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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109469
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】PTP用の包装シート
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20220721BHJP
【FI】
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004791
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】511069932
【氏名又は名称】昭北ラミネート工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】中島 朱音
(72)【発明者】
【氏名】森野 映介
【テーマコード(参考)】
3E086
【Fターム(参考)】
3E086AA02
3E086AB01
3E086AD07
3E086BA04
3E086BA13
3E086BA15
3E086BB24
3E086BB41
3E086BB51
3E086CA28
3E086DA08
(57)【要約】
【課題】アルミニウム箔の表面に設けた表示の見え方が目視と赤外画像とで異なることに気付きにくく、偽造するのが困難なPTP用の包装シートを提供する。
【解決手段】基材であるアルミニウム箔20の表面側に、第一の黒色インキ22による表示22hと第二の黒色インキ24による表示24hとが並設される。第一の黒色インキ22は、黒色着色剤が配合されたインキであって、可視画像と赤外画像の両方で黒色に見えるインキである。第二の黒色インキ24は、シアン、マゼンダ及びイエローを含む複数の有彩色着色剤が配合されたインキであって、可視画像では黒色に見え、赤外画像では認識されない赤外線透過インキである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器シートに形成された凹部の開口を閉鎖する蓋材として使用されるPTP用の包装シートにおいて、
基材であるアルミニウム箔の表面側に、第一の黒色インキによる表示と第二の黒色インキによる表示とが並設され、
前記第一の黒色インキは、黒色材料が配合されたインキであって、当該インキを撮像した時、可視画像と赤外画像の両方で黒色に見えるインキであり、
前記第二の黒色インキは、シアン、マゼンダ及びイエローを含む複数の有彩色着色剤が配合されたインキであって、当該インキを撮像した時、可視画像では黒色に見え、赤外画像では認識されない赤外線透過インキであることを特徴とするPTP用の包装シート。
【請求項2】
前記第一の黒色インキは、前記第二の黒色インキに黒色着色剤が添加されたインキである請求項1記載のPTP用の包装シート。
【請求項3】
前記アルミニウム箔の表面側に、希釈白色インキによる表示が設けられ、
前記希釈白色インキは、透明な塗工樹脂に白色着色剤が配合されたインキであって、当該インキを撮像した時、可視画像と赤外画像の両方で半透明の白色に見えるインキであり、
前記希釈白色インキによる表示は、前記第二の黒色インキによる表示の下側に重なるように設けられている請求項1又は2記載のPTP用の包装シート。
【請求項4】
前記第二の黒色インキによる表示は、前記アルミニウム箔、前記希釈白色インキによる表示及び前記第一の黒色インキによる表示を前記第二の黒色インキのベタ層で覆うことによって設けられ、
前記第二の黒色インキのベタ層の厚みは、外側から目視した時に、前記希釈白色インキによる表示が認識される程度に薄く設定されている請求項3記載のPTP用の包装シート。
【請求項5】
容器シートに形成された凹部の開口を閉鎖する蓋材として使用されるPTP用の包装シートにおいて、
基材であるアルミニウム箔の表面側に、希釈白色インキによる表示と、前記アルミニウム箔及び前記希釈白色インキによる表示を覆う有彩色インキのベタ層とが設けられ、
前記希釈白色インキは、透明な塗工樹脂に白色着色剤が配合されたインキであって、当該インキを撮像した時、可視画像と赤外画像の両方で半透明の白色に見えるインキであり、
前記有彩色インキは、シアン、マゼンダ及びイエローから選ばれる複数の有彩色着色剤が配合されたインキであって、当該インキを撮像した時、可視画像では所定の有彩色に見え、赤外画像では認識されない赤外線透過インキであり、
前記有彩色インキのベタ層の厚みは、外側から目視した時に、前記希釈白色インキによる表示が認識される程度に薄く設定されていることを特徴とするPTP用の包装シート。
【請求項6】
前記有彩色インキのベタ層を覆う耐熱コート層が設けられ、
前記耐熱コート層は、透明又は半透明の合成樹脂に粒状のマット剤が添加されたもので、前記マット剤の粒の一部が合成樹脂の表面に突出することによって凹凸が形成され、この凹凸によって耐熱コート層を通過する可視光が散乱する請求項7記載のPTP用の包装シート。
