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特開2022-109239予測可能なスイッチング速度を提供する電気的スイッチングデバイス用の作動機構
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  • 特開-予測可能なスイッチング速度を提供する電気的スイッチングデバイス用の作動機構 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109239
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】予測可能なスイッチング速度を提供する電気的スイッチングデバイス用の作動機構
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/42 20060101AFI20220720BHJP
   H01H 33/28 20060101ALI20220720BHJP
   H01H 3/46 20060101ALI20220720BHJP
   H01H 3/20 20060101ALI20220720BHJP
   H01H 3/26 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
H01H33/42 K
H01H33/28 B
H01H33/42 Q
H01H3/46
H01H3/20 A
H01H3/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022003540
(22)【出願日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】2100455.1
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】518042280
【氏名又は名称】イートン インテリジェント パワー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Eaton Intelligent Power Limited
【住所又は居所原語表記】30 Pembroke Road, Dublin 4 D04 Y0C2, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フランス ステーフェリンク
(72)【発明者】
【氏名】ヘラルド スホーネンベルフ
【テーマコード(参考)】
5G025
5G028
【Fターム(参考)】
5G025BA01
5G025CA01
5G025DA01
5G025DA04
5G025DA07
5G025FA02
5G025FA06
5G028AA13
5G028EB10
5G028EB12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作動機構を操作するためのモータやオペレータの動きの速さとは無関係に、電気的スイッチングデバイスの事前定義されたスイッチング速度を保証する作動機構を提供する。
【解決手段】電気的スイッチングデバイス3に連結するように準備された回転可能な駆動部材5と、回転可能な作動部材6と、駆動部材5および作動部材6に取り付けられた負荷ばね7とを備え、さらに、作動機構2は、係止部材8、9を備える。第1の最終状態から第2の最終状態への移行時に、負荷ばね7には、作動部材6の動きに応じて負荷がかかり、駆動部材5は、第1の係止部材8によってその第1の位置に保持される。作動部材6が第2の位置に到達する前または到達したときに、第1の係止部材8が解放され、負荷ばね7が生成した力によって駆動部材5がその第2の位置に移動する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的スイッチングデバイス(3)用の作動機構(2)であって、
-フレーム(4)と、
-軸(A1)を中心として前記フレーム(4)内に回転可能に配置され、第1の駆動位置と第2の駆動位置との間で移動可能な駆動部材(5)であって、前記駆動部材(5)が、第1の連結部材(11)によって、前記電気的スイッチングデバイス(3)に機械的に連結されるように準備されており、前記電気的スイッチングデバイス(3)の可動接点が、前記駆動部材(5)の前記第1の駆動位置では第1の位置にあり、前記駆動部材(5)の前記第2の駆動位置では第2の位置にある、駆動部材(5)と、
-軸(A2)を中心として前記フレーム(4)内に回転可能に配置され、手動またはモータによって第1の作動位置と第2の作動位置との間で移動可能な作動部材(6)と、
