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特開2022-109493食品加工システムおよび食品加工設備
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109493
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】食品加工システムおよび食品加工設備
(51)【国際特許分類】
   A22C 18/00 20060101AFI20220721BHJP
   A22C 7/00 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
A22C18/00
A22C7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004835
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】三谷 卓
(72)【発明者】
【氏名】荻山 雅和
(72)【発明者】
【氏名】越智 一志
(72)【発明者】
【氏名】村上 勝
(72)【発明者】
【氏名】三輪 保生
(72)【発明者】
【氏名】武智 清治
(72)【発明者】
【氏名】廣田 幹司
(72)【発明者】
【氏名】武田 善博
(72)【発明者】
【氏名】松本 美佳
(72)【発明者】
【氏名】牧野 伸司
(72)【発明者】
【氏名】徳永 直樹
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正路
(72)【発明者】
【氏名】金野 奈美
(57)【要約】      (修正有)
【課題】省力化・省人化が可能な食品加工システムおよび食品加工設備を提供すること。
【解決手段】枝肉または部分肉等の第1食品原料MF1を加工工程へ向けて搬送する第1搬送工程A1と、第1搬送工程A1による搬送後の第1食品原料MF1を切断して食品片m1を切り出す切断工程Cと、切断工程Cから切り出された食品片m1を容器tに収容する第1収容工程D1と、第1収容工程D1による食品片m1収容後の容器tを加工工程から搬出する第1搬出工程E1との各工程が互いに同期して自動的に行われる食品加工システムとする。また、第1搬送工程A1による搬送途中または搬送終端付近で第1食品原料MF1を切断工程Cへの供給に適した状態に調整する調整工程Bが備えられ、各工程が互いに同期して自動的に行われるものとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枝肉または部分肉等の第1食品原料(MF1)を加工工程へ向けて搬送する第1搬送工程(A1)と、この第1搬送工程(A1)による搬送後の第1食品原料(MF1)を切断して食品片(m1)を切り出す切断工程(C)と、この切断工程(C)から切り出された食品片(m1)を容器(t)に収容する第1収容工程(D1)と、この第1収容工程(D1)による食品片(m1)収容後の容器(t)を加工工程から搬出する第1搬出工程(E1)との各工程が互いに同期して自動的に行われる食品加工システム。
【請求項2】
前記第1搬送工程(A1)による搬送途中または搬送終端付近で第1食品原料(MF1)を前記切断工程(C)への供給に適した状態に調整する調整工程(B)が備えられ、前記各工程が互いに同期して自動的に行われる請求項1に記載の食品加工システム。
【請求項3】
前記調整工程(B)で第1食品原料(MF1)から分離された原料片(m2)を選別する選別工程(F)が備えられ、この選別工程(F)による選別後の原料片(m2)が原料片搬送工程(G)に供給される請求項2に記載の食品加工システム。
【請求項4】
前記調整工程(B)に備えた調整用ロボット(B1)によって、第1食品原料(MF1)が自動的に調整され、前記調整工程(B)と切断工程(C)の間に備えた選別用ロボット(F1)によって、第1食品原料(MF1)から分離された原料片(m2)が前記原料片搬送工程(G)に供給される請求項3に記載の食品加工システム。
【請求項5】
冷凍肉等の第2食品原料(MF2)を加工工程へ向けて搬送する第2搬送工程(A2)と、この第2搬送工程(A2)によって搬送された第2食品原料(MF2)を破砕して挽き、挽肉様食品(m3)に形成する挽き工程(H)と、この挽き工程(H)によって形成された挽肉様食品(m3)を容器(t)に収容する第2収容工程(D2)と、この第2収容工程(D2)による挽肉様食品(m3)収容後の容器(t)を加工工程から搬出する第2搬出工程(E2)との各工程が互いに同期して自動的に行われる請求項3または請求項4に記載の食品加工システム。
【請求項6】
前記原料片搬送工程(G)から搬送された原料片(m2)が前記第2搬送工程(A2)に供給され第2食品原料(MF2)と共に挽き工程(H)に供給される請求項5に記載の食品加工システム。
【請求項7】
前記第1搬送工程(A1)および前記第2搬送工程(A2)の上流側に備えた貯蔵工程(I)に、チルド状態の第1食品原料(MF1)と冷凍状態の第2食品原料(MF2)を貯蔵し、この貯蔵工程(I)から前記第1搬送工程(A1)と第2搬送工程(A2)の夫々に第1食品原料(MF1)と第2食品原料(MF2)が自動的に送り出される請求項5または請求項6に記載の食品加工システム。
【請求項8】
前記第1搬送工程(A1)と、第2搬送工程(A2)と、第1搬出工程(E1)と、第2搬出工程(E2)と、前記第1搬出工程(E1)から搬出された食品片(m1)収容後の容器(t)と前記第2搬出工程(E2)から搬出された挽肉様食品(m3)収容後の容器(t)を出荷工程(J)側へ向けて搬出する第3搬出工程(E3)とのうちの少なくとも一つの工程における雰囲気が低温に維持される請求項5または請求項6または請求項7に記載の食品加工システム。
【請求項9】
前記各工程の状態が独立して制御されると共に、これら各工程の制御状態が統括制御される請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の食品加工システム。
【請求項10】
前記各工程の稼働状態や異常発生状態などの状態を、各工程から隔離された位置から監視可能とした請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の食品加工システム。
【請求項11】
枝肉または部分肉等の第1食品原料(MF1)を加工工程へ向けて搬送する第1搬送装置(A11)と、この第1搬送装置(A11)による搬送後の第1食品原料(MF1)を切断して食品片(m1)を切り出す切断装置(C11)と、この切断装置(C11)から切り出された食品片(m1)を容器(t)に収容する第1収容装置(D11)と、この第1収容装置(D11)による食品片(m1)収容後の容器(t)を加工工程から搬出する第1搬出装置(E11)と、前記第1搬送装置(A11)と切断装置(C11)と第1収容装置(D11)と第1搬出装置(E11)とを同期制御する第1制御装置(K11)を備えた食品加工設備。
