(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022010933
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】風呂システム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20220107BHJP
【FI】
F24H1/00 602N
F24H1/00 602W
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111735
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺西 将弘
【テーマコード(参考)】
3L024
【Fターム(参考)】
3L024CC10
3L024DD22
3L024DD23
3L024DD27
3L024EE03
3L024EE05
3L024EE09
3L024EE14
3L024EE16
3L024FF02
3L024FF15
3L024GG31
3L024GG50
3L024HH51
(57)【要約】
【課題】入浴のスケジュールを登録した複数のユーザのいずれかが入浴中止の操作を行わずに入浴を中止する状況が生じても、浴槽に関する不要な運転が行われるのを防止することができる風呂システムを提供する。
【解決手段】風呂システム1は、入浴のスケジュールを登録した各ユーザの入浴予定時間帯の開始前に該ユーザが入浴を実施するか否かを該ユーザの操作によらずに判断し得る入浴判断部21aを有し、その判断結果が否定的になるユーザが存在するとき、該ユーザの入浴予定時間帯での浴槽状態を、該ユーザ用の浴槽状態の目標値に応じて調整することを実行せずに、次の入浴予定時間帯での浴槽状態の目標値に応じて浴槽状態を調整する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽内の湯水の温度と該浴槽内の湯水の水位とのうちの少なくとも一方を含む浴槽状態を調整可能な風呂システムであって、
複数のユーザのそれぞれの入浴予定時間帯と該入浴予定時間帯での浴槽状態の目標値とを示す入浴設定データがあらかじめ入力され、該入浴設定データを記憶する記憶部と、
各ユーザに対応する入浴予定時間帯の開始前に該ユーザが該入浴予定時間帯での入浴を実施するか否かを該ユーザの操作によらずに判断し得る入浴判断部と、
該入浴判断部による判断結果が否定的になるユーザが存在するとき、該ユーザに対応する入浴予定時間帯での浴槽状態を、該ユーザに対応する浴槽状態の目標値に応じて調整することを実行せずに、該ユーザに対応する入浴予定時間帯の次の入浴予定時間帯での浴槽状態の目標値に応じて当該次の入浴予定時間帯での浴槽状態を調整する浴槽状態調整部とを備えることを特徴とする風呂システム。
【請求項2】
請求項1記載の風呂システムにおいて、
前記入浴判断部は、前記複数のユーザのうち、該複数の在宅している各ユーザが所持する携帯端末から出力される所定種類の近距離無線通信方式での無線信号を宅内で検出可能に構成されていると共に、各ユーザに対応する入浴予定時間帯の開始前の所定の期間内で該ユーザに対応する携帯端末から出力される前記無線信号が検出されることを必要条件として、該ユーザが対応する入浴予定時間帯での入浴を実施すると判断し、前記所定の期間内で該ユーザに対応する携帯端末から出力される前記無線信号が検出されない場合には、該ユーザが対応する入浴予定時間帯での入浴を実施しないと判断するように構成されていることを特徴とする風呂システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の風呂システムにおいて、
前記記憶部は、前記複数のユーザのそれぞれの入浴予定時間帯のうち、隣り合う入浴予定時間帯のそれぞれに対応する浴槽状態の目標値が互いに異なる場合に、当該隣り合う入浴予定時間帯の間に、当該隣り合う入浴予定時間帯のいずれにも含まれない時間帯が存在することを必要条件として当該隣り合う入浴予定時間帯のそれぞれに対応する前記入浴設定データを記憶するように構成されていることを特徴とする風呂システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の風呂システムにおいて、
前記入浴判断部は、入浴を実施しないと判断したユーザが存在するとき、該ユーザである入浴不実施ユーザ以外の各ユーザに、該入浴不実施ユーザの入浴予定時間帯が入浴可能な時間帯になったことを示す情報を入浴不実施ユーザ以外の各ユーザが所持する携帯端末に通知するように構成されていることを特徴とする風呂システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のユーザの入浴予定のスケジュールに応じて浴槽内の湯水の温度や水位を調整する機能を有する風呂システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に見られるように、複数のユーザのそれぞれの入浴予定時間帯を登録しておき、当日の最初の入浴予定時間帯の開始前に浴槽の湯はりを自動的に行ったり、2番目以降の入浴予定時間帯の開始前に、ユーザにより事前に設定された風呂温度(浴槽内の湯水の温度)等に応じて保温や追い焚きを行うシステムが知られている。
【0003】
また、例えば特許文献2に見られるように、ユーザ毎に好みの風呂温度や浴槽水位を登録しておき、各ユーザ毎の風呂温度や浴槽水位に応じて、風呂温度や浴槽水位を自動的に調整し得る装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-139377号公報
