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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109207
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】UVランプ
(51)【国際特許分類】
   H01J 61/24 20060101AFI20220720BHJP
   H01J 61/30 20060101ALI20220720BHJP
   H01J 61/06 20060101ALI20220720BHJP
   H01J 65/00 20060101ALI20220720BHJP
   H01J 61/16 20060101ALI20220720BHJP
   G01N 27/64 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
H01J61/24 Z
H01J61/30 Q
H01J61/06
H01J65/00 B
H01J61/30 N
H01J61/16
G01N27/64 B
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089822
(22)【出願日】2021-05-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】17/149,098
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】592014182
【氏名又は名称】モコン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボリス ドルゴフ
(72)【発明者】
【氏名】クリス フィールズ
【テーマコード(参考)】
2G041
5C043
【Fターム(参考)】
2G041DA02
2G041EA05
5C043BB01
(57)【要約】
【課題】フッ化マグネシウム窓の最上部に直接的にフッ化カルシウム窓を固定した従来型の放電ランプに関連する欠点を回避する放電ランプを提供する。
【解決手段】ガス放電ランプおよびガス放電ランプを採用した光イオン化センサー。そのランプは、筐体内に封入された作動ガスを含む筐体と、筐体の長手方向の第一端部を通る第一紫外線透過窓とを含む。第一実施例として、ランプは、弾性ゲッター材料のアーチ状バンドを含む。弾性ゲッター材料のアーチ状バンドは、筐体によって形成されたチャンバ内に固定される、直径方向に対向し、かつ、長手方向に延びる脚部を備える。第二実施例として、ランプは、筐体内の金属製のアーチ状支持バンドによって第一紫外線透過窓に対して所定の位置に保持された第二紫外線透過窓を筐体内に含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線ガス放電ランプであって、
(a)長手方向軸を有する筐体と、長手方向端部に開口部を有する規定の外形のチャンバと、
(b)チャンバを密封するために、開口部を覆い、かつ、筐体に封止された紫外線透過窓と、
(c)チャンバ内に封入された作動ガスと、
(d)直径方向に対向し、かつ、長手方向に延びる脚部を有する、チャンバ内に配置された弾性ゲッター材料のアーチ状バンドとを備え、脚部のそれぞれが紫外線透過窓に近接する端部を備え、脚部のそれぞれが外向きに付勢されて筐体と係合しており、それによってアーチ状バンドがチャンバ内に固定されている紫外線ガス放電ランプ。
【請求項2】
請求項1に記載の紫外線ガス放電ランプであって、筐体上または筐体内に、長手方向軸の周りに直径方向に配置された金属製の一対の励起電極をさらに備える紫外線ガス放電ランプ。
【請求項3】
請求項2に記載の紫外線ガス放電ランプであって、アーチ状バンドの脚部と励起電極とが、チャンバ周りに互いに対してすべて均一に周方向に間隔をあけて配置されている紫外線ガス放電ランプ。
【請求項4】
紫外線ガス放電ランプであって、
