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特開2022-10942負担度による介護情報処理システム、介護情報処理方法、介護情報処理装置、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022010942
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】負担度による介護情報処理システム、介護情報処理方法、介護情報処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20180101AFI20220107BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111749
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】599102435
【氏名又は名称】株式会社千早ティー・スリー
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】谷口 仁志
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA11
(57)【要約】
【課題】介護保険制度の運用に係る関係者への負担をより好適な態様で軽減可能とする。
【解決手段】被保険者の心身状態の審査に係る申請について、当該審査に係る委員への負担の指標を示す負担度を、当該申請に係る条件に応じて算出し、当該負担度の算出結果に応じて当該申請を、心身状態の審査に係る複数の区分に分類する分類手段と、前記申請が分類された前記区分に応じて、当該申請の管理に係る処理を実行する管理手段と、を備える、介護情報処理システム。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被保険者の心身状態の審査に係る申請について、当該審査に係る委員への負担の指標を示す負担度を、当該申請に係る条件に応じて算出し、当該負担度の算出結果に応じて当該申請を、心身状態の審査に係る複数の区分に分類する分類手段と、
前記申請が分類された前記区分に応じて、当該申請の管理に係る処理を実行する管理手段と、
を備える、介護情報処理システム。
【請求項2】
前記管理手段は、前記申請が分類された前記区分に応じて、当該申請の審査に係る条件を決定する、
請求項1に記載の介護情報処理システム。
【請求項3】
前記申請の審査に係る条件は、当該審査を割り当てる委員の数、当該審査を割り当てる委員の種別、当該審査の実施に係る期間、及び当該審査の準備に係る期間のうち少なくともいずれかに係る条件を含む、
請求項2に記載の介護情報処理システム。
【請求項4】
前記管理手段は、前記申請が分類された前記区分に応じて、当該申請の審査を割り当てる1以上の委員を含む合議体を決定する、
請求項2または3に記載の介護情報処理システム。
【請求項5】
前記申請に対する審査の運営状況に関する情報を、前記区分ごとに蓄積する蓄積手段を備え、
前記管理手段は、前記区分ごとに蓄積された前記審査の運営状況に関する情報に基づき、前記区分ごとの前記申請の審査に係る条件を更新する、
請求項2~4のいずれか1項に記載の介護情報処理システム。
【請求項6】
前記申請に係る条件は、審査の簡素化の対象か否か、当該申請の種別、対象となる前記被保険者に関する過去の心身状態の認定結果、対象となる前記被保険者の調査時点における心身状態、及び対象となる前記被保険者の介護に係る状況のうち少なくともいずれかの条件を含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の介護情報処理システム。
【請求項7】
介護情報処理システムが実行する介護情報処理方法であって、
被保険者の心身状態の審査に係る申請について、当該審査に係る委員への負担の指標を示す負担度を、当該申請に係る条件に応じて算出し、当該負担度の算出結果に応じて当該申請を、心身状態の審査に係る複数の区分に分類する分類ステップと、
前記申請が分類された前記区分に応じて、当該申請の管理に係る処理を実行する管理ステップと、
を含む、介護情報処理方法。
【請求項8】
被保険者の心身状態の審査に係る申請について、当該審査に係る委員への負担の指標を示す負担度を、当該申請に係る条件に応じて算出し、当該負担度の算出結果に応じて当該申請を、心身状態の審査に係る複数の区分に分類する分類手段と、
前記申請が分類された前記区分に応じて、当該申請の管理に係る処理を実行する管理手段と、
を備える、介護情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータを、請求項8に記載の介護情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、負担度による介護情報処理システム、介護情報処理方法、介護情報処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
我が国では高齢化が進み、介護への需要が高まったことに対応し、介護保険制度が導入された。介護保険制度の運用を支援するための技術が考えられている。例えば、特許文献1には、被保険者に対する不適切な介護サービスの提供を効率的にチェックする方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-323520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、住民の高齢化に伴う保険者の事務局処理が増大し、委員の確保問題、委員の時間調整問題、保険者間の判定格差問題等の発生が懸念されている。このような課題に対して、審査内容の簡素化等の対策も行われてはいるものの、手続きに伴い発生する関係者への負担をより軽減する仕組みの実現が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は上記の問題を鑑み、介護保険制度の運用に係る関係者への負担をより好適な態様で軽減可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る介護情報処理システムは、被保険者の心身状態の審査に係る申請について、当該審査に係る委員への負担の指標を示す負担度を、当該申請に係る条件に応じて算出し、当該負担度の算出結果に応じて当該申請を、心身状態の審査に係る複数の区分に分類する分類手段と、前記申請が分類された前記区分に応じて、当該申請の管理に係る処理を実行する管理手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、介護保険制度の運用に係る関係者への負担をより好適な態様で軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】心身状態の調査情報の一例を示した図である。
図2】中間評価項目得点の一例を示した図である。
図3】介護情報処理システムのシステム構成の一例を示した図である。
図4】サーバのハードウェア構成の一例を示した図である。
図5】端末装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
図6】介護情報処理システムの全体的な処理の流れの一例を示した図である。
図7】蓄積データの事前解析に係る処理の一例を示したシーケンス図である。
図8】中間評価項目得点が示す心身状態の一例を示した図である。
図9】心身状態の区分方法の一例について示した図である。
図10】区分クラスを設定する方法の一例について示した図である。
図11】申請クラスを設定するための方法の一例について示した図である。
図12】心身状態分類の区分の一例について示した図である。
図13】心身状態分類の区分ごとの発生頻度を示す情報の一例を示した図である。
図14】自立度の組み合わせに応じた区分の設定の一例を示した図である。
図15】自立度に関する区分の一例について示した図である。
図16】自立度に関する区分ごとの発生頻度を示す情報の一例を示した図である。
図17】区分情報の一例を示した図である。
図18】申請クラス情報の一例を示した図である。
図19】申請データの生成に係る処理の一例を示したシーケンス図である。
図20】申請情報の一例を示した図である。
図21】審査会の設定に係る処理の一例を示したシーケンス図である。
図22】委員情報の一例を示した図である。
図23】合議体情報の一例を示した図である。
図24】事前評価の受け付けに係る処理の一例を示したシーケンス図である。
図25】要介護度の管理に係る情報の一例を示した図である。
図26】事前評価情報の一例を示した図である。
図27】申請の審査に係る処理の一例を示したシーケンス図である。
図28】審査結果情報の一例を示した図である。
図29】蓄積データの事後解析に係る処理の一例を示したシーケンス図である。
図30】事前評価や審査結果の差異の集計結果の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0010】
<介護保険制度の概要>
日本国の介護保険制度では、介護が必要になった場合に、被保険者が要介護認定の申請を行えば、保険者が要介護の認定を行うこととなっている。具体的には、認定調査員による心身状態の調査票と主治医の意見書とから「介護認定審査会資料」が作成され、当該介護認定審査会資料により、介護認定審査会(以下、単に「審査会」とも称する)において、被保険者の要介護度が判定される。これにより、被保険者は、その要介護度に応じたサービスが受けられることとなる。
【0011】
図1は、認定調査員による心身状態の調査情報の一例を示す図である。認定調査員は、図1の調査情報に示される55(62)項目の評価項目について、非保険者の心身状態を評価することとなる。心身状態の調査時点における被保険者の心身状態は、これらの評価項目の評価値の組み合わせで表されることとなる。図1に示す例では、評価項目の評価値が空欄であることは、その評価項目についての評価値が、その評価項目について問題がない(正常である)ことを示す評価値であることを示す。
図1に示されるように、心身状態の調査情報に表される複数の評価項目は、第1群「身体機能・起居動作」、第2群「生活機能」、第3群「認知機能」、第4群「精神・行動障害」、第5群「社会生活への適応」の5つの群に分けられている。これらの群ごとに、評価項目の評価値に応じた点数を集計することで、被保険者の心身状態を量的な点数で表す中間評価項目得点が決定される。各評価項目の評価値に対応する点数は、予め定められている。
【0012】
図2は、群ごとに決定された中間評価項目得点の一例を示す図である。図2に示す例では、被保険者は、第2群、第3群については、問題がなく、第5群については、問題がある可能性があることが示される。中間評価項目得点は、心身状態の調査時点における被保険者の心身状態を点数で示す指標である心身状態指標の一例である。
【0013】
また、要介護度は、被保険者が介護を要する度合いを段階的に規定した指標である。要介護度の種類は、「自立」、「要支援1」、「要支援2」、「要介護度1」、「要介護度2」、「要介護度3」、「要介護度4」、及び「要介護度5」に分けられ、被保険者に介護サービスの必要度に応じていずれかが認定される。具体的には、「自立」が介護サービスに必要性が最も低い状態を示し、「要支援1」、「要支援2」、「要介護度1」、「要介護度2」、「要介護度3」、「要介護度4」、「要介護度5」の順に、介護サービスの必要性がより高い状態を示している。
【0014】
