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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022010924
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20220107BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220107BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20220107BHJP
   B60L 53/67 20190101ALI20220107BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220107BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H02J7/02 F
H02J7/00 P
H02J7/00 303C
H02J7/35 K
B60L53/67
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111715
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 勲
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA04
5G503BA02
5G503BB01
5G503BB02
5G503CA03
5G503CA11
5G503DA04
5G503EA05
5G503FA06
5G503GB03
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA01
5H030AS06
5H030AS08
5H030BB02
5H030BB03
5H030FF22
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H125AA13
5H125AC12
5H125BE02
5H125CD04
5H125EE27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車載蓄電装置の充電に要する時間が長くなることを抑制する充電システムを提供する。
【解決手段】充電システムCSは、複数の充電設備20と、充電設備を制御する制御装置50と、バイパス線LBと、を備える。充電設備の夫々は、蓄電装置21と、蓄電装置及び系統電源から供給される電力によって車載蓄電装置を充電可能な充電装置31と、接続線LC1と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、を備える。車載蓄電装置の充電を行っている充電設備のうち定電流充電から定電圧充電に遷移した充電装置を備える充電設備を第1充電設備とする。車載蓄電装置の充電を行っている充電設備のうち蓄電装置の充電率が閾値未満の充電設備を第2充電設備とする。制御装置は、第2スイッチを制御することで、第1充電設備の接続線と第2充電設備の接続線をバイパス線に接続する。第2充電設備の充電装置には、第1充電設備の蓄電装置から電力が供給される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業車両に搭載された車載蓄電装置を充電するための第1及び第2充電設備と、
前記第1及び第2充電設備を制御する制御装置と、
バイパス線と、を備え、
前記第1及び第2充電設備のそれぞれは、
蓄電装置と、
前記蓄電装置及び系統電源から供給される電力によって前記車載蓄電装置を充電可能な充電装置と、
前記蓄電装置それぞれの充電率を示す情報を取得する充電率取得部と、
前記充電装置と前記蓄電装置と前記バイパス線とを各々接続する接続線と、
前記接続線を介した前記蓄電装置と前記充電装置の接続と接続の遮断とを切り替える第1スイッチと、
前記接続線を介した前記蓄電装置と前記バイパス線の接続と接続の遮断とを切り替える第2スイッチと、を備え、
前記充電装置は、定電流充電の後に定電圧充電を行うCCCV充電方式によって前記車載蓄電装置を充電可能であり、
前記制御装置は、
前記第1充電設備の前記充電装置が、前記定電流充電から前記定電圧充電に遷移し、かつ、前記第2充電設備が、前記車載蓄電装置の充電を行っている状態で前記蓄電装置の充電率が閾値未満である場合、前記第1充電設備の前記第1スイッチを制御することで前記第1充電設備の前記充電装置と前記第1充電設備の前記蓄電装置との接続を遮断し、前記第1充電設備の前記第2スイッチを制御することで前記第1充電設備の前記蓄電装置と前記バイパス線とを接続し、前記第2充電設備の前記第1スイッチを制御することで前記第2充電設備の前記充電装置と前記第2充電設備の前記蓄電装置とを接続し、前記第2充電設備の前記第2スイッチを制御することで前記第2充電設備の前記蓄電装置と前記バイパス線とを接続する、充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
系統電源と、系統電源とは別に設けられた蓄電装置とを用いて、産業車両に搭載された車載蓄電装置の充電を行う充電装置としては、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示の充電装置は、充電装置に車載蓄電装置が接続されている場合、系統電源及び蓄電装置の両方を用いて車載蓄電装置の充電を行う。また、充電装置は、充電装置に車載蓄電装置が接続されていない場合、蓄電装置の充電を行う。車載蓄電装置の充電を行わないときに蓄電装置を充電し、蓄電装置を用いて車載蓄電装置の充電を可能にすることで、電力の平準化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-39864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電装置の充電率が低い状態で車載蓄電装置の充電を行うと、充電の途中で蓄電装置の残容量が不足するおそれがある。すると、蓄電装置から充電装置に電力が供給されなくなり、充電装置は系統電源から供給される電力によって車載蓄電装置の充電を行うことになる。この際、系統電源から充電装置に供給される電力を大きくすることも考えられるが、この場合には電力の平準化が図られなくなる。