(a)長手方向軸を有する筐体と、長手方向端部に開口部を有する規定の外形のチャンバとを備え、
(b)チャンバを密閉するために、開口部を覆い、かつ、筐体に封止された第一材料からなる第一紫外線透過窓を備え、
(c)チャンバ内に封入された作動ガスを備え、
(d)チャンバ内に配置された金属製のアーチ状支持バンドを備え、このアーチ状支持バンドは、直径方向に対向し、かつ、長手方向に延びる脚部を有し、脚部のそれぞれが、第一紫外線透過窓に近接し、かつ、第一紫外線透過窓から長手方向にオフセットされた端部を備え、
(e)第一材料とは異なる第二材料からなる第二紫外線透過窓を備え、第二紫外線透過窓はチャンバ内にて第一紫外線透過窓と金属製のアーチ状支持バンドの端部との間に嵌め込まれている紫外線ガス放電ランプ。
【請求項5】
請求項4に記載の紫外線ガス放電ランプであって、筐体上または筐体内に、長手方向軸の周りに直径方向に配置された金属製の一対の励起電極をさらに備えることを特徴とする紫外線ガス放電ランプ。
【請求項6】
請求項4に記載の紫外線ガス放電ランプであって、第一材料がフッ化マグネシウムである紫外線ガス放電ランプ。
【請求項7】
請求項6に記載の紫外線ガス放電ランプであって、第二材料がフッ化カルシウムである紫外線ガス放電ランプ。
【請求項8】
請求項4に記載の紫外線ガス放電ランプであって、作動ガスがクリプトンである紫外線ガス放電ランプ。
【請求項9】
請求項4に記載の紫外線ガス放電ランプであって、金属製のアーチ状支持バンドがゲッターである紫外線ガス放電ランプ。
【請求項10】
請求項4に記載の紫外線ガス放電ランプであって、金属製のアーチ状支持バンドが、端から端まで延びる長さと、チャンバの外形に対応する長さ方向の外形とを有する紫外線ガス放電ランプ。
【請求項11】
請求項4に記載の紫外線ガス放電ランプであって、金属製のアーチ状支持バンドにおいて、筐体の長手方向軸に対する半径方向の肉厚が約0.05~0.3mmであり、筐体の長手方向軸に対する周方向の幅が約1~2mmである紫外線ガス放電ランプ。
【請求項12】
請求項4に記載の紫外線ガス放電ランプであって、金属製のアーチ状支持バンドの脚部の端部が、それぞれ筐体の長手方向軸に向かって内向きに曲がっており、第二紫外線透過窓を支持するように使用可能な、内向きに突出するタブを形成している紫外線ガス放電ランプ。
【請求項13】
請求項5に記載の紫外線ガス放電ランプであって、金属製のアーチ状支持バンドの脚部と励起電極とが、チャンバ周りに互いに対してすべて均一に周方向に間隔をあけて配置されている紫外線ガス放電ランプ。
【請求項14】
光イオン化センサーであって、請求項1に記載の紫外線ガス放電ランプを含むセンサー。
【請求項15】
光イオン化センサーであって、請求項4に記載の紫外線ガス放電ランプを含むセンサー。
【請求項16】
光イオン化センサーであって、請求項11に記載の紫外線ガス放電ランプを含むセンサー。
【請求項17】
光イオン化センサーであって、請求項12に記載の紫外線ガス放電ランプを含むセンサー。
【請求項18】
光イオン化センサーであって、請求項13に記載の紫外線ガス放電ランプを含むセンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UVランプに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス放電ランプは、さまざまな用途で使用されて、規定の帯域幅内の放射光を放出する。このようなランプは、分析化学機器、特に光イオン化検出器(PID)として知られる光イオン化の原理に基づくガスセンサーで頻繁に使用される。一般的なデザインの1つとして、放射光は、一対の励起電極をランプの直径方向に配置した状態で、ランプ内に保持された作動ガス(working gas)を静電容量的に励起(capacitively exciting)することによってランプにより放出される。そのようなガス放電ランプの1つが米国特許第6,646,444号に記載されており、その開示は参照により本明細書に援用される。あるいは、作動ガスを誘導励起することができる。米国特許第6,646,444号に開示されているように、好ましい作動ガスはクリプトンである。
