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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109481
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】組立式紙函
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/66 20060101AFI20220721BHJP
   B65D 5/02 20060101ALI20220721BHJP
   B65D 5/44 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
B65D5/66 301K
B65D5/02 N
B65D5/44 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004820
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】521023403
【氏名又は名称】シナノ紙工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100211719
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 和真
(72)【発明者】
【氏名】佐野 洋平
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB03
3E060BA21
3E060BB03
3E060BB05
3E060BC02
3E060CD10
3E060DA04
3E060DA30
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】ダンボール紙で形成され、扁平に折り畳まれた状態で保管、移送が行える紙函において、組み立て後の曲面蓋構造によって優れた外観意匠性を実現可能な組立式紙函を提供する。
【解決手段】本開示の組立式紙函1は、側面板10、底面板20、及び頂面板30を有する本体部材100と、第1保持板50及び第2保持板60を有する保持部材200と、を備える。そして、保持部材200は、第1保持板50が凸部折線51を介して凸形状に折り曲げられた状態において、一対の第2保持板60の夫々に設けられた掛止部62が掛止され、本体部材100は、頂面板30が凸形状に形成された第1保持板50に沿って湾曲した状態において、保持部材200と結合される。そして、これら頂面板30及び保持部材200によって、紙函として組み立てられた状態における曲面蓋が構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板シートに波形シートが挟み込まれた段ボール紙によって形成され、紙函として組み立てられた状態において、該平板シートの一方のシートである内側シートが該紙函の内面に設けられる組立式紙函であって、
略矩形の側面板と、該側面板の一方の長辺に折線を介して連設された底面板と、該側面板の他方の長辺に折線を介して連設された頂面板と、を有する本体部材と、
紙函として組み立てられた状態において前記頂面板の前記内側シート側に凸形状で配置される保持板であって、該凸形状を形成するために折り曲げられる凸部折線を有する第1保持板と、前記第1保持板において前記凸部折線と略直行する辺に折線を介して連設された保持板であって、該凸部折線を挟むように一対に形成された第2保持板と、前記本体部材に固定される固定部と、を有する保持部材と、
を備え、
前記保持部材は、
前記第1保持板が前記凸部折線を介して凸形状に折り曲げられた状態において、一対の前記第2保持板の夫々に設けられた掛止部が掛止されることで、凸形状を形成し、
前記本体部材は、
前記頂面板の前記内側シートに、該頂面板と前記側面板との間の前記折線と略平行に所定の間隔で複数の切込線が形成され、
前記頂面板が、凸形状に形成された前記保持部材における前記第1保持板に沿って湾曲した状態において、前記固定部を介して前記保持部材と結合し、
前記本体部材の前記頂面板と、前記保持部材と、によって、紙函として組み立てられた状態における曲面蓋が構成される、
組立式紙函。
【請求項2】
前記固定部は、
前記本体部材の前記側面板に係止される係止板であって、前記第1保持板において前記凸部折線と略平行な平行辺の一方に折線を介して連設された第1係止板と、
前記頂面板に設けられた係止板である第2係止板を係止する係止溝であって、前記第1保持板において前記平行辺の他方の側に設けられた係止溝と、
を有する、請求項1に記載の組立式紙函。
【請求項3】
前記保持部材は、