車載蓄電装置を充電している途中で蓄電装置の残容量が不足したとしても、系統電源から充電装置に供給される電力を大きくしない場合、充電装置に供給される電力が小さくなることを原因として車載蓄電装置を充電するのに要する時間が長くなるおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、車載蓄電装置の充電に要する時間が長くなることを抑制できる充電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する充電システムは、産業車両に搭載された車載蓄電装置を充電するための第1及び第2充電設備と、前記第1及び第2充電設備を制御する制御装置と、バイパス線と、を備え、前記第1及び第2充電設備のそれぞれは、蓄電装置と、前記蓄電装置及び系統電源から供給される電力によって前記車載蓄電装置を充電可能な充電装置と、前記蓄電装置それぞれの充電率を示す情報を取得する充電率取得部と、前記充電装置と前記蓄電装置と前記バイパス線とを各々接続する接続線と、前記接続線を介した前記蓄電装置と前記充電装置の接続と接続の遮断とを切り替える第1スイッチと、前記接続線を介した前記蓄電装置と前記バイパス線の接続と接続の遮断とを切り替える第2スイッチと、を備え、前記充電装置は、定電流充電の後に定電圧充電を行うCCCV充電方式によって前記車載蓄電装置を充電可能であり、前記制御装置は、前記第1充電設備の前記充電装置が、前記定電流充電から前記定電圧充電に遷移し、かつ、前記第2充電設備が、前記車載蓄電装置の充電を行っている状態で前記蓄電装置の充電率が閾値未満である場合、前記第1充電設備の前記第1スイッチを制御することで前記第1充電設備の前記充電装置と前記第1充電設備の前記蓄電装置との接続を遮断し、前記第1充電設備の前記第2スイッチを制御することで前記第1充電設備の前記蓄電装置と前記バイパス線とを接続し、前記第2充電設備の前記第1スイッチを制御することで前記第2充電設備の前記充電装置と前記第2充電設備の前記蓄電装置とを接続し、前記第2充電設備の前記第2スイッチを制御することで前記第2充電設備の前記蓄電装置と前記バイパス線とを接続する。
【0007】
制御装置は、第1スイッチ及び第2スイッチを制御する。これにより、第2充電設備が備える蓄電装置の残容量が不足している場合であっても、第1充電設備の蓄電装置から第2充電設備の充電装置に電力を供給することで、電力を補うことができる。これにより、第2充電設備によって充電されている車載蓄電装置の充電に要する時間が長くなることを抑制できる。なお、定電圧充電は、定電流充電に比べて充電装置から出力される充電電力が小さいため、第1充電設備では蓄電装置の電力が充電装置に供給されなくなっても、車載蓄電装置の充電に要する時間は長くなりにくい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車載蓄電装置の充電に要する時間が長くなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態における充電システムの概略構成図。
図2】第1実施形態における充電設備及び制御装置の概略構成図。
図3】第1実施形態における制御装置が行う処理を示すフローチャート。
図4】第1実施形態における充電システムの作用を説明するための図。
図5】第1実施形態における充電システムの作用を説明するための図。
図6】第2実施形態における充電システムの概略構成図。
図7】蓄電装置の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、充電システムの第1実施形態について説明する。
図1に示すように、充電システムCSは、複数の充電設備20と、充電設備20を制御する制御装置50と、単一のバイパス線LBと、を備える。充電設備20は、産業車両10が用いられる敷地に設けられる。産業車両10が用いられる敷地としては、例えば、工場、港湾、公共施設、商用施設を挙げることができる。
【0011】
図2に示すように、産業車両10は、車載蓄電装置11と、車載BMS12と、車載制御部15と、を備える。産業車両10としては、例えば、フォークリフト、トーイングトラクタを挙げることができる。
【0012】
車載蓄電装置11は、複数の二次電池を接続したユニットである。二次電池としては、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池など充放電可能なものであればどのようなものを用いていてもよい。
【0013】
車載BMS12は、車載蓄電装置11の状態を検出するバッテリマネジメントシステムである。車載検出部としての車載BMS12は、車載蓄電装置11の状態を検出するための車載センサ13と、車載監視部14と、を備える。車載センサ13には、少なくとも、車載蓄電装置11の端子間電圧を検出する電圧センサと、車載蓄電装置11の充放電電流を検出する電流センサとが含まれる。車載センサ13として、車載蓄電装置11の温度を検出する温度センサなどが設けられていてもよい。
【0014】
車載監視部14は、プロセッサと、記憶部と、を備える制御装置である。車載監視部14は、ASIC:Application Specific Integrated CircuitやFPGA:Field Programmable Gate Array等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。車載監視部14は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0015】
車載監視部14は、車載センサ13の検出結果から車載蓄電装置11の充電率を推定する。車載蓄電装置11の充電率の推定手法としては、例えば、充放電電流を積算することで車載蓄電装置11の充電率を推定する電流積算法、開回路電圧と充電率との相関から車載蓄電装置11の充電率を推定する手法を挙げることができる。また、これらの手法を組み合わせて車載蓄電装置11の充電率を推定してもよい。
【0016】
車載制御部15は、ハードウェアとしてCPUなどのプロセッサ16と、ROMやRAMなどの記憶部17を備える制御装置である。車載制御部15は、ASICやFPGA等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。車載制御部15は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。車載制御部15は、車載蓄電装置11の充電率など車載蓄電装置11の状態を示す情報を車載監視部14から取得可能である。
【0017】
充電設備20は、産業車両10に搭載された車載蓄電装置11を充電するための設備である。本実施形態において、各充電設備20は、同一構成である。
充電設備20のそれぞれは、蓄電装置21と、充電装置31と、接続線LC1と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、を備える。
【0018】
蓄電装置21は、バッテリ22と、蓄電BMS23と、DC/DCコンバータ61と、を備える。
バッテリ22は、複数の二次電池を接続したユニットである。二次電池としては、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池など充放電可能なものであればどのようなものを用いていてもよい。
【0019】
蓄電BMS23は、バッテリ22の状態を検出するバッテリマネジメントシステムである。検出部としての蓄電BMS23は、バッテリ22の状態を検出するための蓄電センサ24と、蓄電監視部25と、を備える。蓄電センサ24には、少なくとも、バッテリ22の端子間電圧を検出する電圧センサと、バッテリ22の充放電電流を検出する電流センサと、が含まれる。蓄電センサ24として、バッテリ22の温度を検出する温度センサなどが設けられていてもよい。
【0020】