【請求項7】
前記アルミニウム箔と前記有彩色インキのベタ層との間に、前記希釈白色インキによる表示と第一の黒色インキによる表示とが並設され、
前記第一の黒色インキは、黒色着色剤が配合されたインキであって、当該インキを撮像した時、可視画像と赤外画像の両方で黒色に見えるインキであり、
前記有彩色インキのベタ層の厚みは、外側から目視した時に、前記希釈白色インキによる表示と前記第一の黒色インキによる表示の両方が認識される程度に薄く設定されている請求項6又は7記載のPTP用の包装シート。
【請求項8】
前記有色インキのベタ層の表面側に、前記希釈白色インキによる別の表示が設けられている請求項5乃至7のいずれか記載のPTP用の包装シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム箔を基材とするPTP用の包装シートに関し、特に偽造抑止機能を備えたPTP用の包装シートに関する。
【背景技術】
【0002】
PTP(press through package)は、図9に示すPTP包装体10のように、樹脂製の容器シート12に形成された凹部12a内に小形の固形物14を入れ、包装シート16を容器シート12の平面部12bに貼着することによって凹部12aを閉鎖する包装形態で、薬用の錠剤やカプセル等を包装する用途に広く用いられている。
【0003】
近年、医薬品等が偽造されて市場に流通するのを規制するため、医薬品等が真正品か偽造品かを判別できるように、PTP用の包装シートに偽造抑止機能をもたせることが強く求められている。
【0004】
従来、PTP用の包装シートとは技術分野が異なるが、例えば特許文献1に開示されているように、競馬や競輪等で使用される投票券であって、可視領域及び赤外領域での分光吸収特性が比較的平坦なインキを用いて基材上に印刷されたバーコードを、可視領域の分光吸収が赤外領域での分光吸収に比べてはるかに大きい特性を有したインキにより塗りつぶすことによって、目視不可能であるが赤外光検知素子を用いてバーコードを読み取ることができるようにした投票券があった。この構成によれば、目視では分からないほど精巧に偽造された投票券でも、赤外線による赤外画像によって容易に真贋判定ができるので、偽造や変造を困難にして偽変造を抑止することができる
また、PTP用の包装シートに関し、例えば特許文献2に開示されているように、アルミニウム箔本体表面に、所定の白色顔料を含む印刷インキを使用して、赤外線透過性に優れた表示を印刷してなる包装用アルミニウム箔があった。この包装用アルミニウム箔によれば、検査工程でアルミニウム箔本体に赤外線を照射して撮像し、撮像した表示が見えない赤外画像から、アルミニウム箔本体に傷、亀裂、孔又は異物等の欠陥が存在するか否かを判定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58-45999号公報
【特許文献2】特開2005-132460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の投票券の技術は、主に紙基材に印刷することが想定されており、アルミニウム箔を基材とするPTP用の包装シートに最適な構成を開示しているものではない。
【0007】
特許文献2の包装用アルミニウム箔は、特許文献1の技術と同様に、赤外線透過性を有した印刷インキを用いて表示を行って赤外画像を用いて検査を行うものであるが、目的はアルミニウム箔本体の欠陥を検出することであり、構成が非常にシンプルなので、悪質な犯罪者による偽造行為を抑止する効果は十分ではない。
【0008】
本発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、アルミニウム箔の表面に設けた表示の見え方が目視と赤外画像とで異なることに気付きにくく、偽造するのが困難なPTP用の包装シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、容器シートに形成された凹部の開口を閉鎖する蓋材として使用されるPTP用の包装シートであって、基材であるアルミニウム箔の表面側に、第一の黒色インキによる表示と第二の黒色インキによる表示とが並設され、前記第一の黒色インキは、黒色着色剤が配合されたインキであって、当該インキを撮像した時、可視画像と赤外画像の両方で黒色に見えるインキであり、前記第二の黒色インキは、シアン、マゼンダ及びイエローを含む複数の有彩色着色剤が配合されたインキであって、当該インキを撮像した時、可視画像では黒色に見え、赤外画像では認識されない赤外線透過インキであるPTP用の包装シートである。前記第一の黒色インキは、前記第二の黒色インキに黒色顔料が添加されたインキであることが好ましい。
【0010】