-負荷ばね(7)であって、その第1の端部が、前記駆動部材(5)の第1の取付点(P1)に取り付けられ、かつ前記作動部材(6)の第2の取付点(P2)に取り付けられており、前記第1の取付点(P1)が、前記駆動部材(5)の前記軸(A1)から離間されており、前記第2の取付点(P2)が、前記作動部材(6)の前記軸(A2)から離間されている、負荷ばね(7)と、
-前記フレーム(4)に取り付けられ、係止位置と解放位置との間で各々が移動可能な第1の係止部材(8)および第2の係止部材(9)と、を備え、
-第1の最終状態において、その第1の駆動位置にある前記駆動部材(5)と、その第1の作動位置にある前記作動部材(6)とが、その係止位置にある前記第1の係止部材(8)によって係止され、
-第2の最終状態において、その第2の駆動位置にある前記駆動部材(5)と、その第2の作動位置にある前記作動部材(6)とが、その係止位置にある前記第2の係止部材(9)によって係止され、
-前記第1の最終状態から前記第2の最終状態への移行中に、
-前記作動部材(6)がその第2の位置に向かって移動すると前記負荷ばね(7)に負荷がかかり、前記駆動部材(5)が前記第1の係止部材(8)によってその第1の位置に保持され、前記作動部材(6)がその第2の位置に到達する前または到達したときに、前記作動部材(6)によって前記第1の係止部材(8)がその解放位置に移動され、
-前記第1の係止部材(8)がその解放位置に移動したときに、前記負荷ばね(7)が生成した前記力によって前記駆動部材(5)がその第2の位置に移動され、
-前記駆動部材(5)がその第2の位置に到達する前または到達したときに、前記第2の係止部材(9)がその係止位置に移動される、作動機構(2)。
【請求項2】
前記第2の最終状態から前記第1の最終状態への移行中に、
-前記作動部材(6)がその第1の位置に向かって移動すると前記負荷ばね(7)に負荷がかかり、前記駆動部材(5)が前記第2の係止部材(9)によってその第2の位置に保持され、前記作動部材(6)がその第1の位置に到達する前または到達したときに、前記作動部材(6)によって前記第2の係止部材(9)がその解放位置に移動され、
-前記第2の係止部材(9)がその解放位置に移動したときに、前記負荷ばね(7)が生成した前記力によって前記駆動部材(5)がその第1の位置に移動され、
-前記駆動部材(5)がその第1の位置に到達する前または到達したときに、前記第1の係止部材(8)がその係止位置に移動されることを特徴とする、請求項1に記載の作動機構(2)。
【請求項3】
前記負荷ばね(7)が引張ばねとして具現化されることを特徴とする、請求項1または2に記載の作動機構(2)。
【請求項4】
前記第1の係止部材および前記第2の係止部材(9)が、前記フレーム(4)に回転可能に取り付けられ、
-前記第1の係止部材(8)に結合された第1の係止ばね(10a)および前記第2の係止部材(9)に結合された第2の係止ばね(10b)によって、または、
-前記第1の係止部材(8)および前記第2の係止部材(9)に結合された単一の係止ばね(10)によって、前記第1の係止部材(8)および前記第2の係止部材(9)の係止位置に押し付けられることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の作動機構(2)。
【請求項5】
前記第1の係止部材および第2の係止部材(9)が、前記フレーム(4)に摺動可能に取り付けられ、
-前記第1の係止部材(8)に結合された第1の係止ばね(10a)と、前記第2の係止部材(9)に結合された第2の係止ばね(10b)によって、または、
-前記第1の係止部材(8)および前記第2の係止部材(9)に結合された単一の係止ばね(10)によって、前記第1の係止部材(8)および前記第2の係止部材(9)の係止位置に押し付けられることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の作動機構(2)。
【請求項6】
前記駆動部材(5)と、前記作動部材(6)と、前記第1の係止部材および前記第2の係止部材(9)とが、前記駆動部材(5)の前記軸(A1)と、前記第1の駆動位置および前記第2の駆動位置の中間の中心点とを通る対称線との周りに対称的に配置されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の作動機構(2)。
【請求項7】
前記駆動部材(5)の前記軸(A1)が、前記作動部材(6)の前記作動軸(A2)と一致することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の作動機構(2)。
