
図1A、
図1B、
図4では、例として左側の後部サイドドア3を示している。また、
図4では、後部サイドドア3が開いたときと閉じたときを重ねて示しており、ドアアタッチメント11のドア固定部11aの近傍に位置する固定ガラス固定ゴム3aとドアインナーパネル3bとそれらの間の隙間3cも示している。
【0032】
以上、本発明の実施形態である後部座席用介助補助装置について説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、後部座席用介助補助装置は、製造された自動車に後から取り付けるようにできるものでも自動車の製造工程で取り付けるものでもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 後部座席用介助補助装置
11 ドアアタッチメント
11a ドア固定部
11aa 差し込み平板部分
11ab ボールジョイント支持部分
11ac ボールジョイント本体部分
11b 棒体固定部
11ba ボールジョイント可動部分
11bb 棒体固定部分
12 第1棒体
12A 反射テープ
13 第2棒体
14 前席アタッチメント
14a 棒体固定部
14b 前席取付部
2 自動車
3 後部サイドドア
3a 固定ガラス固定ゴム
3b ドアインナーパネル
3c 固定ガラス固定ゴムとドアインナーパネルとの間の隙間
3d ディビジョンバー
3e 昇降ガラス
3f 固定ガラス
4 前席背もたれ
4a 手摺り
5 後部座席
K ボールジョイント支持部分の水平方向に延びる長さ
L 第2棒体が露出する長さ
【手続補正書】
【提出日】2021-06-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の後部サイドドアに取り付けられるドアアタッチメントと、
該ドアアタッチメントに固定されたパイプ形状の第1棒体と、
該第1棒体に対してその長手方向にスライド可能に結合し、該第1棒体の中空部に挿通して前席背もたれ側にのみ露出し前記後部サイドドアの開閉に追従して露出する長さが変動する第2棒体と、
該第2棒体に固定され、かつ、前記自動車の前記前席背もたれに取り付けられる前席アタッチメントと、
を備える後部座席用介助補助装置。
【請求項2】
請求項1に記載の後部座席用介助補助装置において、
前記ドアアタッチメントは、前記後部サイドドアに固定されるドア固定部と前記第1棒体に固定される棒体固定部を有し、該ドア固定部と該棒体固定部が互いに任意の方向に回動可能に結合している構成である後部座席用介助補助装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の後部座席用介助補助装置において、
前記第1棒体の外側面は、断面丸形状である後部座席用介助補助装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の後部座席用介助補助装置において、
前記第1棒体には、反射テープが間隔をあけて複数個巻かれている後部座席用介助補助装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の後部座席用介助補助装置が取り付けられている自動車。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者又は身体障害者のための後部座席用介助補助装置及びそれが取り付けられた自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者又は身体障害者は、通常、自動車の後部サイドドア(リアサイドドア)や前席背もたれなどに手を掛けて倒れないように気を付けて後部座席に乗り降りする。しかし、それは注意力及び体力の大きな負担を必要とし、また、中には、倒れてしまう場合も起こり得る。そこで、従来より、高齢者又は身体障害者を介助して乗降を補助する介助補助装置が提案されている。例えば、特許文献1には、ドア内張りの上縁部へ固定可能であり固定されたとき窓ガラスと対向する面に指掛け可能な指掛部が形成されている車両用手摺り(介助補助装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されているようなドアに固定する介助補助装置は、自動車に乗る際には最終的には介助補助装置から手を放して前席背もたれなどに手を掛けることになり、また、自動車から降りる際には最終的には前席背もたれなどから手を放してドアに固定された介助補助装置に手を掛けることになり、注意力及び体力の負担は余り軽減されないことにもなりかねない。
【0005】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、高齢者又は身体障害者が自動車の後部座席に乗り降りするときに注意力及び体力の負担を軽減することができる後部座席用介助補助装置及びそれが取り付けられた自動車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の後部座席用介助補助装置は、自動車の後部サイドドアに取り付けられるドアアタッチメントと、該ドアアタッチメントに固定されたパイプ形状の第1棒体と、該第1棒体に対してその長手方向にスライド可能に結合し、該第1棒体の中空部に挿通して前席背もたれ側にのみ露出し前記後部サイドドアの開閉に追従して露出する長さが変動する第2棒体と、該第2棒体に固定され、かつ、前記自動車の前記前席背もたれに取り付けられる前席アタッチメントと、を備える。
