(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109229
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】タンパストローク調整
(51)【国際特許分類】
E01C 19/40 20060101AFI20220720BHJP
E01C 19/48 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
E01C19/40
E01C19/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022000939
(22)【出願日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】21151612
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596068349
【氏名又は名称】ヨゼフ フェゲーレ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ベルツ
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ヴァイザー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ノル
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン パウリク
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052AA03
2D052AB01
2D052BC06
2D052BD12
2D052CA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】タンパストローク調整手段を備える路面仕上げ機および路面仕上げ機における連続タンパストローク調整方法を提供する。
【解決手段】舗設層を形成するためのスクリードを有する路面仕上げ機に関し、スクリードは、スクリードに供給された舗設材料を予備締固めるための少なくとも1つの締固めユニット(4)を備え、締固めユニット(4)は、前記締固めユニット(4)のタンパバー(6)の所望のタンパストローク(11)が連続して変化可能となるように、所望の回転角度に回転可能に支持する偏心シャフト(8)に設けられる少なくとも1つの偏心ブッシング(12)を備え、偏心ブッシング(12)を回転させるために、締固めユニット(4)は、少なくとも1つの調整機構(10)を備え、調整機構(10)は、前記偏心シャフト(8)に設けられ偏心シャフト(8)と一緒に回転する調整ドライブを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗設層(3)を形成するためのスクリード(2)を有する路面仕上げ機(1)であって、
前記スクリード(2)は、前記スクリード(2)に供給された舗設材料(5)を予備締固めるための少なくとも1つの締固めユニット(4)を備え、
前記締固めユニット(4)は、前記締固めユニット(4)のタンパバー(6)の所望のタンパストローク(11)が連続して変化可能となるように、所望の回転角度(φ)に回転可能に支持する偏心シャフト(8)に設けられる少なくとも1つの偏心ブッシング(12)を備え、
前記偏心ブッシング(12)を回転させるために、前記締固めユニット(4)は、少なくとも1つの調整機構(10)を備え、
前記調整機構(10)は、前記偏心シャフト(8)に設けられ当該偏心シャフト(8)と一緒に回転する調整ドライブ(15)を備えることを特徴とする、路面仕上げ機(1)。
【請求項2】
前記調整機構(10)は、前記偏心シャフト(8)に設けられ、および、前記調整ドライブ(15)により作動可能である調整変速機(17)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の路面仕上げ機。
【請求項3】
前記調整ドライブ(15)および前記調整変速機(17)は、前記偏心シャフト(8)に設けられ、当該偏心シャフト(8)の回転運動と一緒に回転する機能ユニットとされることを特徴とする、請求項2に記載の路面仕上げ機。
【請求項4】
前記調整機構(10)は、前記偏心シャフト(8)を囲む筐体(13)中に配置されることを特徴とする、請求項1~3のいずれかの一つに記載の路面仕上げ機。
【請求項5】
前記筐体(13)は、中空円筒または環の形態とされることを特徴とする、請求項4に記載の路面仕上げ機。
【請求項6】
