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特開2022-109258人間工学的視野に基づく光学顕微鏡システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109258
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】人間工学的視野に基づく光学顕微鏡システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/34 20060101AFI20220720BHJP
   G02B 21/00 20060101ALI20220720BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20220720BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
G02B21/34
G02B21/00
G01N33/483 C
C12M1/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066793
(22)【出願日】2022-04-14
(62)【分割の表示】P 2021563731の分割
【原出願日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2020186639
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520436770
【氏名又は名称】有限会社ウィン
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】鷹橋 浩幸
(57)【要約】
【課題】光学顕微鏡を用いる花粉検査、水質検査、血液検査及び/又は血液診断、尿検査及び/又は尿診断、並びに、癌等の病理検査及び/又は病理診断等において、プレパラート(標本)の試料又は検体を見落とすことなく、かつ、試料又は検体を重複することなくプレパラートの観察ができる光学顕微鏡用具、及び、検査及び/又は診断方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る光学顕微鏡システムにおいて、光学顕微鏡観察において、プレパラートの観察を実行する領域と観察を省除する領域とを識別する視野規制機能と、プレパラートを逐次観察すべき方向に案内する視野誘導機能とを兼備する手段が形成される光学顕微鏡用具と共に、照明制御装置を備えた光学顕微鏡を用いて視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する手段が形成され、光学顕微鏡観察における視野規制機能と視野誘導機能を制御する手段を配備するプレパラートから送信される信号に基づいて、ステージ制御装置及び照明制御装置が視野規制機能及び視野誘導機能を果たす。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象である物体がスライドグラスとカバーグラスとの間に挟持されてなるプレパラートが接眼レンズを通して観察者によって視られることで前記観察対象に係る実視野が前記接眼レンズもしくは前記観察者の網膜上に観察視野として結像される光学顕微鏡と、
前記観察視野を前記プレパラートの観察方向に逐次誘導するための視野誘導機能と、
前記観察視野のうち前記観察者による観察が省除されるべき領域であって前記観察方向と略直交する方向にある誘導略直交方向非観察領域を前記観察視野から除外し、前記観察者の視覚に係る神経を集中させる範囲である観察信頼領域に前記観察視野を規制する視野規制機能と、
を具備することを特徴とする光学顕微鏡用具。
【請求項2】
前記誘導略直交方向非観察領域は前記観察信頼領域を上下方向から挟む第1非観察領域及び第2非観察領域を有し、
前記観察信頼領域の面積(M1)と、前記第1の非観察領域の面積(N1)と、前記第2の非観察領域の面積(N2)との面積比が、M1:N1:N2=約5:2.5:2.5~約9.5:0.25:0.25の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の光学顕微鏡用具。
【請求項3】
前記視野規制機能は前記観察信頼領域から、前記観察者による観察が省除されるべき領域であって前記観察方向と略平行する方向にある誘導略平行方向非観察領域を前記観察信頼領域からさらに除外して得られる第2の観察信頼領域を得るものである、請求項1に記載の光学顕微鏡用具。
【請求項4】
前記誘導略平行方向非観察領域は前記第2の観察信頼領域を左右方向から挟む第3非観察領域及び第4非観察領域を有し、
前記第2の観察信頼領域の面積(M2)が、前記観察信頼領域の面積(M1)の約95~60%の範囲内であることを特徴とする請求項3に記載の光学顕微鏡用具。
【請求項5】
前記実視野が直径が約1.0mm~約13.5mmの略円形であることを特徴とする請求項1に記載の光学顕微鏡用具。
【請求項6】
前記視野誘導機能と前記視野規制機能とが第一の手段によって兼備され、前記第一の手段が、端点が異なる重複点のない単一曲線の複数が交差することなく集合した曲線群であることを特徴とする請求項1に記載の光学顕微鏡用具。
【請求項7】
前記複数の単一曲線のそれぞれが、種類、太さ、長さ、及び、色のいずれか一つ以上が異なることを特徴とする請求項6に記載の光学顕微鏡用具。
【請求項8】
前記視野誘導機能と前記視野規制機能とが第一の手段によって兼備され、前記第一の手段は図形及び/又は文字であることを特徴とする請求項1に記載の光学顕微鏡用具。
【請求項9】
前記第2の観察信頼領域が略格子状となるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の光学顕微鏡用具。
【請求項10】
前記光学顕微鏡用具がプレパラートであることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の光学顕微鏡用具。
【請求項11】
前記光学顕微鏡用具がスライドグラスであることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の光学顕微鏡用具。
【請求項12】
前記光学顕微鏡用具がカバーグラスであることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の光学顕微鏡用具。
【請求項13】
前記前記視野誘導機能と前記視野規制機能が書き換え可能であることを特徴とする請求項1に記載の光学顕微鏡用具。
【請求項14】
前記光学顕微鏡用具がプレパラートであり、
前記前記視野誘導機能と前記視野規制機能が書き換え可能であって、前記プレパラートの最外面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学顕微鏡用具。
【請求項15】
前記書き換えの印字がスタンプ印刷で行われることを特徴とする請求項14に記載の光学顕微鏡用具。
【請求項16】
請求項1~9のいずれか一項に記載の光学顕微鏡用具を用いることを特徴とする組織検査及び/又は組織診断方法。
【請求項17】
請求項1~9のいずれか一項に記載の光学顕微鏡用具を用いることを特徴とする細胞検査及び/又は細胞診断方法。
【請求項18】
請求項1~9のいずれか一項に記載の光学顕微鏡用具から作製されるデジタル画像データを用いることを特徴とする組織検査及び/又は組織診断方法。
【請求項19】
前記デジタル画像データを畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional neural network、CNN)に基づく物体検出アルゴリズムで処理することを特徴とする請求項18に記載の組織検査及び/又は組織診断方法。
【請求項20】
視線検出技術を用いた観察者の視線データに基づいて、前記観察領域の中の前記観察者が見落としていた未観察領域の再観察を行うことを可能とすることを特徴とする請求項18に記載の組織検査及び/又は組織診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学顕微鏡システムに係り、特に、人間工学的視野に基づく光学顕微鏡システムに関する。また、本発明の技術思想は、広く電子顕微鏡にも適用可能である。なお、本発明の光学顕微鏡システムに使用できるスライドグラス及びカバーグラスは、用語の定義からすれば、無機系素材のガラス製であるが、その代替として有機系素材のシート及びフィルムも、スライドグラス及びカバーグラスと同じ役割を担うことができるため、本明細書におけるスライドグラス及びカバーグラスは有機性素材のものを含む。
【背景技術】
【0002】
光学顕微鏡を用いる花粉検査、水質検査、血液検査及び/又は血液診断、尿検査及び/又は尿診断、癌を始めとする病理検査及び/又は病理診断における組織検査及び/又は組織診断、並びに、癌を始めとする病理検査及び/又は病理診断における細胞検査及び/又は細胞診断等は、プレパラートの試料又は検体を見落とすことなく、かつ、試料又は検体を重複することなく観察し、正確な検査及び/又は診断が行われなければならないため、熟練した技能を有する検査技師や専門医等に委ねられている。
【0003】
しかし、このような光学顕微鏡を用いる各種検査におけるプレパラートは膨大な数量であるにもかかわらず、日本における検査技師や専門医、特に、血液検査及び/又は血液診断や尿検査及び/又は尿診断等の生化学検査及び/又は生化学診断に従事する臨床検査専門医、また、病理検査及び/又は病理診断における組織検査及び/又は組織診断並びに細胞検査及び/又は細胞診断に従事する臨床検査技師、臨床検査専門医、病理専門医、病理医、細胞診専門医、及び、細胞検査士が極めて少ないため、これらの業務には多大な負荷が掛かっている(非特許文献1)。中でも、病理検査及び/又は病理診断は、患者の生命に係わるため、正確性及び信頼性を重視した業務となり、その従事者に係る肉体的及び精神的負担は計り知れないものがある。
【0004】
そこで、検査及び/又は診断に係る時間及び労力を低減し、検査及び/又は診断に係る正確性及び信頼性を高めるために、スライドグラス及びカバーグラスへの印刷加工が施されてきた。
【0005】
例えば、花粉検査、水質検査、血液検査及び/又は血液診断、並びに、尿検査及び/又は尿診断等においては、花粉、微生物、血球、尿沈渣等の試料又は検体の定量化において、特許文献1に開示されている標準計数板が開発され、図1(a)に示すような格子状界線4-1が形成された界線スライドグラス1として幅広く利用されている(例えば、非特許文献2及び3)。
【0006】
また、癌検査においては、血液検査及び/又は血液診断や画像検査及び/又は画像診断等もあるが、直接的、そして、最終的には、癌が疑われる病変から採取された組織や細胞を光学顕微鏡で観察する病理検査及び/又は病理診断が行われる必要がある(非特許文献4)。この病理検査及び/又は病理診断は、組織検査及び/又は組織診断と細胞検査及び/又は細胞診断とがあり、大量のプレパラートの光学顕微鏡観察が行われている。組織検査及び/又は組織診断では、まず、臨床検査技師によって、内視鏡や手術等により採取された臓器又は組織がパラフィンで固められ、1000分の数ミリの薄さの切片にして染色された後、スライドグラスに載置され、カバーガラスで覆われた半永久的なプレパラートが作製される。そして、病理専門医又は病理医によってこのプレパラートの光学顕微鏡観察が行われ、良性・悪性の鑑別、診断名、病変の本態や病変の広がり、治療効果や予後の判定等の形態学的な診断が行われる。また、細胞検査及び/又は細胞診断では、まず、尿・子宮頸部・子宮内膜・喀痰等の中にある細胞や、乳腺・甲状腺等の組織から得られた細胞をスライドガラスに塗り、染色をした後、カバーグラスを覆いプレパラートが作製される。そして、このプレパラートが、臨床検査技師によって光学顕微鏡で観察され、異常な細胞が見つけ出され、病理専門医、病理医、細胞診専門医、又は、細胞検査士によって診断・判定される。
【0007】
特に、このような病理検査及び/又は病理診断においては、それぞれの検査の仕様、並びに、試料又は検体の種類及び状態等に応じた印刷パターンが施されたスライドグラスが利用されている(非特許文献5)。例えば、リングマーク及び角形枠等のパターン、並びに、リング番号及び枠番号等の文字が、シルバーステイン印刷、フロストインク印刷、紫外線(UV)硬化型インク印刷、高撥水性フッ素樹脂ベースインク印刷等により形成されており、血液検査や尿検査等も含めた各種検査に利用されている。代表例として、図1(b)には、4つのリングマーク4-2がシルバーステイン印刷され、端部にフロスト加工4-3が施されたスライドガラスを示す。
【0008】
確かに、このようなリングマークや角形枠等の各種印刷パターン、並びに、リング番号及び枠番号等は、試料又は検体の位置及び領域を指示する一定の役割を果たしている。しかしながら、このような印刷パターン及び番号には、効率的な光学顕微鏡観察に影響を及ぼす視野の誘導に係る機能が認められない。従って、現状の印刷加工が施されたスライドグラスを用いた光学顕微鏡観察では、試料又は検体を見落とすことなく、かつ、試料又は検体を重複することなく観察することは難しく、上記検査及び/又は診断に従事する臨床検査技師、臨床検査専門医、病理専門医、病理医、細胞診専門医、及び、細胞検査士の労力を低減し、検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度を高めることが困難であると考えられる。
【0009】
病理検査及び/又は病理診断については殊の外状況が厳しく、より具体的に現状を説明する。人の生体より採集された組織又は細胞は、上記の通り、所定の方法でプレパラートに作製され、これらのプレパラートを光学顕微鏡で観察し、疾病の検査及び/又は診断に供される。その結果、疾患の良性・悪性を含めた疾病の具体的な病理診断名が下される。しかし、光学顕微鏡観察に大きな課題が存在している。光学顕微鏡の視野は通常円形である。この円形の視野内に映し出された組織又は細胞の全体を順次観察していくことにより、個々の疾患に特徴的な顕微鏡所見を見出すのである。通常、組織を観察する場合、20~40倍、細胞を観察する場合、100~200倍で行われる。これに基づいて疾病の診断を下していくのである。ここで、場合によっては診断の根拠になる組織や細胞が非常に少数個に止まることは稀ではなく、この少数個の組織や細胞を見落とすことは許されないという大きな障害が立ちはだかるのである。人間の目は、円形の視野の中心部に注意が払われがちであり、視野の周辺部には意識が向けられにくいという特性がある。逆に言えば、所定の倍率で視野を変えながら観察していく際には、視野周辺部にある組織や細胞は見逃しやすい、という事実が存在する。つまり、視野周辺部にある1~2個の細胞であっても、例えば、その細胞が癌細胞であったとしたならば、それらを見落とすことは、当該患者の悪性疾患を正確に判断しなかったことになり、患者の生命に関わる重大な誤診となりえるのである。このことに加え、患者数が多く、膨大な数量のプレパラートがある。従って、病理検査及び/又は病理診断の従事者には、高度な検査速度及び/又は診断速度と検査精度及び/又は診断精度を求められるので、心身共に疲弊する業務が日々続いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11-304672号公報
【特許文献2】特許第6757949号公報
【特許文献3】特許第6802549号公報
【特許文献4】特許第6260399号公報
【特許文献5】特開2018-197974号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】一般社団法人日本臨床検査医学会,“臨床検査専門医の声 臨床検査専門医と病理専門医”,[online],[2020年10月18日検索],インターネット,<https://www.jslm.org/recognition/purpose/07.html>
【非特許文献2】松浪硝子工業株式会社,“界線スライドグラス”,[online],[2020年10月18日検索],インターネット,<http://www.matsunami-glass.co.jp/product/gene/boundary_line_glass_slide/>
【非特許文献3】環境省花粉観測システム(はなこさん),“花粉ライブラリ,3.ダーラム法に関して(抜粋)”,[online],[2020年10月18日検索],インターネット,<http://kafun.taiki.go.jp/Library.html>
【非特許文献4】マツダ病院臨床病理検査室,“病理細胞診検査”,[online],[2020年10月18日検索],インターネット,<https://hospital.mazda.co.jp/section/rinsho_byori_07.html>
【非特許文献5】松浪硝子工業株式会社,“印刷スライドグラス”,[online],[2020年10月18日検索],インターネット,<http://www.matsunami-glass.co.jp/product/technical/printing_glass_slide/>
【非特許文献6】TickTack World, “やさしい機械学習入門”, [online] , [2021年8月20日検索], インターネット<http://gagbot.net/machine-learning>
【非特許文献7】藤原弘将, 「ディープラーニングによる一般物体認識とそのビジネス応用」, 画像ラボ, 2019年1月号, pp.57-67
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
背景技術で説明したように、生化学検査及び/又は生化学診断、並びに、病理検査及び/又は病理診断等の光学顕微鏡観察を用いる検査及び/又は診断において、現状の印刷加工が施されたスライドグラス、カバーグラス、及び、プレパラートを用いた光学顕微鏡観察では、試料又は検体を見落とすことなく、かつ、試料又は検体を重複することなく観察することができ、これらの検査及び/又は診断の従事者の労力を低減し、検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度の高い光学顕微鏡観察を行うことは困難である。特に、病理検査及び/又は病理診断には、患者の生命を担う重大な責務を伴うため、これに従事する臨床検査技師、臨床検査専門医、病理専門医、病理医、細胞診専門医、及び、細胞検査士の労力を低減し、検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度を高めることが可能な光学顕微鏡観察を行う光学顕微鏡用具、光学顕微鏡システム、これらを用いてもなお防ぐことが困難な見落としを排除する補完する技術、並びに、検査方法及び/又は診断方法を開発することは、これら病理検査及び/又は病理診断の従事者の心身の疲労の低減、安心した業務の遂行に繋がるため、本技術分野における急務である。
【0013】
そのため、本発明は、光学顕微鏡を用いる花粉検査、水質検査、血液検査及び/又は血液診断、尿検査及び/又は尿診断、癌を始めとする病理検査及び/又は病理診断における組織検査及び/又は組織診断、並びに、癌を始めとする病理検査及び/又は病理診断における細胞検査及び/又は細胞診断等において、プレパラート(標本)の試料又は検体を見落とすことなく、かつ、試料又は検体を重複することなく観察ができ、検査、診断、及び、判定の精度及び信頼性を飛躍的に向上させるだけでなく、それらに係わる検査技師や専門医の労力を低減し、かつ、検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度を高めることできる光学顕微鏡システムを提供することを目的とする。より具体的には、本発明は、血液検査及び/又は血液診断及び尿検査及び/又は尿診断等の生化学検査、並びに、病理検査及び/又は病理診断等の光学顕微鏡観察を用いる検査及び/又は診断において、試料又は検体を見落とすことなく、かつ、試料又は検体を重複することなく観察することができ、特に、病理検査及び/又は病理診断に従事する臨床検査技師、臨床検査専門医、病理専門医、病理医、細胞診専門医、及び、細胞検査士の労力を低減し、検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度を高めることが可能な光学顕微鏡用具、光学顕微鏡システム、これらを用いてもなお防ぐことが困難な見落としを排除する補完する技術、並びに、検査方法及び/又は診断方法を提供することを目的としている。
【0014】
