IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タニダの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109391
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】車両用マフラーリング
(51)【国際特許分類】
   B60K 13/04 20060101AFI20220721BHJP
   F01N 13/00 20100101ALI20220721BHJP
【FI】
B60K13/04 C
F01N13/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004666
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】593193860
【氏名又は名称】株式会社タニダ
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】谷田 幸繁
【テーマコード(参考)】
3D038
3G004
【Fターム(参考)】
3D038BA02
3D038BA14
3D038BC02
3D038BC23
3D038BC24
3G004BA04
3G004FA00
(57)【要約】
【課題】 車両用マフラーリングは、単一種の車両用マフラーリングに対してできるだけ高い汎用性を持たせることができる。
【解決手段】 車両用マフラーリング30は、車体側ハンガー22が挿入固定可能である一または複数の車体側取付穴32と、マフラー側ハンガー16が挿入固定可能である複数または一のマフラー側取付穴33と、を有している。車体側取付穴32および/またはマフラー側取付穴33の内周壁面32a,33aには、軸方向または周方向に沿って延設された複数の凹部41および/または凸部242が形成されている。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設けられたハンガーである車体側ハンガーと、前記車体側ハンガーに対応してマフラーに設けられたハンガーであるマフラー側ハンガーとを、連結する車両用マフラーリングであって、
前記車両用マフラーリングは、
前記車体側ハンガーが挿入固定可能である一または複数の車体側取付穴と、
前記マフラー側ハンガーが挿入固定可能である複数または一のマフラー側取付穴と、を有し、
前記車体側取付穴および/または前記マフラー側取付穴の内周壁面には、軸方向または周方向に沿って延設された複数の凹部および/または凸部が形成された車両用マフラーリング。
【請求項2】
前記車体側取付穴と前記マフラー側取付穴とは、立体的に交差するように設けられた請求項1に記載の車両用マフラーリング。
【請求項3】
前記凹部および前記凸部は、断面円弧状に形成されている請求項1に記載の車両用マフラーリング。
【請求項4】
前記車体側取付穴及び前記マフラー側取付穴は、内周壁面と、前記内周壁面の一端に接続されてかつ外側に行くにしたがって拡開する第1傾斜部と、前記内周壁面の他端に接続されてかつ外側に行くにしたがって拡開する第2傾斜部と、を有しており、
前記第1傾斜部の開口端は円形に形成され、前記第2傾斜部の開口端は円形に形成され、
前記車体側取付穴または前記マフラー側取付穴の中心から前記凹部までの最大距離は、前記内周壁面の半径より大きくかつ前記開口端の半径より小さい値に設定されている請求項1~請求項3の何れか一項に記載の車両用マフラーリング。
【請求項5】
前記車体側ハンガー及び前記マフラー側ハンガーは、前記車両用マフラーリングが取り付けられる取付部と、前記取付部の先端部に設けられ前記取付部より大径である大径部と、を有しており、
前記車体側取付穴及び前記マフラー側取付穴は、内周壁面と、前記内周壁面の一端に接続されてかつ外側に行くにしたがって拡開する第1傾斜部と、前記内周壁面の他端に接続されてかつ外側に行くにしたがって拡開する第2傾斜部と、を有しており、
前記第1傾斜部の開口端は円形に形成され、前記第2傾斜部の開口端は円形に形成され、
前記車体側取付穴または前記マフラー側取付穴の中心から前記凹部までの最大距離を半径とする内径、前記内周壁面の内径及び前記開口端の内径と、前記車体側ハンガーまたは前記マフラー側ハンガーの取付部の外径及び大径部の外径とを関連付けた複数のグループに基づいて、前記取付部の外径及び前記大径部の外径が異なる複数種の前記車体側ハンガーまたは前記マフラー側ハンガーを形成可能である請求項1~請求項3の何れか一項に記載の車両用マフラーリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、車両用マフラーリングに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用マフラーリングの一形式として、特許文献1には、車体に設けられたハンガーである車体側ハンガーと、車体側ハンガーに対応してマフラーに設けられたハンガーであるマフラー側ハンガーとを、連結する複数の車両用マフラーリング(ブッシュ)が開示されている。この車両用マフラーリングは、車体側ハンガーが挿入固定可能である車体側取付穴と、マフラー側ハンガーが挿入固定可能であるマフラー側取付穴と、を有している。車体側取付穴の内径は、車体側ハンガーが装着可能な値に設定されており、例えば、車体側ハンガーの外径より若干大きく又は同径に設定されている。また、マフラー側取付穴の内径は、マフラー側ハンガーが装着可能な値に設定されており、例えば、マフラー側ハンガーの外径より若干大きく又は同径に設定されている。このように、この車両用マフラーリングにおいては、車体側ハンガーの外径とマフラー側ハンガーの外径が異なる複数の組み合わせの全てに対して、それらの組み合わせに応じた複数種の車両用マフラーリングを用意する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-52355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載されている車両用マフラーリングにおいて、車体(車種)とマフラーとの組み合わせ毎に互いに異なる複数種の車両用マフラーリングを用意する必要があった。これに対して、単一種の車両用マフラーリングが、できるだけ多数種の車体(車種)とマフラーとの組み合わせに適用(使用)できるようにしたい、すなわち、単一種の車両用マフラーリングの汎用性をできるだけ高く向上させたいという要請があった。