具体的には、要介護認定では、認定調査員による調査結果に基づく被保険者の要介護度の判定が、コンピュータによる一次判定と、当該一次判定の結果を原案とした保健医療福祉の学識経験者による二次判定と、の二段階により行われる。二次判定では、保健医療福祉の学識経験者を委員とした、複数人(例えば、3人、5人等)の委員により形成される合議体により審査会が開催され、当該審査会において被保険者の要介護度の判定が行われる。二次判定では、合議体による評価の結果に応じて、一次判定の結果の変更(修正)が行われる場合もある。
【0015】
<審査会の課題>
現時点において審査会は、保険者(市町村及び特別区又は複数の市区町村による一部事務組合や広域連合)の単位で開催されており、保険者にとって、審査会の運営は大きな負担になっている。
介護保険法によれば、審査会に関して、都道府県による共同設置の支援が可能となってはいる。しかしながら、実態としては、審査会を単独で運営することが困難な市町村が一部事務組合や広域連合として審査会の共同設置を行っており、必ずしも効率的かつ効果的な審査会運営を実現できているとは言い難いようなケースが存在する。
主な課題としては、住民の高齢化に伴い保険者の事務局処理が増大し、委員の確保問題、委員の時間調整問題、保険者間の判定格差問題等が発生している点が挙げられる。これらに対応するために審査内容の簡素化等の対策も行われはいるものの、必ずしも審査の質の担保が図られているとは言い難く、直ちに全国的な対応が可能となるというものとはなっていない。
【0016】
以上のような状況を鑑み、本開示では、介護保険制度の運用に係る関係者(例えば、審査を担当する委員や各種事務局の局員等)への負担をより好適な態様で軽減可能とする技術を提案する。
【0017】
<システムの概要>
本実施形態に係る介護情報処理システムでは、審査対象である申請を、審査に係る委員への負担度や、被保険者の心身状態等に基づき分類したうえで、当該申請に係るデータを蓄積し、当該データを活用することでより効率的かつ効果的な審査を可能とする。また、実施した審査のデータを蓄積することにより、当該データに基づきシステムに学習を行わせることで、システムを成長させていく効果を期待することが可能である。
【0018】
審査会に関する事務局は、一般的には審査会事務局として1つのものとして考えられている。しかしながら、事務内容を整理すると、申請側の事務局(以下、「申請事務局」とも称する)と、審査判定側の事務局(以下、「審査事務局」とも称する)の2種類に分類することが可能である。
具体的には、申請事務局は、認定調査や主治医意見書の収集が完了した後の、申請情報を審査会に委ねるための事務局に相当する。つまり、申請事務局は、介護認定審査会資料を作成し、特記事項や主治医意見書の個人情報の消込を行うと共に、これらの審査会資料に疑義があれば、事前に認定調査員や主治医に確認する等の事務を行う。
審査事務局は、申請ごとに整理された審査会資料を基に、予め組織した合議体に各種申請情報を割り当て、審査会の開催を管理し、審査結果を申請事務局に戻す等の事務を担当する。また、審査事務局は、合議体の管理、委員の出欠管理や審査会での委員の疑義対応等の役割も担う。
【0019】
本実施形態に係る介護情報処理システムでは、申請事務局の業務と、審査事務局の業務と、を分けることが可能であり、審査事務局の業務については、審査会の開催までの業務と、審査会の開催時からその結果の管理分析の業務と、に分けて管理することが可能である。
申請事務局は、認定調査の結果や主治医の意見が、基本的には申請者が所属する自治体(例えば、市区町村)において管理されることから、保険者の単位による管理が望ましい。その一方で、審査事務局で取り扱うデータについては、個人情報が含まれることは望ましくなく、個人情報を加味せずに心身に関する情報により公平な審査が望まれるものであることから、効率性や効果性を考えると、都道府県やそれ以上の単位による管理が望ましい。
【0020】
広範囲な単位の審査事務局による管理になれば、より多量の蓄積データを活用することが可能となり、委員の専任化による職業としての委員も可能となるため、より専門的で効率的かつ効果的な審査が期待できる。具体的には、保険者の規模が小さい場合には、蓄積データの活用が限定的なものになると考えられるが、広範囲な蓄積データであれば、より精緻な集計や分析が可能になるだけでなく、判定格差問題の解消にも役立つと考えられる。
【0021】
<システム構成>
図3を参照して、本実施形態に係る介護情報処理システムのシステム構成の一例について説明する。本実施形態に係る介護情報処理システムは、審査会サーバ110と、申請サーバ130と、審査会事務局端末210と、申請事務局端末230と、委員端末250とを含む。審査会サーバ110と、申請サーバ130と、審査会事務局端末210と、申請事務局端末230と、委員端末250とは、ネットワークNを介して互いに総合に通信可能に接続される。
【0022】
なお、ネットワークNの種別については特に限定はされない。具体的な一例として、ネットワークNとして、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、公衆回線(例えば、電話回線、移動体通信回線等)等が適用されてもよい。ネットワークNは、無線のネットワークであってもよく、有線のネットワークであってもよい。また、ネットワークNは、複数種類の異なるネットワークを含んでもよい。具体的な一例として、審査会サーバ110と、申請サーバ130と、審査会事務局端末210と、申請事務局端末230と、委員端末250との間の通信が、他の通信装置により中継されてもよい。この場合には、一部のネットワークに対して、他のネットワークとは異なる種別のネットワークが適用されてもよい。
【0023】
審査会サーバ110は、審査会事務局の業務のうち、特に審査事務局の業務の各種管理に係る処理を実行する。具体的な一例として、審査会サーバ110は、要介護認定の申請の審査に係る審査会のスケジューリング、当該審査会への委員の割り当て、当該申請に対する評価の受け付け等の、当該申請の審査に係る各種管理を行う。
また、本実施形態に係る介護情報処理システムでは、審査会サーバ110は、過去に審査の対象となった要介護認定の申請に係るデータを蓄積し、蓄積された当該データを所定の条件に基づき分類したうえで、当該分類の結果を各種情報の提示や各種管理に利用する。
例えば、審査会サーバ110は、蓄積された上記申請に係るデータを、被保険者の心身状態に応じた区分に分類して管理してもよい。この場合には、審査会サーバ110は、上記区分ごとに上記申請に係るデータを集計して、各心身状態の発生頻度を算出することも可能である。これにより、審査会サーバ110は、例えば、審査の対象となる申請に対する評価(例えば、被保険者の心身状態に関する評価)の妥当性を、当該評価が示す心身状態について算出された発生頻度に応じて検証することも可能となる。
また、審査会サーバ110は、要介護認定の申請を、当該申請の審査に係る委員への負担の指標を示す負担度に応じた区分に分類してもよい。負担度の評価に利用可能な要介護認定の申請に係る条件としては、例えば、審査の簡素化の対象か否か、申請の種別、対象となる被保険者に関する過去の心身状態の認定結果、対象となる被保険者の調査時点における心身状態、及び対象となる被保険者の介護に係る状況等の条件が挙げられる。これにより、審査会サーバ110は、各申請の分類結果に応じて、当該申請の審査の管理(例えば、委員への審査の割り当て等)をより効率的に行うことも可能となる。
なお、上記審査会サーバ110の処理について詳細を別途後述する。
【0024】
申請サーバ130は、審査会事務局の業務のうち、特に申請事務局の業務の各種管理に係る処理を実行する。具体的な一例として、申請サーバ130は、要介護認定の申請の受け付けや管理に係る各種処理を実行する。
【0025】
審査会事務局端末210は、審査事務局の局員からの各種指示の受け付けや、当該局員への各種情報の提示に係る処理を実行する。
申請事務局端末230は、申請事務局の局員からの各種指示の受け付けや、当該局員への各種情報の提示に係る処理を実行する。
委員端末250は、要介護認定の申請の審査を行う委員からの各種指示の受け付けや、当該委員への各種情報の提示に係る処理を実行する。
【0026】
なお、審査会サーバ110、申請サーバ130、審査会事務局端末210、申請事務局端末230、及び委員端末250それぞれの処理については、本実施形態に係る介護情報処理システムの処理とあわせて詳細を別途後述する。
【0027】
<ハードウェア構成>
本実施形態に介護情報処理システムを構成する構成要素のハードウェア構成の一例について説明する。
【0028】
(サーバのハードウェア構成)
まず、図4を参照して、図3に示す審査会サーバ110及び申請サーバ130として適用可能なサーバ100のハードウェア構成の一例について説明する。サーバ100は、CPU(Central Processing Unit)101と、主記憶装置102と、補助記憶装置103と、ネットワークI/F104とを含む。CPU101、主記憶装置102、補助記憶装置103、及びネットワークI/F104は、システムバス105を介して相互に通信可能に接続されている。
【0029】
CPU101は、サーバ100(例えば、審査会サーバ110、申請サーバ130等)が提供する機能の実現に係る各種制御を行う中央演算装置である。
主記憶装置102は、CPU101のワークエリアや、データの一時的な記憶領域として機能する記憶装置である。主記憶装置102は、例えば、RAM(Random Access Memory)等により実現され得る。
補助記憶装置103は、各種プログラム、各種設定情報、各種解析データ等を記憶する記憶領域として機能する記憶装置である。補助記憶装置103は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)に代表される不揮発性メモリ等により実現され得る。
ネットワークI/F104は、サーバ100が、外部の装置(例えば、後述する端末装置200等)と所定のネットワークを介して通信を行うための通信インタフェースである。
【0030】
CPU101が、補助記憶装置103等に記憶されたプログラムに基づき処理を実行することで、別途後述する審査会サーバ110または申請サーバ130の処理が実現される。
【0031】
(端末装置のハードウェア構成)
次いで、図5を参照して、図3に示す、審査会事務局端末210、申請事務局端末230、及び委員端末250として適用可能な端末装置200のハードウェア構成の一例について説明する。端末装置200は、CPU201と、主記憶装置202と、補助記憶装置203と、ネットワークI/F204と、入力I/F205と、出力I/F206とを含む。CPU201、主記憶装置202、補助記憶装置203、ネットワークI/F204、入力I/F205、及び出力I/F206は、システムバス207を介して相互に通信可能に接続されている。
【0032】
CPU201は、端末装置200(例えば、審査会事務局端末210、申請事務局端末230、委員端末250等)が提供する機能の実現に係る各種制御を行う中央演算装置である。
主記憶装置202は、CPU201のワークエリアや、データの一時的な記憶領域として機能する記憶装置である。主記憶装置202は、例えば、RAM等により実現され得る。
補助記憶装置203は、各種プログラム、各種設定情報、各種解析データ等を記憶する記憶領域として機能する記憶装置である。補助記憶装置203は、例えば、HDD、SSDに代表される不揮発性メモリ等により実現され得る。
ネットワークI/F204は、端末装置200が、外部の装置(例えば、サーバ100等)と所定のネットワークを介して通信を行うための通信インタフェースである。
【0033】
入力I/F205は、ポインティングデバイス、キーボード、タッチパネル等のようなユーザからの指示の受け付けに係る入力装置との接続に利用されるインタフェースである。CPU201は、入力I/F205を介して、入力装置からの情報の入力を受付ける。