前記調整ドライブ(15)は、中心に、または、偏心して前記偏心シャフト(8)に配置されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれかの一つに記載の路面仕上げ機。
【請求項7】
前記調整機構(10)は、前記偏心ブッシング(12)に直接、または、確動クラッチ(22)により接続されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれかの一つに記載の路面仕上げ機。
【請求項8】
前記調整ドライブ(15)は、油圧、電気および/または機械式に動作可能であることを特徴とする、請求項1~7のいずれかの一つに記載の路面仕上げ機。
【請求項9】
前記締固めユニット(4)は、複数の独立して調整可能なユニットセクションを備え、前記ユニットセクションのそれぞれに、1つの調整機構(10)が各々設けられていることを特徴とする、請求項1~8のいずれかの一つに記載の路面仕上げ機。
【請求項10】
前記調整機構(10)は、前記調整ドライブ(15)のエネルギー供給のために少なくとも1つのアキュムレータ(30)を備えることを特徴とする、請求項1~9のいずれかの一つに記載の路面仕上げ機。
【請求項11】
前記調整機構(10)は、前記調整ドライブ(15)のための摺接誘導型電力および/または信号伝達を提供することを特徴とする、請求項1~10のいずれかの一つに記載の路面仕上げ機。
【請求項12】
前記調整機構(10)は、前記調整ドライブ(15)のための非接触型電力および/または信号伝達を提供することを特徴とする、請求項1~11のいずれかの一つに記載の路面仕上げ機。
【請求項13】
前記調整機構(10)は、前記所望のタンパストローク(11)を設定するために制御システム(31)に接続されていることを特徴とする、請求項1~12のいずれかの一つに記載の路面仕上げ機。
【請求項14】
前記調整機構(10)は、前記偏心ブッシング(12)と前記偏心シャフト(8)との間において設定された前記回転角度(φ)を検出するための少なくとも1つのセンサユニット(19)を備えることを特徴とする、請求項1~13のいずれかの一つに記載の路面仕上げ機。
【請求項15】
路面仕上げ機(1)の締固めユニット(4)において連続可変タンパストローク調整を行う方法であって、前記タンパストローク(H)を調整するために、少なくとも1つの偏心ブッシング(12)を、偏心ブッシング(12)を支持する偏心シャフト(8)において回転させる方法であり、
前記偏心ブッシング(12)を回転させるために、前記偏心シャフト(8)に設けられ、当該偏心シャフト(8)と一緒に回転する調整ドライブ(15)を作動させることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の路面仕上げ機に関し、および、請求項15に記載の路面仕上げ機における連続タンパストローク調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第3 138 961 B1号明細書には、スクリードにタンパストローク調整手段が備えられている路面仕上げ機が開示されている。タンパストローク調整手段は、回転駆動可能な偏心シャフトと、偏心シャフトに回転可能に設けられた偏心ブッシングとの間に設けられた調整変速機を有する。タンパバーのストロークは、偏心シャフトにおける偏心ブッシングの回転によって設定される。欧州特許出願公開第3 138 961 B1号明細書にはさらに、回転駆動可能な偏心シャフトと、偏心シャフトに相対回転不能に設けられた偏心ブッシングとの間に設けられた調整変速機が開示されており、ここで、タンパバーのタンパストロークを調整するために、偏心ブッシングは、偏心シャフトに交差して調整変速機上を移動するものである。最後に、欧州特許出願公開第3 138 961 B1号明細書には、切り換え機構を備える調整変速機が開示されている。
【0003】
上記における2つの第1の解決法において、路面仕上げ機の運転中における偏心ストロークの調整は技術的に困難である。これは特に、偏心ブッシングと偏心シャフトとの間において、偏心シャフトに直接設けられた調整変速機を作動または動作させることは困難であるためである。切り換え機構は、かなり複雑な構成を有していると共に、スクリードにおける空間の多くを専有する。
【0004】
米国特許第8,371,770 B1号明細書には、ネジ付ロッドと、これに移動可能に設けられたネジ付ブッシングとを備えるタンパストローク調整手段を有するスクリードが開示されている。ネジ付ロッドに沿ったネジ付ブッシングの軸方向における調整ではネジ付ブッシングに設けられたレバーアームが動かされ、その位置および向きに応じて、路面仕上げ機のスクリードにおけるタンパストロークの設定がなされる。