蓄電監視部25は、ハードウェアとしてCPUなどのプロセッサと、ROMやRAMなどの記憶部を備える制御装置である。蓄電監視部25は、ASICやFPGA等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。蓄電監視部25は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0021】
蓄電監視部25は、蓄電センサ24の検出結果からバッテリ22の充電率を推定する。バッテリ22の充電率の推定手法としては、例えば、電流積算法や、開回路電圧と充電率との相関からバッテリ22の充電率を推定する手法を挙げることができる。また、これらの手法を組み合わせてバッテリ22の充電率を推定してもよい。なお、蓄電装置21の充電率とは、バッテリ22の充電率である。
【0022】
DC/DCコンバータ61は、双方向コンバータである。DC/DCコンバータ61は、バッテリ22に接続されている。DC/DCコンバータ61は、バッテリ22から入力された電力を変圧して出力することが可能である。DC/DCコンバータ61は、系統電源SPから入力された電力を変圧してバッテリ22に出力することが可能である。DC/DCコンバータ61は、バッテリ22を放電することも充電することも可能といえる。
【0023】
充電装置31は、充電コネクタ32と、フィルタ33と、力率調整回路34と、電力変換装置35と、充電装置制御部36と、充電装置通信部39と、を備える。充電装置31は、系統電源SPを通じて電力供給者から供給される系統電力及び蓄電装置21から供給される蓄電装置電力を用いて車載蓄電装置11を充電する。詳細にいえば、充電装置31は、蓄電装置21から充電装置31に電力が供給されていれば系統電源SP及び蓄電装置21を用いて車載蓄電装置11の充電を行う。充電装置31は、蓄電装置21から充電装置31に電力が供給されていなければ系統電源SPを用いて車載蓄電装置11の充電を行う。
【0024】
充電コネクタ32は、産業車両10に対して着脱可能である。充電コネクタ32は、充電装置31を用いて車載蓄電装置11を充電する際に産業車両10に装着される。充電コネクタ32が産業車両10に装着されることで、充電装置31から車載蓄電装置11に充電電力を供給することができる。また、充電コネクタ32が産業車両10に装着されることで、充電装置制御部36と車載制御部15とが接続され、互いに情報の送受信が可能になる。
【0025】
フィルタ33は、系統電源SPから供給される交流電力に含まれるノイズを低減するノイズフィルタである。フィルタ33としては、例えば、コンデンサ及びリアクトルの少なくとも一方を備えたものが用いられる。
【0026】
力率調整回路34は、フィルタ33と電力変換装置35との間に設けられ、力率の改善を行いながら交流電力を直流電力に変換する。力率調整回路34としては、例えば、スイッチング素子を用いた力率改善コンバータが用いられる。
【0027】
電力変換装置35には、力率調整回路34が接続されている。電力変換装置35には、フィルタ33及び力率調整回路34を介して系統電源SPからの電力である系統電力が入力される。電力変換装置35は、少なくともDC/DCコンバータを含む。電力変換装置35は、系統電源SP及び蓄電装置21から供給される電力を車載蓄電装置11の充電に適した電力に変換して出力することが可能である。電力変換装置35としては、入力された電圧を異なる値の電圧に変換して出力するものであれば、どのような部材を含んでいてもよい。
【0028】
充電装置制御部36は、ハードウェアとしてCPUなどのプロセッサ37と、ROMやRAMなどの記憶部38を備える制御装置である。充電装置制御部36は、ASICやFPGA等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。充電装置制御部36は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。充電装置制御部36と車載制御部15とは充電コネクタ32を介して互いに情報の送受信が可能である。充電装置制御部36は、蓄電監視部25からバッテリ22の充電率などのバッテリ22の状態を示す情報を取得可能である。
【0029】
接続線LC1は、充電装置31と蓄電装置21とバイパス線LBとを各々接続する。接続線LC1は、充電装置31と蓄電装置21とを接続する第1配線LC11と、蓄電装置21とバイパス線LBとを接続する第2配線LC12と、を含む。DC/DCコンバータ61は、第1配線LC11に接続されている。第2配線LC12は、バッテリ22とDC/DCコンバータ61との間に接続されている。
【0030】
第1スイッチSW1は、第1配線LC11に設けられている。第1スイッチSW1は、開閉することで蓄電装置21と充電装置31との接続と接続の遮断とを切り替え可能であればよい。第1スイッチSW1が閉じることで、電力変換装置35とDC/DCコンバータ61とが第1配線LC11を介して接続される。第1スイッチSW1が開くことで、電力変換装置35とDC/DCコンバータ61との接続が遮断される。第1スイッチSW1が閉じられている場合、第1配線LC11を介して力率調整回路34の出力をDC/DCコンバータ61に入力することが可能である。また、第1配線LC11を介してDC/DCコンバータ61の出力を電力変換装置35に入力することが可能である。
【0031】
第2スイッチSW2は、第2配線LC12に設けられている。第2スイッチSW2は、開閉することで蓄電装置21とバイパス線LBの接続と接続の遮断とを切り替え可能であればよい。第2スイッチSW2が閉じることで、バッテリ22とバイパス線LBとが第2配線LC12を介して接続される。第2スイッチSW2が開くことで、バッテリ22とバイパス線LBとの接続が遮断される。
【0032】
充電装置制御部36は、充電装置31の制御を行う。
充電装置制御部36は、充電コネクタ32が産業車両10に接続され、充電装置制御部36と車載制御部15との接続が確立すると、電力変換装置35を制御して、電力変換装置35に充電電力を出力させることで車載蓄電装置11の充電を行う。DC/DCコンバータ61の出力が電力変換装置35に入力されていれば、電力変換装置35は蓄電装置21の蓄電装置電力を用いて車載蓄電装置11の充電が可能となる。
【0033】
バッテリ22の充電は、充電コネクタ32が産業車両10に装着されていない状態や、車載蓄電装置11の充電が終了した場合など、車載蓄電装置11の充電を行う必要がない期間に行われる。充電装置制御部36は、DC/DCコンバータ61を制御して、力率調整回路34を介して系統電源SPから入力された系統電力をバッテリ22に出力させることでバッテリ22の充電を行う。
【0034】
本実施形態では、充電装置制御部36は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の開閉を切り替えることができる。