【特許文献2】特開2008-145089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に見られるシステムでは、入浴予定時間帯が登録された各ユーザが、自身に対応する入浴予定時間帯での入浴を中止する場合、その中止のための所要の操作を行わない限り、該ユーザに対応する入浴予定時間帯は有効なものとして扱われる。
【0006】
このため、該ユーザが、対応する入浴予定時間帯での入浴を中止するための所要の操作を実行することを失念してしまったような場合には、実際には入浴が行われない入浴予定時間帯の開始前に、湯はりが行われてしまったり、あるいは、不要な保温もしくは追い焚きが行われてしまうという不都合が生じる。
【0007】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、入浴のスケジュールを登録した複数のユーザのいずれかが入浴中止の操作を行わずに入浴を中止する状況が生じても、浴槽に関する不要な運転が行われるのを防止することができる風呂システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の風呂システムは、上記の目的を達成するために、浴槽内の湯水の温度と該浴槽内の湯水の水位とのうちの少なくとも一方を含む浴槽状態を調整可能な風呂システムであって、
複数のユーザのそれぞれの入浴予定時間帯と該入浴予定時間帯での浴槽状態の目標値とを示す入浴設定データがあらかじめ入力され、該入浴設定データを記憶する記憶部と、
各ユーザに対応する入浴予定時間帯の開始前に該ユーザが該入浴予定時間帯での入浴を実施するか否かを該ユーザの操作によらずに判断し得る入浴判断部と、
該入浴判断部による判断結果が否定的になるユーザが存在するとき、該ユーザに対応する入浴予定時間帯での浴槽状態を、該ユーザに対応する浴槽状態の目標値に応じて調整することを実行せずに、該ユーザに対応する入浴予定時間帯の次の入浴予定時間帯での浴槽状態の目標値に応じて当該次の入浴予定時間帯での浴槽状態を調整する浴槽状態調整部とを備えることを特徴とする(第1発明)。
【0009】
かかる第1発明によれば、前記入浴判断部により、あるユーザが入浴を実施しないと判断されたときには、浴槽状態調整部は、該ユーザに対応する浴槽状態の目標値に応じて調整することを実行せずに、該ユーザに対応する入浴予定時間帯の次の入浴予定時間帯での浴槽状態の目標値に応じて当該次の入浴予定時間帯での浴槽状態を調整する。
【0010】
従って、第1発明によれば、入浴のスケジュールを登録した複数のユーザ(前記記憶部に入浴設定データが記憶されたユーザ)のいずれかのユーザが入浴中止の操作を行わずに入浴を中止する状況が生じても、該ユーザに対応する浴槽状態の目標値に応じて浴槽状態を調整してしまうという不要な運転が行われるのを防止することができる。
【0011】
上記第1発明では、前記入浴判断部は、前記複数のユーザのうち、該複数の在宅している各ユーザが所持する携帯端末から出力される所定種類の近距離無線通信方式での無線信号を宅内で検出可能に構成されていると共に、各ユーザに対応する入浴予定時間帯の開始前の所定の期間内で該ユーザに対応する携帯端末から出力される前記無線信号が検出されることを必要条件として、該ユーザが対応する入浴予定時間帯での入浴を実施すると判断し、前記所定の期間内で該ユーザに対応する携帯端末から出力される前記無線信号が検出されない場合には、該ユーザが対応する入浴予定時間帯での入浴を実施しないと判断するように構成されていることが好ましい(第2発明)。
【0012】
ここで、ユーザが日常的に所持するスマートフォンやタブレット端末等の携帯端末は、一般に、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信方式での無線通信を行うことが可能である。そして、このような携帯端末から出力される近距離無線通信方式での無線信号を宅内で検出し得るか否かによって、該携帯端末を所持するユーザが在宅しているか否かを判断し得る。
【0013】
また、前記入浴設定データの入浴予定時間帯で入浴しようとするユーザは、該入浴予定時間帯の開始前に在宅している必要がある。そこで、前記入浴判断部は、上記の如く、各ユーザが対応する入浴予定時間帯での入浴を実施するか否かの判断を行う。これにより、各ユーザが対応する入浴予定時間帯での入浴を実施するか否かを判断することを、ユーザが日常的に所持するスマートフォンやタブレット端末等の携帯端末を利用して容易に行うことが可能となる。
【0014】
上記第1発明又は第2発明では、前記記憶部は、前記複数のユーザのそれぞれの入浴予定時間帯のうち、隣り合う入浴予定時間帯のそれぞれに対応する浴槽状態の目標値が互いに異なる場合に、当該隣り合う入浴予定時間帯の間に、当該隣り合う入浴予定時間帯のいずれにも含まれない時間帯が存在することを必要条件として当該隣り合う入浴予定時間帯のそれぞれに対応する前記入浴設定データを記憶するように構成されていることが好ましい(第3発明)。
【0015】
これによれば、隣り合う入浴予定時間帯のそれぞれに対応する浴槽状態の目標値が互いに異なる場合に、当該隣り合う入浴予定時間帯の間に、当該隣り合う入浴予定時間帯のいずれにも含まれない時間帯が存在するように、当該隣り合う入浴予定時間帯のそれぞれに対応する入浴設定データが記憶部に記憶される。
【0016】
このため、隣り合う入浴予定時間帯のそれぞれに対応する浴槽状態の目標値が互いに異なる場合に、前側の入浴予定時間帯の終了後に、後側の入浴予定時間帯の開始するまでの時間帯で、後側の入浴予定時間帯での浴槽状態の目標値に応じて浴槽状態を調整しておくことが可能となる。このため、後側の入浴予定時間帯で入浴するユーザは、自身にとって適切な浴槽状態で入浴を開始することが可能となる。