【0005】
欧州特許出願公開第1 905 899 A2号明細書には、タンパストローク調整手段が設けられた路面仕上げ機のスクリードが開示されている。タンパストローク調整手段は、偏心ブッシングが相対回転不能に設けられている案内スライドに沿って移動可能に水平に設けられた偏心シャフト用のベアリングサポートを備える。ベアリングサポートが水平に変位することにより、これに設けられた偏心シャフトと、スクリードに設けられた斜軸との間の距離は、手動で調整可能とされており、これにより、タンパストローク調整が達成される。
【0006】
欧州特許出願公開第2 599 918 A1号明細書には、路面仕上げ機のスタンパバーの上死点を設定するための方法および装置が開示されている。欧州特許出願公開第2 599 919 A1号明細書には、路面仕上げ機のスタンパバーのストローク調整のためのさらなる装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、タンパストローク調整手段を備える路面仕上げ機および路面仕上げ機における連続タンパストローク調整方法を提供することを目的とし、これにより、タンパストロークを、単純な構造技術的手段により、特に小型設計の少ないモジュール数を用いて、主に路面仕上げ機の舗設作業の最中に正確かつ連続して変化可能に設定可能である。
【0008】
この目的は、を請求項1に記載の路面仕上げ機、または、請求項15に記載の方法により達成される。本発明の有利な進歩が、下位の請求項のそれぞれに記載されている。
【0009】
本発明は、舗設層を形成するためのスクリードを有する路面仕上げ機に関し、ここで、スクリードは、スクリードに供給された舗設材料を予備締固めるための少なくとも1つの締固めユニットを備え、締固めユニットは、所望の回転角度で回転可能に偏心シャフトに支持されて、締固めユニットのタンパバーの所望のタンパストロークが連続して変化可能に設定されるよう偏心シャフトに設けられた少なくとも1つの偏心ブッシングを備える。締固めユニットは、偏心ブッシングを回転させるために、すなわち、タンパストロークを調整するために、少なくとも1つの調整機構を備える。
【0010】
本発明によれば、調整機構は、偏心シャフトに設けられ、当該偏心シャフトと一緒に回転する調整ドライブを備える。本発明において調整ドライブが偏心シャフト上に直接位置されることにより、すなわち、偏心シャフトが調整ドライブの支持体として採用されることにより、締固めユニットについて全体として小型の設計がもたらされ、これにより、少ないモジュール数および小さい力の適用で、路面仕上げ機のスクリードにおけるタンパストローク調整が可能となる。
【0011】
本発明において、偏心ブッシングと、これのために提供される調整ドライブは、一緒になって偏心シャフト上に位置される。それ故、これらは共に、運転中は偏心シャフトの速度で回転される。調整ドライブは、偏心ブッシングを偏心シャフトと相対的に回転させることが可能であり、すなわち、これらの構成要素間で回転角度が変更可能であり、これにより、タンパストロークは、締固めユニットに対応して設定可能である。
【0012】
回転駆動される偏心シャフトにおける偏心ブッシングの回転(すなわち、これらの2つの構成要素の相互におけるそれぞれの偏心度)は、それ自体が偏心シャフトに沿って回転する調整ドライブによって行われる位相調整に応じて達成され、これにより、所望のタンパストロークをスクリードにおいて設定可能である。位相調整は、偏心シャフトに相対回転不能に設けられ当該偏心シャフトの速度で一緒に回転する調整ドライブによって、特に低い速度および小さい力で有利に作動可能である。
【0013】
偏心ブッシングおよび偏心シャフト間の回転角度を設定するために、一緒に回転する調整ドライブは、外から見て、これを支持する偏心シャフトの速度が加速または減速されるよう少なくとも一時的に位相調整可能とされ、これにより、偏心シャフトにおいて連結された偏心ブッシングが相対的に回転される。換言すると、調整ドライブに連結され、偏心シャフトにおいて一緒に回転する偏心ブッシングは、偏心シャフトの回転運動に対する調整ドライブによって作動される位相調整に応じて「減速」または「加速」可能であり、これにより、偏心ブッシングは偏心シャフトに対して新たな角度位置に回転する。偏心シャフトにおける偏心ブッシングの回転により、タンパストロークは調整可能とされている。偏心シャフトにおいて一緒に回転する調整ドライブの個別の作動を伴わずに、偏心ブッシングは、偏心ブッシングと同一の速度で、すなわち、一定のタンパストロークで偏心ブッシングと一緒に回転される。