出力I/F206は、表示装置(例えば、モニタ、タッチパネルの表示部等)、印刷装置、音響出力装置(スピーカ等)等の出力装置との接続に利用されるインタフェースである。CPU201は、出力I/F206を介して、出力装置に対して各種情報を出力する。
【0034】
CPU201が、補助記憶装置203等に記憶されたプログラムに基づき処理を実行することで、別途後述する審査会事務局端末210、申請事務局端末230、または委員端末250の処理が実現される。
【0035】
<処理>
本実施形態に係る介護情報処理システムの処理の一例について以下に説明する。なお、以降では、まず本実施形態に係る介護情報処理システムの全体的な処理の流れについて概要を説明したうえで、別途個々の処理についてより詳細に説明するものとする。
【0036】
(全体的な処理の流れ)
まず、図6を参照して、本実施形態に係る介護情報処理システムにより実行される処理全体の流れについて説明する。
【0037】
S100において、介護情報処理システムは、過去に実施された要介護認定の申請の審査結果に基づき蓄積された、当該申請に係るデータ(以下、「認定データ」とも称する)の事前解析に係る処理を実行する。
例えば、介護情報処理システムは、蓄積された認定データを、当該認定データに含まれる被保険者の心身状態に関する情報に基づき、当該心身状態に関する複数の区分に分類したうえで、当該区分ごとに当該認定データの集計を行うことで、区分ごとの発生に係る頻度を算出する。そして、介護情報処理システムは、区分ごとの発生に係る頻度の算出結果を、新たに審査の対象とされる申請に対する各種手続きに係る判定等に利用する。具体的な一例として、介護情報処理システムは、区分ごとの稀少性や頻発性に応じて、新たに審査の対象とされる申請に対する評価の妥当性の検証を行ってもよい。
なお、上記認定データが、被保険者の心身状態に関する「心身状態情報」の一例に相当する。また、上記処理の詳細については、図7を参照して詳細を別途後述する。
【0038】
S200において、介護情報処理システムは、要介護認定の申請に係るデータ(以下、「申請データ」とも称する)の生成に係る処理を実行する。具体的には、申請サーバ130は、申請事務局端末230を介して入力された、認定調査の結果や主治医意見書等に基づき、被保険者の要介護認定の申請に係る申請データを生成する。
なお、上記処理の詳細については、図19を参照して詳細を別途後述する。
【0039】
S300において、介護情報処理システムは、被保険者の要介護認定の申請に対して審査を行うための審査会の設定に係る処理を実行する。具体的には、審査会サーバ110は、審査会事務局端末210や委員端末250を介して入力された、要介護認定の申請の審査に係る委員や合議体に関する情報に基づき、各申請の審査に係る審査会の開催に係る条件を決定する。
なお、上記処理の詳細については、図21を参照して詳細を別途後述する。
【0040】
S400において、介護情報処理システムは、被保険者の要介護認定の申請に対する事前評価の受け付けに係る処理を実行する。具体的には、委員端末250は、審査会サーバ110にアクセスすることで審査の対象となる申請に関する情報を取得して委員に提示し、当該申請に対する事前評価の入力を当該委員から受け付ける。そして、委員端末250は、委員による入力結果に応じた事前評価に関する情報を審査会サーバ110に登録する。その後、対象となる申請の審査会の開催に係る各種調整が行われ、当該調整結果が、審査会サーバ110から各委員の委員端末250に通知される。
なお、上記処理の詳細については、図24を参照して詳細を別途後述する。
【0041】
S500において、介護情報処理システムは、被保険者の要介護認定の申請に対する審査に係る処理を実行する。同処理では、各委員の委員端末250が、対象となる申請の一次評価の入力を当該委員から受け付け、当該入力結果に応じた一次評価に関する情報を審査会サーバ110に登録する。その後、委員長の委員端末250が、対象となる申請の一次評価の結果を審査会サーバ110から取得して当該委員長に提示し、当該申請の最終評価の入力を当該委員長から受け付ける。そして、当該委員端末250は、当該入力結果に応じた最終評価に関する情報を審査会サーバ110に登録する。
なお、上記処理の詳細については、図27を参照して詳細を別途後述する。
【0042】
S600において、介護情報処理システムは、要介護認定の申請の審査結果の事後解析に係る処理を実行する。
なお、上記処理の詳細については、図29を参照して詳細を別途後述する。
【0043】
以上、図6を参照して、本実施形態に係る介護情報処理システムにより実行される処理全体の流れについて説明した。
【0044】
(蓄積データの事前解析)
次いで、図7を参照して、本実施形態に係る介護情報処理システムの処理のうち、蓄積データの事前解析に係る処理の一例について説明する。
【0045】
S101において、審査会事務局端末210は、審査事務局の局員からの指示に応じて、過去に審査が実施された要介護認定の申請に係る認定データを審査会サーバ110に送信することで、当該認定データを審査会サーバ110に登録する。認定データは、例えば、認定調査の結果等を含む要介護認定の申請の審査に係る資料(以下、「審査会資料」とも称する)、当該申請に係る特記事項、及び当該申請に係る主治医の意見書等に示された情報を含む。これにより、審査会サーバ110に対して、過去に審査が実施された要介護認定の申請に係る一連の認定データが蓄積される。また、この際に、認定データに対して、対象となる申請の審査に要した時間や当該申請を割り当てた委員の人数等のような、当該審査に係る条件に関する情報が関連付けられてもよい。
【0046】
S102において、審査会事務局端末210は、審査事務局の局員からの指示に応じて、被保険者の心身状態の区分方法と、当該区分に係るクラスとを審査会サーバ110に設定する。
図1及び図2を参照して説明したように、5つの群(第1群~第5群)それぞれについて評価項目の評価値に応じた点数が集計されることで、被保険者の心身状態を量的な点数で表す中間評価項目得点が決定される。本実施形態に係る介護情報処理システムでは、この被保険者の心身状態が点数で示された指標(中間評価項目得点)を、あらかじめ決められたレベル数で表される順序尺度に変換する。
例えば、図8は、順序尺度に変換された中間評価項目得点が示す心身状態の一例を示した図である。図8に示す例では、中間評価項目得点が4つのレベル数で表される順序尺度に変換されている。具体的には、図8に示す例では、第1群がレベル4、第2群がレベル3、第3群がレベル2、第4群と第5群とがレベル1となっている心身状態が示されている。
なお、図8に示す例はあくまで一例であり、上記順序尺度は必ずしも4つのレベル数で表される順序尺度のみには限定されない。例えば、3つ以下の個数のレベル数で表される順序尺度が適用されてもよいし、5つ以上の個数のレベル数で表される順序尺度が適用されてもよい。
【0047】
そして、本実施形態に係る介護情報処理システムでは、上記順序尺度に変換された中間評価項目得点に基づいて、被保険者の心身状態を、心身状態の区分として予め定められた複数の区分に分類する。
【0048】
例えば、図9は、心身状態の区分方法の一例について示した図である。G1~G5は、上述した第1群~第5群にそれぞれに対応している。また、g1~g5は、第1群~第5群それぞれに対応する中間評価項目得点を示している。また、g1k~g5kは、第1群~第5群それぞれに対応する順序尺度に変換された後のレベル数を示している。また、k1_1~k1_3のそれぞれは、G1に対応する中間評価項目得点g1から、順序尺度に応じたレベル数g1kへの変換に係る閾値をそれぞれ示している。同様に、G2~G5のそれぞれについても閾値が設定される。例えば、k5_1~k5_3のそれぞれは、G5に対応する閾値に相当する。
以上のようにして、第1群~第5群それぞれについて、1~4のいずれかのレベルが決定されることとなる。そのうえで、本実施形態に係る介護情報処理システムでは、第1群~第5群それぞれについて決定される1~4のいずかのレベルの組み合わせごとに、心身状態を複数の区分に分類する。具体的には、本実施形態に係る介護情報処理システムでは、被保険者の心身状態は、「44444」、「44443」、「44442」、「44441」、「44434」、…、「111112」、「11111」という4の5乗(1024)個の区分のいずれかに分類されることとなる。
【0049】
以上のようにして、被保険者の心身状態を複数の区分に分類した場合に、各区分の発生頻度に偏りが生じる場合がある。このような特性を鑑み、本実施形態に係る介護情報処理システムでは、蓄積された認定データを利用して、あらかじめ各区分の発生頻度(発生率)を算出しておくことで、区分ごとに発生頻度に応じたクラスを設定する。
例えば、図10は、心身状態の各区分に対して、当該区分の発生頻度に応じてクラスを設定する方法の一例について示した図である。具体的には、図10に示す例では、各区分に対して、当該区分の発生頻度(r)に応じて、A、B、C、及びZのうちのいずれかのクラスを設定している。より具体的には、図10に示す例では、クラス「A」が最も発生頻度が高く、次いで、「B」、「C」、「Z」の順に発生頻度が低くなる。
このように、心身状態の各区分に対して発生頻度に応じたクラス(以下、「区分クラス」とも称する)が設定されることで、例えば、新たな申請の認定調査データから当該申請が当てはまる心身状態分類(区分)が特定された際に、当該申請の心身状態分類の発生頻度を特定することが可能となる。そのため、例えば、新たな申請について行われた被保険者の心身状態に関する評価の妥当性を、当該心身状態の区分の発生頻度(例えば、稀少性)に基づき評価することも可能となる。
【0050】
ここで、改めて図7を参照する。S103において、審査会事務局端末210は、審査事務局の局員からの指示に応じて、各申請を、当該申請に係る各種条件に応じて複数の区分のいずれかに分類することで、当該申請に対して分類された区分に応じたクラス(以下、「申請クラス」とも称する)を設定するための条件を審査会サーバ110に設定する。
具体的には、審査が行われる場合には、対象となる申請者の状況に応じて、当該審査を担当する複数の委員により構成される合議体に対する負担度(換言すると、委員に対する負担度)は異なる。このような特性から、本実施形態に係る介護情報処理システムは、申請に係る各種条件に応じて合議体(換言すると委員)への負担度を算出し、当該負担度に応じて各申請を複数の区分のいずれかに分類することで、当該申請に対して申請クラスを設定する。
【0051】
例えば、図11は、各申請に申請クラスを設定するための方法の一例について示した図である。具体的には、図11に示す例では、「申請区分」、「要介護度」、「特別な医療の有無」、「寝たきり度」、「認知症度」、「現在の状況」、及び「区分クラス」等の申請に係る各種条件に応じて、各申請がいずれかの申請クラスが設定されることとなる。
申請区分とは、対象となる申請が、「新規申請」、「更新申請」、及び「区分変更申請」のうちのいずれに該当するかを示す条件である。例えば、更新申請の場合には、新規申請の場合に比べて、一部の審査を簡素化することが可能であり、審査に係る合議体への負担度がより低くなる傾向にある。
要介護度は、被保険者がどのレベルの介護を必要としているかを示す指標である。
特別な医療の有無とは、医師の指示に基づき看護職員等が行う診療補助行為等のような特別な処置が必要か否かを示す条件である。また、更新申請や区分変更申請のような更新系の申請の場合には、前回の要介護認定と今回の一次判定結果の違い等の条件が含まれてもよい。例えば、前回の要介護認定と今回の一次判定結果とが一致する場合には、一部の審査を簡素化し、審査に係る合議体への負担度がより低くなる可能性がある。