【0017】
上記第1~第3発明では、前記入浴判断部は、入浴を実施しないと判断したユーザが存在するとき、該ユーザである入浴不実施ユーザ以外の各ユーザに、該入浴不実施ユーザの入浴予定時間帯が入浴可能な時間帯になったことを示す情報を入浴不実施ユーザ以外の各ユーザが所持する携帯端末に通知するように構成され得る(第4発明)。
【0018】
これによれば、入浴不実施ユーザ以外の各ユーザは、入浴不実施ユーザの入浴予定時間帯が入浴可能な時間帯になったことを、自身の携帯端末を介して容易に認識できるので、自身の入浴予定時間帯を、適宜、入浴不実施ユーザの入浴予定時間帯の全体又は一部を含む時間帯に変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態の風呂システムの全体構成を示す図。
【
図2】ユーザの携帯端末での入浴設定データの設定画面を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態を以下に
図1~
図3Bを参照して説明する。
図1を参照して、本実施形態の風呂システム1は、住戸Xに設置される風呂給湯装置2と、該風呂給湯装置2に関する様々なデータを該風呂給湯装置2との間で通信し得るサーバ30とを含む。
【0021】
風呂給湯装置2は、台所、浴室、洗面所等の給湯対象部(図示省略)に加熱した給湯用水(湯)を供給する給湯運転を実行する給湯装置としての機能と、住戸X内の浴室の浴槽BTへの湯はり、浴槽BT内の湯水である浴槽水の追い焚き等の風呂運転を実行する風呂装置としての機能とを併せ持つ装置である。
【0022】
この風呂給湯装置2は、給湯用水や浴槽水を適宜加熱し得る熱源機10を備える。該熱源機10には給湯用水を加熱するための第1加熱装置11と、浴槽水を加熱するための第2加熱装置12とが搭載されている。これらの第1加熱装置11及び第2加熱装置12のそれぞれは、例えば、燃焼式の加熱装置、あるいは電熱式の加熱装置、あるいはヒートポンプ方式の加熱装置、あるいは、これらを組み合わせた加熱装置等により構成され得る。
【0023】
第1加熱装置11には、給水路13と給湯路14とが接続されており、給湯対象部に設けられた給湯栓(図示省略)の開栓時に、給湯用水が図示しない給水源から給水路13、第1加熱装置11及び給湯路14を順に経由して給湯対象部に流れるようになっている。そして、第1加熱装置11は、給水路13から供給される給湯用水を加熱し、その加熱後の給湯用水を給湯路14を介して給湯対象部に出湯することが可能である。
【0024】
第2加熱装置12は、浴槽BTとの間で浴槽水を循環させるための循環水路15を介して浴槽BTの側部の給水口Baに接続されている。該循環水路15には、電動式のポンプ16が介装されており、浴槽BT内に給水口Baの高さ以上の水位の浴槽水が存在する状態で、該ポンプ16を作動させることで、浴槽BTと第2加熱装置12との間で循環水路15を介して浴槽水が循環する。そして、第2加熱装置12は、ポンプ16の作動により浴槽BTから流入する浴槽水を加熱し、その加熱後の浴槽水を浴槽BTに還流させることで、浴槽BT内の浴槽水を加熱することが可能である。
【0025】
また、循環水路15には、給湯路14から分岐された風呂用通水路17が接続されており、該風呂用通水路17には、これを開閉可能な開閉弁18(例えば電磁弁)が介装されている。この開閉弁18を開弁制御した状態で、第1加熱装置11を作動させることで、第1加熱装置11で加熱された給湯用水を風呂用通水路17及び循環水路15を介して浴槽BTに供給する(ひいては、浴槽BTへの湯はりもしくは足し湯を行う)ことが可能である。
【0026】
また、例えば、浴槽BT内に加熱済の浴槽水が存在する状態で、第1加熱装置11を作動させることなく、開閉弁18を開弁制御することで、加熱されていない給湯用水を風呂用通水路17及び循環水路15を介して浴槽BTに供給し、それにより、浴槽BT内の浴槽水の温度を低下させることも可能である。
【0027】
風呂給湯装置2は、さらに、熱源機10の運転操作をユーザが行うための1つ以上のリモコン21と、熱源機10の作動制御を行う機能を有する制御装置22とを備えている。本実施形態では、リモコン21には、例えば、住戸Xの台所に配置される第1リモコン21aと、浴室に配置される第2リモコン21bとの2つのリモコンを含む。これらのリモコン21a,21bのそれぞれと、制御装置22とは、相互に有線通信又は無線通信を行うことが可能である。
【0028】
そして、各リモコン21の操作によって、風呂給湯装置2の運転(給湯運転及び風呂運転)に関する操作を行うことが可能である。また、各リモコン21では、風呂給湯装置2の運転状態を示す情報等の報知情報を、図示しない表示部もしくは発音部を介して出力することが可能である。
【0029】
制御装置22は、例えばマイクロコンピュータ、メモリ、インターフェース回路等を含む1つ以上の電子回路ユニットにより構成され、熱源機10に搭載されている。この制御装置22は、各リモコン21と通信を行い得ると共に、風呂給湯装置2に備えられた各センサ(図示省略)の検出信号が入力される。そして、制御装置22は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)の両方又は一方により実現される機能によって、風呂給湯装置2の作動制御(第1加熱装置11、第2加熱装置12、ポンプ16、及び開閉弁18の作動制御を含む)を実行することが可能である。
