IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本ケミカル工業株式会社の特許一覧

特開2022-109341冷却液組成物および濃縮冷却液組成物
<>
  • 特開-冷却液組成物および濃縮冷却液組成物 図1
  • 特開-冷却液組成物および濃縮冷却液組成物 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109341
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】冷却液組成物および濃縮冷却液組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/10 20060101AFI20220721BHJP
【FI】
C09K5/10 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004582
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】591125289
【氏名又は名称】日本ケミカル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136560
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊晴
(72)【発明者】
【氏名】長澤 雅之
(72)【発明者】
【氏名】吉井 揚一郎
(72)【発明者】
【氏名】大坪 巧
(57)【要約】
【課題】導電率の上昇を抑制して低導電率の持続効果が向上した冷却液組成物および濃縮冷却液組成物を提供する。
【解決手段】(A)一価アルコール、二価アルコール、三価アルコールおよびグリコールモノアルキルエーテルよりなる群から選ばれる1種または2種以上のアルコール類と、(B)チオアニソールおよびチオアニソール誘導体よりなる群から選ばれる1種または2以上と、(C)水と、を有する冷却液組成物である。(A)一価アルコール、二価アルコール、三価アルコールおよびグリコールモノアルキルエーテルよりなる群から選ばれる1種または2種以上のアルコール類と、(B)チオアニソールおよびチオアニソール誘導体よりなる群から選ばれる1種または2以上と、を有する濃縮冷却液組成物である。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一価アルコール、二価アルコール、三価アルコールおよびグリコールモノアルキルエーテルよりなる群から選ばれる1種または2種以上のアルコール類と、
(B)チオアニソールおよびチオアニソール誘導体よりなる群から選ばれる1種または2以上と、
(C)水と、
を有することを特徴とする冷却液組成物。
【請求項2】
前記チオアニソール誘導体が、2-メトキシチオアニソール、3-メトキシチオアニソールおよび4-メトキシチオアニソールよりなる群から選ばれる1種または2以上である請求項1記載の冷却液組成物。
【請求項3】
前記(A)アルコール類が、エチレングリコール、プロピレングリコールおよび1,3-プロパンジオールよりなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項1または請求項2に記載の冷却液組成物。
【請求項4】
(A)一価アルコール、二価アルコール、三価アルコールおよびグリコールモノアルキルエーテルよりなる群から選ばれる1種または2種以上のアルコール類と、
(B)チオアニソールおよびチオアニソール誘導体よりなる群から選ばれる1種または2以上と、
を有することを特徴とする濃縮冷却液組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却液組成物および濃縮冷却液組成物に関し、特に、導電率の上昇を抑制して低導電率の持続効果が向上した冷却液組成物および濃縮冷却液組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、燃料電池車のスタックは、複数の単電池の積層構造体であり、数層の単電池から構成されるサブスタック毎にスタック(単電池)を冷却するための冷却板が介装されている。また、前記冷却板の内部には冷却液通路が形成されており、その冷却液通路を冷却液が流れることによってスタックが冷却される。このように、燃料電池車の冷却液は、発電を実行しているスタック内、すなわちサブスタック間を循環するため、スタック外部への漏電及び冷却液の抵抗に起因する発電効率の低下(エネルギーロスの軽減)を防止する必要があり、そのために高い絶縁性能が要求される。そこで、従来技術では、これら絶縁性能の確保、冷却効率の確保等の要求を満たすため、純水が冷却液として用いられてきた。
【0003】
しかしながら、例えば、自動車用燃料電池や家庭用コージェネレーションシステム用燃料電池として使用した場合、非作動時に冷却液は周囲の温度まで低下してしまうという問題点があり、特に、氷点下で使用する可能性がある場合、純水では凍結してしまい、冷却液の体積膨張による冷却板の破損等、燃料電池の電池性能を損なうおそれがあった。
【0004】