【0003】
ガス放電ランプの適度な性能を保持するために、作動ガスは相対的に純粋なままである必要がある。製造中またはランプ内に吸着ガスを徐々に放出している間の、ランプ内に留まっている残留ガスなどに由来する、ランプ内の作動ガスのコンタミネーションにより、操作性および性能が低下する。
【0004】
通例として、ランプ内のコンタミネーションガスを減らしたりなくしたりするため、ゲッターをガス放電ランプ内に組み入れる。ゲッターは汚染ガスと化学的に結合したり汚染ガスに吸着したりすることによって機能し、それによって、汚染ガスが作動ガスの励起や作動ガスからの光の放出を妨げるのを防ぐことができる。
【0005】
ゲッターは、ランプ上の電極間に配置されたときにガス放電ランプの点火を妨げるおそれがある。またゲッターがランプのUV窓を覆うように配置されたとすると、紫外(UV)の伝播を妨げるおそれがある。このため、ゲッターを電極間やUV窓を覆うように配置するのを避けるため、ゲッターはランプ内に配置されるべきであり、この邪魔にならない位置に固定されなければならない。これを達成する一つの技術が米国特許第9,368,338号に開示されている。これによれば、ゲッターストリップの一端部がランプの筐体の閉端部に埋め込まれている。
【0006】
米国特許第9,368,338号に開示されている技術は、これまでの取り組みを超えて大きく前進しているが、いくらかの欠点に悩まされている。例えばランプ筐体の最終的な形状が制御できなかったり、ランプ本体内のゲッターの位置が一貫していなかったりするなどの欠点である。したがって、ゲッターをUVランプ内に固定して組み込む別の方法のニーズが依然として存在する。
【0007】
光イオン化を利用する、ガス状揮発性有機化合物(VOC)ガス検知センサーの検出可能なVOCの範囲は、ランプから放出される電子ボルト(eV)エネルギーによって制御される。ランプのeV定格は、ランプで使用される充填ガスのタイプと、ランプに適用されるスペクトルフィルタリングの方法との両方の関数である。
【0008】
光イオン化を検出する目的で使用する通常のクリプトンガス充填ランプのeV定格は、10.6、または単に「10.6eV」という。これは検知センサーが10.6以下のイオン化ポテンシャルを有するあらゆるVOCガスの存在を検知できるということを意味する。
【0009】
特定の用途では、ランプから放出されるエネルギーのいくらかをフィルタリングすることによって、検知可能なVOCガスの範囲を制限することが望ましい。これに対するひとつのアプローチとして、ランプにフッ化カルシウム窓を追加することが考えられる。フッ化カルシウムの結晶は、ランプで使用される標準的なフッ化マグネシウム結晶の窓よりもUV波長の小さい帯域用に透明である。このため、何とかしてフッ化カルシウム窓を典型的な10.6eVのUVランプに追加すれば、その定格は10.6eVから10.0eVに変化することになるであろう。
【0010】
フッ化カルシウム窓を追加する典型的な方法として、エポキシやセメントや接着剤などでフッ化マグネシウム窓の最上部に直接的に取り付けることができる。このフッ化カルシウム窓を取り付ける方法は、いくつかの欠点を有する。この欠点として、フッ化カルシウム窓を取り付けたり、ランプからフッ化カルシウム窓やフッ化マグネシウム窓を取り外したりする際の、壊れやすいフッ化カルシウム窓や壊れやすいフッ化マグネシウム窓へのダメージを含む。また、この欠点として、ランプを洗浄するときに使用する洗浄液が2つの窓の間に入り込んで、その窓のUV透過を著しく妨害するリスクがある。
【0011】
したがって、フッ化マグネシウム窓の最上部に直接的にフッ化カルシウム窓を固定した従来型の10.0eVランプに関連する欠点を回避する、10.0eVランプに対する実質的なニーズが存在する。
【発明の概要】
【0012】
本発明の第一側面は、紫外線ガス放電ランプである。
【0013】
