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特開2022-109408センサユニットおよびこれを備えた細胞培養分析装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109408
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】センサユニットおよびこれを備えた細胞培養分析装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20220721BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20220721BHJP
   C12N 1/00 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
C12M1/34 D
C12M1/00 C
C12N1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004694
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】314005768
【氏名又は名称】PHCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 浩二
(72)【発明者】
【氏名】山本 正樹
(72)【発明者】
【氏名】中前 賢太
(72)【発明者】
【氏名】高下 雅博
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA07
4B029AA08
4B029BB11
4B029CC01
4B029DF01
4B029DF05
4B029DF10
4B029DG06
4B029DG10
4B029FA12
4B029FA15
4B029GA03
4B029GA08
4B029GB10
4B065AA90X
4B065AC20
4B065BA30
4B065BB08
4B065BB15
4B065BC03
4B065CA60
(57)【要約】
【課題】高温多湿の環境下においても電気的短絡によって使用不能になることを回避することが可能なセンサユニットおよびこれを備えた細胞培養分析装置を提供する。
【解決手段】センサユニット27は、センサ43と、加熱電極62c(ヒータ基板62)とを備えている。センサ43は、本体部43aと、本体部43a上に配置され培地に浸漬される検出部43bと、検出部43bと電気的に接続され培地の成分を測定する接点部45cと有する。加熱電極62c(ヒータ基板62)は、センサ43の接点部45cを加熱する。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養容器の培地の成分を測定するセンサを有するセンサユニットであって、
本体部と、前記本体部上に配置され前記培地に浸漬される検出部と、前記検出部と電気的に接続され前記培地の成分を測定する接続端子部と、有するセンサと、
前記センサの少なくとも前記接続端子部またはその周辺を加熱する加熱部と、
を備えたセンサユニット。
【請求項2】
前記加熱部が設けられ、前記加熱部が前記接続端子部またはその周辺に当接するように配置される基板を、さらに備えている、
請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記基板は、第1面と、前記第1面の反対側の第2面とを有し、
前記加熱部は、前記基板の前記第1面側に設けられた発熱体と、前記第2面側に設けられた加熱電極と、前記発熱体と前記加熱電極とを接続するとともに前記センサの前記接続端子部の付近に当接するように配置されたビアと、を有している、
請求項2に記載のセンサユニット。
【請求項4】
前記接続端子部は、第1面と、前記第1面の反対側の第2面とを有し、
前記接続端子部の第2面側に接続端子が設けられており、前記接続端子部の前記第1面側に前記基板の第2面が当接する、
請求項3に記載のセンサユニット。
【請求項5】
前記接続端子部は、第1作用極用の接続端子部と第2作用極用の接続端子部とを含み、
前記第1作用極用の接続端子部と前記第2作用極用の接続端子部とは、所定の間隔をあけて配置されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載のセンサユニット。
【請求項6】
前記接続端子部は、対極用の接続端子部と参照極用の接続端子部とをさらに含み、
前記第1作用極用の接続端子部と前記第2作用極用の接続端子部との間の距離は、前記対極用の接続端子部との間の距離、または前記参照極用の接続端子部との間の距離よりも大きい、
請求項5に記載のセンサユニット。
【請求項7】
前記加熱部は、抵抗発熱体である、
請求項1から6のいずれか1項に記載のセンサユニット。
【請求項8】
前記接続端子部に電気的に接続され、前記接続端子部に電圧を印加する接続部を、さらに備えている、
請求項1から7のいずれか1項に記載のセンサユニット。
【請求項9】
前記接続端子部は、第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第2面側に配置された接続端子と、を有し、
前記接続部は、前記第2面側に配置された前記接続端子に当接する、
請求項8に記載のセンサユニット。
【請求項10】
前記基板は、略鉛直下向きに配置された前記センサが挿入される貫通孔を有している、
請求項2から4のいずれか1項に記載のセンサユニット。
【請求項11】
前記基板は、第1面と、前記第1面の反対側の第2面とを有し、
前記基板の前記第1面と前記培養容器との間に設けられたボトムプレートを、さらに備えている、
請求項2から4、10のいずれか1項に記載のセンサユニット。
【請求項12】
前記ボトムプレートは、その上面に設けられ前記加熱部を取り囲む空間を形成する凹部を有している、
請求項11に記載のセンサユニット。
【請求項13】
前記接続部は、コンタクトプローブである、
請求項8または9に記載のセンサユニット。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1つに記載のセンサユニットと、
前記センサユニットが載置される培養容器設置部と、
を備えた細胞培養分析装置。
【請求項15】
前記センサユニットと前記培養容器設置部との間に設けられ、前記培養容器が設置される収納空間を形成する支持体を、さらに備えている、
請求項14に記載の細胞培養分析装置。
【請求項16】
前記センサユニット上に配置されており、前記センサユニットの制御を行う制御ユニットを、さらに備えている、
請求項14または15に記載の細胞培養分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養の分析に使用されるセンサユニットおよびこれを備えた細胞培養分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の細胞培養分析装置の構成では、基体に設けられた貫通孔部分にセンサが固定されるとともに、このセンサには、信号を取り出すためのリード線が接続されていた。
例えば、特許文献1には、培養液の状態をモニタし培養液の交換を適切なタイミングで行うことによって長期間にわたる観察及び写真(ビデオ)撮影等の記録をするために、ウェル内の培養液のpHや温度等を検出するセンサが設けられた細胞培養チップについて開示されている。
【0003】
