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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109401
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/12 20160101AFI20220721BHJP
   B60K 6/46 20071001ALI20220721BHJP
   B60W 20/15 20160101ALI20220721BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20220721BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20220721BHJP
   B60W 10/26 20060101ALI20220721BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20220721BHJP
   B60L 50/61 20190101ALI20220721BHJP
   B60L 58/13 20190101ALI20220721BHJP
【FI】
B60W20/12
B60K6/46 ZHV
B60W20/15
B60W10/06 900
B60W10/08 900
B60W10/26 900
B60L15/20 J
B60L50/61
B60L58/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004685
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(74)【代理人】
【識別番号】100148910
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 岳志
(72)【発明者】
【氏名】黒木 志典
【テーマコード(参考)】
3D202
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA07
3D202BB00
3D202BB01
3D202BB11
3D202BB19
3D202DD00
3D202DD24
3D202DD44
3D202DD45
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BA00
5H125BC05
5H125BC13
5H125BD17
5H125CA01
5H125EE27
5H125EE31
5H125EE55
5H125EE61
(57)【要約】
【課題】ハイブリッド車両が走行する際の蓄電装置に対する電力収支を簡便に予想し、それに応じ制御して車両の動力性能を確保しつつ燃費性能の悪化を抑制する。
【解決手段】各エリア毎に付与される同エリアの険しさを示すランク値の情報を記憶保持する情報記憶部001と、車両がどのエリア内に所在しているのかを検出する位置検出部002と、車両が所在しているエリアのランク値またはそのエリアに隣接するエリアのランク値に応じて、車両がエリア内を走行するときの、停止した内燃機関のファイアリングを開始する条件、内燃機関のファイアリングを停止する条件、ファイアリングして運転する際の内燃機関の出力、電動機に電力を供給する蓄電装置の充電を開始する条件、蓄電装置の充電を終了する条件、蓄電装置を充電する際の電力の大きさ、または蓄電装置から放電する際の電力の大きさを変更する選択制御部003とを具備する車両の制御装置を構成した。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源として内燃機関及び電動機が搭載されたハイブリッド車両を制御するものであって、
車両が移動する領域を複数のエリアに区画した各エリア毎に付与される、車両が当該エリア内を走行するときの同エリアの険しさを示すランク値の情報を記憶保持する情報記憶部と、
現在車両がどのエリア内に所在しているのかを検出する位置検出部と、
前記情報記憶部に記憶している、前記位置検出部を介して検出した車両が所在しているエリアのランク値またはそのエリアに隣接するエリアのランク値に応じて、車両が所在しているエリア内を走行するときの、停止した内燃機関のファイアリングを開始する条件、内燃機関のファイアリングを停止する条件、ファイアリングして運転する際の内燃機関の出力、電動機に電力を供給する蓄電装置の充電を開始する条件、蓄電装置の充電を終了する条件、蓄電装置を充電する際の電力の大きさ、蓄電装置から放電する際の電力の大きさのうちの何れか少なくとも一つを変更する選択制御部と
