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  • 特開-カム式ジャッキ 図1
  • 特開-カム式ジャッキ 図2
  • 特開-カム式ジャッキ 図3
  • 特開-カム式ジャッキ 図4
  • 特開-カム式ジャッキ 図5
  • 特開-カム式ジャッキ 図6
  • 特開-カム式ジャッキ 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109199
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】カム式ジャッキ
(51)【国際特許分類】
   B66F 3/08 20060101AFI20220720BHJP
   F16H 35/02 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
B66F3/08 A
F16H35/02 C
F16H35/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021033915
(22)【出願日】2021-01-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】518100926
【氏名又は名称】ウッドリッチ有限会社
(72)【発明者】
【氏名】山口 俊則
(57)【要約】
【課題】 狭い空間で使える工具作業のスペースを必要としない、大荷重用のジャッキがない、したがって片手の手首作業程度で力が出せるジャッキを発案し、前述の課題を無くそうとするものである。
【解決手段】 本発案は、内部の歯車がジャッキの位相変位を直接担い、その操作をねじだけで可能とする仕組みにするために、コの字状のベース部材fと、該ベース部材に取り付けられたシャフト部材gと、該シャフト部材に回転可能で向きが互い違いに支持される複数のカム部材eと、該カム部材と、前記ベース部材とを両側から覆う1対のカバー部材a,bと、該カバー部材の前記カム部材側を開閉可能とする軸部材cと、前記カバー部材のそれぞれの内側面に形成され、前記カム部材のカム面に形成されたカム溝部に係合するカバー溝部j-1と、前記ベース部材と前記軸部材のどちらかが回転可能に支持され他方がネジ結合される回転操作装置部材dで構成されていることを特徴とするカム式ジャッキで課題を解決しようとするものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コの字状のベース部材と、該ベース部材に取り付けられたシャフト部材と、該シャフト部材に回転可能で向きが互い違いに支持される複数のカム部材と、該カム部材と前記ベース部材とを両側から覆う1対のカバー部材と、該カバー部材の前記カム部材側を開閉可能とする軸部材と、前記カバー部材のそれぞれの内側面に形成され、前記カム部材のカム面に形成されたカム溝部に係合するカバー溝部と、前記ベース部材と前記軸部材に1方は回転可能に支持され他方はネジ係合される回転操作部材で構成されていることを特徴とするカム式ジャッキ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、小型ジャッキ工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、部材間隔を広くさせる場合、軽量の場合等では1組のくさびで、打撃により調整するか、あるいは、重量の場合は、手動ジャッキや油圧式ジャッキを用いるが、ジャッキスペースとジャッキを操作するために両手での作業や大きな動作が必要な工具を使った作業スペースを必要とした。
【発明の概要】
【課題】
【0003】
狭い空間で使える大荷重用のジャッキがないので、片手の手首作業程度で力が出せるジャッキを発案し、前述の課題を無くそうとするものである。
【解決手段】
【0004】
本発案は、内部の歯車がジャッキの位相変位を直接担いその操作をねじの回転だけで可能とする仕組みにするために、例えば図1のコの字状のベース部材fと、該ベース部材に取り付けられたシャフト部材gと、該シャフト部材に回転可能で向きが互い違いに支持される複数のカム部材eと、該カム部材と、前記ベース部材とを両側から覆う1対のカバー部材a,bと、該カバー部材の前記カム部材側を開閉可能とする軸部材cと、前記カバー部材のそれぞれの内側面に形成され、前記カム部材のカム面に形成されたカム溝部に係合するカバー溝部j-1と、前記ベース部材に回転可能に支持され、前記軸部材にネジ結合される回転操作装置部材dで構成されている図2のような形式または、図3図6のように前記ベース部材にねじ結合され前記軸部材に回転可能に支持される形式を特徴とするカム式ジャッキで課題を解決しようとするものである。
【0005】
本案は、片手で操作可能な小型で力のあるジャッキを、カム形状の回転による力の大きさに着目して、ねじ回転操作だけで図1のfや図7のvのベース部材のスライドによりカムが図1のa,bや図7のr,tのカバー部材内側と係合して回転可能になるようなカム式ジャッキを発明した。
【0006】
例としては図1の1つのcの軸部材で開閉する1対のカバー部材がワニグチ型になっているジャッキである、これは両側1対のaとbのカバー部材が軸部材を介してワニグチ状に可動できるよう組み立てられた構造で、aとbのカバー部材の内面は歯形のような係合可能な溝形状を有していて、また軸部材cには回転操作部材dが図2のようにねじ係合しており、それが回転操作されることで先端に係合しているベース部材fをカバー内部でスライド移動させる。ここで図2の例ではネジ回転でスライド移動するベース部材fが回転部材と係合して、押し引きによって回転操作部材のネジがベース部材と外れないように留め金具hを有していることを表している。そしてベース部材fは、カムシャフト部材gを支持する2点支持の図1から図3のようなコの字形や2点支持を2つ連ねた図7のような3点支持のヨの字型の形状となっていて、そのシャフト部材に組付けられた図4のようなカム状歯車j-2部がカバー内部の歯形j-1と係合し回転するようになっており、そのカムの外周は半径寸法が徐々に大きくなっているのでカム状歯車がスライドし回転することによりスライド方向に対して直角方向にカバー部材abが押し広げられる。そのことで1対のカバー部材aとbの間隔が広げられる仕組みとなっている構造を提案する。