より本質的には、検査及び/又は診断の労力、速度、及び、精度を高めることを阻害する大きな要因の一つが、光学顕微鏡観察の接眼レンズから視える円形の視野の中心部に注意が払われがちな人間の目の特性に基づく、試料又は検体の見落としであり、これを克服することが大きな課題である。そこで、本発明は、視野の周辺部には意識が向けられ難いという特性を利用し、人間工学に基づいた、光学顕微鏡用具であるプレパラート、スライドグラス、及び、カバーガラス等の光学顕微鏡用具を提供すると共に、手動式及び自動式光学顕微鏡システムを提供することを目的としている。更に、これらを用いてもなお防ぐことが困難な見落としを排除する補完技術、そして、これらを利用した検査方法及び/又は診断方法を提供することを目的としている。なお、既に記述したように、スライドグラス及びカバーグラスは、有機系素材のものも含む。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、人の生体より採集された細胞をスライドガラスに塗り、染色をした後、カバーグラスを覆って作製されたプレパラートを光学顕微鏡で観察し、異常な細胞が見つけ出すと共に、見つけ出された細胞から、患者の疾病を診断及び/又は判定する細胞検査及び/又は細胞診断に長年携わってきた豊富な経験をもとに深い思考を重ねた結果、光学顕微鏡の円形の観察視野の周辺部には意識が向けられにくいという人間の目の特性が、検査及び/又は診断の労力、速度、及び、精度を阻害している点に課題を見出し、この人間の目の特性を、光学顕微鏡観察に逆に活用することができないかと思考を巡らす中で、次のような実験を行った。すなわち、スライドグラスに人体の組織から得られた細胞を塗り、染色をした後、カバーグラスを覆い作製したプレパラートのスライドグラス又はカバーグラスに、光学顕微鏡の接眼レンズを通して視る円形の観察視野の上下周辺部の観察領域を省除することができる略平行な複数の線分を形成し、そのプレパラートを用いた光学顕微鏡観察である。その結果、観察視野の中央部の細胞に集中でき、検査及び/又は診断の労力が低減されるばかりか、検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度が高められると共に、観察視野の上下周辺部は、プレパラートを上記平行な複数の線分の直角方向に移動させると観察視野の中央部となるので、見落とす細胞がなく、安心して検査業務を行えることが分かった。その後、更に、新たな技術的思考を加え、実験及び改良を繰り返した結果、組織検査及び/又は組織診断並びに細胞検査及び/又は細胞診断の労力を低減できるばかりか、検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度を高めることができる光学顕微鏡用具及び光学顕微鏡システムを開発すると共に、これらを用いてもなお防ぐことが困難な見落としを排除する技術開発に成功し、本発明の完成に至った。そして、本発明は、花粉検査及び水質検査等には言うまでもなく、血液検査及び/又は血液診断並びに尿検査及び/又は尿診断等の検査及び/又は診断等の光学顕微鏡を用いる検査及び/又は診断をはじめ、あらゆる種類の形態学的検査及び/又は診断に幅広く活用される得る技術であることが認められた。
【0016】
すなわち、本発明のいずれもが、光学顕微鏡における労力を低減し、検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度を向上させ、心身の緊張を緩和するという共通の目的を達成する技術思想であり、一つには、光学顕微鏡観察のための光学顕微鏡用具に係る技術思想であり、一つには、光学顕微鏡システムに係る技術思想であり、一つには、これらを用いてもなお防ぐことが困難な見落としを排除する技術思想であり、そして、これらを活用した組織検査及び/又は組織診断並びに細胞検査及び/又は診断の方法に係る技術思想である。これらの為に、本発明者は、視野規制機能という技術的思想と視野誘導機能という技術的思想を創出した。すなわち本発明において、視野規制機能とは、プレパラート等(に載置された標本等)を光学顕微鏡で観察するにあたり、観察視野に入ってくるもののうち、当該視野のうち中心的部分と周辺的部分とで観察濃度が異なる(当該中心的部分に対する観察濃度が当該周辺的部分に対する観察濃度よりも濃い、すなわち観察精度が高い)という人間工学的要素、すなわち人間であるがゆえの限界としての特徴、を利用して、本願の目的上、かかる観察濃度が低くなる範囲である周辺的部分に当たる一定の範囲を(たとえ視野に入っていても)観察範囲から除く、いわば観察の信頼可能範囲を中心的部分に係る一定範囲に限るように規制することを可能にする機能をいうものと定義する。また、同様に本発明において、視野誘導機能とは、一定の視野に対して観察を行う人間の眼が観察対象から連綿と移行するときに自由視野に任せると視野欠損が生じやすいという人間工学的要素に鑑みて、いわば塗りつぶし的に観察するように視野を見落としや観察欠損がないように移動するように視野を誘導することを可能とする機能をいうものと定義する。
【0017】
本発明の一態様に係る光学顕微鏡用具は、視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する手段が、光学顕微鏡の接眼レンズを通して視る観察視野において、観察を実行すべき領域と観察を省除すべき領域とを識別できる線や図形等として形成されていることを特徴とするプレパラート、スライドグラス、及び、カバーグラス等の光学顕微鏡に付随する用具である。この線や図形等は、光学顕微鏡の円形の観察視野の周辺部には意識が向けられにくいという人間の目の特性に着目し、観察されるべき試料又は検体の領域が観察を実行すべき視野中央部に特定及び規制され、観察され難い試料又は検体の領域が観察を省除すべき視野周辺部に特定及び規制され、これらを識別して観察できるという人間工学に基づいた機能を有している。そして、この線や図形等は、光学顕微鏡の視野中央部の観察方向を逐次案内することができる視野誘導機能も兼備している。
【0018】
従来のスライドグラス、カバーグラス、及び、プレパラートにおいて、リングマーク及び角形枠等のパターン、並びに、リング番号及び枠番号等の文字は、試料又は検体の位置及び領域を指示する機能を有しているかもしれないが、これらのパターンや文字には、効率的な光学顕微鏡観察に最も大きな影響を及ぼす、光学顕微鏡の接眼レンズを通して視る観察視野において、どこの領域は観察を実行し、どこの領域は観察を省除するかを指示するものではなく、観察すべき領域を特定及び規制し、観察すべき領域を識別する視野規制機能を備えているものではない。また、観察すべき領域を逐次案内する視野誘導機能も備えていない。すなわち、従来技術には、本発明のように、スライドグラス、カバーグラス、及び、プレパラートの試料又は検体を載置する領域内に、観察されるべき試料又は検体の位置及び領域を指示する視野規制機能に加え、観察されるべき試料又は検体を逐次案内する視野誘導機能を兼備する手段を配備するという技術的思想は認められず、示唆もされていない。
【0019】
このように、本発明の一態様に係る光学顕微鏡用具は、従来の光学顕微鏡を用いた観察において、光学顕微鏡用具に配備される線や図形等が、視野規制機能と視野誘導機能とを発揮して観察すべき領域を観察者に識別させることによって、検査速度及び診断精度を高める効果を奏する。この目的に違いはないが、本発明の一態様に係る光学顕微鏡システムは、照明制御装置が導入された新たな光学顕微鏡を用い、その光学顕微鏡が生成する光学的濃淡に基づく境界によって視野規制機能と視野誘導機能とが果たされ、より一層効果的に観察すべき領域を観察者に識別させることができることに大きな特徴を有している。
【0020】
また、本発明の一態様に係る組織検査及び/又は組織診断並びに細胞検査及び/又は細胞診断の方法は、上記光学顕微鏡用具及び光学顕微鏡システムを活用して、光学顕微鏡観察における画像そのものを直接検査及び/又は診断するだけでなく、光学顕微鏡で検査及び/又は診断されるプレパラートを記録・蓄積された画像データを検査及び/又は診断するもので、時空間の制限なく、誰もが、いつでも、どこでも検査・診断できると共に、検査及び/又は診断の従事者がデータ及び検査及び/又は診断を協奏することができる。例えば、バーチャルスライドスキャナーを用いたデジタル画像化された病理標本(デジタル病理標本)を利用し、ICT(Information & Communication Technology)と組み合わせることにより、時空間の制限を受けることなくデジタル病理標本の画像を共有できるため、会議、病院・ 医療・研究施設間での画像データの授受・共有、及び、手術中の診断支援等を実現することができる。そして、このようにデジタル画像化された病理標本は、膨大なデータを蓄積することができるため、後述する物体検出アルゴリズムを用いた本発明の一態様に係る検査及び/又は診断方法の機械学習データに利用することができる。
【0021】
更に、本発明は、本発明の一態様に係る光学顕微鏡用具を用いた検査及び/又は診断並びに本発明の一態様に係る光学顕微鏡システムを用いた検査及び/又は診断においてもなお防ぐことが困難な見落としを排除する補完技術として、人工知能(Artificial Intelligence、AI)又は機械学習(Machine Learning、ML)を用いた物体検出技術及びカメラを用いた視線検出技術を検査及び/又は診断に適用したことに特徴がある。
【0022】
物体検出技術は、近年著しい進歩を遂げている畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network、CNN)に基づく物体検出アルゴリズムを用いる画像処理技術であることを特徴としている。機械学習による検査及び/又は診断は、機械学習に最終判断を任せるのではなく、病理検査及び/又は病理診断の従事者を少なくとも補助することによって、検査・診断の労力の低減、速度及び精度の向上に大きく貢献することができる。ここで重要な点は、このようなデジタル病理標本を用いる本発明は、視野規制機能と視野誘導機能を備えたデジタル病理標本を用いることもできるため、正答率が高く、本発明の一態様に係る光学顕微鏡を用いた目視による検査及び/又は診断においてもなお防ぐことが困難な見落としを排除することができる特徴を有しているということにある。
【0023】
物体検出技術を用いる検査及び/又は診断同様、本発明の一態様に係る視線検出技術を用いる検査及び/又は診断は、視線検出技術も画像処理技術という範疇に入るが、カメラのセンシングという全く異なる技術によりMLによる画像処理技術と同じ目的を達成することに特徴がある。そして、両者を併用すれば、観察者の見落としを略防止することが可能となる。すなわち、観察者の視線検出を行い、それを視野内の細胞及び/又は組織画像上にマッピング等の操作を行い、その範疇に属する画像処理と、本発明の一態様に係る視野規制及び視野誘導技術との併用によって、規制された視野内の細胞及び/又は組織の認識・評価していない領域が分析され、逆に言えば、規制された視野内の細胞及び/又は組織を認識・評価している領域が分析され、観察者の見落としを略防止することが可能となる。
【0024】
それでは、以下、上記本発明の詳細な技術内容について、順を追って詳細に説明する。
【0025】
本発明の一態様に係る光学顕微鏡用具は、観察対象である物体がスライドグラスとカバーグラスとの間に挟持されたプレパラートを光学顕微鏡に装着し、接眼レンズから物体面上の実視野を視た観察視野において、観察される物体が包含され観察が実行される第一の観察領域を、観察される物体が除外され観察が省除される第一の非観察領域と、観察される物体が除外され観察が省除される第二の非観察領域とによって、プレパラートの観察方向に対して垂直方向から挟持して形成し、第一の観察領域を識別する視野規制機能と、第一の観察領域を逐次プレパラートの観察方向に案内する視野誘導機能とを兼備する第一の手段が検知されるように、第一の手段が形成されていることを特徴とする光学顕微鏡用具である。
【0026】
特に、第一の観察領域を識別する視野規制機能と、第一の観察領域を逐次プレパラートの観察方向に案内する視野誘導機能とを兼備する第一の手段は、プレパラートの物体面上の直径が約1.0mm~約13.5mmの円形の実視野内に形成されていることが好ましい。接眼レンズを通して視る観察視野の円形の領域の大きさは、視野絞りの直径によって決まる接眼レンズに表示されている視野数(Field Number、FN)の大きさに依存するので、現状では20~27mmの視野数の物が使用されており、観察視野の大きさに何らかの支障があるわけではない。特に、組織検査・診断及び細胞検査・診断には、総合観察倍率が20~200倍で、倍率2~20倍の対物レンズが使用されるため、小さな視野数20の接眼レンズを使用して、倍率20倍の対物レンズを使用すると、プレパラートの物体面状の実視野が1.0mmの直径となり、これ以上狭い実視野になると、第一の観察領域に包含される試料又は検体が少なくなり過ぎ、検査・診断の効率が低下する。また、例えば、第一の手段が線や図形であれば、それらを描くことが容易ではなく特殊な方法を用いる必要がある。従って、第一の手段が実視野に形成される領域は、少なくとも約1.0mm以上の直径が好ましい。この直径は大きい程好ましく、2.5mm以上であることがより好ましく、5.0mm以上であることがより更に好ましい。上限値は、接眼レンズの最大視野数27mmとして、2倍の対物レンズを使用した場合の実視野の直径13.5mmであり、第一の観察領域に包含される試料又は検体の量及び第一の手段の描写を考慮した上限値の制限を特に設定する必要はない。
【0027】
次いで、光学顕微鏡用具に形成される第一の手段によって識別される観察領域と非観察領域の割合について説明するが、これは、円形の観察視野を有する光学顕微鏡の機械要素と視野の中央部に神経が集中する人間の特性との人間工学的な相互バランスを図る指標であり、本発明の技術思想の根幹をなす重要な意義を有している。従って、この指標の最適化が、検査・診断における見落としの根絶と共に、検査・診断の従事者の労力低減、速度及び精度向上によって、安心した快適な業務の遂行を実現することに他ならない。すなわち、本発明の一態様に係る第一の手段によって識別される、観察される物体が包含され観察が実行される第一の観察領域の面積(M1)と、観察される物体が除外され観察が省除される第一の非観察領域の面積(N1)と、観察される物体が除外され観察が省除される第二の非観察領域の面積(N2)との実測値の比が、接眼レンズを通して視る観察領域において、M1:N1:N2=約5:2.5:2.5~約9.5:0.25:0.25の範囲内にあることが、上記バランス上好ましい。更に、M1:N1:N2=約6:2:2~約9:0.5:0.5の範囲内にあることが非観察領域の明確な区別ができより好ましく、M1:N1:N2=約7:1.5:1.5~約9:0.5:0.5の範囲内にあることが人間の目の集中が及ぶ範囲の広い観察領域を確保できより更に好ましい。このような面積比とすることによって、接眼レンズを通して視る観察視野の中央部だけに人間の目が集中すると共に、観察視野の上下周辺部の観察を完全に無視することができ、試料又は検体の見落としに対する不安感が払拭される。しかしながら、試料又は検体の種別や状況等によっては、M1:N1:N2=約8:1:1~約9:0.5:0.5まで、第一の観察領域の面積(M1)を広くする方が好ましい場合もあり、適宜決定する事項ではある。
【0028】
ここで特に重要なことは、上述の観察視野の実測値の面積比が上記面積比の範囲内に入るように、隣接する第一の手段の間隔を設定して配備するということは、例えば、対物レンズの倍率が異なる観察を行う場合は、対物レンズの倍率に応じた隣接する第一の手段の間隔を設定、配備するということである。実視野における上記面積比が固定されていれば、対物レンズの倍率が異なっていても、観察視野における上記面積比は保持される。しかし、人間の目の特性に即した第一の観察視野に集中した観察を行うためには、観察視野における第一の観察視野の面積を適正化する必要がある。従って、対物レンズの倍率に応じた隣接する第一の手段の間隔を設定、配備するということである。より具体的には、倍率が大きい対物レンズを用いて観察する場合は、実視野における隣接する第一の手段の間隔を狭くし、観察視野における第一の観察領域の面積の実測値を小さくすることによって、上記面積比の範囲内に入るようにする必要がある。また、例えば、視野数が異なる接眼レンズを用いる観察においても同様に、視野数に応じた隣接する第一の手段の間隔を設定する必要がある。より具体的には、視野数の大きい接眼レンズを用いて観察する場合には、実視野における隣接する第一の手段の間隔を狭くし、観察視野における第一の観察領域の面積の実測値を小さくすることによって、上記面積比の範囲内に入るようにする必要がある。
【0029】
また、観察領域と非観察領域とを識別するための第一の手段は、少なくとも所定の長さ有するものであれば、直線、曲線、及び、図形等、特に限定されないが、端点が異なる重複点のない単一曲線の複数が集合した曲線群であることを特徴としており、端点が異なる重複点のない単一曲線は、少なくとも二本以上あればよい。
【0030】
ここで、端点が異なる重複点のない単一曲線の複数が交差することなく集合している曲線群を明確にする。一般的に、数学的な線は、点が平面上又は空間上を連続的に移動した軌跡であり、曲線と線とは同義であるが、狭義には、線を直線と曲線に分類し、直線ではない線を曲線と定義される場合もある。本発明では、曲線と線とは同義であり、曲線には直線が含まれるものとし、端点が異なる重複点のない単一曲線を、次のように定義する。すなわち、端点が異なる重複点のない単一曲線とは、閉区間a≦t≦bで定義された二つの連続関数f(t)、g(t)により,座標(x,y)がx=f(t)、y=g(t)で表される点の集合を、平面上の直線を含む連続曲線と定義し、その連続曲線の端点、すなわち、始点、終点と呼ばれる(f(a),g(a))、(f(b),g(b))が一致することなく、しかも、t≠tにおいて、f(t)=f(t)、g(t)=g(t)という重複点がない、線分を含む曲線のことである。ただし、点線、破線、一点鎖線、及び、二点鎖線等、並びに、二重線、及び、三重線等の場合、連続曲線から一部の点の集合を削除したものと考え、上記端点が異なる重複点のない単一曲線の範疇に入るものとする。
【0031】
このような曲線群は、交差することがない少なくとも2本以上の端点が異なる重複点のない単一曲線であれば限定されるものではなく、特別な場合として、交差することがない少なくとも2本以上の線分であってもよい。特に、太さ、長さ、及び、色等が略同一の実線の端点が異なる重複点のない単一曲線とすることが、視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する第一の手段として形成し配備することが容易であり好ましく、接眼レンズを通して視る観察視野内において、観察領域と非観察領域とが識別可能であるということ以外に、限定されるものではない。しかし、視認性という意味で、略平行な直線の集合であることが好ましい。
【0032】
そして、このような端点が異なる重複点のない単一曲線の複数が交差することなく集合している曲線群は、接眼レンズを通して視る観察視野において、スライドグラス、カバーグラス、及び、プレパラートの試料又は検体が載置される領域内で、試料又は検体と同じ視野に入り、二つの端点が異なる重複点のない単一曲線が形成する間隙が、観察する物体が包含され観察が実行される第一の観察領域として識別され、二つの端点が異なる重複点のない単一曲線の上下に、観察される物体が除外され観察が省除される第一の非観察領域と、観察される物体が除外され観察が省除される第二の非観察領域として識別される。すなわち、光学顕微鏡で観察すべき領域と観察すべきではない領域を指示する視野規制機能を果たす。それと同時に、端点が異なる重複点のない単一曲線は、点がスライドグラス、カバーグラス、及び、プレパラートの平面上を連続的に移動した軌跡であるため、その長さ方向への視野を誘導することができると共に、観察すべき領域が、端点が異なる重複点のない単一曲線で区切られているので、長さ方向と直角方向への視野誘導機能をも果たすことができる。
【0033】
従って、端点が異なる重複点のない単一曲線の複数が交差することなく集合している曲線群を、視野規制機能と視野誘導機能とを兼備した第一の手段として形成した光学顕微鏡用具を用いることによって、血液検査及び/又は血液診断や尿検査及び/又は尿診断等の生化学検査、並びに、病理検査及び/又は病理診断等の光学顕微鏡観察を用いる検査及び/又は診断において、試料又は検体を見落とすことなく、かつ、試料又は検体を重複することなく観察することができる。特に、患者の生命に係わる病理検査及び/又は病理診断に従事する臨床検査技師、臨床検査専門医、病理専門医、病理医、細胞診専門医、及び、細胞検査士の労力を低減し、検査速度及び/又は診断精度を高めることが可能となり、心身の疲労の低減、安心した業務の遂行に繋がることになる。
【0034】
なお、端点が異なる重複点のない単一曲線の本数及び線幅は、試料又は検体の種類及び状態によって、並びに、試料又は検体に応じた光学顕微鏡の倍率によって適宜決定することが好ましく、限定されるものではない。
【0035】
