(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109195
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】薬剤塗布具、薬剤塗布用キットおよび薬剤塗布具用押圧具
(51)【国際特許分類】
A61M 35/00 20060101AFI20220720BHJP
A45D 33/36 20060101ALI20220720BHJP
A45D 34/04 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
A61M35/00 Z
A45D33/36 Z
A45D34/04 535Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018081
(22)【出願日】2021-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2021004391
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021012299
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520177024
【氏名又は名称】松中 久晃
(74)【代理人】
【識別番号】100130580
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100126963
【氏名又は名称】来代 哲男
(72)【発明者】
【氏名】松中 久晃
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA62
4C267BB02
4C267BB31
4C267BB37
4C267CC01
(57)【要約】
【課題】処理用品を着脱自在に保持可能であって、かつ処理用品の塗布に使用する有効面積を可能な限り大きくすることが可能な薬剤塗布具を提供する。
【解決手段】長手方向に延び、一端部側を握持部V11とするアームV10と、アームV10の長手方向にほぼ平行してアームV10に配置された台座部222と、を備える薬剤塗布具V100において、台座部222に塗布部材を着脱可能に保持する一対の押圧具130、130を設け、一対の押圧具130、130は塗布部材を台座部222に当接させる押圧力を発生する反発具を備え、押圧具130、130の操作を補助するための又は押圧具130,130を操作するための指当部172を備える。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延び、一端部側を握持に用するアームと、前記アームの長手方向にほぼ平行して前記アームに配置された台座部と、を備える薬剤塗布具において、前記台座部に塗布部材を着脱可能に保持する一対の押圧具を設け、一対の前記押圧具は前記塗布部材を前記台座部に当接させる押圧力を発生する反発具を備え、前記薬剤塗布具は前記押圧具の操作を補助するための又は前記押圧具を操作するための指当部を備えることを特徴とする薬剤塗布具。
【請求項2】
前記台座部は前記アームの他端部またはその近傍に配置され、前記アームの他端側に前記アームを延在させる副アームを着脱自在に取付け、この副アームの端部も握持に用することを特徴とする請求項1に記載の薬剤塗布具。
【請求項3】
前記台座部を前記アームのほぼ中央部に配置し、前記アームの両端部をそれぞれ握持に用することを特徴とする請求項1に記載の薬剤塗布具。
【請求項4】
前記アームに溝を配置し、前記反発具を、少なくとも一部が前記溝内に嵌入して保持されるようにして配置することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の薬剤塗布具。
【請求項5】
一対の前記押圧具のそれぞれの一端部側をつまみ部に形成し、前記反発具は、一端部が各前記押圧具のつまみ部の背面側を押圧し、他端部が前記アームに固定された、前記アームに設けた軸に巻回されるキックバネであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の薬剤塗布具。
【請求項6】
一対の前記押圧具のそれぞれの一端部側をつまみ部に形成し、前記反発具は、両端部が各前記押圧具のつまみ部の背面側に固定される板バネであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の薬剤塗布具。
【請求項7】
前記反発具は、前記アームに保持することなく前記押圧具のみに固定されることを特徴とする請求項6に記載の薬剤塗布具。
【請求項8】
前記台座部は前記アームの他端部またはその近傍に配置され、一対の前記押圧具の一方が、前記アームの他端より外側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の薬剤塗布具。
【請求項9】
前記アームの少なくとも一端部側に、前記アームの他の部位と形状および/または材質の異なる握持部が設けられることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の薬剤塗布具。
【請求項10】
前記薬剤塗布具を自立した体勢に保持するための自立用足部を備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の薬剤塗布具。
【請求項11】
前記押圧具は前記反発具の動作を規制する規制部を備えることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の薬剤塗布具。
【請求項12】
前記規制部が、前記反発具を所定の軌道に沿ってスライドさせるよう規制し得る凹凸部であることを特徴とする請求項11に記載の薬剤塗布具。
【請求項13】
前記規制部が、前記反発具を所定の範囲内で通過するよう規制し得る貫通部であることを特徴とする請求項11に記載の薬剤塗布具。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の薬剤塗布具と、台座部に配置される塗布部材とを備えることを特徴とする薬剤塗布用キット。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか1項に記載の薬剤塗布具に塗布部材を着脱可能に保持する押圧具であって、前記薬剤塗布具に回動可能に支持される軸支部と、前記軸支部から延出して前記塗布部材に当接し得る当接部と、前記軸支部から前記当接部とは異なる方向へ延出して把持に用するつまみ部とを備えることを特徴とする薬剤塗布具用押圧具。
【請求項16】
前記薬剤塗布具の少なくとも一部を挿通し得る通り抜け穴を有することを特徴とする請求項15に記載の薬剤塗布具用押圧具。
【請求項17】
前記当接部が、凸部および/または凹部よりなる滑り止めを有することを特徴とする請求項15または16に記載の薬剤塗布具用押圧具。
【請求項18】
前記反発具の動作を規制する規制部を備えることを特徴とする請求項15から17のいずれか1項に記載の薬剤塗布具用押圧具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の背中部に消炎剤や日焼け止め等の薬剤または化粧品を塗布する薬剤塗布具、薬剤塗布用キットおよび薬剤塗布具用押圧具に係り、特に被塗布者自身が薬剤または化粧品を塗布するのに好適な薬剤塗布具、薬剤塗布用キットおよび薬剤塗布具用押圧具に関する。
【背景技術】
【0002】
背中部等の被塗布者自身の手が行き届かない部分に、軟膏や薬液または日焼け止め等の液状化粧品を被塗布者自身で塗布する、または湿布を貼付するための補助具が従来から多数提案されている。それらの多くでは、いわゆる孫の手の掻き手部分に液剤を塗布するための塗布部または貼付部を形成している。
【0003】
従来の薬品塗布具の一例が、特許文献1に記載されている。この公報では、背中などの手の届きにくい部位の患部への薬剤の塗布、消毒、膿の拭き取り、血液の拭き取り等を自分で行えるようにする薬剤塗布器具が提供されている。すなわち、湾曲したアームの一端に持ち手を有し、他端に薬剤塗布部を有する薬剤塗布器具であって、薬剤塗布部の上部に挟持用止め板を備える。使用時は、ティッシュぺーパーやガーゼ、脱脂綿等を薬剤塗布部の下に敷き、折り線で谷折りして薬剤塗布部に巻き付け、両端を薬剤塗布部の上面に折り畳む。その後、挟持用止め板を被せ、係合爪で固定する。
【0004】
従来の、貼り薬を背中の患部に容易に貼ることや剥がすことができる家庭用医療補助具の例が、特許文献2に記載されている。この公報に記載の医療補助具では、貼り薬固定具が、下辺部に剥がし部を備えた湾曲状の押え板上部と、爪を備えた挟み板の上部を、バネを備えた軸により結合し、一体構造をなしている。握り部を備えた支持アームが、支持アーム取付け部により接続されて、着脱や角度調整ができる構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3176802号公報
【特許文献2】特開2001-129098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の従来の塗布具では、孫の手状の塗布具の端部に、孫の手における掻き手部の代わりに塗布用の部材を設けている。そして塗布用の部材に薬剤を浸みこませるか塗布して、被塗布者の肌に転写している。このように構成することにより、被塗布者自身の手が行き届かない背中の部分であっても、あたかも自分の手で薬品を塗布している感覚になることを可能としている。
【0007】
特許文献1に記載の塗布用器具では、湾曲したアームの先端部に楕円形状の薬剤塗布部を形成し、その薬剤塗布部を包むように配置したティッシュぺーパー、コットン、ガーゼ等(以下処理用品とも称す)に、薬剤塗布部の根元部で回動する挟持用止め板を回動させて押圧し、止め板の端部に設けた係合爪で固定している。この塗布用器具では、ティッシュペーパーやコットン、ガーゼ等の処理用品を確実に保持できるが、処理用品の全体に占める、塗布や拭い去りに使用する部分の割合または有効面積が少なくなる。処理用品の代表例であるカット綿やコットンパフ等の標準製品は5cm角程度であり、挟持用に折り畳むと塗布や拭き取りに使用できる有効面積が激減して、肌の僅かの部分しか一度に処理(塗布や拭き取り)できずに塗布時間が長くなるとともに、処理に使用されずに捨てられる部分が増大する。
【0008】
特許文献2には、爪を備えた挟み板で貼り薬を把持して貼付部へ運び、貼付位置に達したら挟み板による把持を止めて、押え板で貼り薬を押えて貼付することが開示されている。特許文献2に記載の医療補助具は、貼り薬を貼付するまたは剥がすことを主目的としているので、カット綿やコットンパフ等の処理用品を用いて薬品を塗布する場合に、カット綿やコットンパフを確実に保持しながら薬品塗布に使用する有効面積をできるだけ大きくすることについては考慮されていない。