この細胞培養チップによれば、ウェル内の培養液のpHや温度等を検出するセンサが設けられているため、培養液を交換すべきタイミングを正確に把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-113092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の細胞培養チップでは、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、細胞培養チップは、一般的に、細胞の培養を促すために高温多湿な環境下において使用されることが多い。この場合、電気的な接点の周辺に結露が生じ、電気的な接点の間が短絡してリーク電流が流れると、安定的な電気的接続ができなくなり、細胞培養チップが使用不能となるおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、高温多湿の環境下においても電気的短絡によって使用不能になることを回避して安定的な電気的接続を確保することが可能なセンサユニットおよびこれを備えた細胞培養分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るセンサユニットは、培養容器の培地の成分を測定するセンサを有するセンサユニットであって、センサと、加熱部と、を備えている。センサは、本体部と、本体部上に配置され培地に浸漬される検出部と、検出部と電気的に接続され培地の成分を測定する接続端子部と、有する。加熱部は、センサの少なくとも接続端子部またはその周辺を加熱する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るセンサユニットによれば、高温多湿の環境下においても電気的短絡によって使用不能になることを回避して安定的な電気的接続を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る細胞培養分析装置の構成を示す図。
図2図1の細胞培養分析装置の分析ユニットを培養インキュベータ内へ設置する際の状態を示す図。
図3】(a)および(b)は、図1の細胞培養分析装置に含まれる駆動部の構成を示す図。
図4図3(a)の駆動部に含まれる多方切り替え弁の構成を示す断面図。
図5図1の細胞培養分析装置に含まれる分析ユニットの構成を示す図。
図6図5の分析ユニットを構成するアダプタユニットが、トップユニットとボトムユニットとの間に取り付けられる状態を示す図。
図7】(a)は、図6のアダプタユニットの構成を示す図。(b)は、(a)のアダプタユニット内に設置される基板ユニットの構成を示す図。
図8】センサユニット上に配置されるアダプタユニットに含まれる基板ユニットの構成を示す分解斜視図。
図9】基板ユニットと配管チューブとの接続状態を示す斜視図。
図10】空気圧供給部として用いられる吸気ポートの構成を示す図。
図11】(a)~(c)は、配管基板部内に形成された配管の経路を示す図。
図12】ウェルプレートの上面図。
図13】アダプタユニットの構成を示す分解斜視図。
図14】センサユニットの構成を示す分解斜視図。
図15図14のセンサユニットに含まれるセンサの構成を示す斜視図。
図16図15のセンサの構成を示す平面図。
図17】(a)は、図14のセンサユニットに含まれるヒータ基板の上面側の構成を示す平面図。(b)は、(a)の反対側の下面側の構成を示す平面図。
図18図14のセンサユニットを組み立てる際にセンサ固定治具がセットされた状態を示す斜視図。
図19】(a)~(c)は、図15のセンサ固定治具の構成を示す斜視図。
図20図14のセンサユニットを組み立てる際にヒータ基板およびボトムプレートの貫通孔にセンサが挿入される状態を示す斜視図。
図21図14のセンサユニットを組み立てる際にセンサ固定治具をスライド移動させてセンサの本体部を保持した状態を示す斜視図。
図22図21に示す状態から連結部が折り曲げられ、その上にトッププレートが取り付けられる工程を示す斜視図。
図23】ボトムプレート(ヒータ基板)とトッププレートとの間に保持されるセンサを示す断面図。
図24図22に示すトッププレートの上面にガスケットシートが取り付けられる工程を示す斜視図。
図25】本発明の他の実施形態に係るセンサユニットに含まれるセンサの構成を示す斜視図。
図26】(a)は、図25のセンサユニットに含まれるヒータ基板の上面側の構成を示す平面図。(b)は、(a)の反対側の下面側の構成を示す平面図。
図27図26(b)のヒータ基板の下面側に配置された配線を含む詳細な構成を示す平面図。
図28】(a)は、図26(a)のヒータ基板の上面側の一部を拡大した拡大平面図。(b)は、図26(b)のヒータ基板の下面側の一部を拡大した拡大平面図。
図29】(a)は、センサユニットの最上面に配置されたガスケットシートの上面側の構成を示す平面図。(b)は、その一部を拡大した拡大平面図。
図30図29(b)のA-A’線断面図。
図31図30のセンサユニットの上面側に基板ユニットが組み込まれた状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
以下、本発明の一実施形態に係るセンサユニット27を含む細胞培養分析装置1について、添付図面を用いて説明する。
<細胞培養分析装置1の概要説明>
図1は、細胞培養分析装置1の構成を示す。
【0011】
細胞培養分析装置1は、ウェル(培養容器)25a(図12参照)に入れられた培地(液体)内にセンサ43(図14等参照)の一部(検出電極)を浸漬させた状態で電気化学的に培地に含まれる特定の成分の濃度を検出する装置であって、分析ユニット2と、空気圧供給部としての駆動部3と、分析ユニット2と駆動部3とを制御する制御ユニット4とを備えている。制御ユニット4、分析ユニット2、および駆動部3は、電気ケーブル5によって接続されている。駆動部3と分析ユニット2とは、配管チューブ6によって接続されている。
【0012】
図2は、培養インキュベータ7に配置される細胞培養分析装置1の使用例を示す。
培養インキュベータ7内には、細胞培養分析装置1の分析ユニット2が配置される。そして、電気ケーブル5によって分析ユニット2と接続された制御ユニット4と、配管チューブ6によって分析ユニット2と接続された駆動部3とは、培養インキュベータ7外に配置される。
【0013】
これにより、使用者は、培養インキュベータ7の扉8を開閉することなく、培養インキュベータ7内の培養状態を、制御ユニット4を介して分析することができる。つまり、培養状態を分析する際に、培養インキュベータ7内のコンタミネーションによる空気汚染を防止することができる。
図3(a)および図3(b)は、駆動部3の構成を示す。
【0014】
駆動部3は、分析ユニット2に対する空気圧供給部であって、図3(a)および図3(b)に示すように、シリンジ9、プランジャ10、多方切り替え弁11、プランジャ用のモータ12、および弁用のモータ13を有している。空気圧の調整は、シリンジ9内の空気を、プランジャ10によって圧縮したり、吸引したりすることで行われる。プランジャ10は、多方切り替え弁11に連結されている。
【0015】
駆動部3の筐体3a内には、プランジャ用のモータ12と多方切り替え弁11用のモータ13とが配置されている。これらのモータ12,13は、電気ケーブル5を介して接続された制御ユニット4によって制御される。
図4は、駆動部3に含まれる多方切り替え弁11の構成を示す。
多方切り替え弁11は、分析ユニット2に対する送気系の弁として、添加剤添加部A用の弁14と、添加剤添加部B用の弁15と、攪拌部材用の弁16と、を有している。
【0016】
そして、多方切り替え弁11は、分析ユニット2に対する吸気系の弁として、攪拌部材用の弁16と、吸気用の弁17と、を有している。
多方切り替え弁11は、回転部18の回転を制御して周方向における回転流路19の位置を決定し、所定の弁とシリンジ9とを流路接続し、空気圧を供給するように制御される。
【0017】
より具体的には、分析ユニット2に対する送気は、まず、回転部18の回転を制御して、吸気用の弁17とシリンジ9とを流路接続する。そして、プランジャ10を吸引方向に引っ張り、吸気用の弁17からシリンジ9内に空気を吸引する。次に、回転部18の回転を制御して、所定の送気系の弁14,15,16に対して、シリンジ9を流路接続し、次に、プランジャ10を圧縮方向に押し込むことで、所定の弁14,15,16に対して送気を行う。
【0018】
図5は、分析ユニット2の構成を示す。
分析ユニット2は、培養インキュベータ内に複数台設置できるように、横方向は短く、高さ方向は低く、奥方向に縦長になるように設計されている。これは、一般的な培養インキュベータの培養空間が奥方向に長く、高さ方向に低い形状をしているので、これに合った形状をしている。
【0019】
分析ユニット2は、アダプタユニット20、トップユニット21およびボトムユニット22を有しており、アダプタユニット20を、トップユニット21とボトムユニット22とで挟み込むように構成されている。
アダプタユニット20は、図6に示すように、トップユニット21とボトムユニット22との間に形成された前面開口23からスライド移動させて取り付けられる。その結果、分析ユニット2の高さを抑えることが可能となる。
【0020】