【0030】
この場合、制御装置22は、風呂運転に関する作動制御を行うことで、浴槽BT内の浴槽水の温度や水位を調整することが可能である。従って、制御装置22は、本発明における浴槽状態調整部としての機能を有する。
【0031】
また、本実施形態の風呂給湯装置2では、リモコン21a,21bのうちの一方、例えば第1リモコン21aは、風呂給湯装置2の各ユーザが所持する携帯端末40と、住戸X内に構築されたホームネットワークNW1(ローカルエリアネットワーク)を介して、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信方式による通信を行う機能を有している。
【0032】
この場合、各ユーザの携帯端末40は、例えばスマートフォン、タブレット端末、フィーチャーフォン等により構成され得る。また、第1リモコン21aには、各ユーザの携帯端末40の識別情報と各ユーザの識別情報とが対応付けてあらかじめ登録(記憶)されている。その登録は、例えば、各ユーザの携帯端末40と第1リモコン21aとの所定の操作を行うことでなされる。
【0033】
そして、第1リモコン21aは、登録された携帯端末40から前記近距離無線通信方式により適宜出力される無線信号(該携帯端末40と第1リモコン21aとの通信接続のための応答信号等)を受信し得る場合に、該携帯端末40を所持するユーザを特定し得る。
【0034】
この場合、各ユーザの携帯端末40と第1リモコン21aとの間の通信は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信方式による通信であるので、第1リモコン21aが該携帯端末40から出力される無線信号を受信(検出)できる状況では、該携帯端末40を所持するユーザが住戸Xに在宅しているとみなすことができる。
【0035】
そこで、第1リモコン21aは、登録された携帯端末40から出力される無線信号を受信(検出)できるか否かによって、該携帯端末40を所持するユーザが住戸Xに在宅しているか不在であるかを認識する機能をさらに有する。さらに、第1リモコン21aは、ユーザの在宅又は不在の認識に基づいて、後述するようにユーザが入浴を実施するか否かを判断する機能を有する。従って、本実施形態では、第1リモコン21aは、本発明における入浴判断部としての機能を有する。
【0036】
なお、各ユーザの携帯端末40の識別情報と各ユーザの識別情報とは、第1リモコン21aに記憶する代わりに、例えば第2リモコン21b又は制御装置22に記憶してもよい。そして、第1リモコン21aが、各ユーザの携帯端末40の識別情報と各ユーザの識別情報との組を、第2リモコン21b又は制御装置22から適宜、参照し得るようにしてもよい。
【0037】
本実施形態では、第1リモコン21aはさらに、ホームネットワークNW1に含まれるルータRtと、インターネット、電話回線網等から構成されるワイドエリアネットワークである外部ネットワークNW2とを介して前記サーバ30と通信を行う機能も有している。
【0038】
ここで、サーバ30は、例えば風呂給湯装置2のメーカ、もしくはその委託業者等により運営されるサーバであり、風呂給湯装置2の第1リモコン21aとの通信を通じて、該風呂給湯装置2の作動に関するデータを取得して記憶したり、該第1リモコン21aからの要求に応じて、適宜、必要なデータを該第1リモコン21aに送信することが可能である。本実施形態では、サーバ30は、風呂給湯装置2の作動に関するデータとして、後述の入浴設定データを記憶保持する機能を有している。従って、該サーバ30は、本発明における記憶部としての機能を有する。
【0039】
また、風呂給湯装置2の各ユーザの携帯端末40には、あらかじめサーバ30と通信を行うための所定のアプリケーションがインストールされている。そして、該アプリケーションを起動した携帯端末40は、外部ネットワークNW1を介してサーバ30と通信を行い得ると共に、風呂給湯装置2の運転に関する様々な設定等を行うことも可能である。
【0040】
この場合、上記アプリケーションの初回の起動時等における初期設定処理によって、ユーザ又はその携帯端末40の識別情報と、該ユーザが使用する風呂給湯装置2の識別情報とが互いに対応付けられた状態でサーバ30に登録(記憶)される。
【0041】
その後、上記アプリケーションを起動した携帯端末40では、該携帯端末40を所持するユーザが、入浴スケジュールと所望の浴槽状態(浴槽BT内の浴槽水の状態)とを設定し、該入浴スケジュールおよび浴槽状態をサーバ30に登録(記憶)する操作を行うことが可能である。
【0042】
例えば、風呂給湯装置2の各ユーザは、
図2に例示する如く、上記アプリケーション(以降、入浴設定アプリという)を起動した自身の携帯端末40の画面41において、入浴時の所望の浴槽状態として、浴槽水の温度の目標値としての目標風呂温度(図示例では、例えば41℃)を設定し得ると共に、入浴予定時間帯(図示例では、例えば21:00~21:30)とを設定し得る。
【0043】
さらに、該ユーザは、これらの浴槽状態(目標風呂温度)および入浴予定時間帯の設定データ(以降、入浴設定データという)を携帯端末40からサーバ30に送信し得る。この場合、該入浴設定データと共に、携帯端末40又はユーザの識別情報がサーバ30に送信される。
【0044】
そして、サーバ30は、携帯端末40から受信した入浴設定データを該携帯端末40又はユーザの識別情報に対応する風呂給湯装置2に対応付けて記憶する。さらに、サーバ30は,記憶した入浴設定データを、適宜、該風呂給湯装置2の第1リモコン21aに送信する機能を有している。
【0045】
