(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109304
(43)【公開日】2022-07-27
(54)【発明の名称】ポリエチレン系樹脂組成物及びポリエチレン系樹脂包装材
(51)【国際特許分類】
C08L 23/08 20060101AFI20220720BHJP
B65D 65/00 20060101ALI20220720BHJP
C08K 3/00 20180101ALI20220720BHJP
C08K 3/26 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
C08L23/08
B65D65/00 A
C08K3/00
C08K3/26
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078394
(22)【出願日】2022-05-11
(62)【分割の表示】P 2021559739の分割
【原出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】399010936
【氏名又は名称】日本サニパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】堀籠 良博
(72)【発明者】
【氏名】大崎 学
(72)【発明者】
【氏名】山本 圭輔
(72)【発明者】
【氏名】中川 康弘
(57)【要約】
【課題】無機化合物が添加されていても成形性に優れ、製袋加工性及びフィルム強度に優れたフィルムが得られるポリエチレン系樹脂組成物、及び、それを用いたポリエチレン系樹脂包装材を提供することを目的とする。
【解決手段】無機化合物と、エチレン-α-オレフィン共重合体とを含むポリエチレン系樹脂組成物において、エチレン-α-オレフィン共重合体の少なくとも一部に、α-オレフィンの炭素数が6~8であり、かつメルトフローレートが0.8g/10分以上4.0g/10分以下であるエチレン-α-オレフィン共重合体Aを用い、前記無機化合物の含有量を50質量%以上80質量%以下とし、前記エチレン-α-オレフィン共重合体Aの含有量を10質量%以上50質量%以下とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機化合物と、エチレン-α-オレフィン共重合体とを含む樹脂組成物であって、
前記エチレン-α-オレフィン共重合体の少なくとも一部は、α-オレフィンの炭素数が6~8であり、かつメルトフローレートが0.8g/10分以上4.0g/10分以下であるエチレン-α-オレフィン共重合体Aであり、
前記無機化合物の含有量が、前記樹脂組成物の総質量に対して50質量%以上80質量%以下であり、
前記エチレン-α-オレフィン共重合体Aの含有量が、前記樹脂組成物の総質量に対して10質量%以上50質量%以下である、ポリエチレン系樹脂組成物。
【請求項2】
前記エチレン-α-オレフィン共重合体Aの融点が90℃以上130℃以下である、請求項1に記載のポリエチレン系樹脂組成物。
【請求項3】
前記無機化合物が炭酸カルシウムである、請求項1又は2に記載のポリエチレン系樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂組成物により形成されたポリエチレン系樹脂包装材。
【請求項5】
ゴミ袋、レジ袋、ファッションバッグ、収納袋又は包装袋である、請求項4に記載のポリエチレン系樹脂包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレン系樹脂組成物及びポリエチレン系樹脂包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン系樹脂包装材は、ゴミ袋、レジ袋、ファッションバッグ等のほか、多くの用途で使用されている。近年、地球温暖化に伴い、二酸化炭素の発生量の削減が強く求められており、樹脂使用量を抑えることが重要である。樹脂使用量を低減する方法としては、成形性を確保しつつ、樹脂に無機化合物を添加する方法が知られている。特許文献1、2には、樹脂に炭酸カルシウムを添加することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3366942号公報
【特許文献2】特開2018-21121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1と特許文献2の炭酸カルシウムを配合したフィルムでは、ヒートシールによる製袋加工性やフィルム強度が劣る。
【0005】
本発明は、無機化合物が添加されていても成形性に優れ、製袋加工性及びフィルム強度に優れたフィルムが得られるポリエチレン系樹脂組成物、及び、前記ポリエチレン系樹脂組成物を用いたポリエチレン系樹脂包装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、メルトフローレートが特定の範囲で、かつα-オレフィンの炭素数が6~8であるエチレン-α-オレフィン共重合体を用いることで、無機化合物を配合しても優れた成形性、製袋加工性を確保でき、フィルム強度に優れたポリエチレン系樹脂包装材が得られることを見出した。