【0009】
本発明は、上記自分自身で薬液を背中に塗布する塗布具の従来の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、アームを有する孫の手の掻き手部分を薬液の塗布具に置換した薬剤塗布具において、塗布に使用する使い捨ての処理用品を着脱自在に保持可能であって、かつ処理用品の塗布に使用する有効面積を可能な限り大きくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明の特徴は、長手方向に延び、一端部側を握持に用するアームと、前記アームの長手方向にほぼ平行して前記アームに配置された台座部と、を備える薬剤塗布具において、前記台座部に塗布部材を着脱可能に保持する一対の押圧具を設け、一対の前記押圧具は前記塗布部材を前記台座部に当接させる押圧力を発生する反発具を備え、前記薬剤塗布具は前記押圧具の操作を補助するための又は前記押圧具を操作するための指当部を備えることにある。
【0011】
本発明において、「一端部側を握持に用するアーム」は、例えば、「一端側に把持部が形成されたアーム」のように言い換えることもできる。
また、「ほぼ平行」とは、アームの長手方向と台座部とが互いの間に角度をなすことなく完全に平行となっている状態だけでなく、互いの間に多少の角度をなしておおむね平行となっている状態も含意する。具体的には例えば、アームの長手方向と台座部とが互いの間に0°~7°程度の角度をなすように、完全に又はおおむね平行となっている状態を含意する。
また、塗布部材が配置される態様としては、例えば、台座部の底面側の少なくとも一部を覆うように配置される態様等が含まれる。
また、「塗布部材」とは、薬品、化粧品等の塗布剤を表面ないし内部に保持し得、かつ、台座部に配置し得るものであれば任意の部材を含意する。例えば、天然繊維、化学繊維等よりなる綿(コットン)、布、不織布、紙等の部材がいずれも含意され、より具体的には例えば、コットンパフ、カット綿等の脱脂綿、ティッシュペーパー、ガーゼ等がいずれも含意される。また、使い捨てが可能なものも可能でないものもいずれも含意される。また、「塗布部材」との用語は、例えば「処理用品」と言い換えることもできる。
また、「塗布部材を台座部に当接させる押圧力を発生する反発具」とは、より具体的には、例えば「塗布部材を台座部に当接させ、塗布部材の台座部に対する押圧力を発生する反発具」を含意する。
また、「押圧具」としては、例えば、台座部との間に塗布部材を挟み込むようにして保持し得るクリップ等の挟持手段が含意される。
また、「押圧具の操作を補助するための」とは、押圧具の開閉を行う際に、手指で一対の押圧具のつまみ部の狭圧を試みるも安定的に押圧具の開閉位置をコントロール出来ない場合に補助的に指当部を用い押圧具の開閉操作を補助することをいい、「押圧具の操作をするための」とは、当初から一対の押圧具のつまみ部を挟圧することはせず下記「発明を実施するための形態」で説明する用い方と同様の用い方のみをすることをいう。すなわち、それぞれの押圧具に対応して配置された指当部を押圧具の開閉操作時に必ず用いることをいう。
【0012】
したがって、上記本発明の特徴は、例えば以下のように言い換えることもできる。
長手方向に延び、一端側に把持部が形成されたアームと、前記アームの長手方向に対し完全に又はおおむね平行となるように前記アームに配置された台座部とを備える薬剤塗布具において、前記台座部の底面側の少なくとも一部を覆うように配置される使い捨てが可能もしくは不可能な処理用品を着脱可能に保持する一対のクリップを設け、一対の前記クリップは前記処理用品を前記台座部に当接させ、前記処理用品の前記台座部に対する押圧力を発生する反発具を備え、前記薬剤塗布具は前記クリップの操作を補助するための又は前記クリップを操作するための指当部を備えること。
【0013】
そして上記本発明の特徴において、前記台座部を前記アームのほぼ中央部に配置し、前記アームの両端部をそれぞれ握持に用する部位すなわち把持部としてもよい。また、前記台座部は前記アームの他端部またはその近傍に配置され、前記アームの他端側に前記アームを延在させる副アーム(本明細書においては、「補助アーム」とも称す)を着脱自在に取付け、この副アームの端部に第2の把持部を形成(即ち、この副アームの端部も握持に用するように)してもよい。
【0014】
上記特徴において、一対の前記押圧具(クリップ等)のそれぞれの端部をつまみ部として形成し、前記反発具は、一端が各前記押圧具(クリップ等)のつまみ部の背面側に当接し、他端が前記アームに固定された、前記アームに設けた軸に巻回されるコイルバネ(例えばキックバネ、トーションバネ、ねじりコイルバネ等と称されるバネ)であってもよく、前記反発具は、両端部が各前記押圧具(クリップ等)のつまみ部の背面側に固定される板バネであってもよい。さらに、前記アームに対して前記台座部を揺動可能に保持してもよい。
なお、「巻回される」とは、例えば、軸、ピン等の対象物に物理的に接触しつつ密着して巻かれることや、該対象物との間に遊び(またはクリアランス)をもって巻かれること、等をいずれも含意する。
【0015】
上記特徴において、前記反発具は、前記アームに保持することなく前記押圧具のみに固定してもよい。
【0016】
上記特徴において、前記アームに雄ネジまたは雌ネジを設け、前記副アームに雌ネジまたは雄ネジを設け、前記アームの雄ネジまたは雌ネジと前記副アームの雌ネジまたは雄ネジとを螺合することにより、前記アームに前記副アームを着脱自在に取付けるようにしてもよい。
【0017】
上記特徴において、前記アームに溝を配置し、前記反発具を、少なくとも一部が前記溝内に嵌入して保持されるようにして配置するようにしてもよい。
なお、この場合、溝内にダボ状の突起物や軸を含有する態様等が可能である。
【0018】
上記特徴において、前記台座部は前記アームの他端部またはその近傍に配置し、一対の前記押圧具の一方を、前記アームの他端より外側に設けるようにしてもよい。
【0019】
上記特徴において、前記アームの少なくとも一端部側に、前記アームの他の部位と形状および/または材質の異なる握持部を設けるようにしてもよい。
【0020】
上記特徴において、前記薬剤塗布具を自立した体勢に保持するための自立用足部を設けるようにしてもよい。
【0021】
上記特徴において、前記押圧具は前記反発具の動作を規制する規制部を備えるようにしてもよい。
【0022】
「反発具の動作を規制する規制部」とは、反発具の動作を所定の態様に規制し得るものであれば任意の部位を含意する。例えば、反発具を所定の軌道に沿ってスライドさせるよう規制し得る凹凸部(例えば案内溝や案内リブ等)、反発具を所定の範囲内で通過するよう規制し得る貫通部(例えば通過孔やスリット等)、反発具を所定の回転動作をするよう規制し得る軸支部等がいずれも含意される。さらには、例えば、上記規制部の具体的態様のうち、案内溝、案内リブ、通過孔、スリット等は、反発具を案内する案内部、即ち、押圧具に対する反発具の相対的な運動を所定の様態となるように案内し得る案内部、というように言い換えることもできる。
【0023】
また、本発明は、上記薬剤塗布具と、台座部に配置される塗布部材とを備えることを特徴とする薬剤塗布用キットを提供するものである。
【0024】
また、本発明は、上記薬剤塗布具に塗布部材を着脱可能に保持する押圧具であって、前記薬剤塗布具に揺動可能に支持される軸支部と、前記軸支部から延出して前記塗布部材に当接し得る当接部と、前記軸支部から前記当接部とは異なる方向へ延出して把持に用するつまみ部とを備えることを特徴とする薬剤塗布具用押圧具を提供するものである。
【0025】
上記特徴において、前記薬剤塗布具の少なくとも一部を挿通し得る通り抜け穴を有する薬剤塗布具用押圧具としてもよい。
【0026】
上記特徴において、前記当接部に、凸部および/または凹部よりなる滑り止めを設けるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、塗布部材(または処理用品)を着脱可能に保持することが可能な、クリップで代表される押圧具(挟持手段等)をアームと一体形成された台座部を有するアームに設けたので、簡単な構成で塗布部材(または処理用品)を容易に着脱できる。また、クリップで代表される押圧具(挟持手段等)で塗布部材(または処理用品)を保持するだけなので、薬品等の塗布に使用する塗布部材(または処理用品)の有効面積の減少を抑制できる。また、押圧具の操作を補助するための又は前記押圧具を操作するための指当部を設けたので、操作性を良好とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係る薬剤塗布具の一実施例の分解斜視図(a)、上面図(b)および側面図(c)である。
【
図2】
図1に示した薬剤塗布具の押圧具を示す上面図(a)、側面図(b)、正面図(c)、ならびにその動作を説明する側面図(d)である。
【
図3】本発明に係るクリップのいくつかの変形例の側面図(a)、(b)である。
【
図4】本発明に係る反発具の変形例を説明するための図であり、キックバネを用いたクリップ部の上面図(a)、正面図(b)、側面図(c)、板バネを用いたクリップ部の正面図(d)および側面図(e)である。
【
図5】
図4に示した反発具のさらに他の変形例を説明するための図であり、クリップ部の上面図(a)および側面図(b)である。
【
図6】
図1に示した反発具にかえて反発具(板バネ)を用いたときの上面図(a)および側面図(b)である。
【
図7】本発明に係る薬剤塗布具の変形例の側面断面図である。
【
図8】アームと補助アームとの接合構造の他の例を示す図であり、補助アームにおける接合部の上面図(a)、正面図(b)および側面図(c)である。
【
図9】アームと補助アームとの接合構造の他の例を示す側面図である。
【
図10】
図9に示したアームにおける接合部の上面図である。
【
図11】
図9に示した補助アームにおける接合部の正面図である。
【
図12】本発明に係る薬剤塗布具の他の変形例の側面図である。
【
図13】本発明に係る薬剤塗布具のさらに他の変形例を示す図であり、主要部の分解斜視図(a)および側面図(b)である。
【
図14】本発明に係る薬剤塗布具のさらに他の変形例を説明するための図であり、握持部の背面図(a)および側面図(b)である。
【
図15】本発明に係る薬剤塗布具のさらに他の変形例を説明するための図であり、握持部の背面図(a)および側面図(b)である。
【
図16】本発明に係る押圧具における当接部のいくつかの変形例の斜視図(a)~(f)である。
【