【0014】
「一緒に回転する」という用語は、調整ドライブが、偏心シャフト上において、その上における直接的な位置のために一緒に回転することを意味する。これにより、調整ドライブは、偏心ブッシングを回転するために、特に短い調整通路と小さい力で、すなわち、構造的に簡素に、偏心シャフトの回転動作のために繊細に位相調整可能である。すなわち、偏心シャフトに位置された偏心ブッシングの角度位置の変更は、締固めユニットのタンパバーのタンパストロークが変更可能であるよう、作動可能とされている。
【0015】
好ましくは、調整機構は、調整ドライブにより駆動可能である偏心シャフトに設けられた調整変速機を備える。調整変速機は、偏心ブッシングに直接、または、クラッチを介して接続可能である。調整変速機は、調整ドライブに接続される個別に実装されるモジュールであることが可能であり、または、調整ドライブにおいて一体化されて実装されることが可能である。
【0016】
調整ドライブおよび調整変速機は、偏心シャフトに設けられ当該偏心シャフトの回転運動と一緒に回転する機能ユニットとされることが有利である。このように形成された一緒に回転する機能ユニットは、小型の設計を有し、偏心シャフトにおけるタンパストローク調整に最適に採用可能である。このように提供される機能ユニットは、それ自体偏心シャフトに沿って、偏心ブッシングに隣接して直接、または、少なくともきわめて短い距離で配置可能であり、これにより、小型の設計が向上する。特に、このような機能ユニットは、途中で偏心ブッシングを偏心シャフトから外す必要を伴わずに容易に修理が可能である。
【0017】
有利な実施形態において、上記段落に記載の調整機構、特に機能ユニットは、偏心シャフトを囲む筐体内に配置される。これにより、調整機構は、偏心シャフトにおいて、かさばることなく組み込まれ、良好に保護されたモジュールとして存在し、それ故、調整機構は、タンパストローク調整の現場において、狭い搭載スペースに直接採用されるのに適している。とりわけ、筐体は、偏心シャフトに設けられた調整機構を、スクリードの前方から、すなわち、横ディストリビュータの間隙から立ち上るアスファルトの蒸気から保護する。
【0018】
低騒音および低摩耗運転のために、筐体は、中空の円筒または環の形態とされることが有利である。好ましくは、中空の円筒状または環状の筐体が、偏心シャフトに、その回転軸と同心状、かつ、相対回転不能に設けられている。筐体は、中に収納された調整機構へのアクセスを容易とするために偏心シャフトから容易に取り外し可能となるよう、二個組の設計とされることが可能である。
【0019】
変形例によれば、調整ドライブは、中心に、または、偏心して偏心シャフトに配置可能である。好ましくは、調整機構は、偏心ブッシングに直接、または、確動クラッチにより接続されている。
【0020】
本発明において、所望のタンパストローク調整は好ましくは、偏心シャフトに形成される個別の偏心度と、偏心シャフトに設けられた偏心ブッシングの個別の偏心度との和として達成される。このために、偏心ブッシングは、偏心シャフトの偏心領域に回転可能に配置可能である。好ましくは、調整ドライブはまた、偏心シャフトの偏心領域に取り付けられ、すなわち、調整ドライブは、偏心ブッシングに直接連結可能であるよう偏心シャフトの偏心領域に偏心して配置される。これにより、きわめてコンパクトな設置スペースがもたらされる。
【0021】
変形例によれば、調整ドライブは、偏心シャフトの中心領域(すなわち、その偏心領域外)に設けられる。このような中心配置においては、調整ドライブは、確動クラッチ(例えば噛合クラッチ)により、偏心シャフトの偏心領域にオフセットして設けられた偏心ブッシングに接続可能である。これにより、偏心シャフトの回転中に、調整ドライブおよび偏心シャフトの回転ベアリングに係るアンバランスが良好に回避できる。
【0022】
好ましくは、調整ドライブは、油圧、電気および/または機械式に動作可能である。このような駆動ユニットとしては、小型設計で、偏心シャフトに直接、および、偏心ブッシングから短い距離で最適に位置されることが可能である。
【0023】
調整ドライブは、実質的に環状の設計を有することが可能である。これにより、調整ドライブは、偏心シャフトの回転軸に対して同心状に配置可能である。換言すると、調整ドライブは、これにより、偏心シャフトに対して押され、囲むように実装され、その上で相対回転不能に位置されることが可能である。このような調整ドライブは、とりわけ、実質的に一致する形状を有する場合、取り囲む筐体内に最適に配置可能である。