前記第2保持板を包み込んで配置されることで前記曲面蓋の側面を構成する板であって、その爪部が、凸形状に折り曲げられた前記第1保持板の挿入溝に挿入される第3保持板を、更に有する、
請求項1又は請求項2に記載の組立式紙函。
【請求項4】
紙函として組み立てられた状態における該紙函の横幅方向の長さを横幅長さとしたとき、
前記第1保持板の前記横幅長さは、前記頂面板の前記横幅長さよりも短くされる、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の組立式紙函。
【請求項5】
紙函として組み立てられた状態において該紙函の外面に設けられる前記平板シートである外側シートには、所定の形状の切抜きが形成される、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の組立式紙函。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンボール紙を使用した包装材に係り、紙函本体の外観意匠性に優れた組立式紙函に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品類、化粧品類、雑貨類などの包装材には、金属缶やプラスチック成形品による容器が用いられることがある。しかしながら、これら容器は嵩高いため、保管場所の確保が困難になったり輸送コストが高くなる傾向にある。一方、板紙等シート状部材を組み立てて立体的に形成された商品の流通および展示用紙函が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、商品の収納や集積輸送用のための集積輸送包装カートンであって、前面板、左右両側面板、背面板に亘って連続する切離部を切り離すことにより上下に分離可能なディスプレイカートンが開示されている。この技術では、切離部の下側に、カートンを構成する面板より前方に飛び出し可能な表示板が設けられ、該表示板を立体的に飛び出させることにより、アイキャッチとしての展示効果が高められる。
【0004】
また、特許文献2には、設計通りの位置に折り目を入れることができる、ダンボール紙を使用した圧縮強度の強い包装箱に関する技術が開示されている。この技術によれば、ダンボール紙の波形の溝が、シートの縦横方向ではなく、シートの縦横方向に対して45度のバイヤスに形成されることで、波形の溝と折り目との干渉が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-986号公報
【特許文献2】登録実用新案第3109087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来から知られている、板紙等シート状部材を組み立てて立体的に形成された紙函は、多角形状の容器であって(例えば、特許文献1)、このような紙函では外観意匠性に優れた曲面形状を形成、保持することが難しかった。特に、紙函がダンボール紙で形成される場合には、強度および緩衝部材として機能する波形シートの存在により、外観意匠性に優れた曲面形状を形成、保持することが一層難しかった。このように、ダンボール紙で形成される紙函において優れた外観意匠性を実現する技術については、未だ改良の余地を残すものである。
【0007】
また、包装容器によるアイキャッチとしての展示効果は、商品の販売分野のみならずエンターテインメントの分野でも、その効果を発揮し得る。例えば、体験型のアトラクションとしての宝探しゲームでは、宝箱がリアルに再現されることが望ましい(これにより、参加者は、よりリアリティをもって疑似体験をすることができる。)。ここで、仮に宝箱が金属缶やプラスチック成形品によって形成されると、ゲームの安全性が損なわれてしまう虞がある。例えば、参加者が子供である場合には、ゲーム中に転倒して宝箱と衝突してしまう事態が生じ得る。そこで、耐久性および緩衝性を備え且つ軽量なダンボール紙函による、リアルな曲面蓋構造を有する宝箱が望まれていた。
【0008】
本開示の目的は、ダンボール紙で形成され、扁平に折り畳まれた状態で保管、移送が行える紙函において、組み立て後の曲面蓋構造によって優れた外観意匠性を実現可能な組立式紙函を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の組立式紙函は、平板シートに波形シートが挟み込まれた段ボール紙によって形成され、紙函として組み立てられた状態において、該平板シートの一方のシートである内側シートが該紙函の内面に設けられる組立式紙函である。そして、この組立式紙函は、略矩形の側面板と、該側面板の一方の長辺に折線を介して連設された底面板と、該側面板の他方の長辺に折線を介して連設された頂面板と、を有する本体部材と、紙函として組み立てられた状態において前記頂面板の前記内側シート側に凸形状で配置される保持板であって、該凸形状を形成するために折り曲げられる凸部折線を有する第1保持板と、前記第1保持板において前記凸部折線と略直行する辺に折線を介して連設された保持板であって、該凸部折線を挟むように一対に形成された第2保持板と、前記本体部材に固定される固定部と、を有する保持部材と、を備える。