を具備するハイブリッド車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関により発電機を駆動して発電した電力を蓄電装置に充電しまたは走行用電動機に供給する態様のハイブリッド車両の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、内燃機関及び電動機の二種の動力源を備えるハイブリッド車両が一定の普及を見ている。シリーズ方式のハイブリッド車両(例えば、下記特許文献を参照)は、内燃機関により発電用モータジェネレータを駆動して発電を行い、発電した電力を蓄電装置、即ちリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等のバッテリ及び/またはキャパシタに蓄えるとともに、走行用モータジェネレータに供給する。そして、走行用モータジェネレータによって車両の駆動輪を回転させて走行する。
【0003】
発電用モータジェネレータのみならず、走行用モータジェネレータもまた、回生制動により発電を行い、発電した電力を蓄電装置に蓄えることができる。蓄電装置の容量一杯まで既に電荷が蓄えられている場合には、回生制動により得られる電力を敢えて発電用モータジェネレータに供給し、これを電動機として作動させて内燃機関を回転駆動するモータリングを行うことで、余剰の電力を消費する。
【0004】
ハイブリッド車両では、気筒において燃料を燃焼させて内燃機関を運転するファイアリングを行なわずとも、走行用モータジェネレータが蓄電装置に蓄えた電荷を消費して回転駆動力を出力し、車両を走行させることが可能である。よって、車両の運用中であっても、内燃機関の回転を停止している状態が継続することがある。
【0005】
蓄電装置に蓄えている電荷の量が減少したときや、走行用モータジェネレータに対する要求出力が大きいときには、内燃機関を始動しその気筒に燃料を供給してこれを燃焼させ、内燃機関の出力する回転駆動力により発電用モータジェネレータを駆動し、発電を実行して蓄電装置を充電、または走行用モータジェネレータに供給する電力を増強する。
【0006】
シリーズ方式のハイブリッド車両にあって、発電用モータジェネレータは、停止した内燃機関を始動する準備として内燃機関をモータリング、即ちクランキングする役割を兼ねる。クランキング時には、蓄電装置から必要な電力の供給を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-156134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現状、上市されているハイブリッド車両には、大容量の大形の蓄電装置が搭載されている。対して、軽自動車や小型自動車に匹敵するコンパクトなハイブリッド車両を設計・開発するにあたっては、コスト面、さらに車体における搭載スペースの制約から、できる限り小形かつ軽量な蓄電装置を採用することが要望される。
【0009】
車両が制動される際に回生発電して運動エネルギを回収するためには、蓄電装置に空き容量を確保しておく必要がある。蓄電装置が既に満充電されていると、それ以上蓄電装置に充電できず、余剰のエネルギは熱として捨てられることになる。
【0010】
だが、小形の蓄電装置は、どうしても容量及び入出力可能な電力が小さい。小形の蓄電装置に常に空き容量を設けておくことは、蓄電装置に蓄える電荷量が平均的に少なくなることを意味する。そして、登坂走行に伴う高出力(高負荷)運転時に、蓄電装置に蓄えている電荷量が不足すると、蓄電装置から走行用の電動機に必要十分な電力を供給できず、車両の動力性能を維持するべく内燃機関を始動してファイアリングせざるを得なくなる。結果、却って燃料消費量が増加して車両の燃費性能の悪化を招きかねない。
【0011】
車両の動力性能と燃費性能とをバランスさせる対処策として、詳細な地図データベースを保有しておき、カーナビゲーションシステム等と連携して運転者が今後走行しようとする経路を把握し、その走行経路に沿った登坂箇所及び降坂箇所の勾配及び距離を求め、登坂走行により消費される電力量及び降坂走行を通じて回収される電力量をそれぞれ推算して、今現在蓄電装置に蓄えておくべき電荷量を決定し、これに基づき内燃機関、発電機及び蓄電装置を各々制御することが考えられる。
【0012】
しかしながら、このような手法は、車両の制御装置(Electronic Control Unit)の記憶容量及び演算処理能力を圧迫する上、制御ソフトウェアの開発工数も甚大となる。しかも、莫大なデータ量の地図データベースの更新(道路網は日を追って変化することから、随時キャッチアップしなければならない)の手間もあり、軽々には採用し難い。
【0013】
以上に着目してなされた本発明は、ハイブリッド車両が滞在するエリア内を走行する際の蓄電装置に対する電力収支を簡便に予想し、それに応じて内燃機関及び蓄電装置を制御して、車両の動力性能を確保しつつ燃費性能の悪化を抑制することを所期の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では、動力源として内燃機関及び電動機が搭載されたハイブリッド車両を制御するものであって、車両が移動する領域を複数のエリアに区画した各エリア毎に付与される、車両が当該エリア内を走行するときの同エリアの険しさを示すランク値の情報を記憶保持する情報記憶部と、現在車両がどのエリア内に所在しているのかを検出する位置検出部と、前記情報記憶部に記憶している、前記位置検出部を介して検出した車両が所在しているエリアのランク値またはそのエリアに隣接するエリアのランク値に応じて、車両が所在しているエリア内を走行するときの、停止した内燃機関のファイアリングを開始する条件、内燃機関のファイアリングを停止する条件、ファイアリングして運転する際の内燃機関の出力、電動機に電力を供給する蓄電装置の充電を開始する条件、蓄電装置の充電を終了する条件、蓄電装置を充電する際の電力の大きさ、蓄電装置から放電する際の電力の大きさのうちの何れか少なくとも一つを変更する選択制御部とを具備するハイブリッド車両の制御装置を構成した。