車載蓄電装置11の充電を行う際には、定電流充電(以下、CC充電と称する)の後に定電圧充電(以下、CV充電と称する)を行うCCCV充電方式によって充電が行われる。CCCV充電方式は、車載蓄電装置11の充電率が所定の充電率に達するまではCC充電を行い、所定の充電率に達した後はCV充電を行う方式である。充電装置制御部36は、車載制御部15から車載蓄電装置11の充電率などの車載蓄電装置11の状態を示す情報を取得しながら電力変換装置35の制御を行う。充電装置制御部36は、車載蓄電装置11の充電率に応じて電力変換装置35を制御することで、CCCV充電方式によって車載蓄電装置11の充電を行う。なお、バッテリ22についても、同様の手法によってCCCV充電方式により充電が行われる。
【0035】
充電装置通信部39は、制御装置50と通信を行うための装置である。充電装置通信部39は、無線LAN、Zigbee(登録商標)、LPWA:Low Power Wide Area、移動通信システムなどの無線通信方式で通信を行うことが可能な通信機器である。充電装置通信部39は、受信した無線信号を復調したデータを充電装置制御部36に出力したり、充電装置制御部36から入力されたデータを変調して無線信号として送信することが可能である。
【0036】
制御装置50は、充電システムCSの制御を行う。本実施形態の制御装置50は、エッジコンピュータである。制御装置50は、CPUやGPU等のプロセッサ51と、ROM52と、RAM53と、補助記憶装置54と、通信部55と、を備える。プロセッサ51、ROM52、RAM53、補助記憶装置54及び通信部55は、互いにバスによって接続されている。
【0037】
ROM52及び補助記憶装置54は、処理をプロセッサ51に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。ROM52及び補助記憶装置54は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。補助記憶装置54としては、ハードディスクドライブや、ソリッドステートドライブが用いられる。制御装置50では、ROM52、あるいは、補助記憶装置54から読み取ったプログラムをプロセッサ51が実行する。制御装置50は、ASICやFPGA等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。制御装置50は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0038】
通信部55は、充電装置制御部36と通信を行うための装置である。通信部55は、無線LAN、Zigbee、LPWA、移動通信システムなどの無線通信方式で通信を行うことが可能な通信機器である。通信部55は、受信した無線信号を復調したデータを出力したり、入力されたデータを変調して無線信号として送信することが可能である。
【0039】
次に、制御装置50が行う制御について説明する。制御装置50では、RAM53に読み込まれたプログラムをプロセッサ51が実行することで、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の開閉を切り替える切替制御が行われる。切替制御は、所定の制御周期で繰り返し行われる。
【0040】
図3に示すように、ステップS1において、制御装置50は、充電情報を取得する。充電装置制御部36は、所定の周期で充電情報を充電装置通信部39から送信している。充電情報とは、制御装置50が切替制御を行うために必要となる情報である。充電情報には、接続情報、充電方式情報、バッテリ22の充電率を示す情報、及び識別情報が含まれる。接続情報とは、充電コネクタ32が産業車両10に接続されているか否かを示す情報である。充電方式情報とは、充電装置31がCC充電を行っているかCV充電を行っているかを示す情報である。識別情報は、充電設備20毎に個別に設定されたIDコードを示す情報である。言い換えれば、充電情報がいずれの充電設備20に関する情報かを制御装置50に認識させるための情報である。充電情報には、車載蓄電装置11の充電率を示す情報など、種々の情報が含まれていてもよい。ステップS1の処理を行うことで、制御装置50は、蓄電装置21それぞれの充電率を示す情報を取得する充電率取得部を備えているといえる。
【0041】
次に、ステップS2において、制御装置50は、車載蓄電装置11の充電を行っている充電装置31のうちCV充電を行っている充電装置31が存在するか否かを判定する。充電装置31がCV充電を行っているか否かは、ステップS1で取得された充電方式情報から判別することができる。充電装置31では、CCCV充電方式により車載蓄電装置11の充電が行われるため、車載蓄電装置11を充電している際にCC充電がCV充電に遷移すると、ステップS2の判定結果は肯定になる。ステップS2の判定結果が肯定の場合、制御装置50はステップS3の処理を行う。ステップS2の判定結果が否定の場合、制御装置50はステップS9の処理を行う。以下、車載蓄電装置11の充電を行っている充電設備20のうちCV充電を行っている充電装置31を備える充電設備20を第1充電設備と称する。
【0042】
ステップS3において、制御装置50は、車載蓄電装置11の充電を行っている充電設備20のうちバッテリ22の充電率が閾値未満の充電設備20が存在するか否かを判定する。本実施形態において、閾値は、予め定められた値である。閾値としては、例えば、車載蓄電装置11を充電する際に、車載蓄電装置11の充電率が目標充電率に達するまで、バッテリ22の残容量が不足しないような値に設定される。目標充電率は、充電システムCSの管理者が任意に設定することができる。バッテリ22の残容量の不足とは、バッテリ22の残容量が尽きたり、バッテリ22の残容量が過剰に低くなることである。ステップS3の判定結果が肯定の場合、制御装置50は、ステップS4の処理を行う。一方で、ステップS3の判定結果が否定の場合、制御装置50はステップS9の処理を行う。以下、車載蓄電装置11の充電を行っている充電設備20のうちバッテリ22の充電率が閾値未満の充電設備20を第2充電設備と称する。
【0043】
ステップS4において、制御装置50は、第2充電設備が単数であるか複数であるかを判定する。ステップS4の判定結果が単数の場合、制御装置50はステップS5の処理を行う。ステップS4の判定結果が複数の場合、制御装置50はステップS6の処理を行う。
【0044】
ステップS5において、制御装置50は、第1スイッチSW1の開閉及び第2スイッチSW2の開閉を制御する。第1スイッチSW1の開閉及び第2スイッチSW2の開閉の制御は、通信部55から充電設備20に指令情報を送信することで行われる。指令情報には、第1スイッチSW1を開くか閉じるかを指示する指令、第2スイッチSW2を開くか閉じるかを指示する指令、及び充電設備20の識別情報が含まれる。充電設備20では、充電装置通信部39により受信した指令情報に基づき、第1スイッチSW1の開閉及び第2スイッチSW2の開閉が行われる。本実施形態では、充電装置制御部36が第1スイッチSW1の開閉及び第2スイッチSW2の開閉を行う。このように、制御装置50は、指令情報を充電設備20に送信することで、第1スイッチSW1の開閉及び第2スイッチSW2の開閉を制御することが可能である。
【0045】