【0007】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]無機化合物と、エチレン-α-オレフィン共重合体とを含む樹脂組成物であって、前記エチレン-α-オレフィン共重合体の少なくとも一部は、α-オレフィンの炭素数が6~8であり、かつメルトフローレートが0.8g/10分以上4.0g/10分以下であるエチレン-α-オレフィン共重合体Aであり、前記無機化合物の含有量が、前記樹脂組成物の総質量に対して50質量%以上80質量%以下であり、前記エチレン-α-オレフィン共重合体Aの含有量が、前記樹脂組成物の総質量に対して10質量%以上50質量%以下である、ポリエチレン系樹脂組成物。
[2]前記エチレン-α-オレフィン共重合体Aの融点が90℃以上130℃以下である、[1]に記載のポリエチレン系樹脂組成物。
[3]前記無機化合物が炭酸カルシウムである、[1]又は[2]に記載のポリエチレン系樹脂組成物。
[4][1]~[3]のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂組成物により形成されたポリエチレン系樹脂包装材。
[5]ゴミ袋、レジ袋、ファッションバッグ、収納袋又は包装袋である、[4]に記載のポリエチレン系樹脂包装材。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、無機化合物が添加されていても成形性に優れ、製袋加工性及びフィルム強度に優れたフィルムが得られるポリエチレン系樹脂組成物、及び、前記ポリエチレン系樹脂組成物を用いたポリエチレン系樹脂包装材を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[ポリエチレン系樹脂組成物]
本発明のポリエチレン系樹脂組成物(以下、「PE系樹脂組成物」と記す。)は、無機化合物と、エチレン-α-オレフィン共重合体とを含む。
【0010】
エチレン-α-オレフィン共重合体は、エチレンとα-オレフィンとを用いた共重合によって得られる共重合体であり、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であることが好ましい。本発明のPE系樹脂組成物に含まれるエチレン-α-オレフィン共重合体の少なくとも一部は、α-オレフィンの炭素数が6~8であり、かつメルトフローレート(MFR)が0.8g/10分以上4.0g/10分以下であるエチレン-α-オレフィン共重合体A(以下、「共重合体A」と記す。)である。
【0011】
共重合体Aに用いるα-オレフィンの炭素数は、6以上8以下である。共重合体Aに用いるα-オレフィンとしては、具体的には、1-ヘキセン、1-オクテンを例示できる。共重合体Aに用いるα-オレフィンは、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0012】
共重合体AのMFRは、0.8g/10分以上4.0g/10分以下であり、0.8g/10分以上2.0g/10分以下が好ましく、0.8g/10分以上1.5g/10分以下がより好ましく、0.8g/10分以上1.2g/10分以下がさらに好ましい。共重合体AのMFRが前記範囲の下限値以上であれば、成形温度が低くても優れた成形性を確保できるため、共重合体Aの劣化を抑制できる。共重合体AのMFRが前記範囲の上限値以下であれば、溶融張力が低くなりすぎないため、フィルム成形が容易になる。
なお、MFRは、190℃に加熱した樹脂(重合体)に荷重2.16kgの荷重をかけ、直径2.09mmのオリフィスから10分間で流れ出る樹脂の量を測定した値である。
【0013】
共重合体Aの融点は、90℃以上130℃以下が好ましく、100℃以上125℃以下がより好ましい。共重合体Aの融点が前記範囲の下限値以上であれば、ヒートシールによる製袋時のシール形状が良好になる。共重合体Aの融点が前記範囲の上限値以下であれば、ヒートシール時間を短くでき、製袋速度(生産速度)が向上する。
なお、融点は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定した融解ピークに対応する温度である。
【0014】
共重合体Aとしては、例えば、α-オレフィンの炭素数が6であるLLDPE(C6-LLDPE)、α-オレフィンの炭素数が8であるLLDPE(C8-LLDPE)のうち、MFRが前記範囲を満たすものを例示できる。
PE系樹脂組成物に含まれる共重合体Aは、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0015】