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ハイブリッド車両が滞在するエリア内を走行する際の蓄電装置に対する電力収支を簡便に予想し、それに応じて内燃機関及び蓄電装置を制御して、車両の動力性能を確保しつつ燃費性能の悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態におけるシリーズ方式のハイブリッド車両及び制御装置の概略構成を示す図。
図2】同実施形態のハイブリッド車両に搭載される内燃機関の概要を示す図。
図3】同実施形態の制御装置が制御するハイブリッド車両の要求出力の区分を示す図。
図4】同実施形態の制御装置の機能ブロック図。
図5】同実施形態の制御装置の情報記憶部が記憶している各エリア毎の険しさを示すランク値の概念図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態におけるハイブリッド車両の主要システムの概略構成を示している。このハイブリッド車両は、内燃機関1と、内燃機関1により駆動されて発電を行う発電用モータジェネレータ2と、発電用モータジェネレータ2が発電した電力を蓄える蓄電装置3と、発電用モータジェネレータ2及び/または蓄電装置3から電力の供給を受けて車両の駆動輪62を駆動する走行用モータジェネレータ4とを備えている。
【0018】
本実施形態のハイブリッド車両は、内燃機関1を発電にのみ使用するシリーズハイブリッド方式の電気自動車であり、車両の駆動輪62には専ら走行用モータジェネレータ4から走行のための駆動力を供給する。内燃機関1と駆動輪62との間は機械的に切り離されており、元来両者の間で回転駆動力の伝達がなされない。つまり、内燃機関1は、走行用モータジェネレータ4及び駆動輪62から完全に独立して回転し、また完全に独立して停止することが可能である。従って、イグニッションスイッチ(パワースイッチ、またはイグニッションキー)がONに操作されている車両の運用中、運転者がアクセルペダルを踏むことで車両が走行可能な状態にあっても、蓄電装置3が十分な電荷を蓄え、かつブレーキブースタ15が十分な負圧を蓄えている状況下では、燃料の燃焼を伴う内燃機関1の運転を実施しないことがある。
【0019】
内燃機関1の回転軸であるクランクシャフトは、発電用モータジェネレータ2の回転軸と、歯車機構を介してまたは軸を直結して機械的に接続している。そして、内燃機関1が出力する回転駆動力を発電用モータジェネレータ2に入力することで、発電用モータジェネレータ2が発電する。発電した電力は、蓄電装置3に充電し、及び/または、走行用モータジェネレータ4に供給する。また、発電用モータジェネレータ2は、自らが回転駆動力を発生させて内燃機関1のクランクシャフトを回転駆動するモータリング用の電動機としても機能する。例えば、発電用モータジェネレータ2は、停止している内燃機関1を始動する準備としてのクランキングを実行する。
【0020】
走行用モータジェネレータ4は、車両の走行のための駆動力を発生させ、その駆動力を減速機61を介して駆動輪62に入力する。また、走行用モータジェネレータ4は、駆動輪62に連れ回されて回転することで発電し、車両の運動エネルギを電気エネルギとして回収する。この回生制動により発電した電力は、蓄電装置3に充電する。
【0021】
尤も、既に蓄電装置3の容量一杯まで電荷が蓄えられており、それ以上の充電が困難であるならば、走行用モータジェネレータ4が回生発電した電力を敢えて発電用モータジェネレータ2に供給し、発電用モータジェネレータ2を電動機として稼働させて内燃機関1を回転駆動する。これにより、車両の制動性能を維持しながら、余剰の電力を消尽する。また、このとき、内燃機関1の回転が保たれることから、内燃機関1の気筒への燃料供給を一時的に停止する燃料カットを実行することができる。
【0022】
発電機インバータ21は、発電用モータジェネレータ2が発電する交流電力を直流電力に変換する。そして、その直流電力を蓄電装置3または駆動機インバータ41に入力する。並びに、発電機インバータ21は、発電用モータジェネレータ2を電動機として作動させる際に、蓄電装置3及び/または駆動機インバータ41から供給される直流電力を交流電力に変換した上で発電用モータジェネレータ2に入力する。
【0023】
駆動機インバータ41は、蓄電装置3及び/または発電機インバータ21から供給される直流電力を交流電力に変換した上で走行用モータジェネレータ4に入力する。並びに、駆動機インバータ41は、車両の回生制動を行うときに走行用モータジェネレータ4が発電する交流電力を直流電力に変換した上で蓄電装置3または発電機インバータ21に入力する。発電機インバータ21及び駆動機インバータ41は、PCU(Power Control Unit)02の一部をなす。