【発明の効果】
【0007】
一般的に回転型板状カムはシャフトから伝わる回転の力によってカム外周がスリップしながら接する可動体を操作するのに利用されるが、本件は、カム外周が歯形の溝形状を有した該カムで、該カムを覆うカバーの内溝形状と係合しながらでスリップすることなく転がることでシャフトからのカム外周の寸法が変化することを利用した考えである。
そしてこれはさらに交互に方向を変えて重ねることで、1つのシャフトで2つの方向のカムの回転をさせることができて、ネジ回転操作による1つのスライド量で2方向のカムの回転により多くカバーの押上げ量の変位を確実に得ることが出来る。
また図1図6のワニグチ型のカム式ジャッキの場合は、ボルトの回転に応じたジャッキ行程は、ワニグチジャッキ内部のカムが転がる場所を変えることでワニグチの先端開口の変位量の大きさを変えることが出来る。例えば、軽い荷重用にジャッキの働かせるには、カムの転がり位置をワニグチジャッキの軸部材cに近づけて作動させる事で、少ないねじの回転で速く又は大きく開口できる。また、この形はねじのスライド機構による回転するカム部を力点とすれば、テコの理論からするとカムは支点から離れる方向に転がすので、支点より作用点に近くなるので力の効率が良いといえる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】はカム式ジャッキのワニグチ型ジャッキの斜視図である。aとbは、カバー部材で1対となっている、cは1対のaとbのカバー部材をワニグチ可動させるための軸部材、dは先端に連結のコの字形ベース部材をスライド可動させるための回転操作部材、eは回転型板状平面カム状歯車のカム部材、fはカム支持のシャフトを支えるコの字型ベース部部材、gはカムの方向を交互に重ねて貫通させるシャフト、j-1はカム歯車と係合する溝形状部である。
図2】は図1の内部のベース部材と座付きねじ形状の回転軸であり、hは矢視方向から見る回転軸のはずれ留め金具の例。
図3】はカムの板厚を細くして、iのメネジ部に変更したベース部材例。
図4】は外周が歯形形状の回転型板状平面式カムの形状例で、外周半周部の斜線部がj-2の歯形溝部です。R1からR3のように曲率半径が徐々に大きくなっていて、kのシャフト穴の芯が偏芯している例です。
図5】は図1のカムを利用するときの例です。基礎のo,土台のm,柱のl及びその周辺の図です。
図6】は、ワニグチ型ジャッキの応用例です。これはコの字形のベース部材の2つを1体にした場合でヨの字形ベース部材zで、図7のようにネジを係合貫通(図なし)させてベース部材形状vとしても使います。
図7】はカムシャフトsとベース部材vの2組を1つの回転操作ネジxに連結した例、yは回転操作時の補助資材として6角長ナットと留めナットを利用した例である
【発明を実施するための形態】
【0009】
回転操作部のネジは回転させることで、カバー内部のベース部材をスライドさせるそのことでカムシャフトも移動するので、カム外周と1対カバー内部が係合していることでカム自体を回転させて、様々なカムの形状に沿った1対のカバー間の距離が変化するようにしている。
【実施例0010】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
例として、図1の1つのcの軸部材で開閉する1対のカバー部材がワニグチ型になっているジャッキである。これは両側1対のaとbのカバー部材が軸部材cを介してワニグチ状に可動できるよう組み立てられた構造で、aとbのカバー部材の内面は歯形のような係合可能な溝形状を有していて、また軸部材cには回転操作部材dが図2のようにねじ係合しており、それが回転操作されることで先端に係合しているベース部材fをカバー内部でスライド移動させる。
【0011】
ここで図2の例ではネジ回転でスライド移動するベース部材fが回転部材と係合して、押し引きによって回転操作部材のネジがベース部材と外れないように留め金具hを有していることを表している。そしてベース部材fは、カムシャフト部材gを支持する2点支持の図1から図3のようなコの字形や2点支持を2つ連ねた図6のような3点支持のヨの字型の形状となっていて、そのシャフト部材に組付けられた図4のような外周が溝形状を有するカム状歯車j-2部がカバー内部の歯形j-1と係合し回転するようになっている。
【0012】
用途としての図5は、図1のワニグチカム式ジャッキの使用例です。これは木造住宅の基礎oと土台mや柱l周辺の図ですが、古い住宅になると、長年の住宅の偏荷重によって地盤に基礎が沈みその量が異なることで傾く場合があります。本件は、ジャッキnを設置するために作業スペース確保のために床の一部を解体撤去することなく、ジャッキが入るスペースだけ床下でコンクリート基礎の一部を切り取り、例えば柱1か所あたり1ケのカムジャッキを設置し、床傾斜エリヤを全体で少しずつ修正していくのに、図1の回転操作部dの程度により土台を持ち揚げる量が安定的に見込める工具となっています。pは土台が少々移動したときのジャッキ内部のカムがスライドして開いた時の状態です。
【0013】
また図7は、同じ原理で平行に位相を変化させる形式のジャッキで、カムシャフトとベース部材の2組を1つの回転操作ネジxに連結した例で支持体uから被移動部材qを平行に直角持ち揚げる場合のカバー部材rとtの例です。
その内容は、右ねじと左ねじが1つのネジに形成されていて、ネジ方向が異なるベース部材のメネジの片方が係合貫通する形のものとなっていて、sとvのベース部材が方向を逆になるように設置されている。
【0014】
ここで、この図7はねじのスライド方向の固定方法は多種多様にあるため省略している。yは回転操作時の補助資材として6角長ナットと留めナットを利用した例である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7