【0005】
このような事情に鑑みて、本明細書は、単一種の車両用マフラーリングに対してできるだけ高い汎用性を持たせることができる車両用マフラーリングを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、車体に設けられたハンガーである車体側ハンガーと、前記車体側ハンガーに対応してマフラーに設けられたハンガーであるマフラー側ハンガーとを、連結する複数の車両用マフラーリングであって、前記車両用マフラーリングは、前記車体側ハンガーが挿入固定可能である一または複数の車体側取付穴と、前記マフラー側ハンガーが挿入固定可能である複数または一のマフラー側取付穴と、を有し、前記車体側取付穴および/または前記マフラー側取付穴の内周壁面には、軸方向または周方向に沿って延設された複数の凹部および/または凸部が形成された車両用マフラーリング、を開示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、車体側取付穴の内周壁面に、軸方向または周方向に沿って延設された複数の凹部および/または凸部が形成されているので、この車体側取付穴には外径の異なる複数のタイプ(種類)の車体側ハンガーが取付可能となる。さらに、マフラー側取付穴の内周壁面に、軸方向または周方向に沿って延設された複数の凹部および/または凸部が形成されているので、このマフラー側取付穴には外径の異なる複数のタイプ(種類)のマフラー側ハンガーが取付可能となる。このように、単一種の車両用マフラーリングが、車体側ハンガーの外径とマフラー側ハンガーの外径が異なる複数種の組み合わせに適用(使用)が可能となり、すなわち、できるだけ多数種の車体(車種)とマフラーとの組み合わせに適用(使用)が可能となる。よって、本開示の車両用マフラーリングは、単一種の車両用マフラーリングに対してできるだけ高い汎用性を持たせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る車両用マフラーリングが適用された車両Mを示す模式図である。
図2図1に示すマフラー14をマフラーリング30を介して車両Mに取り付ける斜視図である。
図3】取付状態のマフラーリング30を示す断面図である。
図4図2に示すマフラーリング30を示す正面図である。
図5図2に示すマフラーリング30を示す平面図である。
図6図2に示すマフラーリング30を示す左側面図(右側面図)である。
図7図4に示すマフラーリング30を示すVII-VII線に沿った断面図である。
図8図4に示すマフラーリング30を示すVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9A】凹部41を説明するための図である。
図9B】凹部41を説明するための図である。
図10】マフラー13,14の設置位置を示す図である。
図11】第2実施形態に係る車両用マフラーリング130を示す斜視図である。
図12図11に示すマフラーリング130を示す正面図である。
図13図11に示すマフラーリング130を示す左側面図(右側面図)である。
図14図11に示すマフラーリング130を示す平面図である。
図15図12に示すマフラーリング130を示すXV-XV線に沿った断面図である。
図16図13に示すマフラーリング130を示すXVI-XVI線に沿った断面図である。
図17】第3実施形態に係るマフラーリング230を示す正面図である。
図18図17に示すマフラーリング230を示すXVIII-XVIII線に沿った断面図である。
図19】変形例に係るマフラーリング330を示す正面図である。
図20】変形例に係る車体側取付穴332を示す断面図である。
図21】変形例に係る車体側取付穴432を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、車両用マフラーリング(以下、単にマフラーリングと称する場合がある。)が適用された車両の一例である第1実施形態について説明する。車両Mは、図1に示すように、サブマフラー13とメインマフラー14とを有する排気システム10と、サブマフラー13およびメインマフラー14を車両Mのフレーム20に取り付けるための複数のマフラーリング30(図2参照)と、を備えている。
【0010】
(排気システム)
排気システム10は、内燃機関21からの排気を外部に排出する。排気システム10は、図1に示すように、上流側から、エキゾーストマニホールド11、キャタライザー12、サブマフラー13、メインマフラー14、および排気管15を備えている。
エキゾーストマニホールド11は、多気筒の内燃機関21から排出された排気を集合させる多岐管である。エキゾーストマニホールド11を通過し集合された排気はキャタライザー12に送られる。
【0011】
キャタライザー12は、排気を浄化する触媒コンバータであり、例えば三元触媒を採用することが可能である。キャタライザー12では排気中に含まれる炭化水素、一酸化炭素(CO)、酸化窒素(NOx)等の有害物質が分解(すなわち浄化)される。
【0012】
サブマフラー13(以下、単にマフラー13と称する場合がある。)は、キャタライザー12の下流に設けられている。サブマフラー13は、メインマフラー14では低減し切れない排気騒音を低減させるための補助消音器である。サブマフラー13は、メインマフラー14とは消音対象の周波数成分が異なっていてもよい。サブマフラー13は、排気騒音のうち高周波成分を主に低減させる構造を備えている。サブマフラー13は、メインマフラー14と同様に、太鼓型のケーシング13aを備えている。
【0013】