寝たきり度は、被保険者の身体の状態を示す指標である。また、認知症度は、被保険者の精神の状態を示す指標である。
現在の状況とは、被保険者の介護に係る状況として、「居宅」、「施設」、及び「病院」のうちいずれの条件に基づき介護が行われているかを示す条件である。
区分クラスは、図10を参照して説明したクラスである。
このように、各申請に対して申請クラスを設定するための条件があらかじめ設定されることで、各申請に対して審査に係る合議体への負担度に応じて申請クラスを設定し、設定された当該申請クラスに応じて、当該審査に係る条件や審査に割り当てる委員を機械的に決定することも可能となる。
【0052】
ここで、改めて図7を参照する。S104として示すように、申請サーバ130は、受け付けた申請に対応する認定データを審査会サーバ110に送信することで、当該認定データを審査会サーバ110に登録してもよい。
【0053】
S105において、審査会サーバ110は、S101及びS104の処理の結果として蓄積された認定データを、S102において設定された区分方法に基づき、心身状態分類の区分に分類して集計する。そのうえで、審査会サーバ110は、心身状態分類の区分ごとの認定データの集計結果に基づき、当該区分について発生頻度を算出し、当該発生頻度の算出結果に応じて当該区分に対して区分クラスを設定する。
例えば、図12は、心身状態分類の区分の一例について示した図である。図12に示す例では、1024の各区分を2次元の平面上に32行×32列のマトリックス状にマッピングした場合の一例について示している。これに対して、図13は、心身状態分類の各区分について算出された発生頻度が、区分ごとに識別可能に提示された情報の一例を示している。図13に示す例では、図12において各区分がマッピングされた位置に、当該区分の発生頻度の算出結果に応じた大きさの略円形状のマーカが提示されている。具体的には、発生頻度の高い区分ほど、対応する位置により径の大きいマーカが提示されており、発生頻度がより低くなるほど提示されるマーカの径がより小さくなる。また、マーカが提示されていない区分については、蓄積された認定データの範囲において発生頻度が0であること(換言すると、対応する心身状態が認定された実績が無いこと)を示している。なお、図13に例示した情報が、心身状態の区分ごとの発生頻度の算出結果に応じた出力情報の一例に相当する。
【0054】
ここで、改めて図7を参照する。S106において、審査会サーバ110は、S101及びS104の処理の結果として蓄積された認定データを、S103において設定された条件に基づき、設定された申請クラスごとに集計する。
【0055】
S107において、審査会事務局端末210は、審査事務局の局員からの指示に応じて、蓄積された認定データに基づく、被保険者の状態を互いに異なる複数の観点それぞれで示した複数の種別の状態間における関係性の解析を、審査会サーバ110に指示する。なお、本実施形態では、審査会事務局端末210は、障害高齢者の日常生活自立度(被保険者の身体的自立度)を示す寝たきり度と、認知症高齢者の日常生活自立度(被保険者の精神的自立度)を示す認知症度との間の関係性の解析を、審査会サーバ110に指示するものとする。
【0056】
S108において、審査会サーバ110は、審査会事務局端末210からの指示に応じて、蓄積された認定データに基づき、寝たきり度と認知症度との間の関係性の解析を行い、当該解析の結果に応じたデータ(以下、「関係性データ」とも称する)を生成する。
【0057】
具体的には、審査会サーバ110は、寝たきり度を示す各状態と、認知症度を示す各状態との間の組み合わせごとに、自立度に関する区分を設定する。
例えば、図14は、自立度の組み合わせに応じた区分の設定の一例を示している。図14に示す例では、寝たきり度は、「自立」として示された状態が最も自立度が高い状態を示し、「J1」、「J2」、「A1」、「A2」、「B1」、「B2」、「C1」、及び「C2」の順に、順次自立度がより低い状態を示している。また、認知症度については、「自立」として示された状態が最も自立度が高い状態を示し、「I」、「IIa」、「IIb」、「IIIa」、「IIIb」、「IV」、及び「M」の順に、順次自立度がより低い状態を示している。すなわち、図14に示す例では、審査会サーバ110は、寝たきり度を示す各状態と、認知症度を示す各状態との間の組み合わせごとに、自立度に関する区分として、「1」~「72」で示される72個の区分を設定することとなる。
【0058】
次いで、審査会サーバ110は、蓄積された認定データを、対象となる被保険者について設定された寝たきり度及び認知症度に応じて、自立度に関する区分に分類して集計する。そのうえで、審査会サーバ110は、自立度に関する区分ごとの認定データの集計結果に基づき、当該区分について発生頻度を算出し、当該区分ごとの発生頻度が示された関係性データを生成する。
例えば、図15は、自立度に関する区分の一例について示した図である。図15に示す例では、72の各区分を2次元の平面上に9行×8列のマトリックス状にマッピングした場合の一例について示している。これに対して、図16は、自立度に関する各区分について算出された発生頻度が、区分ごとに識別可能に提示された情報の一例を示している。図16に示す例では、図15において各区分がマッピングされた位置に、当該区分の発生頻度の算出結果に応じた大きさの略円形状のマーカが提示されている。具体的には、発生頻度の高い区分ほど、対応する位置により径の大きいマーカが提示されており、発生頻度がより低くなるほど提示されるマーカの径がより小さくなる。また、マーカが提示されていない区分については、蓄積された認定データの範囲において発生頻度が0であること(換言すると、対応する状態の被保険者が確認された実績が無いこと)を示している。
【0059】
ここで、改めて図7を参照する。S109において、審査会サーバ110は、S107に示す指示に対する応答として、S108において生成した関係性データを審査会事務局端末210に送信する。
S110において、審査会事務局端末210は、S108において審査会サーバ110から送信された関係性データに基づく出力情報を、所定の出力先に出力する。
具体的な一例として、審査会事務局端末210は、図16に示すような、自立度に関する区分ごとに発生頻度が識別可能に提示された出力情報(例えば、画像)を、ディスプレイ等の出力装置(例えば、出力I/F206を介して接続された出力装置)に出力してもよい。これにより、例えば、審査事務局の局員は、審査会事務局端末210により提示された出力情報に基づき、自立度に関する区分(寝たきり度と認知症度との組み合わせ)のうち、発生頻度のより低い区分(稀な組み合わせ)や、発生頻度のより高い区分(頻発する組み合わせ)を認識することが可能となる。
【0060】
また、S111において、申請サーバ130は、審査会サーバ110に対して、心身状態分類の区分に関する情報(以下、「区分情報」とも称する)や、申請クラスに関する情報(以下、「申請クラス情報」とも称する)の通知を要求してもよい。
この場合には、審査会サーバ110は、S112において、S105における集計結果や、S106における集計結果に基づき、区分情報及び申請クラス情報を生成し、S113において生成した区分情報や申請クラス情報を申請サーバ130に通知してもよい。
【0061】
例えば、図17は、区分情報の一例を示した図である。図17に示す例において、「区分」の項目には、心身状態分類の区分を示す情報が値として設定される。また、「区分クラス」の項目には、「区分」の項目に示された値が示す区分の発生頻度の算出結果に応じて、当該区分に対して設定された区分クラスを示す情報が値として設定される。また、「発生率」、「平均要介護認定基準時間」、「平均二次判定」、「二次判定経度判定率」、「二次判定重度判定率」、「平均事前評価負担感」、「平均事前評価時間」、及び「平均審査会時間」の項目は、「区分」の項目に設定された値が示す区分に分類された認定データの集計結果に応じた情報が設定される項目である。なお、図17に示した、集計結果に応じた情報が設定される項目はあくまで一例であり、どのような項目について集計及び情報の設定が行われるかについては、ユースケースに応じて適宜変更されてもよい。
【0062】
また、図18は、申請クラス情報の一例を示した図である。図18に示す例において、「申請クラス」の項目は、申請クラスを示す情報が値として設定される。また、「事前評価の平均負担感」、「平均事前評価時間」、及び「平均審査会時間」の項目は、「申請クラス」の項目に設定された値が示す申請クラスに分類された認定データの集計結果に応じた情報が設定される項目である。また、申請クラス情報は、申請に係る条件に関する情報(換言すると、申請クラスへの分類に係る条件に関する情報)を含む。
なお、図18に示した、集計結果に応じた情報が設定される項目はあくまで一例であり、どのような項目について集計及び情報の設定が行われるかについては、ユースケースに応じて適宜変更されてもよい。
【0063】
そして、申請サーバ130は、審査会サーバ110から区分情報及び申請クラス情報の通知を受けた場合には、S114において、当該区分情報や当該申請クラス情報に応じた出力情報を所定の出力先に出力してもよい。
【0064】
以上、図7を参照して、本実施形態に係る介護情報処理システムの処理のうち、蓄積データの事前解析に係る処理の一例について説明した。
【0065】
(申請データの生成)
次いで、図19を参照して、本実施形態に係る介護情報処理システムの処理のうち、要介護認定の申請に関する申請データの生成に係る処理の一例について説明する。
【0066】
S201において、申請事務局端末230は、申請事務局の局員からの指示に応じて、申請サーバ130に対して、区分情報や申請クラス情報の通知を要求する。
S202において、申請サーバ130は、申請事務局端末230から受信した区分情報や申請クラス情報の通知に係る要求を、審査会サーバ110に転送する。
S203において、審査会サーバ110は、図7を参照して説明した蓄積データの事前解析に係る処理の結果(特に、S105及びS106における集計結果)に基づき、区分情報及び申請クラス情報を生成する。また、この際に、審査会サーバ110は、前回の審査会の結果に応じて実行された、図29を参照して後述する蓄積データの自己解析に係る処理の結果を、区分情報及び申請クラス情報の生成に利用してもよい。
【0067】
S204において、審査会サーバ110は、S203において生成した区分情報や申請クラス情報を申請サーバ130に通知する。
S206において、申請サーバ130は、審査会サーバ110から通知された区分情報や申請クラス情報を、S201において受信した要求の送信元である申請事務局端末230に転送する。
また、S205において、申請サーバ130は、自身の管理に利用する区分情報や申請クラス情報を別途生成してもよい。これにより、申請サーバ130は、認定データの集計等を自身の管理する範囲において個別に行うことも可能となる。
【0068】
S207において、申請事務局端末230は、S206において受信した区分情報や申請クラス情報を所定の出力先に出力する。具体的な一例として、申請事務局端末230は、受信した区分情報や申請情報をディスプレイ等の出力装置(例えば、出力I/F206を介して接続された出力装置)に出力してもよい。これにより、例えば、申請事務局の局員は、提示された区分情報や申請クラス情報を、新たな申請の登録を行う際の参考とすることが可能となる。
【0069】
S208において、申請事務局端末230は、申請事務局の局員からの指示に応じて、審査の対象となる申請について認定データ(例えば、審査会資料、特記事項、及び主治医の意見書等のデータ)を申請サーバ130に送信することで、当該認定データの登録を行う。なお、当該認定データが、審査会において審査の対象とされる、後述する申請データの元となるデータである。