【0024】
蓄電装置3は、バッテリ及び/またはキャパシタ等である。バッテリは、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等の、エネルギ密度の大きい高電圧の二次電池である。蓄電装置3は、発電用モータジェネレータ2及び走行用モータジェネレータ4の各々が発電する電力を充電して蓄える。並びに、蓄電装置3は、発電用モータジェネレータ2及び走行用モータジェネレータ4の各々を電動機として作動させるための電力を放電し、それらモータジェネレータ2、4に必要な電力を供給する。
【0025】
図2に、本実施形態のハイブリッド車両に搭載される内燃機関1の概要を示している。内燃機関1は、例えば火花点火式の4ストロークレシプロエンジンであり、複数の気筒11(例えば、三気筒。図2には、そのうち一つを図示する)を包有している。各気筒11の吸気ポート近傍には、吸気ポートに向けて燃料を噴射するインジェクタ111を設けている。また、各気筒11の燃焼室の天井部に、点火プラグ112を取り付けてある。点火プラグ112は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。
【0026】
吸気を供給するための吸気通路13は、外部から空気を取り入れて各気筒11の吸気ポートへと導く。吸気通路13上には、エアクリーナ131、電子スロットルバルブ132、サージタンク133、吸気マニホルド134を、上流からこの順序に配置している。エアクリーナ131は、吸気通路13における最上流の位置、即ち空気を取り入れる吸気口に所在する。吸気口は、冷たい空気を取り入れて内燃機関の充填効率を上げるために、車両の前方に開口している。
【0027】
排気を排出するための排気通路14は、気筒11内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒11の排気ポートから外部へと導く。この排気通路14上には、排気マニホルド142及び排気浄化用の三元触媒141を配置している。
【0028】
EGR装置12は、排気通路14と吸気通路13とを連通する外部EGR通路121と、EGR通路121上に設けたEGRクーラ122と、EGR通路121を開閉し当該EGR通路121を流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ123とを要素とする。EGR通路121の入口は、排気通路14における触媒141の下流の箇所に接続している。EGR通路121の出口は、吸気通路13におけるスロットルバルブ132の下流の箇所(特に、サージタンク133または吸気マニホルド134)に接続している。
【0029】
内燃機関1、発電用モータジェネレータ2、蓄電装置3、インバータ21、41及び走行用モータジェネレータ4の制御を司る制御装置たるECU0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。ECU0は、複数基のECU、即ち内燃機関1を制御するEFI(Electronic Fuel Injection)ECU01、モータジェネレータ2、4及びインバータ21、41を制御するMG(Motor Generator)ECU02、蓄電装置3を制御するBMS(Battery Management System)ECU03等、並びに、それらの制御を統括する上位のコントローラであるHV(Hybrid Vehicle)ECU00が、CAN(Controller Area Network)等の電気通信回線を介して相互に通信可能に接続されてなるものである。
【0030】
ECU0に対しては、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、内燃機関1のクランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するクランク角センサから出力されるクランク角信号b、運転者によるアクセルペダルの踏込量をアクセル開度(いわば、運転者が車両(の走行用モータジェネレータ4)に対して要求している駆動力)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、内燃機関1の気筒11に連なる吸気通路13(特に、サージタンク133または吸気マニホルド134)内の吸気温及び吸気圧を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号d、内燃機関1の冷却水の温度を検出する水温センサから出力される冷却水温信号e、車載の航法信号受信装置から出力される車両の現在位置[緯度,経度]f、蓄電装置3に蓄えている電荷量を検出するセンサ(特に、バッテリ電流及び/またはバッテリ電圧センサ)から出力されるバッテリSOC(State Of Charge)信号g、ブレーキブースタ15の定圧室に蓄えている負圧を検出する負圧センサから出力される負圧信号h等が入力される。航法信号受信装置は、既知のGPS(Global Positioning System)やQZSS(Quasi-Zenith Satellite System)等の航法衛星システム(衛星測位システム)におけるそれである。