そこで、不凍性を目的としてグリコール類を使用することや、冷却液の導電率上昇が車両走行の熱負荷によるグリコール類の酸化劣化と考えて酸化防止剤の配合や燃料電池冷却経路内にイオン交換器を搭載して発生するイオンを吸着すること等が、検討されていた。しかしながら、不凍性を目的としてグリコール類等を燃料電池車用冷却液の基剤として使用した場合でも、基剤の酸化により、導電率が上昇して低導電率を維持できなくなるという問題があった。そこで、冷却液の導電率上昇が、車両走行の熱負荷によるグリコール類の酸化劣化と考え、酸化防止剤の配合や、燃料電池冷却経路内にイオン交換器を搭載することで発生するイオンを吸着することによる方法が、検討されていた。
【0005】
かかる技術として、例えば、特許文献1には、最大50μS/cmの導電率を有するすぐに使用できる水性冷媒組成物を生じる、アルキレングリコール又はその誘導体をベースとする不凍液濃縮物により、冷却系を備えた燃料電池駆動装置を腐食から保護する方法において、不凍液濃縮物が特定のオルトケイ酸エステルを含有することを特徴とする燃料電池駆動装置を腐食から保護する方法が、開示され、特許文献2には、アルキレングリコールまたはその誘導体をベースとし、硫黄原子を含有しないかまたは最高で1個有してよく、かつ芳香族もしくは飽和6員オルト位縮合体を有してよい、窒素および硫黄の群からなる2個または3個のヘテロ原子を有する1種以上の5員複素環式化合物(アゾール誘導体)並びに2~2000質量ppmの珪素含量を有するすぐに使用できる水性冷媒組成物を生じる量のオルト珪酸エステルを含有する、最大50μS/cmの導電率を有する、イオン不含の水で希釈することによりすぐに使用できる水性冷媒組成物を生じる、燃料電池ドライブ中での冷却系用の不凍液濃縮液が、開示されている。また、特許文献3には、水、アルコール類、グリコール類、及びグリコールエーテル類の中から選ばれるいずれか1種または2種以上の混合物からなる基剤、並びに、分子内に少なくとも1個の硫黄原子を持つ含硫アルコールを含有するとともに、前記含硫アルコールの含有量が基剤100重量部に対して0.01~20重量部であることを特徴とする燃料電池用冷却液組成物が、開示されている。
【0006】
さらに、特許文献4には、シクロアルキルアミン又はその誘導体を含有することを特徴とする燃料電池用冷却液組成物が、開示され、特許文献5には、チオ尿素又はその誘導体を含有することを特徴とする燃料電池用冷却液組成物が、開示され、特許文献6には、ポリアミンを含有することを特徴とする燃料電池用冷却液組成物が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3732181号公報
【特許文献2】特許第4478449号公報
【特許文献3】特許第5017093号公報
【特許文献4】特開2008-059990号公報
【特許文献5】特開2008-059988号公報
【特許文献6】特開2008-059825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1および特許文献2は、グリコール水溶液にオルトケイ酸エステル、アゾール誘導体を配合することで冷却液の導電率上昇をおさえることを目的としているが、十分に冷却液の導電率上昇をおさえることができるものではなかった。また、特許文献3は、含硫黄アルコールまたは含硫黄フェノールを配合することで、基剤(グリコール水溶液)の酸化を抑制し、低導電率を維持することを目的としているが、十分に低導電率を維持できるものではなかった。
【0009】
さらに、特許文献4はシクロアルキルアミン又はその誘導体を配合すること、特許文献5はチオ尿素又はその誘導体を配合すること、特許文献6はポリアミンを配合することで、それぞれ低導電率を維持することを目的としているが、十分に低導電率を維持できるものではなかった。
【0010】
そのため、十分に冷却液の導電率の上昇を抑制することができ、低導電率の持続効果がより向上した冷却液組成物および濃縮冷却液組成物が求められていた。
【0011】
そこで、本発明の目的は、前記の従来技術の問題点を解決し、導電率の上昇を抑制して低導電率の持続効果が向上した冷却液組成物および濃縮冷却液組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の成分の組合せとすることによって、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明の冷却液組成物は、
(A)一価アルコール、二価アルコール、三価アルコールおよびグリコールモノアルキルエーテルよりなる群から選ばれる1種または2種以上のアルコール類と、
(B)チオアニソールおよびチオアニソール誘導体よりなる群から選ばれる1種または2以上と、
(C)水と、
を有することを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の濃縮冷却液組成物は、(A)一価アルコール、二価アルコール、三価アルコールおよびグリコールモノアルキルエーテルよりなる群から選ばれる1種または2種以上のアルコール類と、
(B)チオアニソールおよびチオアニソール誘導体よりなる群から選ばれる1種または2以上と、