【請求項12】
前記第1搬送装置(A11)による搬送途中または搬送終端付近で第1食品原料(MF1)を前記切断装置(C11)への供給に適した状態に調整する調整装置(B11)を備え、前記第1搬送装置(A11)と調整装置(B11)と切断装置(C11)と第1収容装置(D11)と第1搬出装置(E11)とが同期制御される構成とした請求項11に記載の食品加工設備。
【請求項13】
前記調整装置(B11)によって第1食品原料(MF1)から分離された原料片(m2)を選別する選別装置(F11)を備え、この選別装置(F11)による選別後の原料片(m2)を原料片搬送装置(G11)に供給する構成とした請求項12に記載の食品加工設備。
【請求項14】
前記調整装置(B11)として、第1食品原料(MF1)を自動的に調整する調整用ロボット(B1)を備え、この調整用ロボット(B1)と切断装置(C11)の間に、第1食品原料(MF1)から分離された原料片(m2)を前記原料片搬送装置(G11)に供給する選別用ロボット(F1)を備えた請求項13に記載の食品加工システム。
【請求項15】
冷凍状態の第2食品原料(MF2)を加工工程へ向けて搬送する第2搬送装置(A22)と、この第2搬送装置(A22)によって搬送された第2食品原料(MF2)を破砕して挽き、挽肉様食品(m3)に形成する挽き装置(H11)と、この挽き装置(H11)によって形成された挽肉様食品(m3)を容器(t)に収容する第2収容装置(D22)と、この第2収容装置(D22)による挽肉様食品(m3)収容後の容器(t)を加工工程から搬出する第2搬出装置(E22)との各装置が同期制御される構成とした請求項13または請求項14に記載の食品加工設備。
【請求項16】
前記原料片搬送装置(G11)によって搬送された原料片(m2)を前記第2搬送装置(A22)に供給し、第2食品原料(MF2)と共に挽き装置(H11)に供給する構成とした請求項15に記載の食品加工設備。
【請求項17】
前記第1搬送装置(A11)および前記第2搬送装置(A22)の上流側に、チルド状態の第1食品原料(MF1)と冷凍状態の第2食品原料(MF2)を貯蔵する貯蔵部(I11)を備え、この貯蔵部(I11)から前記第1搬送装置(A11)と第2搬送装置(A22)の夫々に第1食品原料(MF1)と第2食品原料(MF2)を自動的に送り出す構成とした請求項15または請求項16に記載の食品加工設備。
【請求項18】
前記第1搬送装置(A11)と第2搬送装置(A22)と第1搬出装置(E11)と第2搬出装置(E22)のうちの少なくとも一つの装置における雰囲気を低温に維持する低温維持手段(L)を備えた請求項15または請求項16または請求項17に記載の食品加工設備。
【請求項19】
前記第1制御装置(K11)と、前記各装置の夫々を独立して制御する第2制御装置(K22)とを通信手段を介して接続し、この第2制御装置(K22)による各装置の制御状態を第1制御装置(K11)によって統括制御する構成とした請求項11から請求項18のいずれか一項に記載の食品加工設備。
【請求項20】
前記各装置の稼働状態や異常発生状態などの状態監視を行なう監視装置(N11)を各装置から隔離された室(N22)に備え、この監視装置(N11)と前記第1制御装置(K11)または各第2制御装置(K22)とを通信手段を介して接続した請求項11から請求項19のいずれか一項に記載の食品加工設備。
【請求項21】
前記第1制御装置(K11)または第2制御装置(K22)に設定された制御条件を前記監視装置(N11)からの遠隔操作によって変更可能な構成とした請求項20に記載の食品加工設備。
【請求項22】
外部から搬入される枝肉または部分肉等の第1食品原料(MF1)を貯蔵する貯蔵工程(I)と、この貯蔵工程(I)から第1食品原料(MF1)を加工工程へ向けて搬送する第1搬送工程(A1)と、この第1搬送工程(A1)による搬送途中または搬送終端付近で第1食品原料(MF1)を切断加工に適した状態に調整する調整工程(B)と、この調整工程(B)による調整後の第1食品原料(MF1)を切断して食品片(m1)を切り出す切断工程(C)と、この切断工程(C)から切り出された食品片(m1)を容器(t)に収容する第1収容工程(D1)と、この第1収容工程(D1)による食品片(m1)収容後の容器(t)を加工工程から搬出する第1搬出工程(E1)とを備え、前記貯蔵工程(I)に貯蔵されている第1食品原料(MF1)の量と、前記搬送工程(A1)によって搬送される第1食品原料(MF1)の量と、前記調整工程(B)によって調整される第1食品原料(MF1)の量と、前記切断工程(C)から切り出される食品片(m1)の量と、前記収容工程(D1)によって容器に収容される食品片(m1)の量と、前記搬出工程(E1)によって搬出される容器(t)の量とが所定の関係に維持されるように、前記各工程の作動速度または作動タイミングが自動的に調整される食品加工システム。
【請求項23】
枝肉または部分肉等の食品原料(MF1)を搬送する搬送工程(A1)と、この搬送工程(A1)によって搬送された食品原料(MF1)を切断して食品片(m1)を切り出す切断工程(C)と、この切断工程(C)から切り出された食品片(m1)を容器(t)に収容する収容工程(D1)とを備えた加工経路を複数形成し、この複数の加工経路のうちのいずれかに異常が発生した場合に、この異常が発生した加工経路における各工程を自動的に停止し、異常が発生していない他の加工経路での各工程を自動的に増速してこの加工経路における単位時間当たりの加工量を増加する食品加工システム。








【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食肉等の食品を加工する食品加工システムおよび食品加工設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばプロセスセンターと呼ばれる食品加工設備がある。
このような食品加工設備では、枝肉または部分肉等の食品原料を外部から搬入し、冷蔵室または冷凍室に保存しておく。
これを、生産計画に従って作業者が手作業で運び出し、運搬台車に載せて加工工程へ運ぶ。
【0003】
この加工工程には各所に作業者が配置されており、これらの作業者は、運ばれてきた食品原料から、例えば筋や骨片などの不要部分を切除する調整作業を行ない、この調整後の食品原料を切断装置へ供給する。
【0004】
切断装置に供給された食品原料は、この切断装置から食品片として順次切り出され、この切断装置内の食品原料が減少すると、作業者が食品原料を切断装置に手作業で継ぎ足す。
このようにして切り出された多数の食品片を、作業者が手で整え、食品トレー等の容器内に並べ、この容器を搬出用のコンベアに載せる。
【0005】
コンベアに載せられた容器は、加工工程から搬出され、ラップによって包装され、検査装置によって金属片等の異物の混入の有無が検査され、原料種別、消費期限等を印字したラベルが貼られて出荷場へ搬送され、スーパーマーケット等の店舗へ商品として出荷される。