【0031】
そして、ECU0は、各種センサを介してセンシングしている、運転者が操作するアクセルペダルの踏込量や、現在の車両の車速、蓄電装置3が蓄えている電荷の量、発電用モータジェネレータ2の発電電力等に応じて、走行用モータジェネレータ4が出力する回転駆動力、内燃機関1が出力する回転駆動力、及び発電用モータジェネレータ2が発電する電力の大きさを増減制御する。
【0032】
原則として、蓄電装置3が現在十分な電荷を蓄えており、走行用モータジェネレータ4に対して要求される出力が小さいならば、内燃機関1への燃料の供給を遮断して内燃機関1を運転しない。翻って、蓄電装置3が蓄えている電荷の量が下限値を下回り、または走行用モータジェネレータ4に対して要求される出力が大きいならば、内燃機関1を始動し気筒11に燃料を供給してこれを燃焼させるファイアリングを実行し、内燃機関1の出力する回転駆動力により発電機モータジェネレータ2を駆動し、発電を実施して蓄電装置3を充電し、または走行用モータジェネレータ4に供給する電力を増強する。
【0033】
図3に、車両の運転者が要求する出力と、内燃機関1及び発電用モータジェネレータ2の運転の要否との関係を示している。要求出力は、運転者が操作するアクセルペダルの踏込量及び車速によって決まる。駆動輪62に与えるべき駆動力は、アクセル開度が大きいほど大きくなる。要求出力は、駆動輪62に与えるべき駆動力が大きいほど大きくなり、車速が高くなるほど大きくなる。図3上、右上方に向かうほど要求出力が大きいということになる。
【0034】
ECU0は、駆動輪62に与えるべき駆動力が比較的小さく、車速も比較的低い低出力領域Iでは、内燃機関1に燃料を供給せずにその運転を停止し、発電用モータジェネレータ2を発電機として稼働させない。低出力領域Iでは、走行用モータジェネレータ4が、蓄電装置3のみから電力供給を受けて、車両の走行のための駆動力を出力する。低出力領域Iは、典型的には、アクセル開度が0または所定値以下に小さいとき、あるいは車両の減速走行中である。
【0035】
ECU0は、駆動輪62に与えるべき駆動力がある程度以上大きい、または車速がある程度以上高い中高出力領域II、IIIでは、内燃機関1に燃料を供給してこれを運転し、発電用モータジェネレータ2を発電機として稼働させる。要求出力が顕著に大きくない中出力領域IIでは、走行用モータジェネレータ4が、主として発電用モータジェネレータ2から電力供給を受けて、車両の走行のための駆動力を出力する。このとき、蓄電装置3からは、少量の電力供給を受けるか、または全く電力供給を受けない。要求出力が顕著に大きい高出力領域IIIでは、走行用モータジェネレータ4が、発電用モータジェネレータ2及び蓄電装置3の双方から電力供給を受けて、車両の走行のための駆動力を出力する。
【0036】
内燃機関1の気筒11に燃料を供給して内燃機関1を運転しておらず、走行用モータジェネレータ4により駆動輪62を駆動して車両を走行させている最中に、内燃機関1を始動して発電用モータジェネレータ2による発電を実行しようとするためには、まず、発電用モータジェネレータ2を電動機として作動させ、これにより内燃機関1の始動のためのクランキングを行う。そして、内燃機関1のクランクシャフトが所定回数以上または所定角度以上回転し、内燃機関1の各気筒11の現在の行程またはピストンの位置を知得する気筒判別が完了したならば、内燃機関1の各気筒11の行程に合わせて適切なタイミングで燃料を噴射し、かつ適切なタイミングで燃料を着火燃焼させるファイアリングを開始する。内燃機関1のクランクシャフトの回転角度及び回転速度即ちエンジン回転数は、発電用モータジェネレータ2に付帯するレゾルバを介して(MG ECU02において)検出することができ、内燃機関1に付帯するクランク角センサを介して(EFI ECU01において)検出することもできる。
【0037】
内燃機関1が自立的に回転し発電のために必要な回転駆動力を出力可能な状態となった、つまり発電用モータジェネレータ2の出力を低減させてもなおエンジン回転数が上昇傾向を維持できるようになったならば、電動機として作動させている発電用モータジェネレータ2の出力を0まで低減させてクランキングを終了し、今度は内燃機関1により発電用モータジェネレータ2を回転駆動する。さらに、発電用モータジェネレータ2を発電機として作動させ、その発電電力を0から増大させる。
【0038】
その後、エンジン回転数を段階的に引き上げられる目標回転数に追従させるように、内燃機関1の気筒1に供給する吸気量及び燃料噴射量、並びに発電用モータジェネレータ2の発電電力を増減調整する。最終的な目標回転数は、内燃機関1を最適または最適に近い効率で運転でき燃料消費率にとって最も有利な回転数、あるいは、内燃機関1が最大トルク若しくは最大出力またはこれに近いトルク若しくは出力を達成できるような回転数に設定する。
【0039】