【請求項8】
電気的スイッチングデバイス(3)と、請求項1~7のいずれか1項に記載の作動機構(2)と、を備える装置(1)であって、前記駆動部材(5)が、第1の連結部材(11)によって前記電気的スイッチングデバイス(3)に連結されている、装置(1)。
【請求項9】
第2の連結部材(17)によって、前記作動機構(2)の前記作動部材(6)に連結されたモータ(16)を特徴とする、請求項8に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記作動機構(2)の前記作動部材(6)に接続されている、または前記作動部材(6)の一部である、ハンドレバーを特徴とする、請求項8に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーム、駆動部材、作動部材、負荷ばね、第1の係止部材および第2の係止部材を備える、例えば、回路遮断器、負荷遮断スイッチ、接触器などの電気的スイッチングデバイス用の作動機構に関する。さらに、本発明は、駆動部材が第1の連結部材によって電気的スイッチングデバイスに連結されている、上記種類の電気的スイッチングデバイスおよび作動機構を有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のタイプの作動機構および装置は、従来技術において概ね既知のものである。しかしながら、スイッチング速度、より詳細には、「オン」から「オフ」および/または「オフ」から「オン」への電気的スイッチングデバイスのスイッチング状態の遷移速度は、作動部材の移動速度に依存するので再現性がない。言い換えればスイッチング速度は、作動機構を操作するためのモータやオペレータの動きの速さに依存する。このことは、定義された最小スイッチング速度でスイッチングされるべき電気的スイッチングデバイスの観点から、問題を引き起こす可能性がある。
【0003】
発明の開示
したがって、本発明の目的は、改良された作動機構およびそのような作動機構を有する改良された装置を提供することである。特に、作動機構を操作するためのモータやオペレータの動きの速さとは無関係に、電気的スイッチングデバイスの事前定義されたスイッチング速度が保証されなければならない。
【0004】
本発明の目的は、冒頭の段落に開示されているような作動機構によって達成され、以下を備える。
-フレームと、
-軸を中心としてフレーム内に回転可能に配置され、第1の駆動位置と第2の駆動位置との間で移動可能な駆動部材であって、駆動部材が、第1の連結部材によって、電気的スイッチングデバイスに機械的に連結されるように準備されており、電気的スイッチングデバイスの可動式スイッチング接点が、駆動部材の第1の駆動位置では第1の位置にあり、駆動部材の第2の駆動位置では第2の位置にある、駆動部材と、
-軸を中心としてフレーム内に回転可能に配置され、手動またはモータによって第1の作動位置と第2の作動位置との間で移動可能な作動部材と、
-負荷ばねであって、その第1の端部が、駆動部材の第1の取付点に取り付けられ、かつ作動部材の第2の取付点に取り付けられており、第1の取付点は、駆動部材の軸から離間されており、第2の取付点は、作動部材の軸から離間されている、負荷ばねと、
-フレームに取り付けられ、係止位置と解放位置との間で各々が移動可能な第1の係止部材および第2の係止部材と、を備え、
-第1の最終状態において、その第1の駆動位置にある駆動部材と、その第1の作動位置にある作動部材とが、その係止位置にある第1の係止部材によって係止され、
-第2の最終状態において、その第2の駆動位置にある駆動部材と、その第2の作動位置にある作動部材とが、その係止位置にある第2の係止部材によって係止され、
-第1の最終状態から第2の最終状態への移行中に、
-作動部材がその第2の位置に向かって移動すると負荷ばねに負荷がかかり、駆動部材が第1の係止部材によってその第1の位置に保持され、作動部材がその第2の位置に到達する前または到達したときに、作動部材によって第1の係止部材がその解放位置に移動され、
-第1の係止部材がその解放位置に移動したときに、負荷ばねが生成した力によって駆動部材がその第2の位置に移動され、
-駆動部材がその第2の位置に到達する前または到達したときに、第2の係止部材がその係止位置に移動される。
【0005】
さらに、本発明の目的は、冒頭に開示したような装置によって達成され、この装置は、電気的スイッチングデバイスと上記の種類の作動機構とを備え、駆動部材は、第1の連結部材によって電気的スイッチングデバイスに連結されている。
【0006】