また、アダプタユニット20は、図6に示すように、下方から、アダプタボトム24、ウェルプレート25、アダプタトップ26、センサユニット27の順に配置されている。
図7(a)に示すアダプタユニット20のトップユニット21には、図7(b)に示す基板ユニット28が内包されている。
図8は、センサユニット27上に配置される基板ユニット28の分解斜視図を示す。基板ユニット28は、図8に示すように、センサユニット27に面する下方から、配管基板部29、基板ベース30、基板31の順に配置されている。
【0021】
配管基板部29には、駆動部3からの空気流路が接続されたエア配管が内包されている。基板ベース30は、基板31がその上面に取り付けられるように設けられている。そして基板31は、下方のセンサユニット27に設けられた電気化学式のセンサ43(図14等参照)と電気的に接続されるための接続部32が配置されている。
接続部32は、例えば、電気的な検査・試験のために、電極などの測定部位に接触させるだけで導通するピン状のコンタクトプローブであって、プランジャ(可動部)、バレル(本体)、およびばね等の弾性体によって構成されている。接続部32は、基板31から下方に向かって複数配置されており、基板ベース30に配置された接点貫通孔30aを通って、配管基板部29を貫通し、下方のセンサユニット27において対応する位置にそれぞれ配置された複数のセンサ43に対して電気的に接続される。
【0022】
基板31上には、接続部32と電気的に接続された配線パターンが設けられている。そして、基板31は、電気ケーブル5を介して、外部の制御ユニット4(図1等参照)と接続されている。
図9は、基板ユニット28と各配管チューブ33,34,35,36との接続状態を示す。
【0023】
本実施形態では、駆動部3に接続された合計4種類の配管チューブが、基板ユニット28に接続されている。
具体的には、基板ユニット28には、基板ユニット28に対する送気系の配管チューブとして、添加剤添加部A用の配管チューブ33と、添加剤添加部B用の配管チューブ34とが設けられている。
【0024】
さらに、基板ユニット28には、分析ユニット2に対する吸気系の弁として、吸気用の配管チューブ36が設けられている。
なお、攪拌部材用の配管チューブ35は、送気、吸気の双方向の弁として、基板ユニット28に設けられている。
図10は、空気圧供給部として用いられる吸気ポートの構成を示す。
【0025】
空気圧供給部は、ウェル(培養容器)25を収納する培養インキュベータ7内の空気を吸引する空気取り入れ口(吸気ポート)37を有している。
より具体的には、配管基板部29の下方底面に、空気取り入れ口(吸気ポート)37が設けられている。そして、空気取り入れ口(吸気ポート)37は、配管基板部29内の貫通孔38を通って、上方の配管チューブ接続部39と連結された配管チューブ36を介して駆動部3の多方切り替え弁11に接続される。
【0026】
これにより、空気圧供給部は、ウェル25aを収納する培養インキュベータ7内の空気を吸引する空気取り入れ口(吸気ポート)37を有しているため、ウェル25a内における細胞培養に対するコンタミネーションの発生を防止することができる。
すなわち、本実施形態においては、ウェル25aを収納する培養インキュベータ7内の空気、つまり、管理された空気が、添加剤容器および攪拌部材への空気圧力として活用される。これにより、ウェル25a内における細胞培養に対するコンタミネーションの発生を防止することができる。
【0027】
また、空気取り入れ口(吸気ポート)37が、配管基板部29の下方底面に設けられているため、空気取り入れ口37の開口からの水滴等の流入を防止することができる。
また、配管チューブ36は、ナフィオンチューブ等の湿度透過性材料を用いて形成されている。よって、培養インキュベータ7内の水分が、上述した駆動部3に流入することを防止して、駆動部3における結露の発生を防止することができる。
【0028】
図11(a)~図11(c)は、配管基板部29内に形成された配管の経路を示す。
添加剤添加部A用の配管チューブ33は、配管基板部29に接続される。
本実施形態では、培養容器として用いられるウェルプレート25は、図12に示すように、24個のウェル25aを含んでいる。このため、添加剤添加部A用の配管は、24個に並列分岐して、所定のウェル25aの上方に配管の出口開口が配置される。
【0029】
同様に、添加剤添加部B用の配管チューブ34は、配管基板部29に接続される。そして、添加剤添加部B用の配管は、24個に並列分岐して、所定のウェル25aの上方に配管の出口開口が配置される。
同様に、攪拌部材用の配管チューブ35は、配管基板部29に接続される。そして、攪拌部材用の配管は、24個に並列分岐して、所定のウェル25aの上方に配管の出口開口が配置される。
【0030】
つまり、24個のウェル25aの全ての添加剤添加部Aに対して、一斉に同様の空気圧が与えられる。同様に、24個のウェル25aの全ての添加剤添加部Bに対して、一斉に同様の空気圧が与えられる。同様に、24個のウェル25a全ての攪拌部材に対して、一斉に同様の空気圧が与えられる。
図13は、アダプタユニット20の構成を示す。
【0031】
アダプタユニット20は、図13に示すように、最下段から、アダプタボトム(培養容器設置部)24、ウェルプレート(培養容器)25、アダプタトップ26、センサユニット27がこの順に載置されている。
本実施形態において、ウェルプレート25は、図12に示すように、4×6の24個のウェル25aを有している。
【0032】
アダプタトップ26は、ウェルプレート25の高さを調整するために設けられており、ウェルプレート25の高さに応じて、異なるアダプタトップ26が使用される。これは、アダプタトップ26の上にセンサユニット27が載置された際に、センサユニット27とウェルプレート25との高さ関係を調整するためである。
ウェルプレート25は、汎用品を含めいくつかの種類を有しており、その種類に応じてアダプタトップ26が使い分けられる。
【0033】
アダプタトップ26上に配置されたセンサユニット27は、その下面側に設けられた4本の脚部40が、下方のアダプタトップ26の貫通孔41を通って、培養容器設置部としてのアダプタボトム24に設けられた位置決め穴42内に挿入される。
これにより、センサユニット27は、ウェルプレート25上に所定間隔離れた状態で設置される。つまり、センサユニット27には、アダプタボトム24上に、ウェルプレート25の収納空間を確保するための脚部40が設けられている。そして、脚部40によって支持された状態で、センサユニット27がアダプタボトム24上に配置される。
【0034】
なお、脚部(支持体)40は、上述したように、アダプタボトム24上に、ウェルプレート25の収納空間(アダプタボトム24の上面とセンサユニット27の下面との間の隙間)を確保するために、アダプタボトム24に対してセンサユニット27を支持する。
ここで、センサユニット27を支持する支持体としては、センサユニット27に設けられた脚部40に限定されるものではない。例えば、支持体としては、アダプタボトム24に対してセンサユニット27を下方から支持する支持体であれば、アダプタボトム24側に設けられた支持体であってもよい。
【0035】
図14は、センサユニット27の構成を示す。
センサユニット27は、図14に示すように、下方から順に、ボトムプレート57、ヒータ基板(基板)62、複数のセンサ43、添加剤を供給するために設けられたポート61が取り付けられたトッププレート59、ガスケットシート60が配置されている。
本実施形態では、センサユニット27に含まれる複数のセンサ43は、図15に示すように、折り曲げ部44を介して、4個のセンサ43の本体部43aの上端部が連結部45によって連結されている。
【0036】
このように、4個で1セットとされたセンサ43は、図14に示すように、6セット分、ボトムプレート57に取り付けられる。
センサ43は、例えば、樹脂材料であるPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上面に、スパッタリングによって金の電極層が形成されて構成されている。そして、センサ43は、図16に示すように、本体部43a、検出部43b、折り曲げ部44、連結部45および当接部46を有している。
【0037】
本体部43aは、略長方形の平板状の部材であって、その上端部において折り曲げ部44と連結されている。