ECU0の一部をなすEFI ECU01は、内燃機関1の運転制御に必要な各種情報b、d、e、fを入力インタフェースを介して取得し、エンジン回転数を知得するとともに気筒11に吸入される空気量を推算する。そして、吸入空気量に見合った(目標空燃比を具現するために必要な)要求燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、点火タイミング(一度の燃焼に対する点火の回数を含む)、要求EGR率(または、EGRガス量)等といった内燃機関1の運転パラメータを決定する。EFI ECU01は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、lを、出力インタフェースを介して点火プラグ112のイグナイタ、インジェクタ111、スロットルバルブ132、EGRバルブ123等に対して出力する。
【0040】
本実施形態にあって、ECU0の一部をなすHV ECU00は、メモリに予め格納しているプログラムを読み出しプロセッサにより解釈、実行し、それに従い図4に示す情報記憶部001、位置検出部002及び選択制御部003としての機能を発揮する。
【0041】
情報記憶部001は、HV ECU00のメモリの所要の記憶領域を利用し、車両が移動する領域を複数のエリアAに区画してなる各エリアA毎に、当該エリアAの険しさの度合いを示すランク値を記憶する。各エリアAは、互いに同等の面積、寸法を有する。各エリアAの寸法は、車両が直線的に走行すると仮定して一つのエリアAを横切るために十数秒、数十秒ないし数分以上を要する程度の大きさ、またはそれ以上の大きさに設定する。例えば、一つのエリアAの寸法を、約1km四方に設定する。車両が1kmの距離を直線的に走行するとき、車速100km/hであれば36秒、車速60km/hであれば60秒を要する。無論、各エリアAの寸法はこれより小さくてもよく(500m四方、100m四方等)、大きくてもよい。
【0042】
そして、一つのエリアAに対して一つのランク値を付与する。ランク値は、車両が当該エリアAを走行する間の蓄電装置3の電力収支を示唆する。ランク値がより高い、当該エリアAを走行する車両にとって険しさの度合いが大きい、換言すればその高低差や傾斜が比較的大きいエリアAでは、登坂走行に代表される高出力(高負荷)運転が行われやすい。つまり、当該エリアA内で登坂走行等の高出力運転が行われる頻度がより多く、または登坂走行等する距離がより長くなって、走行用モータジェネレータ4が消費する電力がより大きくなる。従って、予め蓄電装置3に充分な量の電荷を蓄えておかないと、当該エリアAの走行中に蓄電装置3の蓄電量が不足し、(内燃機関1を始動、ファイアリング運転せずに)走行用モータジェネレータ4が車両の走行に必要な駆動力を発生させることが難しくなるおそれがある。一方で、当該エリアAの走行中は、電力消費が多くなることから、蓄電装置3の空き容量を敢えて確保しようとしなくとも、必然的に蓄電装置3に蓄えている電力が消費されるので、車両の回生制動の際に走行用モータジェネレータ4が発電する電力を無駄なく受け入れることができるものと予想される。
【0043】
対して、ランク値がより低い、当該エリアAを走行する車両にとって険しさの度合いが小さい、換言すればその高低差や傾斜が比較的小さいエリアAでは、高出力運転が行われにくい。つまり、当該エリアA内で登坂走行等の高出力運転が行われる頻度がより少なく、または登坂走行等する距離がより短く、走行用モータジェネレータ4が消費する電力がより小さくなる。従って、当該エリアAの走行中、蓄電装置3の蓄電量が不足する懸念はランク値が高いエリアAに比して小さく、走行用モータジェネレータ4により必要な駆動力を発生させることができるだろう。代わりに、回生制動の際に走行用モータジェネレータ4が発電する電力を無駄なく蓄電するべく、蓄電装置3にある程度以上の空き容量を確保しておくことが、車両の総体的な実用燃費性能の向上のために求められる。
【0044】
情報記憶部001に記憶保持するランク値の情報について補記する。図5に、各エリアAに付与するランク値を模式的に示している。図5中、各エリアA毎のランク値を、各エリアAに付した網点の濃淡によって表現している。網点がより濃いエリアAが、ランク値のより高い険しいエリアAであり、網点がより薄いエリアAが、ランク値のより低い険しくないエリアAである。
【0045】
ランク値の情報は、例えば、国土地理院が公開しているDEM(Digital Elevation Model。または、DTM(Digital Terrain Model))データを基に作成することができる。DEMデータは、写真測量や航空レーザ測量により計測した高さのデータから、建物、橋等の人工構造物や樹木等の植生を除去し、南北及び東西方向に5mまたは10m間隔で標高値を内挿補間により算出した基盤地図(数値標高モデル)情報である。尤も、そのデータ量は莫大であり、これをそのまま利用することは容易でない。
【0046】