メインマフラー14(以下、単にマフラー14と称する場合がある。)は、サブマフラー13とともに排気騒音を低減させるための消音器である。メインマフラー14は、排気システム10の後端部(言い換えると下流端部)に設けられ、排気管15の下流端に接続されている。図2に示すように、例えばメインマフラー14は、いわゆる太鼓型のケーシング14aに複数本のマフラーパイプ(図示せず)が収容されている。排気管15の最下流部である下流側屈曲14bの下流端は、マフラーパイプの上流端に接続されている。また、マフラーパイプの下流端は、テールパイプ14cに接続され、テールパイプ14cから浄化済みの排気が排出される。
【0014】
排気管15の上流端は、図1に示すように、エキゾーストマニホールド11に接続され、排気管15の下流端は、メインマフラー14に接続されており、排気管15の途中には、キャタライザー12およびサブマフラー13が設けられている。エキゾーストマニホールド11からの排気は、キャタライザー12によって浄化された後、サブマフラー13およびメインマフラー14によって排気騒音が低減されて排出される。
【0015】
(車体側ハンガーおよびマフラー側ハンガー)
図2に示すように、車体側ハンガー22は、上述した車両Mのフレーム20(車体)に複数設けられ、マフラーリング30の車体側取付穴32に挿入可能となっている。車体側ハンガー22は、図3に示すように、断面円形状に筒状または棒状に形成された取付部22aと、取付部22aの先端側に形成された取付部22aより大径である大径部22bと、を有している。各車体側ハンガー22は、所定の取付位置に位置するマフラー14,13に設けられた各マフラー側ハンガー16にそれぞれ対応して設けられている。車体側ハンガー22の取付部22aは、水平方向に沿って延在するように設けられている。取付部22aは、マフラーリング30が取り付けられる部分である。
【0016】
マフラー側ハンガー16は、上述したマフラー13,14に複数設けられ、マフラーリング30のマフラー側取付穴33に挿入可能となっている。本実施形態では、マフラー14のマフラー側ハンガー16のみ図示している。マフラー側ハンガー16は、図3に示すように、車体側ハンガー22と同様に、断面円形状に筒状または棒状に形成された取付部16aと、取付部16aの先端側に形成された取付部16aより大径である大径部16bと、を有している。取付部16aは、マフラーリング30が取り付けられる部分である。
【0017】
マフラー側ハンガー16は、例えば、図2に示すように、マフラー14のケーシング14aの底面部上部に複数(例えば、3個)設けられており、マフラー側ハンガー16の取付部16aは水平方向に沿って延在するように設けられている。マフラー14が所定の取付位置にて車体に取り付けられた状態(取付状態)において、図3に示すように、マフラー側ハンガー16の取付部16aと車体側ハンガー22の取付部22aとは、互いに平行となるように配設されている。すなわち、車体側ハンガー22がマフラーリング30の車体側取付穴32に取り付けられるとともに、マフラー側ハンガー16がマフラーリング30のマフラー側取付穴33に取り付けられる。その取付状態にて、マフラー13,14が複数のマフラーリング30を介してフレーム20に垂下した(吊り下げられた)状態にて取り付けられる。
【0018】
(マフラーリング)
マフラーリング30は、主として図4に示すように、本体31、車体側取付穴32、マフラー側取付穴33、および穴34を備えている。マフラーリング30は、ゴムなどの弾性材から形成されている。弾性材としては、弾性を持った高分子である熱硬化性エラストマーを採用することができる。熱硬化性エラストマーとしては、加硫ゴムである天然ゴム、合成ゴム、及び、樹脂系エラストマーであるウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。弾性材は、弾性限界が高く弾性率が低い材料が好ましい。マフラーリング30の硬度・剛性は、車両Mに標準装着されていた標準品のマフラーリングの硬度・剛性より高い。マフラーリング30の使用目的は、標準品と比較して、より高い支持性・防振制・制振性を確保するためだからである。
【0019】
本体31は、図4及び図5に示すように、正面から見て楕円形状をなす円柱状に形成されている。本体31は、本体31の短手方向(左右方向)中央部に設けられた中央部31aと、中央部31aの短手方向の両側に設けられた左右両側部31b,31cと、を備えている。中央部31aは、長手方向(上下方向)に沿って延在して設けられている。中央部31aは、本体31の長手方向の全長に亘って設けられている。中央部31aの厚みは、左右両側部31b,31cの厚みより大きくなるように設定されている。換言すると、中央部31aは、左右両側部31b,31cと比較して厚み方向に突出して形成されている。
【0020】
中央部31aの厚みは、ハンガー16,22の取付部16a,22aの長さと同一かまたは大きく設定されている。マフラーリング30がハンガー16,22に取り付けられている状態においては、取付部16aはマフラー側取付穴33に対して軸方向に沿って相対移動可能に挿入されるとともに、取付部22aは車体側取付穴32に対して軸方向に沿って相対移動可能に挿入されている。なお、大径部16bがマフラー側取付穴33の開口周縁部、第1傾斜部33bまたは第2傾斜部33cに係合することにより、マフラーリング30がマフラー側ハンガー16から外れるのを防止することが可能である。大径部22bが車体側取付穴32の開口周縁部、第1傾斜部32bまたは第2傾斜部32cに係合することにより、マフラーリング30がマフラー側ハンガー16から外れるのを防止することが可能である。
【0021】
中央部31aは、穴34によって上下に分割されており、上側中央部31a1と下側中央部31a2とから構成されている。上側中央部31a1と下側中央部31a2とは、基本的(通常状態)には、穴34の分割穴部34a(後述する)の上下方向幅分だけ空間を置いて配置されている。上側中央部31a1には、車体側ハンガー22が挿入可能である車体側取付穴32が設けられている。車体側取付穴32は、本実施形態では1つだけ設けられている。車体側取付穴32は、複数設けるようにしてもよい。下側中央部31a2には、マフラー側ハンガー16が挿入可能であるマフラー側取付穴33が設けられている。マフラー側取付穴33は、本実施形態では複数設けられている。マフラー側取付穴33は、1つだけ設けるようにしてもよい。マフラー側取付穴33と各車体側取付穴32とは上下方向(長手方向)に沿って並設されている。