前記アルミニウム箔の表面側に、希釈白色インキによる表示が設けられ、前記希釈白色インキは、透明な塗工樹脂に白色着色剤が配合されたインキであって、当該インキを撮像した時、可視画像と赤外画像の両方で半透明の白色に見えるインキであり、前記希釈白色インキによる表示は、前記第二の黒色インキによる表示の下側に重なるように設けられている構成にしてもよい。この場合、前記第二の黒色インキによる表示は、前記アルミニウム箔、前記希釈白色インキによる表示及び前記第一の黒色インキによる表示を前記第二の黒色インキのベタ層で覆うことによって設けられ、前記第二の黒色インキのベタ層の厚みは、外側から目視した時に、前記希釈白色インキによる表示が認識される程度に薄く設定されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、容器シートに形成された凹部の開口を閉鎖する蓋材として使用されるPTP用の包装シートであって、基材であるアルミニウム箔の表面側に、希釈白色インキによる表示と、前記アルミニウム箔及び前記希釈白色インキによる表示を覆う有彩色インキのベタ層とが設けられ、前記希釈白色インキは、透明な塗工樹脂に白色着色剤が配合されたインキであって、当該インキを撮像した時、可視画像と赤外画像の両方で半透明の白色に見えるインキであり、前記有彩色インキは、シアン、マゼンダ及びイエローを含む複数の有彩色着色剤が配合されたインキであって、当該インキを撮像した時、可視画像では所定の有彩色に見え、赤外画像では認識されない赤外線透過インキであり、前記有彩色インキのベタ層の厚みは、外側から目視した時に、前記希釈白色インキによる表示が認識される程度に薄く設定されているPTP用の包装シートである。
【0012】
前記有彩色インキのベタ層を覆う耐熱コート層が設けられ、前記耐熱コート層は、透明又は半透明の合成樹脂に粒状のマット剤が添加されたもので、前記マット剤の粒の一部が合成樹脂の表面に突出することによって凹凸が形成され、この凹凸によって耐熱コート層を通過する可視光が散乱する構成にすることができる。
【0013】
前記アルミニウム箔と前記有彩色インキのベタ層との間に、前記希釈白色インキによる表示と第一の黒色インキによる表示とが並設され、前記第一の黒色インキは、黒色着色剤が配合されたインキであって、当該インキを撮像した時、可視画像と赤外画像の両方で黒色に見えるインキであり、前記有彩色インキのベタ層の厚みは、外側から目視した時に、前記希釈白色インキによる表示と前記第一の黒色インキによる表示の両方が認識される程度に薄く設定されている構成にしてもよい。さらに、前記有色インキのベタ層の表面側に、前記希釈白色インキによる別の表示が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のPTP用の包装シートは、赤外光の透過性が異なる複数種類のインキを組み合わせた独特な表示を設けているので、可視画像及び赤外画像を使用することによって容易に真贋判定を行うことができる。また、可視光下で表示を一見しても、目視(可視画像)と赤外画像で見え方が変化することに気付きにくく、気付いたとしても、変化のしかたやメカニズムを解明して模倣することは困難なので、悪質な犯罪者による偽造行為を効果的に抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のPTP用の包装シートの第一の実施形態を示す縦断面図(a)、特定部分を耐熱コート層の側から見た可視画像(b)及び赤外画像(c)である。
図2】第一の実施形態のPTP用の包装シートの一変形例を示す縦断面図(a)、特定部分を耐熱コート層の側から見た可視画像(b)及び赤外画像(c)である。
図3】本発明のPTP用の包装シートの第二の実施形態を示す縦断面図(a)、特定部分を耐熱コート層の側から見た可視画像(b)及び赤外画像(c)である。
図4】第二の実施形態のPTP用の包装シートの一変形例を示す縦断面図(a)、特定部分を耐熱コート層の側から見た可視画像(b)及び赤外画像(c)である。
図5】本発明のPTP用の包装シートの第三の実施形態を示す縦断面図(a)、特定部分を耐熱コート層の側から見た可視画像(b)及び赤外画像(c)である。
図6】第三の実施形態のPTP用の包装シートの第一の変形例を示す縦断面図(a)、特定部分を耐熱コート層の側から見た可視画像(b)及び赤外画像(c)である。
図7】第三の実施形態のPTP用の包装シートの第二の変形例を示す縦断面図(a)、特定部分を耐熱コート層の側から見た可視画像(b)である。
図8】第三の実施形態のPTP用の包装シートの第三の変形例を示す縦断面図(a)、特定部分を耐熱コート層の側から見た可視画像(b)及び赤外画像(c)である。
図9】一般的なPTP包装体の構造を示す正面図(a)、背面図(b)、A-A断面図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のPTP用の包装シートの第一の実施形態について、図1に基づいて説明する。この実施形態のPTP用の包装シート18は、容器シート12に形成された凹部12aの開口を閉鎖する蓋材として使用される部材で、図9に示す従来の包装シート16に置き換えて使用されるものである。
【0017】