しかしながら、特に、組織検査及び/又は組織診断及び細胞検査及び/又は細胞診断において、視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する単一曲線の幅は、試料又は検体との重なりによる見落としを削減するためには、可能な限り細い程よいが、識別するための視認性という観点から、20倍~200倍の総合観察倍率における観察では、約0.5μm以上の幅が必要である。しかし、実際の検査・診断において、後述するように、例えば、ペン先が約0.5mmのボールペン等の筆記用具を用い、手書きで形成された単一曲線でも機能を果たすことができるので、線幅の選択の幅は広い。しかし、視野規制機能及び視野誘導機能を果たす第一の手段としては、光学顕微鏡観察で視認可能であれば、可能な限り細い程好ましい。これを実現できるのが、後述する本発明の光学的濃淡に基づく境界である。
【0036】
更に、本発明の一態様に係る光学顕微鏡用具に形成される視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する第一の手段は、種類、太さ、長さ、及び、色のいずれか一つ以上が異なり、端点の異なる重複点のない単一曲線の複数が交差することなく集合している曲線群であることがより好ましい。ここで、種類とは、実線、点線、破線、一点鎖線、二点鎖線、二重線、三重線等のことを意味し、また、太さとは、各種単一曲線の全幅のことを意味する。
【0037】
このように、視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する第一の手段を構成する端点の異なる重複点のない単一曲線の、種類、太さ、長さ、及び、色等の少なくとも一つ以上を区別することによって、試料又は検体の観察領域と非観察領域を識別する視野規制機能を向上させることができると共に、端点の異なる重複点のない単一曲線の長さ方向と直角方向に視野を案内する視野誘導機能が大幅に向上する。
【0038】
なお、種類、太さ、長さ、及び、色が異なり、端点が異なる重複点のない単一曲線の本数及び線幅等も、試料又は検体の種類及び状態によって、並びに、試料又は検体に応じた光学顕微鏡の倍率によって適宜決定することが好ましく、限定されるものではない。しかし、組織検査及び/又は組織診断並びに細胞検査及び/又は細胞診断においては、第0035段落に記載したことと全く同様の留意が必要である。
【0039】
視野規制機能及び視野誘導機能を具備する手段は、第一の手段のような単一曲線以外に、
第一の手段とは独立して視野規制機能と視野誘導機能を兼備する第一の符号が、図形及び/又は文字として、第一の観察領域近辺に付設されていることが好ましい。このような第一の符号は、種類、太さ、長さ、及び、色が異なる単一曲線の形成よりも、第一の手段の視野規制機能及び視野誘導機能を高め、明確にする効果が大きい。図形及び文字は、図形単独、文字単独、及び、これらの組合せによって、第一の手段の視野規制機能及び視野誘導機能を高めることができるものであれば、特に限定されるものではない。ただし、試料又は検体の観察の障害とならないように、第一の観察領域外の第一の観察領域近辺に形成することが好ましい。
【0040】
このように、第一の観察領域を識別する視野規制機能と、第一の観察領域を逐次プレパラートの観察方向に案内する視野誘導機能とを兼備する第一の手段が形成される光学顕微鏡用具は、プレパラート添付することができる第一の手段及び第一の符号を形成した透明フィルム、プレパラートを収納又は保持することができ、第一の手段及び第一の符号を備えた成形体、及び、光学顕微鏡の照明光学系等に挿入する第一の手段及び第一の符号を形成した透明シート等が考えられるが、簡便性、経済性、正確性、及び、作業性等の観点から、プレパラートに形成することが好ましい。プレパラートを構成するスライドグラス又はカバーグラスのいずれであってもよい。また、第一の手段及び第一の符号が形成される場所は、スライドグラス又はカバーグラスの表裏及び内部であってもよいが、スライドグラスの表裏又はカバーグラスの表裏のいずれかであることが、第一の手段及び第一の符号を形成及び消去する上で好ましい。また、第一の手段及び第一の符号を形成する光学顕微鏡用具は、スライドグラス又はカバーグラスのいずれか一方に限定されてもよい。プレパラート同様、形成される場所は、表裏であることが好ましい。
【0041】
スライドグラス及びカバーグラスの表裏のいずれかに視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する第一の手段及び第一の符号を形成する方法は、ガラスに印刷又は加工可能な方法であれば特に限定されず、マスキングしたスライドグラス及びカバーグラスのフッ化水素酸やフッ化水素アンモニウム等によるエッチング、マスキングしたスライドグラス及びカバーグラスのサンドブラスト加工やフロスト加工、スライドグラス表面及びカバーグラス表面のアルカリイオンとインクの銀イオンを置換させ着色するシルバーステイン印刷、UV硬化型インク印刷、インクジェット印刷、及び、スタンプ印刷等を適用することが可能である。
【0042】
一方、プレパラートが作製された後、視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する第一の手段及び第一の符号をプレパラートのスライドガラス又はカバーガラスの空気面側に形成する方法は、インクジェット印刷、X-Yプロッタ、及び、スタンプ印刷等が好ましく、そのインクは、試料又は検体を変質させることがない油性又は水性インクが適している。特に、スタンプ印刷が簡便で好ましく、手書きでも構わない。
【0043】
書き換え可能な印刷又は印字方法を採用することもできる。書き換え可能な第一の手段及び第一の符号によれば、試料又は検体と第一の手段及び第一の符号とが同一の視野の中で重なる不適切な位置にあり、観察が困難な場合、また、倍率の変更に伴う不適切な大きさの第一の手段及び第一の符号となり、観察が困難な場合等、第一の手段及び第一の符号を消去して、適正な位置及び大きさの第一の手段と第一の符号を形成し、試料又は検体の観察が行うことができ、検査精度及び/又は診断精度を高めることができる上、第一の手段と第一の符号を書き換えることによって、試料又は検体の観察した領域を特定し記録することが可能となる。 書き換え可能な印字又は印刷方法は、特に限定されないが、インクジェット印刷、X-Yプロッタ、及び、スタンプ印刷が好ましく、そのインクは、試料又は検体を変質させることがない油性又は水性インクが適しているが、特に、スタンプ印刷が簡便でより好ましい。書き換え可能な印字又は印刷方法で第一の手段及び第一の符号を形成する場合は、プレパラートの最外面のいずれか一方に形成することが、書き換え操作上好ましい。
【0044】
更に検査精度及び/又は診断精度を向上させるため、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する第二の手段を、第一の手段に直交するように形成することが好ましい。詳しく説明すると、この第二の手段を形成した本発明の一態様に係る光学顕微鏡用具は、観察対象である物体がスライドグラスとカバーグラスとの間に挟持されたプレパラートを光学顕微鏡に装着し、接眼レンズから物体面上の実視野を視た観察視野において、観察される物体が除外され観察が省除される第一の非観察領域と、観察される物体が除外され観察が省除される第二の非観察領域とによって、プレパラートの観察方向に対して垂直方向から挟持して形成された、観察される物体が包含され観察が実行される第一の観察領域に対し、第一の観察領域内の観察される物体が除外され観察が省除される第三の非観察領域と、第一の観察領域内の観察される物体が除外され観察が省除される第四の非観察領域とで、プレパラートの観察方向に対して平行方向から更に挟持して、観察される物体が包含され観察が実行される第二の観察領域が、第一の観察領域内に形成され、第二の観察領域を識別する視野規制機能と、第二の観察領域を逐次前記プレパラートの観察方向に案内する視野誘導機能とを兼備する第二の手段が検知されるように、更に形成されていることを特徴とする光学顕微鏡用具である。
【0045】
このように、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する第一の手段及び第二の手段によって識別され、観察を実行する領域が、観察を省除する領域で包囲された、観察される物体が包含され観察が実行される第二の観察領域は、第一の観察領域よりも、光学顕微鏡の円形の観察視野の周辺部には意識が向けられにくいという人間の目の特性に即しており、光学顕微鏡のステージを移動させながら、血液検査及び/又は血液診断や尿検査及び/又は尿診断等の生化学検査、並びに、病理検査及び/又は病理診断等の検査及び/又は診断において、一層、試料又は検体を見落とすことなく、かつ、試料又は検体を重複することなく観察することができる。その結果、特に、患者の生命に係わる病理検査・病理診断に従事する臨床検査技師、臨床検査専門医、病理専門医、病理医、及び、細胞診専門医の労力を低減し、検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度を高めることができ、一層、心身の疲労の低減、安心した業務の遂行に繋がることになる。
【0046】
特に、接眼レンズを通して視る観察視野において、第二の観察領域の面積(M2)の実測値が、第一の観察領域の面積(M1)の実測値の約95~60%の範囲内であることが、人間の目の特性に相応しく好ましいが、同じ理由により約90~65%の範囲内であることがより好ましい。この面積についても、第0027段落及び第0028段落で説明したように、接眼レンズを通して視る観察視野における実測面積に関する限定であり、観察視野の大きさに応じ、人間の目の特性に即した適正な範囲とする必要がある。
【0047】
このような第二の観察領域を識別する第二の手段は、第一の観察領域を識別する第一の手段と同様、第二の手段が、端点が異なる重複点のない複数の単一曲線あることが好ましく、その結果として、第二の観察領域が略格子状となるように形成されていることがより好ましい。
【0048】
この第二の手段の複数の単一曲線も、第一の手段同様、種類、太さ、長さ、及び、色のいずれか一つ以上が異なることが視野規制機能及び視野誘導機能を向上させる上で好ましい態様である。
【0049】
また、第一の手段と前記第二の手段とは独立して視野規制機能と視野誘導機能を兼備する第二の符号が、図形及び/又は文字であって、第二の観察領域近辺に付設されていることも、単一曲線の種類、太さ、長さ、及び、色を変化させる以上に、視野規制機能及び視野誘導機能を向上させる効果が高く好ましい態様である。
【0050】
そして、このような第二の手段及び第二の符号も、観察の弊害になる場合や試料又は検体を特定し記録する場合に、書き換え可能であることが好ましい。特に、書き換え可能の場合には、光学顕微鏡用具としてプレパラートを用い、その最外面に印字又は印刷することが、第二の手段及び第二の符号を形成及び消去する上で好ましい。既に説明したように、書き換え可能な印刷方法としては、スタンプ印刷が簡便で、形成及び消去する上で好ましい。
【0051】
光学顕微鏡用具は、特に限定されるものではないが、簡便性、経済性、正確性、及び、作業性等の観点から、プレパラート、スライドグラス、及び、カバーグラスであることが好ましい。
【0052】
このように、第二の手段及び第二の符号は、第一の手段と第一の符号と共通しているため、説明を省略したが、第一の手段及び第一の符号の説明に従った態様とすることができる。
【0053】
以上の説明から分かるように、観察を実行する観察領域と観察を省除する非観察領域とを識別し、光学顕微鏡の円形の観察視野の中心部に対して注意が払われがちな人間の目の特性のバランスを図った人間工学に基づいた、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段を形成した本発明の一態様に係る光学顕微鏡用具、特に、プレパラート、スライドグラス、及び、カバーグラスを用いた光学顕微鏡を用いた検査及び/又は診断は、花粉検査及び水質検査等や、血液検査及び/又は血液診断並びに尿検査及び/又は尿診断等の生化学検査等に幅広く活用される得る技術であることを確認しているが、特に、組織検査及び/又は組織診断、並びに、細胞検査及び/又は細胞診断に適している。これは、病理検査及び/又は病理診断では、数少ない異常な組織又は細胞も見落とすことができず、見落としが、患者の生命に係わる重大な誤診となることと密接な関係にある。従って、本発明の一態様に係る光学顕微鏡用具を用いた光学顕微鏡を用いた組織検査及び/又は組織診断、並びに、細胞検査及び/又は細胞診断は、これらに従事する臨床検査技師、臨床検査専門医、病理専門医、病理医、細胞診専門医、及び、細胞検査士の労力を低減し、検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度を高めることができるだけでなく、心身の疲労からの開放や安心した業務の遂行等の効果を奏する。すなわち、本発明は、観察を実行する観察領域と観察を省除する非観察領域とを識別する視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段を形成した光学顕微鏡用具を用いる組織検査及び/又は組織診断の方法、並びに、細胞検査及び/又は細胞診断の方法を提供するものである。
【0054】
また、このような病理検査及び/又は病理診断において使用する病理標本は、プレパラートを保管する方法の時空間的限界及び機密保持等の観点から、デジタル画像化された病理標本(デジタル病理標本)として保管し蓄積することが進められている。このデジタル病理標本の画像は、デジタル病理標本データが保管されるハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステイトドライブ(SDD)等とモニターと接続されたコンピュータによってモニター画面上に映写し、デジタル画像閲覧ソフトウェアを用いて、デジタル病理標本の画像を、視野や倍率等を自由自在に調節して視ることができる。そして、ICTと組み合わせることにより、この画像は、時空間の制限なく、会議、病院・ 医療・研究施設間での画像データの授受・共有、及び、手術中の診断支援等を実現することもできるため、その利用が活発化している。例えば、デジタル病理標本を作製するスキャナーとして、バーチャルスライドスキャナーというプレパラートのデジタル画像化に適したデジタルスライドスキャナーが、ライカ株式会社、浜松ホトニクス株式会社、及び、パスイメージング株式会社から製造販売している。
【0055】
しかしながら、モニター画面上に映写されたデジタル病理標本の画像を視て検査・診断するためには、光学顕微鏡の観察視野を視て検査・診断する場合と全く同じ課題が内在している。そこで、本発明は、この課題を二つの方法で解決している。第一に、モニター画面上に視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する手段をプレパラートのデジタル画像とオーバーラップさせる方法である。第二に、上記本発明の一態様に係る視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する第一の手段又は第二の手段が形成されている光学顕微鏡用品であるプレパラート、スライドグラス、及び、カバーグラスを用いて作製した組織検査及び/又は組織診断並びに細胞検査及び/又は細胞診断のための病理標本を用いて作製したデジタル画像、すなわち、視野規制機能と視野誘導機能とを備えたデジタル病理標本を用いる方法である。このような病理検査及び/又は病理診断により、デジタル病理標本の特徴である情報共有化に加え、各所の検査・診断従事者が、協奏して、見落としなく、労力の低減、検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度の向上が図れると共に、安心して検査及び/又は診断を行うことができる。
【0056】
第一の方法は、プレパラートから作製されるデジタル画像データがパーソナルコンピュータを介してモニターに映写される画像に、その画像の観察される物体が包含され観察が実行される第一の画像観察領域を、その画像の観察される物体が除外され観察が省除される第一の画像非観察領域と、その画像の観察される物体が除外され観察が省除される第二の画像非観察領域とによって、プレパラートの画像観察方向に対して垂直方向から挟持して形成し、第一の画像観察領域を識別する視野規制機能と、第一の画像観察領域を逐次プレパラートの画像観察方向に案内する視野誘導機能とを兼備する第一の画像手段が、パーソナルコンピュータによって重ねて映写される第一の重複画像を用いて行うことを特徴とする組織検査及び/又は組織診断である。このように、デジタル画像データをモニターに映写して組織検査及び/又は組織診断を行う場合は、倍率が無段階であるため、モニター画面上で、検体の大きさ及び種類に応じて倍率を決定し、観察が実行される第一の画像観察領域、観察が省除される第一の画像非観察領域、及び、観察が省除される第二の画像非観察領域を適切な大きさ及び形状に識別できるように、視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する第一の画像手段を形成することができる。従って、第一の画像手段が、人間の目の特性に最適な、優れた視野規制機能を発揮すると共に、効果的な視野誘導機能も発揮することができる。
【0057】
この方法においても、第0039段落及び第0049段落で説明したように、第一の画像手段とは独立した視野規制機能及び視野誘導機能を兼備する第一の画像符号が、図形及び/又は文字であって、パーソナルコンピュータによって、第一の画像観察領域近辺に画像として更に重ねて映写される第二の重複画像を用いて行うことにより、更に視野規制機能及び視野誘導機能を高めることができる。
【0058】
このような第一の重複画像又は第二の重複画像を用いれば、組織検査及び/又は組織診断同様、細胞検査及び/又は細胞診断を効果的に行うことができる。
【0059】
また、第0029段落~第0038段落で説明したように、第一の画像手段が、単一曲線であることが好ましい上、デジタル画像データをモニターに映写して組織検査及び/又は組織診断並びに細胞検査及び/又は細胞診断を行う場合は、倍率が無段階であり、パーソナルコンピュータで制御されるので、第一の画像手段により多彩な視野規制機能と視野誘導機能を付与することが可能である。
【0060】
更に、パーソナルコンピュータによれば、第一の画像手段を、試料又は検体と重なることがない、線幅がない光学的濃淡に基づく境界で形成できる優位な点もあり、より検査精度及び/又は診断精度が高い組織検査及び/又は組織診断並びに細胞検査及び/又は細胞診断を実施することができる。
【0061】
そして、第0044段落同様、人間の目の特性により即した観察領域を形成し、検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度を高めることができる。すなわち、これは、観察される物体が包含され観察が実行される第二の画像観察領域を、第一の画像観察領域内の観察される物体が除外され観察が省除される第三の画像非観察領域と、第一の画像観察領域内の観察される物体が除外され観察が省除される第四の画像非観察領域とによって、プレパラートの画像観察方向に対して平行方向から更に挟持して形成し、第二の画像観察領域を識別する視野規制機能と、第二の画像観察領域を逐次プレパラートの画像観察方向に案内する視野誘導機能とを兼備する第二の画像手段が、パーソナルコンピュータによって重ねて映写される第三の重複画像を用いて、組織検査及び/又は組織診断並びに細胞検査及び/又は細胞診断を行うことによって達成される。
【0062】
第0057段落同様、第一の画像手段と第二の画像手段とは独立した視野規制機能及び視野誘導機能を兼備する第二の画像符号が、図形及び/又は文字であって、パーソナルコンピュータによって、第二の画像観察領域近辺に画像として更に重ねて映写される第四の重複画像を用いて行えば、より視野規制機能及び視野誘導機能が高められた組織検査及び/又は組織診断並びに細胞検査及び/又は細胞診断が行える。
【0063】
ここでも、第0059段落及び第0060段落で説明したように、第一の画像手段及び第二の画像手段は、単一曲線であることが好ましく、光学的濃淡に基づく境界であることが、組織検査及び/又は組織診断並びに細胞検査及び/又は細胞診断を行う上でより好ましい。
【0064】
一方、第二の方法は、既に説明したように、観察を実行すべき観察量領域と観察を省除すべき非観察領域を識別する視野規制機能と視野誘導機能とを兼備した第一の手段、第二の手段、第一の符号、第二の符号を配備したプレパラートから作製されるデジタル画像データを用いることを特徴とする組織検査及び/又は組織診断並びに細胞検査及び/又は細胞診断を行う方法である。第一の方法のような視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する手段の自由度はないが、パーソナルコンピュータによって視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する手段を形成する必要がない。