共重合体Aの製造方法は、特に限定されず、例えば、チタン等の遷移金属を主体とするチーグラー型触媒を用いた重合、クロム系触媒を主体とするフィリップス型触媒を用いた重合、メタロセン系触媒を主体とするカミンスキー型触媒を用いた重合を例示できる。重合方法としては、溶液重合法、スラリー重合法、気相重合法、高圧イオン重合法のいずれでもよい。また、1段重合でもよく、2段以上の多段重合でもよい。
【0016】
本発明のPE系樹脂組成物は、共重合体A以外の他のエチレン-α-オレフィン共重合体を含んでいてもよい。他のエチレン-α-オレフィン共重合体としては、特に限定されず、例えば、α-オレフィンの炭素数が4であるエチレン-α-オレフィン共重合体を例示でき、α-オレフィンの炭素数が4であるLLDPE(C4-LLDPE)が好ましい。PE系樹脂組成物に含まれる共重合体A以外の他のエチレン-α-オレフィン共重合体は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0017】
本発明の効果を損なわない範囲であれば、本発明のPE系樹脂組成物は、共重合体A以外に、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、エチレン-酢酸ビニル樹脂(EVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-プロピレン共重合体等を含んでもよい。
【0018】
本発明のPE系樹脂組成物に含まれる樹脂成分としては、共重合体Aのみ、共重合体AとC4-LLDPEの組み合わせ、共重合体AとHDPEの組み合わせ、共重合体AとC4-LLDPEとHDPEの組み合わせが好ましい。
【0019】
PE系樹脂組成物中の共重合体Aの含有量は、PE系樹脂組成物の総質量に対して、10質量%以上50質量%以下であり、13質量%以上50質量%以下が好ましく、16質量%以上50質量%以下がより好ましい。共重合体Aの含有量が前記範囲の下限値以上であれば、十分なフィルム強度が得られる。共重合体Aの含有量が前記範囲の上限値以下であれば、樹脂使用量を抑える効果が十分に得られる。
【0020】
本発明のPE系樹脂組成物がC4-LLDPEを含む場合、PE系樹脂組成物中のC4-LLDPEの含有量は、PE系樹脂組成物の総質量に対して、10質量%以上40質量%以下が好ましく、20質量%以上40質量%以下がより好ましい。C4-LLDPEの含有量が前記範囲の下限値以上であれば、安定した成形性が得られる。C4-LLDPEの含有量が前記範囲の上限値以下であれば、樹脂使用量を抑える効果が十分に得られる。
【0021】
本発明のPE系樹脂組成物がHDPEを含む場合、PE系樹脂組成物中のHDPEの含有量は、PE系樹脂組成物の総質量に対して、5質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。HDPEの含有量が前記範囲の下限値以上であれば、フィルムの製袋性が安定する。HDPEの含有量が前記範囲の上限値以下であれば、樹脂使用量を抑える効果が十分に得られる。
【0022】
PE系樹脂組成物中の全樹脂成分の含有量は、PE系樹脂組成物の総質量に対して、20質量%以上50質量%以下が好ましく、25質量%以上50質量%以下がより好ましく、30質量%以上50質量%以下がさらに好ましい。全樹脂成分の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、十分なフィルム強度が得られやすい。全樹脂成分の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、樹脂使用量を抑える効果が十分に得られる。
【0023】
PE系樹脂組成物に含まれる無機化合物としては、特に限定されず、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、クレー、タルク、カオリン、水酸化アルミニウムを例示できる。なかでも、炭酸カルシウムが好ましい。無機化合物としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
炭酸カルシウムとしては、石灰石を機械的に粉砕した、いわゆる重質炭酸カルシウムであってもよく、炭酸ガス化合法により得られる、いわゆる沈降性炭酸カルシウムであってもよい。炭酸カルシウムは、表面処理を施したものであってもよく、表面処理を施していないものであってもよい。炭酸カルシウムとしては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
炭酸カルシウムの平均粒径は、5.0μm以下が好ましく、3.0μm以下がより好ましい。炭酸カルシウムの平均粒径が前記範囲の上限値以下であれば、優れた成形性を確保でき、フィルム成形時に凝集や粒子自体の大きさに起因する穴、外観不良等の欠陥が生じにくい。炭酸カルシウムの平均粒径の下限は、好ましくは0.1μmである。炭酸カルシウムの平均粒径は、0.1μm以上5.0μm以下が好ましい。なお、炭酸カルシウムの平均粒径は、空気透過法によって測定される。
【0026】