制御装置50は、通信部55から指令情報を送信することで、第1充電設備の第1スイッチSW1を開き、第1充電設備の第2スイッチSW2を閉じる。なお、既に第1充電設備の第1スイッチSW1が開かれており、第1充電設備の第2スイッチSW2が閉じられている場合には、この状態が維持される。本実施形態では、第1充電設備が複数存在する場合、全ての第1充電設備について第1スイッチSW1は開かれ、第2スイッチSW2は閉じられる。制御装置50は、第2充電設備の第1スイッチSW1を閉じ、第2充電設備の第2スイッチSW2を閉じる。なお、既に第2充電設備の第1スイッチSW1が閉じられており、第2充電設備の第2スイッチSW2が閉じられている場合には、この状態が維持される。
【0046】
上記のように第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を制御することで、第1充電設備の接続線LC1と、第2充電設備の接続線LC1とがバイパス線LBに接続される。第1充電設備のバッテリ22と第2充電設備の充電装置31とは、接続線LC1及びバイパス線LBによって接続される。これにより、CV充電を行っている充電設備20のバッテリ22の電力を用いて、バッテリ22の充電率が閾値未満である充電設備20の充電装置31が車載蓄電装置11の充電を行うことになる。詳細にいえば、第1充電設備のバッテリ22が第1充電設備の第2配線LC12、バイパス線LB、及び第2充電設備の第2配線LC12を介して第2充電設備のDC/DCコンバータ61に接続される。第2充電設備のDC/DCコンバータ61の出力が、第2充電設備の電力変換装置35に入力される。ステップS5の処理を終えると、制御装置50は切替制御を終了する。第1充電設備が存在し、第2充電設備が単数である間は、ステップS5の処理が繰り返し行われることで、第2充電設備の充電装置31に第1充電設備のバッテリ22から電力が供給される。
【0047】
ステップS6において、制御装置50は、指令情報を送信することで第1充電設備の第1スイッチSW1を開き、第1充電設備の第2スイッチSW2を閉じる。制御装置50は、指令情報を送信することで複数の第2充電設備のうち1つの第2充電設備について第1スイッチSW1を閉じ、第2スイッチSW2を閉じる。これにより、CV充電を行っている充電設備20のバッテリ22と、バッテリ22の充電率が閾値未満である充電設備20のうち1つの充電設備20の充電装置31とがバイパス線LBを介して接続される。第1充電設備のバッテリ22の電力を用いて、第2充電設備の充電装置31が車載蓄電装置11の充電を行うことになる。
【0048】
次に、ステップS7において、制御装置50は、バイパス線LBを介して供給される電力により充電を行っている充電設備20、即ち、第2充電設備による車載蓄電装置11の充電時間が所定時間を経過したか否かを判定する。所定時間とは、予め定められた時間であってもよいし、第2充電設備の数や車載蓄電装置11の充電率から算出された時間であってもよい。所定時間を算出する場合、第2充電設備の数が多いほど所定時間を短くしてもよい。第2充電設備による充電対象となる車載蓄電装置11の充電率が低いほど所定時間を長くしてもよい。即ち、第2充電設備による充電が行われている複数の車載蓄電装置11のうち充電率が低いものほど所定時間が長く、充電率が高いものほど所定時間が短くなるように所定時間は算出されてもよい。ステップS7の判定結果が否定の場合、制御装置50は、切替制御を終了する。ステップS7の判定結果が肯定の場合、制御装置50はステップS8の制御を行う。所定時間が経過するまでは、複数の第2充電設備のうち同一の第2充電設備の充電装置31に第1充電設備のバッテリ22から電力が供給されることになる。
【0049】
ステップS8において、制御装置50は、バイパス線LBを介して電力が供給される第2充電設備を切り替える。制御装置50は、バイパス線LBを介して電力が供給されている第2充電設備の第1スイッチSW1を開き、第2スイッチSW2を開く。また、制御装置50は、第2充電設備のうちバイパス線LBを介して電力が供給されていない第2充電設備の第1スイッチSW1を閉じ、第2スイッチSW2を閉じる。これにより、複数の第2充電設備の接続線LC1のうちバイパス線LBに接続される接続線LC1が切り替わる。
【0050】
ステップS8の処理を終えると、制御装置50は切替制御を終了する。次回以降の制御周期では、ステップS8にてバイパス線LBと接続された第2充電設備による充電時間が計数される。第2充電設備が複数存在している場合、バイパス線LBに接続される第2充電設備は、時間経過によって順次切り替えられていくことになる。このように、第2充電設備が複数存在する場合、時間経過によってバイパス線LBに接続される接続線LC1を切り替えている。これにより、単数のバイパス線LBを用いて、複数の第2充電設備に第1充電設備のバッテリ22から電力を供給することを可能にしている。
【0051】
ステップS9において、制御装置50は、全ての充電設備20について第2スイッチSW2を開く。これにより、バイパス線LBを介したバッテリ22と接続線LC1との接続が遮断される。
【0052】
なお、第1充電設備のバッテリ22から第2充電設備の充電装置31への電力の供給は、第1充電設備による車載蓄電装置11の充電が終了した時点で遮断してもよい。また、第1充電設備のバッテリ22から第2充電設備の充電装置31への電力の供給は、第1充電設備による車載蓄電装置11の充電が終了した場合であっても継続してもよい。充電装置31がCC充電からCV充電に遷移したことを契機として第1充電設備のバッテリ22から第2充電設備の充電装置31への電力の供給が開始されればよく、終了条件は任意に設定することができる。
【0053】
本実施形態の充電システムCSの作用について一例を挙げて説明を行う。以下の例では、4つの充電設備20を用いて、4つの産業車両10に搭載された車載蓄電装置11を充電する場合について説明を行う。
【0054】
図4に示すように、4つの産業車両10をそれぞれ、第1産業車両10A、第2産業車両10B、第3産業車両10C、第4産業車両10Dとする。第1産業車両10Aに搭載された車載蓄電装置11を第1車載蓄電装置11A、第2産業車両10Bに搭載された車載蓄電装置11を第2車載蓄電装置11B、第3産業車両10Cに搭載された車載蓄電装置11を第3車載蓄電装置11C、第4産業車両10Dに搭載された車載蓄電装置11を第4車載蓄電装置11Dとする。なお、図4では、車載蓄電装置11の充電率をインジケータM1で模式的に示している。
【0055】
4つの充電設備20をそれぞれ、充電設備20A、充電設備20B、充電設備20C、充電設備20Dとする。充電設備20Aのバッテリ22をバッテリ22A、充電設備20Bのバッテリ22をバッテリ22B、充電設備20Cのバッテリ22をバッテリ22C、充電設備20Dのバッテリ22をバッテリ22Dとする。なお、図4では、バッテリ22の充電率をインジケータM2で模式的に示している。第1車載蓄電装置11Aは充電設備20A、第2車載蓄電装置11Bは充電設備20B、第3車載蓄電装置11Cは充電設備20C、第4車載蓄電装置11Dは充電設備20Dでそれぞれ充電されているとする。
【0056】
バッテリ22A,22Bの残容量は尽きており、バッテリ22A,22Bの充電率は閾値未満である。2つの充電設備20A,20Bは系統電源SPによって車載蓄電装置11を充電しているとする。2つの充電設備20C,20Dは、第3車載蓄電装置11C及び第4車載蓄電装置11Dの充電率の上昇に伴い、CC充電からCV充電に遷移しているとする。充電設備20C,20Dは、第1充電設備20C,20Dといえる。充電設備20A,20Bは第2充電設備20A,20Bといえる。
