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特開2022-109475火山灰除去システムおよび火山灰除去方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109475
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】火山灰除去システムおよび火山灰除去方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 45/16 20060101AFI20220721BHJP
   B01D 45/08 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
B01D45/16
B01D45/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004800
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 宣久
【テーマコード(参考)】
4D031
【Fターム(参考)】
4D031AB01
4D031AC02
4D031BA04
4D031BB10
4D031DA01
4D031DA04
4D031EA03
(57)【要約】
【課題】空気中の火山灰を確実に除去すること。
【解決手段】火山灰除去システム100は、火山灰を含む空気10Aを吸い込む送風装置1と、送風装置1により吸い込まれた火山灰を含む空気10Aに水を供給する水供給装置2と、送風装置1の下流に接続されて水と共に火山灰を空気から分離する分離装置3と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火山灰を含む空気を吸い込む送風装置と、
前記送風装置により吸い込まれた前記火山灰を含む前記空気に水を供給する水供給装置と、
前記送風装置の下流に接続されて前記水と共に前記火山灰を前記空気から分離する分離装置と、
を含む、火山灰除去システム。
【請求項2】
前記水供給装置は、前記送風装置に設けられる、請求項1に記載の火山灰除去システム。
【請求項3】
前記水供給装置は、前記送風装置および前記分離装置に設けられる、請求項1に記載の火山灰除去システム。
【請求項4】
前記分離装置は、
円筒形状に形成された容器と、
前記容器の内部で上下に連続する螺旋形状の通路を形成する邪魔板と、
前記螺旋形状の通路の下端に設けられて前記送風装置の排出口に接続される入口部と、
前記螺旋形状の通路の上端に設けられて前記容器の外部に通じる出口部と、
を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の火山灰除去システム。
【請求項5】
前記分離装置は、前記邪魔板の板面から突出する分離部材を含む、請求項4に記載の火山灰除去システム。
【請求項6】
前記分離装置は、
前記容器の下端に設けられた貯留部と、
前記貯留部から前記容器の外部に引き出された排水トラップ部と、
を含む、請求項4または5に記載の火山灰除去システム。
【請求項7】
前記送風装置は、回転機器により送風する遠心ファン、または圧縮空気により送風するエアジェットが適用される、請求項1から6のいずれか1項に記載の火山灰除去システム。
【請求項8】
前記分離装置に接続されて前記火山灰が分離された前記空気を通過させるフィルタをさらに含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の火山灰除去システム。
【請求項9】
前記フィルタの下流の流路に設けられた風量調整部と、
前記分離装置および前記風量調整部を含む流路の差圧を計測する差圧計測部と、
前記差圧計測部による計測結果に基づき前記風量調整部の開度を制御する制御部と、
を含む、請求項8に記載の火山灰除去システム。
【請求項10】
火山灰を含む空気を送る工程と、
前記火山灰を含む前記空気に水を供給する工程と、
前記水と共に前記火山灰を前記空気から分離する工程と、
を含む、火山灰除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、火山灰除去システムおよび火山灰除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に記載の粉塵フィルタは、空気を取り入れる空気取入れ口と、空気取入れ口から取り入れた空気が流れ、曲がり流路の外周側に空気中の粉塵が通過できる複数の開口が形成された空気流路と、空気流路を流れた空気を排出しフィルタと連結される排気口と、曲がり流路の下方を気密に囲い曲がり流路の開口を通過した粉塵を貯留する容器と、を備える。この粉塵フィルタは、空気取入れ口から取り入れた空気が空気流路の曲がり流路を通過する際に、空気中に含まれる粉塵は遠心力により曲がり流路の外周方向に押され、曲がり流路に形成された開口を通過し、容器内に貯留される。したがって、特許文献1の粉塵フィルタは、粉塵が除去された空気が排気口から排出され、フィルタに送られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-069427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