なお、各ユーザの携帯端末40の識別情報と該ユーザの識別情報との両方を、該ユーザが使用する風呂給湯装置2の識別情報に対応付けて、サーバ30に記憶させるようにしてもよい。そして、風呂給湯装置2の第1リモコン21aが、該風呂給湯装置2の各ユーザの携帯端末40の識別情報と各ユーザの識別情報との組を、随時、サーバ30から取得し得るようにしてもよい。この場合には、各ユーザの携帯端末40の識別情報と各ユーザの識別情報とを、前記した如く風呂給湯装置2の第1リモコン21a(又は第2リモコン21b又は制御装置22)で記憶することを省略し得る。
【0046】
次に、住戸Xの風呂給湯装置2に関する入浴設定データに係るサーバ30の処理と、該風呂給湯装置2の作動とについて具体的に説明する。なお、以下の説明では、一例として、住戸Xの風呂給湯装置2のユーザは、例えばユーザA,B,Cの3人である場合を想定する。そして、ユーザA,B,Cのそれぞれの携帯端末40を区別する場合に、それぞれの携帯端末40の参照符号を40a,40b,40cと表記する。
【0047】
風呂給湯装置2の各ユーザは、自身の携帯端末40で前記入浴設定アプリを起動した状態で、入浴当日の入浴設定データ(入浴予定時間帯及び目標風呂温度の設定データ)をサーバ30に登録する操作を各々実行する。
【0048】
この場合、風呂給湯装置2の任意の一人のユーザが入浴設定データを新たに登録するときに、他のユーザにより先行してサーバ30に登録された入浴設定データが存在する場合には、該サーバ30は、先行して登録された入浴予定時間帯を、新たに入浴設定データを登録しようとするユーザ(以降、登録操作ユーザという)の携帯端末40に送信する。このとき、登録操作ユーザの携帯端末40では、登録された他のユーザの入浴予定時間帯が表示されると共に、その表示された他のユーザの入浴時間帯に重複する入浴予定時間帯は新規に登録することができない旨の報知情報が表示情報もしく音声情報として該携帯端末40から出力される。
【0049】
そして、登録操作ユーザが、その携帯端末40で入浴設定データを入力した後、該入浴設定データをサーバ30に送信する操作を行うと、該サーバ30は、登録操作ユーザの携帯端末40から受信した入浴設定データ(以降、登録要求入浴設定データという)の適否を確認する。
【0050】
この場合、サーバ30は、受信した登録要求入浴設定データの入浴予定時間帯が、他のユーザの登録済の入浴予定時間帯に重複している場合には、受信した入浴設定データを当該重複によって登録することができない旨の情報を登録操作ユーザの携帯端末40に送信する。このとき、該携帯端末40では、当該情報が表示情報もしくは音声情報として出力されると共に、入浴設定データの再入力を行い得る状態になる。
【0051】
また、サーバ30は、受信した登録要求入浴設定データの入浴予定時間帯が、他のユーザの登録済の入浴予定時間帯に重複していない場合には、登録済の入浴設定データから、登録要求入浴設定データの入浴予定時間帯の前側又は後側で隣り合う入浴予定時間帯を有する入浴設定データ(以降、隣接入浴設定データという)を抽出する。そして、サーバ30は、抽出した各隣接入浴設定データの目標風呂温度と、登録要求入浴設定データの目標風呂温度とに応じて、登録要求入浴設定データの入浴予定時間帯と各隣接入浴設定データの入浴予定時間帯との間に必要な時間間隔を決定する。
【0052】
該時間間隔は、登録要求入浴設定データの入浴予定時間帯と隣接入浴設定データの入浴予定時間帯とのうち、前側の入浴予定時間帯の終了後、後側の入浴予定時間帯の開始時までに、浴槽BT内の浴槽水の温度を、後側の入浴予定時間帯における目標風呂温度にするために必要な時間間隔(以降、入浴間必要時間間隔という)である。
【0053】
ここで、後側の入浴予定時間帯における目標風呂温度が、前側の入浴予定時間帯における目標風呂温度よりも高い場合には、後側の入浴予定時間帯の開始前に、浴槽BT内の浴槽水の温度を昇温させるように風呂運転(追い焚き運転)を行う必要がある。そして、後側の入浴予定時間帯における目標風呂温度が、前側の入浴予定時間帯における目標風呂温度よりも高いほど、浴槽水の温度を昇温させる風呂運転に要する時間が長くなる。
【0054】
また、後側の入浴予定時間帯における目標風呂温度が、前側の入浴予定時間帯における目標風呂温度よりも低い場合には、後側の入浴予定時間帯の開始前に、浴槽BT内の浴槽水の温度を低下させるように風呂運転(給湯用水を加熱せずに浴槽BTに供給する運転)を行う必要がある。そして、後側の入浴予定時間帯における目標風呂温度が、前側の入浴予定時間帯における目標風呂温度よりも低いほど、浴槽水の温度を低下させる風呂運転に要する時間が長くなる。
【0055】
そこで、本実施形態では、サーバ30は、登録要求入浴設定データの入浴予定時間帯と、各隣接入浴設定データの入浴予定時間帯との前後関係、及び、それぞれの目標風呂温度の差に応じて、入浴間必要時間間隔をあらかじめ作成されたマップもしくは演算式等を用いて決定する。
【0056】
さらに、サーバ30は、登録要求入浴設定データの入浴予定時間帯と隣接入浴設定データの入浴予定時間帯とのうち、前側の入浴予定時間帯の終了時刻から後側の入浴予定時間帯の開始時刻までの時間間隔が、該登録要求入浴設定データと該隣接入浴設定データとの組に対応して決定した入浴間必要時間間隔以上の時間間隔であるか否かを判断する。
【0057】
そして、サーバ30は、上記判断の結果が肯定的である場合には、登録要求入浴設定データをそのまま新たな入浴設定データとして登録(記憶)する。また、上記判断の結果が否定的である場合には、サーバ30は、登録要求入浴設定データの入浴予定時間帯と、各隣接入浴設定データの入浴予定時間帯との間に、入浴間必要時間間隔以上の時間間隔を空けるように、登録要求入力設定データの入浴予定時間帯を変更すべき旨の報知情報を登録操作ユーザの携帯端末40に送信する。