包装シート18は、図1に示すように、基材がアルミニウム箔20で、アルミニウム箔20の表面側に、第一の黒色インキ22による表示22hと第二の黒色インキ24による表示24hとが並設されている。
【0018】
第二の黒色インキ24は、シアン、マゼンダ及びイエローを含む複数の有彩色顔料等の着色剤が配合されたインキであって、これを撮像すると、可視光線による可視画像では黒色に見え、赤外線による赤外画像では認識されない赤外線透過インキである。第二の黒色インキ24による表示24hは「SHL」という文字列で、第二の黒色インキ24をグラビア塗工方式等により印刷し、乾燥させることによって形成される。
【0019】
第一の黒色インキ22は、第二の黒色インキ24に少量の黒色顔料等の着色剤が添加されたインキであって、これを撮像すると、可視画像と赤外画像の両方で黒色に見えるインキである。第一の黒色インキ22の特徴は、可視画像において、第二の黒色インキ24と非常に類似した色合いに見える点である。例えば、黒色顔料を主着色剤とする黒色インキの場合、可視画像で非常に暗い黒色又は濃い黒色に見えるところ、第一の黒色インキ22は、第二の黒色インキと同様に、少し明るい黒色又は少し薄い黒色に見える。したがって、第一及び第二の黒色インキ22,24を目視で見分けることは難しい。
【0020】
第一の黒色インキ22による表示22hは、上記の表示24hと同じ形状の「SHL」という文字列で、第一の黒色インキ22をグラビア塗工方式等により印刷し、乾燥させることによって形成される。
【0021】
アルミニウム箔20の表面側及び表示22h,24hは、透明又は半透明の耐熱コート層26で覆われている。耐熱コート層26は、包装シート18を容器シート12の平坦部12bに熱接着させる際に加熱されるので、例えば、190~230℃のヒートシールバーで3kg/cm、2secの加圧を行って、表面状態に変色、炭化、粘り等の変化が生じない等の条件を満たす耐熱性が求められる。したがって、耐熱コート層26は、エポキシ樹脂、ニトロセルロース、又はアクリル系樹脂を主剤とするコート剤が好適である。
【0022】
アルミニウム箔18の裏面側は、ヒートシール層28で覆われている。ヒートシール層28は、包装シート18を容器シート12に熱接着するときに、容器シート12の平坦部12bに溶着する層で、容器シート12とアルミニウム箔18を良好に接着できる材料が選択される。例えば、容器シート12の材質がポリ塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)の場合、ヒートシール層28の材料は、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)とポリエステル樹脂との混合物が適している。
【0023】
次に、包装シート18を耐熱コート層26側から撮像した時の可視画像と赤外画像について説明する。可視画像は、包装シート18から反射する可視光を検知した画像であり、赤外画像は、包装シート18から反射する赤外光を検知した画像である。
【0024】
図1(b)は、可視画像を示している。表示22hの領域に照射された可視光は、多くが第一の黒色インキ22に吸収されるが、一部が第一の黒色インキ22を通過してアルミニウム箔20で反射され、この反射光が第一の黒色インキ22を通過して撮像装置に到達し、アルミニウムの金属色が検知される。したがって、可視画像における表示22hの領域は、黒色にアルミニウムの金属色が少し混じった色(少し明るい黒色)に見える。同様に、可視画像における表示24hの領域も、黒色にアルミニウムの金属色が少し混じった色(少し明るい黒色)に見え、表示22hの領域と見分けることは難しい。
【0025】
表示22h,24hが無い背景の領域に照射された可視光は、ほとんどがアルミニウム箔20で反射され、この反射光が撮像装置に到達し、アルミニウムの金属色が検知される。したがって、可視画像における背景の領域は、アルミニウムの金属色のベタに見える。
【0026】
図1(c)は、同じ部分を撮像した赤外画像を示している。表示22hの領域に照射された赤外光は、多くが第一の黒色インキ22に吸収されるが、一部が第一の黒色インキ22を通過してアルミニウム箔20で反射され、その反射光が第一の黒色インキ22を通過して撮像装置に到達して検知される。したがって、赤外画像における表示22hの領域は、黒色に白色が少し混じった色(少し明るい黒色)に見える。
【0027】
一方、表示24hの領域に照射された赤外光は、ほとんどが第二の黒色インキ24(赤外線透過インキ)を通過してアルミニウム箔20で反射され、この反射光が第二の黒色インキ24を通過して撮像装置に到達し、白色に検知される。したがって、赤外画像における表示24hの領域は、明るい白色に見える。
【0028】
表示22h,24hが無い背景の領域に照射された赤外光は、ほとんどがアルミニウム箔20で反射され、この反射光が撮像装置に到達し、白色に検知される。したがって、可視画像における背景の領域は、明るい白色に見え、表示24hの領域と見分けることは難しい。
【0029】