検出部43bは、略長方形の本体部43aの下部の表面に設けられており、測定電極(作用極、対極、参照極)を含む。そして、ウェル25aに入れられた培地に浸漬された検出部43bの各測定電極に所定の電圧が印加されることで、電気化学的に培地の特定の成分の濃度を測定する。
【0038】
検出部43bに含まれる各測定電極は、レーザによって電極層を蒸散させ、分割されることによって形成される。
ここで、培地に含まれるグルコースの濃度を測定する場合には、作用極の表面に固定化された試薬層には、グルコース酸化酵素として、例えば、グルコースオキシダーゼ(GOx)、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、さらにはレドックスメディエータが含まれ得る。
【0039】
グルコースの濃度は、保護膜を通して培地から透過してきたグルコースが、試薬層の酵素(例えば、GOx、GDH)との反応で酸化されてグルコノラクトンとなり、同時に生成されるレドックスメディエータの還元体、もしくは過酸化水素の酸化反応によって生じる電子を電流値に変換することで測定される。
折り曲げ部44は、図16に示すように、本体部43aと連結部45との間を連結する部分であって、折り曲げ線44aに沿って略直角に折り曲げられる。これにより、連結部45は、本体部43aに対して略直角に配置される。
【0040】
また、折り曲げ部44は、図16に示すように、本体部43aと比較して幅(図中左右方向の寸法)が小さい。すなわち、折り曲げ部44は、本体部43aよりも細い部分を残して切り欠かれたように形成されている。これにより、連結部45を本体部43aに対して折り曲げる際には、折り曲げ線44aに沿って折り曲げるために必要な力が小さくなり、容易に折り曲げることができる。
【0041】
連結部45は、図16に示すように、折り曲げ部44を介して、4つのセンサ43の本体部43aの上端部を互いに連結する。そして、連結部45は、本体45a、位置決め穴45b、接点部(接続端子部)45c、当接部46と、を有している。
本体45aは、略I字形状のセンサ43の本体部43aの長手方向に略直交する方向に沿って配置されており、4つのセンサ43の本体部43aの上端部を、折り曲げ部44を介して互いに連結する。
【0042】
位置決め穴45bは、後述するセンサユニット27の組み立て工程において、ボトムプレート57側に設けられたツメ部が挿入された状態で係止される。これにより、センサ43のボトムプレート57に対する位置決めが行われる。
接点部45cは、4つ1組で1つのセンサ43の検出部43bに対応して配置されており、センサ43の本体部43aの下部に配置された検出部43bに含まれる各測定電極(作用極、対極、参照極)に電気的に接続されている。
【0043】
当接部46は、図16に示すように、連結部45の下部から下向きに突出するように形成された部分であって、その下端面が折り曲げ線44aの直線上に沿って配置されている。当接部46は、後述するセンサユニット27の組み立て工程において、ボトムプレート57の上面に対して当接することで、センサ43のボトムプレート57に対する位置決めが行われる。
【0044】
本実施形態のセンサユニット27は、図15に示すように、培養容器の培地の成分を測定する複数のセンサ43を含む構成であって、本体部43aと、本体部43aの下端側に配置され培地内に浸漬されて培地の成分を測定する検出部43bと、を有する複数のセンサ43と、本体部43aの上端側において複数のセンサ43を連結する連結部45と、を備えている。
【0045】
これにより、複数のセンサ43は、連結部45によって互いに連結された状態でボトムプレート57に対して取り付けられるため、互いに連結されたセンサ43同士の位置を正確に規定することができる。
よって、ウェルプレート25に含まれる複数のウェル(培養容器)25aに対する個々のセンサ43の位置精度(位置・角度等)を向上させることができる。
【0046】
この結果、ウェル25a内に入れられた培地に対する個々のセンサ43の浸漬深さがほぼ一定になるため、安定した測定結果を得ることができる。
ヒータ基板(基板)62は、高温多湿の環境下において、接点部45cにおける結露に起因するセンサ43の測定不良を防止するために、センサ43の接点部45cを加熱する。ヒータ基板62は、図14に示すように、板状の部材であって、ボトムプレート57とトッププレート59との間に挟まれるように配置されている。ヒータ基板62は、図17(a)および図17(b)に示すように、基板本体62a、貫通孔62b、加熱電極(加熱部)62c、電極62d,62e、抵抗発熱体62fおよびサーミスタ62gを有している。
【0047】
基板本体62aは、例えば、高い耐熱性を有する板状のガラスエポキシ基板であって、0.2mmの厚さを有している。基板本体62aは、上面(第2面)と下面(第1面)とを有している。
貫通孔62bは、基板本体62aを貫通するように形成された開口であって、後述するセンサユニット27の組み立て工程において、略鉛直下向きに配置されたセンサ43が挿入される。
【0048】
加熱電極62cは、基板本体62aの上面側に4個1組で配置されており、抵抗発熱体62fによって発熱した熱を、対応する位置に配置されるセンサ43の接点部45cに対して伝達する。
電極62dは、電源供給用の電極であって、図17(a)に示すように、基板本体62aの上面側の端部に設けられている。電極62dに印加された電力は、下面側に設けられた配線を介して供給された抵抗発熱体62fを発熱させる。
【0049】
電極62eは、サーミスタ62g用の電極であって、図17(a)に示すように、基板本体62aの上面側に設けられている。下面側に設けられたサーミスタ62gには、電極62eを介して電力が供給される。
抵抗発熱体62fは、例えば、Ni-Cr系、Fe-Cr-Al系、モリブデン、タングステン、白金等の金属系発熱体であって、電気をエネルギー源としてジュール熱で発熱する。抵抗発熱体62fは、下面(第1面)側の加熱電極62cに隣接する位置に配置されており、4個の加熱電極62cに対して1個の抵抗発熱体62fが設けられている。
【0050】
サーミスタ62gは、図17(b)に示すように、下面側の両端部付近に設けられており、培地の上方の空間の環境温度を測定する。
ヒータ基板62は、制御ユニット4(図1参照)によって、例えば、培地上の環境温度の上昇が0.5℃以下になるように制御される。また、ヒータ基板62は、基板温度が約2℃上昇するように設定される。ヒータ基板62は、サーミスタ62gにおいて検出される温度情報が予め設定された目標温度に近づくように、抵抗発熱体62fの電流量を制御する。具体的には、サーミスタ62gにおいて検出される初期状態の環境温度を読み取って、その環境温度+2度になるように抵抗発熱体62fに電流が供給される。このとき供給される電流値は、予め所定値に設定される。
【0051】
これにより、ヒータ基板62は、加熱電極62cを介して、センサ43の接点部45cを加熱することで、高温多湿の環境下においても電気的短絡によってセンサ43が使用不能になることを回避することができる。
また、ヒータ基板62において発生した熱は、重ねて配置されたボトムプレート57を通じて、培地が入れられたウェルプレート25へ伝達されるおそれがある。
【0052】
本実施形態では、ボトムプレート57が、断熱性に優れた材料、例えば、アクリルニトリルブタジエン(ABS)、ポリスチレン(PS)等の樹脂によって成形されているため、ヒータ基板62において発生した熱の影響が培地に及ぶことを抑制することができる。
<センサユニット27の組み立て工程>
ここで、これらのセンサ43がボトムプレート57に対して取り付けられる工程を含むセンサユニット27の組み立て工程について、図面を用いて以下で説明する。
【0053】
センサユニット27の組み立て工程では、まず、上端部が連結部45によって連結された4個で1セットのセンサ43が、図18に示すように、センサ固定治具71,72を用いて、ボトムプレート57に対して取り付けられる。
センサ固定治具71,72は、ウェルプレート25に含まれる個々のウェル25aに対して、センサ43の検出部43bの部分が所定の浸漬深さになるように正確に位置決めするために用いられる。
【0054】
そして、センサ固定治具71,72は、図18に示すように、その上面側に、ボトムプレート57が配置された状態で使用される。
