(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109295
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】スライド棚板及び商品陳列棚
(51)【国際特許分類】
A47F 5/00 20060101AFI20220720BHJP
A47F 3/06 20060101ALI20220720BHJP
A47B 46/00 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
A47F5/00 Z
A47F3/06
A47B46/00 501B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076524
(22)【出願日】2022-05-06
(62)【分割の表示】P 2018231578の分割
【原出願日】2018-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】特許業務法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 幸平
(57)【要約】
【課題】棚板裏面にあるロック部材を手探りで探す必要はなく、片手で行え、簡単な構造で容易にロックを解除できるスライド棚板及びこれを備える商品陳列棚を提供することである。
【解決手段】スライド棚板本体部の裏面側において、上下方向に回動自在となるように取り付けられる左右方向に長尺のロック部と、固定側の付設される、スライド棚板本体部の前方移動を規制する起立状の係止突起と、を有し、スライド棚板本体部は、収納状態においてロック部の先端が、係止突起の後方に位置し、スライド棚板本体部の引き出しは、ロック部の裏面を上方に押し上げ、押し上げた状態を維持し、係止突起を乗り越えて手前に引くことで行われる。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びる左右一対の固定側レール部を備える固定側支持部と、
該固定側レール部に前後方向に移動自在に嵌合するスライド側レール部を有するスライド棚板本体部と、
該一対の固定側レール部間で固定側レール部寄りに付設される、該スライド棚板本体部の前方移動を規制する起立状の係止突起と、
左右一対のスライド側レール部間で、且つ該スライド棚板本体部の裏面側において、上下方向に回動自在となるように取り付けられる左右方向に長尺のロック部と、を備え、
該スライド棚板本体部は、収納状態において該ロック部の先端が、該係止突起の後方に位置し、該スライド棚板本体部の引き出しは、該ロック部の裏面を上方に押し上げ、押し上げた状態を維持し、該係止突起を乗り越えて手前に引くことで行われることを特徴とするスライド棚板。
【請求項2】
該ロック部は、一部が屈曲又は切り欠かれた板状体、線材またはその組み合わせであることを特徴とする請求項1記載のスライド棚板。
【請求項3】
該ロック部は、左右方向に延び厚さ方向に貫通するスリット孔が形成された板状体であり、該スライド棚板本体部の裏面には、該スリット孔に係止する差し込み片を有する支持枠が付設され、該差し込み片が、該スリット孔に遊嵌状態で差し込まれることを特徴とする請求項1又は2記載のスライド棚板。
【請求項4】
該ロック部は、スライド棚板本体部が手前に引き出された状態において、該ロック部が、該スライド棚板本体部の裏面に当接し、該当接点と、該ロック部とスリット孔の第2当接点の2点で支持されていることを特徴とする請求項3に記載のスライド棚板。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のスライド棚板を備える商品陳列棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド棚板本体部の前方移動を規制するロックの解除が、ロック部の長手方向(左右方向)のいずれの箇所においてもすることができるスライド棚板及び商品陳列棚に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパ、コンビニ、量販店、百貨店等の売場においては、商品を多段の陳列棚に陳列して販売している。商品が売れて陳列棚の手前に空きが生じると、商品の補充作業を行う。通常、商品の補充は、残った商品を陳列棚の手前に移動させ、空いた後部に新しい商品を置いている。
【0003】
通常、多段の商品陳列棚の上下の棚板間は、積載効率を高めるため、商品の高さよりやや大に設定されている。このため、商品の補充作業を円滑に行うためには、棚板を手前に引き出し、新しい商品を補充することが高さ制限を受けず望ましい。このようなスライド式商品陳列棚は、種々のものが知られている。