【0006】
なお、このような食肉加工設備の場合、食品衛生上の問題等から、通常、室温は摂氏10度以下の低温に保たれている。
【0007】
このような食品加工設備として、特許文献1には、枝肉を吊り下げ搬送しながら解体する方法と装置が開示されている。
また、特許文献2には、搬送装置上の食品を移動させる補助作業用のロボットを備えた食品搬送システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4437758号公報
【特許文献2】特開2011-251828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のように、従来の食品加工設備では、加工工程の各所に作業者を配置し、食品原料の調整や、切断装置への供給や、容器への収容等を手作業で行なう必要があるため、多数の作業者を雇用せねばならず人件費が嵩む問題を抱えている。
一方、従来の食品加工設備は室温を低温に保つ必要があるため、この中で働く作業者にとって厳しい労働環境であり、このために離職率が高いのが実情である。
【0010】
このような状況のもと、省力化・省人化が可能な食品加工設備が要望されてきたが、上述の特許文献1および2に開示された技術では加工工程の局所を自動化するに止まるため、この要望に応えることができない。
また、複数の加工工程から一連の加工経路を形成し、この加工経路を複数併設した食品加工設備では、いずれかの加工経路が異常の発生等によって停止すると、設備全体の生産能力が低下してしまう。
【0011】
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決し、省力化・省人化が可能な生産能力の高い食品加工システムおよび食品加工設備を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の技術的手段を講じる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、枝肉または部分肉等の第1食品原料(MF1)を加工工程へ向けて搬送する第1搬送工程(A1)と、この第1搬送工程(A1)による搬送後の第1食品原料(MF1)を切断して食品片(m1)を切り出す切断工程(C)と、この切断工程(C)から切り出された食品片(m1)を容器(t)に収容する第1収容工程(D1)と、この第1収容工程(D1)による食品片(m1)収容後の容器(t)を加工工程から搬出する第1搬出工程(E1)との各工程が互いに同期して自動的に行なわれる食品加工システムとする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記第1搬送工程(A1)による搬送途中または搬送終端付近で第1食品原料(MF1)を前記切断工程(C)への供給に適した状態に調整する調整工程(B)が備えられ、前記各工程が互いに同期して自動的に行なわれる請求項1に記載の食品加工システムとする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記調整工程(B)で第1食品原料(MF1)から分離された原料片(m2)を選別する選別工程(F)が備えられ、この選別工程(F)による選別後の原料片(m2)が原料片搬送工程(G)に供給される請求項2に記載の食品加工システムとする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記調整工程(B)に備えた調整用ロボット(B1)によって、第1食品原料(MF1)が自動的に調整され、前記調整工程(B)と切断工程(C)の間に備えた選別用ロボット(F1)によって、第1食品原料(MF1)から分離された原料片(m2)が前記原料片搬送工程(G)に供給される請求項3に記載の食品加工システムとする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、冷凍肉等の第2食品原料(MF2)を加工工程へ向けて搬送する第2搬送工程(A2)と、この第2搬送工程(A2)によって搬送された第2食品原料(MF2)を破砕して挽き、挽肉様食品(m3)に形成する挽き工程(H)と、この挽き工程(H)によって形成された挽肉様食品(m3)を容器(t)に収容する第2収容工程(D2)と、この第2収容工程(D2)による挽肉様食品(m3)収容後の容器(t)を加工工程から搬出する第2搬出工程(E2)との各工程が互いに同期して自動的に行なわれる請求項3または請求項4に記載の食品加工システムとする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、前記原料片搬送工程(G)から搬送された原料片(m2)が前記第2搬送工程(A2)に供給され第2食品原料(MF2)と共に挽き工程(H)に供給される請求項5に記載の食品加工システムとする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、前記第1搬送工程(A1)および前記第2搬送工程(A2)の上流側に備えた貯蔵工程(I)に、チルド状態の第1食品原料(MF1)と冷凍状態の第2食品原料(MF2)を貯蔵し、この貯蔵工程(I)から前記第1搬送工程(A1)と第2搬送工程(A2)の夫々に第1食品原料(MF1)と第2食品原料(MF2)が自動的に送り出される請求項5または請求項6に記載の食品加工システムとする。
【0019】
請求項8に記載の発明は、前記第1搬送工程(A1)と、第2搬送工程(A2)と、第1搬出工程(E1)と、第2搬出工程(E2)と、前記第1搬出工程(E1)から搬出された食品片(m1)収容後の容器(t)と前記第2搬出工程(E2)から搬出された挽肉様食品(m3)収容後の容器(t)を出荷工程(J)側へ向けて搬出する第3搬出工程(E3)とのうちの少なくとも一つの工程における雰囲気が低温に維持される請求項5または請求項6または請求項7に記載の食品加工システムとする。
【0020】
請求項9に記載の発明は、前記各工程の状態が独立して制御されると共に、これら各工程の制御状態が統括制御される請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の食品加工システムとする。
【0021】
請求項10に記載の発明は、前記各工程の稼働状態や異常発生状態などの状態を、各工程から隔離された位置から監視可能とした請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の食品加工システムとする。
【0022】
請求項11に記載の発明は、枝肉または部分肉等の第1食品原料(MF1)を加工工程へ向けて搬送する第1搬送装置(A11)と、この第1搬送装置(A11)による搬送後の第1食品原料(MF1)を切断して食品片(m1)を切り出す切断装置(C11)と、この切断装置(C11)から切り出された食品片(m1)を容器(t)に収容する第1収容装置(D11)と、この第1収容装置(D11)による食品片(m1)収容後の容器(t)を加工工程から搬出する第1搬出装置(E11)と、前記第1搬送装置(A11)と切断装置(C11)と第1収容装置(D11)と第1搬出装置(E11)とを同期制御する第1制御装置(K11)を備えた食品加工設備とする。