以上のように、包装シート18は、赤外光の透過性が異なる複数種類のインキを組み合わせた独特な表示を設けているので、可視画像及び赤外画像を使用することによって容易に真贋判定を行うことができる。また、可視光下で表示を一見しても、表示22h,24hのインキが異なることは認識できず、赤外画像において片方の表示が見えなくなることにも気付かない。仮に気付いたとしても、変化のメカニズムを解明して模倣することは容易ではないので、悪質な犯罪者による偽造行為を効果的に抑止することができる。
【0030】
次に、包装シート18の一変形例について、図2に基づいて説明する。変形例の包装シート18xは、包装シート18の第一の黒色インキ22(表示22h)を第一の黒色インキ30(表示30h)に変更したもので、その他の構成は同様である。
【0031】
第一の黒色インキ30は、黒色顔料等を主着色剤とするインキである。したがって、第一の黒色インキ22を撮像すると、可視画像と赤外画像の両方で黒色に見える。ただし、上述したように、第一の黒色インキ22は、可視画像で少し明るい黒色又少し薄い黒色に見えるところ、第一の黒色インキ30は、非常に暗い黒色又は濃い黒色に見える。したがって、注意深く目視すれば、第一及び第二の黒色インキ30,24を見分けることができる。
【0032】
図2(b)は、包装シート18xを耐熱コート層26側から撮像した時の可視画像を示している。表示30hの領域に照射された可視光は、ほとんどが第一の黒色インキ30に吸収されるので、撮像装置ではほとんど反射光が検知されない。したがって、可視画像における表示30hの領域は、暗い黒色又は濃い黒色に見える。
【0033】
可視画像における表示24hの領域の見え方と表示22h,24hが無い背景の領域の見え方は、上記の包装シート18と同様である。すなわち、表示24hの領域は、黒色にアルミニウムの金属色が少し混じった色(少し明るい黒色)に見え、背景の領域は、アルミニウムの金属色のベタに見える。
【0034】
図2(c)は、同じ部分を撮像した赤外画像を示している。表示30hの領域に照射された赤外光は、可視光の場合と同様に、ほとんどが第一の黒色インキ30で吸収されるので、撮像装置ではほとんど反射光が検知されない。したがって、可視画像における表示30hの領域は、暗い黒色又は濃い黒色に見える。
【0035】
赤外画像における表示24hの領域の見え方と表示22h,24hが無い背景の領域の見え方は、上記の包装シート18の場合と同様であり、表示24hの領域は明るい白色に見え、背景の領域も明るい白色に見える。
【0036】
このように、包装シート18xの場合、第一の黒色インキ22を第一の黒色インキ30に変更しているので、可視画像において、表示30hの領域の黒色の見え方と、表示24の領域の黒色の見え方に少し違いが生じ、表示24h,30hに異なるインキが使用されているに気付きやすく、この点が包装シート18との大きな違いになる。しかしながら、包装シート18の場合と同様に、赤外画像で片方の表示だけが見えなくなることには気付きにくく、仮に気付いたとしても、そのように見え方が変化するメカニズムを解明して模倣することは容易ではないので、悪質な犯罪者による偽造行為を効果的に抑止することができる。
【0037】
次に、本発明のPTP用の包装シートの第二の実施形態について、図3に基づいて説明する。ここで、上記包装シート18,18xと同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態のPTP用の包装シート32は、容器シート12に形成された凹部12aの開口を閉鎖する蓋材として使用される部材で、図9に示す従来の包装シート16に置き換えて使用されるものである。
【0038】
包装シート32は、アルミニウム箔20の表面側に、上記の包装シート18xで使用されている第一の黒色インキ30による「SHL」の表示30hと、希釈白色インキ34による「SHL」の表示34hが並設されている。希釈白色インキ34には、第二の黒色インキ24が積層されて、表示24hと表示34hが重なっている。そして、耐熱コート層26及びヒートシール層28も同様に設けられている。
【0039】
希釈白色インキ34は、透明な塗工樹脂に白色顔料等の着色剤が配合されたインキであって、これを撮像すると、可視画像と赤外画像の両方で半透明の白色に見えるインキである。希釈白色インキ34の表示34hは、希釈白色インキ34をグラビア塗工方式等により印刷し、乾燥させることによって形成される。
【0040】
また、包装シート32の場合、第二の黒色インキ24による表示24hは、アルミニウム箔20と表示30h,34hを覆う第二の黒色インキ24のベタ層の一部として設けられているという特徴がある。第二の黒色インキ24のベタ層の厚みは、外側から目視した時に、希釈白色インキ34による表示34hが認識される程度に薄く設定されている。
【0041】
以下、このベタ層の中の表示24h以外の領域を、第二の黒色インキ24のベタ部24bと称する。なお、第二の黒色インキ24のベタ層の一部が第一の黒色インキ30による表示30hを覆っているが、同じ黒色系なので、表示30hの見え方に対してほとんど影響しない。