図17】本発明に係る薬剤塗布具の他の変形例の分解斜視図である。
【
図18】本発明に係る薬剤塗布具の変形例の主要部の正面図(a)、側面図(b)、押圧具の側面図(c)および正面図(d)である。
【
図19】本発明に係る薬剤塗布具の他の変形例の主要部の正面図(a)、側面図(b)、押圧具の側面図(c)および正面図(d)である。
【
図20】本発明に係る薬剤塗布具のさらに他の変形例の主要部の正面図(a)、側面図(b)および底面図(c)である。
【
図21】本発明に係る薬剤塗布具のさらに他の変形例の主要部の斜視図(a)、上面図(b)および側面図(c)である。
【
図22】本発明に係る薬剤塗布具のさらに他の変形例の正面図(a)、側面図(b)および底面図(c)である。
【
図23】本発明に係る薬剤塗布具のさらに他の変形例の側面図である。
【
図24】本発明に係る薬剤塗布具のさらに他のいくつかの変形例の斜視図(a)および(b)である。
【
図25】本発明に係る薬剤塗布具のさらに他のいくつかの変形例の斜視図(a)および(b)である。
【
図26】本発明に係る薬剤塗布具のさらに他のいくつかの変形例の斜視図(a)および(b)である。
【
図27】本発明に係る薬剤塗布具のさらに他の変形例の側面図である。
【
図28】本発明に係る薬剤塗布具のさらに他の変形例の分解斜視図である。
【
図29】本発明に係る薬剤塗布具のさらに他の変形例の斜視図(a)ならびに
図29(a)の主要部のいくつかの変形例の側面図(b)~(e)である。
【
図30】本発明に係る薬剤塗布具のさらに他の変形例の主要部の正面図(a)、側面図(b)および底面図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る薬剤塗布具の一実施例を、図面を用いて説明する。
図1(a)は、本発明に係る薬剤塗布具100の一実施例の分解斜視図であり、
図1(b)は
図1(a)に示す薬剤塗布具100の部分上面図、
図1(c)は
図1(a)に示す薬剤塗布具100の部分側面図である。
【0030】
薬剤塗布具100は、30~70cm程度まで長く延びた棒状のアーム10と、このアーム10の長手方向にほぼ平行して該アーム10に配置された台座部222とを有する塗布具本体200を備える。例えばアーム10と台座部222とがともに合成樹脂製の場合には、型成形、射出成形等で塗布具本体200を一体に成形することができる。例えばアーム10が木製、アルミニウム等の軽量金属製等であれば、台座部222を木製、軽量金属製等のアーム10にネジ等で固定して一体化しても良い。また、例えば、合成樹脂製のアーム10に台座部222をネジ等で固定して一体化しても良い。また、台座部222は、スペーサー等の接続材(不図示)を介してアーム10と接続され一体化されても良い。さらにはアーム10と台座部222とは一体化する態様以外に、上述例で示すようにネジ等で接合しアーム10と台座部222を着脱可能な構成とし台座部222のサイズの変更を可能にする態様や細部の洗浄を容易にする態様も可能である。なお、アーム10と台座部222とが接合または一体化される部分はアーム10の軸方向の一部をなす柱体部分と台座部222とで集中部220を構成する。より具体的には、集中部220は、アーム10において、押圧具(クリップ)130、押圧具(クリップ)130の取付け軸(保持軸)268、台座部222、反発具および反発具保持部分(取付け軸268、等の保持手段含む)より構成される部分となっている。
【0031】
アーム10の一端部側には、被塗布者が自身で握持する握持部11が形成されている。握持部の長さは10cm~25cm程度となっている。本実施例の薬剤塗布具100では、孫の手の掻き手部分を塗布具本体200で置き換えた構造を採用しているので、被塗布者の背中に薬剤を塗布するのに便利なように、アーム10はわずかに湾曲している。しかしながらアーム10は、一方向に湾曲するだけでなく、複数の方向に湾曲する形状(例えば概略S字状に湾曲する形状等)であってもよく、あるいは例えば、直線状に延びていてもよい。
【0032】
塗布具本体200のアーム10における握持部11の反対側は、台座部222の動作に影響を及ぼさない程度に、台座部222より外側へ延びた延在部14となっている。延在部14は通常1cm~5cm程度であるが、後述する実施例のように、薬剤塗布具100を両手で握持するような場合には、30cm~70cm程度延在させた補助アーム400に置き換え、その端部に第2の握持部11を配置(形成)するようにする。延在部14は後述する押圧具130の通り抜け穴134を貫通していてもよいし、貫通していなくてもよい。
【0033】
塗布具本体200にはさらに、台座部222に塗布部材300を確実に保持するために、集中部220の軸方向でなおかつ台座部222の前後それぞれの位置近傍に外形が概略矩形状(押圧具130の横断面形状は手指の形状に馴染みやすいアーチ状のものや概略S字状、クランク状のものでもよい)の一対の押圧具130がほぼ対称に揺動可能に設けられる。押圧具130の構成を
図2にも示す。
図2は、押圧具130の上面図(a)、側面図(b)、正面図(c)であり、
図2(d)は押圧具130の動作を説明する側面図である。押圧具130は、一方向(
図2(b)~(d)では上下方向)にやや長い概略長方形状の板状に成形されている。押圧具130の正面において、押圧具130の長さ方向の一方端(
図2(b)~(d)では下端)寄りであって幅方向の略中央の位置には、押圧具130の長さ方向に沿ってやや長い概略長円形の通り抜け穴134が開いており、押圧具130を塗布具本体200の台座部222近傍に取付けたときに延在部14や集中部220、アーム10との干渉を防いでいる。即ち、押圧具130は、薬剤塗布具100の少なくとも一部を貫通させ得る通り抜け穴134を有する構成となっている。
【0034】
押圧具130を集中部220に取付けるために、押圧具130の通り抜け穴134の長さ方向中央部近傍から押圧具130の両側長辺部へ貫通するように幅方向に延びる穴137が設けられている。穴137は、後述する集中部220の取付け穴265に嵌挿される取付け軸268と嵌合する。側面方向から視て押圧具130には、
図2(b)に示すように、穴137の中心点から押圧具130の正面に向けて押圧具130に対し垂直に交わるように延出する仮想線A1を切断線と捉えた場合に、これよりも台座部222側(図では下側)S1とは反対側の反台座部222側(図では上側)S2につまみ部138が形成されており、台座部222側S1に先端部が台座部222の方向に折れ曲がっている当接部132が形成されている。即ち、押圧具130は、薬剤塗布具100に塗布部材300を着脱可能に保持する押圧具であって、薬剤塗布具100に揺動可能に支持される軸支部である穴137と、上記軸支部から延出して塗布部材300に当接し得る当接部132と、上記軸支部から当接部132とは異なる方向へ延出して把持に用するつまみ部138とを備える薬剤塗布具用押圧具となっている。
【0035】
図1(a)および
図2(a)に示すように、押圧具130の背面(台座部222側面)において、通り抜け穴134の近傍から、押圧具130の長さ方向の他方端(
図1(a)では上端)へ向けて、断面概略半円形の溝状であって直線状に延びるガイドレール160が形成されている。即ち、押圧具130には、当接部132の折れ曲がり方向側面において、押圧具130の長さ方向の他方端(
図1(a)では上端)をなす短辺の略中央から、押圧具130の長さ方向(
図1(a)では上下方向)に沿って、通り抜け穴134の長さ方向の一方端(
図1(a)では上端)近傍の位置まで直線状に延びるように、断面概略弧状の溝形のガイドレール160が設けられている。ガイドレール160は、後述する反発具(キックバネ)292の屈曲部2921を、若干の余裕(遊び)をもって嵌入させ得る程度の幅および深さを有するように形成されている。ガイドレール160の少なくとも表面(内面)は、例えば、優れた摺動特性(低い摩擦係数や高い耐摩耗性等)を有していることが望ましい。このため、例えば、少なくともガイドレール160の表面(内面)を、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂その他のような摺動特性に優れる材料で構成したり、あるいは、押圧具130の材質によっては、ガイドレール160の表面(内面)に、上述のような摺動特性に優れる材料よりなる表面層を設けるようにしてもよい。また、当該実施形態ではガイドレールが必要な態様としているが、ガイドレールを不使用とする態様にも対応する。
【0036】
塗布具本体200の集中部220の側面でなおかつ軸方向にほぼ対称に配置された一対(左右両側面のうちの一方の側面につき一対)の取付け穴265が左右両側面に配置されており、取付け穴265には取付け軸268が嵌挿され取付けられる。取付け軸268には、穴137と嵌合して押圧具130が揺動可能に集中部220に取付けられる。
図1(c)に示すように、反発具(キックバネ)292の端部(両端部)は、内側(コイル側)へ鉤状に曲げられ、これにより局部的に湾曲状に屈曲した形状の屈曲部2921が形成されており、この屈曲部2921が、押圧具130のつまみ部138の背面側を押圧するか、または反発具の端部処理としては押圧具の操作時に反発具端部が押圧具との間で抵抗とならない形状、例えば直線状または弧状に伸びていてもよいし、先端が略球体状などに処理されていてもよい。このとき、反発具(キックバネ)292の屈曲部2921は、ガイドレール160に嵌入され、ガイドレール160内をスライド(摺動)しつつ、押圧具130のつまみ部138の背面側を押圧する。ここで例えばもし、押圧具にガイドレールのような部位が設けられていないとした場合には、反発具が押圧具に対して所期の方向以外にずれて(逸れて)しまい、その結果、反発具の押圧力が押圧具に十分に伝わらないことにもなり得る。これに対し、本実施例のようにガイドレール160(規制部)で反発具(キックバネ)292の動作を規制する構成によれば、反発具の動作をより確実かつ容易に行わせることができ、これにより反発具の押圧力を押圧具に確実かつ十分に伝えることができる。また特に、上述例のように屈曲部2921が局部的に湾曲状に屈曲した形状となっており、その外側でガイドレール160内をスライド(摺動)することにより、よりスムーズにスライド(摺動)することができる。取付け穴265には取付け軸268が固定して取付けられるが、取付け穴265に取付け軸268が回動可能に嵌合し押圧具130の穴137に取付け軸268が溶接やカシメ留め、ロウ付けや接着などをして固定してもよい。
【0037】