ここで、前記保持部材は、前記第1保持板が前記凸部折線を介して凸形状に折り曲げられた状態において、一対の前記第2保持板の夫々に設けられた掛止部が掛止されることで、凸形状を形成し、前記本体部材は、前記頂面板の前記内側シートに、該頂面板と前記側面板との間の前記折線と略平行に所定の間隔で複数の切込線が形成され、前記頂面板が、凸形状に形成された前記保持部材における前記第1保持板に沿って湾曲した状態において、前記固定部を介して前記保持部材と結合し、前記本体部材の前記頂面板と、前記保持部材と、によって、紙函として組み立てられた状態における曲面蓋が構成される。
【0010】
上記の組立式紙函は、紙函として組み立てられた状態において曲面蓋構造を有するものであって、該曲面蓋構造が保持部材によって保持される。ここで、この曲面蓋構造を再現性良く安定して実現するためには、第1保持板が凸部折線に沿って所定の角度で折り曲げられた状態が保持される必要がある。しかしながら、第1保持板が凸部折線に沿って折り曲げられるのみでは、折り曲げられた該第1保持板が段ボール紙の反発で広がってしまう虞がある。そこで、第1保持板が凸部折線を介して凸形状に折り曲げられた状態において、一対の第2保持板の夫々に設けられた掛止部が掛止されることで、該第2保持板が、第1保持板が段ボール紙の反発で広がってしまう事態を抑制するストッパーとして機能することになり、以て、凸形状に形成された保持部材(第1保持板)を保持することができる。そして、凸形状に形成された保持部材には、本体部材の頂面板が第1保持板に沿って湾曲した状態で固定される。このとき、頂面板の内側シートに所定の間隔で複数の切込線が形成されていることで、該頂面板が第1保持板に沿ってスムーズに湾曲されることになる。以上に述べた組立式紙函によれば、ダンボール紙で形成される紙函であっても、外観意匠性に優れた曲面形状を形成、保持することができる。そして、このような紙函は、ダンボール紙の波形シートによる強度、耐久性および緩衝性を備え、且つリアルな曲面蓋構造による外観意匠性を実現するものである。
【0011】
なお、本開示の組立式紙函では、上記の構成において、前記固定部は、前記本体部材の前記側面板に係止される係止板であって、前記第1保持板において前記凸部折線と略平行な平行辺の一方に折線を介して連設された第1係止板と、前記頂面板に設けられた係止板である第2係止板を係止する係止溝であって、前記第1保持板において前記平行辺の他方の側に設けられた係止溝と、を有してもよい。
【0012】
また、本開示の組立式紙函では、上記の構成において、前記保持部材は、前記第2保持板を包み込んで配置されることで前記曲面蓋の側面を構成する板であって、その爪部が、凸形状に折り曲げられた前記第1保持板の挿入溝に挿入される第3保持板を、更に有してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、ダンボール紙で形成され、扁平に折り畳まれた状態で保管、移送が行える紙函において、組み立て後の曲面蓋構造によって優れた外観意匠性を実現可能な組立式紙函を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態における組立式紙函の概略構成を示す図である。
図2】第1実施形態における組立式紙函の展開平面図である。
図3】第1実施形態における第2保持板を説明するための図である。
図4】第1実施形態における第3保持板を説明するための図である。
図5】本体部材と保持部材との結合を説明するための図である。
図6】第2実施形態における組立式紙函の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0016】
<第1実施形態>
第1実施形態における組立式紙函の概要について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における組立式紙函の概略構成を示す図である。本実施形態に係る組立式紙函1は、平板シートに波形シートが挟み込まれた段ボール紙によって形成される組立式紙函であって、本体部材100と、保持部材200と、を備える。ここで、本実施形態に係る組立式紙函1は、紙函として組み立てられた状態において曲面蓋構造を有するものであって、該曲面蓋構造が保持部材200によって保持される。
【0017】
本体部材100は、側面板10と、底面板20と、頂面板30と、を有する。そして、本体部材100を形成する段ボール紙が有する平板シートのうちの一方のシートであって、組立式紙函1が紙函として組み立てられた状態において該紙函の内面に設けられる内側シート2には、後述する切込線3が形成される。