【0070】
S209において、申請サーバ130は、S208において登録された認定データを、当該認定データに含まれる被保険者の心身状態に関する情報と、区分情報と、に基づき、心身状態分類の区分に分類する。また、申請サーバ130は、上記認定データが分類された上記区分の発生頻度に応じて、当該認定データに対して区分クラスを設定する。
S210において、申請サーバ130は、S208において登録された認定データに対して、申請クラス情報に基づき申請クラスを設定する。
S211において、申請サーバ130は、S209において設定された区分・区分クラスとS210において設定された申請クラス等の情報を申請事務局端末220に通知する。S212において、申請事務局端末220は、申請サーバ130から通知された情報を所定の出力先に出力することで、当該情報を申請事務局の局員に提示する。これにより、申請事務局の局員は、S208において登録しようとした認定情報の区分・区分クラスと申請クラス等の情報を確認することが可能となる。
ここで、申請サーバ130は、当該登録の対象となる認定データの妥当性のチェックを行ってもよい。具体的には、申請サーバ130は、心身状態分類の区分について、蓄積された認定データの集計結果に基づく発生頻度を特定し、当該発生頻度が閾値以下か否かに応じて、認定データの妥当性を判定してもよい。この場合には、申請サーバ130は、例えば、発生頻度が閾値以下の場合には、認定データの情報が誤って設定されている可能性があると判定し、申請事務局端末230に警告を示す出力情報を出力させてもよい。これにより、申請事務局の局員は、対象となる認定情報を改めて見直したうえで、改めてS208から修正した認定データの登録処理を行ってもよい。
【0071】
S213及びS214において、申請事務局端末230から申請サーバ130を介して、S208において登録された認定データに対して、S209において当該認定データを分類した区分や、S210において設定した申請クラスに関する情報を含む申請情報を関連付けて、申請データとして審査会サーバ110に送信することで、当該申請データの登録を依頼してもよい。
例えば、図20は、申請情報の一例を示した図である。「申請ID」の項目は、各申請を識別するための識別情報が設定される項目である。「申請クラス」の項目は、対象となる認定データに設定された申請クラスが設定される項目である。「区分」の項目は、対象となる認定データが分類された心身状態分類の区分が設定される項目である。また、申請情報は、「審査会日」や「審査会の担当合議体」の項目を含んでもよい。「審査会日」の項目は、対象となる認定データに基づく申請の審査が行われる日程に関する情報が設定される項目である。また、「審査会の担当合議体」の項目は、当該審査を担当する合議体に関する情報が設定される項目である。なお、「審査会日」や「審査会の担当合議体」の項目には、例えば、申請事務局端末230を介した申請事務局の局員からの指示に基づき情報が設定されてもよい。
【0072】
S213において、審査会サーバ110は、申請サーバ130から送信された申請データを、審査会における審査の対象として登録する。
【0073】
以上、図19を参照して、本実施形態に係る介護情報処理システムの処理のうち、要介護認定の申請に関する申請データの生成に係る処理の一例について説明した。
【0074】
(審査会の設定)
次いで、図21を参照して、本実施形態に係る介護情報処理システムの処理のうち、審査会の設定に係る処理の一例について説明する。
【0075】
まず、審査会サーバ110は、要介護認定の申請の審査を行う委員に関する情報(以下、「委員情報」とも称する)の登録に係る処理を実行する。具体的な一例として、S301として示すように、審査会サーバ110は、委員端末250を介して委員により指定された情報に基づき、委員情報の登録を行ってもよい。また、他の一例として、S302として示すように、審査会サーバ110は、審査会事務局端末210を介して審査事務局の局員により指定された情報に基づき、委員情報の登録を行ってもよい。
【0076】
例えば、図22は、委員情報の一例を示した図である。「委員ID」の項目は、各委員を識別するための識別情報が設定される項目である。また、委員情報は、「名前」、「性別」、及び「年齢階層」のように、対象となる委員に関する情報が含まれてもよい。また、委員情報には、対象となる委員が有する資格(特に、要介護認定の申請の審査に関連する資格)に関する情報が設定されてもよい。また、委員情報には、対象となる委員が、申請クラスごとに対応が可能か否か(例えば、審査が可能か否か)を示す情報が設定されてもよい。また、委員情報には、対象となる委員が審査会に参加可能である日程の候補が設定されてもよい。
【0077】
ここで、改めて図21を参照する。次いで、審査会サーバ110は、要介護認定の申請の審査を割り当てる合議体に関する情報(以下、「合議体情報」とも称する)の登録に係る処理を実行する。具体的には、S303において、審査会サーバ110は、審査会事務局端末210を介して審査事務局の局員により指定された情報に基づき、合議体情報の登録を行う。
【0078】
例えば、図23は、合議体情報の一例を示した図である。「合議体ID」の項目は、各合議体を識別するための識別情報が設定される項目である。また、「合議体名称」は、合議体の名称が設定される項目である。また、合議体情報には、対象となる合議体を構成する委員に関する情報が関連付けられる。例えば、図23に示す例では、合議体情報に対して、対象となる合議体を構成する各委員の識別情報(委員ID)が関連付けられている。また、合議体情報に対して各委員の識別情報が関連付けられる際に、「委員長」、「副委員長」、及び「その他の委員」それぞれが識別可能となるように、各委員の識別情報が関連付けられてもよい。
また、合議体情報に関連付けられる情報に対して有効期間が設定されてもよい。この場合には、有効期間が開始する日程と、有効期間が終了する日程とのうちのいずれかに関する情報が設定されてもよいし、双方に関する情報が設定されてもよい。
【0079】
ここで、改めて図21を参照する。審査会サーバ110は、審査会事務局端末210を介した審査事務局の局員からの指示に応じて、各合議体の状況に関する情報を出力してもよい。
具体的には、S304において、審査会サーバ110は、審査会事務局端末210を介した審査事務局の局員からの、合議体の状況の確認に係る指示を受け付ける。
S305において、審査会サーバ110は、審査事務局の局員により指定された合議体に対応する合議体情報と、当該合議体情報に関連付けられた委員に対応する委員情報とに基づき、当該合議体の状況に関する情報を生成する。合議体の状況に関する情報には、例えば、当該合議体を構成する委員に関する情報や、各委員が審査に参加可能な日程に関する情報等が含まれ得る。
S306において、審査会サーバ110は、S305において生成した合議体の状況に関する情報を、審査会事務局端末210に通知する。
S307において、審査会事務局端末210は、審査会サーバ110から通知された合議体の状況に関する情報を所定の出力先に出力することで、当該情報を審査事務局の局員に提示する。これにより、審査事務局の局員は、各合議体の状況を認識することが可能となる。
【0080】
また、審査会サーバ110は、審査会事務局端末210を介した審査事務局の局員からの指示に応じて、要介護認定の申請の状況に関する情報を出力してもよい。
具体的には、S308において、審査会サーバ110は、審査会事務局端末210を介した審査事務局の局員からの、要介護認定の申請について状況の確認に係る指示を受け付ける。
S309において、審査会サーバ110は、図19を参照して説明した処理により登録された申請データに基づき、要介護認定の申請の状況に関する情報を生成する。申請の状況に関する情報には、例えば、対象となる申請(申請データ)に対して設定された申請クラスに関する情報等が含まれ得る。この時点の申請データの審査会日と審査会の担当合議体は、未定となっている。
S310において、審査会サーバ110は、S309において生成した申請の状況に関する情報を、審査会事務局端末210に通知する。
S311において、審査会事務局端末210は、審査会サーバ110から通知された申請の状況に関する情報を所定の出力先に出力することで、当該情報を審査事務局の局員に提示する。これにより、審査事務局の局員は、要介護認定の申請の状況を認識することが可能となる。
【0081】
次いで、審査会サーバ110は、各申請の審査に係る審査会に対する合議体の割り当てを行う。
具体的には、S312において、審査会サーバ110は、審査会事務局端末210を介した審査事務局の局員から、各申請の審査に係る審査会に対する合議体の割り当てに係る指示を受け付ける。
S313において、審査会サーバ110は、各申請に対応する申請データと、各合議体に対応する合議体情報及び当該合議体情報に関連付けられた委員情報とを照合し、当該照合の結果に基づき各申請の審査に係る審査会に対して合議体を割り当てる。
例えば、審査会サーバ110は、各申請に対して委員への負担度に応じて設定された申請クラス(換言すると、審査に係る委員への負担度に応じた区分)に基づき、当該申請の審査に係る審査会に割り当てる合議体(換言すると、委員)を決定してもよい。
【0082】
具体的な一例として、委員への負担度に応じて審査会の平均処理時間を算出することが可能である。そのため、例えば、審査会サーバ110は、各合議体に対して割り当てる申請の量を制御してもよい。より具体的な一例として、審査会サーバ110は、審査に処理時間をより要する申請に対応する審査会に対して、より時間を確保可能な委員が属する合議体を割り当ててもよい。
また、審査会サーバ110は、合議体に属する委員の種別(例えば、委員が有する資格や、委員が対応可能な申請クラス等)に応じて、当該合議体に審査会を割り当てる申請を決定してもよい。より具体的な一例として、審査会サーバ110は、対象となる申請に対して設定された申請クラスと、合議体に属する各委員が対応可能な申請クラスとを照合することで、当該申請の審査に係る審査会に割り当てる合議体を決定してもよい。また、他の一例として、審査会サーバ110は、審査に特別な知識を要する申請に対応する審査会に対して、所定の資格を有する委員が属する合議体を割り当ててもよい。
また、審査会サーバ110は、対象となる申請に対して設定された申請クラスに基づき、何人の委員で構成された合議体を割り当てるかを決定してもよい。
また、審査会サーバ110は、各申請に対して設定された申請クラスに応じて、各合議体に対して審査会を割り当てる日程、審査の実施に係る期間、及び審査会の開催までの期間等を調整してもよい。より具体的な一例として、審査会サーバ110は、対象となる申請に設定された申請クラスに基づく、当該申請の審査に係る難易度に応じて、当該審査の開始までに委員が事前準備を行うための期間が確保されるように、各申請の審査に係る審査会への合議体の割り当てを調整してもよい。
【0083】
また、審査会サーバ110は、各申請の審査に係る審査会に対する合議体の割り当てに際し、審査会事務局端末210を介した審査事務局の局員からの指示を考慮してもよい。具体的な一例として、審査会サーバ110は、審査会事務局端末210を介して審査事務局の局員から、一部の申請の審査に係る審査会に対して割り当てる合議体の指定を受け付けてもよい。この場合には、審査会サーバ110は、一部の申請の審査に係る審査会に対する指定された合議体の割り当てを前提として、他の申請の審査に係る審査会を割り当てる合議体を決定してもよい。
【0084】