【0004】
特開2011-245222号公報には、ベースと、ベース上に前後方向にスライド可能に設けた棚板とを備え、棚板は、下面手前側の左右方向中間部にラッチ装置を備え、ラッチ装置は、ラッチ爪と操作部を有し、ベースは、ラッチ爪と係合する係合部を有し、操作部を上側に引き上げるとラッチ爪がベースの係合部から外れて棚板が引き出し自在になることを特徴とするスライド棚が開示されている。この発明によれば、棚板を引き出すときには、棚板下面のラッチ装置の操作部に指を掛けるようにして棚板前部の左右方向中間部を掴めば、操作部が上側に引き上げられてラッチ爪が係合部から外れるので、そのまま棚板を引き出すことができ、ラッチ解除と棚板の引き出しをワンアクションで容易に行える。また、ラッチ装置が棚板の左右方向中間部にあって、棚板前部の左右方向中間部を掴んで引き出すので、幅の広い棚板でもまっすぐに容易に引き出せる。
【0005】
特開2006-280905号公報には、長手方向に等間隔に離間した爪穴を設けた支柱を有する架台と、前記支柱に着脱自在に片持ち梁状に装着される支持フレームおよび該支持フレームに着脱自在に装着されかつ前記支柱に関して前後方向にスライド自在の棚板を含む複数組のスライド棚板組立体とを備え、前記スライド棚板組立体の各々の組にスライド機構および位置決め機構を設けた、棚板スライド式商品陳列棚が開示されている。この発明によれば、棚板を商品陳列棚の正面前方に引き出すことができるので、新旧商品の置換えを迅速かつ簡便に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-245222号公報(請求項1)
【特許文献2】特開2006-280905号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特開2011-245222号公報に記載のスライド棚は、ラッチ装置が棚板の裏側で且つ左右方向中間部にあるため、凡その位置は判るものの、実際には、ラッチ装置の位置を手探りで探す必要があり、使い勝手が悪いという問題がある。また、特開2006-280905号公報に記載の棚板スライド式商品陳列棚は、ロック部材である掛け金147が裏側で且つ左右方向の両側部にあるため、棚板本体部のフック部151aと掛け金147との係止を外すには、両手を使用する必要があり、同様に、使い勝手が悪いという問題があった。
【0008】
従って、本発明の目的は、棚板裏面にあるロック部材を手探りで探す必要はなく、片手で行え、簡単な構造で容易にロックを解除できるスライド棚板及びこれを備える商品陳列棚を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、上記課題を解決するものであり、前後方向に延びる左右一対の固定側レール部を備える固定側支持部と、該固定側レール部に前後方向に移動自在に嵌合するスライド側レール部を有するスライド棚板本体部と、該一対の固定側レール部間で固定側レール部寄りに付設される、該スライド棚板本体部の前方移動を規制する起立状の係止突起と、左右一対のスライド側レール部間で、且つ該スライド棚板本体部の裏面側において、上下方向に回動自在となるように取り付けられる左右方向に長尺のロック部と、を備え、該スライド棚板本体部は、収納状態において該ロック部の先端が、該係止突起の後方に位置し、該スライド棚板本体部の引き出しは、該ロック部の裏面を上方に押し上げ、押し上げた状態を維持し、該係止突起を乗り越えて手前に引くことで行われることを特徴とするスライド棚板を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、該ロック部は、一部が屈曲又は切り欠かれた板状体、線材またはその組み合わせであることを特徴とする前記スライド棚板を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、該ロック部は、左右方向に延び厚さ方向に貫通するスリット孔が形成された板状体であり、該スライド棚板本体部の裏面には、該スリット孔に係止する差し込み片を有する支持枠が付設され、該差し込み片が、該スリット孔に遊嵌状態で差し込まれることを特徴とする前記スライド棚板を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、該ロック部は、スライド棚板本体部が手前に引き出された状態において、該ロック部が、該スライド棚板本体部の裏面に当接し、該当接点と、該ロック部とスリット孔の第2当接点の2点で支持されていることを特徴とする前記スライド棚板を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、前記スライド棚板を備える商品陳列棚を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スライド棚板を備える商品陳列棚において、スライド棚板の前方移動を規制するロックの解除が、ロック部の長手方向(左右方向)のいずれの箇所において且つ片手で行え、使い勝手がよい。また、ロック部に形成されたスリット孔に固定側の支持枠の差し込み片が嵌るだけでロック部の保持と回動が可能であり、構造が簡単で使い易い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態におけるスライド棚板を備える商品陳列棚の斜視図である。