本実施形態では、ランク値の情報を作成するにあたり、まず、上記のDEMデータから、一つのエリアAの寸法よりも小さな間隔である5mまたは10m毎に間欠的に分布している各地点Pの斜度、即ち各地点Pの地表面の水平からの傾斜の角度の絶対値を算出する。斜度は、着目した地点Pの地形面の法線ベクトルの成分から算出できる。各地点Pの斜度の算出法は、幾つか考えられる。具体的には、対象地点Pのメッシュとそれに隣接するメッシュとの高低差(及び、メッシュの間隔)から傾斜角度を求めてそのうちの最大値をとる方法や、対象地点Pのメッシュの周囲の四点ないし八点の高度から当該メッシュの近似面を最小二乗法により求めてその法線ベクトルを得る方法、等が挙げられる。
【0047】
これにより、個々のエリアA内の各地点Pのメッシュの斜度が得られる。この斜度のデータは、いわゆる赤色立体地図(のうちの斜度図)における赤色の彩度の値に相当する。図5において、地点Pの網点が濃いほど、当該地点Pの斜度がより大きく、当該地点Pの地形面が急峻に傾いている。逆に、地点Pの網点が薄いほど、当該地点Pの斜度がより小さく、その地形面が水平に近い。
【0048】
その上で、本実施形態では、各エリアA毎に、当該エリアAに属している複数の地点Pの斜度の平均値、中央値または最頻値等を算定して、その値を当該エリアAに付与するべきランク値とする。当該エリアA内の各地点Pの斜度の平均値等が大きいほど、当該エリアAのランク値は高くなる。情報記憶部001は、このようにして策定したランク値の情報を記憶保持する。
【0049】
本実施形態の手法により、情報記憶部001に記憶するデータ量を著しく削減することができる。一つのエリアAの寸法を1kmとした場合、各エリアA毎のランク値のデータ量は、10mメッシュのDEMデータ量の1/10000以下となる。反面、エリアAのランク値の情報は、エリアA内での詳細な路面の上り下りを表現しない。加えて、一つのエリアAのランク値のみからは、当該エリアA内の路面の傾斜の方向を知ることができない。
【0050】
位置検出部002は、走行する車両が現在どのエリアA内に所在しているのかを検出する。本実施形態では、車載の航法信号受信装置から、車両の現在位置の座標である緯度及び経度を得られる。並びに、情報記憶部001には、各エリアA毎に、ランク値とともに、当該エリアAの緯度及び経度の範囲の情報を記憶している。位置検出部002は、その情報を参照して、航法信号受信装置が示す現在の緯度及び経度が何れのエリアAに該当するのかを判定する。
【0051】
選択制御部003は、車両が現在所在しているエリアA及び/またはそれに隣接するエリアAに付与されているランク値を情報記憶部001から読み出し、そのランク値に応じて、車両が所在しているエリアA内を走行するときの内燃機関1、発電用モータジェネレータ2及び蓄電装置3の制御を選択しまたは変更する。
【0052】
車両がランク値の高い険しいエリアA内を走行する際には、登坂走行に代表される高出力運転の機会が増加することが見込まれ、それによる電力消費に備えて蓄電装置3にできるだけ多くの電荷を蓄えておく必要がある。が、ランク値の低い険しくないエリアA内を走行する際には、高出力運転の機会が必ずしも多くなく、回生制動により発電した電力を余さず充電できるよう、蓄電装置3に空き容量を確保しておくことが望ましい。そのために、選択制御部003としてのHV ECU00は、下掲のうち少なくとも一つを実施する:
・ランク値がより高いエリアAを走行する場合、ランク値がより低いエリアAを走行する場合と比較して、停止していた内燃機関1を始動し発電を開始する条件となる蓄電装置3の蓄電量(または、SOC)の下限閾値をより引き下げる。なお、蓄電量が下限閾値を下回ると、内燃機関1をファイアリングして発電用モータジェネレータ2による発電を開始することになる。
・ランク値がより高いエリアAを走行する場合、ランク値がより低いエリアAを走行する場合と比較して、ファイアリング運転していた内燃機関1を停止し発電を終了する条件となる蓄電装置3の蓄電量の上限閾値をより引き上げる。なお、蓄電量が上限閾値を上回ると、内燃機関1を停止して発電用モータジェネレータ2による発電を終了することになる。
・ランク値がより高いエリアAを走行する場合、ランク値がより低いエリアAを走行する場合と比較して、発電用モータジェネレータ2による発電を実行するときの内燃機関1または発電用モータジェネレータ2の回転数をより引き上げる、換言すれば、発電量モータジェネレータ2による発電電力(出力電圧及び/または出力電流)をより大きくする。
・停止していた内燃機関1を始動し発電を開始する条件、またはファイアリング運転していた内燃機関1を停止し発電を終了する条件となる、図3に示している低出力領域Iと中高出力領域IIとの境界をランク値に応じて変更する。ランク値がより高いエリアAを走行する場合、ランク値がより低いエリアAを走行する場合と比較して、より低い要求出力(あるいは、より低い車速及び/またはより小さいアクセル開度)から内燃機関1をファイアリングして発電用モータジェネレータ2による発電を開始する。
・内燃機関1のファイアリング及び発電用モータジェネレータ2による発電の実行中、走行用モータジェネレータ4に対して発電用モータジェネレータ2から供給する電力と蓄電装置3から供給する電力との割合を、車両が走行するエリアAのランク値に応じて変更する。ランク値がより高いエリアAを走行する場合、ランク値がより低いエリアAを走行する場合と比較して、発電用モータジェネレータ2から走行用モータジェネレータ4に供給する電力の割合をより大きく、蓄電装置3から走行用モータジェネレータ4に供給する電力の割合をより小さくする。