火山灰は、直径2mm以下の岩片であり、火山ガラス、結晶粒、岩石の粒などからなり、空気中で冷却され固形化したもので、外形が尖ったものが多い。このような火山灰がフィルタのろ材に捕集されると、ろ材に詰まったものはエアブローなどの逆洗では除去することが難しくリサイクル運用は困難である。従って、フィルタは、想定される火山灰の降灰量を想定した枚数を予備品として保有する必要がある。予備品のフィルタは、保管時において健全性を確認するため定期的に点検を実施する必要がある。また、予備品のフィルタへ交換する場合、火山噴火時には大量に火山灰が降下する環境であることから、作業者が防塵マスク、ゴーグル、手袋など保護具を着用して行う必要がある。また、火山灰を付着したフィルタの廃棄方法についても確立する必要がある。従って、フィルタに委ねることなく空気中の火山灰を除去することが望まれている。
【0005】
本開示は上述した課題を解決するものであり、空気中の火山灰を確実に除去することのできる火山灰除去システムおよび火山灰除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本開示の一態様に係る火山灰除去システムは、火山灰を含む空気を吸い込む送風装置と、前記送風装置により吸い込まれた前記火山灰を含む前記空気に水を供給する水供給装置と、前記送風装置の下流に接続されて前記水と共に前記火山灰を前記空気から分離する分離装置と、を含む。
【0007】
上述の目的を達成するために、本開示の一態様に係る火山灰除去方法は、火山灰を含む空気を送る工程と、前記火山灰を含む前記空気に水を供給する工程と、前記水と共に前記火山灰を前記空気から分離する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、空気中の火山灰を確実に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る火山灰除去システムの全体構成図である。
図2図2は、実施形態に係る火山灰除去システムの送風装置の側面図である。
図3図3は、実施形態に係る火山灰除去システムの送風装置の正面図である。
図4図4は、実施形態に係る火山灰除去システムの送風装置の他の形態の側面図である。
図5図5は、実施形態に係る火山灰除去システムの送風装置の他の形態の正面図である。
図6図6は、実施形態に係る火山灰除去システムの他の送風装置の側面図である。
図7図7は、実施形態に係る火山灰除去システムの分離装置の細部構成図である。
図8図8は、実施形態に係る火山灰除去システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
実施形態の火山灰除去システム100は、例えば、原子力発電所での電源喪失時の発電用エンジンへの給気や、原子力発電所の建屋居室への給気などの外気を取り入れる設備に用いられる。この火山灰除去システム100は、図1に示すように、送風装置1と、水供給装置2と、分離装置3と、フィルタ4と、風量調整装置5と、を含む。
【0012】
送風装置1は、空気を送るもので、火山の噴火時には、火山灰を含む空気を送る。送風装置1は、図2および図3に示すように、空気を吸い込む吸入口11Aと、空気を排出する排出口11Bとを有するケーシング11の内部に、インペラ12が回転可能に設けられる。インペラ12は、回転軸12Aがケーシング11に対して回転可能に取り付けられ、図示しないモータなどの駆動部によって回転軸12Aが回転されることで駆動される。そして、送風装置1は、火山灰を含む空気10Aを吸入口11Aに吸い込み排出口11Bから排出する。従って、実施形態において、図1から図3に示す送風装置1は、インペラ12などの回転機器により送風する遠心ファンとして構成される。なお、吸入口11Aには、火山灰を含む空気10Aを吸入口11Aに案内する案内部材13が設けられる。
【0013】