このとき、センサ固定治具71の位置決め部71cには、図18に示すように、ボトムプレート57の脚部40が挿入されている。そして、センサ固定治具71の上面には、センサ固定治具71に対してスライド移動可能な状態で、センサ固定治具72が取り付けられている。
【0055】
これにより、センサ固定治具71,72は、ボトムプレート57に対して正確に位置決めされる。
センサ固定治具71,72は、図19(a)に示すように、センサ固定治具71の上面にセンサ固定治具72が配置され、互いに重ねた状態で使用される。
センサ固定治具71は、図19(b)に示すように、土台部71a、保持部71bおよび位置決め部71cを有している。
【0056】
土台部71aは、平板状の部材であって、その上面に、複数の保持部71bと位置決め部71cとが設けられている。
保持部71bは、後述するセンサ43の取り付け時に、センサ固定治具72側の当接部72cとともに個々のセンサ43の本体部43aを保持する部分であって、土台部71aの上面から上方へ突出するように設けられている。また、保持部71bは、本実施形態では、センサ43の数に対応する数(24個)だけ設けられている。
【0057】
位置決め部71cは、土台部71aの上面における四隅に配置されており、ボトムプレート57の脚部40がそれぞれ挿入される。これにより、ボトムプレート57は、センサ固定治具71に対して位置決めされる。
センサ固定治具72は、センサ固定治具71の上面に配置された状態で使用され、図19(c)に示すように、土台部72a、貫通穴72bおよび当接部72cを有している。
【0058】
土台部72aは、平板状の部材であって、貫通穴72bと当接部72cとが設けられている。
貫通穴72bは、平板状の土台部72aの上面と下面とを連通させる穴であって、上述したセンサ固定治具71側の保持部71bがそれぞれ対応する貫通穴72bに挿入される。
【0059】
当接部72cは、後述するセンサ43の取り付け時に、センサ固定治具71側の保持部71bとともに個々のセンサ43の本体部43aを保持する部分であって、土台部72aの上面における貫通穴72bに隣接する位置から上方へ突出するように設けられている。また、当接部72cは、本実施形態では、センサ43の数に対応する数(24個)だけ設けられている。
【0060】
次に、6セット分(4個×6セット=24個)のセンサ43が、図20に示すように、センサ固定治具71,72の上面側にボトムプレート57が配置された状態で、ヒータ基板62の貫通孔62bおよびボトムプレート57に形成された貫通穴57b内へそれぞれ挿入される。
センサ43がヒータ基板62の貫通孔62bおよびボトムプレート57の貫通穴57b内へ挿入されると、図21に示すように、ヒータ基板62の基板本体62a(ボトムプレート57)の上面にセンサ43の当接部46が当接した状態となる。
【0061】
このとき、当接部46は、上述したように、折り曲げ線44aの直線上に沿って配置されているため、当接部46をボトムプレート57の上面に当接させた状態で、当接部46を起点として折り曲げ線44aに沿って折り曲げ部44を折り曲げることができる。
よって、当接部46を起点として折り曲げ線44aに沿って折り曲げられたセンサ43は、ヒータ基板62の貫通孔62bから下向きに精度よく配置されるため、センサ43のウェル25aに対する位置精度を向上させることができる。
【0062】
また、図21に示すように、ヒータ基板62の貫通孔62bおよびボトムプレート57の貫通穴57bにセンサ43が挿入された状態で、センサ固定治具72が、センサ固定治具71に対して図中矢印(右)方向へスライド移動する。
これにより、センサ43の本体部43aは、センサ固定治具71,72によって正確に位置決めされる。
【0063】
次に、センサ43の本体部43aがセンサ固定治具71,72によって保持された状態のまま、図22に示すように、連結部45がヒータ基板62およびボトムプレート57の上面に略平行になるように折り曲げられる。
なお、連結部45の折り曲げは、例えば、人の手によって行われてもよいし、折り曲げ治具等の道具を用いて行われてもよいし、ロボットハンド等によって自動的に行われてもよい。
【0064】
このとき、上述したように、センサ43の本体部43aは、ヒータ基板62の貫通孔62bおよびボトムプレート57の貫通穴57bに挿入された状態で、センサ固定治具71,72によって保持されている。このため、当接部46を起点として折り曲げ線44aに沿って折り曲げ部44を折り曲げることで、連結部45は、図23に示すように、ヒータ基板62およびボトムプレート57の上面に略平行になるように折り曲げられる。
【0065】
さらに、図23に示す状態において、ボトムプレート57の平板部57aの上面には、4個で1セットのセンサ43に対して、貫通穴57bと、ツメ部57cとが3つずつ配置されている。
次に、図24に示すように、連結部45が折り曲げられた状態で、ボトムプレート57の上面には、ヒータ基板62およびトッププレート59が重ねて配置される。
【0066】
このとき、トッププレート59の下面とヒータ基板62(ボトムプレート57)の上面との間に挟まれるように配置された各センサ43は、図23に示すように、トッププレート59側の支持部57dとボトムプレート57側の押圧部59aとの間に保持される。
すなわち、ボトムプレート57の貫通穴57bの開口縁には、センサ43の折り曲げ部44の下辺側を支える支持部57dが設けられている。トッププレート59の支持部57dに対向する部分には、センサ43の折り曲げ部44の上辺側を下方に押す押圧部59aが設けられている。
【0067】
これにより、センサ43は、その上面が押圧部59aによって支持され、その下面がボトムプレート57の上面側に設けられた支持部57dによって支持される。
支持部57dは、図23に示すように、上面に湾曲した面を含む上面湾曲部形状を有している。また、押圧部59aは、図23に示すように、下面に湾曲した面を含む下面湾曲部形状を有している。
【0068】
これにより、図23に示すように、トッププレート59とヒータ基板62(ボトムプレート57)との間にセンサ43が上下から挟み込まれた状態になると、センサ43の折り曲げ部44が支持部57dと押圧部59aとによって上下から挟まれた状態で保持される。
よって、センサ43は、折り曲げられた角度を正確に規定されるため、センサ43の本体部43aの下端部に設けられた検出部43bが、安定した状態で配置される。
【0069】
この結果、ウェルプレート25に含まれるそれぞれのウェル25a内の培地に浸漬される検出部43bの浸漬深さを正確に管理して、検出精度を向上させることができる。
最後に、図24に示すように、トッププレート59の上面に、ガスケットシート60が重ねて配置され、センサユニット27が組み立てられる。
本実施形態のセンサユニット27は、以上のように、ウェルプレート25の培地の成分を測定するセンサ43を有するセンサユニットであって、センサ43と、ヒータ基板62とを備えている。センサ43は、本体部43aと、本体部43a上に配置され培地に浸漬される検出部43bと、検出部43bと電気的に接続され培地の成分を測定する接点部45cと有する。ヒータ基板62は、センサ43の接点部45cを加熱する。
【0070】
これにより、ヒータ基板62において発生した熱を、センサの接点部45cに付与することで接点部45cが加熱されるため、接点部45c付近に結露した水分によって、互いに隣接する接点部45c間にリーク電流が流れることを防止することができる。
この結果、高温多湿の環境下においても、接点部45c周辺の結露に起因する電気的短絡によって、センサが使用不能になることを回避して、安定的な電気的接続を確保することができる。
【0071】
(実施形態2)
本発明の他の実施形態に係るセンサユニット127の構成について、図面を用いて説明すれば以下の通りである。
すなわち、本実施形態のセンサユニット127では、図25に示すように、センサ143が上記実施形態1のセンサ43とは別の形態を有しており、これに合わせて、ヒータ基板162の構成も異なる点で、上記実施形態1とは異なっている。
【0072】