【0042】
次に、包装シート32を耐熱コート層26側から撮像した時の可視画像と赤外画像について説明する。
【0043】
図3(b)は、可視画像を示している。表示30hの領域に照射された可視光は、ほとんどが第二の黒色インキ24と第一の黒色インキ30とで吸収されるので、撮像装置ではほとんど反射光が検知されない。したがって、可視画像における表示30hの領域は、暗い黒色又は濃い黒色に見える。
【0044】
表示24h,34hの領域に照射された可視光は、多くが第二の黒色インキ24で吸収されるが、一部が第二の黒色インキ24を通過して希釈白色インキ34で反射され、その反射光が第二の黒色インキ24を通過して撮像装置に到達する。しかし、希釈白色インキ34は、光の反射率がアルミニウム箔20のように高くないので、撮像装置に到達する反射光は少ない。したがって、可視画像における表示24h,34hの領域は、暗い黒色又は濃い黒色に見え、表示30hの領域と見分けることは難しい。
【0045】
ベタ部24bの領域に照射された可視光は、一部が第二の黒色インキ24に吸収されるが、一部が第二の黒色インキ24を通過してアルミニウム箔20で反射され、その反射光が第二の黒色インキ24を通過して撮像装置に到達する。アルミニウム箔20は光の反射率が高いので、撮像装置で、アルミニウムの金属色も検知される。したがって、可視画像におけるベタ部24bの領域は、黒色にアルミニウムの金属色が混じった色(少し明るい黒色)に見え、表示30hの領域や表示24h,34hの領域と見分けることができる。
【0046】
図3(c)は、赤外画像を示している。表示30hの領域に照射された赤外光は、第二の黒色インキ24(赤外線透過インキ)を通過するものの、ほとんどが第一の黒色インキ30で吸収されるので、撮像装置では反射光がほとんど検知されない。したがって、赤外画像における表示30hの領域は、暗い黒色又は濃い黒色に見える。
【0047】
表示24h,34hの領域に照射された赤外光は、第二の黒色インキ24(赤外線透過インキ)を通過して希釈白色インキ34で反射され、その反射光が第二の黒色インキ24を通過して撮像装置に到達し、灰色に検知される。また、一部が希釈白色インキ34を通過してアルミニウム箔20で反射され、その反射光が白色インキ34及び第二の黒色インキ24を通過して撮像装置に到達し、明るい白色に検知される。したがって、赤外画像における表示24h,34hの領域は、灰色と白色が混じった色(少し明るい灰色)に見える。
【0048】
ベタ部24bの領域に照射された赤外光は、第二の黒色インキ24(赤外線透過インキ)を通過してアルミニウム箔20で反射され、その反射光が第二の黒色インキ24を通過して撮像装置に到達し、白色に検知される。したがって、赤外画像におけるベタ部24bの領域は、明るい白色に見え、明るい灰色の表示24h,34hと見分けることができる。
【0049】
以上のように、包装シート32は、赤外線の透過性が異なる複数種類のインキを組み合わせた独特な表示を設けているので、可視画像及び赤外画像を使用することによって容易に真贋判定を行うことができる。また、可視光下で表示を一見しても、目視(可視画像)と赤外画像で見え方が変化することに気付きにくく、気付いたとしても、複雑な変化のしかたやメカニズムを解明して模倣することは困難なので、悪質な犯罪者による偽造行為を効果的に抑止することができる。
【0050】
次に、包装シート32の一変形例について、図4に基づいて説明する。変形例の包装シート32xは、包装シート32が有する第二の黒色インキ24によるベタ部24bを無くしたもので、その他の構成は同様である。包装シート32xは、目視した時、包装シート32表示30h及び表示24h,34hの背景の領域にアルミニウム箔20の地肌が見えるので、金属光沢による独特な風合いをデザインに活かすことができる。なお、包装シート32と比較して、目視(可視画像)と赤外画像で見え方が変化する箇所が少なくなるが、ほぼ同等の偽造抑止効果が得られる。
【0051】
次に、本発明のPTP用の包装シートの第三の実施形態について、図5に基づいて説明する。ここで、上記の包装シート32と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態のPTP用の包装シート36は、容器シート12に形成された凹部12aの開口を閉鎖する蓋材として使用される部材で、図9に示す従来の包装シート16に置き換えて使用されるものである。
【0052】
包装シート36は、アルミニウム箔20の表面側に、上記の包装シート32で使用した第一の黒色インキ30による「SHL」の表示30hと、希釈白色インキ34による「SHL」の表示34hとが並設されている。そして、ヒートシール層28も同様に設けられている。
【0053】
さらに包装シート36は、アルミニウム箔20、第一の黒色インキ30による表示30h及び希釈白色インキ34による表示34hが、有彩色インキ38のベタ層で覆われ、その外側に耐熱コート層26が設けられているという特徴がある。有彩色インキ38のベタ層の厚みは、外側から目視した時に、第一の黒色インキ30による表示30hや希釈白色インキ34による表示34hが認識される程度に、薄く設定されている。