【0023】
請求項12に記載の発明は、前記第1搬送装置(A11)による搬送途中または搬送終端付近で第1食品原料(MF1)を前記切断装置(C11)への供給に適した状態に調整する調整装置(B11)を備え、前記第1搬送装置(A11)と調整装置(B11)と切断装置(C11)と第1収容装置(D11)と第1搬出装置(E11)とが同期制御される構成とした請求項11に記載の食品加工設備とする。
【0024】
請求項13に記載の発明は、前記調整装置(B11)によって第1食品原料(MF1)から分離された原料片(m2)を選別する選別装置(F11)を備え、この選別装置(F11)による選別後の原料片(m2)を原料片搬送装置(G11)に供給する構成とした請求項12に記載の食品加工設備とする。
【0025】
請求項14に記載の発明は、前記調整装置(B11)として、第1食品原料(MF1)を自動的に調整する調整用ロボット(B1)を備え、この調整用ロボット(B1)と切断装置(C11)の間に、第1食品原料(MF1)から分離された原料片(m2)を前記原料片搬送装置(G11)に供給する選別用ロボット(F1)を備えた請求項13に記載の食品加工システムとする。
【0026】
請求項15に記載の発明は、冷凍状態の第2食品原料(MF2)を加工工程へ向けて搬送する第2搬送装置(A22)と、この第2搬送装置(A22)によって搬送された第2食品原料(MF2)を破砕して挽き、挽肉様食品(m3)に形成する挽き装置(H11)と、この挽き装置(H11)によって形成された挽肉様食品(m3)を容器(t)に収容する第2収容装置(D22)と、この第2収容装置(D22)による挽肉様食品(m3)収容後の容器(t)を加工工程から搬出する第2搬出装置(E22)との各装置が同期制御される構成とした請求項13または請求項14に記載の食品加工設備とする。
【0027】
請求項16に記載の発明は、前記原料片搬送装置(G11)によって搬送された原料片(m2)を前記第2搬送装置(A22)に供給し、第2食品原料(MF2)と共に挽き装置(H11)に供給する構成とした請求項15に記載の食品加工設備とする。
【0028】
請求項17に記載の発明は、前記第1搬送装置(A11)および前記第2搬送装置(A22)の上流側に、チルド状態の第1食品原料(MF1)と冷凍状態の第2食品原料(MF2)を貯蔵する貯蔵部(I11)を備え、この貯蔵部(I11)から前記第1搬送装置(A11)と第2搬送装置(A22)の夫々に第1食品原料(MF1)と第2食品原料(MF2)を自動的に送り出す構成とした請求項15または請求項16に記載の食品加工設備とする。
【0029】
請求項18に記載の発明は、前記第1搬送装置(A11)と第2搬送装置(A22)と第1搬出装置(E11)と第2搬出装置(E22)のうちの少なくとも一つの装置における雰囲気を低温に維持する低温維持手段(L)を備えた請求項15または請求項16または請求項17に記載の食品加工設備とする。
【0030】
請求項19に記載の発明は、前記第1制御装置(K11)と、前記各装置の夫々を独立して制御する第2制御装置(K22)とを通信手段を介して接続し、この第2制御装置(K22)による各装置の制御状態を第1制御装置(K11)によって統括制御する構成とした請求項11から請求項18のいずれか一項に記載の食品加工設備とする。
【0031】
請求項20に記載の発明は、前記各装置の稼働状態や異常発生状態などの状態監視を行なう監視装置(N11)を各装置から隔離された室(N22)に備え、この監視装置(N11)と前記第1制御装置(K11)または各第2制御装置(K22)とを通信手段を介して接続した請求項11から請求項19のいずれか一項に記載の食品加工設備とする。
【0032】
請求項21に記載の発明は、前記第1制御装置(K11)または第2制御装置(K22)に設定された制御条件を前記監視装置(N11)からの遠隔操作によって変更可能な構成とした請求項20に記載の食品加工設備とする。
【0033】
請求項22に記載の発明は、外部から搬入される枝肉または部分肉等の第1食品原料(MF1)を貯蔵する貯蔵工程(I)と、この貯蔵工程(I)から第1食品原料(MF1)を加工工程へ向けて搬送する第1搬送工程(A1)と、この第1搬送工程(A1)による搬送途中または搬送終端付近で第1食品原料(MF1)を切断加工に適した状態に調整する調整工程(B)と、この調整工程(B)による調整後の第1食品原料(MF1)を切断して食品片(m1)を切り出す切断工程(C)と、この切断工程(C)から切り出された食品片(m1)を容器(t)に収容する第1収容工程(D1)と、この第1収容工程(D1)による食品片(m1)収容後の容器(t)を加工工程から搬出する第1搬出工程(E1)とを備え、前記貯蔵工程(I)に貯蔵されている第1食品原料(MF1)の量と、前記搬送工程(A1)によって搬送される第1食品原料(MF1)の量と、前記調整工程(B)によって調整される第1食品原料(MF1)の量と、前記切断工程(C)から切り出される食品片(m1)の量と、前記収容工程(D1)によって容器に収容される食品片(m1)の量と、前記搬出工程(E1)によって搬出される容器(t)の量とが所定の関係に維持されるように、前記各工程の作動速度または作動タイミングが自動的に調整される食品加工システムとする。
【0034】
請求項23に記載の発明は、枝肉または部分肉等の食品原料(MF1)を搬送する搬送工程(A1)と、この搬送工程(A1)によって搬送された食品原料(MF1)を切断して食品片(m1)を切り出す切断工程(C)と、この切断工程(C)から切り出された食品片(m1)を容器(t)に収容する収容工程(D1)とを備えた加工経路を複数形成し、この複数の加工経路のうちのいずれかに異常が発生した場合に、この異常が発生した加工経路における各工程を自動的に停止し、異常が発生していない他の加工経路での各工程を自動的に増速してこの加工経路における単位時間当たりの加工量を増加する食品加工システムとする。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、省力化・省人化が可能な生産能力の高い食品加工システムおよび食品加工設備を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】プロセスセンター全体を俯瞰して示す説明図である。
図2図1の一部を拡大して示す説明図である。
図3図1の要部を拡大して示す説明図である。
図4図1の要部を拡大して示す説明図である。
図5図1の要部を拡大して示す説明図である。
図6図1の要部を拡大して示す説明図である。
図7図1の要部を拡大して示す説明図である。
図8図1の一部を拡大して示す説明図である。
図9図1の一部を拡大して示す説明図である。