水供給装置2は、火山灰を含む空気10Aに水を供給する。水供給装置2は、図1に示すように、水供給部21と、水供給管22と、水供給ノズル23と、を含む。水供給部21は、詳細は省略するが、供給するための水を貯留するタンクと、当該タンクから水供給管22に水を圧送するポンプと、を有する。水供給管22は、水供給部21により圧送された水を送風装置1に案内する。水供給管22は、図2および図3に示すように、給水を開閉する開閉弁26が設けられる。水供給ノズル23は、水供給管22に配置され、送風装置1に設けられて、水供給管22により案内された水を噴射する。従って、水供給装置2は、送風装置1に設けられ、送風装置1に水を供給することで、送風装置1により送られる火山灰を含む空気10Aに水を供給して火山灰ミスト10Bとする。
【0014】
水供給装置2は、図2および図3に示すように、送風装置1において、吸入口11Aに水供給ノズル23が設けられる。従って、図2および図3に示す水供給装置2は、送風装置1の吸入口11Aにおいて、火山灰を含む空気10Aに水を供給する。そして、送風装置1は、火山灰を含む空気10Aに水が供給された流動性を有する火山灰ミスト10Bを排出口11Bから排出する。
【0015】
水供給装置2は、図4および図5に示すように、送風装置1において、ケーシング11の内部であってインペラ12に向けて水供給ノズル23が設けられる。従って、図4および図5に示す水供給装置2は、送風装置1のインペラ12において、火山灰を含む空気10Aに水を供給する。そして、送風装置1は、火山灰を含む空気10Aに水が供給された流動性を有する火山灰ミスト10Bを排出口11Bから排出する。
【0016】
水供給装置2は、水供給管24と、水供給ノズル25と、を含む。水供給管24は、水供給部21により圧送された水を分離装置3に案内する。水供給管24は、図示しないが水供給管22と同じく開閉弁26が設けられる。水供給ノズル25は、水供給管24に配置され、分離装置3に設けられて、水供給管24により案内された水を噴射する。従って、水供給装置2は、分離装置3にも設けられ、分離装置3に水を供給することで、送風装置1により分離装置3に送られる火山灰を含む空気10Aに水を供給し、より流動性を有する火山灰ミスト10Bとする。
【0017】
なお、図6は、他の送風装置1’を示している。送風装置1’は、空気を吸い込む吸入口11A’と、空気を排出する排出口11B’とを有するケーシング11’に、給気部12A’およびノズル部12B’が設けられる。給気部12A’は、ケーシング11’において、吸入口11A’と排出口11B’との間に設けられる。給気部12A’は、ケーシング11’の外部から内部に圧縮空気10Hを供給する。圧縮空気10Hは、図には明示しないが、ボンベなどに貯留され、開閉弁の開放により給気部12A’からケーシング11’の内部に供給される。ノズル部12B’は、ケーシング11’の内部に設けられ、吸入口11A’から排出口11B’に向けて窄まって形成される。ノズル部12B’は、窄まった出口の周囲に給気部12A’から圧縮空気10Hが供給される。ノズル部12B’は、この圧縮空気10Hにより、火山灰を含む空気10Aを吸入口11A’に吸い込み排出口11B’から排出する。従って、実施形態において、図6に示す送風装置1’は、圧縮空気10Hにより送風するエアジェットとして構成される。
【0018】
この送風装置1’に対し、水供給装置2は、図6に示すように、吸入口11A’やノズル部12B’の入口に水供給ノズル23が設けられる。従って、図6に示す水供給装置2は、送風装置1’の吸入口11A’やノズル部12B’の入口において、火山灰を含む空気10Aに水を供給する。そして、送風装置1’は、火山灰を含む空気10Aに水が供給された流動性を有する火山灰ミスト10Bを排出口11B’から排出する。
【0019】
分離装置3は、図1に示すように、容器31と、邪魔板32と、を含む。容器31は、円筒形状に形成される。容器31は、円筒形状を上下方向に立てて配置した状態で、その下部に入口部31Aが設けられ、上部に出口部31Bが設けられる。邪魔板32は、容器31の円筒形状の上下に延びる中心の廻り旋回しつつ上下方向に傾斜面32a(図7参照)が連続して螺旋状に形成されることで、容器31の内部で上下に連続する螺旋形状の通路33を形成する。容器31の入口部31Aは、螺旋形状の通路33の下端に設けられ、当該通路33を送風装置1,1’の排出口11B,11B’の直近に接続させる。また、容器31の出口部31Bは、螺旋形状の通路33の上端に設けられ、当該通路33を容器31の外部に通じさせる。従って、分離装置3は、送風装置1,1’から排出される火山灰ミスト10Bが、容器31の入口部31Aから直近の螺旋形状の通路33の下端に送られ、当該通路33を経て通路33の上端にて容器31の出口部31Bから容器31の外部に送られる。これにより、分離装置3は、螺旋状の邪魔板32によりなる螺旋形状の通路33に沿って、火山灰ミスト10Bを旋回流として下端から上端に送る。この過程において、水分を伴った火山灰10Cbは、重力により空気10Caと分離し邪魔板32の傾斜面32aを伝って落下する。一方、水分を伴った火山灰10Cbから分離した空気10Caは、螺旋形状の通路33を上昇し容器31の出口部31Bから容器31の外部に送られる。従って、分離装置3は、送風装置1,1’から排出される火山灰ミスト10Bを、水分を伴った火山灰10Cbと、空気10Caとに分離し、それぞれを回収する。