【0054】
有彩色インキ38は、シアン、マゼンダ及びイエローを含む複数の有彩色顔料等の着色剤が混合されたインキであって、これを撮像すると、可視画像では所定の有彩色に見え、赤外画像では認識されない赤外線透過インキである。有彩色はどんな色を選択してもよいが、ここでは、比較的落ち着いた色合いの藍色が選択されている。有彩色インキ38のベタ層は、有彩色インキ38をグラビア塗工方式等により印刷し、乾燥させることによって形成される。
【0055】
以下、有彩色インキ38のベタ層の中の、表示30hと重なる領域を、有彩色インキ38による表示38h(30)と称する。また、表示34hと重なる領域を、有彩色インキ38による表示38h(34)と称する。そして、これ以外の領域を、有彩色インキ38のベタ部38bと称する。
【0056】
次に、包装シート36を耐熱コート層26側から撮像した時の可視画像と赤外画像について説明する。
【0057】
図5(b)は、可視画像を示している。表示30h,38h(30)の領域に照射された可視光は、一部が有彩色インキ38に反射され、その反射光が撮像装置に到達して藍色に検知される。また、一部が有彩色インキ38を通過して第一の黒色インキ30に到達して吸収される。したがって、可視画像における表示30h,38h(30)の領域は、黒色に藍色が混じった色(青みがかった黒色)に見える。
【0058】
表示34h,38h(34)の領域に照射された可視光は、一部が有彩色インキ38に反射され、その反射光が撮像装置に到達して藍色に検知される。また、一部が有彩色インキ38を通過して希釈白色インキ34で反射され、その反射光が有彩色インキ38を通過して撮像装置に到達する。しかし、希釈白色インキ32は、光の反射率がアルミニウム箔20のように高くないので、撮像装置に到達する反射光は少ない。したがって、可視画像における表示34h,38h(34)の領域は、暗い藍色又は濃い藍色に見える。
【0059】
ベタ部38bの領域に照射された可視光は、一部が有彩色インキ38に反射され、その反射光が撮像装置に到達して藍色に検知される。また、一部が有彩色インキ38を通過してアルミニウム箔20で反射され、その反射光が有彩色インキ38を通過して撮像装置に到達する。アルミニウム箔20は光の反射率が高いので、撮像装置ではアルミニウムの金属色も検知される。したがって、可視画像におけるベタ部38bの領域は、藍色にアルミニウムの金属色が少し混じった色(少し明るい藍色)に見え、表示30h,38h(30)の領域や表示34h,38h(34)の領域と見分けることができる。
【0060】
図5(c)は、赤外画像を示している。表示30h,38h(30)の領域に照射された赤外光は、有彩色インキ38(赤外線透過インキ)を通過するものの、ほとんどが第一の黒色インキ30で吸収されるので、撮像装置では反射光がほとんど検知されない。したがって、赤外画像における表示30h,38h(30)の領域は、暗い黒色又は濃い黒色に見える。
【0061】
表示34h,38h(34)の領域に照射された赤外光は、有彩色インキ38(赤外線透過インキ)を通過して希釈白色インキ34で反射され、その反射光が有彩色インキ38を通過して撮像装置に到達し、灰色に検知される。また、一部が希釈白色インキ34を通過してアルミニウム箔20で反射され、その反射光が白色インキ34及び有彩色インキ38を通過して撮像装置に到達し、明るい白色に検知される。したがって、赤外画像における表示34h,38h(34)の領域は、灰色と白色が混じった色(少し明るい灰色)に見える。
【0062】
ベタ部38bの領域に照射された赤外光は、有彩色インキ38(赤外線透過インキ)を通過してアルミニウム箔20で反射され、その反射光が有彩色インキ38を通過して撮像装置に到達し、白色に検知される。したがって、赤外画像におけるベタ部38bの領域は、明るい白色に見え、他の領域と見分けることができる。
【0063】
以上のように、包装シート36は、赤外線の透過性が異なる複数種類のインキを組み合わせた独特な表示を設けているので、可視画像及び赤外画像を使用することによって容易に真贋判定を行うことができる。また、可視光下で表示を一見しても、目視(可視画像)と赤外画像で見え方が変化することに気付きにくく、気付いたとしても、複雑な変化のしかたやメカニズムを解明して模倣することは困難なので、悪質な犯罪者による偽造行為を効果的に抑止することができる。また、上記の包装シート18,32の場合は、目視で黒色又は白色に見えるインキだけを使用しているが、この包装シート36は、適宜の有彩色インキ38を使用することができるので、一般の使用者に対して見栄えの良いデザインを提供することができる。
【0064】
次に、包装シート36の3つの変形例について、図6図8に基づいて順に説明する。第一の変形例の包装シート36xは、図6に示すように、包装シート36が有する第一の黒色インキ30による表示30hを省略したものであり、その他の構成は包装シート36と同様である。包装シート32と比較すると、目視(可視画像)と赤外画像表示の見え方の変化が少なくなるものの、一定以上の優れた偽造抑止効果を得ることができる。