【0065】
このようにデジタル画像化された病理標本は、膨大なデータを蓄積することができるため、本発明の一態様に係る光学顕微鏡を用いた目視による検査及び/又は診断においてもなお防ぐことが困難な見落としを排除し、目視による検査及び/又は診断を補完する検査及び/又は診断方法として活用することが可能である。すなわち、デジタル画像化された膨大な病理標本を機械学習データとして、CNNに基づく物体検出アルゴリズムを用いる画像処理によって、検出対象物体を同定するのである。
【0066】
これは、深層学習(Deep Learning、DL)という、生物の脳の神経細胞(ニューロン)をモデルとしたNN(Neural Network)の階層を深めたアルゴリズムを用いて、様々なデータを解析して、情報及び知識として出力するAIと一般的に称される技術を適用するものである。現時点では、AIは、MLの範疇のDLを駆使した、人間の知的能力又はそれ以上の能力をコンピュータに実行させようとする技術で、近年の急速な発展により優れたMLアルゴリズムが開発され、あらゆる産業に利用されつつある。特に、デジタル病理標本のような画像処理分野で実績があるMLアルゴリズムは、CNNで、隠れ層が畳み込み層とプーリング層で構成されているものである(例えば、非特許文献6)。
【0067】
これまでに、検出対象物体画像の分類及び位置の特定を高速かつ正確に行うことができる画像処理アルゴリズムの検討が、CNNを利用して遂行された結果、物体画像の分類及び位置の特定を実行できるR-CNN(Region-based Convolutional Neural Network)という優れた能力を備えた物体検出アルゴリズムが開発された。このR-CNNは、画像の中の検出物体画像の領域候補を抽出するネットワークと、領域候補の検出物体画像を識別するCNNを基礎とするネットワークとが直列に実行される二段階(Two-Stage)法の物体検出アルゴリズムであり、物体画像の分類及び位置を特定する物体画像の検出精度が大幅に向上した。そのため、R-CNNに基づいて、より高速でより正確に物体画像の検出を目的とした物体検出アルゴリズム、例えば、Faster R-CNN、Mask R-CNN、及び、R-FCN(Region-based Fully Convolutional Network)、及び、SPP-net(Spatial Pyramid Pooling-Network)等が続々と開発された(例えば、非特許文献7)。比較的精度の高いものであるが、高速性という点に難がある。
【0068】
この高速性を改善する物体検出アルゴリズムとして開発されたアルゴリズムは、領域候補の抽出とその識別とをCNNを含む一つのネットワークでDLを行う一段階(One-Stage)法の物体検出アルゴリズムである。例えば、Оverfeat、DPM(Deformable Parts Model)、SSD(Single Shot MultiBox Detector)、DSSD(Deconvolutional Single Shot Detector)、ESSD(Extend the shallow part of Single Shot MultiBox Detector)、RefineDet(Single-Shot Refinement Neural Network for Object Detection)、RetinaNet、M2Det、YOLO、及び、EfficientDet等を挙げることができる(例えば、非特許文献7)。特に、一段階法の物体検出アルゴリズムの進化は著しく、YOLOをはじめとして、これらの名称にバージョン等を付設し、改良されたアルゴリズムとして数多くのものが輩出されている。
【0069】
二段階法及び一段階法のいずれの場合も、物体画像の識別を行うCNNを基礎としたネットワークである物体分類アルゴリズムを構成要素(バックボーン)として内蔵しており、このネットワークで膨大な学習画像データを用いて転移学習された結果から学習モデルを生成する。この学習モデルと検出対象物体画像データとから、検出対象物体画像の分類及び位置を特定する。このようなバックボーンとしては、例えば、AlexNet、GPipe(Giant Neural Networks using Pipeline Parallelism)、Inception、SEB(Squeeze-and-Excitation Block)-Inception、Xeption、DenseNet(Densely Connected Convolutional Network)、ResNet(Residual Network)、SEB-ResNet、Inception-ResNet、SEB-Inception-ResNet、ResNeXt、NASNet(Neural Architecture Search Network)、VGG(Visual Geometry Group)、SEB-VGG、MobileNet、MnasNet、AmoebaNet、CSPNet(Cross Stage Partial Network)、CBNet(Composite Backbone Network)、Darknet、及び、EfficientNet等を挙げることができる。この物体分類アルゴリズムも、物体検出アルゴリズム同様、これらの名称にバージョン等を付設し、改良されたアルゴリズムとして数多くのものが輩出されている。
【0070】
本発明の一態様に係る視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する第一の手段又は第二の手段が形成されている光学顕微鏡用品であるプレパラート、スライドグラス、及び、カバーグラスを用いて、組織検査及び/又は組織診断並びに細胞検査及び/又は細胞診断のための病理標本をデジタル画像化して作製した膨大なデジタル病理標本は、上記二段階法又は一段階法の物体検出アルゴリズムを用いる組織検査及び/又は組織診断並びに細胞検査及び/又は細胞診断を行うための好適な学習画像データとなり、DLによる物体検出が行える。すなわち、物体検出アルゴリズムのバックボーンである物体分類アルゴリズムに、既に検査及び/又は診断された膨大なデジタル病理標本を投入し、異常又は正常な組織及び細胞の学習画像モデルを生成し、その学習モデルと検査及び/又は診断対象であるデジタル病理標本とから異常組織又は異常細胞の分類や位置を予測し、検査及び/又は診断できるのである。
【0071】
ここで重要なことは、学習画像モデルを生成するための学習画像データは、基本的に、データの種類及び量が多ければ多い程、その精度は向上するが、無用なデータや誤ったデータ等が混在している場合等、データの質が悪い場合には、全く成果を上げることはできないことである(非特許文献6)。
【0072】
しかし、本発明の一態様に係る視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する第一の手段又は第二の手段が形成されている光学顕微鏡用品であるプレパラート、スライドグラス、及び、カバーグラスを用いて作製した組織検査及び/又は組織診断並びに細胞検査及び/又は細胞診断のための病理標本を用いて作製した膨大なデジタル病理標本は、明確に観察を実行する観察領域と観察を省除する非観察領域が識別されているため、極めて質の高い画像データを用いることができる。しかも、検査及び/又は診断対象であるデジタル病理標本にも、観察領域と非観察領域が識別されている。従って、本発明の一態様に係る視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する第一の手段又は第二の手段が形成されている光学顕微鏡用品であるプレパラート、スライドグラス、及び、カバーグラスを用いて作製したデジタル病理標本を用いた、CNNに基づく物体検出アルゴリズムで処理すること特徴とする組織検査及び/又は組織診断並びに細胞検査及び/又は細胞診断は、精度の高いものとなる。ただし、このMLによる検査及び/又は診断は、その検査及び/又は診断に最終判断を任せるのではなく、病理検査及び/又は病理診断の従事者を少なくとも補助することによって、検査及び/又は診断の労力の低減、検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度の向上に大きく貢献することができる。しかも、このような物体検出アルゴリズムを用いた画像処理技術による検査及び/又は診断は、本発明の一態様に係る光学顕微鏡を用いた目視による検査及び/又は診断においてもなお防ぐことが困難な見落としを排除することができるという重要な役割を果たし、本発明の一態様に係る目視による検査及び/又は診断を補完するという重要な意義を有している。
【0073】
さて、第0027段落では、本発明の一態様に係る光学顕微鏡用具は、人間の目の特性に即して、光学顕微鏡の円形の観察視野の中央部に観察が実行される第一の観察領域を形成し、光学顕微鏡の円形の観察視野の上下周辺部に観察が省除される第一の非観察領域及び第二の非観察領域を形成するように検知される、視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する第一の手段として、端点が異なる重複点のない単一曲線の複数が交差することなく集合している曲線群が好ましい一態様であることを限定して主張した。しかし、第0035段落に記したように、この単一曲線の幅は、試料又は検体との重なりによる見落としを削減するためには、可能な限り細い程好ましい。そこで、種々検討した結果、このような第一の手段を光学的濃淡に基づく境界で検知できる光学顕微鏡システムを見出した。
【0074】
すなわち、観察が実行される第一の観察領域を形成し、観察が省除される第一の非観察領域及び第二の非観察領域を形成するように検知される、視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する第一の手段として、光学的濃淡に基づく境界を用いる本発明の一態様に係る第一の光学顕微鏡システムは、観察対象である物体がスライドグラスとカバーグラスとの間に挟持されたプレパラートを光学顕微鏡に装着し、接眼レンズから物体面上の実視野を視た観察視野において、観察される物体が包含され観察が実行される第三の観察領域を、観察される物体が除外され観察が省除される第五の非観察領域と、観察される物体が除外され観察が省除される第六の非観察領域とによって、プレパラートの観察方向に対して垂直方向から挟持して形成し、第三の観察領域を識別する視野規制機能と、第三の観察領域を逐次前記プレパラートの観察方向に案内する視野誘導機能とを兼備する第三の手段が、第三の観察領域を明部とし、第五の非観察領域と第六の非観察領域を暗部として形成される光学的濃淡に基づく境界として検知されるように、照明制御装置が備えられていることを特徴とする光学顕微鏡システムである。
【0075】
更に、観察が実行される第一の観察領域を形成し、観察が省除される第一の非観察領域及び第二の非観察領域を形成するように検知される、視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する第一の手段として、光学的濃淡に基づく境界を用いる本発明の第一の光学顕微鏡システムに加え、観察が実行される第二の観察領域を形成し、観察が省一態様に係る除される第三の非観察領域及び第四の非観察領域を形成するように検知される、視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する第二の手段として、光学的濃淡に基づく境界を用いる本発明の一態様に係る第二の光学顕微鏡システムは、観察される物体が包含され観察が実行される第四の観察領域を、第三の観察領域内の観察される物体が除外され観察が省除される第七の非観察領域と、第三の観察領域内の観察される物体が除外され観察が省除される第八の非観察領域とで、プレパラートの観察方向に対して平行方向から更に挟持して形成し、第四の観察領域を識別する視野規制機能と、第四の観察領域を逐次前記プレパラートの観察方向に案内する視野誘導機能とを兼備する第四の手段が、第四の観察領域を明部とし、第七の非観察領域と第八の非観察領域を暗部として形成される光学的濃淡に基づく境界として検知されるように、
照明制御装置が備えられていることを特徴とする光学顕微鏡システムである。
【0076】
特に、上記第一及び第二の光学顕微鏡システムの光学的濃淡に基づく境界が、直径が約1.0mm~約13.5mmの実視野内に形成されていることが好ましい。これは、第0026段落に記載した第一の手段の描写上の問題ではなく、第三及び第四の観察領域に包含される試料又は検体の量の問題が主たる要因である。
【0077】
上記第一の光学顕微鏡システムにおいては、第三の観察領域の面積(M3)と、第五の非観察領域の面積(N5)と、第六の非観察領域の面積(N6)との面積比が、M3:N5:N6=約5:2.5:2.5~約9.5:0.25:0.25の範囲内であることが好ましく、M3:N5:N6=約6:2:2~約9:0.5:0.5の範囲内であることがより好ましく、M3:N5:N6=約7:1.5:1.5~約9:0.5:0.5の範囲内であることがより更に好ましいが、試料又は検体の種別や状態などに応じて適宜決定する事項ではある。この範囲については、第0027段落に記載された説明と同様であるため説明を省略する。また、上記第二の光学顕微鏡システムにおいては、第四の観察領域の面積(M4)が、第三の観察領域の面積(M3)の約95~60%の範囲内であることが好ましい。これも、第0046段落に記載したように、人間の目の特性により即した観察領域を視野中央部で検知されることがその理由である。
【0078】
このような観察が実行される観察領域と観察が省除される非観察領域とを識別し、試料又は検体とのオーバーラップがない光学的濃淡に基づく境界を形成する方法は、光学顕微鏡の照明光学系に設置される照明制御装置であり、光学フィルター又は光学スリットが好ましく用いられる。特に、可変式光学フィルター又は可変式光学スリットである方が、観察が実行される観察領域と観察が省除される非観察領域の面積を制御することができるのでより好ましい。
【0079】
更に、このような光学フィルター又は光学スリットが接眼レンズと対物レンズを含む、接眼レンズから対物レンズの間に介設されていることが、光学的濃淡を明確に形成するために好ましい設置場所である。
【0080】
ただし、第一及び第二の光学顕微鏡システムを用いて効率的に観察するためには、ステージを手動で走査することによって、光学的濃淡に基づく境界がプレパラートの適正な位置に形成されると共に、試料又は検体と重なることがないように、試料又は検体が載置されていない領域に、視野誘導機能とを兼備する第五の手段が配備されていることが好ましい。特に、この手段としては、試料又は検体が載置される領域外に配備されている視野誘導機能を具備する線や矢印等の図形であり、観察すべき全ての観察通路に相当する間隔のプレパラート長辺方向の略同一直線上の両端付近、及び、プレパラート長辺方向と直行する観察通路に相当する間隔のプレパラート短辺方向の略同一直線状の両端付近にあることが好ましい。そして、この視野誘導機能を具備する手段のプレパラート長辺及び短辺方向の間隔は、光学的濃淡の幅と同等、又は、その幅より狭いことが、見落としを防止する上で好ましい。
【0081】
このような光学顕微鏡のステージを手動で移動させ、プレパラートを適正な位置に光学的濃淡に基づく境界を形成するためのプレパラートを移動させる視野誘導機能を具備する手段として、光学的濃淡に基づく境界に対応した第五の手段を配備した光学顕微鏡用具を用いることが、精度が高く、効率的な光学顕微鏡観察を行うために必要であり、この光学的濃淡に基づく境界をプレパラートの適正な位置に誘導する方法としては、光学顕微鏡の部品、例えば、ステージ等に配備することもできるが、多種多様なプレパラートに対応することが困難であるため、光学顕微鏡用具の方に配備することが好ましい。また、この第五の手段は、光学顕微鏡に予め装着される光学フィルター又は光学スリットによって決定されるが、可変式光学フィルター又は可変式光学スリットを用いれば、第五の手段によって、光学フィルター又は光学スリットを制御すればよい。
【0082】
第0040段落に記載したように、上記第五の手段も、様々な光学顕微鏡用具に形成することが可能であるが、第0040段落と同様の理由から、光学顕微鏡用具がプレパラート、スライドグラス、及び、カバーグラスのいずれかであることが好ましい。詳細については、第0040段落に記載したので、ここでは省略する。
【0083】
このような第一及び第二の光学顕微鏡システムを用いた検査及び/又は診断は、第0053段落に記載したように、病理検査及び/又は病理診断の中心的位置づけにある、組織検査及び/又は組織診断並びに細胞検査及び/又は組織診断のように、見落としが重大な誤診に直結する検査及び/又は診断に適している。従って、本発明は、第一及び第二の光学顕微鏡システムを用いる組織検査及び/又は組織診断並びに細胞検査及び/又は細胞診断の方法を提供するものである。
【0084】
第一及び第二の光学顕微鏡システムは、手動式であったが、観察が実行される観察領域と観察が省除される非観察領域とが、光学的濃淡に基づく境界で識別される光学顕微鏡システムは、自動式光学顕微鏡システムに応用することができる。
【0085】
すなわち、本発明の一態様に係る第三の光学顕微鏡システムは、光学顕微鏡全体を支える鏡台(ベース部)と光学系各部を支える鏡柱(アーム部)とから成る鏡基(スタンド)と、プレパラートを保持し手動で移動させることができるステージ(標本台)と、プレパラートに焦点を合わせる焦準装置(フォーカシング装置)と、回転交換可能に倍率や種類の異なる対物レンズが取り付けられる回転交換するレボルバと、上端部には接眼レンズが取り付けられ、下端部には前記レボルバが取り付けられる前記鏡柱の上端部に取り付けられる鏡筒(チューブ)と、プレパラートを照明する光源と、照明を最適化する照明光学装置と、接眼レンズの光路と異なる光路上に備えられた撮像装置と、撮像装置と電気的に接続された照明制御装置と、撮像装置と電気的に接続されたステージ制御装置とを備え、照明制御装置により照明される領域の調整及び特定が行われることで視野規制機能及び視野誘導機能が果たされることを特徴とする光学顕微鏡システムである。
【0086】
この第三の光学顕微鏡システムによれば、光学顕微鏡に撮像装置及びその撮像装置と電気的に接続されたステージを移動させるX-Yステージ制御装置をステージに装備することによって、撮像装置に備えられた画像センサーで読み取られたプレパラート、スライドグラス、又は、カバーグラスの試料又は検体が載置されている領域外に配備されている視野誘導機能を具備する手段の信号が、X-Yステージ制御装置に送信され、自動的かつ規則的にステージが移動する。それと共に、これらの信号は、撮像装置と電気的に接続された照明制御装置に送信され、照明光学装置の光量及び光量分布が調節される。この調節によって、第0074段落及び第0075段落で説明したように、観察が実行される観察領域と観察が省除される非観察領域が識別される光学的濃淡に基づく境界が形成され、それと共に試料又は検体のデジタル画像が撮像装置で記録され、デジタル病理標本として保管され、時空間の制限なく検査・診断を行うことができる。また、デジタル画像をモニター上に映写して検査・診断を行うこともできる。
【0087】
そのため、視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する符号と試料又は検体とが重なることがないため、目視に頼る病理検査・病理診断以上に、試料又は検体を見落とすことなく、また、試料又は検体を重複することがなく観察し、記録することができる。特に、検査・診断従事者が、光学顕微鏡の接眼レンズを通して観察視野を目で追う必要がなく、撮像装置で記録されたデジタル画像をモニター上に描写して、時空間の制限なく検査・診断を行うことができる上、観察が実行される観察領域と観察を省除される非観察領域とが光学的濃淡の境界で識別された画像であるため、疲労は極度に軽減される。そればかりか、モニター上に映写されたデジタル画像は、複数の専門技師及び専門医師が視ることができ、ネットワークを介して遠隔地の専門技師及び専門医師とも一緒に観察し情報の共有化が図れる。
【0088】
このような光学顕微鏡システムを構築することによって、検査に従事する臨床検査技師、臨床検査専門医、病理専門医、病理医、及び、細胞診専門医の労力を大幅に低減し、検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度を飛躍的に高めることができる。また、病理診断及び細胞診断によって得られた情報は、インターネットを介して遠隔地の臨床検査技師、臨床検査専門医、病理専門医、病理医、細胞診専門医、及び、細胞検査士とも共有化を図ることができる。
【0089】