本発明の第一側面の第一実施例は、封入されたゲッターを備えるガス放電ランプである。このランプは筐体、紫外線透過窓、作動ガスおよび弾性ゲッター材料のアーチ状バンドを含む。筐体は、望ましくはガラス製であり、長手方向軸を形成し、長手方向端部に開口部を有する規定の外形のチャンバを有する。紫外線透過窓は、チャンバを密閉するために、筐体の開口部を密閉的に覆っている。作動ガスはチャンバ内に封入されている。弾性ゲッター材料のアーチ状バンドは、直径方向に対向し、かつ、長手方向に延びる脚部を備えてチャンバ内に配置されている。脚部のそれぞれは、紫外線透過窓に近接する端部を備え、脚部のそれぞれが外向きに付勢されて筐体と係合しており、それによってチャンバ内に固定されている。
【0014】
本発明の第一側面の第二実施例は、二重窓のガス放電ランプである。このランプは筐体、第一紫外線透過窓、作動ガス、金属製のアーチ状支持バンド及び第二紫外線透過窓を含む。筐体は、望ましくはガラスであり、長手方向軸を形成し、長手方向端部に開口部を有する規定の外形のチャンバを有する。第一紫外線透過窓は第一材料からなり、チャンバを密閉するために、筐体の開口部を密閉的に覆っている。作動ガスはチャンバ内に封入されている。金属製のアーチ状支持バンドはチャンバ内に配置されており、直径方向に対向し、かつ、長手方向に延びる脚部を有する。脚部のそれぞれが第一紫外線透過窓に近接し、かつ、第一紫外線透過窓から長手方向にオフセットされた状態の端部を備える。第二紫外線透過窓は、第一材料とは異なる第二材料からなる。第二紫外線透過窓は、第一紫外線透過窓と金属製のアーチ状支持バンドの端部との間のチャンバ内に嵌め込まれている。
【0015】
両方の実施例の紫外線ガス放電ランプは、筐体上または筐体内に、長手方向軸の周りに直径方向に配置された金属製の一対の励起電極をさらに備えてもよい。
【0016】
本発明の第二側面は、本発明の第一側面による紫外線ガス放電ランプを含む光イオン化センサーである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施例の等角図である。
図2図2は、図1に示した発明の底面図である。
図3図3は、図1に示した発明の平面図である。
図4図4は、図1に示した発明の正面図である。
図5図5は、図1に示した発明の右側面図である。
図6図6は、図1に示した発明の背面図である。
図7図7は、図1に示した発明の左側面図である。
図8図8は、図7に示した発明の部分拡大図であり、分子レベルで作動ガスを描写している。
図9図9は、図1に示したゲッターバンドの正面図である。
図10図10は、図1に示したゲッターバンドの側面図である。
図11図11は、本発明の一実施例の等角図である。
図12図12は、図11に示した発明の底面図である。
図13図13は、図11に示した発明の平面図である。
図14図14は、図11に示した発明の正面図である。
図15図15は、図11に示した発明の右側面図である。
図16図16は、図11に示した発明の背面図である。
図17図17は、図11に示した発明の左側面図である。
図18図18は、図11に示した支持バンドの正面図である。
図19図19は、図11に示した支持バンドの側面図である。
図20図20は、図11に示した第二紫外線透過窓の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
第一実施例
図1~7を参照すると、本発明の第一側面の第一実施例は、ガス放電ランプ10、特に光イオン化センサー(図示せず)で使用するのに適した紫外線放電ランプ10である。ランプ10は筐体20、紫外線透過窓30、ゲッターバンド40’および作動ガス60を含む。またランプ10は、一対の金属製の励起電極51及び52(まとめて50とする)を含む。一対の金属製の励起電極51及び52は、筐体20上または筐体20内に、筐体20の長手方向軸x1の周りに直径方向に配置されている。電極50は、ランプ10に取り付けられるとき、筐体20の外面に取り付けられるのが好ましい。
【0019】