【0007】
請求項2に記載の後部座席用介助補助装置は、請求項1に記載の後部座席用介助補助装置において、前記ドアアタッチメントは、前記後部サイドドアに固定されるドア固定部と前記第1棒体に固定される棒体固定部を有し、該ドア固定部と該棒体固定部が互いに任意の方向に回動可能に結合している構成である。
【0008】
請求項3に記載の後部座席用介助補助装置は、請求項1又は2に記載の後部座席用介助補助装置において、前記第1棒体の外側面は、断面丸形状である。
【0009】
請求項4に記載の後部座席用介助補助装置は、請求項1~3のいずれか1項に記載の後部座席用介助補助装置において、前記第1棒体には、反射テープが間隔をあけて複数個巻かれている。
【0010】
請求項5に記載の自動車は、請求項1~4のいずれか1項に記載の後部座席用介助補助装置が取り付けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の後部座席用介助補助装置及び自動車によれば、高齢者又は身体障害者が自動車の後部座席に乗り降りするときに注意力及び体力の負担を軽減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本発明の実施形態に係る後部座席用介助補助装置が取り付けられた自動車の例において、後部サイドドアが開いた状態を示す後方から見た外観図である。
【
図1B】
図1Aに示した自動車の例における後部サイドドアが閉じた状態を示す後方から見た外観図である。
【
図2】同上の後部座席用介助補助装置を示すものであって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は反射テープが間隔をあけて複数個巻かれているものの正面図である。
【
図3】同上の後部座席用介助補助装置のドアアタッチメント及びその近傍を拡大して示す正面図である。
【
図4】同上の後部座席用介助補助装置の形状が自動車の後部サイドドアの開閉に追従して変化することを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施形態に係る後部座席用介助補助装置1は、
図1A及び
図1Bに示すように、自動車2に取り付けられるものである。後部座席用介助補助装置1は、ドアアタッチメント11と第1棒体12と第2棒体13と前席アタッチメント14を備える。なお、
図1A及び
図1Bは、後部サイドドア(リアサイドドア)3の乗降口より後方は省略している。
【0014】
ドアアタッチメント11は、自動車2の後部サイドドア3に取り付けられるものである。ドアアタッチメント11は、
図2(a)、(b)に示すように、後部サイドドア3に固定されるドア固定部11aと第1棒体12に固定される棒体固定部11bを有し、ドア固定部11aと棒体固定部11bが互いに任意の方向(三次元の任意の方向)に回動可能に結合(例えば、後に詳述するボールジョイント)している構成にすることができる。
【0015】
ドア固定部11aは、具体的な構造が特に限定されるものではないが、
図3に示すように、差し込み平板部分11aaとボールジョイント支持部分11abとボールジョイント本体部分11acを有するようにすることができる。
【0016】
差し込み平板部分11aaは、自動車2の後部サイドドア3における固定ガラス固定ゴム3a(
図1A及び
図4参照)とドアインナーパネル3b(
図1A及び
図4参照)の間の隙間3c(
図4参照)に下方向に向かって差し込まれる(
図1A中の破線部分参照)ことにより、後部サイドドア3に固定可能なものである。差し込み平板部分11aaは、固定ガラス固定ゴム3aとドアインナーパネル3bに挟まれてそれらの弾力により固く固定されるようにすることができる。差し込み平板部分11aaは、例えば、厚さ2mm~3mm程度である。なお、固定ガラス固定ゴム3aは、後部サイドドア3のディビジョンバー3dで仕切られた昇降ガラス3eと固定ガラス3fのうち後方の固定ガラス3fを固定している(
図1A参照)。
【0017】
ボールジョイント支持部分11abは、差し込み平板部分11aaに連続して設けられ、後に詳述するボールジョイント本体部分11acを支持するものである。ボールジョイント支持部分11abは、差し込み平板部分11aaが後部サイドドア3に固定されたとき、水平方向(
図2(a)、(b)では左右方向)に延びている。水平方向に延びる長さKは、後部サイドドア3が所望の角度(
図1A及び
図4においては90度)開くとき、ディビジョンバー3dなどが後に詳述する第1棒体12の邪魔にならないような長さとすることができる。また、ボールジョイント支持部分11abには、固定具によりボールジョイント本体部分11acが固定されるようにすることができる(
図3参照)。ボールジョイント支持部分11abの下方には、後ドアインナーパネル3bとの間に緩衝材を配置してもよい。
【0018】
ボールジョイント本体部分11acは、球面部分(
図3中の破線部分とその下側の少し露出した実線部分参照)を有し、差し込み平板部分11aaが後部サイドドア3に固定されたとき、上部に球面部分が位置する。
【0019】
棒体固定部11bは、具体的な構造が特に限定されるものではないが、ボールジョイント可動部分11baと棒体固定部分11bbを有するようにすることができる。
【0020】
ボールジョイント可動部分11baは、ボールジョイント本体部分11acの球面部分に球面接触(つまり、ボールジョイント)(
図3中の破線部分参照)して任意の方向に回動可能に結合する部分である。
