(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109213
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】制御回路基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/11 20060101AFI20220720BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
H05K1/11 D
H05K1/11 E
G01R31/28 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132144
(22)【出願日】2021-08-16
(31)【優先権主張番号】202120101926.5
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】林 浩平
【テーマコード(参考)】
2G132
5E317
【Fターム(参考)】
2G132AA20
2G132AB01
2G132AK02
2G132AK04
2G132AL03
2G132AL09
5E317AA07
5E317BB12
5E317CC31
5E317CD29
5E317CD32
5E317GG16
(57)【要約】
【課題】パッド群を介する解析装置の外付け作業を容易に行うことができる制御回路基板を提供する。
【解決手段】制御回路基板10は、基板12と、基板12の一方の主面(正面14)に設けられて通信インタフェースを有する集積回路16と、基板12に形成されるスルーホール26,28を介して通信インタフェースと電気的に接続されるとともに、基板12の他方の主面(背面30)のうちの一箇所に密集して配置されるパッド群34と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一方の主面に設けられる集積回路と、
前記基板に形成されるスルーホールを介して前記集積回路と電気的に接続されるとともに、前記基板の他方の主面のうちの一箇所に密集して配置されるパッド群と、
を備える制御回路基板。
【請求項2】
前記パッド群の上には、絶縁性を有する保護膜が除去可能な状態で被覆される、
請求項1に記載の制御回路基板。
【請求項3】
前記パッド群を構成する複数のパッドは、一方向に延びるとともに、前記一方向に垂直な方向に沿って等間隔に配置される、
請求項1に記載の制御回路基板。
【請求項4】
前記集積回路は、外部装置と通信を行うための通信インタフェースを有するとともに、タッチセンサの駆動制御を行うタッチICであり、
前記パッド群は、前記通信インタフェースを介して、前記タッチICの動作テストを行うために用いられる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の制御回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、集積回路が実装される制御回路基板に関して、外付けした解析装置を用いて集積回路の動作テストを簡単に行えるように、テスト用のパッド群を基板上に増設する場合がある。
【0003】
図4は、従来の制御回路基板1におけるパッドの配置を例示する図である。この制御回路基板1は、基板2と、基板2の主面に設けられる複数の電子部品3,4,5と、を備える。基板2の主面には、複数の電子部品3~5の位置を避けるように、複数のパッド6が設けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、
図4に示す制御回路基板1では複数のパッド6が分散的に配置されるため、外付け用の接続端子を各々のパッド6に固定するための作業工数が掛かってしまう。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、パッド群を介する解析装置の外付け作業を容易に行うことができる制御回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様における制御回路基板は、基板と、前記基板の一方の主面に設けられる集積回路と、前記基板に形成されるスルーホールを介して前記集積回路と電気的に接続されるとともに、前記基板の他方の主面のうちの一箇所に密集して配置されるパッド群と、を備える。
【0007】
本発明の第二態様における制御回路基板では、前記パッド群の上には、絶縁性を有する保護膜が除去可能な状態で被覆される。
【0008】
本発明の第三態様における制御回路基板では、前記パッド群を構成する複数のパッドは、一方向に延びるとともに、前記一方向に垂直な方向に沿って等間隔に配置される。
【0009】
本発明の第四態様における制御回路基板では、前記集積回路は、外部装置と通信を行うための通信インタフェースを有するとともに、タッチセンサの駆動制御を行うタッチICであり、前記パッド群は、前記通信インタフェースを介して、前記タッチICの動作テストを行うために用いられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パッド群を介する解析装置の外付け作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態における制御回路基板の正面図である。
【
図2】
図1の制御回路基板の背面を示す部分拡大図である。
【
図3】
図2の制御回路基板にフラットケーブルを接続する状態を示す図である。
【
図4】従来の制御回路基板におけるパッドの配置を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0013】
[構成]
図1は、本発明の一実施形態における制御回路基板10の正面図である。制御回路基板10は、静電容量方式のタッチセンサ(不図示)に接続されて、ユーザの指又はタッチペンによるタッチ面上の指示位置を検出可能に構成される。なお、制御対象物は、タッチセンサに限られず、様々な検出方式のセンサ、様々な電子部品あるいは電子機器であってもよい。