図10図1の要部を拡大して示す説明図である。
図11図1の一部を拡大して示す説明図である。
図12】第1搬送装置の説明用側面図である。
図13】第1搬送装置の説明用正面図である。
図14】プロセスセンターの各所に共用されるコンベアの説明用平面図である。
図15】切断装置の伝動図である。
図16】切断部の要部の説明用側面図である。
図17】第1収容装置の説明用平面図である。
図18】第1収容装置の説明用正面図である。
図19】挽き装置の説明用側面図である。
図20】第1形態のロボット本体の説明用側面図である。
図21】第2形態のロボット本体の説明用側面図である。
図22】各ロボットにおける旋回部の構造説明図である。
図23】各ロボットにおける各中間関節部の構造説明図である。
図24】搬出用ロボットにおけるエンドエフェクター部分の構造説明図である。
図25】調整用ロボットにおけるエンドエフェクター部分の構造説明図である。
図26】選別用ロボットにおけるエンドエフェクター部分の構造説明図である。
図27】選別用ロボットにおけるエンドエフェクターの掴み状態を示す説明図である。
図28】洗浄用ロボットのエンドエフェクター部分の説明図である。
図29】制御システムのブロック回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明を実施するための形態においては、食品加工システムおよび食品加工設備の一例として、食肉を加工して出荷する工場であるプロセスセンターPC内のシステムと設備を例示し、その実施例を以下に詳述する。
なお、説明の便宜上、加工される食肉の搬送方向において、その上流側を「後」と定義し、その下流側を「前」と定義し、下流側を向いた状態での左手側を「左」、右手側を「右」と定義して説明する。
【0038】
(プロセスセンターの全体と周辺の設備)
図1に、プロセスセンターPCの全体設備およびその周辺設備を俯瞰して示す。
このプロセスセンターPCは、外部環境から遮蔽された建屋内に、貯蔵部I11(貯蔵工程Iを形成)を設置する。
【0039】
この貯蔵部I11を起点として、第1搬送装置A11(第1搬送工程A1を形成)と、調整装置B11(調整工程Bを形成)と、選別装置F11(選別工程Fを形成)と、切断装置C11(切断工程Cを形成)と、第1収容装置D11(第1収容工程D1を形成)と、第1搬出装置E11(第1搬出工程E1を形成)とから形成される2つの切断加工経路を並列させて形成する。
【0040】
また、貯蔵部I11を起点として、コンベアSと、選別装置F11(選別工程Fを形成)と、切断装置C11(切断工程Cを形成)と、第1収容装置D11(第1収容工程D1を形成)と、第1搬出装置E11(第1搬出工程E1を形成)とから形成される1つの切断加工経路を形成する。
【0041】
そして、第2搬送装置A22(第2搬送工程A2を形成)と、挽き装置H11(挽き工程Hを形成)と、第2収容装置D22(第2収容工程D2形成)と、第2搬出装置E22(第2搬出工程E2形成)とから形成される1つの挽き加工経路を形成する。
【0042】
また、上述の選別装置F11と切断装置C11の間の部位(3箇所)と、第2搬送装置A22の搬送方向における中間の部位との間に原料片搬送装置G11(原料片搬送工程Gを形成)を設置する。
【0043】
そして、上述の第1搬出装置E11の搬送終端部(5箇所)と第2搬出装置E22の搬送終端部を、第3搬出装置E33(第3搬出工程E3を形成)に合流させる。
この第3搬出装置E33の搬送終端部は、出荷部J11(出荷工程Jを形成)に至る。
【0044】
また、このプロセスセンターPCには、加工工程と遮蔽された監視室(請求項の「室」)N22と、容器貯蔵部Q11(容器貯蔵工程Qを形成)を設置する。
【0045】
容器貯蔵部Q11と3つの第1収容装置D11および1つの第2収容装置D22との間には、トレーtを搬送する第1搬出コンベアQ23、第2搬出コンベアQ24、第3搬出コンベアQ25、第4搬出コンベアQ26を設ける。
【0046】
また、このプロセスセンターPCの外部近傍の場所に洗浄室Wを設置する。
なお、このプロセスセンターPCから離れた場所に、枝肉または部分肉を出荷する原料出荷工場Rが設置されている。
【0047】
(原料出荷工場)
図2に示すように、原料出荷工場Rには、家畜の屠体から内臓等を取り除いた枝肉や、この枝肉から骨等を取り除いた部分肉などの第1食品原料MF1が吊持状態で冷蔵保存されている。
一方、小さい塊肉を集めてブロック状に形成した冷凍肉などの第2食品原料MF2が、積み上げ状態で冷凍保存されている。
【0048】
この原料出荷工場Rから、第1食品原料MF1と第2食品原料MF2が、後述する原料出荷用ロボットR1によって選別されて輸送車両RTの冷蔵/冷凍コンテナ内に積載され、この輸送車両RTによってプロセスセンターPCへ輸送される。
【0049】
(貯蔵部(貯蔵工程))
図3に示すように、上述の原料出荷工場Rから輸送車両RTによって輸送されてきた第1食品原料MF1と第2食品原料MF2は、プロセスセンターPC側の貯蔵部I11に搬入される。
【0050】
搬入された第1食品原料MF1は、貯蔵部I11内の高位置に架設された棒状の吊持部材I3に、フックに掛けた状態で吊持保持される。
一方、第2食品原料MF2は、貯蔵部I11内に立設された柱状部材で支持されるラックI4に、積載状態で収蔵される。
【0051】
吊持部材I3の近傍の位置には、この吊持部材I3に保持された第1食品原料MF1を後述する第1搬送装置A11(第1搬送工程A1)に引き渡すための第1搬出用ロボットI2を2基配備している。
また、ラックI4の近傍の位置には、このラックI4に収蔵された第2食品原料MF2を後述する第2搬送装置A22(第2搬送工程A2)に引き渡すための第2搬出用ロボットI22を2基配備している。
【0052】
なお、この貯蔵部I11内は2室に区画されて夫々低温に温度制御されており、第1食品原料MF1はチルド状態で保存され、第2食品原料MF2は冷凍状態で保存される。
この第1食品原料MF1と第2食品原料MF2は、第1搬出用ロボットI2と第2搬出用ロボットI22によって貯蔵部I11から搬出される。
第1搬出用ロボットI2と第2搬出用ロボットI22の構造および制御については後述する。
【0053】
(切断加工経路)
図4図5に、並列した2つの切断加工経路のうちの一方の切断加工経路を例示する。
この切断加工経路には、貯蔵部I11から搬出された第1食品原料MF1を引き継いで搬送する第1搬送装置A11と、この第1搬送装置A11の搬送終端部で第1食品原料MF1を切断装置C11への供給に適した状態に調整する調整装置B11と、この調整装置B11によって第1食品原料MF1から分離された原料片m2を選別して原料片搬送装置G11上に供給する選別装置F11と、調整後の第1食品原料MF1を薄く切断して切り出す切断装置C11と、この切断装置C11から切り出された肉片(請求項の「食品片」)m1を搬送する搬送部C61と、この肉片m1をトレー(請求項の「容器」)tに収容する第1収容装置D11と、この第1収容装置D11によって肉片m1が収容されたトレーtを搬出して第3搬出装置E33に受け渡す第1搬出装置E11を備える。