集中部220の上周面の軸方向(アーム10の長さ方向)に、側面視で概略半月形状等、上面視で四角形状、長方形状、楕円状等、あるいは斜視では円柱状等の各種形状を有する溝232が配置されてあり、集中部220を径方向に溝232を通す穴235を設け、その穴235を用い溝232に押さえピン234を架設する。押さえピン234は穴235に挿入して摩擦力により固定する構成としてもよいし、嵌合させたのち端部にカシメ加工などの抜け落ち防止の処理を施してもよい。また、押さえピン234を長尺の頭付きネジとし貫通穴235の片側をナットとして組み合わせてもよい。押さえピン234に反発具(キックバネ)292のコイル部分を巻回す(
図1(b)、(c)参照)こと、換言すれば、反発具(キックバネ)292を、少なくとも一部が溝232内に嵌入して保持されるようにして配置することで、あらかじめ付勢した状態で配置し押圧具130のつまみ部138の背面側を押圧する反発具(キックバネ)292を集中部220に確実に保持することを可能にする。
【0038】
図1(c)を参照して反発具(キックバネ)292をあらかじめ付勢して取付けた状態の反発具の作用と、その作用による押圧具の動作を詳細に説明する。
図1(c)では、押圧具用反発具としてのバネである反発具(キックバネ)292および一方(図では右方)の押圧具130を取付けた状態であり、他方(図では左方)の押圧具130は取り外した状態である。反発具(キックバネ)292のコイル状に形成された部分は、押さえピン234に巻回され集中部220に保持され移動を制限されている。反発具(キックバネ)292の屈曲部2921は、押圧具130のガイドレール160に、固定することなく摺動可能に嵌入されており、揺動可能に集中部220に保持された押圧具130のつまみ部138の背面側を反発具(キックバネ)292の弾性力(復元力)により押圧している。その弾性力により押圧される押圧具130は、
図2(d)にも示すように取付け軸268(穴137)を中心軸にテコの原理で回転し、反つまみ部138側である当接部132が塗布部材300を介して(または、介さないで)台座部222に押圧され当接することで回転運動は停止する。あらかじめ付勢をして取付けられた反発具(キックバネ)292の弾性力(復元力)は前述の条件の中で上記構成物のいずれかが変形や破損などしない限り作用し続け、解放されることなく維持される。反発具(キックバネ)292の弾性力(復元力)は、押圧具130のつまみ部138の背面側を押圧し押圧具130を回転させる力(回転モーメント)として作用するのである。
【0039】
背面同士を向い合わせにほぼ対称に設けられた押圧具130のつまみ部138、138は、反発具(キックバネ)292の弾性力(復元力)の押圧により回転し互いに離反する。これにより、回転する押圧具130の揺動の中心(穴137)より下方部分である当接部132は互いに接近して塗布部材300を介して(または、介さないで)台座部222に突き当たる。台座部222の側面および底面に当て添えられた塗布部材300は、当接部132により台座部222に押圧され挟持される。この状態が塗布部材300が塗布具本体200に保持された状態である。塗布具本体200と塗布部材300とを着脱するには、反発具(キックバネ)292の弾性力(復元力)に抗した力をつまみ部138を介して反発具(キックバネ)292に与える。すなわち、一対の押圧具130のつまみ部138が互いに近接するように手指で狭圧し押圧具130を揺動させる。反発具(キックバネ)292の弾性力(復元力)より強い力でつまみ部138を手指で挟圧することでそれぞれのつまみ部138は取付け軸268(穴137)を中心に回転し互いに接近する。これにより、回転する押圧具130の揺動中心軸(穴137)より下方部分である当接部132、132は、それぞれが台座部222から離反し塗布部材300を着脱するための空間が生まれる。この状態が塗布部材300を塗布具本体200から解放した状態である。
【0040】
塗布部材300は、台座部222の底面側に配置される。より具体的には、
図2(d)にも示すように、台座部222の底面部を覆い、さらに側面部にまで回り込むようにして配置され、一対の押圧具130の当接部132により両側から台座部222の両側面部に押圧され挟持されることで保持される。ただし、塗布部材300の配置としてはこのような態様以外も可能である。例えば、塗布部材300が、台座部222の底面部の全部ではなく、一部を覆うようにした態様としてもよい。換言すれば、塗布部材300の配置としては、台座部222の底面部の全部または一部(少なくとも一部)を覆うようにした態様とすることができる。また、例えば、台座部の側面部に及ぶことなく底面部(の少なくとも一部)のみを覆うように塗布部材を配置し、押圧具の当接部により塗布部材の周縁部を台座部の底面部に押圧して保持するような態様(図示せず)等も可能である。この態様の場合、例えば、押圧具において、先端部をさらに内側(つまみ部側)へ折れ曲がった形状に成形すれば、この先端部によって台座部の底面部を押圧し得る構成とすることができる。
【0041】
塗布部材300としてはコットンパフやカット綿、ペーパーや布などに薬剤を浸み込ませたもの、またはペースト状の薬剤を塗布したものなど、いずれのものをも使用できる。市販されているコットンパフの大きさは、60×80、58×70、50×60、55×70、50×65(これらの寸法単位はmm)等、即ち、短辺が50~60mm程度、長辺が60~80mm程度であり、カット綿の大きさは40×40、50×60、50×50、50×70、56×80、70×70(これらの寸法単位はmm)等、即ち、短辺が40~70mm程度、長辺が40~80mm程度であるから、台座部222の大きさ、すなわち底面の辺の寸法は、上記塗布部材300の辺の寸法以下程度であればよい。具体的には、短辺(アーム10の軸方向)長さが30~60mm程度、長辺(アーム10の径方向)が30~80mm程度となる。しかし、市販されている塗布部材は一般的に伸縮するもので、よって台座部222の底面の辺の寸法は上述の値よりさらに大きくてもよい。
なお、薬剤塗布具100と、台座部222に配置される塗布部材300とで、薬剤塗布用キットを構成することができる。
【0042】
次に、
図3および
図4に、本発明に係る押圧具130に用いる反発具の変形例を示す。
図3は、反発具をキックバネから反発具(板バネ)294、296に変えた変形例である。
図3(a)は、上に凸型に配置された反発具(板バネ)294を用いた例であり、
図35(b)は、下に凸型に配置された反発具(板バネ)296を反発具に用いた例である。この
図3(b)に示す変形例は、アーム10の集中部220において、反発具(板バネ)296の直下にくる部位が反発具(板バネ)296に干渉しないよう、この部位に逃し穴161を形成したものである。本変形例においては、反発具を、集中部220に保持することなく押圧具130のみに固定している。具体的には、反発具を集中部220に保持することはせずに、一対の押圧具130のつまみ部138の背面側にあらかじめ付勢をした状態で反発具(板バネ)294、296の両端部をそれぞれ固定するだけで反発具を構成できる。すなわち、背面同士を向い合わせ、ほぼ対称に配置した押圧具130のつまみ部138、138の背面側に反発具(板バネ)294、296の両端部を固定する。つまみ部138、138とを反発具(板バネ)294、296に反発具の弾性力(復元力)により押圧具130のそれぞれを回転させ押圧具130のつまみ部138を互いに離反させるのである。
【0043】
なお、
図3(b)に示す変形例は、上述の通り逃し穴161を形成したものとなっているが、例えば、アームの集中部をかわすように(
図3(b)に示す位置関係では、集中部220から側方へオフセットするよう、押圧具130の幅方向両端部、即ち図では押圧具130の前後端部の位置に配置するなどして)下に凸型に配置された反発具(板バネ)を設けるようにしてもよく、この構成によれば、逃し穴は不要とすることができる。
【0044】
反発具(板バネ)294、296をつまみ部138に取付ける具体例として、つまみ部138と反発具(板バネ)294、296が互いに溶け合う素材であれば、溶接や接着などして取り付けることができる。つまみ部138と反発具(板バネ)294、296が溶け合わない素材であれば、接着材やリベット留め、あるいはビス留めやロウ付けなどで締着や鋲着、接着などして取り付けることができる。あるいは、反発具(板バネ)294、296の端部を嵌入できるホルダーをつまみ部138の背面側に配置し、反発具(板バネ)294、296の端部を差し込むようにすれば、確実に反発具(板バネ)294、296の端部がつまみ部138に固定できる。なお、当該嵌入部分にさらにリベット留めやロウ付けなどして反発具(板バネ)294、296を当ホルダーに確実に固定してもよい。押圧具に与える反発具の弾性力(復元力)の作用およびその作用による押圧具の動作は、上記
図1および
図2に示した内容と同様である。
【0045】
なお、反発具(板バネ)294、296の両端部は、上述のようにしてそれぞれ押圧具130に固定するようにしてもよいが、これ以外にも、例えば、反発具の両端部を、板バネの幅方向(ないし押圧具の幅方向)に沿って延びる軸に軸支するようにして押圧具に回動可能に取り付けるようにしてもよく、これによれば、押圧具の動作をよりスムーズとすることができる。
【0046】
図4は反発具(キックバネ)292の取付け位置および形状を変えた例、ならびに、さらに反発具を板バネに変えた例であり、同図(a)は反発具(キックバネ)292を含む塗布具本体200の上面図、同図(b)は塗布具本体200の正面図、同図(c)は塗布具本体200の側面図、同図(d)は反発具(板バネ)292aを含む塗布具本体200の正面図、同図(e)はその側面図である。反発具(キックバネ)292および反発具(板バネ)292aを明確に示すため、これらの図では押圧具130を(
図4(c)および(e)に一方を破線で図示する以外は)省略している。
【0047】
具体的には、塗布具本体200の集中部220の上周面に、2つの片状の保持部284、284が、間隔をおいて面同士で対向しつつ、アーム10の長さ方向に平行な体勢で立設されるよう、一体的に形成されている。各保持部284には、穴が形成されており、この穴に軸290を嵌挿して固定する。軸290には、反発具(キックバネ)292のコイル部分が巻回されており、あらかじめ付勢した状態で配置される。反発具(キックバネ)292の両端部には屈曲部2921が形成されており、この屈曲部2921が、破線で示した押圧具130のガイドレール160(
図4では図示省略)に嵌入されて摺動しつつ、押圧具130のつまみ部138の背面側を押圧する。一方、押圧具130は、
図1に示した実施例と同様に、集中部220の左右側面に配置した取付け穴265に巌挿される取付け軸268により揺動可能に保持される。本変形例においても、