なお、本実施形態において、上記実施形態1と同様の機能および構成を備えた部材については同じ符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態のセンサユニット127に含まれるセンサ143は、図25に示すように、例えば、樹脂材料であるPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上面に、スパッタリングによって金の電極層が形成されて構成されている。そして、センサ143は、図25に示すように、本体部143a、検出部143b、折り曲げ部144、連結部145を有している。
【0073】
本体部143aは、略長方形の平板状の部材であって、その上端部において折り曲げ部144と連結されている。
検出部143bは、略長方形の本体部143aの下部の表面に設けられており、測定電極(作用極、対極、参照極)を含む。そして、ウェル25aに入れられた培地に浸漬された検出部143bの各測定電極に所定の電圧が印加されることで、電気化学的に培地の特定の成分の濃度を測定する。
【0074】
検出部143bに含まれる各測定電極は、レーザによって電極層を蒸散させ、分割されることによって形成される。
なお、培地に含まれるグルコースの濃度の測定方法は、上記実施形態1で説明した通りである。
折り曲げ部144は、本体部143aと連結部145との間を連結する部分であって、折り曲げ線144aに沿って略直角に折り曲げられる。これにより、連結部145は、本体部143aに対して略直角に配置される。
【0075】
また、折り曲げ部144は、本体部143aと比較して幅(図中左右方向の寸法)が小さい。すなわち、折り曲げ部144は、本体部143aよりも細い部分を残して切り欠かれたように形成されている。これにより、連結部145を本体部143aに対して折り曲げる際には、折り曲げ線144aに沿って折り曲げるために必要な力が小さくなり、容易に折り曲げることができる。
【0076】
連結部145は、折り曲げ部144を介して、4つのセンサ143の本体部143aの上端部を互いに連結する。そして、連結部145は、本体145a、位置決め穴145b、4つの接点部(接続端子部)145c、当接部46と、を有している。
本体145aは、略逆T字形状のセンサ143の本体部143aの長手方向に略直交する方向に沿って配置されており、4つのセンサ143の本体部143aの上端部を、折り曲げ部144を介して互いに連結する。
【0077】
位置決め穴145bは、上述した実施形態1のセンサユニット27の組み立て工程と同様に、ボトムプレート57側に設けられたツメ部が挿入された状態で係止される。これにより、センサ143のボトムプレート57に対する位置決めが行われる。
接点部145cは、4つ1組で1つのセンサ143の検出部143bに対応して配置されており、センサ143の本体部143aの下部に配置された検出部143bに含まれる各測定電極(作用極、対極、参照極)に電気的に接続されている。
【0078】
より詳細には、接点部145cは、図25に示すように、略長方形の4つの角に配置された第1作用極用の接点部145ca、第2作用極用の接点部145cb、対極用の接点部145ccおよび参照極用の接点部145cdを含む。
第1・第2作用極用の接点部145ca,145cbは、所定の間隔をあけて配置されており、接点部145cに含まれる4つの接点の中で、下段側に配置されている。
【0079】
対極用の接点部145ccおよび参照極用の接点部145cdは、接点部145cに含まれる4つの接点の中で、上段側に配置されている。
第1作用極用の接点部145caは、検出部143bの測定電極(第1作用極)に対応する接点であって、例えば、主に、培地に含まれるグルコースの濃度を測定するために設けられている。
【0080】
第2作用極用の接点部145cbは、検出部143bの測定電極(第2作用極)に対応する接点であって、例えば、主に、培地に含まれる乳酸の濃度を測定するために設けられている。
対極用の接点部145ccは、検出部143bの測定電極(対極)に対応する接点である。
【0081】
参照極用の接点部145cdは、検出部143bの測定電極(参照極)に対応する接点である。
本実施形態のセンサユニット127に含まれるセンサ143では、図25に示すように、2つの作用極(第1・第2作用極)用の接点部145ca,145cb同士が互いに離間した位置に配置されている。
【0082】
これにより、2つの作用極(第1・第2作用極)用の接点部145ca,145cb同士が結露した水分等によって短絡してリーク電流が流れることで、センサ143が測定不能となってしまうことを抑制することができる。
また、第1作用極用の接点部145caと第2作用極用の接点部145cbとの間の距離は、対極用の接点部145ccとの間の距離、または参照極用の接点部145cdとの間の距離よりも大きい。
【0083】
これにより、2つの作用極(第1・第2作用極)用の接点部145ca,145cbの間が、他の接点部145cc,145cdに対する距離よりも離れて配置されているため、特に、2つの作用極(第1・第2作用極)用の接点部145ca,145cb間に生じた結露した水分等によって短絡してリーク電流が流れることで、センサ143が測定不能となってしまうことを抑制することができる。
【0084】
図25に示すセンサ143は、上述したように、ヒータ基板(基板)162とともに、トッププレート59とボトムプレート157との間に挟み込まれた状態で使用される。
ヒータ基板(基板)162は、高温多湿の環境下において、接点部145c(第1・第2作用極用の接点部145ca,145cb、対極用の接点部145cc、参照極用の接点部145cd)における結露に起因するセンサ143の測定不良を防止するために、センサ143の接点部145cを加熱するために設けられている。
【0085】
ヒータ基板162は、図26(a)および図26(b)に示すように、基板本体162a、貫通孔162b、加熱電極(加熱部)162c、電極162d,162e、抵抗発熱体162fおよびサーミスタ162gを有している。
基板本体162aは、上記実施形態1の基板本体62aと同様に、例えば、高い耐熱性を有する板状のガラスエポキシ基板であって、0.2mmの厚さを有している。基板本体162aは、上面(第2面)と下面(第1面)とを有している。
【0086】
貫通孔162bは、基板本体162aを貫通するように形成された開口であって、センサユニット127の組み立て工程において、略鉛直下向きに配置されたセンサ143が挿入される。
加熱電極162cは、基板本体162aの上面側に4個1組で配置されており、抵抗発熱体162fによって発熱した熱を、対応する位置に配置されるセンサ143の接点部145c(第1・第2作用極用の接点部145ca,145cb、対極用の接点部145cc、参照極用の接点部145cd)に対して伝達する。
【0087】
電極162dは、電源供給用の電極であって、図26(a)に示すように、基板本体162aの上面側の端部に設けられている。電極162dに印加された電力は、下面側に設けられた配線を介して供給された抵抗発熱体162fを発熱させる。
電極162eは、サーミスタ162g用の電極であって、図26(a)に示すように、基板本体162aの上面側に設けられている。下面側に設けられたサーミスタ162gには、電極162eを介して電力が供給される。
【0088】
抵抗発熱体162fは、例えば、Ni-Cr系、Fe-Cr-Al系、モリブデン、タングステン、白金等の金属系発熱体であって、電気をエネルギー源としてジュール熱で発熱する。抵抗発熱体162fは、下面(第1面)側の加熱電極162cに隣接する位置に配置されており、4個で1組の加熱電極162cに対して1個の抵抗発熱体162fが設けられている。
【0089】
サーミスタ162gは、図26(b)に示すように、下面側の両端部付近に設けられており、培地の上方の空間の環境温度を測定する。
ヒータ基板162の下面側には、図27に示すように、電源供給用の電極162dと各加熱電極162cとを接続する配線162hが配設されている。この配線162hによって、4個で1組の加熱電極162cは、互いに並列接続された4列に分岐され、各列に6組が配置される。
【0090】
これにより、電源供給用の電極162dに電圧が印加されることで、各列の加熱電極162cおよび抵抗発熱体162fに対して電力を供給することができる。
加熱電極162cには、図28(a)に示すように、第1作用極用の加熱電極162ca、第2作用極用の加熱電極162cb、対極用の加熱電極162cc、参照極用の加熱電極162cdが含まれる。
【0091】
第1作用極用の加熱電極162caは、センサ143の第1作用極用の接点部145caに対応する位置に対向配置され、接点部145caに当接することで、接点部145caを加熱する。