【0022】
左右両側部31b,31cは、伸縮可能(弾性変形可能)である伸縮部31d,31eが設けられている。伸縮部31dは、上側中央部31a1の左側部に接続されている上側左側部31b1と、下側中央部31a2の左側部に接続されている下側左側部31b2とを連結する。すなわち、伸縮部31dは、上側中央部31a1と下側中央部31a2とを連結する。伸縮部31eは、上側中央部31a1の右側部に接続されている上側右側部31c1と、下側中央部31a2の右側部に接続されている下側右側部31c2とを連結する。すなわち、伸縮部31eは、上側中央部31a1と下側中央部31a2とを連結する。
【0023】
穴34は、図4に示すように、正面から見てH字状に形成されている。穴34は、分割穴部34a、および2つの伸縮部形成穴部34b,34cから構成されており、断面H字状に形成されている。分割穴部34aは、上側中央部31a1と下側中央部31a2との間に左右方向に沿って延在するように形成されており、上側中央部31a1と下側中央部31a2とを分離(分割)している。伸縮部形成穴部34bは、分割穴部34aの左端部に連結(接続)されており、上下方向(長手方向)に沿って延在するように形成されており、中央部31aから乖離して伸縮部31dを形成している。伸縮部形成穴部34cは、分割穴部34aの右端部に連結(接続)されており、上下方向に沿って延在するように形成されており、中央部31aから乖離して伸縮部31eを形成している。
【0024】
伸縮部31dの伸縮率は、伸縮部31dの左右方向幅および厚み、ならびに硬度(弾性率・剛性率)によって設定されている。伸縮部31dの左右方向幅は、左側部31bの幅が一定である場合には、伸縮部形成穴部34bの左右方向幅が大きいほど小さくなるように設定される。このように、伸縮部31dの伸縮率は、伸縮部形成穴部34bの左右方向幅および上下方向幅、ならびに伸縮部31dの硬度(弾性率・剛性率)によって設定されているとも言える。伸縮部31eの伸縮率も、伸縮部31dの伸縮率と同様に設定されている。
【0025】
車体側取付穴32は、主として図4及び図7に示すように、内周壁面32a、内周壁面32aの一端に接続されてかつ外側に行くにしたがって拡開する第1傾斜部32b、及び、内周壁面32aの他端に接続されてかつ外側に行くにしたがって拡開する第2傾斜部32cを有している。内周壁面32aは、半径がRbである内周壁面である。内周壁面32aの前側開口端(一端)は、第1傾斜部32bの後端(基端)が接続されており、内周壁面32aの後側開口端(他端)は、第2傾斜部32cの前端(基端)が接続されている。第1傾斜部32bは、例えば円錐状に形成されている。第1傾斜部32bの前端(開口端)は、本体31の中央部31aの前面(正面)の円形開口32b1に接続されている。円形開口32b1は、半径がRaである。RaはRbより大きい値に設定されている。第2傾斜部32cは、例えば円錐状に形成されている。第2傾斜部32cの後端(開口端)は、中央部31aの後面(背面)の円形開口32c1に接続されている。円形開口32c1は、円形開口32b1と同じで半径がRaである。尚、第1傾斜部32b及び第2傾斜部32cは、円錐状に形成したが、これに限定されず、外側に行くにしたがって拡開する他の形状でもよい。
【0026】
車体側取付穴32の内周壁面32aには、周方向に沿って複数の凹部41が並設されている。凹部41は、内周壁面32aの幅方向の全長に亘って形成されている。すなわち、凹部41は、内周壁面32aに軸方向に沿って延設されている。凹部41は内周壁面32aより同じ量だけ凹んで形成されている。例えば、凹部41は、所定の半径ra(後述する)を有する断面円弧状に形成されている。本実施形態では、凹部41は周方向に所定間隔(120度)にて3個設けられている。凹部41の1つは、正面から見て12時の位置に設けられ、他の2つは、4時及び8時の位置に設けられている。なお、凹部41は、6時、2時及び20時の位置に設けるようにしてもよい。いずれの場合も、凹部41の1つが、車体側取付穴32の中心とマフラー側取付穴33の中心とを結ぶ直線上に配置されるのが好ましい。これによれば、マフラーリング30を車体側ハンガー22及びマフラー側ハンガー16に対して同時に組み付ける際に、車体側取付穴32(車体側取付穴32の凹部41)による車体側ハンガー22のガイド状態とマフラー側取付穴33(マフラー側取付穴33の凹部41)によるマフラー側ハンガー16のガイド状態とが同じであるため、中心合わせをし易く、ひいてはマフラーリング30を挿入しやすくすることが可能となる。尚、凹部41が所定間隔に配置されていれば、全ての凹部41を、車体側取付穴32の中心とマフラー側取付穴33の中心とを結ぶ直線上以外の位置に配置されるようにしてもよい。また、凹部41は、所定間隔をおいて配置されていなくてもよい(ランダムに(任意の位置に)配置されていてもよい)。
【0027】
凹部41が円弧状である場合には、凹部41の半径raと中心位置Paは次のようにそれぞれ定義される。図9Aに示すように、半径raは、0<ra<d1に設定されるのが好ましく、中心位置Paは、第1位置Pa1<Pa<第2位置Pa2に設定されるのが好ましい。d1は、円形開口32b1の半径Raと内周壁面32aの半径Rbとの差分である。第1位置Pa1は、凹部41の半径raがd1である場合にて、凹部41が円形開口32b1を越えて外側にいかない位置である。第2位置Pa2は、凹部41の半径raがd1である場合にて、凹部41が内周壁面32aを越えて内側にいかない位置である。第1位置Pa1は、円形開口32b1の中心(円形開口32b1と同心である内周壁面32aの中心)を原点と仮定して極座標で示すと、(Rb,θ)と表すことができる。また、第2位置Pa2は、((Rb-ra),θ)と表すことができる。尚、θは所定軸となす角度である。
【0028】