【0018】
ここで、図1に示す本体部材100の組み立てについて、図2に基づいて説明する。図2は、本実施形態における組立式紙函1の展開平面図である。本体部材100の展開平面図を示す図2(a)によれば、側面板10は、長辺10aと短辺10bとを有する略矩形に形成される。そして、側面板10の長辺10aの一方には、折線を介して底面板20が連設されている。また、側面板10の長辺10aの他方には、折線を介して頂面板30および折返し側面板11が連設されている。ここで、折返し側面板11は、折線によって側面板10に対して180°折り曲げられる側面板であって、保持部材200を固定するために用いられる。また、頂面板30の先端30aは、折り返し可能に構成されるとともに、該先端30aには、後述する係止溝52に係止される第2係止板31が設けられる。更に、頂面板30には、後述する第3係止板53を係止するための第2係止溝32が形成される。そして、側面板10の一方の短辺10bには、折線を介して貼付板12が連設されていて、該貼付板12が他方の短辺10b側の側面板10に貼り付けられることで、側面板10が組み立てられる。更に、側面板10が組み立てられた状態において、底面板20が折線に沿って90°折り曲げられることで、本体部材100が組み立てられる。なお、図2における破線は、折線を示している。
【0019】
図1に戻って、保持部材200は、組立式紙函1が紙函として組み立てられた状態において頂面板30の内側シート2側に凸形状で配置される第1保持板50を有する。この第1保持板50は、凸形状を形成するために折り曲げられる凸部折線51を有する。
【0020】
ここで、第1保持板50が上記の凸部折線51に沿って折り曲げられることで、図1に示すような凸形状が形成され得るが、このように折り曲げられるのみでは該凸形状の保持が困難であった。そこで、保持部材200は、第2保持板60を更に有する。この第2保持板60の詳細については、後述する。
【0021】
また、保持部材200は、本体部材100に固定される固定部を有する。この固定部は、第1係止板70と、係止溝52と、によって構成される。なお、これらの詳細についても後述する。
【0022】
次に、図2(b)および、図3に基づいて、第2保持板60の詳細を説明する。図3は、本実施形態における第2保持板60を説明するための図である。なお、第2保持板60の説明のため、図3では、後述の第3保持板63と、第1係止板70の図示を省略している。
【0023】
第2保持板60は、掛止板61を有して構成され、該掛止板61は、図2(b)に示すように、第1保持板50において凸部折線51と略直行する辺50aに折線を介して連設されていて、該凸部折線51を挟むように一対に形成される。
【0024】
ここで、掛止板61には、凸部折線51を挟むように一対に形成される該掛止板61を掛止可能とする掛止溝62(本開示の掛止部)が設けられる。この掛止溝62は、鍵形状の切込みであって、図3に示すように、第1保持板50が凸部折線51を介して凸形状に折り曲げられた状態において、対となる掛止板61の一方に設けられた掛止溝62が上方(組立後の組立式紙函1における頂面側)に開口し、対となる掛止板61の他方に設けられた掛止溝62が下方(組立後の組立式紙函1における底面側)に開口することで、これら掛止溝62が掛止可能となる。つまり、第1保持板50が凸部折線51を介して凸形状に折り曲げられた状態において、一対の第2保持板60の夫々に設けられた掛止部が掛止されることになる。これにより、保持部材200が凸形状に形成される。
【0025】
上述したように、第1保持板50が凸部折線51に沿って折り曲げられるのみでは、該第1保持板50を凸形状に保持することが困難であった。詳しくは、本実施形態に係る組立式紙函1は、紙函として組み立てられた状態において曲面蓋構造を有するものであって、該曲面蓋構造が保持部材200によって保持されることになる。そして、この曲面蓋構造を再現性良く安定して実現するためには、第1保持板50が凸部折線51に沿って所定の角度(例えば、図3に示す凸部折線51間の平面に対して40°~50°)で折り曲げられた状態が保持される必要がある。しかしながら、第1保持板50が凸部折線51に沿って折り曲げられるのみでは、折り曲げられた該第1保持板50が段ボール紙の反発で広がってしまう虞がある。一方、仮に凸部折線51が折線ではなく深い切込みであった場合には、第1保持板50が完全に折れ曲がってしまい、やはり凸部折線51に沿って所定の角度で折り曲げられた状態が保持され難くなる。これに対して、上述したように第2保持板60が掛止されると、該第2保持板60が、第1保持板50が段ボール紙の反発で広がってしまう事態を抑制するストッパーとして機能することになり、以て、凸形状に形成された保持部材200(第1保持板50)を保持することができる。