電気的スイッチングデバイスの(可動式)スイッチング接点の第1の位置は、電気的スイッチングデバイスの「オン」状態に連結させることができ、電気的スイッチングデバイスの(可動式)スイッチング接点の第2の位置は、電気的スイッチングデバイスの「オフ」状態に連結させることができ、またはその逆も可能である。
【0007】
この装置は、第2の連結部材によって作動機構の作動部材に連結されたモータを備えることができる。この装置はまた、作動機構の作動部材に接続されているか、または作動部材の一部である、ハンドレバーを備えることができる。
【0008】
作動機構を用いることで、電気的スイッチングデバイスの「オン」から「オフ」へ、または「オフ」から「オン」へのスイッチング状態の遷移速度は、作動部材の移動速度に依存せず、作動部材の特定の移動プロファイルにも依存しない。特に、負荷ばねに蓄積される機械的エネルギーの量は、作動部材の特定の移動速度または特定の移動プロファイルにも依存しない。そのため、電気的スイッチングデバイスのスイッチング方法は再現可能である。作動機構を操作するためのモータの動きが速くても遅くても、またオペレータが手動で作動部材を速く動かしても遅く動かしても問題ない。作動部材がその第1の位置と第2の位置との間で前後に動かされても問題ない。
【0009】
例えば、電気的スイッチングデバイスは、回路遮断器、負荷遮断スイッチ、接触器などとして具現化することができる。特に、本発明は、3極の中電圧スイッチングデバイス、より具体的には、12~15kVの電圧範囲のシステムに関するものである。それにもかかわらず、本発明の手段は、他の電圧システムおよび単極または双極スイッチングデバイスにも適用することができる。
【0010】
負荷ばねは、特許出願全体を通して「電荷ばね」と等しく呼ばれる場合があることに留意されたい。したがって、両方の用語を同義語として使用できる。本明細書で述べたように、前述のばねには、作動部材の動きによって機械的エネルギーを負荷または蓄積される。
【0011】
有益なことに、第2の最終状態から第1の最終状態への移行中に、
-作動部材がその第1の位置に向かって移動すると負荷ばねに負荷がかかり、駆動部材が第2の係止部材によってその第2の位置に保持され、作動部材がその第1の位置に到達する前または到達したときに、作動部材によってその解放位置に第2の係止部材が移動され、
-第2の係止部材がその解放位置に移動したときに、負荷ばねが生成した力によって駆動部材がその第1の位置に移動され、
-駆動部材がその第1の位置に到達する前または到達したときに、第1の係止部材がその係止位置に移動される。
【0012】
続いて、スイッチング状態の反対側の遷移時の遷移速度も予測可能である。したがって、全体的に、電気的スイッチングデバイスの「オン」から「オフ」へ、および「オフ」から「オン」へのスイッチング状態の遷移速度は、作動部材の移動速度に依存せず、それゆえに再現可能である。作動機構を操作するためのモータの動きが速くても遅くても、またオペレータが手動で作動部材を速く動かしても遅く動かしても問題ない。
【0013】
有益なことに、荷重ばねは引張ばねとして具現化される。このため、ばね用のガイドは必要ない。しかしながら、荷重ばねは圧縮ばねとして具現化することも可能である。他の弾性要素も、スイッチング遷移の機械的エネルギーを蓄積するために使用可能である。
【0014】
有益なことに、第1の係止部材および第2の係止部材は、フレームに回転可能に取り付けられており、
-第1の係止部材に結合された第1の係止ばねと、第2の係止部材に結合された第2の係止ばねによって、または、
-第1の係止部材および第2の係止部材に結合された単一の係止ばねによって、それらの係止位置に押し付けられる。
【0015】
このように、係止部材が旋回することで、作動機構は特に信頼性の高いものとなる。
【0016】
代替的に、第1の係止部材および第2の係止部材が、フレームに摺動可能に取り付けられ、
-第1の係止部材に結合された第1の係止ばねと、第2の係止部材に結合された第2の係止ばねによって、または、
-第1の係止部材および第2の係止部材に結合された単一の係止ばねによって、それらの係止位置に押し付けられる。
【0017】
このようにして、作動機構をよりコンパクトにすることができる。
【0018】
有利なことに、駆動部材と、作動部材と、第1の係止部材および第2の係止部材とが、駆動部材の軸と、第1の駆動位置および第2の駆動位置の中間の中心点とを通る対称線との周りに対称的に配置されている。このようにすることで、スイッチング「オン」操作およびスイッチング「オフ」操作で、作動機構の同じ挙動を実現することができる。
【0019】