【0014】
制御回路基板10は、一方向に長尺な概略矩形状の基板12を有する。基板12の一方の主面(以下、「正面14」という)には、集積回路16、電子部品18,20、及びコネクタ22,24が設けられる。集積回路16は、外部装置と通信を行うための通信インタフェースを有するとともに、ファームウェアの実行を通じてタッチセンサの駆動制御及びタッチペンの同期制御を行うタッチIC(Integrated Circuit)である。コネクタ22は、タッチセンサのX軸ケーブルと接続可能に構成される。コネクタ24は、タッチセンサのY軸ケーブルと接続可能に構成される。
【0015】
基板12の隅部には、内壁に銅めっきが施されたスルーホール26,28が形成される。集積回路16は、図示しないプリント配線を介して、スルーホール26,28に接続される。これにより、基板12の他方の主面(以下、「背面30」という)から集積回路16に接続することができる。
【0016】
図2は、
図1の制御回路基板10の背面30を示す部分拡大図である。基板12の背面30には、パッド32の集合体(以下、「パッド群34」という)と、パッド32のそれぞれ一端に接続された引き出し線の集合体(以下、「引き出し線群36」という)と、が設けられる。
【0017】
パッド群34は、集積回路16が有する通信インタフェースを介して、集積回路16の動作テストを行うために用いられる。パッド群34は、背面30のうちの一箇所に密集して配置される。パッド群34を構成する複数のパッド32は、基板12の短辺方向に延びるとともに、基板12の長辺方向に沿って等間隔に配置される。
【0018】
引き出し線群36を構成する各々の引き出し線の他端は、上記したスルーホール26に接続される。これにより、パッド群34は、スルーホール26を介して集積回路16と電気的に接続される。パッド群34及び引き出し線群36の上には、絶縁性を有する保護膜38が被覆される。この保護膜38は、物理的処理又は化学的処理などにより除去可能である。
【0019】
[作用効果]
この実施形態における制御回路基板10は、以上のように構成される。続いて、制御回路基板10による作用効果について、
図3を参照しながら説明する。この動作テストは、[1]出荷後に不具合が発生した製品の解析時、[2]製品出荷前の動作確認時、[3]ファームウェアの開発におけるデバック時、のうちいずれのタイミングで行われてもよい。
【0020】
図3は、
図2の制御回路基板10にフラットケーブル40を接続する状態を示す図である。このフラットケーブル40は、制御回路基板10に図示しない解析装置を接続するためのフレキシブルな接続ケーブルである。フラットケーブル40は、その先端側に、パッド32のピッチと同一のピッチで配置された接続端子群を有する。
【0021】
まず、作業者は、制御回路基板10の背面30に設けられる保護膜38の一部を除去し、パッド群34を外部に露出させる。そして、作業者は、フラットケーブル40の位置決めを行った後、フラットケーブル40の接続端子群をパッド群34に圧着させる。これにより、フラットケーブル40の接続端子群が、パッド群34を構成する全部のパッド32に同時に纏めて固定されるので、外部の解析装置と簡単に接続することができる。そして、制御回路基板10を電子機器に組み込みながらフラットケーブル40を電子機器の外側に引き出すことで、作業者は、電子機器の実際の動作環境に近い状態にて集積回路16の動作テストを行える。
【0022】
なお、パッド群34の仕様(具体的には、パッド32の個数・幅・長さ・ピッチなど)は、タッチセンサ、タッチペン、又は電子機器の機種に応じて異なってもよいし、共通であってもよい。特に、パッド群34の仕様を共通化することでテスト時の利便性が高まる。
【0023】
以上のように、制御回路基板10は、基板12と、基板12の正面14に設けられる集積回路16と、基板12に形成されるスルーホール26,28を介して集積回路16と電気的に接続されるとともに、基板12の背面30のうちの一箇所に密集して配置されるパッド群34と、を備える。
【0024】
このように、集積回路16が設けられる正面14と比べて集積密度が相対的に低い背面30を利用して、複数のパッド32を一箇所に密集して配置することで、外付けの接続端子(
図3の例では、フラットケーブル40)に二以上のパッド32を同時に纏めて固定しやすくなる。これにより、パッド32を複数箇所に分散的に配置する場合と比べて、パッド群34を介する解析装置の外付け作業がより容易になる。
【0025】
また、パッド群34の上には、絶縁性を有する保護膜38が除去可能な状態で被覆されてもよい。これにより、制御回路基板10を組み込まれる電子機器の導電部品との接触を通じて起こり得る、集積回路16の誤作動などが抑制される。また、必要に応じて保護膜38を除去することで、パッド群34を適時に利用することができる。
【0026】
また、パッド群34を構成する複数のパッド32は、一方向(基板12の一辺方向)に延びるとともに、一方向に垂直な方向(基板12の他辺方向)に沿って等間隔に配置されてもよい。これにより、パッド32のピッチと同一のピッチで配置された接続端子群を有するフラットケーブル40を介して、外部の解析装置と簡単に接続することができる。
【0027】
また、集積回路16は、外部装置と通信を行うための通信インタフェースを有するとともに、タッチセンサの駆動制御を行うタッチICであり、パッド群34は、通信インタフェースを介して、タッチICの動作テストを行うために用いられる。これにより、タッチセンサの動作テストを行いやすくなる。
【0028】
[符号の説明]
10…制御回路基板、12…基板、14…正面(一方の主面)、16…集積回路、26,28…スルーホール、30…背面(他方の主面)、32…パッド、34…パッド群、36…引き出し線群、38…保護膜、40…フラットケーブル