【
図2】
図1の商品陳列棚において、棚板を手前に引き出した状態を示す斜視図である。
【
図4】
図1の商品陳列棚において、棚板収納状態における裏側から見た斜視図である。
【
図5】
図1の商品陳列棚において、棚板引き出した状態における裏側から見た斜視図である。
【
図6】商品陳列棚において、棚板収納状態を裏側から見た他の斜視図である。
【
図7】ロック部の取り付け構造を説明する一部を分解して示す図である。
【
図8】スライド棚板のロック状態(陳列状態)を示す断面図である。
【
図12】
図11に続く工程であり、再ロックに移る断面図である。
【
図13】
図12に続く工程であり、ロック操作を説明する断面図である。
【
図16】ロック解除の方法を説明する平面図である。
【
図17】ロック部(ロック板)の支持方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のスライド棚板は、固定側支持部とスライド棚板本体部を備える。固定側支持部は、例えば、左右の支柱に付設されるブラケット間に差し渡しで付設されるものであり、前後方向に延びる左右一対の固定側レール部と、該左右一対の固定側レール部を接続する左右方向に延びる長尺状の連結体を備えるものが挙げられる。
【0017】
本発明において、固定側レール部とスライド側レール部の連結方法としては、固定側支持部に対して、スライド棚板本体部が前後方向にスライド自在に付設されるものであればよく、公知のスライド機構あるいはスライド構造を採用することができる。
【0018】
本発明において、起立状の係止突起は、一対の固定側レール部間で固定側レール部寄りに付設される。すなわち、係止突起は、接続部を介在させて固定側レール部に固定、固定側支持部に固定、あるいは、固定側レール部と固定側支持部の両方に固定の、いずれであってもよい。また、係止突起は、一対の固定側レール部間で固定側レール部の近傍とすることが、ロックの操作範囲(左右方向)が広がる点で好ましい。また、係止突起は、固定側支持部の前方部に形成することが、ロック部に指先が届き易い点で好ましい。また、係止突起の形状としては、起立体を構成する後方壁が鉛直又は後方上り傾斜状であるものが、係止効果が高い点で好ましい。係止突起の高さは、数mm~十mmの間で適宜決定される。
【0019】
本発明において、ロック部は、左右一対のスライド側レール部間に差し渡しに近い長さで、且つスライド棚板本体部の裏面側において、前方部が上下方向に回動自在となるように取り付けられる左右方向に長尺のものである。すなわち、ロック部の取り付けは、ロック部の短手方向の後部側であり、左右縁端は接続されることがないフリーの状態である。また、ロック部の左右端は、係止突起に対応する位置まで延びる長さ寸法を有する。
【0020】
本発明において、ロック部としては、板状体、一部が屈曲又は切り欠かれた板状体、線材及びその組み合わせが挙げられる。この内、板状体又は一部が屈曲又は切り欠かれた板状体が、ロックを解除する際、左右方向のいずれの箇所においても指が掛かる点で好ましい。一部が屈曲した板状体としては、左右一対のスライド側レール部間に差し渡しに近い長さの板状本体部と、該板状本体部の前端が上方に屈曲し固定側に付設される起立状の係止突起に当接する折り曲げ部を有するものが挙げられる。
【0021】
本発明において、ロック部が板状体の場合、左右方向に延び厚さ方向に貫通するスリット孔が後部側に形成されている。スリット孔は、1個又は複数個、好ましくは2個形成されたものが好ましい。また、スライド棚板本体部の裏面には、スリット孔に係止する差し込み片を有する支持枠が固設され、差し込み片が、スリット孔に遊嵌状態で差し込まれ、ロック部である板状体を前方下り傾斜で支持するものである。ロック部が線材の場合、スリット孔が形成される部分は板状とすることが好ましい。また、本発明のロック板において、スリット孔から後方端までの長さは、後端部がスライド棚板本体部の裏面に近接又は当接するような寸法を有し、スライド棚板本体部が手前に引き出された状態において、ロック部の傾斜姿勢の保持を可能にしている。
【0022】