なお、審査会サーバ110は、各申請の審査に係る審査会に対する合議体の割り当てを、例えば、当該申請に対応する申請データに含まれる申請情報(図20参照)に基づき管理してもよい。この場合には、審査会サーバ110は、対象となる申請に対応する申請データに含まれる申請情報の「審査会の担当合議体」の項目に対して、当該申請の審査に係る審査会を割り当てた合議体に関する情報を設定すればよい。これにより、対象となる申請に対応する申請データと、当該申請の審査に係る審査会が割り当てられた合議体に対応する合議体情報とが関連付けられる。そのため、申請ごとに、当該申請の審査に係る審査会に割り当てられた合議体に対応する合議体情報や、当該合議体情報に関連付けられた委員情報を抽出することが可能となり、各申請の審査に係る審査会に割り当てられた合議体や委員を特定することが可能となる。
【0085】
S314において、審査会サーバ110は、各合議体に対する申請の審査に係る審査会の割り当ての結果に応じた情報を審査会事務局端末210に通知する。
S315において、審査会事務局端末210は、審査会サーバ110から通知された各合議体に対する申請の審査に係る審査会の割り当ての結果に応じた情報を所定の出力先に出力することで、当該情報を審査事務局の局員に提示する。これにより、審査事務局の局員は、各合議体に対する申請の審査に係る審査会の割り当ての結果を認識することが可能となる。
【0086】
S316において、審査会サーバ110は、審査会事務局端末210を介した審査事務局の局員から、審査会開催通知の送信に係る指示を受け付ける。
S317において、審査会サーバ110は、S313における各合議体への各審査会の割り当て結果に応じて、各審査会の開催に係る通知(例えば、開催日程に関する情報等)を、当該審査会が割り当てられた合議体に属する委員の委員端末250に通知する。
S318において、委員端末250は、審査会サーバ110から審査会の開催に係る通知を受けて、当該通知に応じた情報を所定の出力先に出力することで、当該情報を委員に提示する。これにより、委員は、自身が属する合議体が割り当てられた審査会に関する情報(例えば、開催日程等)を確認することが可能となる。
【0087】
以上、図21を参照して、本実施形態に係る介護情報処理システムの処理のうち、審査会の設定に係る処理の一例について説明した。
【0088】
(事前評価の受け付け)
次いで、図24を参照して、本実施形態に係る介護情報処理システムの処理のうち、各申請に対する事前評価の受け付けに係る処理の一例について説明する。要介護認定の申請の審査に際し、事前に各委員により当該申請に対する評価が行われる。図24に示す例では、審査会サーバ110が、各委員に割り当てられた審査会に対応する申請に対する当該委員による事前評価の受け付けに係る処理の一例について示している。
【0089】
S401において、委員端末250は、委員からの指示に応じて、審査会サーバ110に対して、当該委員が割り当てられた審査会において審査の対象とされる申請に対応する申請データを要求する。この際に、委員端末250は、審査会サーバ110に対して、対象となる委員を識別するための情報(例えば、委員情報に含まれる委員ID等)を通知してもよい。これにより、審査会サーバ110は、どの委員からの依頼かを認識し、当該委員が割り当てられた審査会に関連する申請データを抽出することが可能となる。
S402において、審査会サーバ110は、委員端末250からの要求に応じて、対応する委員が割り当てられた審査会において審査の対象となる申請を特定し、当該申請に対応する申請データを、受け付けられた各申請に対応する一連の申請データの中から抽出する。具体的な一例として、審査会サーバ110は、指定された委員に対応する委員情報に基づき、当該委員情報が関連付けられた合議体情報を特定し、当該合議体情報が関連付けられた申請データを抽出してもよい。
S403において、審査会サーバ110は、S402において抽出した一連の申請データを、要求元である委員端末250に通知する。
S404において、委員端末250は、審査会サーバ110から通知された申請データに含まれる各種情報(例えば、審査結果情報等)を所定の出力先に出力することで、当該情報を委員に提示する。これにより、委員は、各申請について提示された情報を、当該申請に対する事前評価の参考とすることが可能となる。
【0090】
S405において、委員端末250は、審査会サーバ110から通知された一連の申請データそれぞれに対する事前評価の入力を委員から受け付ける。
【0091】
前述したように、審査会(二次判定)では、被保険者の要介護度が、コンピュータによる一次判定の結果を原案として判定され、委員による評価によっては一次判定の結果が修正される場合がある。要介護度の判定結果の変更が行われる場合における、要介護度の判定結果の変更の度合い(例えば、重度または軽度に何段階変更したか)と、当該変更の理由とについては、後の評価における参考情報として活用可能である場合が多い。そのため、本実施形態に係る介護情報処理システムでは、互いに異なる判定間において要介護度の判定結果の変更が行われた場合に、要介護度の変化の度合いを示す情報と、当該変更の理由を示す情報とを関連付けて管理する。
【0092】
例えば、図25は、本実施形態に係る介護情報処理システムにおける要介護度の管理に係る情報の一例を示した図である。図25に示す例では、要介護度の種類それぞれに対して、被保険者が介護を要する度合いに応じて、「0」~「7」の値を割り当てて管理している。具体的には、被保険者が介護を要する度合いが最も低い状態を示す「自立」に対して「0」が割り当てられ、被保険者が介護を要する度合いがより高くなるほど(換言すると、より重度になるほど)より高い値が順次割り当てられている。
【0093】
また、図26は、委員による事前評価の入力結果を管理するための事前評価情報の一例を示している。「申請ID」の項目は、各申請を識別するための識別情報が設定される項目である。「事前評価の委員ID」は、事前評価を担当した委員を識別するための識別情報が設定される項目である。また、事前評価において疑義が生じた場合には、事前評価情報に対して、疑義の種類を示す情報や、当該疑義の内容を示す情報が設定される。
【0094】
また、「二次判定」の項目は、事前評価における要介護度の判定結果に応じた情報として、要介護度の種類に応じた値が設定される項目である。また、事前評価において、一次判定の結果が変更された場合には、事前評価情報に対して、一次判定と事前評価との間における要介護度の値の差分が、要介護度の変化の度合いを示す情報として設定される。加えて、事前評価情報には、一次判定からの評価の変更の理由に関する情報として、「変更に関係する評価項目」、「変更に関する特記事項の理由」、「変更に関係する主治医意見書の理由」、及び「変更に関するコメント」等の情報が設定される。
【0095】
また、事前評価情報には、事前評価の実施に係る情報が設定されてもよい。例えば、「負担感」の項目は、委員に対する事前評価の負担度を定量的に示した情報が設定される項目である。また、「評価時間」の項目は、事前評価の実施に要した時間に関する情報が設定される項目である。また、「事前評価時刻」は、事前評価が実施された時刻に関する情報が設定される項目である。
【0096】
なお、審査会サーバ110は、各委員が申請の事前評価を行うための参考として、当該審査会サーバ110が管理するデータに基づく情報を、委員端末250を介して各委員に提示してもよい。具体的な一例として、審査会サーバ110は、蓄積された認定データの集計結果に基づき、図12及び図13を参照して説明した心身状態分類の区分ごとの発生頻度が識別可能に提示された情報を、委員端末250を介して各委員に提示してもよい。また、他の一例として、審査会サーバ110は、図14図16を参照して説明した、自立度に関する区分ごとの発生頻度が識別可能に提示された情報を、委員端末250を介して各委員に提示してもよい。
【0097】
ここで、改めて図24を参照する。委員端末250は、審査会サーバ110から通知された一連の申請データそれぞれについて委員から入力を受け付けた事前評価の結果に基づく事前評価情報を審査会サーバ110に送信することで、当該事前評価情報の登録を依頼する。審査会サーバ110は、この依頼を受けて、委員端末250から送信された事前評価情報を、対応する委員による事前評価の結果として登録する。以上のようにして、各申請データについて、当該申請データに対応する申請の審査を担当する委員ごとに、当該申請に対する事前評価の結果に応じた事前評価情報が登録される。
【0098】
S407において、審査会サーバ110は、審査会事務局端末210を介した審査事務局の局員からの、事前評価の状況の確認に係る指示を受け付ける。
S408において、審査会サーバ110は、各申請データに対する当該申請データに対応する申請の審査を担当する委員からの事前評価の結果の登録状況を確認し、当該確認の結果に基づき、事前評価の状況に関する情報を生成する。
S409において、審査会サーバ110は、S408において生成した事前評価の状況に関する情報を、審査会事務局端末210に通知する。
S410において、審査会事務局端末210は、審査会サーバ110から通知された事前評価の状況に関する情報を所定の出力先に出力することで、当該情報を審査事務局の局員に提示する。これにより、審査事務局の局員は、事前評価の状況を認識することが可能となる。
【0099】
審査事務局の局員は、事前評価の状況に応じて、事前評価の登録が完了していない委員に対して、事前評価の督促を行うことが可能である。
この場合には、S411において、審査会事務局端末210は、審査事務局の局員からの指示に応じて、事前評価の督促を、対象となる委員を指定して審査会サーバ110に依頼する。
S412において、審査会サーバ110は、指定された委員の委員端末250に対して、事前評価の督促に関する情報を通知する。
S413において、委員端末250は、審査会サーバ110から通知された事前評価の督促に関する情報を所定の出力先に出力することで、当該情報を委員に提示する。これにより委員は、事前評価の督促が行われたことを認識することが可能となる。
【0100】
そして、審査事務局の局員は、事前評価の状況に応じて、各委員に対して審査会開催の確定に関する通知をしてもよい。
この場合には、S411において、審査会事務局端末210は、審査事務局の局員からの指示に応じて、審査会開催の確定に係る通知を審査会サーバ110に依頼する。
S412において、審査会サーバ110は、各委員の委員端末250に対して、審査会開催の確定に関する情報を通知する。
S413において、委員端末250は、審査会サーバ110から通知された審査会開催の確定に関する情報を所定の出力先に出力することで、当該情報を委員に提示する。これにより委員は、審査会の開催が確定されたことを認識することが可能となる。
【0101】
以上、図24を参照して、本実施形態に係る介護情報処理システムの処理のうち、各申請に対する事前評価の受け付けに係る処理の一例について説明した。
【0102】
(審査)
次いで、図27を参照して、本実施形態に係る介護情報処理システムの処理のうち、各申請の審査に係る処理の一例について、審査会の手続きの流れに沿って説明する。
【0103】
審査会サーバ110は、各委員や審査事務局の局員からの要求に応じて、審査会ごとに当該審査会について登録された情報(以下、「審査会情報」とも称する)を提示する。
具体的な一例として、S501において、審査会サーバ110は、委員端末250を介した委員からの、審査会情報の提示に係る要求を受け付ける。
S503において、審査会サーバ110は、審査会ごとに登録された事前評価情報に基づき、当該審査会に関する審査会情報を生成する。
S505において、審査会サーバ110は、生成した審査会情報を委員端末250に通知する。
S505において、委員端末250は、審査会サーバ110から通知された審査会情報を所定の出力先に出力することで、当該情報を委員に提示する。これにより委員は、対象となる審査会について登録された情報を認識することが可能となる。