【0057】
図4に挙げた例では、ステップS2の処理が肯定、ステップS3の処理が肯定、ステップS4の処理が複数になることで、ステップS6の処理が行われる。ステップS6の処理では1つの第2充電設備20Aの第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2が閉じられる。また、2つの第1充電設備20C,20Dの第1スイッチSW1が開き、第2スイッチSW2が閉じる。第2充電設備20Aの接続線LC1と第1充電設備20C,20Dの接続線LC1とがバイパス線LBによって接続されることで、第2充電設備20Aの充電装置31とバッテリ22C,22Dが接続される。バッテリ22C,22Dの電力は、第2充電設備20Aの充電装置31に供給される。第2充電設備20Aの充電装置31は、系統電源SP及びバッテリ22C,22Dを用いて第1車載蓄電装置11Aを充電することになる。
【0058】
制御装置50は、バッテリ22C,22Dの電力が第2充電設備20Aの充電装置31に供給されるようになった時刻からの経過時間を計数する。経過時間が所定時間に達するまでは、ステップS7の判定結果が継続して否定になる。経過時間が所定時間に達するまでは、各制御周期で同様の処理が行われ、系統電源SP及びバッテリ22C,22Dを用いて第1車載蓄電装置11Aの充電が行われていく。
【0059】
所定時間が経過し、ステップS7の判定結果が肯定になると、制御装置50は、バイパス線LBの接続先を第2充電設備20Aから、第2充電設備20Bに切り替える。制御装置50は、第2充電設備20Aの第2スイッチSW2を開けて、第2充電設備20Aの接続線LC1とバイパス線LBとの接続を遮断する。制御装置50は、第2充電設備20Bの第2スイッチSW2を閉じて、第2充電設備20Bの接続線LC1とバイパス線LBとを接続する。これにより、バッテリ22C,22Dの電力が第2充電設備20Bの充電装置31に供給され、系統電源SP及びバッテリ22C,22Dを用いて第2車載蓄電装置11Bの充電が行われる。次回以降の制御周期では、バッテリ22C,22Dから第2充電設備20Bの充電装置31に電力が供給されるようになった時刻からの経過時間が計数される。
【0060】
第1車載蓄電装置11A及び第2車載蓄電装置11Bが充電されていき、第2充電設備20A,20Bの充電装置31でCV充電が行われるようになると、ステップS2の判定結果が否定になる。すると、制御装置50は、ステップS9で各充電設備20の第2スイッチSW2を開く。
【0061】
図5に示すように、時刻T1までは系統電源SPのみを用いて第1車載蓄電装置11Aが充電されており、時刻T1から所定時間経過後の時刻T2まで系統電源SP及びバッテリ22C,22Dを用いて第1車載蓄電装置11Aが充電されているとする。時刻T2までは系統電源SPのみを用いて第2車載蓄電装置11Bが充電されており、時刻T2から所定時間経過後の時刻T3まで系統電源SP及びバッテリ22C,22Dを用いて第2車載蓄電装置11Bが充電されているとする。時刻T3になると、充電設備20A,20Bの充電装置31はCC充電からCV充電に遷移する。
【0062】
充電設備20Aの充電装置31に供給されている系統電力をWs1、バッテリ22Cの蓄電装置電力をWb3、バッテリ22Dからの蓄電装置電力をWb4、充電装置31から第1車載蓄電装置11Aに供給される充電電力をWc1とする。時刻T1までの期間の充電電力Wc1は、以下の(1)式で表すことができる。時刻T1から時刻T2までの充電電力Wc1は以下の(2)式で表すことができる。なお、以下の(1)式及び(2)式では損失を考慮していない。
【0063】
Wc1=Ws1…(1)
Wc1=Ws1+Wb3+Wb4…(2)
(1)式及び(2)式から把握できるように、時刻T1から時刻T2までの期間には、バッテリ22C,22Dから充電装置31に供給される蓄電装置電力Wb3,Wb4が第1車載蓄電装置11Aへの充電電力Wc1に上乗せされているといえる。これにより、図5に線L1で示すように、時刻T1から時刻T2までの期間では、時刻T1までの期間に比べて第1車載蓄電装置11Aの充電率が早く上昇する。CV充電では、充電電圧が一定に保たれるため、第1車載蓄電装置11Aの充電率の上昇により第1車載蓄電装置11Aの端子間電圧が高くなるに従い充電電流は小さくなる。これにより、時刻T3以降では充電電力Wc1は徐々に減少していく。(1)式及び(2)式から把握できるように、系統電力Ws1のみで第1車載蓄電装置11Aを充電する場合に比べて、充電電力Wc1を大きくすることができ、第1車載蓄電装置11Aを目標充電率まで充電するのに要する時間を短縮することができる。
【0064】
充電設備20Bの充電装置31に供給されている系統電力をWs2、充電装置31から第2車載蓄電装置11Bに供給される充電電力をWc2とする。時刻T2までの充電電力Wc2は、以下の(3)式で表すことができる。時刻T2から時刻T3までの充電電力Wc2は以下の(4)式で表すことができる。なお、以下の(3)式及び(4)式では損失を考慮していない。
【0065】
Wc2=Ws2…(3)
Wc2=Ws2+Wb3+Wb4…(4)
第1車載蓄電装置11Aの場合と同様に、バッテリ22C,22Dから充電装置31に供給される蓄電装置電力Wb3,Wb4が第2車載蓄電装置11Bへの充電電力Wc2に上乗せされている。これにより、図5に線L2で示すように、時刻T2から時刻T3までの期間では、時刻T2までの期間に比べて第2車載蓄電装置11Bの充電率が早く上昇する。時刻T3以降では、第1車載蓄電装置11Aと同様に、充電電力Wc2は徐々に減少していく。(3)式及び(4)式から把握できるように、系統電力Ws2のみで第2車載蓄電装置11Bを充電する場合に比べて、充電電力Wc2を大きくすることができ、第2車載蓄電装置11Bを目標充電率まで充電するのに要する時間を短縮することができる。
【0066】
第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)制御装置50は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を制御することで、第1充電設備の接続線LC1とバイパス線LBとを接続し、第1充電設備の接続線LC1と第1充電設備の充電装置31との接続を遮断する。これにより、第1充電設備のバッテリ22から第1充電設備の充電装置31への電力の供給が遮断され、第1充電設備のバッテリ22からバイパス線LBに電力が供給可能となる。制御装置50は、第2充電設備の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を制御することで第2充電設備の接続線LC1とバイパス線LBとを接続し、接続線LC1と充電装置31とを接続する。第2充電設備の接続線LC1とバイパス線LBとが接続されていることで、第2充電設備の充電装置31には、第1充電設備のバッテリ22から電力が供給される。第2充電設備が備えるバッテリ22の残容量が不足している場合であっても、第1充電設備のバッテリ22から第2充電設備の充電装置31に電力を供給することで、電力を補うことができる。これにより、第2充電設備によって充電されている車載蓄電装置11の充電に要する時間が長くなることを抑制できる。CV充電は、CC充電に比べて充電装置31からの充電電力が小さいため、第1充電設備ではバッテリ22の電力が充電装置31に供給されなくなっても、車載蓄電装置11の充電に要する時間が長くなりにくい。従って、CV充電を行っている充電設備20のバッテリ22から、バッテリ22の残容量が不足するおそれのある充電設備20に電力を供給することで、充電システムCS全体として、車載蓄電装置11の充電時間を短くすることができる。