炭酸カルシウムのトップカット粒径は、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。なお、トップカット粒径は、X線透過式粒度分布測定器によって測定される。
炭酸カルシウムの45μm篩残渣は、好ましくは0.01質量%以下である。なお、45μm篩残渣は、JIS標準ふるいによって測定される。
【0027】
本発明のPE系樹脂組成物中の無機化合物の含有量は、樹脂組成物の総質量に対して、50質量%以上80質量%以下であり、50質量%以上75質量%以下が好ましく、50質量%以上70質量%以下がより好ましい。無機化合物の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、樹脂使用量を抑える効果が十分に得られる。無機化合物の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、十分なフィルム強度が得られる。
【0028】
本発明のPE系樹脂組成物は、必要に応じて添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、分散剤、顔料、帯電防止剤、動物等の忌避剤を例示できる。添加剤は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
本発明のPE系樹脂組成物中の添加剤の含有量は、PE系樹脂組成物の総質量に対して、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
【0029】
本発明のPE系樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、各成分を単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等によって混合する方法を例示できる。共重合体A、及び必要に応じて使用する共重合体A以外の樹脂成分の一部と、無機化合物や添加剤とを予め混合してマスターバッチを作製し、前記マスターバッチと樹脂成分の残部とを混合してもよい。
PE系樹脂組成物の製造時の混合温度は、適宜調整でき、例えば、150℃以上190℃以下とすることができる。
【0030】
[ポリエチレン系樹脂包装材]
本発明のポリエチレン系樹脂包装材(以下、「PE系樹脂包装材」と記す。)は、本発明のPE系樹脂組成物によって形成された包装材である。本発明のPE系樹脂包装材の態様は、本発明のPE系樹脂組成物を用いる以外は、公知の態様を採用できる。
PE系樹脂包装材の用途としては、特に限定されず、例えば、ゴミ袋、レジ袋、ファッションバッグ、収納袋、包装袋を例示できる。
【0031】
本発明のPE系樹脂包装材の製造方法は、本発明のPE系樹脂組成物を用いる以外は、公知の方法を採用できる。例えば、本発明のPE系樹脂組成物をフィルム状に成形し、ヒートシールによって製袋する方法を例示できる。フィルム状に成形する方法は、例えば、インフレーション成形、Tダイ押出成形等を例示できる。
【0032】
成形温度(押出温度)は、適宜調整でき、例えば、150℃以上190℃以下とすることができる。
フィルムの厚さは、用途に応じて適宜設定すればよく、例えば、10μm以上70μm以下とすることができる。
【0033】
以上説明したように、本発明では、PE系樹脂組成物において、特定の共重合体Aを特定の比率で含有させる。これにより、無機化合物の含有量が多くても優れた成形性を確保でき、また製袋加工性、フィルム強度に優れたフィルムが得られる。また、本発明のPE系樹脂組成物を使用して得られるPE系樹脂包装材は、高い生産性で製造でき、重量物の包装運搬に耐えることができる。
【実施例0034】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
【0035】
[略号]
以下の略号は、以下の意味を示す。
(共重合体A)
A-1:C6-LLDPE、商品名「ノバテックSF720」、日本ポリエチレン社製、MFR:0.8g/10分、融点:124℃。
A-2:C6-LLDPE、商品名「ハーモレックスNC564A」、日本ポリエチレン社製、MFR:3.5g/10分、融点:124℃。
A-3:C6-LLDPE、商品名「D139FK」、Chevron Phillips Chemical社製、MFR:1.0g/10分、融点:90℃。
A-4:C6-LLDPE、商品名「エボリュー(登録商標)2320」、Prime Polymers社製、MFR:1.8g/10分、融点:118℃。
A-5:C8-LLDPE、商品名「モアテック(登録商標)0168N」、Prime Polymers社製、MFR:1.2g/10分、融点:125℃。
A-6:C8-LLDPE、商品名「0138NK」、Prime Polymers社製、MFR:1.5g/10分、融点:117℃。
【0036】
(他の重合体B)
B-1:C4-LLDPE、商品名「FS153S」、Sumitomo Chemical Asia社製。
B-2:C6-LLDPE、商品名「TZ050」、東ソー社製、MFR:0.5g/10分、融点:119℃。