【0024】
好ましくは、一緒に回転する調整ドライブは、例えばサーボモータといった電気機械式位相調整器とされる。これにより、きわめて正確に、迅速な応答で作動可能であり、それ自体、例えばユニット温度といった他のプロセス量による影響が無視可能となる。調整ドライブは、偏心シャフトに配置されたスリップリングユニットにより、および/または、出力で位相調整を設定可能であり偏心シャフトに付随する誘引ユニットにより駆動される位相調整器であることが考えられるであろう。
【0025】
偏心シャフトにサーボモータとして存在する調整ドライブは、モータシャフトの位置を判定するために、特に、センサを備えていることが可能である。センサにより判定されるモータシャフトの回転位置、すなわち、位相調整は、好ましくは、制御電子機器に連続して伝達され、制御ループにおける1つ以上の調整可能な所望のタンパーストロークに対応するサーボモータの動きを制御する。
【0026】
一変形例によれば、調整ドライブは、油圧流体の圧力が適用できる油圧式により作動可能な位相調整器として偏心シャフトに配置可能であり、例えば偏心シャフト、特にここで実装された油圧流路を介して、所望の位相調整が行われ、回転角度を設定するために偏心ブッシングに送られる。偏心シャフト自体が調整ドライブの油圧供給ラインを形成することにより、特に小型の設計が達成されることとなる。ここで、油圧式調整ドライブは、スクリードに配置される油圧システムに接続されることが考えられる。
【0027】
好ましくは、締固めユニットは、独立して設定可能である複数のユニットセクションを備え、1つの調整機構の各々がそれぞれのユニットセクションに設けられている。これらは、ユニットセクションのそれぞれにおいて異なるタンパストロークを設定可能であるよう、独立して作動可能に実装できる。偏心シャフトに回転可能に設けられた偏心ブッシングの各々に係るユニットセクション毎に、調整ドライブが偏心シャフトに位置されて一緒に回転する1つの調整機構を設けることが考えられる。
【0028】
同一のタンパストロークをすべてのユニットセクションに設定可能であるよう、それぞれの偏心ブッシングは偏心シャフトにおいて所望の回転を同時に行うものであることが考えられる。例えば、このために、位相調整を行うために、偏心シャフトに設けられているすべての調整機構を同時に作動可能である。複数の偏心ブッシングの機械的連結もまたこのために考慮することが可能である。
【0029】
調整機構は、調整ドライブのエネルギー供給のために少なくとも1つのアキュムレータを備えることが有利である。アキュムレータは筐体内に設けられることが可能である。しかも、アキュムレータは、偏心シャフトの回転運動によって、例えば摺接により、および/または、誘導充電に基づいて充電可能とされることが考えられる。これにより、アキュムレータは、完全に充電されたエネルギーストレージとして調整ドライブのために確実に利用可能とされる。偏心シャフトにおいて一緒に回転する調整システムについては、アキュムレータは、旋回するよう偏心シャフトに設けられて任意選択により調整ドライブのように筐体内に配置される環状ユニットを実質的に形成していることが好適である。
【0030】
好ましくは、調整ドライブに係る調整機構は、少なくとも1つの接触誘導型電力および/または信号伝達ユニット、例えばスリップリングユニットを備える。これは、偏心シャフトに直接、特に旋回する筐体内に設けられることが可能である。スリップリングユニットは、好ましくは、調整機構の自動化を助ける双方向性の信号伝達のために実装される。
【0031】
好ましい変形例において、調整機構により、偏心シャフトにおいて一緒に回転する調整ドライブのための非接触型電力および/または信号伝達ユニットがもたらされている。例えば、誘導に基づく電力および/または信号伝達が考えられる。誘導電力および/または信号伝達ユニットは、偏心シャフトに直接設けられることが可能である。ここで、双方向性の信号伝達機能も、自動化運転のために有利である。
【0032】
接触誘導型または非接触型のエネルギー伝達であるかに関係なく、偏心シャフトに取り付けられた調整ドライブは、電力の消費体として路面仕上げ機の発電機に接続されることが可能である。中間ストレージとして、調整機構は、好ましくは筐体内に、少なくとも1つのアキュムレータを配置して、発電機によって供給される例えばサーボモータといった調整ドライブ用の調整エネルギーを緩衝することが可能である。
【0033】