最後に、駆動部材の軸が、作動部材の作動軸と一致すると有益である。したがって、作動機構はコンパクトに設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下、本発明を特定の実施形態を参照して以下により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1】作動機構およびそれに結合された電気的スイッチングデバイスを有する装置の斜視図を示す。
図2図1の装置の側面図および部分断面図を示す。
図3図1の装置の残りの部分から取り外された作動機構の側面図を示す。
図4図3の作動機構の上面図を示す。
図5】駆動部材の上面図を示す。
図6】作動部材の上面図を示す。
図7】第1の係止部材の側面図を示す。
図8】第1の係止部材の上面図を示す。
図9】作動機構がその最終状態から変化するときの様々な状態を示す図のうちの1つである。
図10】作動機構がその最終状態から変化するときの様々な状態を示す図のうちの1つである。
図11】作動機構がその最終状態から変化するときの様々な状態を示す図のうちの1つである。
図12】作動機構がその最終状態から変化するときの様々な状態を示す図のうちの1つである。
図13】作動機構がその最終状態から変化するときの様々な状態を示す図のうちの1つである。
図14】作動機構がその最終状態から変化するときの様々な状態を示す図のうちの1つである。
図15】作動機構がその最終状態から変化するときの様々な状態を示す図のうちの1つである。
図16】摺動可能に取り付けられた係止部材を有する作動機構の実施形態を示す図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一般に、同じ部品または類似の部品は、同じ/類似の名前と参照記号で示される。本明細書に開示されている特徴は、それぞれ同じ/類似の名前と参照符号を持つ部品に適用される。向きや相対的な位置(上、下、横など)の表示は、関連する図に関連しており、向きや相対的な位置の表示は、場合によっては、異なる図に適宜修正する必要があり得る。
【0022】
図1および図2は、作動機構2およびそれに結合された電気的スイッチングデバイス3を有する装置1を示している。図1は装置1を斜視図で示し、図2は装置1を側面図および部分断面図で示している。作動機構2は、フレーム4と、駆動部材5と、作動部材6と、負荷ばね7と、第1の係止部材8と、第2の係止部材9とを備える。
【0023】
図3および図4は、作動機構2を装置1の残りの部分から取り外した状態を示している。図3は作動機構2の側面図、図4は作動機構の上面図である。さらに、図5図8は、作動機構2の一部を作動機構2から取り外した状態を示している。詳細には、図5は駆動部材5の上面図、図6は作動部材6の上面図、図7は第1の係止部材8の側面図、図8は第1の係止部材8の上面図である。
【0024】
なお、作動機構2の理解を深めるために、図4および図9図16では、駆動部材5および作動部材6は透明な材料で作製されることを想定している。しかしながら、これは実際の作動機構2にとって必須の条件ではなく、もちろん、駆動部材5および作動部材6は実際には不透明な材料で作製可能である。
【0025】
以下、装置1についてさらに詳しく説明する。
駆動部材5は、軸A1を中心としてフレーム4内に回転可能に配置され、第1の駆動位置と第2の駆動位置との間で移動可能である。図1図4では、駆動部材5が第1の駆動位置にある状態を示しているが、第2の駆動位置については図9図15も参照されたい。作動部材6は、軸A2の周りでフレーム4内に回転可能に配置され、第1の作動位置と第2の作動位置との間で移動可能である。図1図4では、作動部材6が第1の作動位置にある状態を示しているが、第2の作動位置については図9図15も参照されたい。負荷ばね7は、その第1の端部で駆動部材5の第1の取付点P1に取り付けられ、その第2の端部で作動部材6の第2の取付点P2に取り付けられる。第1の取付点P1は、駆動部材5の軸A1から離間されており、第2の取付点P2は、作動部材6の軸A2から離間されている。さらに、第1の係止部材8および第2の係止部材9は、フレーム4に回転可能に取り付けられ、その結果、それらの各々は、係止位置と解放位置との間で独立して移動可能である。詳細には、第1の係止部材8は、軸A3を中心にフレーム4に回転可能に取り付けられ、第2の係止部材9は、軸A4を中心にフレーム4に回転可能に取り付けられる。図1図4では、第1の係止部材8がその係止位置に示され、第2の係止部材9がその解放位置に示されているが、他の位置については図9図15も参照されたい。第1の係止部材8および第2の係止部材9は、この例では、第1の係止部材8および第2の係止部材9に結合された単一の係止ばね10によってそれらの係止位置に押し付けられる。