【0026】
また、本実施形態における保持部材200は、更に、第3保持板63を有してもよい。この第3保持板63について、図2(b)および、図4に基づいて説明する。図4は、本実施形態における第3保持板63を説明するための図である。本実施形態の第3保持板63は、図2(b)に示すように、凸部折線51間の平面に折線を介して連設される板であって、該折線側が略半円形状に形成される。一方、第3保持板63において、前記の折線と反対側は略三角形状に形成され、この略三角形状と前記の略半円形状とが、2本の折線を介して繋がっている。そして、第3保持板63の略三角形状の斜辺には爪部63aが設けられる。
【0027】
そして、図4に示すように、第3保持板63は、その爪部63aが、凸形状に折り曲げられた第1保持板50の挿入溝50bに挿入される。これによっても、第3保持板63が、第1保持板50が段ボール紙の反発で広がってしまう事態を抑制するストッパーとして機能することになる。そして、上述した第2保持板60と、この第3保持板63と、を用いることで、より好適に凸形状に形成された保持部材200(第1保持板50)を保持することができる。また、図4に示すように、第3保持板63は、第2保持板60を包み込んで配置される。これにより、第3保持板63が、組立式紙函1が紙函として組み立てられた状態における曲面蓋の側面を構成することになる。
【0028】
次に、本実施形態の組立式紙函1における、本体部材100と保持部材200との結合について、図5に基づいて説明する。図5は、本体部材100と保持部材200との結合を説明するための図である。
【0029】
本体部材100と保持部材200との結合においては、図5(a)に示すように、保持部材200の第1係止板70が、本体部材100の側面板10に係止される。詳しくは、上述したように貼付板12が貼り付けられることで組み立てられた側面板10に、第1係止板70が対面するように保持部材200が配置される。そして、折返し側面板11が折線によって側面板10に対して180°折り曲げられることで、第1係止板70が、側面板10と折返し側面板11との間に挟み込まれる。その結果、第1係止板70が本体部材100の側面板10に係止されることになる。なお、上記の説明のため、図5(a)では、頂面板30の図示を省略している。また、第1係止板70は、図2(b)に示すように、第1保持板50において凸部折線51と略平行な平行辺の一方に折線を介して連設されている。
【0030】
更に、図5(b)に示すように、保持部材200の係止溝52が、本体部材100の頂面板30に設けられた第2係止板31を係止する。詳しくは、頂面板30が、凸形状に形成された保持部材200における第1保持板50に沿って湾曲される。そして、頂面板30の先端30aが、該頂面板30の内側シート2側に折り返される。このように、頂面板30の先端30aが折り返された状態で、その先端30aに設けられた第2係止板31が、保持部材200の係止溝52に係止される。その結果、係止溝52が本体部材100の第2係止板31を係止することになる。なお、係止溝52は、図2(b)に示すように、第1保持板50において上記の平行辺の他方の側に設けられている。また、本実施形態の組立式紙函1によれば、このとき、更に、保持部材200の第3係止板53が、本体部材100の第2係止溝32に挿入される。以上に述べた本体部材100と保持部材200との結合方法によれば、接着剤等で貼り付ける手間なく比較的簡単に紙函の曲面蓋を形成することができる。
【0031】
ここで、頂面板30の内側シート2には、上記の図1に示したように、該頂面板30と側面板10との間の折線と略平行に所定の間隔で複数の切込線3が形成される。この切込線3は、組立式紙函1の頂面板30を構成する段ボール紙が有する平板シートのうちの内側シート2のみに形成されたものであって、且つ該シートを完全に切断するものではない所謂半切れ刃である。そして、このような切込線3が形成されることによって、頂面板30が第1保持板50に沿ってスムーズに湾曲されることになる。また、切込線3が内側シート2のみに形成されることによって、該切込線3が外観に露出することがないため、組立式紙函1の外観意匠性が高められる。
【0032】
以上に述べたようにして本体部材100と保持部材200とが結合されると、図5(c)に示すように、曲面蓋を有する紙函1が形成される。この曲面蓋は、本体部材100の頂面板30と、保持部材200と、によって、構成される。詳しくは、湾曲された頂面板30が保持部材200に固定されることで、その湾曲状態が保持され、保持部材200の第3保持板63が曲面蓋の側面を構成する。これによれば、ダンボール紙で形成される紙函であっても、外観意匠性に優れた曲面形状を形成、保持することができる。そして、このような紙函は、ダンボール紙の波形シートによる強度、耐久性および緩衝性を備え、且つリアルな曲面蓋構造による外観意匠性を実現するものである。