有利な変形例において、所望のタンパストロークを調整するための調整機構は、制御システムに接続される。制御システムは、設定されるべき所望のタンパストロークを路面仕上げ機の他の制御装置から受信可能であり、または、自身で計算することが可能である。制御システムは、信号伝達ユニットによって調整ドライブに接続されることが可能である。所望のタンパストロークをもたらす他の制御装置は、筐体中に位置された、すなわち、偏心シャフトと一緒に回転する信号伝達ユニットを介して制御システムと作動可能にリンクされることが考えられる。これにより、調整機構の一体型モジュール構造が追加的に促進される。
【0034】
好ましくは、調整機構は、偏心ブッシングと偏心シャフトとの間で設定された回転角度を検出する少なくとも1つのセンサユニットを備える。センサユニットは、例えばサーボモータといった調整ドライブに直接固定された角度検出センサであることが可能であり、これにより、調整ドライブによって行われる位相調整を計測することが可能である。
【0035】
検出された回転角度から、特に制御システムによって実際のタンパストロークを算出可能であり、制御システムはこれを差異の比較のために利用可能である。実際のタンパストロークの動的適応のために、制御システムは、制御用電子機器を備えていてもよく、これにより、連続タンパストロークの調整を行うことが可能である。
【0036】
特に好ましい変形例において、制御システムは、偏心ブッシングの回転角度の動的適応のために、路面仕上げ機の運転中に検出可能である少なくとも1つのプロセスパラメータに応答する少なくとも1つの制御ループを備える。この制御ループにより、最適な舗設結果もたらすために偏心ブッシングと偏心シャフトとの間の回転角度を適応させて、例えば路面仕上げ機の舗設材料、および/または、敷設された舗設層から計測される固有の値に対応して応答することができる。例えば、舗設材料から計測される固有の値は、路面仕上げ機の材料バンカーからスクリードに移された舗設材料の計測温度といった敷設される舗設材料に係る固有の値である。例えば、舗設層から計測される固有の値は、形成された舗設層の計測温度である。
【0037】
本発明の好ましい一実施形態において、制御ループは、例えば周囲温度といった外乱的可変要素に反応して、タンパストロークを連続的に適応させるために、偏心ブッシングと偏心シャフトとの間の回転角度の動的調整を制御可能である。
【0038】
タンパストロークの設定の調整中に、スクリードの実施設定角度、路面仕上げ機の舗設移動速度、偏心シャフトの設定された駆動速度、スクリードの締固めプレートの温度、および/または、例えば路面仕上げ機の後ろを移動する締固め車両により検出される形成された舗設層に関する計測値といった個々の建設車両の計測値が考慮されることが考えられる。
【0039】
調整機構のセンサユニットは、一実施形態によれば、タンパバーの設定された実際のタンパストロークを直接計測するために実装された少なくとも1つの距離センサを備えていることが可能である。
【0040】
実際上の一変形例において、調整機構は手動調整が可能とされる。これは、とりわけ、舗設運転の開始時におけるタンパバーの較正に役立つ可能性がある。対照的に、調整機構の自動化運転は、舗設運転の最中に最適に採用可能である。
【0041】
さらに、本発明は、路面仕上げ機の締固めユニットにおいて可変タンパストロークを連続的に調整する方法に関し、タンパストロークを調整するために、少なくとも1つの偏心ブッシングが、これを支持する偏心シャフトにおいて回転される。本発明によれば、偏心シャフトに設けられ当該偏心シャフトと一緒に回転する調整ドライブが、偏心ブッシングを回転させるために作動される。
【0042】
調整ドライブ自体が、偏心シャフトに直接設けられ、相対回転不能に接続されている(すなわち、それ自体がその速度で回転する)ことにより、タンパストロークを変えるために、対応する位相調整を小さい力で正確に実施することが可能である。調整ドライブが偏心シャフトと相対回転不能に接続されているため、位相調整を実施するために、低い速度と、調整ドライブの対応する小さいトルクのみが必要とされる。さらに、本発明に係る方法は、路面仕上げ機のスクリードにおけるタンパストローク調整に採用される構成要素を小型設計とする可能性を提供する。
【0043】
以下に、図面を参照して、本発明の有利な実施形態をより詳細に例示する。図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図2】
図2は、路面仕上げ機のスクリードに係る締固めユニットを示す。
【0045】
図面中において、等しい構成要素には常に等しい符号が付されている。
【0046】