さて、このような第三の光学顕微鏡システムの照明制御装置も、第一及び第二の光学顕微鏡システムと同様、光学フィルター又は光学スリットによって、照明される領域の調整及び特定が行われることが好ましく、可変式光学フィルター又は可変式光学スリットであることがより好ましい。
【0090】
更に、第三の光学顕微鏡システムにおいては、撮像装置によって、プレパラートに配備された視野誘導機能を制御する手段が読み取られた信号を、ステージ制御装置に送信してステージを移動させると共に、照明制御装置に送信して照明される領域の調整及び特定が行われ、プレパラートを観察すると共に記録されるので、この場合も、光学フィルター又は光学スリットが可変式である方が、プレパラートに配備された視野規制機能及び視野誘導機能を制御する手段の自由度が高まり、より好ましい。
【0091】
第0080段落同様、光学フィルター又は光学スリットが接眼レンズと対物レンズを含む、接眼レンズから対物レンズの間に介設されていることが好ましい。
【0092】
また、上記第三の光学顕微鏡システムの動作から分かるように、第三の光学顕微鏡システムに使用するプレパラートは、プレパラートの適正な位置に、光学的濃淡に基づく境界を形成するため、プレパラートを移動させる制御信号となる視野誘導機能を具備する第六の手段が光学顕微鏡用具に形成されている必要がある。そして、この光学顕微鏡用具は、第一及び第二の光学顕微鏡システム同様、プレパラート、スライドグラス、及び、カバーグラスのいずれかであることが好ましい。
【0093】
上記第三の光学顕微鏡システムも、第一及び第二の光学顕微鏡システム同様、第0053段落に記載したように、組織検査及び組織診断、並びに、細胞検査及び細胞診断に適しており、本発明は、第三の光学顕微鏡システムを用いる組織検査及び組織診断、並びに、細胞検査及び細胞診断の方法を提供するものである。
【0094】
このように第三の光学顕微鏡システムを用いれば、撮像装置によって、膨大なデジタル病理標本が保管されるので、蓄積された膨大なデジタル病理標本は、第0065段落~第0072段落に記載したように、CNNに基づく物体検出アルゴリズムで処理する組織検査及び組織診断並びに細胞検査及び細胞診断を行うことができる。この説明についても、第0065段落~第0072段落に記載したので省略する。但し、この物体検出アルゴリズムという画像処理技術を用いた検査及び/又は診断は、繰り返しなるが、病理検査及び/又は病理診断の専門技師及び専門医師の検査及び/又は診断を補助して、その労力を低減すると共に、専門技師及び専門医師も人間であるが故に避けることが困難な見落としを補完する重要な役割を担っていることを強調しておく。
【0095】
更に、本発明の一態様に係る検査及び/診断方法では、この物体検出アルゴリズムによる画像処理技術と同じ役割を担うことが可能な視線検出技術を用いた観察者の視線データに基づいて、観察領域の中の前記観察者が見落としていた未観察領域の再観察を行うことを特徴とする組織検査及び/又は組織診断並びに細胞検査及び/又は細胞診断の方法を提供するものである。視線検出技術も画像処理技術という範疇に入るが、カメラのセンシングという全く異なる技術によりMLによる画像処理技術と同じ目的を達成することに特徴がある。
【0096】
視線検出技術には、角膜反射法(アクティブ方式)と三次元眼球モデル(パッシブ方式)の二つの方法が報告されている(特許文献2~5)。アクティブ方式は、赤外線カメラと赤外線レーザーを使用し、眼球(角膜)に照射した赤外線レーザーを基準点として、動点(瞳孔)との位置関係から視線を検出するもので、精度は良いが、コストの問題がある。それに対し、パッシブ方式は、特殊なカメラを必要とせず、デバイス搭載カメラ等の可視光カメラを使用できるため、精度は低いが、低コストである。本発明には、いずれの方式も使用することができ、これらから得られた視線データから、観察者が注意を払っていない視野領域を再度観察して、見落としを補完するというものである。視線データは、保管しておき、検査及び/又は診断が一通り終わった後に利用することもできるし、検査及び/又は診断中にリアルタイムで見落としを補完することも可能である。特に、本発明の一態様に係る光学顕微鏡を用いた検査及び/又は診断は、視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する、観察を実行すべき観察領域と観察を省除すべき非観察領域を識別する手段が備えられているため、観察者の視線データが正確に収集されるため、未観察領域の特定が極めて精度よく行え、見落としを補完する能力が極めて高くなる。
【0097】
以上、本発明の一態様に係る光学顕微鏡を用いる検査及び/又は診断は、人間の目の特性に基づいた人間工学的な検査及び/又は診断であり、それ自体の検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度が高いが、本発明の一態様に係る光学顕微鏡を用いる検査及び/又は診断でも防ぐことが困難である見落としを二つの異なる画像処理技術によって、見落としを補完する検査及び/診断方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0098】
本発明により、血液検査及び尿検査等の生化学検査、並びに、病理検査・病理診断等の光学顕微鏡観察を用いる検査・診断において、試料又は検体を見落とすことなく、かつ、試料又は検体を重複することなく観察することができ、これらの検査・診断の従事者の労力を低減し、検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度の高い光学顕微鏡観察を行うことが可能となる。特に、病理検査・病理診断には、患者の生命を担う重大な責務を伴うが、本発明により、これに従事する臨床検査技師、臨床検査専門医、病理専門医、病理医、及び、細胞診専門医の労力を低減し、検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度を高めることが可能になり、これら病理検査・病理診断従事者の心身の疲労の低減、安心した業務の遂行を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
図1】従来のパターンが形成されているスライドグラスの代表例を示している。(a)は、格子状パターンが形成されている水質検査及び花粉検査等の使用を考慮した従来の計数用界線スライドグラスである。(b)は、リング状パターンが形成され、端部にフロスト加工が施されている血清反応及び細菌検査等の使用を考慮した従来のスライドガラスである。
図2】本発明の一実施形態に係る、長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である線分の7本がスライドグラス長辺方向に交差することなく集合している線分群を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として試料又は検体が載置される領域に配備しているスライドグラスである。(a)は、スライドグラス長辺方向に交差することなく平行に集合している7本の線分群を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として試料又は検体が載置される領域に配備しているスライドグラスであり、(b)は、スライドグラス長辺方向に交差することなく波型単一曲線を形成している7本の線分群を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として試料又は検体が載置される領域に配備しているスライドグラスである。なお、視野規制機能と視野誘導機能を具備する手段は、スライドグラスの表裏のいずれか一方に形成されており、プレパラートに形成する場合も含めて、以下同様である。
図3】本発明の一実施形態に係る、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する線分群が形成されたスライドグラスが、検体の観察視野を効果的に制限することによって、検体の検査及び診断の精度を向上させ、観察者の精神的及び肉体的負荷を低減させるメカニズムを、図2のスライドグラスを用いて説明する模式図である。(a)は、図2(a)を引用した図である。(b)は、図2及び3(a)の実視野が拡大された、観察者が接眼レンズを通して視る円形の観察視野である。(c)は、図2(b)の実視野が拡大された、観察者が接眼レンズを通して視る円形の観察視野である。
図4】本発明の一実施形態に係る、スライドグラスに形成された視野規制機能と視野誘導機能を兼備する線分群が、検体の検査及び診断の精度を向上させ、観察者の精神的及び肉体的負荷を低減させるため、観察視野の効果的な制限に求められる線分群の相互関係を示す模式図である。(a)は、図2及び3(a)の平行な線分群の変形例を用い、(b)は、図2(b)の波型の線分群を用いて上記相互関係を説明する模式図である。
図5】(a)は、本発明の一実施形態に係る、太さ又は種類が異なる実線である線分の7本がスライドグラス長辺方向に交差することなく集合している線分群を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として試料又は検体が載置される領域に配備しているスライドグラスであり、(b)は、種類が異なる線分の7本がスライドグラス長辺方向に交差することなく集合している線分群を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として試料又は検体が載置される領域に配備しているスライドグラスである。
図6】本発明の一実施形態に係る、スライドグラス長辺方向の長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分とスライドグラス短辺方向の長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分とが略格子状でスライドグラス上に集合している線分群を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として試料又は検体が載置される領域に、略直交させて、略格子状となるように配備しているスライドグラスを示すと共に、この場合における実視野の観察領域と非観察領域を示している模式図である。
図7】本発明の一実施形態に係る、種類、太さ、長さ、及び、色のいずれか一つ以上が異なる線分の14本が略格子状でスライドグラス上に集合している線分群を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として試料又は検体が載置される領域に配備しているスライドグラスである。(a)は、スライドグラス長辺方向の種類及び太さが異なる7本の線分とスライドグラス短辺方向の長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分とが略格子状でスライドグラス上に集合している線分群を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として配備しているスライドグラスであり、(b)は、スライドグラス長辺方向の種類が異なる実線ではない7本の線分とスライドグラス短辺方向の種類及び太さが異なる7本の線分とが略格子状でスライドグラス上に集合している線分群を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として配備しているスライドグラスである。
図8】本発明の一実施形態に係る、種類、太さ、長さ、及び、色のいずれか一つ以上が異なる線分の14本が略格子状でカバーグラス上に集合している線分群を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として試料又は検体が載置される領域に配備しているカバーグラスである。(a)は、スライドグラス長辺方向の種類及び太さが異なる7本の線分とカバーグラス短辺方向の長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分とが略格子状でカバーグラス上に集合している線分群を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として配備しているカバーグラスであり、(b)は、カバーグラス長辺方向の種類が異なる実線ではない7本の線分とカバーグラス短辺方向の種類及び太さが異なる7本の線分とが略格子状でカバーグラス上に集合している線分群を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として配備しているカバーグラスである。
図9】本発明の一実施形態に係る、種類、太さ、長さ、及び、色のいずれか一つ以上が異なる線分の14本が略格子状でプレパラート上に集合している線分群を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として試料又は検体が載置される領域に配備しているプレパラートである。(a)は、プレパラート長辺方向の種類及び太さが異なる7本の線分とプレパラート短辺方向の長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分とが略格子状でカバーグラス側に集合している線分群を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として配備しているプレパラートであり、(b)は、プレパラート長辺方向の種類が異なる実線ではない7本の線分とプレパラート短辺方向の長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分とが略格子状でスライドグラス側に集合している線分群を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として配備しているプレパラートである。
図10】(a)は、本発明の一実施形態に係る、長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分がスライドグラス長辺方向に交差することなく集合している線分群を、視野規制機能を具備する手段として試料又は検体が載置される領域に配備し、種類の異なる6つの矢印がスライドグラス短辺方向に視野規制機能を具備する長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分の間隔に隣接して集合している矢印群を、視野誘導機能を具備する符号として試料又は検体が載置される領域の観察が実行されるべき観察領域外近辺に独立して配備しているスライドグラスであり、(b)は、本発明の一実施形態に係る、長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分がスライドグラス長辺方向に交差することなく集合している線分群を、視野規制機能を具備する手段として試料又は検体が載置される領域に配備し、矢印の付いた6つの番号がスライドグラス短辺方向に視野規制機能を具備する長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分の間隔に隣接して集合している矢印群を、視野誘導機能を具備する符号として試料又は検体が載置される領域の観察が実行されるべき観察領域外近辺に独立して配備しているスライドグラスである。
図11】(a)は、長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である14本の線分が略格子状でプレパラートのスライドグラス側に集合している線分群を、視野規制機能を具備する手段として試料又は検体が載置される領域に配備し、種類の異なる6つの矢印がプレパラートの短辺方向にプレパラート長辺方向の視野規制機能を具備する長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分の間隔に隣接してプレパラートのスライドグラス側に集合している矢印群を、視野誘導機能を具備する符号として試料又は検体が載置される領域の観察が実行されるべき観察領域外近辺に独立して配備しているプレパラートであり、(b)は、長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である14本の線分が略格子状でプレパラートのスライドグラス側に集合している線分群を、視野規制機能を具備する手段として試料又は検体が載置される領域に配備し、種類の同じ6つの矢印がプレパラートの短辺方向にプレパラート長辺方向の視野規制機能を具備する長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分の間隔に隣接してプレパラートのスライドグラス側に集合している矢印群を、視野誘導機能を具備する符号として試料又は検体が載置される領域の観察が実行されるべき観察領域外近辺に独立して配備しているプレパラートである。
図12】(a)は、本発明の一実施形態に係る、観察領域と非観察領域とを識別する視野規制機能と視野誘導機能を果たす手段が光学的濃淡の境界線である場合に適用されるスライドグラスであって、手動でスライドグラスを適正な視野に移動させるために、長さ、太さ、及び、色が略等しい実線であり、スライドグラス長辺方向の略同一直線上にある2本の線分がスライドグラス短辺方向に略平行となるように集合している14本の線分群を、視野誘導機能を具備する手段として試料又は検体が載置される領域外に配備しているスライドグラスである。(b)は、図12(a)の実視野が拡大された、観察者が接眼レンズを通して視る円形の観察視野である。
図13】本発明の一実施形態に係る、光学顕微鏡全体を支える鏡台と光学系各部を支える鏡柱とから成る鏡基と、プレパラートを保持し手動で移動させることができるX-Yステージと、プレパラートに焦点を合わせる焦準装置と、回転交換可能に倍率や種類の異なる対物レンズが取り付けられる回転交換するレボルバと、上端部には接眼レンズが取り付けられ、下端部には前記レボルバが取り付けられる前記鏡柱の上端部に取り付けられる鏡筒と、プレパラートを照明する光源と、照明を最適化する照明光学装置と、接眼レンズの光路と異なる光路上に備えられた撮像装置と、撮像装置と電気的に接続されたステージ制御装置と、撮像装置と電気的に接続された照明制御装置を備えた光学顕微鏡システムの側面模式図である。
図14】本発明の一実施形態に係る、図13に示す、撮像装置、ステージ制御装置、及び、照明制御装置間の電気的に接続された光学顕微鏡システムに適用可能で、撮像装置で読み取られた信号を、ステージ制御装置及び照明制御装置に送信して、ステージを移動させると共に、照明される領域の調整及び特定が行われ、プレパレートを観察するために、図12と同様、長さ、太さ、及び、色が略等しい実線であり、スライドグラス長辺方向の略同一直線上にある2本の線分がスライドグラス短辺方向に略平行となるように集合している14本の線分群を、視野規制機能と視野誘導機能を制御する手段として試料又は検体が載置される領域外に配備しているスライドグラスである。
【発明を実施するための形態】
【0100】
以下、本発明の観察が実行される観察領域と観察が省除される非観察領域とが識別される手段が接眼レンズを通して視る観察視野に形成される光学顕微鏡用具及び観察が実行される観察領域と観察が省除される非観察領域とが識別される手段が光学的濃淡に基づいた境界として形成される光学顕微鏡システム、並びに、本発明の一態様に係るこれらを用いた検査及び診断方法について、実施例を用いて具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能であり、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるものである。
【0101】
図2(a)は、本発明の一実施形態に係る、長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である線分の7本がスライドグラス長辺方向に交差することなく集合している線分群5を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として用い、試料又は検体を載置する領域に配備しているスライドグラス1である。この実施形態では、光学顕微鏡観察のための視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する手段が、端点が異なる重複点のない単一曲線の一特殊例である線分を用いて構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、図2(b)に示すように、端点が異なる重複点のない単一曲線として、端点が異なり太さが略等しい各種波型実線を適用した単一曲線群6を適用することもできる。そして、図2では、太さが略等しい実線であるが、太さが異なっていてもよく、試料又は検体の種類や状態、又、それに伴う倍率に応じて、試料又は検定の観察に適切な太さの範囲内にあることが好ましい。ただし、組織検査・診断並びに細胞検査・診断においては、現状、20~27mmの視野数の接眼レンズが使用されており、総合観察倍率が20~200倍で、倍率2~40倍の対物レンズが使用されるため、端点が異なる重複点のない単一曲線の間隙は、直径約1.0~13.5mmの円形の実視野内で検知されるように形成される必要がある。