【0054】
図6に、上述の切断加工経路とは形態の異なる別の切断加工経路を示す。
この切断加工経路には、貯蔵部I11から搬出されたブロック状の第1食品原料MF1を引き継いで搬送する引継搬送用のコンベアSと、このコンベアSの搬送終端部で第1食品原料MF1から原料片m2を選別して原料片搬送装置G11上に供給する選別装置F11と、この選別装置F11を通過した第1食品原料MF1を3つに分割してから薄く切断して切り出す3連の切断装置C11と、この3連の切断装置C11から切り出された肉片m1を搬送する3つの搬送部C61と、この肉片m1をトレーtに収容する3連の第1収容装置D11と、この第1収容装置D11によって肉片m1が収容されたトレーtを搬出して第3搬出装置E33に受け渡す3つの第1搬出装置E11を備える。
【0055】
(挽き加工経路)
図7に示すように、挽き加工経路には、貯蔵部I11から搬出された第2食品原料MF2を搬送する第2搬送装置A22と、この第2搬送装置A22の搬送終端部まで搬送された第2食品原料MF2に原料片搬送装置G11によって搬送されてきた原料片m2を合流させてから挽く挽き装置H11と、この挽き装置H11によって挽かれた挽肉(請求項の「挽肉様食品」)m3をトレーtに収容する第2収容装置D22と、この第2収容装置D22によって挽肉m3が収容されたトレーtを搬出して第3搬出装置E33に引き継ぐ第2搬出装置E22を備える。
なお、挽き装置H11と第2収容装置D22は一体の装置として構成する。
【0056】
(検査、ラベリング経路)
図8に示すように、上述の加工工程外に検査・ラベリング経路を形成する。
すなわち、上述の第3搬出装置E33の搬送終端部に連続する第4搬出装置E44を設け、この第4搬出装置E44の搬送終端部を分岐装置E441内で3つの搬出経路に分岐させる。
【0057】
第4搬出装置E44の上流部には、この第4搬出装置E44を跨ぐように、トレーt内の肉片m1または挽肉m3に混入した金属片を検知する金属片検知装置E442と、トレーt内の肉片m1または挽肉m3に混入した金属片や骨片等の異物を検出するX線検査装置E443を設置する。
また、第4搬出装置E44の下流側には、この第4搬出装置E44上のラッピングされたトレーtの上面に、肉の種別名、産地、加工日、消費期限等を印字したラベルを貼り付けるラベリング装置E444を設置する。
【0058】
なお、トレーtへのラッピングは、上述の第1搬出装置E11および第2搬出装置E22上で行なわれる構成とするとよい。また、第3搬出装置E33上で行なわれる構成にしてもよい。
【0059】
(作業者による異物除去)
図8に示すように、上述の第4搬出装置E44におけるX線検査装置E443通過後の部位から金属片や骨片等の異物が混入したトレーtを取り出す取り出しコンベアE445を設置する。
この取り出しコンベアE445の搬送終端部は、第4搬出装置E44におけるラベリング装置E444の上流側の部位に合流させる。
この取り出しコンベアE445上のトレーtに収容された肉片m1または挽肉m3から、作業者HU1によって異物と屑肉m4が除去される。
【0060】
(屑肉の搬送と選別)
上述のようにして作業者HU1によって除去された屑肉m4は、屑肉用コンベアm41の搬送始端部に置かれて搬送される。
図4図6に示すように、この屑肉用コンベアm41は、上述の5つの搬送部C61の下方を通過した後、方向転換して第3搬出装置E33の上流側の部位に合流させる。
【0061】
この屑肉用コンベアm41の搬送終端部では、作業者HU2によって屑肉m4を選別してトレーtに移載する作業が行なわれる。
また、図7に示すように、屑肉用コンベアm41の搬送終端部付近に臨ませて、屑肉合流用コンベアm42の搬送始端部を配置し、この屑肉合流用コンベアm42の搬送終端部を原料片搬送装置G11の搬送終端部に合流させる。
【0062】
(出荷部)
図9に示すように、第4搬出装置E44の搬送終端部に設けた分岐装置E441から、3つの出荷用搬出装置J21を延設し、この出荷用搬出装置J21の搬送終端部を3つの出荷部J11に入り口にそれぞれ入り込ませる。
【0063】
この出荷部J11に搬入された肉片m1または挽肉m3を収容したトレーtは、出荷部J11内に立設された柱状部材で支持されるラックJ22に、積載状態で収納される。
ラックJ22の近傍の位置には、このラックJ22に収容されたトレーtを出荷用の輸送車両RTやドローンRDに引き渡すための第3搬出用ロボットI5を3基配備している。
【0064】
なお、この出荷部J11内は低温に温度制御されており、トレーt内の肉片m1、挽肉m3はチルド状態で保存される。
【0065】
(監視室)
図10に示すように、監視室N22には、上述の各装置に備えた第2制御装置K22を統括制御する第1制御装置K11と、上述の各装置の稼働状態や異常発生状態等の状態を表示する状態表示装置(請求項の「監視装置」)N11と、監視作業者HU3が着座する座席N23を備える。
この監視室N22は壁体N24で遮蔽し、その出入り口には、二重のドアN25を設ける。
【0066】
(洗浄室)
図11に示すように、洗浄室Wは、壁体W2で囲い、その一側に切断装置C11等を出し入れするための開放部を形成して構成する。
この洗浄室W内には2基の洗浄用ロボットW1を配備し、同時に2台の切断装置C11の洗浄を可能とする。
この切断装置C11は、洗浄室Wの床面に敷設したレール(図示省略)上に移動自在に支持される。
【0067】
次に、各装置の詳細構成について説明する。
(第1搬送装置)
図12図13に示す上述の第1搬送装置A11は、貯蔵部I11の一側に形成した搬出口の外側上部から延出した吊持搬送装置である。
この吊持搬送装置は、上述の貯蔵部I11の一側に形成した搬出口の外側上部から、平面視でL字形状に屈曲した吊持レールA111を延出させ、この吊持レールA111に尖端を有した多数のフックA112を吊持状態で支持した構成である。
【0068】
吊持レールA111は、下部を開放した断面コ字形状の枠材であり、その長さ方向の両端部に軸支したスプロケットA113に、平面視での軌道方向を屈曲自在な無端チェーンA114を巻き掛ける。
この枠材の内部には、無端チェーンA114の巻き掛け域における上辺部と下辺部の脱落を防止する脱落防止部A115を一体的に設ける。
【0069】
そして、無端チェーンA114の左右のリンクプレートA116間に貫通して備えた支持ピンA117を、フックA112を下端に支持した角筒状の中間支持部材A118の上端部に揺動自在に貫通させて取り付ける。この中間支持部材A118は、3段階に大きさを異にする形状としている。
また、吊持レールA111の端部外側面には、2つのスプロケットA113のうちの一方を駆動する吊持搬送用駆動モーターA119を取り付ける。
【0070】