筐体20は好ましくはガラスからなり、長手方向軸x1を形成する。筐体20は、開口部28を備えるように形成された外形の長手方向の第一端21、長手方向の第二端22およびチャンバ29を有する。開口部28は長手方向の第一端21を通してチャンバ29に向けて開口している。
【0020】
紫外線透過窓30は、UV透過材料、通常はフッ化マグネシウムの結晶からなる。紫外線透過窓30は、チャンバ29を密封するため、開口部28を覆うようにして筐体20に密閉的に取り付けられている。
【0021】
図8を参照すると、作動ガス60、通常はクリプトンなどの希ガスが、チャンバ29内に封入されている。水素も同様に作動ガス60として使用することができる。
【0022】
図9及び10を参照すると、ゲッターバンド40’は弾性ゲッター材料からなり、一対の直径方向に対向する第一脚部41および第二脚部42を備える。第一および第二脚部41及び42は、曲線部43によって近位端(符号は付していない)で相互に接続されており、それぞれ遠位端41dおよび42dを有する。ゲッターバンド40’の外形は、チャンバ29の外形に対応していることが好ましい。このときチャンバ29は、ゲッターバンド40’をチャンバ29内の固定位置に固定するために、ゲッターバンド40’が筐体20の壁部に対して弾性的に付勢されるように、ゲッターバンド40’の遠位端41dと遠位端42dとの間の間隔を備え、その間隔はチャンバ29の直径よりもわずかに大きい。
【0023】
図1及び4~7を参照すると、ゲッターバンド40’は、遠位端41d及び42dが紫外線透過窓30に近接した状態でチャンバ29内に配置されている。
【0024】
ゲッターバンド40’は、チタンや焼結ゲッター合金などの酸化されうる(oxidizable)金属のゲッター材料からなる。ゲッターバンド40’の長さ(すなわち、ゲッターバンド40’に沿って遠位端41dから遠位端42dまで延びる寸法)は、筐体20に対して紫外線透過窓30を取り付けるのを妨げることなく、チャンバ29内にゲッターバンド40’を外向きに付勢してしっかり固定できる長さとなっている。概して長さが約6~12mmで幅が約1~2mmであることが効果的である。半径方向の肉厚rが約0.05~0.3mmであれば、ゲッターバンド40’をチャンバ29内に固定するために、ゲッターバンド40’に対して必要な程度の弾性を与える構造的一体性を提供するのに概して費用効率が良い。
【0025】
ゲッターバンド40’の脚部41及び42ならびに励起電極51及び52は、チャンバ29周りに互いに対してすべて均一に周方向に間隔をあけて配置されるのが好ましく、これにより、ゲッターバンド40’が与える可能性のある、電極50による作動ガス60の励起に対する干渉を最小化することができる。
【0026】
第二実施例
図11~17を参照すると、本発明の第一側面の第二実施例は、ガス放電ランプ10であり、特に光イオン化センサー(図示せず)での使用に適した紫外線放電ランプ10である。このランプ10は、筐体20、最初のまたは第一紫外線透過窓31、二番目のまたは第二紫外線透過窓32、支持バンド40”および作動ガス60を含む。またランプ10は、一対の金属製の励起電極51及び52(まとめて電極50とする)を含む。電極50は、筐体20上または筐体20内に、筐体20の長手方向軸x1の周りに直径方向に配置されている。電極50は、ランプ10に取り付けられるとき、筐体20の外面に取り付けられるのが好ましい。
【0027】
筐体20は好ましくはガラスからなり、長手方向軸x1を形成する。筐体20は、長手方向の第一端21、長手方向の第二端22および開口部28を有して形成された外形のチャンバ29を有する。開口部28は長手方向の第一端21を通してチャンバ29に開口している。
【0028】
第一紫外線透過窓31は、第一材料、通常はフッ化マグネシウムの結晶からなる。第一紫外線透過窓31は、チャンバ29を密封するため、開口部28を覆うようにして筐体20に密閉的に取り付けられている。
【0029】
図8を参照すると、第一実施例と同様、作動ガス60、通常はクリプトンなどの希ガスがチャンバ29内に封入されている。水素も同様に作動ガス60として使用することができる。