【0021】
棒体固定部分11bbは、第1棒体12が固定される部分である。棒体固定部分11bbは、第1棒体12が後述するようにパイプ形状の場合、その中空部に挿入して接着剤や固定具などで固定されるようにすることができる(
図3中の右側破線部分参照)。
【0022】
第1棒体12は、長尺の棒体であり、ドアアタッチメント11に固定されている。第1棒体12は、上述したようにして、ドアアタッチメント11に固定されるようにすることができる。
【0023】
第1棒体12は、パイプ形状(例えば、外径が約30mm)とすることができる。そうすると、第1棒体12は、強度が高く、また、その中空部に後に詳述する第2棒体13(例えば、外径が約28mm)が挿通することにより容易に長手方向にスライド可能に結合させることができる。それにより、自動車2の後部サイドドア3側に配置される第1棒体12の外側面の長さが長く(例えば、700mm~900mm程度)、また、その長さが変わらないので、利用者は、自動車2の後部座席5の乗降の際に、太さが均一な第1棒体12の外側面を持って持ち替えながら乗降することができる。第1棒体12の外測面は、利用者の持ち易さの点から、断面丸形状であるのが好ましい。
【0024】
第1棒体12は、
図2(c)に示すように、反射テープ12Aが間隔をあけて複数個巻かれているようにすることができる。そうすると、自動車2の後部サイドドア3を開いたときに、利用者にとって視認し易く、また、自動車2の横を通過しようとする二輪車などに対して注意喚起し易い。また、反射テープ12Aは、注意喚起の点から、黄色であるのが好ましい。
【0025】
第2棒体13は、第1棒体12に対してその長手方向にスライド可能に結合している。第2棒体13は、第1棒体12と同様に、パイプ形状とすることができる。第2棒体13の露出する長さ(第1棒体12から飛び出ている長さ)Lは、短い(例えば、後部サイドドア3を閉じたときに50mm~200mmとなる)のが好ましい。
【0026】
第1棒体12と第2棒体13は、利用者の力に耐え得るものならば素材が特に限定されるものではないが、例えば、スチールやアルミニウム合金などの金属、プラスチック、炭素繊維材などが可能である。
【0027】
前席アタッチメント14は、第2棒体13に固定されている。また、前席アタッチメント14は、自動車2の前席背もたれ4に取り付けられている。前席アタッチメント14は、具体的には、前席背もたれ4の背部に設けられた手摺り4aに取り付けられるようにすることができる。
【0028】
前席アタッチメント14は、棒体固定部14aと前席取付部14bを有している。棒体固定部14aは、第2棒体13に固定される部分である。棒体固定部14aは、具体的な構造が特に限定されるものではないが、第2棒体13がパイプ形状の場合、その中空部に挿入して接着剤や固定具などで固定されるようにすることができる。前席取付部14bは、具体的な構造が特に限定されるものではないが、鉤形状とし、手摺り4aに引っ掛けて取り付けられるようにすることができる。
【0029】
このような構成の後部座席用介助補助装置1は、ドアアタッチメント11のドア固定部11aに対して、第1棒体12(及び第2棒体13及び前席アタッチメント14)が任意の方向に回動可能であり、また、第2棒体13の露出する長さLが変動可能である。それにより、後部座席用介助補助装置1は、
図4に示すように、後部サイドドア3の開閉に追従して形状が変化することができ、それゆえに自動車2に取り付けられることが可能である。後部座席用介助補助装置1が自動車2に取り付けられていると、高齢者又は身体障害者などの利用者は、第1棒体12の外側面を持って自動車2の後部座席5に乗り降りすることができ、注意力及び体力の負担を軽減することが可能になる。また、利用者は、自動車2が走行するときも、第1棒体12の外側面を持って支えとすることができる。
【0030】
なお、
図1A、
図1B、
図4では、例として左側の後部サイドドア3を示している。また、
図4では、後部サイドドア3が開いたときと閉じたときを重ねて示しており、ドアアタッチメント11のドア固定部11aの近傍に位置する固定ガラス固定ゴム3aとドアインナーパネル3bとそれらの間の隙間3cも示している。
【0031】
以上、本発明の実施形態である後部座席用介助補助装置について説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、後部座席用介助補助装置は、製造された自動車に後から取り付けるようにできるものでも自動車の製造工程で取り付けるものでもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 後部座席用介助補助装置
11 ドアアタッチメント
11a ドア固定部
11aa 差し込み平板部分
11ab ボールジョイント支持部分
11ac ボールジョイント本体部分
11b 棒体固定部
11ba ボールジョイント可動部分
11bb 棒体固定部分
12 第1棒体
12A 反射テープ
13 第2棒体
14 前席アタッチメント
14a 棒体固定部
14b 前席取付部
2 自動車
3 後部サイドドア
3a 固定ガラス固定ゴム
3b ドアインナーパネル
3c 固定ガラス固定ゴムとドアインナーパネルとの間の隙間
3d ディビジョンバー
3e 昇降ガラス
3f 固定ガラス
4 前席背もたれ
4a 手摺り
5 後部座席
K ボールジョイント支持部分の水平方向に延びる長さ
L 第2棒体が露出する長さ