【0067】
(1-2)バイパス線LBは単数である。第2充電設備が複数存在している場合、制御装置50は、1つの第2充電設備の接続線LC1とバイパス線LBとを接続する。そして、制御装置50は、時間経過に応じて第2スイッチSW2を制御することでバイパス線LBに接続される接続線LC1を切り替えていく。これにより、単数のバイパス線LBを用いて、複数の第2充電設備に第1充電設備のバッテリ22から電力を供給することができる。バイパス線LBを複数設ける場合に比べて、製造コストの低減を図ることができる。
【0068】
(1-3)車載蓄電装置11の充電途中にバッテリ22の残容量が不足することを抑制できる。車載蓄電装置11の充電に要する時間が長くなることを抑制するため、系統電源SPから充電装置31に供給される電力を大きくしなくてもよい。このため、系統電源SPから充電装置31への電力線の強化、充電装置31に接続される分電盤の強化、充電装置31を構成する回路の強化など、系統電源SPから供給される電力を大きくするための設備投資をしなくてもよい。設備コストの増大を抑制することができる。
【0069】
(第2実施形態)
以下、充電システムの第2実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態と同様の部分については説明を省略する。
【0070】
図6に示すように、充電システムCSは、複数のバイパス線を備える。図6に示す例では、充電システムCSは、3つのバイパス線LB1,LB2,LB3を備える。3つのバイパス線LB1,LB2,LB3をそれぞれ、第1バイパス線LB1、第2バイパス線LB2、第3バイパス線LB3とする。
【0071】
第2スイッチSW2は、1つの可動接点Mと、3つの固定接点C11,C12,C13と、を備える。固定接点C11,C12,C13は、第1バイパス線LB1に接続された第1固定接点C11、第2バイパス線LB2に接続された第2固定接点C12、及び第3バイパス線LB3に接続された第3固定接点C13を含む。可動接点Mは、3つの固定接点C11,C12,C13から選択された1つに接触可能である。また、可動接点Mは、3つの固定接点C11,C12,C13のいずれにも接触しない状態にすることも可能である。第2スイッチSW2は、接続線LC1と各バイパス線LB1,LB2,LB3との接続及び接続の遮断を行うことが可能といえる。
【0072】
図6に示す例では、2つの充電設備20B,20Cが第1充電設備20B,20Cとなり、1つの充電設備20Aが第2充電設備20Aとなる。なお、図では3つの充電設備20A,20B,20Cを図示しているが、充電システムCSは、充電設備20A,20B,20C以外の充電設備20を備える。
【0073】
1つの第1充電設備20Bの接続線LC1は、第2スイッチSW2によって第1バイパス線LB1に接続されている。第2充電設備20Aの接続線LC1は、第2スイッチSW2によって第1バイパス線LB1に接続されている。これにより、第2充電設備20Aの充電装置31は、第1充電設備20Bのバッテリ22Bを用いて車載蓄電装置11を充電することができる。
【0074】
複数の第1充電設備20B,20Cが存在している場合、第1充電設備20Bとは異なる第1充電設備20Cの接続線LC1は、第1バイパス線LB1に接続することもできるし、第2バイパス線LB2や第3バイパス線LB3に接続することもできる。第1充電設備20Cの接続線LC1を第1バイパス線LB1に接続することで、第2充電設備20Aに第1充電設備20B,20Cのバッテリ22B,22Cからの電力を集約することができる。
【0075】
第1充電設備20Cの接続線LC1を第2バイパス線LB2や第3バイパス線LB3に接続すると、第2充電設備20Aとは異なる第2充電設備が存在している場合、この第2充電設備の充電装置31と第1充電設備20Cとを接続することができる。即ち、第1充電設備及び第2充電設備がそれぞれ複数存在している場合、複数のバイパス線LB1,LB2,LB3を用いて、複数の第2充電設備の充電装置31のそれぞれに、第1充電設備のバッテリ22を接続することができる。
【0076】
第2実施形態の効果について説明する。
(2-1)充電システムCSは、複数のバイパス線LB1,LB2,LB3を備える。第2スイッチSW2は、複数のバイパス線LB1,LB2,LB3から選択された1つのバイパス線LB1,LB2,LB3と、接続線LC1とを接続可能である。制御装置50は、第2スイッチSW2を制御することで、任意の第1充電設備のバッテリ22と、任意の第2充電設備の接続線LC1とを接続することができる。従って、複数の第2充電設備に第1充電設備のバッテリ22から電力を供給することができる。
【0077】
各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○各実施形態において、蓄電装置は、バッテリ22を備え、バッテリ22の電力を充電装置31に供給することができれば、どのような構成であってもよい。例えば、図7に示すように、蓄電装置60は、DC/DCコンバータ61に代えて、バッテリ22を充電可能な蓄電装置充電装置62を備えていてもよい。この場合、接続線LC1は、第1配線LC21と、蓄電装置60と第1配線LC21とを接続する第2配線LC22と、を備える。第1配線LC21は、充電装置31とバイパス線LBとの間に設けられた配線である。第1スイッチSW1は、第1配線LC21の一端に設けられている。第2スイッチSW2は、第1配線LC21の他端に設けられている。第1配線LC21は、第1スイッチSW1が閉じられることで、力率調整回路34と電力変換装置35との間に接続される。第1配線LC21は、第2スイッチSW2が閉じられることでバイパス線LBに接続される。第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は、第1実施形態と同様の態様で開閉される。
【0078】
蓄電装置充電装置62は、例えば、入力された電力を変圧してバッテリ22に出力するDC/DCコンバータである。図示は省略するが、蓄電装置充電装置62は、力率調整回路34に接続可能である。充電装置31は、力率調整回路34の出力を電力変換装置35に入力するか、蓄電装置充電装置62に入力するかを切り替える切替部材を備える。車載蓄電装置11を充電する場合には、力率調整回路34の出力は電力変換装置35に入力される。バッテリ22を充電する場合には、力率調整回路34の出力は蓄電装置充電装置62に入力される。