また、図9Bに示すように、凹部41の半径rbは、d1<rbに設定してもよい。この場合、凹部41を3つ設ける場合には、半径rbは、rb<(√3/2)Rbに設定するのが好ましい。半径Rbの内周壁面32aを残存させるためである。さらに、凹部41の中心位置Pbは、第1位置Pb1<Pa<第2位置Pb2に設定されるのが好ましい。第1位置Pb1は、凹部41の半径rbが(√3/2)Rbである場合にて、凹部41が円形開口32b1を越えて外側にいかない位置である。第2位置Pb2は、凹部41の半径rbが(√3/2)Rbである場合にて、凹部41が内周壁面32aを越えて内側にいかない位置である。第1位置Pa1は、円形開口32b1の中心(円形開口32b1と同心である内周壁面32aの中心)を原点と仮定して極座標で示すと、((1/2)Rb,θ)と表すことができる。また、第2位置Pa2は、(((1/2)Rb-d1),θ)と表すことができる。尚、θは所定軸となす角度である。
【0029】
さらに、凹部41の深さ(内周壁面32aからの深さ)は、0より大きくd1より小さい値に設定されており、d1の8分の1から8分の7までの範囲に設定されるのが好ましく、d1の4分の1から4分の3までの範囲に設定されるのがより好ましい。本実施形態では、d1の半分の値に設定されている。凹部41の深さが上述した範囲に収まるように、半径ra及び中心位置Paが設定されている。
【0030】
さらに、車体側ハンガー22の取付部22a及び大径部22bと、車体側取付穴32の内周壁面32a、円形開口32b1及び凹部41との関係を説明する。この関係は、表1に示すように、ケース1からケース6が挙げられる。尚、大径部22bの外径をφ1とし、取付部22aの外径をφ2とし、車体側取付穴32の中心から凹部41までの最大距離をRcとする。
【0031】
【表1】
【0032】
ケース1において、大径部22bの外径φ1は、円形開口32b1の内径(2×Ra)より大きい値に設定し、取付部22aの外径φ2は、内周壁面32aの内径(2×Rb)より小さい値に設定することが可能である。ケース2において、大径部22bの外径φ1は、円形開口32b1の内径(2×Ra)より大きい値に設定し、取付部22aの外径φ2は、内周壁面32aの内径(2×Rb)より大きくかつ凹部41の最大距離を半径とする内径(2×Rc)より小さい値に設定することが可能である。ケース3において、大径部22bの外径φ1は、円形開口32b1の内径(2×Ra)より大きい値に設定し、取付部22aの外径φ2は、凹部41の最大距離を半径とする内径(2×Rc)より大きくかつより円形開口32b1の内径(2×Ra)小さい値に設定することが可能である。
【0033】
ケース4において、大径部22bの外径φ1は、凹部41の最大距離を半径とする内径(2×Rc)より大きくかつより円形開口32b1の内径(2×Ra)小さい値に設定し、取付部22aの外径φ2は、内周壁面32aの内径(2×Rb)より小さい値に設定することが可能である。ケース5において、大径部22bの外径φ1は、凹部41の最大距離を半径とする内径(2×Rc)より大きくかつより円形開口32b1の内径(2×Ra)小さい値に設定し、取付部22aの外径φ2は、内周壁面32aの内径(2×Rb)より大きくかつ凹部41の最大距離を半径とする内径(2×Rc)より小さい値に設定することが可能である。
【0034】
ケース6において、大径部22bの外径φ1は、内周壁面32aの内径(2×Rb)より大きくかつ凹部41の最大距離を半径とする内径(2×Rc)より小さい値に設定し、取付部22aの外径φ2は、内周壁面32aの内径(2×Rb)より小さい値に設定することが可能である。
【0035】
車体側ハンガー22の取付部22a及び大径部22bと、車体側取付穴32の内周壁面32a、円形開口32b1及び凹部41との関係は、前述した6つのケースに大別することが可能となる。換言すると、車体側取付穴32の内周壁面32a、円形開口32b1及び凹部41の内径が所定の値にそれぞれ設定されると、それら設定された所定の値に対して、車体側ハンガー22の取付部22a及び大径部22bの外径を複数のグループ(ケース、パターン)から選択することが可能となる。ひいては、車体側取付穴32の内周壁面32a、円形開口32b1及び凹部41の内径が所定の値にそれぞれ設定された一種類の車体側取付穴32に対して、取付部22a及び大径部22bの外径が異なる複数種の車体側ハンガー22を取り付けることが可能となる。尚、複数種の車体側ハンガー22は、前述した車体側ハンガー22の取付部22a及び大径部22bの外径の関係を示す複数のグループに対応している。
【0036】
このように、外径が多少異なる車体側ハンガー22及びマフラー側ハンガー16を車体側取付穴32及びマフラー側取付穴33に容易に挿入し、かつ確実に固定することが可能となる。さらに、ピッチ間が多少異なる車体側ハンガー22及びマフラー側ハンガー16を車体側取付穴32及びマフラー側取付穴33に容易に挿入し、かつ確実に固定することが可能となる。その結果、マフラーリング30においては、異なる車種に対して一種類のマフラーリング30で適応したり、同一車種において複数種類のマフラー13,14に対して一種類のマフラーリング30で適応したりすることが可能となるので、マフラーリング30は、単一のマフラーリングに対して高い汎用性を持たせることが可能となる。
【0037】
マフラー側取付穴33は、車体側取付穴32と同様に形成されている。マフラー側取付穴33は、内周壁面33a、内周壁面33aの一端に接続されてかつ外側に行くにしたがって拡開する第1傾斜部33b、及び、内周壁面33aの他端に接続されてかつ外側に行くにしたがって拡開する第2傾斜部33cを有している。また、マフラー側取付穴33には、車体側取付穴32と同様に、複数の凹部41が設けられている。
【0038】