また、審査会サーバ110は、S502aの処理として示すように、審査会事務局端末210を介した審査事務局の局員からの要求に応じて、審査会情報を生成してもよい。この場合には、審査会サーバ110は、S502bの処理として示すように、生成した審査会情報を審査会事務局端末210に通知する。
【0104】
ここで、図28を参照して、審査結果情報の一例について説明する。「申請ID」の項目は、各申請を識別するための識別情報が設定される項目である。また、審査結果情報には、審査会が割り当てられた合議体に所属する委員に関する情報(例えば、委員ID等のように委員を識別する識別情報)が関連付けられる。この際に、「委員長」及び「その他の委員」が識別可能となるように、審査結果情報に対して各委員の識別情報が関連付けられてもよい。
また、審査結果情報には、「委員長の一次評価」として、委員長による要介護度の判定結果に応じた情報が設定されたうえで、当該判定結果について一次判定からの差異を示す情報が設定される。また、審査結果情報には、その他の委員による上記委員長の一次評価が妥当か否かを示す投票結果が設定される。そのうえで、審査結果情報に対して、「委員長の最終評価」として、最終的な要介護度の判定結果に応じた情報が設定される。
また、審査結果情報には、一次判定からの評価の変更の理由に関する情報として、「変更に関係する評価項目」、「変更に関する特記事項の理由」、「変更に関係する主治医意見書の理由」、及び「変更に関するコメント」等の情報が設定される。
【0105】
また、審査結果情報には、対象となる申請に対する合議体(例えば、委員長やその他の委員)の意見に関する情報として、「意見の種類」や「意見の内容」に関する情報が設定されてもよい。
【0106】
また、審査結果情報には、審査会の実施に係る情報が設定されてもよい。例えば、「一次評価回数」の項目は、対象となる申請に対して一次評価が行われた回数に関する情報が設定される項目である。また、「評価時間」の項目は、審査会において対象となる申請の評価に要した時間に関する情報が設定される項目である。
【0107】
ここで、改めて図27を参照する。S506において、審査会サーバ110は、委員端末250を介した委員長からの、審査対象として指定された申請に対する一次評価の登録に係る指示を受け付ける。
S507において、審査会サーバ110は、審査対象として指定された申請に対応する審査会の審査結果情報に対して、委員長からの指示に基づく一次評価を登録する。具体的な一例として、図28に示す例の場合には、S507の処理により、「委員長の一次評価」及び「一次判定からの差異」の項目に対して情報が設定されることとなる。
【0108】
なお、審査会サーバ110は、委員が審査対象となる申請に対して一次評価を行うための参考として、当該審査会サーバ110が管理するデータに基づく情報を、委員端末250を介して当該委員に提示してもよい。具体的な一例として、審査会サーバ110は、蓄積された認定データの集計結果に基づき、図12及び図13を参照して説明した心身状態分類の区分ごとの発生頻度が識別可能に提示された情報を、委員端末250を介して一次評価を行う委員に提示してもよい。また、他の一例として、審査会サーバ110は、図14図16を参照して説明した、自立度に関する区分ごとの発生頻度が識別可能に提示された情報を、委員端末250を介して一次評価を行う委員に提示してもよい。
【0109】
審査対象となる申請に対して一次評価の登録が行われると、当該申請の審査が割り当てられた合議体の他の委員により、当該一次評価の妥当性の評価が当該他の委員による投票により行われる。
具体的には、S508において、審査会サーバ110は、委員端末250を介した委員(その他の委員)からの、審査対象として指定された申請に対する一次評価の確認に係る指示を受け付ける。
S509において、審査会サーバ110は、審査対象として指定された申請に対応する審査結果情報から、当該審査結果情報に登録された一次評価に関する情報を抽出し、抽出した一次評価に関する情報を委員端末250に通知する。
S510において、委員端末250は、審査会サーバ110から通知された一次評価に関する情報を所定の出力先に出力することで、当該情報を委員に提示する。これにより、委員は、審査対象となる申請に対して登録された一次評価の内容を認識することが可能となる。
S511において、審査会サーバ110は、委員端末250を介して委員(その他の委員)から、審査対象として指定された申請に対する一次評価について投票を受け付ける。
S512において、審査会サーバ110は、委員端末250を介した委員からの投票結果を、審査対象として指定された申請に対応する審査会の審査結果情報に登録する。具体的な一例として、図28に示す例の場合には、S512の処理により、「委員1の投票結果」~「委員4の投票結果」それぞれに対して、対応する委員による投票結果に応じた情報が反映されることとなる。
【0110】
審査対象となる申請に対して各委員により一次評価の妥当性の評価が投票により行われると、当該申請の審査が割り当てられた合議体の委員長により、当該申請に対する最終評価が行われる。
具体的には、S513において、審査会サーバ110は、委員端末250を介した委員長からの、審査対象として指定された申請の一次評価に対する各委員の投票結果の確認に係る指示を受け付ける。
S514において、審査会サーバ110は、審査対象として指定された申請に対応する審査結果情報から、当該審査結果情報に登録された一次評価に対する各委員の投票結果に関する情報を抽出し、抽出した各委員の投票結果に関する情報を委員端末250に通知する。
S515において、委員端末250は、審査会サーバ110から通知された一次評価に対する各委員の投票結果に関する情報を所定の出力先に出力することで、当該情報を委員長に提示する。これにより、委員長は、審査対象となる申請に対して登録された一次評価に対する各委員の投票結果を認識することが可能となる。
S516において、審査会サーバ110は、委員端末250を介して委員長からの、審査対象として指定された申請に対する最終評価の登録に係る指示を受け付ける。但し、この時点の委員長の判断で、一次評価をやり直した方がよいと判断した場合は、2回目の一次評価としてS506に戻って処理を進めてもよい。この場合、図28における審査会結果情報の「一次評価回数」は、2回目(さらにやり直した場合は、同様に3回目以降になる)として処理されることになる。
S517において、審査会サーバ110は、審査対象として指定された申請に対応する審査会の審査結果情報に対して、委員長からの指示に基づく最終評価を登録する。具体的な一例として、図28に示す例の場合には、S517の処理により、「委員長の最終評価」の項目に対して情報が設定されることとなる。また、この際に、審査会サーバ110は、申請の対象となる被保険者について、以前に要介護認定の審査が行われている場合には、同審査における二次判定の結果と、今回の二次判定の結果との差異を審査結果情報に登録してもよい。
【0111】
また、審査会サーバ110は、委員端末250を介した委員(例えば、委員長)からの指示に応じて、審査結果情報の「変更に関係する評価項目」、「変更に関係する特記事項の理由」、「変更に関係する主治医意見書の理由」、及び「変更に関係するコメント」等の項目に対して情報を設定してもよい。また、審査会サーバ110は、委員端末250を介した委員(例えば、委員長)からの指示に応じて、審査結果情報の「意見種類」及び「意見の内容」に対して情報を設定してもよい。また、審査会サーバ110は委員端末250を介した委員(例えば、委員長)からの指示に応じて、審査結果情報の「評価時間」の項目に対して、審査会の実施状況に応じた情報を設定してもよい。
【0112】
審査会サーバ110は、各委員や審査事務局の局員からの要求に応じて、各申請に対する最終評価に関する情報を提示してもよい。
例えば、S518において、審査会サーバ110は、委員端末250を介した委員からの、審査対象として指定された申請の最終評価の通知に係る要求を受け付ける。
S520において、審査会サーバ110は、指定された申請に対応する審査結果情報から最終評価に関する情報を抽出し、抽出した最終評価に関する情報を委員端末250に通知する。
S522において、委員端末250は、審査会サーバ110から通知された最終評価に関する情報を所定の出力先に出力することで、当該情報を委員に提示する。これにより、委員は、審査対象となる申請に対して登録された最終評価の内容を認識することが可能となる。
同様に、S519において、審査会サーバ110は、審査会事務局端末210を介した審査事務局の局員からの、審査対象として指定された申請の最終評価の通知に係る要求を受け付ける。
S521において、審査会サーバ110は、指定された申請に対応する審査結果情報から最終評価に関する情報を抽出し、抽出した最終評価に関する情報を審査会事務局端末210に通知する。
S523において、審査会事務局端末210は、審査会サーバ110から通知された最終評価に関する情報を所定の出力先に出力することで、当該情報を審査事務局の局員に提示する。これにより、審査事務局の局員は、審査対象となる申請に対して登録された最終評価の内容を認識することが可能となる。
【0113】
以上、図27を参照して、本実施形態に係る介護情報処理システムの処理のうち、各申請の審査に係る処理の一例について、審査会の手続きの流れに沿って説明した。
【0114】
(蓄積データの事後解析)
次いで、図29を参照して、本実施形態に係る介護情報処理システムの処理のうち、各申請の審査結果を踏まえた蓄積データの事後解析に係る処理の一例について説明する。
【0115】
S601において、審査会事務局端末210は、審査事務局の局員からの指示に応じて、審査会サーバ110に対して各申請に対する審査結果の事後解析を指示する。
S602において、審査会サーバ110は、審査の対象とされた一連の申請それぞれに対応する申請データ(認定データ)を対象として、当該申請に対する事前評価や審査結果に関する情報を、心身状態分類の区分ごとに分類して集計する。審査会サーバ110は、心身状態分類の区分ごとの事前評価や審査結果に関する情報の集計結果に基づき、当該区分について発生頻度を算出する。また、審査会サーバ110は、各申請に対する事前評価や審査結果に関する情報を、区分クラスごとに分類して集計してもよい。この場合には、審査会サーバ110は、区分クラスごとの事前評価や審査結果に関する情報の集計結果に基づき、当該区分クラスについて発生頻度を算出してもよい。
S603において、審査会サーバ110は、審査の対象とされた一連の申請それぞれに対応する申請データを対象として、当該申請に対する事前評価や審査結果に関する情報を、設定された申請クラスごとに集計する。具体的な一例として、審査会サーバ110は、各申請の審査に対応する事前評価や審査会の実施に係る情報(例えば、評価時間、負担感等)を、各申請に対応する申請データに設定された申請クラスごとに集計してもよい。
なお、審査会サーバ110は、S602及びS603の処理の実行に際し、図7を参照して説明した処理において事前に蓄積された認定データ(例えば、過去に審査が実施された申請に対応する認定データ)を集計の対象に含めてもよい。
S604において、審査会サーバ110は、S602及びS603における集計結果(すなわち、各申請に対する事前評価や審査結果に関する情報の集計結果)に応じた情報を、事後解析の結果に関する情報として審査会事務局端末210に通知する。
S605において、審査会事務局端末210は、審査会サーバ110から通知された事後解析の結果に関する情報を所定の出力先に出力することで、当該情報を審査事務局の局員に提示する。これにより、審査事務局の局員は、事後解析の結果(例えば、各申請に対する事前評価や審査結果の集計結果)を確認することが可能となる。