を有することを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明において、前記チオアニソール誘導体が、2-メトキシチオアニソール、3-メトキシチオアニソールおよび4-メトキシチオアニソールよりなる群から選ばれる1種または2以上であることが好ましい。
【0016】
さらに、本発明において、前記(A)アルコール類が、エチレングリコール、プロピレングリコールおよび1,3-プロパンジオールよりなる群から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、導電率の上昇を抑制して低導電率の持続効果が向上した冷却液組成物および濃縮冷却液組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】酸化防止剤残存率のグラフである。
図2】25℃における導電率のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の冷却液組成物および濃縮冷却液組成物について具体的に説明する。
本発明の冷却液組成物は、(A)一価アルコール、二価アルコール、三価アルコールおよびグリコールモノアルキルエーテルよりなる群から選ばれる1種または2種以上のアルコール類と、(B)チオアニソールおよびチオアニソール誘導体よりなる群から選ばれる1種または2以上と、を有することを特徴とするものである。これにより、導電率の上昇を抑制して低導電率の持続効果が向上した冷却液組成物を提供することができる。
【0020】
本発明において、前記(A)一価アルコール、二価アルコール、三価アルコールおよびグリコールモノアルキルエーテルよりなる群から選ばれる1種または2種以上のアルコール類とは、一価アルコール、二価アルコール、三価アルコールおよびグリコールモノアルキルエーテルのうち少なくとも1種を有していればよく、例えば、同じ価のアルコールである一価アルコールを1種または2種以上有していてもよく、一価アルコールと二価アルコールのように違う価のアルコールを1種または2種以上有していてもよいものである。
【0021】
本発明において、前記一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノールの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物からなるものを挙げることができる。
【0022】
また、本発明において、前記二価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ヘキシレングリコールの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物からなるものを挙げることができる。
【0023】
さらに、本発明において、前記三価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、5-メチル-1,2,4-ヘプタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオールの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物からなるものを挙げることができる。
【0024】
さらにまた、本発明において、グリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物からなるものを挙げることができる。
【0025】
また、本発明において、前記(A)アルコール類が、エチレングリコール、プロピレングリコールおよび1,3-プロパンジオールよりなる群から選ばれる1種または2種以上であることが、取り扱い性、価格、入手容易性の観点から好ましい。
【0026】
さらに、本発明において、前記(C)水としては、通常の冷却液組成物に使用でき、本発明の効果を得られるものであれば特に限定されないが、イオン交換水や蒸留水を使用することができる。
【0027】
また、本発明の冷却液組成物において、前記(A)アルコール類及び前記(C)水は基剤として用いられている
【0028】
さらにまた、本発明において、チオアニソールとは、分子式CSCH、分子量124.20のベンゼン環を有する化合物であり、例えば、富士フイルム和光純薬株式会社製の試薬等を使用できる。
【0029】
また、本発明において、前記チオアニソール誘導体とは、前記チオアニソールの誘導体であり、例えば、2-メトキシチオアニソール、3-メトキシチオアニソールおよび4-メトキシチオアニソール等を挙げることができ、本発明では、前記チオアニソール誘導体が、2-メトキシチオアニソール、3-メトキシチオアニソールおよび4-メトキシチオアニソールよりなる群から選ばれる1種または2以上であることが好ましい。
【0030】
さらにまた、本発明において、前記(C)水と前記(A)アルコール類を含む場合、前記(C)水の含有量は、不凍性・引火性を考慮し、基剤の質量に対して20質量%~80質量%であることが好ましく、30質量%~70質量%であることがより好ましく、40質量%~60質量%であることが特に好ましい。
【0031】