第2作用極用の加熱電極162cbは、センサ143の第2作用極用の接点部145cbに対応する位置に対向配置され、接点部145cbに当接することで、接点部145cbを加熱する。
【0092】
対極用の加熱電極162ccは、センサ143の対極用の接点部145ccに対応する位置に対向配置され、接点部145ccに当接することで、接点部145ccを加熱する。
参照極用の加熱電極162cdは、センサ143の参照極用の接点部145cdに対応する位置に対向配置され、接点部145cdに当接することで、接点部145cdを加熱する。
【0093】
ここで、加熱電極162caには、図28(a)に示すように、加熱電極162caをヒータ基板162の上下面に貫通するように設けられた4つのビア163が形成されている。同様に、第1作用極用の加熱電極162cbおよび参照極用の加熱電極162cdについても、4つのビア163が形成されている。
ビア163は、例えば、直径0.3mmの貫通孔であって、フィルドメッキ処理が施されている。
【0094】
これにより、加熱電極162ca,162cb,162cdは、それぞれビア163を介して、ヒータ基板162の下面側から上面側へと熱を伝達することができる。
ヒータ基板162の下面側では、図28(b)に示すように、配線162hを介して、各加熱電極162ca~162cdが電気的に接続されている。また、第1・第2作用極用の加熱電極162ca,162cbの間には、図28(b)に示すように、配線162hを介して加熱電極162ca,162cbと接続された抵抗発熱体162fが配置されている。
【0095】
これにより、抵抗発熱体162fに近接配置された第1・第2作用極用の加熱電極162ca,162cbには、配線162hを介して、効率よく熱が伝達される。
ヒータ基板162は、制御ユニット4(図1参照)によって、例えば、培地上の環境温度の上昇が0.5℃以下になるように制御される。そして、ヒータ基板162は、基板温度が約2℃上昇するように設定される。ヒータ基板162は、サーミスタ162gにおいて検出される温度情報が予め設定された目標温度に近づくように、抵抗発熱体162fの電流量を制御する。具体的には、サーミスタ162gにおいて検出される初期状態の環境温度を読み取って、その環境温度+2度になるように抵抗発熱体162fに電流が供給される。このとき供給される電流値は、予め所定値に設定される。
【0096】
これにより、ヒータ基板162は、加熱電極162cを介して、センサ143の接点部145cを加熱することで、高温多湿の環境下においても電気的短絡によってセンサ143が使用不能になることを回避することができる。
ここで、組み立てられたセンサユニット127の最上面に配置されたガスケットシート160の上面には、図29(a)に示すように、複数のポート61(図14参照)の上面に近接して配置される複数のポート入出力部172が配置されている。
【0097】
ポート入出力部172は、添加剤添加部A添加口(上面開口部)173、添加剤添加部B添加口(上面開口部)174、攪拌部材空気吐出吸引口175を有している。また、ポート入出力部172は、センサ143の接点部145cに接続するための貫通孔を有している。貫通孔は、図29(b)に示すように、4つ形成されており、それぞれ、第1作用極パッド用の貫通孔176、対極パッド用の貫通孔177、参照極パッド用の貫通孔178、第2作用極パッド用の貫通孔179として形成されている。
【0098】
ガスケットシート160の上面には、図29(a)および図29(b)で説明したように、複数のポート入出力部172が配置されている。図30は、ガスケットシート160が上面に配置されたセンサユニット127の上面に、上方から基板ユニット28が組み込まれる前の状態を示す。
基板ユニット28がセンサユニット127に組み込まれる前に、添加剤が添加剤添加部A添加口173から予め装填される。
【0099】
基板31から下向きに延伸するように設けられた接続部32は、基板ユニット28の下面から下向きに突出しており、図29(b)に示す参照極パッド用の貫通孔178、第2作用極パッド用の貫通孔179を通じて、センサ143の第1・第2作用極用の接点部145ca,145cbと電気的に接続される。
このような電気的な接続構造は、対極パッド用の貫通孔177、参照極パッド用の貫通孔178側も同様である。
【0100】
図31は、センサユニット127の上面側に、上方から基板ユニット28が組み込まれた状態を示す。
そして、基板31から下方に伸びた接続部32は、第1作用極用の貫通孔176、第2作用極パッド用の貫通孔179を貫通して、センサ143の接点部145c(第1作用極用の接点部145ca、第2作用極用の接点部145cb)と電気的に接続される。
【0101】
この電気的な接続構造は、対極パッド用の貫通孔177、参照極パッド用の貫通孔178側も同様である。
そして、センサユニット127のガスケットシート160は、添加剤添加部A添加口173、添加剤添加部B添加口174、攪拌部材空気吐出吸引口175、およびセンサ143の接点部145cに接続するために形成されており、第1作用極パッド用の貫通孔176、対極パッド用の貫通孔177、参照極パッド用の貫通孔178、第2作用極パッド用の貫通孔179の周囲を覆うように配置されている。これにより、ガスケットシート160が、防水対策、結露対策として活用される。
【0102】
ここで、ヒータ基板162の材質であるガラスエポキシは、熱伝導率が比較的に低いため、抵抗発熱体162fにおいて発生した熱は、導電体材料によって形成されたビア163に効率よく伝達される。
そして、ビア163は、熱伝導率が高い金属メッキで埋められているため、抵抗発熱体162fにおいて発生した熱を、ヒータ基板162の上面側に設けられた加熱電極162ca~162cdに効率よく伝達することができる。
【0103】
また、ビア163は、金属メッキで埋められているため、上面側が平坦化され、ヒータ基板162とセンサ143との接触面積を高めることができる。この結果、加熱電極162ca~162cdの上方に設けられたセンサ143の接点部145cに対して効率よく熱を伝達することができる。
そして、加熱電極162ca~162cdが加熱されることで、ヒータ基板162の上方のセンサ143の接点部145ca~145cdにおける結露の発生を効果的に抑制することができる。
【0104】
ヒータ基板162の下方には、ボトムプレート157が配置されている。
ボトムプレート157は、熱伝導率が低い材料(例えば、ABS,PS等の樹脂材料)によって形成されているため、ヒータ基板162からの熱を遮断する効果を有する。
これにより、ボトムプレート157の下方に設けられたウェル25aに対して、熱の影響が及ぶことを効果的に抑制することができる。
【0105】
さらに、ボトムプレート157の上面には、図31に示すように、抵抗発熱体162fを取り囲むように凹部157aが形成されている。
これにより、抵抗発熱体162fとボトムプレート157とが直接接触することを回避しつつ、凹部157a内に形成される空間に熱伝導率が低い空気が存在することで、抵抗発熱体162fの熱は、ボトムプレート157に伝達されにくい構造とすることができる。
【0106】
この結果、ボトムプレート157自体の温度上昇を抑制し、ボトムプレート157の下方に設けられたウェルプレート25内の雰囲気の温度上昇を防止することで、ウェル25a内の細胞培養に熱の影響が及ぶことを抑制することができる。
さらには、ボトムプレート157は、下方に設けられたウェルプレート25内から蒸発した水蒸気が、上方のヒータ基板162およびセンサ143の接点部145cへ流入することを防止して、電気部品に対する防水機能を有するセンサユニット127を得ることができる。
【0107】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、略I字形状または略逆T字形状のセンサ43を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0108】
例えば、センサの形状が略逆L字形状であってもよい。
(B)
上記実施形態1では、センサ43の接点部45cに対して対向配置された加熱電極62cが接点部45cを加熱することで、各接点部付近の結露の発生を防止する例を挙げて説明した。
【0109】