マフラー側取付穴33は、上下方向(長手方向)に沿って設けられており、車体20に対するマフラー13,14の複数の設置位置に応じて設定されている。例えば、図10に示すように、設置位置は、標準取付位置Pc0、標準取付位置Pc0より下方に位置する第1下方取付位置Pc1、及び第1下方取付位置Pc1より下方に位置する第2下方取付位置Pc2を有している。例えば、マフラー側取付穴33は、標準取付位置Pc0に対応する標準取付穴33_0、第1下方取付位置Pc1に対応する第1下方取付穴33_1、及び第2下方取付位置Pc2に対応する第2下方取付穴33_2を有している。これによれば、標準品のマフラー14を標準品と取付位置が異なって下方に位置(第1下方取付位置Pc1に相当する。)するダウンマフラーに交換する場合に、マフラーリング30を使用することで、1つのマフラーリング30を流用(兼用)して複数のタイプのマフラー14に対応することが可能となる。ひいては、マフラーリング30の汎用性を向上させることができる。尚、ダウンマフラーに交換する場合は、リアバンパーをスポイラー付きのリアバンパーに交換する場合などである。
【0039】
マフラー側取付穴33は、主として図4及び図7に示すように、内周壁面32aと同様である内周壁面33a、内周壁面33aの一端に接続されてかつ外側に行くにしたがって拡開する第1傾斜部32bと同様である第1傾斜部33b、及び、内周壁面33aの他端に接続されてかつ外側に行くにしたがって拡開する第2傾斜部32cと同様である第2傾斜部33cを有している。
【0040】
(取付方法)
上述したマフラーリング30を使用して、マフラー14(または13)を車体20に取り付ける取付方法について説明する。マフラー14は、第1下方取付位置Pc1にて車体20に取り付けるものとする。最初に、マフラーリング30をマフラー14に取り付ける。この場合、マフラーリング30のマフラー側取付穴33のうち第1下方取付位置Pc1に対応する第1下方取付穴33_1にマフラー14のマフラー側ハンガー16を挿入する。次に、マフラー14を第1下方取付位置Pc1に移動させて、マフラーリング30を車体20に取り付ける。この場合、マフラーリング30の車体側取付穴32に車体側ハンガー22に挿入する。
【0041】
(第2実施形態)
さらに、第2実施形態に係るマフラーリング130について説明する。図11に示すように、マフラーリング130は、車体側取付穴132とマフラー側取付穴133とは、立体的に交差するように設けられている。本実施形態では、車体側取付穴132とマフラー側取付穴133とは、上面から見て直角に交差している。車両のフロア下面の構造上、車体側ハンガー22及びマフラー側ハンガー16の延設方向が制約される場合もあり、この場合のように車両フロア下のスペースを有効利用するために、車体側取付穴132とマフラー側取付穴133とを立体的に交差するように設けることが可能となる。
【0042】
車体側取付穴132は、上述した車体側取付穴32と同様に形成されており、1つまたは複数設けられている。車体側取付穴132は、本実施形態では、1つだけ設けられている。マフラー側取付穴133は、上述したマフラー側取付穴33と同様に形成されており、1つまたは複数設けられている。マフラー側取付穴133は、本実施形態では、複数(2つ)設けられている。
【0043】
マフラーリング130は、主として図16に示すように、本体131、車体側取付穴132、マフラー側取付穴133、および穴134を備えている。本体131は、穴134によって上下に分割されており、上側部31fと下側部31gとから構成されている。上側部31fと下側部31gの厚みは、ハンガー16,22の取付部16a,22aの長さと同一かまたは大きく設定されている。
【0044】
上側部31fと下側部31gとは、基本的(通常状態)には、穴134の分割穴部134a(分割穴部34aと同様である。)の上下方向幅分だけ空間を置いて配置されている。上側部31fと下側部31gとは、穴134の両側にそれぞれ設けられた伸縮部131d,131e(伸縮部31d,31eと同様である。)を介して連結されている。上側部31fには、車体側ハンガー22が挿入可能である車体側取付穴132が設けられている。
【0045】
穴134は、図12に示すように、分割穴部134a、および2つの伸縮部形成穴部134b,134c(伸縮部形成穴部134b,134cと同様である。)から構成されており、断面H字状に形成されている。伸縮部形成穴部134cは、分割穴部134aの右端部に連結(接続)されており、上下方向に沿って延在するように形成されており、伸縮部131d及び伸縮部131eを乖離して形成している。
【0046】
(第3実施形態)
さらに、第3実施形態に係るマフラーリング230について説明する。マフラーリング230においては、車体側取付穴232及びマフラー側取付穴233の形状が、第1実施形態に係るマフラーリング30の車体側取付穴32及びマフラー側取付穴33の形状と異なる。尚、同一構成については、同一符号を付してその説明は省略する。
【0047】
車体側取付穴232は、図17図18に示すように、内周壁面232a、内周壁面232aの一端に接続されてかつ外側に行くにしたがって拡開する第1傾斜部232b、及び、内周壁面232aの他端に接続されてかつ外側に行くにしたがって拡開する第2傾斜部232cを有している。内周壁面232aは、半径がRbである内周壁面である。内周壁面232aの前側開口端(一端)は、第1傾斜部232bの後端(基端)が接続されており、内周壁面232aの後側開口端(他端)は、第2傾斜部232cの前端(基端)が接続されている。第1傾斜部232bは、例えば円錐状に形成されている。第1傾斜部232bの前端(開口端)は、本体31の中央部31aの前面(正面)の円形開口32b1に接続されている。円形開口32b1は、半径がRaである。RaはRbより大きい値に設定されている。第2傾斜部232cは、例えば円錐状に形成されている。第2傾斜部232cの後端(開口端)は、中央部31aの後面(背面)の円形開口32c1に接続されている。円形開口32c1は、円形開口32b1と同じで半径がRaである。
【0048】
車体側取付穴232の内周壁面232aには、周方向に沿って複数の凹部241が並設されている。凹部241は、凹部41と同様に形成されている。凹部241は、内周壁面232aに軸方向に沿って延設されている。
【0049】
車体側取付穴232の内周壁面232aには、周方向に沿って複数の凸部242が並設されている。凸部242は、内周壁面232aに軸方向に沿って延設されている。