図1に示した実施例と同様に、押圧具130が台座部222に取付ける塗布部材300を着脱可能に確実に挟持する。押圧具130のつまみ138の背面側を押圧する反発具(キックバネ)292である反発具と押圧具(クリップ等)との間の作用およびその作用による押圧具の動作は、上記各実施例および変形例と同様である。
【0048】
図4(d)および(e)に示す変形例では、
図4(a)~(c)と同じく反発具の保持部284を形成しているが、反発具が板バネになるので、反発具である反発具(板バネ)292aは軸290周りに反発具(キックバネ)のコイル部分を巻回することは無く、塗布具本体200の集中部220の上周面と軸290との間を通すだけである。反発具(板バネ)292aは、塗布具本体200の集中部220の上周面と軸290との間を通って集中部220の軸方向に延び、あらかじめ付勢した状態で配置され、押圧具130のつまみ部138の背面側を押圧する。押圧具130のつまみ部138の背面側には、反発具(板バネ)292aの幅および厚さに対応する幅および深さを有する溝状のガイドレールが上下に延びるよう形成されており(図示省略)、反発具(板バネ)292aの屈曲部2921aがこのガイドレールに嵌入されて摺動するようになっている。反発具(板バネ)292aは、摩擦移動による塗布具本体200からの離脱を防ぐために軸290近傍で折り曲げ形状に加工されていてもよい。押圧具130のつまみ部138の背面側を押圧する反発具(板バネ)292aである反発具と押圧具間の作用およびその作用による押圧具の動作は、上記各実施例および変形例と同様である。
【0049】
図5は、
図4(d)および(e)の変形例において保持部284を省いた変形例である。反発具(板バネ)292bのほぼ中央に留め穴を形成する。集中部220の上周面に留め穴あるいは留め軸が配置されており、反発具(板バネ)292bに設けた穴を用いて留め具293が反発具(板バネ)292bを集中部220に固定する。反発具(板バネ)292bは一対の押圧具130のつまみ部138の背面側を押圧する長さに形成されており、留め穴部分から集中部220の軸方向に延び、あらかじめ付勢した状態で配置し、屈曲部2921aをガイドレール(図示省略)に嵌入して摺動させつつ、押圧具130のつまみ部138の背面側を押圧する。押圧具130のつまみ部138の背面側を押圧する反発具(板バネ)292bである反発具と押圧具間の作用およびその作用による押圧具の動作は、上記各実施例および変形例と同様である。
【0050】
反発具を塗布具本体200の集中部220に保持する他の変形例を、
図6に示す。
図6(a)は、反発具として反発具(板バネ)292aを用いたときの上面図、同図(b)はその側面図である。
【0051】
図1に示した実施例と同様にして、溝232が形成されている。即ち、集中部220の上周面の軸方向(アーム10の長さ方向)に概略半月形状の溝232が配置され、溝のほぼ中央の位置に、集中部220を径方向に溝232を通す穴235を設け、その穴235を用い溝232に押さえピン234を架設する。押えピン234と溝232の底面との間に反発具(板バネ)292aを通すこと、換言すれば、反発具(板バネ)292aを、少なくとも一部が溝232内に嵌入して保持されるようにして配置することで、あらかじめ付勢した状態で配置し押圧具130のつまみ部138の背面側を押圧する反発具(板バネ)292aを集中部220に確実に保持できる。押圧具130のつまみ部138の背面側を押圧する反発具(板バネ)292aと押圧具間の作用およびその作用による押圧具の動作は、上記各実施例および変形例と同様である。上記実施例である
図4(d)および(e)、
図5や、
図6の(a)および(b)の板バネの端部は、
図3(a)ならびに(b)の変形例のように押圧具130のつまみ部138の背面側に固定や保持されてもよい。
【0052】
(その他の変形例)
(1)
次に、本発明に係る薬剤塗布具100の変形例を
図7に示す。本変形例は、アーム10の構成を変更するものであり、上記実施例および変形例に示したいずれの塗布具本体200をも適用できる。
図7は、薬剤塗布具の側面断面図である。上記実施例および各変形例では、塗布具本体200の反握持部側端部に比較的短い延在部14を設けるものであるが、アーム10の軸方向に図示しない握持部を有する補助アーム400を継ぎ足している。すなわち、補助アーム400とアーム10とで薬剤塗布具102を構成することにより、補助アーム400とアーム10の両端部に設けた握持部11を使用者が握って、乾布摩擦の要領で塗布具本体200を肌上で動かすことができる。これにより、塗布具本体200の操作性が増大する。そのため、台座部222はアーム10の他端部(反握持部側端部)またはその近傍に配置され、アーム10の反握持部側端部には雄ネジ412が、補助アーム400の端部には雌ネジ414が形成された構成となっており、これらの雄ネジ412、雌ネジ414を螺合することにより、アーム10に補助アーム400を着脱自在に取付けて両握持型の薬剤塗布具102を構成できる。本変形例によれば、薬剤塗布具102を両手で握持して使用することが可能になる。また、もちろん、本変形例に係る薬剤塗布具102において補助アーム400とアーム10を分解し、補助アーム400を継ぎ足していない状態のアーム10を、
図1に示した態様と同様に使用することも可能にする。また雄ネジ412、雌ネジ414の配置がそれぞれに前述の配置と逆となるように(即ちアーム10の反握持部側端部に雌ネジ、補助アーム400の端部に雌ネジがそれぞれ配置されるように)置き換えられてもよい。
【0053】
(2)
アームと補助アームとの接合構造としては、上述のような、アームに設けた雄ネジ(または雌ネジ)と、補助アームに設けた雌ネジ(または雄ネジ)との螺合によるものに限られない。例えば
図8に示すように、補助アーム500の端部に、ほぞ穴部514と、このほぞ穴部514の側壁部を径方向に貫通するネジ穴514aとを形成するとともに、このほぞ穴部514に対応するほぞ部をアームの反握持部側端部に形成し(不図示)、ほぞ穴部514にほぞ部を挿入してネジ穴514aに外側からネジ514bを螺入することにより補助アーム500をアームに接合する構造としてもよい。
【0054】
(3)
さらには、例えば
図9~
図11に示すように、ほぞ部およびほぞ穴部に、さらに副ほぞ穴部および副ほぞ部を形成した構造としてもよい。同図に示す接合構造においては、アーム610の反握持部側端部にはほぞ部612が、補助アーム600の端部にはほぞ穴部614が形成されている。
【0055】
ほぞ部612は、
図10に示すように、アーム610の反握持部側端から、アーム610の径よりも一回り小さい径を有して軸方向に円柱状に延出している。ほぞ部612内には、ほぞ部612の径よりもさらに一回り小さい内径を有して軸方向のほぼ全長にわたって円穴状に延びる副ほぞ穴部612aが形成されている。また、ほぞ部612の軸方向におけるほぼ中央の位置には、表面から断面弧形状をなして凹入する溝部612bが、周方向に沿って延びるように形成されている。
【0056】
ほぞ穴部614は、
図11に示すように、補助アーム600の端部に、ほぞ部612に対応する内径および深さを有して円穴状に凹入するように形成されており、上述の
図8に示す変形例と同様に、ほぞ穴部614の側壁部を径方向に貫通するネジ穴(不図示)が形成されている。また、ほぞ穴部614の内奥面における中心部には、副ほぞ穴部612aに対応する径および長さを有して軸方向へ円柱状に延出する副ほぞ部614aが形成されている。
【0057】
ほぞ穴部614にほぞ部612を挿入し、
図9に示すようにネジ穴に外側からネジ614bを螺入することにより、補助アーム600をアーム610に接合することができる。この接合構造によれば、副ほぞ穴部612aおよび副ほぞ部614aにより、より確実かつ安定的な接合が可能となる。
【0058】
(4)
さらには例えば、
図12に模式的に示すように、台座部722をアーム710のほぼ中央部に配置し、アーム710の両端部をそれぞれ握持に用する構成としてもよい。同図に示す薬剤塗布具700は、
図1に示した実施例に係る薬剤塗布具100と同様に、長く延びた棒状のアーム710と、このアーム710に配置された台座部722と、押圧具713、713とを有する構成となっているが、
図1に示した実施例に係るアーム10が30~70cm程度の長さを有するものであったのに対し、本変形例に係るアーム710は、だいたい補助アームの長さ30~70cm程度のぶんだけ長い、全長60~140cm程度の長さを有するものとなっている。換言すれば、本変形例に係るアーム710は、
図1に示した実施例に係るアーム10の長さ30~70cm程度に、
図7に示した変形例に係る補助アーム400の長さ30~70cm程度を足したものにほぼ相当する60~140cm程度の全長を有する非分割の構成、即ちアームと補助アームとに分割されずこれらが当初から一体的に形成された構成となっている。
【0059】
そして、本変形例に係るアーム710のほぼ中央部に台座部722が配置され、アーム710の両端部がそれぞれ握持部711、711として握持に用いられる構成となっている。
【0060】
本変形例に係る薬剤塗布具700によれば、両端部に形成された握持部711、711を使用者が握って、乾布摩擦の要領で塗布具本体を肌上で動かすことができる。これにより、
図7に示した変形例に係る薬剤塗布具102の場合と同様に、塗布具本体の操作性が増大する。
【0061】
(5)
次に、本発明に係る薬剤塗布具100のさらなる変形例を
図13に示す。本変形例に係る薬剤塗布具800は、上記各実施例および変形例と同様に、アーム810と、台座部822と、押圧具813a、813bとを備えるものとなっている一方、上記各実施例および変形例とは異なって、台座部822はアーム810の他端部またはその近傍に配置され、一対の押圧具813a、813bのうちの一方の押圧具813bが、アーム810の他端より外側に設けられる構成となっている。また、アーム810は、丸棒状ではなく、角落ちした概略角柱状のアームとなっている。
【0062】
本変形例に係る薬剤塗布具800においては、台座部822は、一方長辺部(アーム810の幅方向に沿った一方長辺部)がアーム810の他端よりわずかに内側の位置にくるように、換言すれば台座部822がアーム810の他端よりあまり内側に引っ込まない位置(あるいはアーム810の他端にほぼ揃う位置)にくるようにし、上面をアーム810の他端部に重ねるようにして配置されている。台座部822近傍におけるアーム810の側面でなおかつ軸方向にほぼ対称となる位置には、
図1に示した実施例に係る取付け穴265とほぼ同様の、一対の取付け穴865が左右両側面に配置されており、
図1に示した実施例と同様の構造で、一対の押圧具813a、813bが揺動可能に設けられている。
【0063】
本変形例に係る薬剤塗布具800によれば、アーム810の他端より外側に設けられる一方の押圧具813bは、取付けたときのアーム810との干渉を考慮する必要がないため、