【0026】
本例ではロッドとして具現化される第1の連結部材11によって、駆動部材5は電気的スイッチングデバイス3に機械的に連結されている。詳細には、第1の連結部材11は、その第1の端部で駆動部材5の第1の取付点P1に枢動式で取り付けられ、その第2の端部で伝達要素12における第3の取付点P3に枢動式で取り付けられる。伝達要素12は、軸A5を中心としてフレーム4内に回転可能に配置されている。さらに、プッシュロッド13は、その第1の端部で伝達要素12の第4の取付点P4に枢動式で取り付けられ、その第2の端部で可動式スイッチング部材14に接続される。この例では、電気的スイッチングデバイス3は、(線形に)可動式スイッチング部材14と静的スイッチング部材15とを備え、図2は、可動式スイッチング部材14を示すのみであることに留意されたい。この例では、電気的スイッチングデバイス3は3つの極を有する。詳細には、可動式スイッチング部材14は、基本的に、ここではスイッチングキャップを形成しており、これは、「U」の端部に2つの可動式スイッチング接点を有するU字型の導体を含んでいる。2つの可動式スイッチング接点を有するU字型の代わりに、単一の可動式スイッチング接点をワイヤストランドまたは他の柔軟な接続部と組み合わせて、あるいはスライド接点と組み合わせて電流ループを形成することも可能である。しかしながら、他の接点配置や極配置も可能である。
【0027】
最後に、装置1は、その第1の端部でフレーム4の第5の取付点P5に枢動式で取り付けられ、第2の連結部材17によって作動機構2の作動部材6に機械的に連結されるモータ16を備える。詳細には、第2の連結部材17は、ロッドとして具現化され、作動部材6上の第2の取付点P2に枢動式で接続されている。
【0028】
なお、図1図2の例では、モータ16はリニアモータであるが、回転モータ16を使用することもできる。代替的または追加的に、作動部材6は手動で操作されることが可能であり、つまりオペレータが手動で操作することを意味する。そのため、一方では、特に電気的スイッチングデバイス3は、モータ16が故障の場合でも操作することができる。他方、手動操作だけが必要な場合は、モータ16を省略してもよい。図4に破線で示すように、ハンドレバーを作動部材6に取り付けたり、作動部材6の一部としたりすることで、作動部材6を動かす力を低減することができる。ハンドレバーは、工具を必要とせずに作動部材6に取り付けたり、作動部材6から取り外したりすることも可能である。したがって、一実施形態では、ハンドレバーは、実際に必要なときにのみ作動部材6に取り付けられ、手動による切り替え操作を望まないときには取り外される。
【0029】
図5は、駆動部材5が、ストッパ領域B1を有するベースボディ18を備えていることを特に開示している。図6は、作動部材6が、作動領域B2を有するベースボディ19を備えていることを特に開示している。図7および図8は、第1の係止部材8が、駆動ストッパ領域B3および作動操作領域B4を有するベースボディ20を備えることを開示している。駆動部材5のストッパ領域B1は、第1の係止部材8の駆動ストッパ領域B3と相互作用し、作動部材6の作動領域B2は、第1の係止部材8の作動操作領域B4と相互作用する。この例では、第1の係止部材8および第2の係止部材9は同じ形状である。これは有益であるが、必須条件ではない。
【0030】
以下、各々が作動機構2の概略上面図を示す図9図15を用いて、作動機構2および装置1の機能をより詳細に説明する。図9図15では、作動機構2を見やすくするために、係止ばね10が省略されていることに留意されたい。さらに、負荷ばね7は簡略化された方法で示されている。
【0031】
図9は、基本的に図4に対応し、駆動部材5がその第1の駆動位置にあり、作動部材6がその第1の作動位置にあり、その係止位置にある第1の係止部材8によって係止されている、装置1の第1の最終状態を示している。これは、駆動部材5のストッパ領域B1が、第1の係止部材8の駆動ストッパ領域B3と接触していることを意味する。第2の係止部材9はその解放位置にある。
【0032】
図10は、作動部材6が反時計回りに移動した中間状態を示している。図10は、作動部材6の作動領域B2と第1の係止部材8の作動操作領域B4との間の相互作用により、作動部材6が第1の係止部材8をある程度押し出したことを示しているが、それにもかかわらず、駆動部材5は第1の係止部材8によって依然としてブロックされている。これに伴い、負荷ばね7が伸長され、機械的エネルギーで「負荷」または「蓄積」される。