同様に、上記実施形態2では、センサ143の第1・第2作用極用の接点部145ca,145cb、対極用の接点部145ccおよび参照極用の接点部145cdに対して対向配置された加熱電極162ca~162cdが、第1・第2作用極用の接点部145ca,145cb、対極用の接点部145ccおよび参照極用の接点部145cdを加熱することで、各接点付近の結露の発生を防止する例を挙げて説明した。
【0110】
しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、加熱部は、各接点部の間のエリア等、接点部の周囲を加熱する構成であってもよい。すなわち、加熱部は、少なくとも各接点部または各接点部の周辺を加熱する構成であってもよい。
この場合でも、各接点部の間を加熱してこのエリアの結露の発生を防止することで、各接点部の間にリーク電流が流れてセンサが測定不能となることを回避することができる。
【0111】
(C)
上記実施形態1では、センサ43の4つの接点部45cが一列に配置された例を挙げて説明した。
上記実施形態2では、センサ143の4つの接点部145cが、略長方形の四隅に配置された例を挙げて説明した。
【0112】
しかし、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば、接点部の数は、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。
また、接点部の配置は、例えば、一列あるいは略長方形の四隅ではなく、任意の配置であってもよい。
(D)
上記実施形態では、加熱部としての加熱電極62c,162cが、ヒータ基板62の上面(第2面)側に、熱源としての抵抗発熱体62fがヒータ基板62の反対側の下面(第1面)側に配置された例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0113】
例えば、加熱部と熱源とがヒータ基板の同じ面に配置されていてもよいし、加熱部が下面側に、熱源が上面側に配置されていてもよい。
(E)
上記実施形態では、ヒータ基板62,162の下面側に配置された抵抗発熱体62f,162fにおいて発生した熱が、加熱電極62c,162cに形成されたビア163を介して、ヒータ基板62,162の上面側に伝達される例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0114】
例えば、熱源となる抵抗発熱体と加熱電極とが同じ面に設けられている場合には、ビアのない構成であってもよい。
あるいは、ビア以外の熱伝達手段を介して、ヒータ基板の反対側の面へ熱を伝達する構成であってもよい。
(F)
上記実施形態では、接点部45c,145cを加熱する加熱電極62c,162cが、ヒータ基板62上に設けられた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0115】
例えば、加熱対象となる接点部の付近に当接するように配置された加熱部が、基板上ではなく、個別に配置された構成であってもよい。
(G)
上記実施形態では、センサ43が折り曲げ部44において折り曲げた状態で使用される例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0116】
例えば、センサが折り曲げられることなく使用される構成であってもよい。
この場合でも、センサの本体部の上端部分において、複数のセンサが連結部によって連結された構成にすることで、センサの位置精度を向上させるという上記と同様の効果を得ることができる。
(H)
上記実施形態では、4つのセンサ43が1セットとなるように4つのセンサ43の上端部を連結部45によって連結した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0117】
例えば、連結部によって連結されるセンサの数は、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。
いずれの場合でも、互いに連結されたセンサ間の位置が正確に規定されるため、センサの位置精度を向上させることができる。
また、センサは連結部で連結されることなく、単体で使用される形態であってもよい。
【0118】
(I)
上記実施形態1では、4つのセンサ43を連結する連結部45に、3つの位置決め穴45bが設けられた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、位置決め穴の数についても、センサの数と同様に、2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0119】
(J)
上記実施形態1では、センサユニット27の組み立て工程において、センサ固定治具71,72を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、センサユニットの組み立ては、必ずしもセンサ固定治具を用いて行われる必要はない。
【0120】
(K)
上記実施形態では、4列×6個のウェル25aを含むウェルプレート25を培養容器として用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、3列×4個、2列×3個等、複数のウェルが任意の数で配置されたウェルプレートが、培養容器として用いられてもよい。
【0121】
あるいは、1個の培養容器に対して、1つのセンサを浸漬して細胞培養を行う装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明のセンサユニットは、高温多湿の環境下においても電気的短絡によって使用不能になることを回避して安定的な電気的接続を確保することができるという効果を奏することから、細胞培養分析に使用される各種センサユニットおよび装置に対して広く適用可能である。
【符号の説明】
【0123】
1 細胞培養分析装置
2 分析ユニット
3 駆動部
3a 筐体
4 制御ユニット
5 電気ケーブル
6 配管チューブ
7 培養インキュベータ
8 扉
9 シリンジ
10 プランジャ
11 多方切り替え弁
12 モータ
13 モータ
14,15,16,17 弁
18 回転部
19 回転流路
20 アダプタユニット
21 トップユニット
22 ボトムユニット
23 前面開口
24 アダプタボトム
25 ウェルプレート(培養容器)
25a ウェル(培養容器)
26 アダプタトップ
27 センサユニット
28 基板ユニット
29 配管基板部
30 基板ベース
30a 接点貫通孔
31 基板
32 接続部
33,34,35,36 配管チューブ
37 空気取り入れ口
38 貫通孔
39 配管チューブ接続部
40 脚部(支持体)
41 貫通孔
42 位置決め穴
43 センサ
43a 本体部
43b 検出部
44 折り曲げ部
44a 折り曲げ線
45 連結部
45a 本体
45b 位置決め穴(係止機構)
45c 接点部(接続端子部)
46 当接部
57 ボトムプレート
57a 平板部
57b 貫通穴
57c ツメ部(係止機構)
57d 支持部
59 トッププレート
59a 押圧部
60 ガスケットシート
61 ポート
62 ヒータ基板(基板)
62a 基板本体
62b 貫通孔
62c 加熱電極(加熱部)
62d 電極
62e 電極
62f 抵抗発熱体
62g サーミスタ
71 センサ固定治具
71a 土台部
71b 保持部
71c 位置決め部
72 センサ固定治具
72a 土台部
72b 貫通穴
72c 当接部
127 センサユニット
143 センサ
143a 本体部
143b 検出部
144 折り曲げ部
144a 折り曲げ線
145 連結部
145a 本体
145b 位置決め穴(係止機構)
145c,145ca~145cd 接点部(接続端子部)
157 ボトムプレート
157a 凹部
160 ガスケットシート
162 ヒータ基板(基板)
162a 基板本体
162b 貫通孔
162c,162ca~162cd 加熱電極(加熱部)
162d 電極
162e 電極
162f 抵抗発熱体
162g サーミスタ
162h 配線
163 ビア
172 ポート入出力部
173 添加剤添加部A添加口
174 添加剤添加部B添加口
175 攪拌部材空気吐出吸引口
176~179 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31