【0116】
S606において、審査会事務局端末210は、審査事務局の局員からの指示に応じて、審査会サーバ110に対して事後解析(事後集計)の結果の登録を指示する。この際に、審査会事務局端末210は、登録の対象となる事後解析の結果に関する情報を審査会サーバ110に送信することで、当該情報の登録を審査会サーバ110に指示してもよい。また、他の一例として、審査会事務局端末210は、事前に事後解析(S602及びS603における事後解析)が行われた申請を指定して、当該事後解析の結果の登録を審査会サーバ110に指示してもよい。
S607において、審査会サーバ110は、各申請に対する事前評価や審査結果に関する情報が心身状態分類の区分ごとに分類された情報を生成する。また、審査会サーバ110は、各申請に対する事前評価や審査結果に関する情報が区分クラスごとに分類された情報を生成してもよい。
S608において、審査会サーバ110は、各申請に対する事前評価や審査結果に関する情報が申請クラスごとに分類された情報を生成する。
以上のようにして、審査会サーバ110は、各申請に対する事前評価や審査結果に関する情報を、心身状態分類の区分、区分クラス、及び申請クラスそれぞれの観点で分類して管理する。これにより、例えば、上記各申請に対する事前評価や審査結果に関する情報を、以降の審査における参考情報として利用することも可能となる。
【0117】
また、審査会サーバ110は、各申請に対応する申請データ(特に、認定データ)を、S602及びS603における分類及び集計の結果に基づき、過去に蓄積された認定データとあわせて蓄積してもよい。これにより、例えば、各申請に対する審査会の実施状況や、各申請に対する事前評価や審査結果等を、蓄積された認定データに基づく各種解析(例えば、図7を参照して説明した蓄積データの事前解析)に反映することが可能となる。すなわち、当該解析の結果として、過去に行われた審査の実績により即した結果を得ることが可能となる。
【0118】
また、申請サーバ130は、事後解析の結果を、自身の管理に利用する区分情報や申請クラス情報に反映してもよい。
具体的には、S609において、申請サーバ130は、区分情報や申請クラス情報の通知に係る要求を、審査会サーバ110に送信する。
S610において、審査会サーバ110は、上述した事後解析に係る処理の結果(特に、S602及びS603における集計結果や、S607及びS608における情報の生成結果)を反映した区分情報や申請クラス情報を申請サーバ130に通知する。
S611において、申請サーバ130は、S610における審査会サーバ110からの通知に基づき、自身の管理に利用する区分情報や申請クラス情報を生成する。
【0119】
ここで、各申請に対する事前評価や審査結果に関する情報の集計結果の活用方法の一例について説明する。例えば、図30は、各申請に対する事前評価や審査結果に関する差異の情報の集計結果の活用方法の一例について説明するための図である。具体的には、図30は、異なる契機で実行される判定間(例えば、一次判定及び二次判定間)における要介護度の評価結果の差に応じて、申請データ(特に、事前評価や審査結果に関する情報)を集計した場合の一例を示している。
【0120】
前述したように、要介護度の判定結果の変更が行われる場合における、要介護度の変更の度合い(例えば、重度または軽度に何段階変更したか)と、当該変更の理由とについては、後の評価における参考情報として活用可能である場合が多い。このような状況を鑑み、図30に示す例では、互いに異なる判定間における要介護度の変更の度合いごとに申請データの差異の集計が行われ、当該集計の結果がヒストグラムとして提示されている。図30において、横軸は、要介護度の変更の度合いを示している。具体的には、要介護度の変更の度合いがプラスの値を示す場合には、要介護度の判定結果が変更前に比べてより重度の種別に変更されていることを示している。また、要介護度の変更の度合いがマイナスの値を示す場合には、要介護度の判定結果が変更前に比べてより軽度の種別に変更されていることを示している。
【0121】
このように、申請データの集計が行われることで、例えば、委員が申請の事前評価や審査会における一次評価の登録において、要介護度の判定結果を変更するか否かの判断や、当該変更の理由の登録を行う際に、過去に審査が行われた申請のうち類似する事例を容易に抽出することが可能となる。
具体的には、委員が、事前評価において要介護度の判定結果を一次判定から重度方向に一段階変更したものとする。この際に、委員は、過去の審査が行われた申請のうち、要介護度の判定結果が重度方向に一段階変更された事前評価の結果(例えば、図26に示す事前評価情報)を抽出し、当該事前評価の結果に登録された要介護度の変更の理由に関する情報を参照することが可能である。これにより、当該委員は、自身による要介護認定に関する評価結果の変更(例えば、要介護度の判定結果の変更)が妥当か否かを、過去に類似の事例において登録された要介護度の変更の理由に関する情報に基づき判断することも可能となる。
【0122】
なお、図30に示す例については、比較の対象となる判定の組み合わせは特に限定されない。具体的な一例として、被保険者ごとの、前回の審査における二次判定の結果と、今回の審査における二次判定の結果との間における、要介護度の判定結果の変更の度合いに応じて、今回の審査における申請について申請データ(例えば、事前評価や審査結果に関する情報)の集計が行われてもよい。
また、図30に示す例のような、事前評価や審査結果に関する情報の集計が行われるタイミングは、対象となる審査が行われた後であれば特に限定はされない。具体的な一例として、次の審査会が行われる際の蓄積データの事前解析のタイミングにおいて、過去に実施された審査会について申請データ(または、認定データ)として蓄積された事前評価や審査結果に関する情報の集計が行われてもよい。
【0123】
以上、図29を参照して、本実施形態に係る介護情報処理システムの処理のうち、各申請の審査結果を踏まえた蓄積データの事後解析に係る処理の一例について説明した。
【0124】
<補足>
なお、上述した構成や処理についてはあくまで一例であり、本発明の技術思想を逸脱しない範囲であれば、構成や処理の一部が変更されてもよい。
具体的な一例として、審査会サーバ110と申請サーバ130とが1つのサーバとして一体的に構成されていてもよい。また、審査会サーバ110及び申請サーバ130それぞれにより実行される処理のうち、一部の処理が他のサーバにより実行されてもよい。また、審査会サーバ110及び申請サーバ130それぞれにより実行される処理のうち、少なくとも一部の処理の実行に係る負荷が複数の装置に分散されてもよい。
【0125】
また、上述した介護情報処理システムの各機能構成を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等のような情報処理装置に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することが可能である。記録媒体としては、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等が挙げられる。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。また、上記コンピュータプログラムを実行させるコンピュータの数は特に限定されない。例えば、上記コンピュータプログラムを、複数のコンピュータ(例えば、複数のサーバ等)が互いに連携して実行してもよい。また、他の一例として、上記コンピュータが複数のプロセッサを備える場合には、上記コンピュータプログラムを、この複数のプロセッサが互いに連携して実行してもよい。
【0126】
<むすび>
以上説明したように、本実施形態に係る介護情報処理システムは、分類手段と、蓄積手段と、算出手段と、出力手段とを備える。上記分類手段は、心身状態の調査時点における被保険者の心身状態を点数で示す指標である複数の心身状態指標に基づいて、複数の心身状態指標それぞれに対応する調査時点における被保険者の心身状態を、心身状態に関する複数の区分(心身状態分類の区分)に分類する。上記蓄積手段は、被保険者の心身状態に関する上記心身状態情報を上記区分ごとに蓄積する。上記算出手段は、上記心身状態情報の蓄積結果に基づき、被保険者の心身状態の発生に係る頻度を上記区分ごとに算出する。上記出力手段は、上記区分ごとの上記頻度の算出結果に応じた出力情報を出力する。
【0127】
以上のような構成により、例えば、審査対象となる被保険者の心身状態に対応する上記区分について算出された上記頻度に応じて、当該心身状態に関する評価の妥当性の判定結果に応じた情報を上記出力情報として出力することが可能となる。より具体的には、審査対象となる被保険者の心身状態の評価結果が、発生頻度の極めて低い心身状態であった場合に、当該評価を行った委員に対して、警告を示す報知情報を報知することも可能となる。このような仕組みにより、例えば、評価ミス、記入ミス、転記ミス、及び入力ミス等の人為的なミスが発生した場合においても、当該ミスを検知してユーザ(例えば、認定調査員や委員等)にフィードバックすることで、人為的なミスの影響を軽減することが可能となる。
また、審査が行われた申請のデータが、事後的な解析処理に基づき蓄積されることで、上述した検知に係る精度をより向上させる効果を期待することも可能となる。
また、本実施形態に係る介護情報処理システムに依れば、発生頻度が稀な心身状態や、発生頻度が比較的高い心身状態(頻発する心身状態)を特定することが可能となる。このような特性から、例えば、被保険者の心身状態に係る傾向分析や、要介護認定の申請に係る傾向分析等を行うことも可能となる。
【0128】
また、本実施形態に係る介護情報処理システムは、分類手段と、管理手段とを備える。上記分類手段は、被保険者の心身状態の審査に係る申請について、当該審査に係る委員への負担の指標を示す負担度を、当該申請に係る条件に応じて算出し、当該負担度の算出結果に応じて当該申請を、心身状態の審査に係る複数の区分(申請クラス)に分類する。上記管理手段は、上記申請が分類された上記区分に応じて、当該申請の管理に係る処理を実行する。
【0129】
以上のような構成により、例えば、要介護認定の申請の審査が効率的に行われるように、各合議体に対する各申請の審査に係る審査会の割り当てを行うことが可能となる。特に、要介護認定の申請の審査については、例えば、簡素化の対象であれば、保険者側で要介護認定結果(要介護度やその認定有効期間)を予め設定し、審査会では承認作業だけに簡素化することも可能である。このように、委員への負担度に応じて、審査会において審議可能な申請の数に違いが生じることが考えられるため、当該負担度に基づき各委員に審査会を割り当ていることは、効率的な審査会運営を実現するにあたり有効に働くことが推測される。また、上述した構成により、例えば、合議体を構成する委員の経験度に応じて、委員への負担度を考慮した審査会の割り当てを行うといった運用を実現することも可能である。
また、被保険者の心身状態の審査に係る申請に係るデータを、心身状態の審査に係る区分に分類して蓄積することで、以降に実施される審査における参考データとして活用することも可能となる。特に、被保険者の心身状態の審査に係る申請に係るデータが、過去に実施された審査の結果に基づき逐次蓄積されることで、実態により即した参考データとして活用可能となる効果も期待できる。
【符号の説明】
【0130】
110 審査会サーバ
130 申請サーバ
210 審査会事務局端末
230 申請事務局端末
250 委員端末
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