【0058】
このとき、該報知情報が表示情報又は音声情報として登録操作ユーザの携帯端末40から出力される。これに応じて、登録操作ユーザは、自身の携帯端末40で入浴予定時間帯を修正し、その修正後の入浴設定データを、該携帯端末40からサーバ30に改めて送信するための操作を実行する。
【0059】
例えば
図3Aに示す如く、ユーザAの入浴設定データがサーバ30に登録された後に、ユーザAの入浴予定時間帯よりも前の時間帯で、ユーザBの入浴設定データが登録要求入浴設定データとしてサーバ30に送信された場合を想定する。この場合、サーバ30は、ユーザBの入浴予定時間帯の終了時刻から、ユーザAの入浴予定時間帯の開始時刻(21:30)までに浴槽水をユーザBの目標風呂温度(39℃)からユーザAの目標風呂温度(41℃)まで昇温させるのに必要な時間(例えば15分)を入浴間必要時間間隔として決定する。
【0060】
この場合、ユーザBの登録要求入浴設定データの入浴予定時間帯が、図示の時間帯(19:10~20:00)に設定された場合には、該入浴予定時間帯の終了時刻と登録済のユーザAの入浴予定時間帯の開始時刻(21:30)との間の時間間隔は、入浴間必要時間間隔以上の時間間隔である。このため、サーバ30は、受信したユーザBの登録要求入浴設定データをそのまま登録(記憶)する。
【0061】
一方、ユーザBの登録要求入浴設定データの入浴予定時間帯の終了時刻と登録済のユーザAの入浴予定時間帯の開始時刻(21:30)との間の時間間隔が入浴間必要時間間隔より短い場合には、サーバ30は、前記の如くユーザBの携帯端末40bに入浴予定時間帯を変更すべき旨の報知情報を送信する。
【0062】
また、例えば
図3Bに示す如く、ユーザA,Bの入浴設定データがサーバ30に登録された後に、ユーザA,Bのそれぞれの入浴予定時間帯の間で、ユーザCの入浴設定データが登録要求入浴設定データとしてサーバ30に送信された場合に、サーバ30は、ユーザCの入浴予定時間帯の終了時刻から、ユーザAの入浴予定時間帯の開始時刻(21:30)までに浴槽水をユーザCの目標風呂温度(42℃)からユーザAの目標風呂温度(41℃)まで低下させるのに必要な時間(例えば5分)を、ユーザA,Cのそれぞれの入浴予定時間帯の間の入浴間必要時間間隔として決定する。
【0063】
また、サーバ30は、ユーザBの入浴予定時間帯の終了時刻(20:00)から、ユーザCの入浴予定時間帯の開始時刻までに浴槽水をユーザBの目標風呂温度(39℃)からユーザCの目標風呂温度(42℃)まで昇温させるのに必要な時間(例えば20分)を、ユーザB,Cのそれぞれの入浴予定時間帯の間の入浴間必要時間間隔として決定する。
【0064】
この場合、ユーザCの登録要求入浴設定データの入浴予定時間帯が、図示の時間帯(20:20~21:00)に設定された場合には、該入浴予定時間帯の終了時刻と登録済のユーザAの入浴予定時間帯の開始時刻(21:30)との間の時間間隔は、ユーザA,Cのそれぞれの入浴予定時間帯の間の入浴間必要時間間隔(5分)以上の時間間隔である。
【0065】
また、ユーザCの入浴予定時間帯の開始時刻(20:20)と登録済のユーザBの入浴予定時間帯の終了時刻(20:00)との間の時間間隔は、ユーザA,Bのそれぞれの入浴予定時間帯の間の入浴間必要時間間隔(20分)以上の時間間隔である。このため、サーバ30は、受信したユーザCの登録要求入浴設定データをそのまま登録(記憶)する。
【0066】
一方、ユーザCの登録要求入浴設定データの入浴予定時間帯の終了時刻と登録済のユーザAの入浴予定時間帯の開始時刻(21:30)との間の時間間隔が、ユーザA,Cのそれぞれの入浴予定時間帯の間の入浴間必要時間間隔(5分)よりも短い場合、あるいは、ユーザCの登録要求入浴設定データの入浴予定時間帯の開始時刻と登録済のユーザBの入浴予定時間帯の終了時刻(20:00)との間の時間間隔が、ユーザB,Cのそれぞれの入浴予定時間帯の間の入浴間必要時間間隔(20分)よりも短い場合には、サーバ30は、前記の如くユーザCの携帯端末40cに入浴予定時間帯を変更すべき旨の報知情報を送信する。
【0067】
本実施形態では、風呂給湯装置2の各ユーザの入力設定データをサーバ30に登録する処理は、以上の如く実行される。これにより、サーバ30は、登録要求入浴設定データの目標風呂温度と、隣接入浴設定データの目標風呂温度とが異なる場合に、登録要求入浴設定データの入浴予定時間帯と、隣接入浴設定データの入浴予定時間帯との間に、それらの入浴予定時間帯のいずれにも含まれない時間帯としての入浴間必要時間間隔を有することを必要条件として、登録要求入浴設定データを登録(記憶)する。
【0068】
なお、登録操作ユーザに入浴予定時間帯の変更をサーバ30から要求する場合に、登録要求入浴設定データの目標風呂温度にて、許容し得る入浴予定時間帯の範囲を示す報知情報をサーバ30から登録操作ユーザの携帯端末40に送信して、該報知情報を該携帯端末40で出力させるようにしてもよい。また、入浴間必要時間間隔を決定する処理では、登録要求入浴設定データ及び各隣接入浴設定データのそれぞれの目標風呂温度に加えて、さらに、例えば、前側の入浴予定時間帯の終了時刻から後側の入浴予定時間帯の開始時刻までの期間での浴槽水の放熱による温度低下の予測を反映させて入浴間必要時間間隔を決定してもよい。
【0069】