【0033】
そして、本開示の組立式紙函は、上記の図2に示した展開平面図を折線に沿って折り曲げていくことで、比較的簡単に組み立てることができる。また、このように平面に展開された段ボール紙では、波形シートを挟み込む平面シートを機械貼りすることが可能となるため、好適に量産することができる。
【0034】
このような、曲面蓋構造によって優れた外観意匠性が実現される組立式紙函1は、食品類、化粧品類、雑貨類などの包装容器として優れた展示効果を発揮し得る。また、扁平に折り畳まれた状態で保管、移送が行えるため、保管場所の確保が容易で且つ輸送コストを抑制することができる。
【0035】
なお、上記の説明では、本体部材100に固定される固定部として、第1係止板70や係止溝52等を用いる例を説明したが、本開示の固定部をこれらに限定する意図はなく、固定部は、保持部材200を本体部材100に固定できるものであれば、その種類は問わない。また、上記に述べた保持部材200では、第2保持板60と、第3保持板63と、を用いることで、より好適に凸形状が保持され得るが、保持部材200は、第2保持板60のみによって構成されてもよい。一方、第3保持板63が用いられると、該第3保持板63が第2保持板60を包み込んで配置されることで紙函の曲面蓋の側面を構成することになるため、該紙函の外観意匠性をより優れたものにすることができる。
【0036】
また、本実施形態の組立式紙函1では、紙函として組み立てられた状態における該紙函の横幅方向の長さを横幅長さとしたとき、第1保持板50の横幅長さを頂面板30の横幅長さよりも短くすることができる。これによれば、組立式紙函1が組み立てられた状態において、保持部材200が横幅方向に本体部材100からはみ出すことがなく、紙函の外観意匠性が高められる。
【0037】
以上に述べた組立式紙函1によれば、ダンボール紙で形成され、扁平に折り畳まれた状態で保管、移送が行える紙函において、組み立て後の曲面蓋構造によって優れた外観意匠性を実現することができる。
【0038】
<第2実施形態>
第2実施形態における組立式紙函の概要について、図6を参照しながら説明する。図6は、本実施形態における組立式紙函の概略構成を示す図である。本実施形態に係る組立式紙函1は、上述した第1実施形態と同様に構成される組立式紙函に対して、更に、外側シートに所定の形状の切抜きが形成される。ここで、外側シートとは、組立式紙函1が紙函として組み立てられた状態において、該紙函の外面に設けられる平板シートである。
【0039】
図6によると、本体部材100を構成する側面板10の外側シートや、頂面板30の外側シート、また、保持部材200を構成する第3保持板63の外側シートに切抜き4が形成されている。なお、切抜き4の形状には、矩形、円形や、鍵穴形状等、紙函の外観に意匠性を与え得る形状を用いることができる。ここで、本開示の組立式紙函は、平板シートに波形シートが挟み込まれた段ボール紙によって形成される。そのため、切抜き4が形成された部分は波形シートが外観に露出することになる。そうすると、外観に露出した波形シートが、切抜き4の形状を際立たせるように作用するとともに見た目のインパクトとなり、紙函の外観意匠性が高められる。なお、平板シートとは異なる色彩で予め着色された波形シートを有する段ボール紙を用いて、組立式紙函1が形成されてもよい。これによれば、予め着色することにより量産性を高めながら、切抜き4により外観に露出する波形シートを際立たせることができ、紙函の外観意匠性が高められる。
【0040】
<その他の変形例>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。上記の実施形態では、組立式紙函が、食品類、化粧品類、雑貨類などの包装容器として用いられる例について説明したが、本開示の組立式紙函は、エンターテインメントの分野で用いられてもよい。例えば、体験型のアトラクションとしての宝探しゲームでは、本開示の組立式紙函が用いられることで、宝箱をリアルに再現することができる。また、子供向けの玩具として、宝箱のように装飾された組立式紙函が用いられてもよい。この場合、耐久性および緩衝性を備え且つ軽量なダンボール紙函による、リアルな曲面蓋構造を有する宝箱を再現することができる。
【符号の説明】
【0041】
1・・・・・組立式紙函
2・・・・・内側シート
3・・・・・切込線
10・・・・側面板
20・・・・底面板
30・・・・頂面板
50・・・・第1保持板
51・・・・凸部折線
60・・・・第2保持板
61・・・・掛止板
62・・・・掛止溝
100・・・本体部材
200・・・保持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6