【0030】
図18及び19を参照すると、アーチ状の支持バンド40”は、直径方向に対向する一対の第一脚部41および第二脚部42を有する。第一脚部41および第二脚部42は、曲線部43によって近位端(符号は付していない)で相互に接続されており、それぞれ遠位端41dおよび42dを有する。支持バンド40”の外形は、チャンバ29の外形に対応していることが好ましい。支持バンド40”はゲッターバンド40’と同様に、支持バンド40”の遠位端41dと遠位端42dとの間の間隔を有する弾性材料からなっていてもよい。その間隔は、支持バンド40”をチャンバ29内の固定位置に固定するために、支持バンド40”が筐体20の壁部に対して弾性的に付勢されるように、チャンバ29の直径よりもわずかに大きい。
【0031】
図11及び14~17を参照すると、支持バンド40”は、遠位端41d及び42dが第一紫外線透過窓31に近接し、かつ、第一紫外線透過窓31から長手方向にオフセットした状態で、チャンバ29内に配置されている。好ましくは、脚部41及び42の遠位端41d及び42dのそれぞれが、筐体20の長手方向軸x1に向けて内方向に曲がり、内方向に突出する支持タブ41t及び42tを形成している。
【0032】
支持バンド40”は、チタンや焼結ゲッター合金などの酸化されうる金属のゲッター材料から構成することができる。支持バンド40”の長さ(すなわち、バンド40に沿って遠位端41dから遠位端42dまで延びる寸法)は、第一紫外線透過窓31と金属製のアーチ状支持バンド40の遠位端41d及び42dとの間に第二紫外線透過窓32をしっかり確実に保持するのに効果的な長さとなっている。概して約6~12mmの長さと約1~2mmの幅が有効である。半径方向rの肉厚が約0.05~0.3mmであれば、概して第二紫外線透過窓32を一定の位置に支持するのに必要な構造一体性を提供するにあたり費用対効果のある範囲となる。
【0033】
支持バンド40”の脚部41及び42ならびに励起電極51及び52は、チャンバ29周りに互いに対してすべて均一に周方向に間隔をあけて配置されるのが好ましく、これにより、支持バンド40”が与える可能性のある、電極50による作動ガス60の励起に対する干渉を最小化することができる。
【0034】
図11~17を再び参照すると、第二紫外線透過窓32は、フッ化カルシウムの結晶などの、第一材料とは異なる第二材料からなってもよい。第二紫外線透過窓32は、第一紫外線透過窓31と、支持バンド40”の遠位端41d及び42dとの間のチャンバ29内に嵌め込まれている。図20を参照すると、第二紫外線透過窓32の周縁部32cは、好ましくは第二紫外線透過窓32の上端部および下端部(符号なし)の両方で面取りされている。これによって、どちら側が最初に挿入されるかに関わらず、開口部28を覆うように第一紫外線透過窓31を取り付けるより前に、開口部28を通して第二紫外線透過窓32をチャンバ29内に容易に配置できるようになる。
【符号の説明】
【0035】
10 紫外線ガス放電ランプ
20 ランプ筐体
21 ランプ筐体の長手方向第一端部
22 ランプ筐体の長手方向第二端部
28 ランプ筐体の長手方向第一端部を通る開口部
29 ランプ筐体のチャンバ
30 紫外線透過窓
31 第一紫外線透過窓
32 第二紫外線透過窓
32c 第二紫外線透過窓の周縁部
40 バンド
40’ ゲッターバンド
40” 支持バンド
41 バンドの第一脚部
41d バンドの第一脚部の遠位端
41t 支持バンドの第一脚部の遠位端に形成されたタブ
42 バンドの第二脚部
42d バンドの第二脚部の遠位端
42t 支持バンドの第二脚部の遠位端に形成されたタブ
43 バンドの曲線部
50 励起電極
51 第一励起電極
52 第二励起電極
60 作動ガス
1 筐体の長手方向軸
r 筐体の長手方向軸から半径方向
c 筐体の長手方向軸周りの周方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20