【0102】
このような線分群5及び単一曲線群6を視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として適用することによって効率的な観察を行えるのは、次のように利用できるためである。図2及び図3を用いて説明する。例えば、この線分群5が、試料又は検体が載置される面に形成されたスライドグラス1に試料又は検体が載置され、試料又は検体に応じた処理、例えば、染色等が施された後、一般的な符号を有していないカバーグラスで覆われたプレパラートを作製し、図2(a)のスライドグラス1の向きにこのプレパラートをステージに載置して、プレバラートを長辺方向と短辺方向の移動が逐次繰り返される観察、例えば、図2(a)の最上段にある線分5-1と線分5-2の平行線によって視野が制限された観察通路A-1の左端から右端への観察が、最下段にある線分5-6と5-7の平行線によって視野が制限される観察通路A-6まで逐次繰り返される観察を考える。ここでは、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段を、スライドグラス1の試料又は検体と接触する面に形成する例を挙げたが、もちろん、その反対面に形成してもよく、特に説明をしない限り、スライドグラス、カバーグラス、及び、プレパラートの試料又は検体を載置する領域であれば、どの面に形成してもよい。
【0103】
各線分は、それらが形成する間隔が観察を実行すべき視野を指示することによって、視野規制機能を果たすと共に、それらが形成される方向に逐次観察視野を案内することによって、視野誘導機能を果たす。最上段にある線分5-1と線分5-2との平行線によって視野が制限された観察通路A―1の左端から右端への観察を第一走査とすれば、まず、第一走査において、例えば、倍率が10倍、視野数βが20の接眼レンズを通して視る観察視野が、試料又は検体が載置されている線分5-1と線分5-2とが形成する観察通路A-1の左端になるようにステージが走査され、まず、その左端の円形の実視野を、対物レンズの倍率、例えば、4倍で拡大された観察視野で視ることが意図される。この場合、実視野の直径αが5.0mmとなるので、その観察視野には、試料又は検体と共に、線分5-1と線分5-2が入るように、それらの間隔が約3.0~4.8mmとなるように形成されていることが好ましい。そして、線分5-1及び線分5-2は、プレパラートの長辺方向に配備されているので、それらの線分は、プレパラートの長辺方向、図2(a)の左から右方向に視野を案内させるという視野誘導機能として働く。
【0104】
更に詳しく、図2(a)、並びに、図3(a)及び(b)を用い、視野規制機能を説明する。左端にあった観察視野を右に進めた第一の実視野A-11-1は、接眼レンズを通して、4倍の対物レンズで拡大された第一の観察視野A-12-1として観察され、検査・診断が行われる。第一の実視野A-11-1には、第一の観察視野A-12-1内に、視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する手段として、線分5-1と線分5-2が検知されるように形成されている。特に、これらの線分は、第一の観察視野A-12-1では、図3(b)に示すように観察され、観察される試料又は検体が包含され観察が実行される中央観察領域A-12-11を、観察される試料又は検体が除外され観察が省除される下側非観察領域A-12-12と、観察される物体が除外され観察が省除される上側非観察領域A-12-13とを明確に識別できる視野規制機能を果たす。このように、視野中央部に神経が集中し易い人間の目の特性に即して、観察が実行されるべき領域と観察が省除される領域を識別することによって、見落としがない検査及び/又は診断を繰り返し行うことができ、検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度を向上できるので、観察者の心身の疲労の低減を実現することができる。なお、ここでの上下関係は、第一の観察視野A-12-1が第一の実視野A-11-1の倒立実像を観察しており、第一の実視野A-11-1における位置関係で表示している。
【0105】
特に好適な線分5-1と線分5-2の間隔を約3.0~4.8mmとするのが好ましい理由は、接眼レンズを通して視る、例えば、第一の観察視野A-12-1において、視野中央部に神経が集中し易い人間の目の特性から見出された、中央観察領域A-12-11と下側非観察領域A-12-12と上側非観察領域A-12-13との面積比が約95:2.5:2.5~70:15:15の範囲内となることが好ましい試料又は検体を用いた場合の一例であり、これに限定されるものではない。この面積比は、異なる接眼レンズの視野数や異なる対物レンズの倍率等であってもこの範囲内に入るように、実視野では、線分群5の隣接する線分の間隔を調整する必要がある。
【0106】
そして、第一走査の完了は、第一の観察視野が第一観察通路A-1の右端に走査されると、線分5-1と線分5-2の端点が観察されて検知され、線分5-1と線分5-2の視野誘導機能によって、線分5-2方向に案内された後、第二の観察通路A-2の右端に案内される。以上の繰り返しが、第6の観察通路A-6の左端まで繰り返されて検査及び/又は診断が完了する。
【0107】
視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段が曲線の場合についても同様に、図2(b)及び図3(c)に示す。このように、端点が異なる重複点のない単一曲線の複数が交差することなく集合した曲線群が、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する端点が異なり太さが略等しい7本の波型実線6-1~6-7がスライドグラス1の長辺方向に交差することなく集合している単一曲線群6の場合も、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する実線である7本の線分5-1~5-7がスライドグラス1の長辺方向に交差することなく平行に集合している線分群5と、同様の線間隔及び面積比に設計でき、同様に機能することが分かっている。
【0108】
このように、平行に集合している線分群5及び単一曲線群6は、視野規制機能と視野誘導機能と兼備する手段として、第一の観察視野A-12-1で検知されるようにスライドグラスの第一の実視野A-11-1内に形成され、観察が実行される中央観察領域A-12-11が、観察が省除される下側非観察領域A-12-12と上側非観察領域A-12-13と明確に識別されるので、視野規制機能と視野誘導機能を有する平行に集合している線分群5及び単一曲線群6の指示に従えば、試料又は検体を見落とすことなく、かつ、試料又は検体を重複することなく観察することができ、検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度を飛躍的に高めることができるので、検査及び/又は診断に従事する者の心身の疲労を大幅に低減することができるのである。
【0109】
図4は、スライドグラスに形成された視野規制機能と視野誘導機能を兼備する線分群が、検体の検査・診断の精度を向上させ、観察者の精神的及び肉体的負荷を低減させるため、観察視野の効果的な制限に求められる線分群の相互関係を示す模式図である。図4(a)は、図2及び3(a)の平行な線分群の変形例を用い、図4(b)は、図2(b)の波型の線分群を用いて上記相互関係を説明する模式図である。
【0110】
図4(a)は、スライドグラス1の長辺方向に対し平行な線分51-1、51-3、51-5、51-7とスライドグラス1の長辺方向に対し傾斜角を有する線分51-2、51-4、51-6、51-8とが交互に集合している線分群51である。このような線分群も、観察が実行されるべき観察領域と観察が省除されるべき非観察領域が、観察視野で明確に識別できるように、スライドグラス1の実視野内に形成されることによって、図2及び図3に示す、実線である7本の線分5-1~5-7がスライドグラス1の長辺方向に交差することなく平行に集合している線分群5と同様の機能を果たすことができる。観察通路C-6の左端にある、観察通路C-6を含む光学顕微鏡を用いて観察される第一の実視野C-61-1においては、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する線分51-6と線分51-7との間隔が最も広いが、これらの線分が観察視野で検知できるように、スライドグラス1の実視野内に形成されていればよい。当然、観察通路C-6の右端にある、観察通路C-6を含む光学顕微鏡を用いて観察される第一の実視野C-61-2においては、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する線分51-6と線分51-7との間隔が最も狭くなり、これらの線分は、観察視野で検知できるように、スライドグラス1の実視野内に形成されている。
【0111】
図4(b)は、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する端点が異なり太さが略等しい7本の波型実線6-1~6-7がスライドグラス1の長辺方向に交差することなく集合している単一曲線群6の場合について示している。観察通路B-6の曲線6-3と曲線6-4との間隔が最も広い第一の実視野B-31-3において、これらの曲線が観察視野で検知できるように実視野内に形成されていれば問題なく、実線である7本の線分5-1~5-7がスライドグラス1の長辺方向に交差することなく平行に集合している線分群5と同様の機能を果たすことができる。この場合、間隔が広い第一の実視野B-31-3のような領域では、観察領域内の単一曲線6-3付近に観察すべき物体が検出されると、その物体を正確に確認するため、プレパラートの短辺方向にスライドを移動させ、観察視野の中央部に誘導するという走査を行い、観察が完了した後、元の観察視野に戻して、プレパラートの長辺方向にスライドを移動させるという不規則な観察を行わなければならなり場合がある。従って、曲線群6のいずれの二つの組合せの間隔が、実視野内に形成されていれば問題ないが、平行線であることが好ましい。
【0112】
以下、図2と同様に、本発明の一態様に係る視野規制機能と視野誘導機能を具備する、端点が異なる重複点のない単一曲線の複数が交差することなく集合した各種曲線群が形成されている光学顕微鏡用具であるスライドグラス、カバーグラス、及び、プレパラートの例を挙げるが、簡単で分かり易くするため、端点が異なる重複点のない単一曲線として線分を用いた図で説明するが、図2(b)に示すような、狭義の定義により線を直線と曲線と分類した場合における曲線を用いても、本発明の一態様に係る視野規制機能及び視野誘導機能に影響を及ぼすものではない。
【0113】
図5(a)は、本発明の一実施形態に係る、太さ又は種類が異なる実線である線分の7本7-1~7-7がスライドグラス長辺方向に交差することなく集合している線分群7を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として試料又は検体を載置する領域に配備しているスライドグラス1であり、図5(b)は、種類が異なる線分の7本8-1~8-7がスライドグラス長辺方向に交差することなく集合している線分群8を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として試料又は検体を載置する領域に配備しているスライドグラス1である。
【0114】
このような太さ及び種類が異なる線分群7及び線分群8が、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として適用されることによって効率的な観察を行える理由は、図2を用いて説明した理由と全く同様であるので省略する。ただし、このように異なる太さ及び種類の線分群7及び線分群8を用いる理由は、図2(b)で説明したように、上方から下方への視野の移動もより明確に指示することができ、視野誘導機能をより高めることができるという効果を奏することにある。
【0115】
図6は、本発明の一実施形態に係る、スライドグラス長辺方向の長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分9-1~9-7とスライドグラス短辺方向の長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分9-8~9-14とが略格子状でスライドグラス上に集合している線分群9を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として試料又は検体を載置する領域に配備しているスライドグラス1である。
【0116】
この視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段は、図2(a)の視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段に、スライドグラス短辺方向の長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分9-8~9-14を更に加え、視野規制機能を向上させる実施形態である。特に、観察する領域を格子状の実線で包囲される領域に特定することによって、例えば、線分9-2と線分9-3との間隔の試料又は検体の見落とし及び重複を解消する効果を高めることができる。これは、人間の目の特性を更に重視し、観察視野の観察が実行されるべき観察領域を中央部に限定していることに基づいている。視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として形成されるスライドグラス1の長辺方向の長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分9-1~9-7については、第0101段落~第0107段落において詳しく説明したが、これと同様の態様を、スライドグラス1の短辺方向の長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分9-8~9-14を用い、スライドグラス1の長辺方向に適用した。観察通路D-2の観察される第一の実視野D-21-1において、第一の実視野D-21-1の観察が実行されるべき中央観察領域D-21-11が、線分9-2と線分9-3により、第一の実視野D-21-1の観察が省除されるべき下側非観察領域D-21-12と上側非観察領域D-21-13とによって、スライドグラス1の短辺方向から挟持されている。更に、第一の実視野D-21-1の観察が実行されるべき中央観察領域D-21-11が、線分9-11と線分9-12により、第一の実視野D-21-1の観察が省除されるべき右側非観察領域D-21-14と左側非観察領域D-21-15とによって、スライドグラス1の長辺方向から挟持されているので、接眼レンズを通して視る観察視野の中央部だけが観察を実行されるべき観察領域に制限される。従って、より人間の目と特性に即した観察領域が識別され、従来の問題点を解消することができるのである。
【0117】
また、図2で説明したように、スライドグラス短辺方向の長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分9-8~9-14は、スライドグラス長辺方向の線分9-1~9-7と同様、視野に入る線分の本数から視野を移動させる方向を指示する視野誘導機能を高める効果もある。
【0118】
以下、格子状の視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段を格子状とする実施形態を挙げるが、その理由は上記の通りで、以下の説明では省略する。
【0119】
図7は、本発明の一実施形態に係る、種類、太さ、長さ、及び、色のいずれか一つ以
上が異なる線分の14本が略格子状でスライドグラス上に集合している線分群を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として試料又は検体を載置する領域に配備しているスライドグラス1である。特に、その一例として、図7(a)は、スライドグラス長辺方向の種類及び太さが異なる7本の線分10-1~10-7とスライドグラス短辺方向の長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分10-8~10-14とが略格子状でスライドグラス上に集合している線分群10を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として試料又は検体を載置する領域に配備しているスライドグラス1を示し、図7(b)は、スライドグラス長辺方向の種類が異なる実線ではない7本の線分11-1~11-7とスライドグラス短辺方向の種類及び太さが異なる7本の線分11-8~11-14とが略格子状でスライドグラス上に集合している線分群11を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として試料又は検体を載置する領域に配備しているスライドグラス1を示している。既に説明したように、異なる太さ及び種類の線分の適用は、視野誘導機能が高める効果を奏する。
【0120】
図8は、本発明の一実施形態に係る、種類、太さ、長さ、及び、色のいずれか一つ以
上が異なる線分の14本が略格子状でカバーグラス上に集合している線分群を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として配備しているカバーグラス2である。特に、図8(a)は、スライドグラス長辺方向の種類及び太さが異なる7本の線分12-1~12-7とカバーグラス短辺方向の長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分12-8~12-14とが略格子状でカバーグラス上に集合している線分群12を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として試料又は検体を載置する領域に配備しているカバーグラス2であり、図8(b)は、カバーグラス長辺方向の種類が異なる実線ではない7本の線分13-1~13-7とカバーグラス短辺方向の種類及び太さが異なる7本の線分13-8~13-14とが略格子状でカバーグラス上に集合している線分群13を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として試料又は検体を載置する領域に配備しているカバーグラス2である。視野規制機能と視野誘導機能を兼備する符号をカバーグラス側に形成し配備したこと以外に、図7と異なるところはなく、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段をスライドグラス側又はカバーグラス側のいずれに配備してもその機能に影響を及ぼすことはない。
【0121】
図9は、本発明の一実施形態に係る、種類、太さ、長さ、及び、色のいずれか一つ以上が異なる線分の14本が略格子状でプレパラート上に集合している線分群を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として試料又は検体を載置する領域に配備しているプレパラート3である。特に、図7(a)は、プレパラート長辺方向の種類及び太さが異なる7本の線分14-1~14-7とプレパラート短辺方向の長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分14-8~14-14とが略格子状でカバーグラス2側に集合している線分群14を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として試料又は検体を載置する領域に配備しているプレパラート3であり、図9(b)は、プレパラート長辺方向の種類が異なる実線ではない7本の線分15-1~15-7とプレパラート短辺方向の長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分15-8~15-14とが略格子状でスライドグラス側に集合している線分群15を、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として試料又は検体を載置する領域に配備しているプレパラート3である。
【0122】
これらの視野規制機能と視野誘導機能を兼備する符号は、それぞれ、カバーグラス2の試料又は検体と接触する面及びその反対面、及び、スライドグラス1の試料又は検体と接触する面及びその反対面のいずれに形成し配備してもよいが、ここでは、カバーグラス2及びスライドグラス1の試料又は検体と接触する面の反対面に形成し配備する場合について説明する。