【0020】
分離装置3は、容器31の下端に貯留部34が設けられる。貯留部34は、下端が窄んだロート形状に形成されている。貯留部34は、螺旋形状の通路33の下端が繋がっている。従って、水分を伴った火山灰10Cbは、重力により邪魔板32の傾斜面32aを伝って落下し、貯留部34に貯留される。また、分離装置3は、貯留部34に排水トラップ部35が設けられる。排水トラップ部35は、管部材が下方に延びて折り返して上方に延びるU字形状に形成される。排水トラップ部35は、管部材の一端が貯留部34におけるロート形状の下端に接続され、管部材の他端が図示しない回収装置に接続される。そして、排水トラップ部35は、水分を伴った火山灰10Cbを回収装置に排出する過程で、U字形状の管部材に水分を伴った火山灰10Cbが満たされることで、空気10Caが貯留部34を経て容器31の外部に送られることを防ぐ。
【0021】
分離装置3は、図7に示すように、分離部材36を有する。分離部材36は、螺旋形状の通路33を構成する邪魔板32に設けられる。分離部材36は、邪魔板32において通路33に面する上下の板面である傾斜面32aから突出して設けられる。分離部材36は、水平に対して傾斜した板材からなり、上端36aが傾斜面32aの傾斜の上側に固定され、下端36bが傾斜面32aから離れて設けられる。分離部材36は、容器31の円筒形状の中心から径方向に連続して設けられることが好ましいが、断続してもうけられてもよい。この分離部材36は、邪魔板32の傾斜面32aの傾斜に沿って上方に送られる火山灰ミスト10Bが衝突することで、水分を伴った火山灰10Cbが堰き止められ、空気10Caが乗り上げて通過する。これにより、分離部材36は、水分を伴った火山灰10Cbと空気10Caとの分離効果を顕著に得ることができる。
【0022】
分離装置3は、上述したように、水供給装置2が設けられる。水供給装置2は、水供給管24が容器31の内部に至り、水供給ノズル25が容器31の内部に配置される。水供給管24、例えば、容器31の円筒形状の中心に沿って上下に延びて設けられる。水供給ノズル25は、水供給管24が延びる方向に複数配置され、螺旋形状の通路33の途中の複数個所に設けられる。従って、分離装置3は、螺旋状の邪魔板32によりなる螺旋形状の通路33に沿って、火山灰ミスト10Bが下端から上端に送られ、その過程において火山灰10Cbに、水供給装置2によりさらに水分が供給される。これにより、水分を伴った火山灰10Cbが重力により邪魔板32の傾斜面32aを伝って落下する作用をより確実に実施できる。
【0023】
なお、実施形態では、図1に示すように、複数(2つ)の分離装置3が直列に接続して設けられる。即ち、1つ目の分離装置3の入口部31Aが送風装置1,1’に接続され、この1つ目の分離装置3の出口部31Bがダクト6を介して2つ目の分離装置3の入口部31Aに接続される。従って、1つ目の分離装置3の出口部31Bから外部に送られた空気10Caに水分を伴った火山灰10Cbが残留していたとしても、当該火山灰10Cbを2つ目の分離装置3で捕捉して空気10Caから分離できる。
【0024】
フィルタ4は、図1に示すように、分離装置3の出口部31Bに接続される流路であるダクト7に設けられる。実施形態では、フィルタ4は、2つ目の分離装置3の出口部31Bに接続されるダクト7に設けられる。ダクト7は、分離装置3で分離された空気10Caがフィルタ4を通過した清浄空気10Eの供給先に接続される。清浄空気10Eの供給先とは、上述した、例えば、原子力発電所での電源喪失時の発電用エンジンへの給気や、原子力発電所の建屋居室への給気などの外気を取り入れる設備である。
【0025】
フィルタ4は、例えば、対象粒子径が0.15μmで99.97%の除去効率のHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)が適用される。フィルタ4は、分離装置3で分離された空気10Caに含まれる不純物などの粒子を除去して清浄する。清浄された清浄空気10Eは、ダクト7を経て供給先に送られる。また、フィルタ4は、排水管41を有する。排水管41は、フィルタ4を通過する空気10Caに含まれる水分をドレン水10Fとして排出する。
【0026】