【0050】
凸部242は内周壁面232aより同じ量だけ突出して形成されている。例えば、凸部242は、所定の半径rcを有する断面円弧状に形成されている。本実施形態では、凸部242は周方向に所定間隔(120度)にて3個設けられている。凸部242の1つは、正面から見て6時の位置に設けられ、他の2つは、2時及び10時の位置に設けられている。なお、凸部242は、12時、4時及び8時の位置に設けるようにしてもよい。いずれの場合も、凸部242の1つが、車体側取付穴232の中心とマフラー側取付穴233の中心とを結ぶ直線上に配置されるのが好ましい。
【0051】
これによれば、マフラーリング230を車体側ハンガー22及びマフラー側ハンガー16に対して同時に組み付ける際に、車体側取付穴232(車体側取付穴232の凸部242)による車体側ハンガー22のガイド状態とマフラー側取付穴233(マフラー側取付穴233の凸部242)によるマフラー側ハンガー16のガイド状態とが同じであるため、中心合わせをし易く、ひいてはマフラーリング230を挿入しやすくすることが可能となる。尚、凸部242が所定間隔に配置されていれば、全ての凸部242を、車体側取付穴232の中心とマフラー側取付穴233の中心とを結ぶ直線上以外の位置に配置されるようにしてもよい。また、凸部242は、隣り合う凹部241の間に配置されているのが好ましく、所定間隔をおいて配置されていなくてもよい(ランダムに(任意の位置に)配置されていてもよい)。
【0052】
さらに、凸部242の突出量は、0より大きくd1より小さい値に設定されるのが好ましく、例えば、d1の8分の7より小さい値に設定されるのが好ましく、d1の4分の1より小さい値に設定されるのがより好ましい。本実施形態では、d1の半分の値に設定されている。凸部242の突出量が上述した範囲に収まるように、凸部242の半径rc及び中心位置Pcが設定されている。
【0053】
さらに、上述した第1実施形態において、車体側ハンガー22の取付部22a及び大径部22bと、車体側取付穴232の内周壁面232a、円形開口32b1及び凹部41との関係を複数(6つ)のケースに大別したが、本第3実施形態では、車体側ハンガー22の取付部22a及び大径部22bと、車体側取付穴232の内周壁面232a、円形開口32b1、凹部241及び凸部242との関係を複数のケースに大別することが可能となる。尚、大径部22bの外径φ1については、円形開口32b1の内径(2×Ra)、凹部241の最大距離を半径とする内径(2×Rc)、内周壁面232aの内径(2×Rb)、及び、凸部242の最小距離を半径とする内径(2×Rd)を使用して、グループ分けを行うことが可能となる。また、大径部22bの外径φ2については、凸部242の最小距離を半径とする内径(2×Rd)、内周壁面232aの内径(2×Rb)、凹部241の最大距離を半径とする内径(2×Rc)、及び、円形開口32b1の内径(2×Ra)を使用して、グループ分けを行うことが可能となる。
【0054】
これによれば、車体側取付穴232の内周壁面232a、円形開口32b1、凹部241及び凸部242の内径が所定の値にそれぞれ設定されると、それら設定された所定の値に対して、車体側ハンガー22の取付部22a及び大径部22bの外径を複数のグループ(ケース、パターン)から選択することが可能となる。ひいては、車体側取付穴232の内周壁面232a、円形開口32b1、凹部241及び凸部242の内径が所定の値にそれぞれ設定された一種類の車体側取付穴232に対して、取付部22a及び大径部22bの外径が異なる複数種の車体側ハンガー22を取り付けることが可能となる。
【0055】
マフラー側取付穴233は、車体側取付穴232と同様に形成されている。マフラー側取付穴233は、内周壁面233a、内周壁面233aの一端に接続されてかつ外側に行くにしたがって拡開する第1傾斜部233b、及び、内周壁面233aの他端に接続されてかつ外側に行くにしたがって拡開する第2傾斜部233cを有している。また、マフラー側取付穴233には、車体側取付穴232と同様に、複数の凹部241及び凸部242が設けられている。
【0056】
尚、上述した第3実施形態において、マフラー側取付穴233を複数設けるようにしたが、図19に示すように、マフラー側取付穴233を1つだけ設けるようにしてもよい。すなわち、マフラーリング330は、1つの車体側取付穴232を備えるとともに、1つのマフラー側取付穴233を備えた本体331を有している。
【0057】
マフラーリング330は、主として図19に示すように、本体331、車体側取付穴232、マフラー側取付穴233、および穴34を備えている。本体331は、正面から見て楕円形状をなす円柱状に形成されている。本体331は、本体331の短手方向(左右方向)中央部に設けられた中央部331aと、中央部331aの短手方向の両側に設けられた左右両側部331b,331cと、を備えている。中央部331aは、長手方向(上下方向)に沿って延在して設けられている。中央部331aは、本体331の長手方向の全長に亘って設けられている。中央部331aの厚みは、左右両側部331b,331cの厚みより大きくなるように設定されている。
【0058】
中央部331aの厚みは、ハンガー16,22の取付部16a,22aの長さと同一かまたは大きく設定されている。中央部331aは、穴34によって上下に分割されており、上側中央部331a1と下側中央部331a2とから構成されている。左右両側部331b,331cは、伸縮可能(弾性変形可能)である伸縮部31d,31eが設けられている。
【0059】
また、上述した実施形態において、凹部41及び凸部242は、車体側取付穴32,132,232および/またはマフラー側取付穴33,133,233の内周壁面32a,33a,132a,133a,232a,233aに軸方向に沿って延設されたが、凹部及び凸部は、車体側取付穴32,132,232および/またはマフラー側取付穴33,133,233の内周壁面32a,33a,132a,133a,232a,233aに周方向に沿って延設するようにしてもよい。
【0060】