【0123】
このように、プレパラート3の試料又は検体が載置される面と反対面、すなわち、スライドグラス1及びカバーグラス2の試料又は検体が接触される面と反対面、に視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段は、書き換え可能な手段とすることができるという大きな長所がある。書き換え可能な手段によれば、試料又は検体と、視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する手段とが同一の視野の中で重なり観察が困難な場合、及び、倍率を変更することによって観察に支障が生じる場合等、符号を消去して試料又は検体の観察が誤りなく行うことができ、見落としがなく、検査精度及び/診断精度を高めることができる上、再度符号を書き換えることによって、試料又は検体の観察した領域を特定し記録することが可能となる。
【0124】
そして、書き換え可能な符号の形成は、特に限定されないが、油性又は水性インクを用いたインクジェット印刷、X-Yプロッタを用いた印刷、及び、スタンプ印刷等により形成し配備することができるが、手書きでも構わない。
【0125】
図10(a)は、本発明の一実施形態に係る、長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分16-1~16-7がスライドグラス長辺方向に交差することなく集合している線分群16を、視野規制機能を具備する手段として、種類の異なる6つの矢印17-1~17-6がスライドグラス短辺方向に視野規制機能を具備する長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分の間隔に隣接して集合している矢印群17を、視野誘導機能を具備する符号として試料又は検体を載置する領域の観察が実行されるべき観察領域外近辺に独立して配備しているスライドグラス1である。図10(b)は、本発明の一実施形態に係る、長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分18-1~18-7がスライドグラス長辺方向に交差することなく集合している線分群18を、視野規制機能を具備する手段として、矢印の付いた6つの番号19-1~19-6がスライドグラス短辺方向に視野規制機能を具備する長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分の間隔に隣接して集合している矢印群19を、視野誘導機能を具備する符号として試料又は検体を載置する領域の観察が実行されるべき観察領域外近辺に独立して配備しているスライドグラス1である。
【0126】
また、図11(a)は、長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である14本の線分20-1~20-14が略格子状でプレパラート3のスライドグラス側に集合している線分群20を、視野規制機能を具備する手段として、種類の異なる6つの矢印21-1~21-6がプレパラート短辺方向にプレパラート長辺方向の視野規制機能を具備する長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分の間隔に隣接してプレパラート3のスライドグラス側に集合している矢印群21を、視野誘導機能を具備する符号として試料又は検体を載置する領域の観察が実行されるべき観察領域外近辺に独立して配備しているプレパラート3であり、図11(b)は、長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である14本の線分22-1~22-14が略格子状でプレパラート3のスライドグラス側に集合している線分群22を、視野規制機能を具備する手段として、種類の同じ6つの矢印23-1~23-6がプレパラート短辺方向にプレパラート長辺方向の視野規制機能を具備する長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である7本の線分の間隔に隣接してプレパラート3のスライドグラス側に集合している矢印群23を、視野誘導機能を具備する符号として試料又は検体を載置する領域の観察が実行されるべき観察領域外近辺に独立して配備しているプレパラート3である。
【0127】
図10及び図11のように、視野誘導機能を具備する符号を機能分離して図形及び/又は文字として配備することは、視野の移動方向及び/又は順序を明確に示すものとして、観察者の直感に訴えることができるので、観察者の負荷を低減できる効果がある。
【0128】
以上、本発明の一態様に係る視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段及び視野誘導機能を具備する符号を試料又は検体を載置する領域内に配備するスライドグラス、カバーグラス、及び、プレパラートの具体例を挙げて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想によってのみ限定されるものである。
【0129】
更に、本発明は、上記視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として、単一曲線ではなく、単一曲線の線幅の弊害である試料又は検体との重なりを解消することができる、光学的濃淡に基づく境界を適用する光学顕微鏡システムの実施形態を説明する。このシステムによれば、更に、試料又は検体を見落とすことなく、かつ、試料又は検体を重複することなく観察することができ、観察者の労力を大幅に低減し、検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度を飛躍的に高めることができ、検査及び/又は診断従事者の心身の疲労が明らかに低減される。
【0130】
この光学顕微鏡システムの視野規制機能と視野誘導機能を兼備する手段として、光学的濃淡に基づく境界を形成するためには、観察が実行されるべき観察領域を明部とし、観察が省除される非観察領域を暗部とするため、従来の光学顕微鏡に、光学フィルター又は光学スリットを照明光学系に導入することによって実現できる。しかしながら、試料又は検体が載置されるプレパラートの適正な位置に光学的濃淡に基づく境界を形成するために、プレパラートには、プレパラートを適正な位置に走査させるための視野誘導機能を具備する手段を配備する必要がある。
【0131】
図12は、光学的濃淡を視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する手段とした場合の観察視野と観察方法を説明する模式図である。図12(a)は、本発明の一実施形態に係る、観察領域と非観察領域とを識別する視野規制機能と視野誘導機能を果たす手段が光学的濃淡の境界線である場合に適用されるスライドグラスであって、手動でスライドグラスを適正な視野に移動させるために、長さ、太さ、及び、色が略等しい実線であり、スライドグラス長辺方向の略同一直線上にある2本の線分がスライドグラス短辺方向に略平行となるように集合している14本の線分群を、視野誘導機能を具備する手段として試料又は検体が載置される領域外に配備しているスライドグラスである。図12(b)は、図12(a)の実視野が拡大された、観察者が接眼レンズを通して視る円形の観察視野である。
【0132】
第0102段落~第0107段落に記載した単一曲線を光学的濃淡に基づく境界に変更すれば、全く同様の説明をすることができる。しかしながら、光学的濃淡に基づく境界は、実質的に線幅がなく、試料又は検体を隠蔽することがないという重要な機能を備えており、特に、病理検査及び/又は病理診断等のように、異常な組織又は細胞の一つの見落としが、患者の生命に係わる重大な誤診となる場合には、実現されるべき機能であった。観察が実行されるべき観察領域と観察が省除されるべき非観察領域が識別される原理は、単一曲線と何ら変わりないため、簡単に説明する。
【0133】
例えば、倍率が10倍、視野数βが20の接眼レンズを通して視る観察視野A-22-1とし、倍率が4倍の対物レンズの場合、その実視野A-21-1は、直径αが5.0mmとなり、その実視野A-21-1内に、線分24-2と線分24-9を結ぶ境界と線分24-3と線分24-10を結ぶ境界が約3.0~4.8mmの間隔となるように光学フィルター又は光学スリットが照明制御装置として機能するように光学顕微鏡の照明光学系に配備される。その結果、実視野A-21-1内に、観察を実行する中央観察領域A-21-11が、観察を省除する下側非観察領域A-21-12と上側非観察領域A-21-13とで挟持され形成され、光学的濃淡に基づく境界によって明確に識別される。そして、接眼レンズを通して視る観察視野A-22-1では、観察を実行する中央観察領域A-22-11、並びに、観察を省除する下側非観察領域A-22-12及び上側非観察領域A-22-13とが明確に識別され、検査及び/又は診断が行われるのである。その他、実視野の大きさ、観察領域と非観察領域との面積比、及び、観察方法等は、視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する手段として単一曲線を用いる場合と同様であるため、説明は省略する。
【0134】
ただし、上記光学顕微鏡システムを用いて効率的に観察するためには、ステージを手動で走査することによって、光学的濃淡に基づく境界がプレパラートの適正な位置に形成されると共に、試料又は検体と重なることがないように、試料又は検体が載置されていない領域に、視野誘導機能とを兼備する手段が配備される必要がある。この手段が、試料又は検体が載置される領域外に配備されている視野誘導機能を具備する実線であり、観察すべき観察通路に相当する間隔のスライドグラス長辺方向の略同一直線上にある2本の線分が、スライドグラス短辺方向に略平行となり集合している14本の線分群である。
【0135】
このように、光学フィルター又は光学スリットを備え、プレパラート上の観察が実行されるべき観察領域と観察が省除されるべき非観察領域を識別する視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する手段が光学的濃淡に基づく境界である光学顕微鏡システムは、ステージを手動で操作するものに限定されるものではなく、自動的に検査及び/又は診断を行える光学顕微鏡システムを構築することができる。
【0136】
図12は、本発明の一実施形態に係る、正立型光学顕微鏡を用いた自動観察可能な光学顕微鏡システム30の側面模式図である。図12から分かるように、本発明の一態様に係る光学顕微鏡システムは、少なくとも、全体を支える鏡台(ベース部)31-1と光学系各部を支える鏡柱(アーム部)31-2とから成る鏡基(スタンド)31と、プレパラート(標本)を保持し手動で移動させることができるX-Yステージ35と、焦準ハンドル36を備えたプレパラートに焦点を合わせる焦準装置(フォーカシング装置)と、回転交換可能に倍率や種類の異なる対物レンズ32-2が取り付けられる回転交換するレボルバ32-4と、上端部には接眼レンズ32-3が取り付けられ、下端部には前記レボルバ32-4が取り付けられる鏡柱31-2の上端部に取り付けられる鏡筒(チューブ)32-1と、プレパラートを照明する光源33と、コレクタレンズ34-1、視野絞り34-2、反射鏡34-3、フィールドレンズ43-4、開口絞り34-5、コンデンサレンズ34-6、及び、コンデンサレンズ高さ調節ハンドル34-7、から構成される照明を最適化する照明光学系34と、接眼レンズ32-3の光路と異なる光路上に備えられた撮像装置32-5とを備え、観察領域を走査するためのX-Y移動ハンドル35-1及び撮像装置32-5と電気的に接続されたX-Yステージ制御装置35-2、並びに、観察領域の光量及び光量分布を調節するための撮像装置32-5と電気的に接続された照明制御装置34-8とを備えている必要がある。
【0137】
この光学顕微鏡システム30は、撮像装置32-5によって、プレパラートに配備された、プレパラートの適正な位置に光学的濃淡に基づく境界を形成するためのプレパラートを移動させる制御信号となる視野誘導機能を具備する(図14に示す)手段24が読み取られた信号を、X-Yステージ制御装置35-2に送信してX-Yステージ35を移動させ、プレパレートを観察すると共に記録することができる。X-Yステージ移動ハンドル35-1による手動操作も可能である。特に、撮像装置32-5に備えられた画像センサーから送信される信号は、X-Yステージ制御装置35-2によって様々なX-Yステージ35の移動パターンとすることが可能である。一方、撮像装置32-5等に制御装置を組み込めば、観察者の直接観察、並びに、観察者が観察することがない自動撮影及び自動記録等を可能とすることができる。また、撮像装置に32-5に備えられた(図示されていない)画像センサーから送信される信号は、(図示されていない)パソコンを介してモニターに送信され複数の観察者で視ることも可能であり、(図示されていない)インターネットを通じて記録画像を配信することも可能である。更に、プレパラートに配備された、プレパラートを移動させる制御信号となる視野誘導機能を具備する手段が読み取られた信号を照明制御装置34-8に送信して、照明制御装置34-8に配備されている可変式光学フィルター又は可変式光学スリットが制御されることによって、光量及び光量分布、例えば、明るさ及び光源で照明される領域の調節及び特定の変更等が行われ、視認性が向上し、検査速度及び/又は診断速度並びに検査精度及び/又は診断精度が高まると共に、撮影された観察画像も鮮明になる。
【0138】
この光学顕微鏡システム30を用いた動作の一例を、図14に示す、プレパラートを移動させる制御信号となる視野誘導機能を具備する手段として、エッチングで形成されたスライドグラス長辺方向の略同一直線上にある2本の線分24-1と24-8~24-7と24-14が、スライドグラス短辺方向に略平行となるように集合している14本の線分群24が配備されたプレパラート1を用いて説明する。このプレパラートの基本構成は、図12に示す14本の線分群と同じ基本構成であるが、機能が異なるため、図14に改めて示した。図12に示す14本の線分群24は、X-Yステージ35上のプレパラートを光学的濃淡に基づく境界の適正な位置に手動で走査するための指標であるのに対し、図14に示す14本の線分群24は、X-Yステージ35上のプレパラートを光学的濃淡に基づく境界の適正な位置に自動で走査させるために送信する制御信号である。従って、撮像装置32-5によって、プレパラートに配備された、制御信号となる視野誘導機能を具備する手段24が読み取られた信号は、まず、X-Yステージ制御装置35-2に送信されて、線分24-1と線分24-8とを結ぶ直線上に形成される光学的濃淡に基づく境界と、線分24-2と線分24-9とを結ぶ直線状に形成される光学的濃淡に基づく境界とが、適正な実視野内に包含されるように、平行な光学的濃淡に基づく境界に視野が制限された第一観察通路A-1の左端に、X-Yステージ35を走査する。その後は、14本の線分群24を読み取った信号に基づき、観察通路A-1を左端から右端まで走査し、この走査が、観察通路A-6まで繰り返され、プレパレート1上の試料又は検体が観察又は記録される。
【0139】
観察する場合には、撮像装置に32-5に備えられた画像センサーから送信される信号がパソコンを介してモニターに送信され、大画面で検査及び/又は診断を行うことができる。記録する場合には、撮像装置に32-5に備えられた画像センサーから送信される信号がパソコンを介してデジタル画像データとしてメモリに保管、蓄積され、時空間及び観察者の制約なく検査及び/又は診断することができる。
【0140】
なお、ここでは、本発明の一態様に係る光学顕微鏡システムを用いた操作の一例を示したが、これに限定されるものでない。また、光学顕微鏡として正立型光学顕微鏡を用いた本発明の一態様に係る光学顕微鏡システムを示したが、倒立型顕微鏡、双眼実体顕微鏡、及び、共焦点顕微鏡等を利用することも可能である。
【0141】
一方、本発明の一態様に係る光学顕微鏡システムで撮影され、保管された膨大なデジタル画像データを学習データとして、Faster R-CNN、RefineDet、RetinaNet、及び、YOLOの物体検出アルゴリズムを用いた検出対象プレパラートの細胞検査及び/又は細胞診断を行ったところ、熟練した病理専門医と比較しうる正答率であった。視野規制機能と視野誘導機能とを兼備した手段で、観察が実行されるべき観察領域と観察が省除されるべき非観察領域とが識別された画像データであったため、このような結果が得られたものと考えられる。
【0142】
また、本発明の一態様に係る視野規制機能と視野誘導機能とを兼備する観察領域と非観察領域とを識別する手段を備えたプレパラートのデジタル画像データを、パーソナルコンピュータを介してモニター画面上に映写した画像による細胞検査及び/又は細胞診断を行う際に、パーソナルコンピュータに、アクティブ方式の赤外線カメラと赤外線レーザーを備えた小型視線検出センサーを装備して、視線データを収集したところ、観察領域でも見ていない領域が明確に捉えられ、見落とし防止に効果的であることが分かっている。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、視野規制機能及び/又は視野誘導機能を具備する手段を備えた光学顕微鏡用具及びこれを用いた光学顕微鏡システムであり、光学顕微鏡だけではなく、電子顕微鏡も含めた各種顕微鏡に広く応用することができるものと考えられる。しかし、本発明の技術思想は、人間の目の特性と装置とのインターフェースとして機能する人間工学的指示機能にあり、顕微鏡の分野だけでなく、形態を変え、極めて幅広い領域、例えば、街頭、公共施設、工場、病院等の各種表示板等にも利用することができる。
【符号の説明】
【0144】
1 スライドグラス
2 カバーグラス
3 プレパラート(標本)
4 従来の印刷加工
4-1 格子状界線
4-2 リング
4-3 フロスト
5 視野規制機能と視野誘導機能を兼備する実線である7本の線分がスライドグラス長辺方向に交差することなく平行に集合している線分群
5-1~7 視野規制機能と視野誘導機能を兼備する長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である平行な線分(1)~(7)
51 線分がスライドグラス長辺方向に交差することなく平行に集合している線分群5の変形例で、視野規制機能と視野誘導機能を兼備する水平線4本と斜線4本が、スライドグラス長辺方向に交差することなく交互に集合している線分群
51-1~51-8 視野規制機能と視野誘導機能を兼備する太さ及び色が略等しい実線である、スライドグラス長辺方向に平行な線分(1)、(3)、(5)、(7)とスライドグラス長辺方向と角度を有する線分(2)、(4)、(6)、(8)
6 視野規制機能と視野誘導機能を兼備する端点が異なり太さが略等しい7本の波型実線がスライドグラス長辺方向に交差することなく集合している単一曲線群
6-1~7 視野規制機能と視野誘導機能を兼備する端点が異なり太さが略等しい各種波型の重複点のない単一曲線(1)~(7)
7 視野規制機能と視野誘導機能を兼備する太さ又は種類が異なる実線である7本の線
分がスライドグラス長辺方向に交差することなく集合している線分群
7-1 細い実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備する線分(1)
7-2 中太の実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備する線分(2)
7-3 太い実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備する線分(3)
7-4 極太の実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備する線分(4)
7-5 二重線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備する線分(5)
7-6 非対称二重線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備する線分(6)
7-7 三重線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備する線分(7)
8 視野規制機能と視野誘導機能を兼備する種類が異なる7本の線分がスライドグラス
長辺方向に交差することなく集合している線分群
8-1 点線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備する線分(1)
8-2 破線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備する線分(2)