【0079】
また、蓄電装置60は、バッテリ22の出力する電圧を変圧するDC/DCコンバータを備えていてもよい。この場合、DC/DCコンバータは、第2配線LC22を介して第1配線LC11に接続されていてもよい。この場合、DC/DCコンバータによって変圧された電力がバイパス線LBに供給されることになる。
【0080】
○各実施形態において、制御装置50は、サーバーなど、充電システムCSを制御できるものであれば、どのような装置であってもよい。
○第1実施形態において、第1スイッチSW1の開閉を行う装置は、充電装置制御部36とは異なる装置であってもよい。第2スイッチSW2の開閉を行う装置は、充電装置制御部36とは異なる装置であってもよい。第1スイッチSW1の開閉及び第2スイッチSW2の開閉を行う装置は、制御装置50からの指令によって第1スイッチSW1の開閉、及び第2スイッチSW2の開閉を行えれば、どのような装置であってもよい。同様に、第2実施形態において、第1スイッチSW1の開閉、及び第2スイッチSW2の可動接点Mの接続先を切り替える装置は、どのような装置であってもよい。
【0081】
○各実施形態において、充電装置31が行う車載蓄電装置11の充電は、少なくとも一部にCCCV充電方式が用いられていればよく、CCCV充電方式と他の充電方式の組み合わせであってもよい。例えば、充電装置31は、CCCV充電方式とパルス充電方式の組み合わせによって車載蓄電装置11の充電を行ってもよい。
【0082】
○各実施形態において、第1充電設備が複数存在する場合、複数の第1充電設備のうち任意の数の第1充電設備について第1スイッチSW1が開かれ、第2スイッチSW2が閉じられるように制御が行われてもよい。例えば、複数の第1充電設備のうち1つの第1充電設備について第1スイッチSW1が開かれ、第2スイッチSW2が閉じられるように制御が行われてもよい。
【0083】
○各実施形態において、ステップS3の判定に用いられる閾値は、車載蓄電装置11の充電率に応じて変動する値であってもよい。前述したように、閾値は、車載蓄電装置11の充電率が目標充電率に達するまで、バッテリ22の残容量が不足しないような値である。このため、車載蓄電装置11の充電率が高いほど、少ない充電電力で車載蓄電装置11の充電率は目標充電率に達する。車載蓄電装置11の充電率が高いほどバッテリ22の残容量が不足しにくいといえる。制御装置50は、車載蓄電装置11の充電率が高いほど閾値を低くしてもよい。
【0084】
○各実施形態において、第1充電設備のうちバッテリ22の充電率が供給可能閾値以下のものは、バイパス線LBに接続しないようにしてもよい。供給可能閾値とは、予め定められた値であって、第1充電設備のバッテリ22から第2充電設備の充電装置31に電力を供給可能か否か判定するための閾値である。第1充電設備のバッテリ22から第2充電設備の充電装置31に電力を供給すると、第1充電設備のバッテリ22の充電率が低下する。第1充電設備のバッテリ22の充電率が過剰に低くなると、第1充電設備による車載蓄電装置11の充電が終わり、次の車載蓄電装置11の充電を行う際にバッテリ22の残容量が不足するおそれがある。このため、第1充電設備のうちバッテリ22の充電率が供給可能閾値以下のものはバイパス線LBに接続しないようにして、バッテリ22の残容量が不足することを抑制してもよい。
【0085】
○各実施形態において、ステップS7の判定は、充電率によって行われてもよい。制御装置50は、第2充電設備により充電されている車載蓄電装置11の充電率が所定値以上上昇した場合にバイパス線LBに接続される第2充電設備を切り替えてもよい。所定値は、予め定められた値であってもよいし、車載蓄電装置11の充電率から算出される値であってもよい。
【0086】
○各実施形態において、蓄電装置21の故障などを原因として、接続線LC1に電力を供給不能な蓄電装置21が存在している場合、この蓄電装置21を備える充電設備20の接続線LC1を第2スイッチSW2によってバイパス線LB,LB1,LB2,LB3に接続してもよい。即ち、制御装置50は、第2充電設備に加えて、蓄電装置21から接続線LC1に電力を供給不能な充電設備20に第1充電設備のバッテリ22から電力が供給されるように第2スイッチSW2を制御してもよい。
【0087】
この場合、充電設備20それぞれの蓄電装置21が、他の蓄電装置21が故障した場合のバックアップとして機能する。接続線LC1に電力を供給不能な蓄電装置21が存在する場合であっても、作業計画を維持することができる。接続線LC1に電力を供給不能な蓄電装置21が存在している場合であっても、この蓄電装置21を備える充電設備20に系統電源SPから供給される電力を大きくする必要がない。このため、接続線LC1に電力を供給不能な蓄電装置21が生じた場合であっても、電力の平準化を維持することができる。また、系統電源SPから供給される電力を大きくする必要がないため、系統電源SPから充電装置31への電力線の強化、充電装置31に接続される分電盤の強化、充電装置31を構成する回路の強化など、系統電源SPから供給される電力を大きくするための設備投資をしなくてもよい。設備コストの増大を抑制することができる。
【0088】
○各実施形態において、車載蓄電装置11の充電率を示す情報とは、車載蓄電装置11の開回路電圧、車載蓄電装置11の残容量など、車載蓄電装置11の充電率と相関のあるものであればよい。即ち、車載蓄電装置11の充電率を示す情報とは、充電率そのものを示す情報に限らず、充電率を推定することができる情報であればよい。同様に、バッテリ22の充電率を示す情報とは、バッテリ22の開回路電圧、バッテリ22の残容量など、バッテリ22の充電率と相関のあるものであればよい。
【0089】
○各実施形態において、車載検出部としては、車載蓄電装置11の充電率を推定することができれば、どのようなものであってもよい。例えば、車載検出部としては、車載蓄電装置11の端子間電圧を検出する電圧センサ及び車載蓄電装置11の充放電電流を検出する電流センサの少なくともいずれかと、これらのセンサの検出結果から車載蓄電装置11の充電率を推定する推定部を備えていればよい。推定部は、専用の装置であってもよいし、車両の制御を行う装置に推定部としての機能を備えさせてもよい。同様に、検出部としては、バッテリ22の充電率を推定することができれば、どのようなものであってもよい。
【0090】
○各実施形態において、蓄電装置21は、DC/DCコンバータ61を制御する制御装置を備えていてもよい。
○各実施形態において、バッテリ22の出力する電力は、電力変換装置35による電力変換を行わないで出力されてもよい。即ち、バッテリ22から出力される電力が車載蓄電装置11に直接供給されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0091】
CS…充電システム、LB,LB1,LB2,LB3…バイパス線、LC1…接続線、SP…系統電源、SW1…第1スイッチ、SW2…第2スイッチ、10…産業車両、11…車載蓄電装置、20…充電設備、21…蓄電装置、31…充電装置、50…充電率取得部としての制御装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7