【0053】
総じて、何れのものも、車両がランク値がより高いエリアAを走行する場合に蓄電装置3の平均的な蓄電量より多くし、ランク値がより低いエリアAを走行する場合に蓄電装置3の平均的な蓄電量をより少なく、つまりは蓄電装置3の空き容量をより大きく確保するための処置である。
【0054】
選択制御部003は、車両が現在所在しているエリアAのランク値に応じて、当該エリアA内を走行するときの内燃機関1、発電用モータジェネレータ2及び蓄電装置3の制御を選択しまたは変更する。だが、現在所在しているエリアAとこれに隣接するエリアAとの境目の付近においては、現在所在しているエリアAのランク値と、これに隣接するエリアAのランク値との双方を参照して、内燃機関1、発電用モータジェネレータ2及び蓄電装置3の制御を選択または変更することも許される。例えば、車両が現在所在しているエリアAのランク値と、これに隣接するエリアAのランク値との相加平均または相乗平均を算出し、それに基づいて制御を選択または変更することが考えられる。
【0055】
あるいは、選択制御部003が、車両が現在所在しているエリアAのランク値ではなく、これに隣接しており車両が今から進入することになると予想されるエリアAのランク値を参照して、制御を選択または変更することもあり得よう。車両が向後進入することになるエリアAは、車載の航法信号受信装置から得られる車両の位置座標の時系列(に基づく車両の向かっている方向)から予測することが可能である。
【0056】
本実施形態では、内燃機関1により発電機2を駆動して発電した電力を蓄電装置3に充電し及び/または走行用電動機4に供給するハイブリッド車両を制御するものであって、車両が移動する領域を複数のエリアAに区画した各エリアA毎に付与される、車両が当該エリアA内を走行するときの同エリアAの険しさを示すランク値の情報を記憶保持する情報記憶部001と、現在車両がどのエリアA内に所在しているのかを検出する位置検出部002と、前記情報記憶部001に記憶している、前記位置検出部002を介して検出した車両が所在しているエリアAのランク値またはそのエリアAに隣接するエリアAのランク値に応じて、車両が所在しているエリアA内を走行するときの、停止した内燃機関1のファイアリングを開始する条件、内燃機関1のファイアリングを停止する条件、ファイアリングして運転する際の内燃機関1の出力、電動機4に電力を供給する蓄電装置3の充電を開始する条件、蓄電装置3の充電を終了する条件、蓄電装置3を充電する際の電力の大きさ、蓄電装置3から放電する際の電力の大きさのうちの何れか少なくとも一つを変更する選択制御部003とを具備するハイブリッド車両の制御装置0を構成した。
【0057】
本実施形態によれば、ハイブリッド車両が滞在するエリアA内を走行する際の蓄電装置3に対する電力収支を簡便に予想し、それに応じて内燃機関1及び蓄電装置3を制御して、車両の動力性能を確保しつつ燃費性能の悪化を抑制できる。
【0058】
ひいては、大容量だが高価な大形の蓄電装置3を採用せずとも、効率がよく必要十分な動力性能が確保されたハイブリッド車両を実現することが可能となる。車両に搭載する蓄電装置3として小容量、小形軽量のものを選択できることから、蓄電装置3に費やすコストを低減できるだけでなく、蓄電装置3が占有するスペースを削減でき、代わりに人が搭乗する車室や荷物室を拡張することができる。このことは、車両の利便性、商品性及び魅力の向上に繋がる。
【0059】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、制御装置0の選択制御部003が、車載の航法信号受信装置から得られる車両の位置座標の時系列から、車両が特定のエリアA内に継続して滞在している時間または特定のエリアA内に滞在している時間がある程度以上長い場合、そうでない場合と比較して、車両がその特定のエリアA内に滞在しているときの内燃機関1の始動機会や始動期間を減らし、即ち発電機2による発電量や発電出力を減らすようにしてもよい。そのようなエリアAには拠点が存在し、車両が長時間駐停車する見込みが高いと考えられることによる。
【0060】
本発明の適用対象は、シリーズ方式のハイブリッド車両には限定されない。
【0061】
その他、各部の具体的な構成や処理の内容等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、ハイブリッド車両に適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
0…制御装置(ECU)
001…情報記憶部
002…位置検出部
003…選択制御部
1…内燃機関
2…発電機(発電用モータジェネレータ)
3…蓄電装置(バッテリ及び/またはキャパシタ)
4…走行用電動機(走行用モータジェネレータ)
A…エリア
図1
図2
図3
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図5