図1は、舗設移動方向Rに舗設層3を形成するスクリード2を備える路面仕上げ機1を示す。スクリード2は、スクリード2に供給された舗設材料5を予備締固めるための少なくとも1つの締固めユニット4を有する。締固めユニット4は、スクリード2に供給された舗設材料5を予備締固めるために、可変タンパストロークHおよび/または可変頻度Fで駆動可能であるタンパバー6を備える。
【0047】
図2は、拡大斜視図で締固めユニット4を示す。締固めユニット4は、スクリード本体に固定されたベアリングサポート7と、これに回転可能に設けられた偏心シャフト8を有する。偏心シャフト8は、タンパバー6が固定された接続ロッド9を駆動する。
【0048】
図2はさらに、偏心シャフト8に、相対回転不能に、すなわち、一緒に回転するよう位置された調整機構10を示す。調整機構10は、タンパバー6のために可動式の所望のタンパストローク11を設定するために作動可能とされる。調整機構10を作動させることにより、連結され、偏心シャフト8に回転可能に設けられ、偏心シャフト8において調整機構10に隣接して位置する偏心ブッシング12が回転可能とされる。
【0049】
図2はさらに、調整機構10により、偏心シャフト8を囲む筐体13がもたらされている状態を示す。
図2において、筐体13は、中空円筒の形態とされ、偏心シャフト8に対して同心状に位置する。筐体13は、偏心シャフト8に相対回転不能に設けられており、特に、中に収納される構成要素が良好に電気信号を送受信可能であるよう、信号伝達性の材料であることが可能である。筐体13は、調整機構10のすべての機能ユニットを収納するよう実装可能である。
【0050】
図2Aは、概略図における、第1の変形例に係る
図2の締固めユニット4を示す。偏心シャフト8を回転させるために、例えば油圧式モータまたは電動機といったドライブ14が提供される。調整機構10は、偏心シャフト8に設けられ、偏心シャフト8の速度と一緒に回転する調整ドライブ15を備える。調整ドライブ15は、偏心シャフト8の偏心領域16に位置される。
【0051】
さらに、
図2Aは、調整ドライブ15が調整変速機17に接続されている状態を示す。調整変速機17を介して、調整ドライブ15は、同様に偏心シャフト8の偏心領域16に位置されている偏心ブッシング12に連結されている。調整ドライブ15の作動により、偏心領域16に位置されている偏心ブッシング12の回転角度φを変更して、タンパバー6の所望のタンパストローク11を設定することが可能である。
【0052】
図2Aにおいて、さらに制御システム31および電源18が偏心シャフト8に機能的に接続されている。電源18の代わり、または、追加して、調整ドライブ15のエネルギー供給はまた、アキュムレータ30によっても達成可能である。後者は、主エネルギー源として、または、電源18および調整ドライブ15間のエネルギーバッファとして提供可能である。
【0053】
偏心ブッシング12と偏心シャフト8との間の設定された回転角度φを検出するために、調整ドライブ15はセンサユニット19を備える。制御システム31は、信号伝達のために設計されることが可能である。それ故、制御システム31は、調整ドライブ15への信号伝達のために、さらには、調整ドライブ15から送られる信号の信号受信のため、例えばセンサユニット19の計測信号を受信するために実装される。
【0054】
電力伝達および/または信号伝達は、電力および/または信号伝達ユニット20によって行われることが可能である。これは、摺接ユニットとして存在し得、または、代わりに、誘引ユニットの形態とされることが可能である。
【0055】
さらに、
図2Aは、信号伝達ユニット20を介して制御システム31により調整ドライブ15の作動を対応して実施できるように、所望のタンパストローク11は制御システム31に設けられることが可能であることを示す。このような作動に基づいて、位相調整は、調整変速機17を介して偏心ブッシング12に伝達可能とされる調整ドライブ15によって実施可能であり、偏心ブッシング8において所望の回転角度φがもたらされる。
【0056】
図2Aにおいて、調整ドライブ15および偏心ブッシング12の両方が偏心シャフト8の偏心領域16に位置しているために、調整機構10は偏心ブッシング12に直接接続されている。
【0057】
図2Bは、調整機構10の代替的変形例を示す。この変形例において、調整ドライブ15は、偏心シャフト8の中心領域21に設けられている。さらに、調整機構10は、確動クラッチ22を提供する。調整ドライブ15が作動することで、調整変速機17を介して、調整モーメントが、例えば噛合クラッチといった確動クラッチ22により偏心ブッシング12に伝達され、これにより、偏心シャフト8において位相変位が生じて所望のタンパストローク11が設定される。
【外国語明細書】