補足すると、各ユーザは、サーバ30に登録した入浴設定データの入浴予定時間帯の開始前においては、自身の携帯端末40の操作によって、該入浴設定データを取り消すこともできる。また、サーバ30が受信した登録要求入浴設定データと登録済の入浴設定データとを該サーバ30から風呂給湯装置2の第1リモコン21aに送信してもよい、そして、前記入浴間必要時間間隔を決定する処理や、登録要求入浴設定データの入浴予定時間帯と、登録済の隣接入浴設定データの入浴予定時間帯との間の時間間隔が入浴間必要時間間隔以上の時間間隔であるか否かを判断する処理を、風呂給湯装置2の第1リモコン21a(又は制御装置22又は第2リモコン21b)で実行し、その実行結果をサーバ30が第1リモコン21aから受信するようにしてもよい。
【0070】
以上の如く風呂給湯装置2の各ユーザの入浴設定データがサーバ30に登録された状態で、各ユーザの入浴当日において、風呂給湯装置2の風呂運転が以下のように実行される。
【0071】
風呂給湯装置2の第1リモコン21aは、風呂運転の停止中等の適宜のタイミングで、次回の入浴に係る入浴設定データをサーバ30から取得し、取得した入浴設定データを制御装置22に出力する。
【0072】
このとき、制御装置22は、浴槽BTの浴槽水の現在の水位の検出値を図示しない水位センサを介して取得し、該水位の検出値が浴槽BTの給水口Ba以上の水位である場合には、さらに、浴槽BTの浴槽水の現在の温度の検出値を図示しない温度センサを介して取得する。
【0073】
そして、制御装置22は、浴槽水の現在の水位の検出値が浴槽BTの給水口Baよりも低い場合(浴槽BT内に浴槽水が無い場合を含む)には、次回の入浴に係る入浴設定データに基づいて、湯はり運転のスケジュールを決定する。該スケジュールは、入浴設定データの入浴予定時間帯の開始時刻までに浴槽水の温度が該入浴設定データの目標風呂温度になると共に、浴槽水の水位が所定の目標水位になるように決定される。該目標水位としては、例えば、風呂給湯装置2の第1リモコン21a又は第2リモコン21bで設定されている目標水位、あるいは、過去の風呂運転時に設定された目標水位に基づく学習値等を使用し得る。
【0074】
また、制御装置22は、浴槽水の現在の水位の検出値が浴槽BTの給水口Ba以上の水位である場合には、該浴槽水の水位の検出値及び温度の検出値と、次回の入浴に係る入浴設定データとに基づいて、風呂運転のスケジュールを決定する。該スケジュールは、入浴設定データの入浴予定時間帯の開始時刻までに浴槽水の温度が該入浴設定データの目標風呂温度になると共に、浴槽水の水位が前記所定の目標水位以上の水位になるように決定される。
【0075】
例えば、浴槽水の現在の温度の検出値が入浴設定データの目標風呂温度よりも低いと共に、現在の水位の検出値が前記所定の目標水位以上である場合には、入浴設定データの入浴予定時間帯の開始時刻までに浴槽水の温度が該入浴設定データの目標風呂温度に上昇するように、浴槽水の追い焚きを行う風呂運転のスケジュールが決定される。
【0076】
また、例えば、浴槽水の現在の温度の検出値が入浴設定データの目標風呂温度よりも低いと共に、現在の水位の検出値が前記所定の目標水位よりも低い場合には、入浴設定データの入浴予定時間帯の開始時刻までに浴槽水の温度が該入浴設定データの目標風呂温度に上昇すると共に、浴槽水の水位が前記所定の目標水位まで上昇するように、浴槽BTへの足し湯を行う風呂運転(又は該足し湯と浴槽水の追い焚きとを行う風呂運転)のスケジュールが決定される。
【0077】
また、例えば、浴槽水の現在の温度の検出値が入浴設定データの目標風呂温度よりも高いと共に、現在の水位の検出値が前記所定の目標水位以上である場合には、入浴設定データの入浴予定時間帯の開始時刻までに浴槽水の温度が該入浴設定データの目標風呂温度に低下するように、浴槽BTへの非加熱状態の給湯用水の給水を行う風呂運転のスケジュールが決定される。
【0078】
また、例えば、浴槽水の現在の温度の検出値が入浴設定データの目標風呂温度よりも高いと共に、現在の水位の検出値が前記所定の目標水位よりも低い場合には、入浴設定データの入浴予定時間帯の開始時刻までに浴槽水の温度が該入浴設定データの目標風呂温度に低下すると共に、浴槽水の水位が前記所定の目標水位以上の水位に上昇するように、浴槽BTへの非加熱状態の給湯用水の給水を行う風呂運転(又は給湯用水の給水と浴槽水の追い焚きとを行う風呂運転)のスケジュールが決定される。
【0079】
なお、浴槽BTが、制御装置22の制御によって自動排水を行い得るように構成された浴槽である場合には、風呂運転のスケジュールを決定するときの浴槽水の水位の検出値が前記所定の目標水位よりも高い場合に、入浴設定データの入浴予定時間帯の開始時刻までに浴槽水の水位を前記所定の目標水位まで排水させるように風呂運転のスケジュールを決定してもよい。
【0080】
次いで、制御装置22は、上記の如く決定したスケジュールにおける風呂運転の開始時刻の直前の時刻(所定時間前の時刻)において、第1リモコン21aに対して、該風呂運転に続く入浴予定時間帯に対応するユーザが入浴を実施するか否かの確認要求を行う。
【0081】
このとき、第1リモコン21aは、風呂運転の開始時刻前の所定の時間幅の期間において、該当のユーザ(当該風呂運転に続く入浴予定時間帯で入浴する予定のユーザ)の携帯端末40から出力される無線信号(前記近距離通信方式での無線信号)を受信し得る場合には、該当のユーザが在宅中であると認識し得ることから、該ユーザが入浴を実施する予定であると判断する。そして、第1リモコン21aは、その判断結果を制御装置22に通知する。
【0082】
また、第1リモコン21aは、該当のユーザの携帯端末40から出力される無線信号を受信できない場合には、該当のユーザが不在であると認識し得ることから、該ユーザが入浴を実施しないと判断する。そして、第1リモコン21aは、その判断結果を制御装置22に通知する。