例えば、図20に示すように、車体側取付穴332は、内周壁面332a、第1傾斜部32b及び第2傾斜部32cを有している。凸部342は、内周壁面332aに周方向に沿って延設されている。凸部342は、内周壁面332aから凸設されている。第1傾斜部32b及び第2傾斜部32cは上述した実施形態と同様に構成されている。尚、凸部342に周方向に所定間隔にて溝部を設けるようにしてもよい。また、凸部342は、軸方向中央に設けるようにしたが、軸方向前側または後側に設けるようにしてもよい。さらに、凸部342は、断面台形状に形成したが、円弧状でもよい。
【0061】
さらに、図21に示すように、車体側取付穴432は、内周壁面432a、第1傾斜部432b及び第2傾斜部432cを有している。凹部141は、内周壁面432aに周方向に沿って延設されている。凹部141は、内周壁面432aに凹設されている。第1傾斜部432bは、上述した第1傾斜部32bより傾斜面の幅が狭くなっており、第2傾斜部432cは、上述した第2傾斜部32cより傾斜面の幅が狭くなっている。尚、凹部141は、軸方向前側及び後側の両方に設けるようにしたが、いずれか一方にだけ設けるようにしてもよい。
【0062】
上述した実施形態に係る車両用マフラーリング30,130,230,330は、車体20に設けられたハンガーである車体側ハンガー22と、車体側ハンガー22に対応してマフラー13,14に設けられたハンガーであるマフラー側ハンガー16とを、連結する車両用マフラーリングである。車両用マフラーリング30,130,230,330は、車体側ハンガー22が挿入固定可能である一または複数の車体側取付穴32,132,232と、マフラー側ハンガー16が挿入固定可能である複数または一のマフラー側取付穴33,133,233と、を有し、車体側取付穴32,132,232および/またはマフラー側取付穴33,133,233の内周壁面32a,33a,132a,133a,232a,233aには、軸方向または周方向に沿って延設された複数の凹部41および/または凸部242が形成されている。
【0063】
車両用マフラーリング30,130,230,330によれば、車体側取付穴32の内周壁面32a,33aに、軸方向または周方向に沿って延設された複数の凹部41および/または凸部242が形成されているので、この車体側取付穴32には外径の異なる複数のタイプ(種類)の車体側ハンガー22が取付可能となる。さらに、マフラー側取付穴33の内周壁面32a,33aに、軸方向または周方向に沿って延設された複数の凹部41および/または凸部242が形成されているので、このマフラー側取付穴33には外径の異なる複数のタイプ(種類)のマフラー側ハンガー16が取付可能となる。このように、単一種の車両用マフラーリング30が、車体側ハンガー22の外径とマフラー側ハンガー16の外径が異なる複数種の組み合わせに適用(使用)が可能となり、すなわち、できるだけ多数種の車体(車種)とマフラー13,14との組み合わせに適用(使用)が可能となる。よって、本開示の車両用マフラーリング30は、単一種の車両用マフラーリング30に対してできるだけ高い汎用性を持たせることが可能となる。
【0064】
また、車両用マフラーリング30,130,230,330は、車体側取付穴32とマフラー側取付穴33とは、立体的に交差するように設けられている。
【0065】
また、車両用マフラーリング30,130,230,330は、凹部41および凸部242は、断面円弧状に形成されている。
【0066】
また、車体側取付穴32及びマフラー側取付穴33は、内周壁面32a,33aと、内周壁面32a,33aの一端に接続されてかつ外側に行くにしたがって拡開する第1傾斜部33bと、内周壁面32a,33aの他端に接続されてかつ外側に行くにしたがって拡開する第2傾斜部33cと、を有している。第1傾斜部33bの開口端は円形に形成され、第2傾斜部33cの開口端は円形に形成されている。車体側取付穴32またはマフラー側取付穴33の中心から凹部41までの最大距離は、内周壁面32a,33aの半径より大きくかつ開口端の半径より小さい値に設定されている。
【0067】
また、車体側ハンガー22及びマフラー側ハンガー16は、車両用マフラーリング30が取り付けられる取付部22a,16aと、取付部22a,16aの先端部に設けられ取付部22a,16aより大径である大径部22b,16bと、を有している。車体側取付穴32及びマフラー側取付穴33は、内周壁面32a,33aと、内周壁面32a,33aの一端に接続されてかつ外側に行くにしたがって拡開する第1傾斜部33bと、内周壁面32a,33aの他端に接続されてかつ外側に行くにしたがって拡開する第2傾斜部33cと、を有している。第1傾斜部33bの開口端は円形に形成され、第2傾斜部33cの開口端は円形に形成されている。車体側取付穴32またはマフラー側取付穴33の中心から凹部41までの最大距離を半径とする内径、内周壁面32a,33aの内径及び開口端の内径と、車体側ハンガー22またはマフラー側ハンガー16の取付部22a,16aの外径及び大径部22b,16bの外径とを関連付けた複数のグループに基づいて、取付部22a,16aの外径及び大径部22b,16bの外径が異なる複数種の車体側ハンガー22またはマフラー側ハンガー16を形成可能である。
【0068】
なお、上述した実施形態において、凹部41の幅は、一定となるように設定されていたが、凹部41の幅を、一方の傾斜部から他方の傾斜部に行くにしたがって狭くなるように設定してもよい。この場合、ハンガーが挿入される側の幅が広くなるようにするのが好ましい。これによれば、ハンガーを挿入しやすくかつ抜けにくくすることが可能となる。また、凹部41の深さは一定に設定するのが好ましい。
【符号の説明】
【0069】
13,14…マフラー、16…マフラー側ハンガー、20…車体、22…車体側ハンガー、30…車両用マフラーリング、32,132,232…車体側取付穴、33,133,233…マフラー側取付穴、32a,33a,132a,133a,232a,233a…内周壁面、41…凹部、242…凸部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21