次に、本発明の実施の形態におけるスライド棚板及びこれを用いた商品陳列棚を
図1~
図17を参照して説明する。本明細書中、「前後」及び「左右」は、使用状態における顧客側を正面とした方向を示す。スライド棚板10は、前後方向に延びる左右一対の固定側レール部111を備える固定側支持部11と、固定側レール部111に前後方向に移動自在に嵌合するスライド側レール部13を有するスライド棚板本体部12と、を有する。固定側支持部11は、左右一対の前後方向に延びる略L字断面の固定側レール部111、111と、固定側レール部111、111を接続する左右方向に延びる長尺状の連結体113とからなる。固定側レール部111は、L字を形成する縦部となる起立板117が外側に位置しており、起立板117の上部の一部、本例では前後方向の3か所で、外側に屈曲し係止片を構成している。この係止片には、ブラケット111、112のスリット孔が嵌る。ブラケット111、112は、支柱21、21の係止孔に固定される。これにより、固定側支持部11は、固定状態となっている。
【0023】
また、固定側レール部111、111のL字を形成する横部となる底板116上には、スライド側レール部13が嵌り、固定側レール部111、111の起立板117とスライド側レール部13の外側板131が固定される。なお、スライド側レール部13は、外側板131と内側板132が内車輪(不図示)を介して互いに前後方向にスライド自在に接合している。また、底板116の前方の内側端は、底板116の内側端から上方に起立する小起立板118が形成され、小起立板118の先端には、係止突起115が形成されている。
【0024】
スライド棚板本体部12は、板状の陳列本体部121と、陳列本体部121の裏面から下方に垂下状で前後方向に延びる両端近傍に付設される係止板122と、陳列本体部121の裏面に付設されるロック部14を有する。係止板122は、スライド側レール部13の内側板132と接続固定される。これにより、スライド棚板部12は、固定側支持部11に対して、前後方向にスライド移動自在となる。
【0025】
ロック部14は、左右一対のスライド側レール部13、13間で、且つスライド棚板本体部の裏面側において、前方部が上下方向に回動自在となるように取り付けられる左右方向に長尺のものである。本例では、ロック部14は、一部が切り欠かれ屈曲部を有する板状体(ロック板)であり、両端はスライド側レール部13、13の内側板132の近傍まで延びている。すなわち、ロック板14は、横方向に長い板状本体部の短手方向の後端部が支持され、前方部が前後方向に回動自在に支持されている。このため、ロック板14は、重力により前方部は垂れ下がりの支持となる。また、ロック板14には、左右方向に延び厚さ方向に貫通する長手方向に離れて2つのスリット孔16、16が後部側に形成されている。スリット孔16には、固定側の支持枠の差し込み片が差し込まれ、ロック板14が支持される。
【0026】
ロック構造は、スリット孔16が形成されたロック板14と、ロック板14を支持する支持枠15bを有する固定部15を有する。固定部15は、本例では、板状の本体部121の裏面において、スリット孔16に対応する箇所の2カ所に形成されている。固定部15は、
図17に示すように、側面視がコ字断面の嵩上げ部15aと、嵩上げ部15aに固定される下から被せる蓋状の支持枠15bとからなる。嵩上げ部15aには、板状の本体部121(スライド棚板本体部の裏面)に固定される鍔部154が付設されている。支持枠15bは、底板151と底板の前端から上り傾斜で前方に延びる差し込み片152とからなる。底板151は、嵩上げ部15aの底板にねじ止めされている。また、底板151の前後幅寸法は、嵩上げ部15aの底板の幅寸法より大である。これにより、支持枠15bの差し込み片152と、嵩上げ部15a及び鍔部154(板状の本体部121の裏面)との間に、ロック板14のスリット孔16から後方に延びる後部片144の差し込み長さl
1以上の隙間が形成されることになる。
【0027】
スリット孔16のスリット幅(上下方向の幅寸法)は、支持枠15bの差し込み片152の厚みより大きく、スリット孔長さは、支持枠15bの差し込み片152の幅寸法よりやや大きい。スリット孔16のスリット幅寸法及び差し込み片152の厚み寸法は、ロック板14がロック解除の際、係止突起115を超える程度に可動できる幅寸法でよく、例えば、陳列状態におけるロック板14の傾斜姿勢からロックが解除され、ロック板14が水平姿勢となる位置で回動自在となるように決定される。このため、ロック板14は、固定部15に制限された一定の範囲内において回動自在に支持されている。ロック板14の回動範囲が狭くとも、小さな高さの係止突起115を超えるには十分である。また、ロック板14は、ロック時、前下端143が、固定側の小起立板118の上面に当たるか、係止突起115に当たり、スライド棚板を停止させている。