なお、上述の貯蔵部I11に貯蔵された第1食品原料MF1を、後述する第1搬出用ロボットI2によって取り出し、第1搬送装置A11のフックA112に引っ掛けて搬出する。
【0071】
(搬送用のコンベア)
図14に、各装置ないし各工程の間の搬送において共用され、引継搬送を行なうコンベアSの平面図を示す。
左右方向に長尺に形成し軸受支持した始端部遊動ローラーS1と終端部遊動ローラーS2の各前後周面に、無端状のコンベアベルトS3を巻き掛け、駆動ローラーS4の下周面に、コンベアベルトS3の巻き掛け範囲の下辺部を巻き掛ける。
始端部遊動ローラーS1と終端部遊動ローラーS2の夫々の近傍に配置した中間ローラーS5は、コンベアベルトS3の上辺部における始端部と終端部の傾斜姿勢を設定するためのものである。
【0072】
駆動ローラーS4の両側には緊張ローラーS6を配置し、この2つの緊張ローラーS6によって、駆動ローラーS4へのコンベアベルトS3内周面の巻き掛け長さを確保し、スリップを低減する。
駆動ローラーS4には、減速機構S7を介して駆動ローラーS4を駆動する引継搬送用駆動モーターS8を取り付ける。
【0073】
このコンベアSを、例えば、第1搬送装置A11に沿ってその下方に配置され、後述する調整工程B、選別工程Fを通過して切断工程Cにおける切断装置C11の食品原料供給口に至る間に配置する。
なお、第1搬出装置E11、第2搬送装置A22、第3搬出装置E33、取り出しコンベアE445、原料片搬送装置G11、屑肉用コンベアm41も同様の構成とする。
【0074】
(調整装置)
図4に示すように、第1搬送装置A11の搬送途中または搬送終端付近において、搬送されてきた第1食品原料MF1から小肉片や筋や骨片などの不要部分を除去し、除去後の不要部分と第1食品原料MFをコンベアS上に置く調整装置B11を配備する。
この調整装置B11は、後述する調整用ロボットB1からなる。
【0075】
(選別装置)
図4に示すように、調整装置B11と後述する切断装置C11との間の位置に、選別装置F11を配備する。
この選別装置F11は、コンベアS上に置かれた第1食品原料MF1と小肉片や筋や骨片などの不要物を選別し、骨片などの廃棄物を近傍に置かれた廃棄物容器F2に投入し、小肉片や筋などを後述する原料片搬送装置G11上に供給するものである。
また、この選別装置F11によって、調整後の第1食品原料MF1がコンベアSの搬送方向に向くように姿勢調節される。
この選別装置F11は、後述する選別用ロボットF1からなる。
【0076】
(切断装置)
図15に、切断装置C11の伝動図を示す。
この切断装置C11は、供給部C21と、切断部C31と、引継部C41と、折り畳み部C51と、搬送部C61を備える。
【0077】
供給部C21は、平面視で矩形の枠体C210に対して、その後部に広幅の駆動ローラーC211を軸受し、その前端部に広幅の従動ローラーC212を軸受する。
これら駆動ローラーC211と従動ローラーC212とにわたって、供給部C21の底部を形成する広幅の無端状の供給ベルトC213を巻き掛ける。
【0078】
枠体C210の後端部には平板状の載置板C214を設け、この載置板C214の下側に、供給用モーターC215を設け、この供給用モーターC215からギヤ伝動機構C216を介して上述の駆動ローラーC211を連動して駆動する構成とする。
供給ベルトC213の下側巻回域には、テンションローラーC217を当接させる。
【0079】
枠体C210の後端部には水平方向の左右の揺動軸C218を突設し、この揺動軸C218を固定の機枠に軸受け支持する。
これによって供給部C21が上下揺動自在に支持される。
【0080】
また、枠体C210には天壁および左右の側壁を備え、この三つの壁と中央部の仕切り壁C219、および底部の供給ベルトC213によって包囲された2つの供給室C220を形成する。
この供給室C220に、調整および選別後の塊状の肉である第1食品原料MF1が供給される。
【0081】
また、上述の左右の揺動軸C218に左右のアームC221の後端部を上下揺動自在に支持し、この左右のアームC221の前端部に備えた押圧板C222を供給室C220前端部の上面開口部から下方へ侵入させる。
この左右のアームC221の前部には、この左右のアームC221を押し下げるエアシリンダーC319を設け、このエアシリンダーC319によって、供給室C220内に供給された第1食品原料MF1の前端部を押圧板C222で押圧する。
【0082】
また、固定の機枠の低部に取り付けた揺動用モーターC223によって駆動されるクランクシャフトC224と、枠体C210の前側下部とを、ベアリングを介して連動ロッドC225で連結する。
【0083】
切断部C31は、切断用モーターC311で駆動される駆動プーリーC312と、この駆動プーリーC312から左右方向へ離間して配置した従動プーリーC313とにわたって、無端帯状の切断刃C314を巻き回して構成する。
図16に示すように、この切断刃C314は、機枠側に固定された刃受け部材C315の下縁の溝に嵌入させ、軌道を保持する。
【0084】
また、供給室C220前端出口に、側面視で円弧状の枠部材C316を取り付け、供給部C21の上下揺動範囲の下端部付近で枠部材C316と対向する位置に、側面視で円弧状の当て板C317を機枠側に固定する。
なお、この当て板C317の上端と切断刃C314の刃先との間には、供給部C21の上昇揺動時に切断刃C314によって切断された肉片(請求項における「食品片」)m1が通過する隙間C318を形成する。
【0085】
図15に示すように、引継部C41は切断部C31の前側に配置され、切断刃C314で切断され隙間C318を通過した肉片m1を載せた状態で回転する多数の引継回転体C411を備える。
この引継回転体C411は、環状の板体の周縁に尖端を有した多数の凹凸を形成し、軸心方向に所定の間隔をおいて並列させ、引継用モーターC412の駆動によりギヤ伝動機構を介して駆動回転する構成とする。
【0086】
折り畳み部C51は、折り畳み用モーターC511によって往復回転する棒状部材C512と、エアシリンダーC513によって昇降する押圧杆C514および直角三角形近似形状に屈曲させたバネ状線材C515と、リンク機構を介して棒状部材C512を前後方向へ摺動させる摺動用モーターC516から構成する。
【0087】
棒状部材C512には、上述の多数の引継回転体C411の間隔部に退避可能な多数の細杆を植設し、この細杆の退避位置からの後方回転によって、その先端部で引継回転体C411上の肉片m1の前後方向中間部を突き上げ、この肉片m1を自重で折り曲げて搬送部C61上に載置する。
載置された肉片m1は、下降する押圧杆C514によって押圧されて折り畳まれ、肉片m1に挟まれた細杆が棒状部材C512の前方への摺動によって抜かれ、バネ状線材C515の点接触によって肉片m1の上昇が規制されながら、押圧杆C514が肉片m1から上昇退避する。
【0088】