【0083】
そして、制御装置22は、第1リモコン21aにより、該当のユーザが入浴を実施する予定であると判断されたときには、決定したスケジュールに従って風呂運転を実行する。さらに、制御装置22は、該風呂運転が完了すると、その旨を第1リモコン21aに通知する。このとき、第1リモコン21aは、該当のユーザの携帯端末40に入浴可能な状態になったことを通知すべき旨の指令をサーバ30に送信する。これに応じて、サーバ30から該当のユーザの携帯端末40に対して当該通知がなされる。これにより、該当のユーザは入浴し得る状態になったことを認識することができる。なお、当該通知は、第1リモコン21aから該当のユーザの携帯端末40に対して前記近距離通信方式で行うようにしてもよい。
【0084】
一方、第1リモコン21aにより、該当のユーザが入浴を実施しないと判断されたときには、制御装置22は、決定したスケジュールでの風呂運転の実行を中止し、さらに、該当のユーザの入浴時間帯の次の入浴に係る風呂運転のスケジュールを決定する。
【0085】
また、第1リモコン21aは、該当のユーザの入浴設定データに係る風呂運転の実行の中止を示す情報をサーバ30に送信する。これに応じて、サーバ30は、該当のユーザの携帯端末40に、該当のユーザの不在により入浴設定データが無効になったことを通知するとともに、他の各ユーザの携帯端末40に該当のユーザの入浴予定時間帯が入浴可能時間帯になったことを通知する。これにより、他の各ユーザは、適宜、自身の入浴予定時間帯を新たに入浴可能となった時間帯に変更することが可能となる。
【0086】
例えば、
図3Bに例示する如く入浴設定データが登録された場合に、ユーザBの入浴設定データに対応する風呂運転の実行の開始直前に、該ユーザBが住戸Xに不在であった場合(第1リモコン21aがユーザBの携帯端末40aから出力される無線信号を受信できなかった場合)には、第1リモコン21aによりユーザBが入浴を実施しないと判断される。
【0087】
そして、このとき、ユーザBの携帯端末40bに、該ユーザBの不在により入浴設定データが無効になったことがサーバ30から通知されるとともに、他のユーザA,Cのそれぞれの携帯端末40a,40cにユーザBの入浴予定時間帯が入浴可能時間帯になったことが通知される。また、この場合、制御装置22は、ユーザBの入浴に係る風呂運転の実行を中止し、次の入浴予定者であるユーザCの入浴に係る風呂運転のスケジュールを決定する。
【0088】
本実施形態では、以上の如く、サーバ30に入浴設定データを登録した各ユーザの入浴に係る風呂運転の実行開始前に、該ユーザが入浴を実施するか否かが第1リモコン21aにより判断されるので、サーバ30の入浴設定データを放置したままで入浴を実施しないユーザのための無駄な風呂運転が風呂給湯装置2で実行されてしまうのを防止できる。
【0089】
また、第1リモコン21aは、各ユーザが入浴を実施する否かを各ユーザの携帯端末40から出力される近距離無線通信方式での無線信号を受信(検出)できるか否かに基づいて判断するので、各ユーザのスマートフォンやタブレット端末、フィーチャーフォン等の既存の携帯端末を利用して、当該判断を容易に行うことができる。
【0090】
また、サーバ30にユーザが入浴設定データ(登録要求入浴設定データ)を登録しようとするときに、登録要求入浴設定データの入浴予定時間帯と、他のユーザの登録済の隣接入浴設定データの入浴時間帯との間の時間間隔が、登録要求入浴設定データの目標風呂温度と、隣接入浴設定データの目標風呂温度とに応じて決定される入浴間必要時間間隔以上の時間間隔になるように、登録要求入浴設定データが決定されてササーバ30に登録される。このため、入浴予定時間帯の前後関係によらずに、各ユーザは、登録した入浴設定データの入浴予定時間帯で、自身に適した浴槽水の温度(目標風呂温度)で入浴を開始することができる。
【0091】
なお、本発明の風呂システムは、上記の風呂システム1に限らず、他の実施形態を採用することもできる。例えば、前記実施形態では、サーバ30に登録し得る入浴設定データのうちの浴槽状態は、目標風呂温度であるが、例えば、浴槽BTが自動排水を行い得る浴槽である場合には、入浴設定データの浴槽状態は、目標風呂温度と浴槽水の目標水位との両方を含んでいてもよい。
【0092】
この場合には、登録要求入浴設定データの入浴予定時間帯と、他のユーザの登録済の隣接入浴設定データの入浴時間帯との間の入浴間必要時間間隔は、登録要求入浴設定データ及び隣接入浴設定データのそれぞれの目標風呂温度と目標水位とに応じて決定され得る。
【0093】
また、例えば、サーバ30を省略し、サーバ30と同様の処理を風呂給湯装置2の制御装置22、第1リモコン21a及び第2リモコン21bのいずれか、あるいは、これらの協働によって実行するようにしてもよい。
【0094】
この場合は、各ユーザの入浴設定データは、例えば制御装置22、第1リモコン21a又は第2リモコン21bに登録(記憶)し得る。また、その登録のための処理は、各ユーザの携帯端末40と第1リモコン21aとの近距離無線通信方式での通信を通じて行うことができる。
【0095】
また、各ユーザの携帯端末40と近距離無線通信方式での通信を行い得る機能は、第1リモコン21aに限らず、例えば第2リモコン21b又は制御装置22に備えてもよい。
また、本発明の風呂システムは、給湯機能を持たない風呂装置を備えるシステムであってもよい。
【符号の説明】
【0096】
1…風呂システム、21a…第1リモコン(入浴判断部)、22…制御装置(浴槽状態調整部)、30…サーバ(記憶部)、40…携帯端末、BT…浴槽。