本発明において、前記(B)チオアニソールおよびチオアニソール誘導体よりなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物の配合量は、組成物(基剤)100質量部に対して0.01~5質量部であることが好ましく、0.1~1質量部であることが特に好ましい。これにより、冷却液の導電率の上昇をより抑制して低導電率の持続効果よりが向上した冷却液組成物を提供することができる。
【0032】
また、本発明の冷却液組成物は、必要に応じて、前記の成分(A)~(C)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、1種以上のその他の添加剤を配合することができる。その他の添加剤としては、特に限定されずに、例えば、金属防食剤(リン酸及び/ 又はその塩、脂肪族カルボン酸及び/ 又はその塩、芳香族カルボン酸及び/ 又はその塩、トリアゾール類、チアゾール類、ケイ酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、ホウ酸塩、モリブテン酸塩、及びアミン塩)、pH調整剤、着色剤、苦味剤及び消泡剤が挙げられる。
【0033】
また、本発明において、冷却液組成物の製造方法は、本発明の効果が得られれば、特に限定されず、通常の冷却液組成物の製造方法を用いることができる。例えば、常温で均一に撹拌することで製造できる。
【0034】
また、本発明の濃縮冷却液組成物は、(A)一価アルコール、二価アルコール、三価アルコールおよびグリコールモノアルキルエーテルよりなる群から選ばれる1種または2種以上のアルコール類と、(B)チオアニソールおよびチオアニソール誘導体よりなる群から選ばれる1種または2以上と、を有することを特徴とするものであり、冷却液組成物として使用する際に、前記濃縮冷却液組成物に(C)水を加えることで、本発明の冷却液組成物を得ることができる。さらに、本発明の濃縮冷却液組成物は、前記(A)成分および前記(B)成分に対して、必要により(C)水、及びその他の添加剤を含有することができる。本発明の濃縮冷却液組成物は、水を用いて、例えば1.1質量倍以上5質量倍以下に希釈して、成分(A)~(C)を含む本発明の冷却液組成物を得るために用いることができる。よって、本発明の濃縮冷却液組成物は、(C)水を含まないものであってもよく、また、(C)水を含むものであってもよい。なお、本発明の濃縮冷却液組成物が水を含む場合、その含有量は、冷却液組成物中の水の含有量より少ないものである。
【0035】
また、本発明の冷却液組成物は、一般に冷却液として用いることができ、低導電性のため、好ましくはハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車の冷却液として、より好ましくは自動車用燃料電池、バッテリーを含む冷却回路用の冷却液として用いられることができる。
【0036】
以下、本発明について、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下、処方中の数値は質量部を示す。
【実施例0037】
(実施例1~4、比較例1~5)
基剤および酸化防止剤を下記表1記載の配合量(質量部)で配合して、実施例1~4および比較例1~5の冷却液組成物を作製した。得られた冷却液組成物について、下記評価試験を行い、結果を下記表1に併記した。
【0038】
(100℃加熱劣化試験)
250mLねじ口メデューム瓶に、上記で得られた冷却液組成物を供試液として100gを封入し、100℃で加熱静置した。1000時間後の25℃導電率「μS/cm」を測定した。
【0039】
(酸化防止剤残存率試験)
250mLねじ口メデューム瓶に、上記で得られた冷却液組成物を供試液として200gと、イオン交換樹脂(※1)4.8gを封入し、70℃で加熱静置した。所定時間ごとに試験液をサンプリングし、GC-MSで酸化防止剤の配合量を分析し、初期配合量に対する比を酸化防止剤残存率「%」として、計算した。なお、※1は、三菱ケミカル株式会社製の陽イオン交換樹脂DIAION SK 1B(h型)と三菱ケミカル株式会社製の陰イオン交換樹脂DIAION SA 10A(OH型)を、それぞれ30体積%と70体積%で混合したものである。
【0040】
(イオン交換処理後の100℃加熱劣化試験)
250mLねじ口メデューム瓶に、上記で得られた冷却液組成物を供試液として100gと、イオン交換樹脂(※1)2.4gを封入し、70℃で300時間加熱静置した。その後、イオン交換樹脂を試験液から取り除き、100℃で加熱静置した。所定時間ごとに25℃導電率「μS/cm」を測定した。
【0041】
【表1】
【0042】
図1は、酸化防止剤残存率のグラフであり、図2は、25℃における導電率のグラフである。表1から、実施例1~4、7~10の冷却液組成物は、比較例1の冷却液組成物と比較して、高温による導電率の上昇を抑制でき、酸化劣化抑制効果を持つことがわかる。表1および図1から、実施例1、4の冷却液組成物は、比較例2~4の冷却液組成物と比較して、捕捉されにくいため、イオン交換器を搭載する燃料電池車で酸化劣化抑制効果が持続することがわかる。また、表1および図2から、実施例1、5~7の冷却液組成物は、比較例1~5の冷却液組成物と比較して、高温による導電率の上昇を抑制でき、低導電率の持続効果が高いことがわかる。

図1
図2