風量調整装置5は、図1に示すように、風量調整部51と、差圧計測部52と、制御部53と、を含む。風量調整部51は、ダクト7においてフィルタ4の下流に設けられる。風量調整部51は、流量制御ダンパであり、ダクト7を通過する気体の流量を調整する。差圧計測部52は、流路の差圧を計測するもので、送風装置1と1つ目の分離装置3との間に設けられた第一圧力計52Aと、ダクト7において風量調整部51の下流に設けられた第二圧力計52Bとの検出結果から差圧を計測する。即ち、差圧計測部52は、分離装置3および風量調整部51を含む流路の差圧を計測する。制御部53は、風量調整部51の開度を制御し、ダクト7を通過する気体の流量を制御する。制御部53は、例えば、コンピュータであり、図には明示しないが、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを含む演算処理装置などにより実現される。制御部53は、差圧計測部52による計測結果に基づき風量調整部51の開度を制御する。
【0027】
上述した火山灰除去システム100の動作である火山灰除去方法は、図8に示すように、送風工程(ステップS1)と、水供給工程(ステップS2)と、分離工程(ステップS3)と、清浄工程(ステップS4)と、圧力制御工程(ステップS5)と、を含む。
【0028】
送風工程は、送風装置1により火山灰を含む空気10Aを送る。水供給工程は、水供給装置2により火山灰を含む空気10Aに水を供給して火山灰ミスト10Bとする。分離工程は、火山灰ミスト10Bは、送風装置1により分離装置3に送られる。分離工程は、分離装置3により水と共に火山灰10Cbを空気10Caから分離する。従って、分離工程は、火山灰ミスト10Bを水分を伴った火山灰10Cbと空気10Caとに分離する。清浄工程は、分離工程にて分離された空気10Caからフィルタ4により粒子を除去する。圧力制御工程は、風量調整装置5において、差圧計測部52による計測結果に基づき制御部53により風量調整部51の開度を制御する。例えば、風量調整装置5において、制御部53は、所定の差圧の範囲が予め記憶されている。そして、制御部53は、差圧計測部52による計測結果が記憶した範囲を上回った場合に風量調整部51の開度を大きくして圧力を下げて差圧の範囲を確保する一方、差圧計測部52による計測結果が記憶した範囲を下回った場合に風量調整部51の開度を小さくして圧力を高め差圧の範囲を確保する。これにより、火山灰除去システム100は、例えば、フィルタ4の詰まりによる圧損変動に対し、火山灰除去システム100の系統の圧損を一定とするように風量調整部51を制御し、清浄空気10Eの供給先における圧力を一定にできる。従って、火山灰除去システム100は、差圧による居室の扉開閉への影響を回避し、建屋内の圧力変動の抑制に寄与できる。
【0029】
以上説明したように、実施形態の火山灰除去システム100は、火山灰を含む空気10Aを吸い込む送風装置1と、送風装置1により吸い込まれた火山灰を含む空気10Aに水を供給する水供給装置2と、送風装置1の下流に接続されて水と共に火山灰10Cbを空気10Caから分離する分離装置3と、を含む。
【0030】
従って、実施形態の火山灰除去システム100によれば、送風装置1により吸い込まれた火山灰を含む空気10Aに対して水供給装置2により水を供給し、分離装置3により水と共に火山灰10Cbを空気10Caから分離することで、フィルタを用いなくても火山灰10Cbを確実に除去できる。
【0031】
実施形態の火山灰除去システム100では、水供給装置2は、送風装置1に設けられる。
【0032】
従って、実施形態の火山灰除去システム100によれば、送風装置1により火山灰を含む空気10Aを送りながら水を供給することで、火山灰を含む空気10Aと水を攪拌して混ぜるため、流動性を有する火山灰ミスト10Bを分離装置3に供給できる。
【0033】
実施形態の火山灰除去システム100では、水供給装置2は、送風装置1および分離装置3に設けられる。
【0034】
従って、実施形態の火山灰除去システム100によれば、送風装置1により火山灰を含む空気10Aを送りながら水を供給することで、火山灰を含む空気10Aと水を攪拌して混ぜるため、流動性を有する火山灰ミスト10Bを分離装置3に供給できる。しかも、実施形態の火山灰除去システム100によれば、分離装置3において水を供給することで、より流動性を有する火山灰ミスト10Bとし、水を伴った火山灰10Cbと空気10Caとの分離効果を向上できる。
【0035】
実施形態の火山灰除去システム100では、分離装置3は、円筒形状に形成された容器31と、容器31の内部で上下に連続する螺旋形状の通路33を形成する邪魔板32と、螺旋形状の通路33の下端に設けられて送風装置1の排出口11Bに接続される入口部31Aと、螺旋形状の通路33の上端に設けられて容器31の外部に通じる出口部31Bと、を含む。