【0028】
ロック状態において、ロック板14の後部片144の差し込み長さ(l
1)は、スライド棚板の本体部121の裏面、本例では、嵩上げ部15aの鍔部154に近接又は接触している長さである。ロック板14の後端が、スライド棚板の本体部121の裏面又は嵩上げ部15aの鍔部154に当接している場合、ロック板14は、スライド棚板本体部121との内角(
図17中、符号α)が17~25度であり、スリット孔16より中に入る後部片144の差し込み長さl
1は、10mm~20mm程度である。また、固定部15の差し込み片152の上端からスリット孔16までの寸法l
2は、l
1より小である。
【0029】
商品陳列棚20は、スライド棚板10を備える。すなわち、スライド棚板10の固定側レール部に付設されたブラケット112、112が支柱21、21の係止孔に係止され、固定される。なお、
図1及び
図2の商品陳列棚20は、簡略的にひとつのスライド棚板10を設置しているが、通常、上下に複数設置した多段の棚板を構成している。
【0030】
次に、スライド棚板10の使用方法を
図8~
図17を参照して説明する。商品陳列状態、すなわち、使用状態において、スライド棚板本体部12は、固定側支持部11の奥側に収納されている(
図8)。この状態において、ロック板14の前端143は、固定側の係止突起115の後側に位置しており、且つ小起立板118の上面に載っている。また、ロック板14の後部片144の後端は、板状本体部121の裏面、本例では、嵩上げ部に接続する鍔部154の裏面の近くに位置している。
図8において、スライド棚板本体部12が意に反して前方に移動した場合、ロック板14の前端143が、係止突起115に当たり、スライド棚板本体部12の前方移動を規制する。
【0031】
次に、陳列棚面に新たな商品を補充又は古い商品の入れ替えをする際、スライド棚板本体部12を手前に引き出す。その際、指をスライド棚板本体部12の裏面のロック板14の下側で且つ後方に差し入れる(
図9参照)。この際、
図16に示すように、ロック板14は、左右方向に長尺であり、指を入れる箇所は、スライド棚板本体部12の左右方向のいずれの箇所であってもよい。次いで、ロック板14を上方に押し上げる。ロック板14は、支持枠15bに支持されており、スリット孔16と差し込み片152の当接点を回動中心として、回動可能である(
図9及び
図10)。
【0032】
次に、ロック板14を上方に押し上げたまま、係止突起115を超えて、スライド棚板本体部12を前方に引き出す(
図11)。引き出しは、スライド棚板本体部12の裏面に形成された横方向に延びる桟部材と係止突起の係止により停止する。スライド棚板本体部12の引き出し後、ロック板14から指を外し、品出しの作業にかかる。この際、ロック板14の後部片144の後端が、スライド棚板本体部12の裏面に当接し、ロック板14は、この当接点とロック板14とスリット孔16との第2当接点の2点で支持され、ぶら下がり状で保持される(
図12)。
【0033】
新たな商品の補充や品出しの作業が終了すると、スライド棚板本体部12を元の位置に戻す。その際、ロック板14はぶら下がり支持であり、係止突起115を乗り越えるように回動して、元の位置に戻る(
図13~
図15)。
【0034】
本例のロック構造は、ロック板14のスリット孔16に、支持枠15bの後方下り傾斜の差し込み片152が、ロック板14の面に対して略直交して、差し込まれていること、スリット孔16と支持枠15bは、少しの遊びを持って支持されていること、ロック板14の後部片144の差し込み長さが長く、且つその後端はスライド棚板本体部12の裏面に近接又は当接していること、などの理由から、簡易な構造で、ロック板14の保持と回動が円滑である。また、ロック板14は、左右方向に長く延びており、左右方向にいずれの箇所においても操作ができる。
【0035】
本発明において、上記実施の形態例に限定されず、種々の変形を採ることができる。固定部は、嵩上げ部と支持枠が一体化されたものでよい。例えば、底板、左右側板、前後側板を有するボックス形状でもよく、底板、前後側板を有する前後が開口の枠体形状でもよい。また、ロック板の先端の起立片はなくてもよい。この場合、板状体の先端が係止突起に傾斜状で係止する。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、スライド棚板の前方移動を規制するロックの解除が、ロック部の長手方向(左右方向)のいずれの箇所においてもすることができ作業者にとって使い勝手がよい。また、ロック部に形成されたスリット孔に、固定側の支持枠の差し込み片が嵌るだけでロック部の保持と回動が可能であり、構造が簡単で製作コストを抑制できる。