B-3:C6-LLDPE、商品名「ハーモレックスNH645A」、日本ポリエチレン社製、MFR:8.0g/10分、融点:121℃。
B-4:HDPE、商品名「FJ00952」、Saudi Basic Industries Corporation製。
【0037】
[製造例1]
炭酸カルシウム(ライトンBS-0、平均粒径1.0μm、備北粉化工業社製)80質量%、及び共重合体A-5(C8-LLDPE)ペレット20質量%をスーパーミキサーで5分間混合した後、2軸押出機によりストランド状に押出し、ペレット状に切断してマスターバッチ(MB-1)を得た。
【0038】
[製造例2]
共重合体A-5の代わりに、共重合体A-4(C6-LLDPE)を用いた以外は、製造例1と同様にしてマスターバッチ(MB-2)を得た。
【0039】
[製造例3]
共重合体A-5の代わりに、重合体B-1(C4-LLDPE)を用いた以外は、製造例1と同様にしてマスターバッチ(MB-3)を得た。
【0040】
[実施例1]
インフレーション成形機として、シリンダーの内径が55mm、スクリューのL/Dが32の押出機(プラコー社製)と、ダイス径100mmφ、リップ3mmの環状ダイを使用した。
MB-1が65質量%、重合体B-1(C4-LLDPE)が35質量%となるように、それらを計量しながら押出機に投入してPE系樹脂組成物を調製しつつ、インフレーション成形にて厚さ30μm、折幅460mmのチューブ状のフィルムを成形した。押出温度は170℃とし、ブロー比は約3.0とした。次いで、製袋機(野崎工業製)によって長さ方向に600mm間隔でヒートシール後にカットして袋体を作製した。ヒートシール温度は、160℃~180℃とした。
フィルム(PE系樹脂組成物)中の炭酸カルシウムの含有量は52質量%であり、共重合体Aの含有量は13質量%であった。
【0041】
[実施例2~6]
PE系樹脂組成物の組成を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして袋体を作製した。
【0042】
[実施例7~10]
PE系樹脂組成物の組成を表1に示すとおりに変更し、フィルムの厚さを20μmとした以外は、実施例1と同様にして袋体を作製した。
【0043】
[比較例1~5]
PE系樹脂組成物の組成を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして袋体を作製した。
【0044】
[フィルム成形性]
各例のフィルム成形時のチューブの安定性を確認し、以下の基準に従って成形性を評価した。
「1」:通常樹脂(無機化合物を含まないもの)よりも安定している。
「2」:通常樹脂と同様に安定している。
「3」:通常樹脂よりも多少不安定であるが連続成形できる。
「4」:不安定で成形できない。
【0045】
[製袋加工性]
製袋時の生産速度とシール部の仕上がり形状を確認し、以下の基準に従って成形性を評価した。
「1」:無機物が無い場合よりも生産速度及びシール部の仕上りが向上している。
「2」:無機物がない場合と同等。
「3」:無機物がない場合と比べてシール形状の仕上がりが悪い。
「4」:無機物がない場合と比べて生産速度が非常に劣る。
【0046】
[フィルム強度]
各例で成形したフィルムを親指で突き刺し、突き刺した穴に力をかけたときの破れの広がりを確認して、以下の基準に従ってフィルム強度を評価した。
(評価基準)
「1」:容易に突刺せない。
「2」:突き刺した穴から破れが広がらない。
「3」:突き刺した穴から破れが広がる。
「4」:指で容易に突き刺せる。
【0047】
各例のPE系樹脂組成物の組成、フィルムの厚さ、及び評価結果を表1及び表2に示す。
なお、表1及び表2において、「LLDPE(C6~C8)」とは、α-オレフィンの炭素数が6~8であるLLDPEを意味する。「CaCO3含有量」とは、PE系樹脂組成物(フィルム)中の炭酸カルシウムの含有量を意味する。「LLDPE(C6~C8)含有量」とは、PE系樹脂組成物(フィルム)中のα-オレフィンの炭素数が6~8であるLLDPEの合計含有量を意味する。「共重合体A含有量」とは、PE系樹脂組成物(フィルム)中の共重合体Aの含有量を意味する。MFRの欄における「1.0,1,2」とは、MFRが1.0g/10分のLLDPEと、MFRが1.2g/10分のLLDPEとを併用していることを意味し、他の欄も同様である。融点の欄における「90,118」とは、融点が90℃のLLDPEと、融点が118℃のLLDPEとを併用していることを意味し、他の欄も同様である。
【0048】
【0049】
【0050】
表1及び表2に示すように、PE系樹脂組成物が共重合体Aを特定の比率で含む実施例1~10では、フィルム成形性、製袋加工性及びフィルム強度がいずれも優れていた。
一方、PE系樹脂組成物が共重合体Aを含まない比較例1~4、及び、PE系樹脂組成物中の共重合体Aの含有量が少ない比較例5は、フィルム成形性、製袋加工性及びフィルム強度のうちの1つ以上が劣っていた。