【0033】
図11は、作動部材6がさらに反時計回りに移動し、第1の係止部材8をもさらに押し出した中間状態を示している。実際、第1の係止部材8は、駆動部材5を解放する寸前であるが、駆動部材5はまだ動いていない。この状態で負荷ばね7は最大に伸長する。
【0034】
図12は、装置1の第2の最終状態を示している。駆動部材5は、第1の係止部材8によって解放され、反時計回り方向に回転し、その第2の駆動位置に到達している。さらに、第2の係止部材9はその係止位置に移動し、駆動部材5をその第2の駆動位置に係止する。つまり、図12は、その第2の駆動位置にある駆動部材(5)、およびその第2の作動位置にある作動部材(6)が、その係止位置にある第2の係止部材(9)によって係止されている装置1の第2の最終状態を示している。これは、駆動部材5のストッパ領域B1が、第2の係止部材9の駆動ストッパ領域B3と接触していることを意味する。第1の係止部材8はその解放位置にある。
【0035】
したがって、第1の最終状態から第2の最終状態への移行中に、
-作動部材6がその第2の位置に向かって移動すると負荷ばね7に負荷がかかり、駆動部材5が第1の係止部材8によってその第1の位置に保持され、作動部材6がその第2の位置に到達する前または到達したときに、作動部材6によって第1の係止部材8がその解放位置に移動され、
-第1の係止部材8がその解放位置に移動したときに、負荷ばね7が生成した力によって駆動部材5がその第2の位置に移動され、
-駆動部材5がその第2の位置に到達する前または到達したときに、第2の係止部材9がその係止位置に移動される。
【0036】
図13図15は、第1の最終状態に戻る遷移を示す。
【0037】
詳細には、図13は、作動部材6が時計回りに移動した中間状態を示している。図13は、作動部材6の作動領域B2と第2の係止部材9の作動操作領域B4との間の相互作用により、作動部材6が第2の係止部材9をある程度押し出したことを示しているが、それにもかかわらず、駆動部材5は第2の係止部材9によって依然としてブロックされている。これに伴い、負荷ばね7が伸長され、再び機械的エネルギーで「負荷」または「蓄積」される。
【0038】
図14は、作動部材6がさらに時計回りに移動し、第2の係止部材9をもさらに押し出した中間状態を示している。実際、第2の係止部材9は、駆動部材5を解放する寸前であるが、駆動部材5はまだ動いていない。この状態で負荷ばね7は最大に伸長する。
【0039】
図15は、装置1の第1の最終状態を示しており、実際には図9に対応している。駆動部材5は、第2の係止部材9によって解放され、時計回り方向に回転し、さらにその第1の駆動位置に到達している。さらに、第1の係止部材8はその係止位置に移動し、駆動部材5をその第1の駆動位置に係止している。
【0040】
したがって、第2の最終状態から第1の最終状態への移行中に、
-作動部材6がその第1の位置に向かって移動すると負荷ばね7に負荷がかかり、駆動部材5が第2の係止部材9によってその第2の位置に保持され、作動部材6がその第1の位置に到達する前または到達したときに、作動部材6によって第2の係止部材9がその解放位置に移動され、
-第2の係止部材9がその解放位置に移動したときに、負荷ばね7が生成した力によって駆動部材5がその第1の位置に移動され、
-駆動部材5がその第1の位置に到達する前または到達したときに、第1の係止部材8がその係止位置に移動される。
【0041】
図1および図2に明示的に示されているように、駆動部材5は、第1の連結部材11によって電気的スイッチングデバイス3に機械的に連結されている。つまり、駆動部材5の動きは、伝達要素12に回転をもたらし、プッシュロッド13を介して、可動式スイッチング部材14に動きをもたらす。駆動部材5の駆動位置は、可動式スイッチング部材14の位置、ひいては電気的スイッチングデバイス3のスイッチング状態に連結している。一実施形態では、電気的スイッチングデバイス3のスイッチング接点は、駆動部材5の第1の駆動位置の第1の位置または「オン」の位置にあり、駆動部材5の第2の駆動位置の第2の位置または「オフ」の位置にある。別の実施形態では、電気的スイッチングデバイス3のスイッチング接点は、駆動部材5の第1の駆動位置の第1の位置または「オフ」の位置にあり、駆動部材5の第2の駆動位置の第2の位置または「オン」の位置にある。
【0042】
作動機構2を用いることで、電気スイッチングデバイス3の「オン」から「オフ」へ、および「オフ」から「オン」へのスイッチング状態の遷移速度は、作動部材6の移動速度に依存せず、それゆえに再現可能である。モータ16の動きが速くても遅くても、またオペレータが手動で作動部材6を速く動かしても遅く動かしても問題ない。