8-3 長破線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備する線分(3)
8-4 一点鎖線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備する線分(4)
8-5 超長破線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備する線分(5)
8-6 長一点鎖線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備する線分(6)
8-7 二点鎖線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備する線分(7)
9 視野規制機能と視野誘導機能を兼備する実線である7本の線分が略格子状でスライドグラス上に集合している線分群
9-1~7 長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス長辺方向の線分(1)~(7)
9-8~14 長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス短辺方向の線分(8)~(14)
10 視野規制機能と視野誘導機能を兼備する種類、太さ、長さ、及び、色のいずれか一つ以上が異なる14本の線分が略格子状でスライドグラス上に集合している線分群
10-1 細い実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス長辺
方向の線分(1)
10-2 中太の実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス長
辺方向の線分(2)
10-3 太い実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス長辺
方向の線分(3)
10-4 極太の実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス長
辺方向の線分(4)
10-5 二重線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス長辺方
向の線分(5)
10-6 非対称二重線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス
長辺方向の線分(6)
10-7 三重線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス長辺方
向の線分(7)
10-8~14 長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である視野規制機能と視野誘導
機能を兼備するスライドグラス短辺方向の線分(8)~(14)
11 視野規制機能と視野誘導機能を兼備する種類、太さ、長さ、及び、色のいずれか
一つ以上が異なる14本の線分が略格子状でスライドグラス上に集合している線分群
11-1 点線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス長辺方向
の線分(1)
11-2 破線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス長辺方向
の線分(2)
11-3 長破線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス長辺方
向の線分(3)
11-4 一点鎖線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス長辺
方向の線分(4)
11-5 超長破線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス長辺
方向の線分(5)
11-6 長一点鎖線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス長
辺方向の線分(6)
11-7 二点鎖線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス長辺
方向の線分(7)
11-8 細い実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス短辺
方向の線分(8)
11-9 中太の実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス短
辺方向の線分(9)
11-10 太い実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス短
辺方向の線分(10)
11-11 極太の実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス
短辺方向の線分(11)
11-12 二重線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス短辺
方向の線分(12)
11-13 非対称二重線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラ
ス短辺方向の線分(13)
11-14 三重線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するスライドグラス短辺
方向の線分(14)
12 視野規制機能と視野誘導機能を兼備する種類、太さ、長さ、及び、色のいずれか
一つ以上が異なる14本の線分が略格子状でカバーグラス上に集合している線分群
12-1 細い実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス長辺方
向の線分(1)
12-2 中太の実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス長辺
方向の線分(2)
12-3 太い実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス長辺方
向の線分(3)
12-4 極太の実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス長辺
方向の線分(4)
12-5 二重線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス長辺方向
の線分(5)
12-6 非対称二重線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス長
辺方向の線分(6)
12-7 三重線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス長辺方向
の線分(7)
12-8~14 長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である視野規制機能と視野誘導
機能を兼備するカバーグラス短辺方向の線分(8)~(14)
13 視野規制機能と視野誘導機能を兼備する種類、太さ、長さ、及び、色のいずれか
一つ以上が異なる14本の線分が略格子状でカバーグラス上に集合している線分群
13-1 点線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス長辺方向の
線分(1)
13-2 破線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス長辺方向の
線分(2)
13-3 長破線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス長辺方向
の線分(3)
13-4 一点鎖線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス長辺方
向の線分(4)
13-5 超長破線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス長辺方
向の線分(5)
13-6 長一点鎖線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス長辺
方向の線分(6)
13-7 二点鎖線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス長辺方
向の線分(7)
13-8 細い実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス短辺方
向の線分(8)
13-9 中太の実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス短辺
方向の線分(9)
13-10 太い実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス短辺
方向の線分(10)
13-11 極太の実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス短
辺方向の線分(11)
13-12 二重線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス短辺方
向の線分(12)
13-13 非対称二重線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス
短辺方向の線分(13)
13-14 三重線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するカバーグラス短辺方
向の線分(14)
14 視野規制機能と視野誘導機能を兼備する種類、太さ、長さ、及び、色のいずれか
一つ以上が異なる14本の線分が略格子状でプレパラートのカバーグラス側に集合してい
る線分群
14-1 細い実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するプレパラート長辺方
向の線分(1)
14-2 中太の実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するプレパラート長辺
方向の線分(2)
14-3 太い実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するプレパラート長辺方
向の線分(3)
14-4 極太の実線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するプレパラート長辺
方向の線分(4)
14-5 二重線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するプレパラート長辺方向
の線分(5)
14-6 非対称二重線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するプレパラート長
辺方向の線分(6)
14-7 三重線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するプレパラート長辺方向
の線分(7)
14-8~14 長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である視野規制機能と視野誘導
機能を兼備するプレパラート短辺方向の線分(8)~(14)
15 視野規制機能と視野誘導機能を兼備する種類、太さ、長さ、及び、色のいずれか
一つ以上が異なる14本の線分が略格子状でプレパラートのスライドグラス側に集合して
いる線分群
15-1 点線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するプレパラート長辺方向の
線分(1)
15-2 破線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するプレパラート長辺方向の
線分(2)
15-3 長破線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するプレパラート長辺方向
の線分(3)
15-4 一点鎖線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するプレパラート長辺方
向の線分(4)
15-5 超長破線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するプレパラート長辺方
向の線分(5)
15-6 長一点鎖線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するプレパラート長辺
方向の線分(6)
15-7 二点鎖線である視野規制機能と視野誘導機能を兼備するプレパラート長辺方
向の線分(7)
15-8~14 長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である視野規制機能と視野誘導
機能を兼備するプレパラート短辺方向の線分(8)~(14)
16 視野規制機能を具備する実線である7本の線分がスライドグラス長辺方向に交差
することなく集合している線分群
16-1~7 視野規制機能を具備する長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である線
分(1)~(7)
17 視野誘導機能を具備する種類の異なる6つの矢印がスライドグラス短辺方向に視
野規制機能を具備する実線である7本の線分の間隔に隣接して集合している矢印群
17-1~6 視野誘導機能を具備する種類の異なる矢印(1)~(6)
18 視野規制機能を具備する実線である7本の線分がスライドグラス長辺方向に交差することなく集合している線分群
18-1~7 視野規制機能を具備する長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である線分(1)~(7)
19 視野誘導機能を具備する矢印の付いた6つの番号がスライドグラス短辺方向に視野規制機能を具備する実線である7本の線分の間隔に隣接して集合している矢印群
19-1~6 視野誘導機能を具備する矢印の付いた番号1~6
20 視野規制機能を具備する実線である14本の線分が略格子状でプレパラートのスライドグラス側に集合している線分群
20-1~7 長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である視野規制機能を具備するプレパラート長辺方向の線分(1)~(7)
20-8~14 長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である視野規制機能を具備するプレパラート短辺方向の線分(8)~(14)
21 視野誘導機能を具備する種類の異なる6つの矢印がプレパラートのプレパラート
短辺方向に視野規制機能を具備するプレパラート長辺方向の実線である7本の線分の間隔
に隣接して集合している矢印群
21-1~6 視野誘導機能を具備する種類の異なる矢印(1)~(6)
22 視野規制機能を具備する実線である14本の線分が略格子状でプレパラートのスライドグラス側に集合している線分群
22-1~7 長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である視野規制機能を具備するプレパラート長辺方向の線分(1)~(7)
22-8~14 長さ、太さ、及び、色が略等しい実線である視野規制機能を具備するプレパラート短辺方向の線分(8)~(14)
23 視野誘導機能を具備する矢印の付いた6つの番号がプレパラートのプレパラート
短辺方向に視野規制機能を具備するプレパラート長辺方向の実線である7本の線分の間隔
に隣接して集合している矢印群
23-1~6 視野誘導機能を具備する矢印の付いた番号1~6
24 試料又は検体が載置される領域外に配備されている視野誘導機能を具備する実線であり、スライドグラス長辺方向の略同一直線上にある2本の線分が、スライドグラス短辺方向に略平行となるように集合している14本の線分群
24-1、8 視野誘導機能を具備する長さ、太さ、及び、色が略等しい実線であり、スライドグラス長辺方向の略同一直線上にある2本の線分(1)及び(8)
24-2、9 視野誘導機能を具備する長さ、太さ、及び、色が略等しい実線であり、スライドグラス長辺方向の略同一直線上にある2本の線分(2)及び(9)
24-3、10 視野誘導機能を具備する長さ、太さ、及び、色が略等しい実線であり、スライドグラス長辺方向の略同一直線上にある2本の線分(3)及び(10)
24-4、11 視野誘導機能を具備する長さ、太さ、及び、色が略等しい実線であり、スライドグラス長辺方向の略同一直線上にある2本の線分(4)及び(11)
24-5、12 視野誘導機能を具備する長さ、太さ、及び、色が略等しい実線であり、スライドグラス長辺方向の略同一直線上にある2本の線分(5)及び(12)
24-6、13 視野誘導機能を具備する長さ、太さ、及び、色が略等しい実線であり、スライドグラス長辺方向の略同一直線上にある2本の線分(6)及び(13)
24-7、14 視野誘導機能を具備する長さ、太さ、及び、色が略等しい実線であり、スライドグラス長辺方向の略同一直線上にある2本の線分(7)及び(14)
30 正立型光学顕微鏡
31 鏡基(スタンド)
31-1 鏡台(ベース部)
31-2 鏡柱(アーム部)
32 結像光学系
32-1 鏡筒(チューブ)
32-2 対物レンズ
32-3 接眼レンズ
32-4 レボルバ
32-5 撮像装置
33 光源
34 照明光学系
34-1 コレクタレンズ
34-2 視野絞り
34-3 反射鏡
34-4 フィールドレンズ
34-5 開口絞り
34-6 コンデンサレンズ
34-7 コンデンサレンズ高さ調節ハンドル
34-8 照明制御装置
35 X-Yステージ
35-1 X-Yステージ移動ハンドル
35-2 X-Yステージ制御装置
36 焦準ハンドル
A-1~A-6 二本の平行線によって視野が制限された観察通路
B-1~B-6 二本の曲線によって視野が制限された観察通路
C-1~C-7 水平線と斜線とによって視野が制限された観察通路
A-11-1 観察通路A-1を含む光学顕微鏡を用いて観察される第一の実視野(A111)
A-11-11 第一の実視野A111の中央観察領域
A-11-12 第一の実視野A111の下側非観察領域
A-11-13 第一の実視野A111の上側非観察領域
A-12-1 観察通路A-1における第一の実視野A111が対物レンズで拡大された第一の観察視野(A121)
A-12-11 第一の観察視野A121の中央観察領域
A-12-12 第一の観察視野A121の上側非観察領域
A-12-13 第一の観察視野A121の下側非観察領域
A-21-1 観察通路A-2を含む光学顕微鏡を用いて観察される第二の実視野(A211)
A-21-11 第一の実視野A211の中央観察領域
A-21-12 第一の実視野A211の下側非観察領域
A-21-13 第一の実視野A211の上側非観察領域
A-22-1 観察通路A-2における第二の実視野A211が対物レンズで拡大された第二の観察視野(A221)
A-22-11 第一の観察視野A221の中央観察領域
A-22-12 第一の観察視野A221の上側非観察領域
A-22-13 第一の観察視野A221の下側非観察領域
B-31-1 観察通路B-3を含む光学顕微鏡を用いて観察される第一の実視野(B311)
B-31-2 観察通路B-3を含む光学顕微鏡を用いて観察される第二の実視野(B312)
B-31-3 観察通路B-3を含む光学顕微鏡を用いて観察される第三の実視野(B313)
B-32-1 観察通路B-3における第一の実視野B311が対物レンズで拡大された観察視野(B321)
B-32-11 観察視野B321の中央観察領域
B-32-12 観察視野B321の上側非観察領域
B-32-13 観察視野B321の下側非観察領域
C-61-1 観察通路C-6を含む光学顕微鏡を用いて観察される第一の実視野(C611)
C-61-2 観察通路C-6を含む光学顕微鏡を用いて観察される第二の実視野(C612)
D-21-1 観察通路D-2を含む光学顕微鏡を用いて観察される第一の実視野(D211)
D-21-11 観察通路D-2の第一の実視野D211の中央観察領域
D-21-12 観察通路D-2の第一の実視野D211の下側非観察領域(観察視野の上側非観察領域)
D-21-13 観察通路D-2の第一の実視野D211の上側非観察領域(観察視野の下側非観察領域)
D-21-14 観察通路D-2の第一の実視野D211の右側非観察領域(観察視野の左側非観察領域)
D-21-15 観察通路D-2の第一の実視野D211の左側非観察領域(観察視野の右側非観察領域)
α 実視野(Field Of View、FOD)の直径
β 観察視野の直径である視野数(Field Number、FN)
X、Y 観察するために走査される実視野の軌跡である、円の中心を通るスライド短辺方向の直径の一端を通る接線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14