図13(a)にも示す通り、通り抜け穴は設けられていない。従ってそのぶん、外側に設けられる一方の押圧具813bの美観をより良好とすることができるという利点がある。なおこの場合、例えば、台座部822がアーム810の他端より外側に実質的に突出していると、外側に設けられる一方の押圧具813bに干渉するため望ましくないが、この外側の押圧具813bに干渉し難い範囲内であれば、台座部822がアーム810の他端より外側に突出していてもよい。
【0064】
ただし、上記アーム810の他端より外側に設けられる一方の押圧具813bにかえて、
図1に示した実施例に係る押圧具130と同様に通り抜け穴を有する押圧具を配置するようにしてもよい。即ち、このアーム810の他端より外側に設けられる一方の押圧具813bも、他方の押圧具813aと同様に(あるいは対称となるように)、通り抜け穴を有するものとしてもよい。この場合には、
図7に示した変形例に係る薬剤塗布具102の場合と同様に、補助アームを継ぎ足し得る構成とすることも可能となる。
なお、変形例である
図7、9、12、13の押圧機構(反発具等)の構成は
図1、2、3、4、5および6のそれに準ずるものとする。
【0065】
(6)
次いで、本発明に係る薬剤塗布具100のさらなる変形例を
図14および
図15に示す。本変形例に係る薬剤塗布具900A、900Bは、アームの少なくとも一端部側に、アームの他の部位と形状の異なる握持部が設けられた構成となっている。
【0066】
握持部としては、例えば
図1に示した実施例に係る薬剤塗布具100の握持部11と同様に、アームの他の部位と構成が実質的に同様の握持部としてもよいが、本変形例に係る薬剤塗布具900A、900Bのようにアームの他の部位と構成の異なる握持部とすることで、握りやすさや取扱性等をより向上させることができる。
【0067】
図14に示す変形例に係る薬剤塗布具900Aにおいては、断面円形の丸棒状のアーム910Aの一端部側が、断面概略横長の菱形状となるように成形されて握持部911Aとされている。握持部911Aの両側端縁部は、角落ちさせて断面弧状とされている。
【0068】
図15に示す変形例に係る薬剤塗布具900Bにおいては、断面円形の丸棒状のアーム910Bの一端部側が、径方向に両側(
図15では上下両側)から中心へ圧し潰して平板としたような形状に成形されて握持部911Bとされている。その両側端縁部は断面弧状(略半円状)に形成されている。
【0069】
以上のような握持部911A、911Bによれば、手で握った際に、握る位置が周方向にずれたりし難いためより確実に握持することができ、また、特に被塗布者自身の目が届かない背中での操作の際でも、薬剤塗布具900A、900Bが軸周りにどのような体勢となっているか(角度位置)を容易かつ確実に把握することができるとともに、薬剤塗布具900A、900Bを所望の角度位置に制御および保持しやすい。
【0070】
さらにまた、以上のような握持部911A、911B以外にも、例えば、アームの少なくとも一端部側に、表面部にゴム等よりなる層を形成したり、表面を凹凸を有する形状に形成したりすることによって滑り止め部を設け、これにより握持部を形成するようにしてもよい。即ち、アームの他の部位と形状および/または材質の異なる握持部とするようにしてもよい。また、以上例示したような各種の握持部は、アームの他端部側や補助アームにも設けることができる。
【0071】
(7)
押圧具の当接部としては、多様な構成のものが可能である。例えば、
図16(a)~
図16(f)に示すように、凸部および/または凹部よりなる滑り止めを有するもの等が挙げられる。
【0072】
図16(a)~
図16(c)に示す当接部132a~132cはいずれも、
図1に示した実施例に係る当接部132と同様に、先端部を台座部の方向に折り曲げるようにして形成され、
図16(d)~
図16(f)に示す当接部132d~132fはいずれも、先端部を折り曲げることなくその台座部側面に直接的に形成されている。これにより、塗布部材に当接し得る部位に、各種の滑り止めが設けられている。
【0073】
図16(a)~
図16(c)に示す当接部132a~132cは、押圧具の先端部を内側(台座部側)へ折れ曲がった形状に成形され、これによって、凸部として突条135a~135cが形成された構成となっている。より具体的には、
図16(a)に示す突条135aは、先端縁が直線状となっており、
図16(b)に示す突条135bは、先端縁が波状に起伏する形状となっており、
図16(c)に示す突条135cは、先端縁が谷山状に起伏する形状となっている。
【0074】
図16(d)~
図16(f)に示す当接部132d~132fは、先端部の台座部側面に凸部および/または凹部を形成した構成となっている。より具体的には、
図16(d)に示す当接部132dは、エンボス加工を施すことにより、多数の凹凸よりなる凹凸面部135dとなっている。
図16(e)に示す当接部132eは、押圧具の幅方向に沿って複数のスリットを設けることにより、凹凸面部135eが形成されている。なお、スリットにかえて、あるいはこれとあわせて、先端部の台座部側面より突出する突条を設けるようにしてもよい。
図16(f)に示す当接部132fは、格子状に凹凸処理された形状を有する凹凸面部135fとなっている。
【0075】
さらには、上記以外にも、例えば先端部の台座部側面にサンド状の表面処理を施したもの(塗布やエッチング加工によるもの等)や、あるいは、先端部の台座部側面に処理を施さないようにした態様も可能である。
【0076】
(8)
アームとしては、上記実施例に係るアーム10のような丸棒状のものや、上記変形例(5)に係るアーム810のような角柱状のもの以外にも、例えば断面概略T字形状のもの、断面概略H字形状のもの等、各種の形状のものを用いることができる。また、中実のものであっても中空(管状)のものであってもよい。さらにまた、入れ子構造等により伸縮可能としたアームとしてもよい。
【0077】
以上本発明の実施例および各変形例によれば、消炎剤や薬剤、日焼け止め等の化粧品を被塗布者自身では見えない背に、ムラ無く塗布することが可能になる。
【0078】
(9)
また、上記実施例および各変形例では集中部220の本体部分と握持部側のアーム10とは上述のように一体で配置されているが、例えば
図17に示すように、集中部220の本体部分と握持部11側および延在部14側のアーム10とを、破線A2で示すように径方向に平行な切断面に沿って切り離し、双方を軸方向に連結軸295で回動可能に連結する。なお、延在部14側のアーム10は、集中部220の本体部分と切り離さず一体のままとしてもよい。即ち、少なくとも集中部220の本体部分と握持部11側のアーム10とを切り離す構成とすればよい。このように集中部220と握持部側のアーム10とを回動可能(または揺動可能)に構成することで、矢印A3で示すように握持部11に対して台座部222を(首振り状に)左右方向に2次元的に回動させ、塗布部材300を被塗布者の肌の曲面に滑らかに密着させることを可能にする。
【0079】
(10)
次いで、本発明に係る薬剤塗布具のさらなる変形例を
図18に示す。同図に示す薬剤塗布具S100は、規制部として、反発具を所定の範囲内で通過するよう規制し得る貫通部を設けたものとなっている。
【0080】
本変形例においては、
図18(a)および(b)に示すように、反発具162が、一部が欠損した部分円状(概略C字状)に湾曲するように板バネ(ないしワイヤーバネ等)を成形して構成されている。また、アームS10は、
図1に示す実施例に係るアーム10と同様の構成において、一対の押圧具S130、S130の取付位置の外側(台座部222側と反対側)にそれぞれ、逃げ孔165、165を設けた構成となっている。一方、
図18(c)および(d)に示すように、押圧具S130は、
図1に示す実施例に係る押圧具130と同様の構成において、ガイドレールは設けられておらず、これにかえて、上端縁近傍部および下端縁近傍部の幅方向概略中央部にそれぞれ、通し孔163および保持穴164が設けられている。通し孔163は、反発具162の断面より大きい概略横長の長方形状の断面形状を有し、
図18(c)に示すように、押圧具S130を、背面(台座部222側面)から正面へ、反発具162の形状に対応する湾曲形状をなすようにして下傾しつつ貫通している。保持穴164は、通し孔163と同様の断面形状を有し、
図18(c)に示すように、押圧具S130の正面から厚さ方向中央部近傍まで、反発具162の形状に対応する湾曲形状をなすようにして下傾しつつ凹入している(即ち、押圧具S130の正面側のみに開口し、背面側には貫通せず押圧具S130の内部で行き止まるように形成されている)。逃げ孔165は、
図18(a)および(b)に示すように、反発具162の断面より大きい概略横長の長方形状の断面形状を有し、アームS10の周面における台座部222形成側(
図18では下側)において、アームS10の長さ方向における台座部222より両外側にやや近接する位置から、反対側(
図18では上側)へ、反発具162の形状に対応する湾曲形状をなすようにして長さ方向両外側に拡がりつつ、アームS10を貫通している。
【0081】
図18(a)および(b)に示すように、
図1に示す実施例の場合と同様にして、一対の押圧具S130、S130がアームS10に取り付けられ、反発具162は、両押圧具S130、S130の通し孔163、163およびアームS10の逃げ孔165、165を通し、両端を両押圧具S130、S130の保持穴164、164に嵌入させるようにして配置される。配置状態では、
図18(b)に矢印A4で示すように、反発具162の周方向に沿って両端へ向けて弾性力が作用し、これにより両押圧具S130、S130が当接部で塗布部材300を台座部222に押圧して保持することができる。一方、反発具162の弾性力に抗して一対の押圧具S130、S130をつまみ部で互いに近接するように挟圧すれば、両押圧具S130、S130の当接部を塗布部材300から離間させて塗布部材300を解放することができるが、この解放動作にともない、反発具16が外側へ拡がるように動くため、通し孔163、保持穴164および逃げ孔165は、反発具16の動きに干渉しない程度の余裕を有するように形成されている。
【0082】
本変形例によれば、反発具162の動作が通し孔163、保持穴164および逃げ孔165で規制されるので、
図1に示す実施例の場合と同様に、反発具162の動作がより確実かつ容易に行われ、これにより反発具162の押圧力が押圧具S130、S130に確実かつ十分に伝わることとなるうえ、反発具が仮に径方向または時として軸方向に力が加えられたとしても反発具が塗布具本体から取り外れることなく薬剤塗布具の機能を損なうことはない。なお、本変形例に係る通し孔163、保持穴164および逃げ孔165は、