【0065】
第二の変形例の包装シート36yは、図7に示すように、包装シート36が有する耐熱コート層26を、表面に凹凸40を有した耐熱コート層26xに置き換えたものであり、その他の構成は包装シート36と同様である。耐熱コート層26xは、透明又は半透明の合成樹脂に粒状のマット剤を添加して、マット剤の粒の一部を合成樹脂の表面に突出させることによって凹凸40を形成している。
【0066】
凹凸40は、耐熱コート層を通過する可視光を散乱させる働きをする。したがって、可視光下で包装シート36yを見ると、正面から見た時と斜め方向から見た時で、表示34,38h(34)の領域の藍色の明るさ又は濃淡が大きく変化して見える。例えば、図7(b)に示すように、表示34,38h(34)の領域を正面から見た時は暗い藍色(又は濃い藍色)に見えるのに対し、斜め方向から見た時は、ベタ部38bの藍色と区別できないほど明るい藍色に見える。なお、表示30,38h(30)の領域やベタ部38bの見え方は、凹凸40があっても無くても、それほど変化しない。
【0067】
包装シート36yは、包装シート36よりも表示の見え方が複雑になるので、模倣の困難性がさらに高くなる。
【0068】
第三の変形例の包装シート36zは、図8に示すように、包装シート36yの構成に加え、有彩色インキ38のベタ層と耐熱コート層26xとの間に、希釈白色インキ34と同様のインキ(希釈白色インキ34x)を使用して別の表示34xhを追加したものであり、その他の構成は包装シート36yと同様である。
【0069】
図8(b)は包装シート36zの可視画像で、表示34xhの領域に照射された可視光は、多くが希釈白色インキ34xに反射され、その反射光が撮像装置に到達して白色に検知される。また、一部が希釈白色インキ34xを通過して有彩色インキ38で反射され、その反射光が希釈白色インキ34xを通過して撮像装置に到達する。したがって、可視画像における表示34xhの領域は、少し藍色が混じった白色に見える。その他の領域やベタ部38bの見え方は上記の通りであり、表示34xhの領域の白色は、ベタ部38bの明るい藍色と見分けることができる。
【0070】
図8(c)は包装シート36zの赤外画像で、表示34xhの領域に照射された赤外光は、多くが希釈白色インキ34xに反射され、その反射光が撮像装置に到達して灰色に検知される。また、一部が希釈白色インキ34xと有彩色インキ38(赤外線透過インキ)とを通過してアルミニウム箔20で反射され、その反射光が有彩色インキ38と希釈白色インキ34xを通過して撮像装置に到達する。したがって、可視画像における表示34xhの領域は、灰色と白色とが混じった色(少し明るい灰色)に見える。その他の領域やベタ部38bの見え方は上記の通りであり、表示34xhの領域は、ベタ部38bの明るい白色と見分けることができる。
【0071】
包装シート36zは、包装シート36yよりも表示の見え方が複雑になるので、模倣の困難性がさらに高くなる。
【0072】
なお、本発明のPTP用の包装シートは、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、各インキに配合する顔料等の着色剤の配合比率は厳密に規定されるものではなく、試作した包装シートを撮像した可視画像や赤外画像の見え方を評価し、適宜調節すればよい。インキの着色剤は、顔料によるものの他、染料を用いても良く、用途に合わせて、適宜顔料インキと染料インキを選択することができる。
【0073】
インキによる表示の内容や表示の大きさは特に限定されず、「SHL」のような文字ではなく、図形やデザイン画を表示するようにしてもよい。
【0074】
各インキの印刷方式は特に限定されないが、図3図5に示す第一の黒インキ30(表示30h)及び希釈白色インキ34(表示34h)のように、別の有色インキのベタ層に覆われるインキについては、グラビア塗工方式を用いて印刷することが好ましい。グラビア塗工方式で印刷すると、インキによる表示の縁部(表示の輪郭となる部分)が中央部よりも少し高くなる傾向があるので、可視画像において表示30h,34hの領域と隣接する領域との境界がより明確になり、一般の使用者に対して、表示30h,34hをクリアに見せることができる。
【符号の説明】
【0075】
10 PTP包装体
12 容器シート
12a 凹部
16,18,18x,32,32x,36,36x,36y,36z 包装シート
20 アルミニウム箔
22,30 第一の黒色インキ
22h,24h,30h,34h,38h(30),38h(34) 表示
24b,38b ベタ部
24 第二の黒色インキ(赤外線透過インキ)
26,26x 耐熱コート層
34 希釈白色インキ
38 有彩色インキ(赤外線透過インキ)
40 凹凸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9