【0043】
この時点で、電気的スイッチングデバイス3のスイッチング接点は図には示されていないが、電気的スイッチングデバイス3の操作は、原則として従来技術において既知あることに留意されたい。また、提案された手段は、図に示されているような電気的スイッチングデバイス3の特定の実施形態に連結されているわけではなく、様々な電気的スイッチングデバイス3が作動機構2によって駆動され得ることにも留意されたい。
【0044】
図1図15に示す例では、第1の係止部材および第2の係止部材9は、フレーム4に回転可能に取り付けられ、第1の係止部材8および第2の係止部材9に結合された単一の係止ばね10によってそれらの係止位置に押し付けられる。しかしながら、これは唯一の可能性ではない。図16に示す代替的な実施形態では、第1の係止部材および第2の係止部材9は、フレーム4に摺動可能に取り付けられ、第1の係止部材8に結合された第1の係止ばね10aおよび第2の係止部材9に結合された第2の係止ばね10bによって、それらの係止位置に押し付けられる。それにもかかわらず、そのような作動機構2の機能は、図9から図15によって示されるものと同様である。
【0045】
また、図9図15の実施形態のように、摺動可能に取り付けられた係止部材8,9が、第1の係止部材8と第2の係止部材と9に結合された単一の係止ばね10によってそれらの係止位置に押し付けられることも可能である。他方、また、図16の実施形態のように、回転可能に取り付けられた係止部材8,9が、第1の係止部材8に結合された第1の係止ばね10aおよび第2の係止部材9に結合された第2の係止ばね10bによってそれらの係止位置に押し付けられることも可能である。
【0046】
一般に、様々な弾性要素を使用して、係止部材8、9をそれらの係止位置に押し付け、スイッチング動作のためのエネルギーを蓄積することができる。また、例えば、荷重ばね7は、図に示すように引張ばねとして具現化することができるが、圧縮ばねとして具現化することもできる。
【0047】
図1図16の例では、駆動部材5の軸A1と、作動部材6の作動軸A2とが一致している。さらに、駆動部材5と、作動部材6と、第1の係止部材および第2の係止部材9とが、駆動部材5の軸A1と、第1の駆動位置および第2の駆動位置の中間の中心点とを通る対称線との周りに対称的に配置されている。対称線は、図1図16の駆動部材5の軸A1を通る水平線である。しかしながら、これらも必要条件ではない。駆動部材5の軸A1が作動部材6の作動軸A2と一致しないこと、ならびに/または駆動部材5と、作動部材6と、第1の係止部材および第2の係止部材8,9とが対称線の周りに対称的に配置されていないことも想像できる。このようにすることで、スイッチング「オン」操作とスイッチング「オフ」操作とで、作動機構2の異なる挙動を実現することができる。
【0048】
本発明は、本明細書に開示された実施形態に限定されるものではなく、異なる変形例の組み合わせが可能であることに留意されたい。実際には、作動機構2および装置1は、図に示されているよりも多いまたは少ない部品を有し得る。さらに、本明細書は、さらに独立した発明の主題を含み得る。
【0049】
また、「備える(comprising)」という用語は他の要素を排除するものではなく、冠詞「a」または「an」の使用は複数を排除するものではないことにも留意されたい。また、異なる実施形態に関連して記載された要素を組み合わせることができる。また、特許請求の範囲における参照符号は、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【符号の説明】
【0050】
1 装置
2 作動機構
3 電気的スイッチングデバイス
4 フレーム
5 駆動部材
6 作動部材
7 負荷ばね
8 第1の係止部材
9 第2の係止部材
10、10a、10b係止ばね
11 第1の連結部材(ロッド)
12 伝達要素
13 プッシュロッド
14 可動式スイッチング部材(直線運動用に設計)
15 静的スイッチング部材
16 モータ
17 第2の連結部材
18 駆動部材のベースボディ
19 作動部材のベースボディ
20 係止部材のベースボディ
A1 駆動部材の軸
A2 作動部材の軸
A3 第1の係止部材の軸
A4 第2の係止部材の軸
A5 伝達要素の軸
B1 駆動部材のストッパ領域
B2 作動部材の作動領域
B3 係止部材の駆動ストッパ領域
B4 係止部材の作動操作領域
P1..P5 取付点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【外国語明細書】