図1に示す実施例に係るガイドレール160等と同様に、規制部としても案内部としても機能することができる。
【0083】
(11)
さらに、
図19に示すような変形例としてもよい。同図に示す薬剤塗布具T100は、前記変形例(10)に係る薬剤塗布具S100と同様の構成において、板バネ(ないしワイヤーバネ等)で構成される反発具162を複数設けたものとなっている。本変形例に係る押圧具T130は、前記変形例(10)に係る押圧具S130と同様の構成において、通り抜け穴T134より幅方向両側へやや離れるように、上端縁近傍部および下端縁近傍部の幅方向両端部近傍にそれぞれ、通し孔166、166および保持穴167、167が設けられている。そして、2つの反発具162、162が、前記変形例(10)に係る反発具162と同様にして、通し孔166、166および保持穴167、167をそれぞれ用いて配置されている。
【0084】
本変形例によれば、反発具162が複数設けられているので、反発具162の弾性力をより効果的に作用させることができるとともに、その動作もより安定的とすることができる。さらに、反発具162、162が通り抜け穴T134の位置を回避するように配置されるので、アーム10に干渉することがなく、従ってアーム10に逃げ孔を設けることを不要とすることができる。
【0085】
なお、反発具は、前記変形例(10)に係る反発具162のようにアームS10の逃げ孔165、165を通すようにしたものを含めて、複数設けるようにしてもよく、また、配置態様に関わらず、反発具を3つ以上設けるようにしてもよい。
【0086】
(12)
本発明に係る薬剤塗布具のさらなる変形例を
図20に示す。同図に示す薬剤塗布具U100は、アームU10の周面における台座部222側に反発具168を設けたものとなっている。
【0087】
本変形例においては、アームU10の周面における台座部222側(
図20(a)および(b)では下側)において、台座部222に対し長さ方向外側に隣接する位置にそれぞれ、断面概略三角状に先細りする形状となるように凹入する凹入溝169、169が設けられ、該凹入溝169、169内における内奥部に、押圧具U130の幅方向に沿って、反発具保持軸170、170がそれぞれ架設されている。反発具168は、キックバネで構成され、一方端部には屈曲部1681が形成されており、コイル部分が反発具保持軸170に巻回されている。押圧具U130は、
図1に示す実施例に係る押圧具130と同様の構成において、正面(台座部222側面と反対側の面)において、通り抜け穴U134における当接部U132側端縁部(
図20(a)および(b)では下端縁部)の中央より幅方向のやや一方寄りの位置から、押圧具U130の下端縁へ向けて、直線状に延びるガイドレール171が形成されている。即ち、押圧具U130には、当接部U132の折れ曲がり方向側と反対側の面において、押圧具U130の当接部U132側端をなす短辺の中央よりやや一方寄りの位置から、押圧具U130の長さ方向(
図20(a)および(b)では上下方向)に沿って、通り抜け穴U134に連通するまで直線状に延びるようにガイドレール171が設けられている。
【0088】
本変形例においては、反発具(キックバネ)168の屈曲部1681が、ガイドレール171に嵌入され、ガイドレール171内をスライド(摺動)しつつ、押圧具U130の正面における当接部U132側端部を押圧し、一方、反発具(キックバネ)168における屈曲部1681形成側と反対側の端部は、凹入溝169内における一方の傾斜面に当接して制止される。この構成により、反発具(キックバネ)168の弾性力が押圧具U130に対して作用することができる。
【0089】
なお、例えば、本変形例に係るキックバネよりなる反発具168を板バネよりなるもの等に変更してもよい。
【0090】
(13)
本発明に係る薬剤塗布具のさらなる変形例を
図21に示す。同図に示す薬剤塗布具V100は、
図1に示した実施例に係る薬剤塗布具100と同様の構成に加えて、指当部172を設けたものとなっている。
【0091】
本変形例においては、アームV10の周面において、溝V232より長さ方向の両外側へ若干の間隔(押圧具130の通り抜け穴にかかってもよいが押圧具130の動作に干渉しない程度の間隔)をおいた位置に、それぞれ指当部172A、172Bが設けられている。指当部172のうち、延在部V14側の指当部172Aは、アームV10の周面における台座部222側と反対側(
図21(a)では上側)の面から外側へ、正面視において先端が丸い山形状をなすように延びる指当面1721Aが形成され、該指当面1721Aの両斜辺から、アームV10の周面において溝232にむけてやや間隔をおいた一点部で収束するように両側面が斜面状に延び、全体としてアームV10の周面から概略三角錐状に突出する立体状に成形されている。該指当部172Aの頂部から溝V232にむけて下傾しながら延びる稜線部(両側面の交線部)は、指当面1721Aの先端から連続して丸い断面形状を維持しながら延び、該稜線部がアームV10の周面と交わる先端部も平面視丸くなるよう形成されている。また、指当面1721Aは、
図21(c)に示すように、アームV10の周面から外側へ、側面視において全体的にやや内側へ概略弧状に丸く凹入するように形成されている。
【0092】
本変形例においては、
図21(c)に示すように、延在部V14側の指当部172Aにおける指当面1721Aにいずれかの手指(例えば親指)F1Aを当て、握持部V11側の押圧具130におけるつまみ部の正面側に他の手指(例えば人差し指)F2Aを当て、これら手指F1A、F2Aで挟圧することにより、握持部V11側の押圧具130を開閉操作することができる。一方、握持部V11側の指当部172Bにおける指当面にいずれかの手指(例えば人差し指)F1Bを当て、延在部V14側の押圧具130におけるつまみ部の正面側に他の手指(例えば親指)F2Bを当て、これら手指F1B、F2Bで挟圧することにより、延在部V14側の押圧具130を開放操作することができる。このように、指当部172を設けることにより、一対の押圧具130、130のうちの一方の押圧具130を個別に開閉操作することも容易となって操作性が向上する。
【0093】
指当部172A、172Bは、個別に成形したものをアームV10の周面に接合して一体化させるようにしても、あるいはアームV10と同時に一体的に成形するようにしてもよい。また、指当部の形状としても、例えば箱状、柱状、片状、瘤状等の任意の形状が可能であり、さらには、例えば少なくとも一部を伸縮可能に構成したり、さらには、指当部をアームV11の長手方向にスライドさせ個別の手指の幅に調節できるようなスライド式の構造にしてもよい。
【0094】
また、言うまでもなく、指当部は、例えば、アームの両端部に握持部を設けた態様等のような、他の態様に係る薬剤塗布具にも適用することができる。
【0095】
(14)
本発明に係る薬剤塗布具のさらなる変形例を
図22に示す。同図に示す薬剤塗布具W100は、アームW10に、押圧具W130操作用の補助足部173を設けたものとなっている。
【0096】
本変形例においては、アームW10における集中部W220よりやや握持部W11側の位置に、補助足部173が設けられている。補助足部173は、アームW10の周面から径方向に外側へ正面視概略三角形状をなして次第に拡がる板状であって、両先端の角部は丸く角落ちする形状となるように成形されている。また、
図22(c)に示すように、補助足部173は、底面視において、両端部から中央部にかけて、やや握持部W11側へ概略弧状をなして膨出するように湾曲する形状となっている。
【0097】
補助足部173は、アームW10の周面に一体化されており、この一体化は、アームW10に接合して一体化させることによるものでも、同時に一体的に成形することによるものでもよいが、安定性を良好としたり、補助足部の紛失を回避したりするため、アームW10に対し固定されて着脱し得ないように構成されていることが望ましい。
【0098】
ただし、例えば
図23に示すように、アームW10aに、補助足部173aを着脱し得る着脱部174を設けるようにしてもよい。同図に示す着脱部174は、アームW10aの少なくとも表面またはアーム部の内部に磁性体を接着したり埋設したりする等して構成され、一方、補助足部173aにおける少なくとも対応箇所(アームW10aの周面に当接する部位)も同様に磁性体で構成されており、これにより、アームW10aに補助足部173aを自在に着脱し得るようになっている。さらには例えば、アームと補助足部とを、磁性体を用いずに、物理的な構造で穴と軸とを介して着脱可能に連結した構成等としてもよい。
【0099】
そうすることで、薬剤塗布具を使用者が使用する際に補助足部173aは取り外すことができ、使用者の着る衣類に補助足部が干渉することなく塗布することを可能とする。
【0100】
本変形例に係る薬剤塗布具W100(ならびにW100a)は、補助足部173の先端縁で支持して床面等の平面の上に載置することができるが、このとき、薬剤塗布具W100の重心が補助足部173よりもやや握持部W11側寄りの位置にあり、このため、補助足部173の先端を支点として、握持部W11側端が下がって平面に当接する一方、集中部W220が浮き上がる傾斜体勢となる。従って、この傾斜体勢では、押圧具W130の先端が常に平面から離れた状態に保持される。押圧具W130を平面に干渉することなく操作しながら塗布部材を着脱することができるので、塗布部材の着脱が行いやすい。塗布具本体は平面から離れており干渉することがないので、アームW10と補助足部173はアームW10の径方向においていずれの角度でも設定が可能である。
【0101】
なお、例えば握持部をアームの両端部に設ける等により重心位置が異なる態様とすると、そのままでは上述のような傾斜体勢とならない場合もあるが、このような場合であっても、例えばアームの一端部に適宜な錘を配置することにより、上述のような傾斜体勢となるようにしてもよい。
【0102】
(15)
本発明に係る薬剤塗布具のさらなる変形例を
図24に示す。同図に示す薬剤塗布具Y100a、Y100bは、自立用足部175を備えるものとなっており、同図(a)は延在部Y14a側端に自立用足部175aを、同図(b)は握持部Y11b側端に自立用足部175bを、それぞれ設けた例である。
【0103】
図24(a)に示す自立用足部175aは、丸棒状のアームY10aの延在部Y14a側端から、さらに外側へむけて、概略円錐形状をなすように径が次第に拡大していく形状に成形されている。即ち、上面がアームY10aの延在部Y14aの横断面と略同寸法の円形で、底面が延在部Y14aの横断面より大径(大面積)の円形となっている、概略円錐台状となるように成形されている。自立用足部175aの一部または全部(少なくとも一部)は、アームY10aの材質よりも比重の大きい材質(例えばアームY10aがABS樹脂で自立用足部175aが鉛といった組み合わせ等)で構成されることが望ましい。自立用足部175aはアームY10aと一体的に形成されていてもよく、また例えば