【0036】
従って、実施形態の火山灰除去システム100によれば、分離装置3は、送風装置1の排出口11Bに接続される入口部31Aから螺旋形状の通路33の下端に火山灰を含む空気10Aを送り、当該螺旋形状の通路33の下端に至る過程で邪魔板32により水と共に火山灰10Cbを空気10Caと分離する。この結果、実施形態の火山灰除去システム100によれば、重力を用いて水を伴う火山灰10Cbを空気10Caから分離するため、フィルタを用いずに火山灰10Cbを確実に除去できる。
【0037】
実施形態の火山灰除去システム100では、分離装置3は、邪魔板32の板面(傾斜面32a)から突出する分離部材36を含む。
【0038】
従って、実施形態の火山灰除去システム100によれば、分離部材36によって邪魔板32の板面に沿って送られる火山灰10Cbを水と共に空気10Caから分離する。この結果、実施形態の火山灰除去システム100によれば、空気10Caから水を伴う火山灰10Cbをより確実に除去できる。
【0039】
実施形態の火山灰除去システム100では、分離装置3は、容器31の下端に設けられた貯留部34と、貯留部34から容器31の外部に引き出された排水トラップ部35と、を含む。
【0040】
従って、実施形態の火山灰除去システム100によれば、排水トラップ部35により、貯留部34側に空気10Caが通過することを防止できる。実施形態の火山灰除去システム100によれば、排水トラップ部35は、排水を溜めて空気10Caの通過を防止するため、空気10Caとの分離しながら水を伴う火山灰10Cbを連続して排出できる。しかも、実施形態の火山灰除去システム100によれば、排水トラップ部35は、水を伴う火山灰10Cbを連続して排出するため、弁や逆止弁などの機械的構成を用いることがなく、機械的構成に水を伴う火山灰10Cbが付着することによる機能不具合を抑止できる。
【0041】
実施形態の火山灰除去システム100では、送風装置1,1’は、回転機器により送風する遠心ファン、または圧縮空気10Hにより送風するエアジェットが適用される。
【0042】
従って、実施形態の火山灰除去システム100によれば、遠心ファンにより、遠心力により火山灰を水と攪拌できる。また、実施形態の火山灰除去システム100によれば、エアジェットにより、回転機械を駆動する駆動装置を用いることなく予め圧縮した圧縮空気10Hで送風できる。
【0043】
実施形態の火山灰除去システム100では、分離装置3に接続されて火山灰10Cbが分離された空気10Caを通過させるフィルタ4をさらに含む。
【0044】
従って、実施形態の火山灰除去システム100によれば、フィルタ4を用いることで、火山灰10Cbが分離された空気10Caに含まれる粒子を捕捉でき、空気10Caを清浄できる。実施形態の火山灰除去システム100によれば、分離装置3で火山灰10Cbが分離された空気10Caをフィルタ4に通過させるため、当該フィルタ4の目詰まりは生じ難く、フィルタ4の管理を容易に行える。
【0045】
実施形態の火山灰除去システム100では、フィルタ4の下流の流路(ダクト7)に設けられた風量調整部51と、分離装置3および風量調整部51を含む流路の差圧を計測する差圧計測部52と、差圧計測部52による計測結果に基づき風量調整部51の開度を制御する制御部53と、を含む。
【0046】
従って、実施形態の火山灰除去システム100によれば、フィルタ4による圧損変動に対して、システムの系統の圧損を一定とするように風量調整部51を制御し、空気の供給先における圧力を一定にできる。この結果、実施形態の火山灰除去システム100によれば、差圧による供給先の居室の扉開閉への影響を回避し、建屋内の圧力変動の抑制に寄与できる。
【0047】
実施形態の火山灰除去方法は、火山灰を含む空気10Aを送る工程と、火山灰を含む空気10Aに水を供給する工程と、水と共に火山灰を空気から分離する工程と、を含む。
【0048】
従って、実施形態の火山灰除去方法によれば、火山灰を含む空気10Aに対して水を供給し、水と共に火山灰10Cbを空気10Caから分離することで、フィルタを用いなくても火山灰10Cbを確実に除去できる。
【符号の説明】
【0049】
1,1’ 送風装置
2 水供給装置
3 分離装置
31 容器
31A 入口部
31B 出口部
32a 傾斜面(板面)
32 邪魔板
33 通路
34 貯留部
35 排水トラップ部
36 分離部材
4 フィルタ
51 風量調整部
52 差圧計測部
53 制御部
100 火山灰除去システム
図1
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図8