図23に示す補助足部173aの場合と同様に磁性体によりアームY10aに着脱可能な構成としたり、穴と軸とを介した連結構造により着脱可能な構成としたりしてもよい。さらにまた、例えば、自立用足部175aの少なくとも外側端面(
図24(a)では下端面)を磁性を帯びるように構成して、使用時に金属面に磁性により付着させたり、あるいは、面に吸盤により付着させたりする構成としてもよい。
【0104】
図24(b)に示す自立用足部175bは、
図24(a)に示す自立用足部175aと基本的に同様の構成となっているが、アームY10bの他の部位よりもやや大径の握持部Y11bに設けられているため、そのぶん自立用足部175bの上面もやや大径となっている。
【0105】
なお、自立用足部は、アームにおけるいずれの端部に設けてもよく、さらには両端部に設けてもよいが、少なくとも、自立時の安定性を良好とするため、アームにおいて重心がある側の端部に設けることが望ましい。また、この場合も、錘等により重心の位置を調整するようにしてもよい。
【0106】
本変形例に係る薬剤塗布具Y100a、Y100bによれば、自立用足部175a、175bの底面を床面等の面上に立てかけるようにして置くことにより、自立した体勢(立てた体勢)に保持することができる。これにより、例えばコットンパフ等の塗布部材を交換する作業を行いやすくすることができ、また薬剤塗布具Y100a、Y100bの収納や保管等にも有利となる。
【0107】
(16)
図25は、自立用足部の他の例を示し、同図(a)は延在部Z14a側端に自立用足部176を、同図(b)は握持部Z11b側端に自立用足部176を、それぞれ設けた例である。本変形例に係る自立用足部176は、上記変形例(15)に係る自立用足部175とほぼ同様に機能することができる。
【0108】
本変形例に係る自立用足部176は、ベースプレート176Bに支持軸176Fを設けた構成となっている。ベースプレート176Bは、矩形の板状であり、面上に平伏するように配置され、上面の中央部から上方に、丸棒状の支持軸176Fが延出している。
【0109】
図25(a)に示す薬剤塗布具Z100aにおいては、アームZ10aの延在部Z14a側端面中央から、アームZ10aの軸方向に沿って直線状に延びるよう、断面円形の軸穴177aが凹入している。軸穴177aの内径および長さ(深さ)は、ベースプレート176Bの支持軸176Fを容易に挿入ないし取り出し得るとともに、支持軸176Fをガタツキなく内部に保持し得る程度となっている。
【0110】
図25(b)に示す薬剤塗布具Z100bは、軸穴177bが握持部Z11b側端に設けられている点以外は、
図25(a)に示す薬剤塗布具Z100aと同様の構成となっており、また、自立用足部176としても同一のものを適用できる構成となっている。
【0111】
本変形例に係る薬剤塗布具Z100a、Z100bは、上記変形例(15)に係る薬剤塗布具Y100a、Y100bの場合と同様に、簡単な構成で容易に自立した体勢に保持することができるが、さらに加えて、自立用足部176の着脱も容易である。
【0112】
(17)
自立用足部としては、さらには例えば
図26に示すような構成とすることもできる。本変形例に係る自立用足部178は、薬剤塗布具P100のアームP10を外側から把持するようにして保持するものとなっており、同図(a)はアームP10の延在部P14側端部を、同図(b)はアームP10の握持部P11側端部を、それぞれ把持するものとなっている。
【0113】
図26(a)に示す自立用足部178aは、直方体状の外形に成形され、上面中央部に、アームP10の延在部P14側端部を容易に挿入ないし取り出し得るとともにガタツキなく内部に保持し得る程度の支持穴179aが設けられている。
図26(b)に示す自立用足部178bは、支持穴179bが握持部P11側端部に対応してやや大径となっている点以外は、
図26(a)に示す自立用足部178aと同様の構成となっている。
【0114】
本変形例に係る自立用足部178(178a、178b)は、上記変形例(16)に係る自立用足部176とほぼ同様に機能することができる。
【0115】
(18)
自立用足部を設けた薬剤塗布具のさらなる変形例を
図27に示す。同図に示す薬剤塗布具K100は、アームK10における握持部K11側端部に自立用足部180が設けられ、握持部K11は、
図14に示す変形例に係る握持部911Aと同様の構成となっている。自立用足部180は、握持部K11よりもさらに先端側に、先端へむけて次第に拡径していく略円錐形状となるように形成されている。
【0116】
(19)
自立用足部を設けた薬剤塗布具のさらなる変形例を
図28に示す。同図に示す薬剤塗布具J100は、アームJ10における延在部J14側端部に自立用足部181が設けられている点以外は、
図1に示す実施例に係る薬剤塗布具100と基本的に同様となっている。自立用足部181は、アームJ10における延在部J14側端部を、略円錐形状をなすように、先端へむけて径が次第に拡大していく形状に成形することにより形成されている。
【0117】
(20)
自立用足部の構成として、例えば、上記変形例(15)に係る自立用足部175の場合と同様に、磁性を帯びるように構成して金属面に磁性により付着させたり、あるいは、面に吸盤により付着させたりする構成としてもよい。
【0118】
(21)
本発明に係る薬剤塗布具のさらなる変形例を
図29に示す。同図(a)に示す薬剤塗布具H100は、アームH10に、比較的に剛性の低い低剛性部182を設けたものとなっており、同図(b)~(e)は低剛性部182の各種の構成例を具体的に示す図である。
【0119】
図29(a)に示すように、低剛性部182は、アームH10における集中部H220と握持部H11の中間でやや集中部H220寄りの位置に設けられている。より具体的な構成例として、
図29(b)に示す低剛性部182bは、アームH10におけるこの部位で断面積を小さくすることにより形成されている。さらには、例えば、このように断面積を小さくすることにかえて、あるいはこれとあわせて、アームH10におけるこの部位を比較的に剛性の低い材質(例えばポリエチレン等)で構成するようにしてもよい。
図29(c)に示す低剛性部182cは、アームH10におけるこの部位を蛇腹状に構成したものである。
図29(d)に示す低剛性部182dは、アームH10におけるこの部位を波状ないし連続的S字状(蛇行形状)に構成したものである。
図29(e)に示す低剛性部182eは、
図29(d)に示す低剛性部182dの波状の形状により形成される隙間部に、充填材料(例えば液状シリコーンゴム等)183を挟み込んで接着等して構成したものである。
【0120】
本変形例に係る低剛性部182によれば、この部位でアームH10の剛性を下げて「しなり」を持たせ、これにより、使用者の手首や腕に対する負担を軽減することができる。
【0121】
低剛性部を設ける場合、本変形例のようにアームH10の一部に設けるようにしても、あるいはアームの全体に設けるようにしてもよい。換言すれば、アームの少なくとも一部に設ければよい。
【0122】
また、本変形例に係る薬剤塗布具H100においては、台座部H222の使用面(使用者の身体に接触する面)に、低剛性層184が設けられていてもよく、低剛性層184は、台座部H222の使用面に、液状シリコーンゴム等の低剛性材料を塗工することにより形成されている。この低剛性層184によっても、使用者の肌に対する硬さ、負担等が軽減されるようになっている。このような低剛性層を設ける場合も、台座部の全体に設けるようにしてもよく、換言すれば、台座部の少なくとも使用面に設ければよい。
【0123】
(22)
本発明に係る薬剤塗布具のさらなる変形例を
図30に示す。同図に示す薬剤塗布具G100においては、押圧具G130が、
図1に示す実施例に係る押圧具130と同様の通り抜け穴G134等の構成を有し、同様にしてアームG10に揺動可能に取付けられているが、当接部の両側部が、台座部G222の側面部にまで回り込むように延出し、これにより延出片G139が形成された構成となっている。
【0124】
本変形例においては、
図30(c)に示すように、台座部G222が、底面視において方形の四隅部が切除されて斜辺となった概略八角形状、即ち八つの側面と上面と底面との計10面よりなる立体状に成形されている。一方、本変形例に係る押圧具G130の延出片G139は、台座部G222における四隅部の側面に沿って、底面視において外側へ拡がるように斜方に延出しており、当接部全体として底面視において概略角ばったアーチ状の形状をなしている。
【0125】
本変形例に係る延出片G139によれば、上述のような外側へ拡がる形状となっていることにより、台座部G222の側面部に対しこだわることなく容易かつ確実に押圧することができる。
【0126】
延出片を含む当接部の形状としては、上述のような底面視概略角ばったアーチ状以外にも、例えば底面視概略コの字状、底面視概略C字状、底面視概略弧状(アーチ状)等の各種の形状が可能であり、台座部の形状は概略当接部の台座部側の形状に沿う形で成形されていればよい。また、台座部の形状も概略円柱体や楕円柱といったような形状の可能とし、より使用者の肌面に対し好適な形状とすることもできる。
【0127】
なお上記各実施例は、例示的なものであり限定するものではない。本発明の範囲は、添付特許請求の範囲に示される。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、例えば薬剤または化粧品を塗布する薬剤塗布具、薬剤塗布用キットおよび薬剤塗布具用押圧具に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0129】
V10...アーム、V11...握持部、V14...延在部、V100...薬剤塗布具、102...薬剤塗布具、130...押圧具、132...当接部、134...通り抜け穴、137...穴、138...つまみ部、172...指当部、200...塗布具本体、222...台座部、V232...溝、234...押さえピン、235...穴、265...取付け穴、268...取付け軸、284...保持部、290...軸、292...反発具(キックバネ)、292a~292c...反発具(板バネ)、293...留め具、294...反発具(板バネ)、296...反発具(板バネ)、300...塗布部材、400...補助アーム、412...雄ネジ、414...雌ネジ