搬送部C61は、左右方向に長尺に形成した後部従動ローラー群C611と前部従動ローラー群C612とにわたって無端状の搬送ベルトC613を巻き回し、前部に配置した駆動ローラーC614の下周面に、搬送ベルトC613の巻き掛け範囲の下辺部を巻き掛けて構成する。
【0089】
駆動ローラーC614の前後両側には緊張ローラーC615を配置し、この2つの緊張ローラーC615によって、駆動ローラーC614への搬送ベルトC613の内周面の巻き掛け長さを確保し、スリップを低減する。
駆動ローラーC614には搬送用モーターC616を連動させる。
【0090】
なお、リンク機構を介して上述の後部従動ローラー群C611を上下方向に揺動させる前部揺動モーターC617を設け、肉片m1を載置するときに搬送ベルトC613の後部(搬送始端部)を上昇させる構成とする。
また、リンク機構を介して上述の前部従動ローラー群C612を前後方向に往復摺動させ、搬送部C61の前端部(搬送終端部)の位置を前後移動させる往復摺動用モーターC618を設ける。
【0091】
以上は第1食品原料MF1を2列で供給し肉片m1を2列で切り出す構成を示したが、図1における右側に示す切断加工経路のように、塊状の第1食品原料MF1を、その長手方向を左右方向に向けた姿勢で切断装置C11に供給して切断する構成としてもよい。
また、図1における左側に示す切断加工経路のように、左右幅の大きい第1食品原料MF1を1列で供給した後に3列に分割してから切断し、6列の肉片m1として切り出す構成としてもよい。
【0092】
(原料片搬送装置)
図4図6に示すように、原料片搬送装置G11は、上述の選別装置F11によって選別された小肉片や筋などを搬送し、後述する第2搬送装置A22(第2搬送工程A2)の途中部分に供給するものである。
なお、この原料片搬送装置G11の構成は、上述の引継搬送用のコンベアにおけるコンベアSの構成と同様である。
【0093】
(第1収容装置)
図17図18に、第1収容工程D1を形成する第1収容装置D11の基本構成を示す。
すなわち、搬送部C61における前端部(搬送終端部)の往復摺動範囲の下側に、左右の受板D111を固定側の機枠に対して左右方向へ摺動自在に支持し、この左右の受板D111の夫々を接近および離間する方向へ摺動させる左右のエアシリンダーD112を設ける。
また、この左右の受板D111の下側には、各受板D111の下面に沿って左右相反する方向へ摺動する左右の牽引部材D113を配置し、この左右の牽引部材D113をエアシリンダーD112の伸縮作動に連動させる。(連動機構については図示省力しているが、エアシリンダーD112とは別のエアシリンダーによって牽引部材D113を摺動させる構成としてもよい。)
なお、エアシンダーD112による受板D111の摺動方向および摺動速度に対して、牽引部材D113を受板D111と同じ方向へ2倍の速度で摺動させる構成とする。
【0094】
左右の受板D111の上面に左右の移載ベルトD114を載せ、この左右の移載ベルトD114の外側端部を機枠D115に巻き回して位置固定し、この左右の移載ベルトD114の内側端部を受板D111の内側端部で下面側へ折り返し、牽引部材D113にそれぞれ係止する。
【0095】
この第1収容装置D11の下側空間には、トレーt(請求項における「容器」)を移送するトレーコンベアT1を配置する。
このトレーコンベアT1は、移送始端側の従動スプロケットT11と移送終端側の駆動スプロケットT12にわたって移送チェーンT13を巻き回し、駆動スプロケットT12を回転駆動する移送用モーターT14を設けて構成する。
【0096】
移送チェーンT13における上側巻回域の上部には、トレーtを滑動自在に支持するレールT15を配置する。
移送チェーンT13には、トレーtの幅よりも大きいピッチで複数の規制部材T16が取り付けられており、この規制部材T16の起立した板面でトレーtの縁を押し、レールT15上を滑動させて移動させる。
【0097】
トレーコンベアT1の移送始端部には、多数のトレーtを積重状態のまま格納するトレー格納部T17と、このトレー格納部T17の下部からトレーtを一枚ずつ剥離し、90度向きを変えてトレーコンベアT1上に置く剥離アームT18を設ける。
剥離アームT18は、その先端部にトレーtの底面を吸着する吸盤を備え、基部側に前後方向の上下回動軸T19を備え、回動用モーターT20によって上下回動する構成とする。
【0098】
図18に示すように、初期状態では、左右の受板D111が接近した閉鎖状態となり、この閉鎖状態にある左右の受板D111の直下にトレーtが位置する。
この状態で、搬送部C61の前端部(搬送終端部)が前方へ摺動(延長)した後、この搬送部C61の前端部の後方への摺動(短縮)と搬送ベルトC613の駆動によって、2列の肉片m1の夫々が左右の受板D111に支持された移載ベルトD114上に置かれる。
【0099】
この状態で、エアシリンダーD112の伸長作動によって左右の受板D111が離間した開放状態となることによって、2列の肉片m1はその前後および左右方向での位置を維持したまま、トレーt内へ落下して収容される。
なお、図5において右側に記載した一連の第1収容装置D11の構成については、上述した通りである。
【0100】
図5における左側、および、図6に記載した3連の第1収容装置D11は、上述の左右の受板D111、左右のエアシリンダーD112、左右の牽引部材D113、左右の移載ベルトD114からなる収容装置を左右方向に三対併設し、この下側の空間に一連の長尺のトレーコンベアT1を備えたものである。
この構成により、6列搬送される肉片m1を3つのトレーtに収容する。
【0101】
第1収容装置D11には、肉片m1が収容されたトレーtをトレーコンベアT1から引き継いで搬送する第1搬出装置E11の上流側の端部を接続し、この第1搬出装置E11の下流側の端部を後述する第3搬出装置E33に合流させる。
この第1搬出装置E11は、上述の引継搬送用のコンベアSと同様の構成である。
【0102】
第3搬出装置E33の外側近傍には容器貯蔵部Q11を室として備え、この容器貯蔵部Q11の内部には、多数の支柱Q12によって積重状態で支持されたコンテナQ22に、平面市で矩形上および丸形状の多数のトレーtを収蔵する。
この容器貯蔵部Q11の中央部には空間を形成し、この空間内に配置した第1搬出コンベアQ23上に自動積載装置によってトレーtが移載され、この第1搬出コンベアQ23の搬送終端部に接続した第2搬出コンベアQ24と、この第2搬出コンベアQ24の搬送終端部に接続した第3搬出コンベアQ25を経て、第1収容装置D11のトレー格納部T17へ補給される。
【0103】
なお、第2搬出コンベアQ24は第3搬出装置E33の上方を通過するように配置し、第3搬出コンベアQ25は、切断装置C11の搬送部C61の上方を通過するように配置する。
これら第1搬出コンベアQ23、第2搬出コンベアQ24、第3搬出コンベアQ25の構成は、上述の引継搬送用のコンベアSと同様の構成である。
【0104】
また、図1における中央、および、図4に記載した切断装置C11には、搬送部C61から肉片m1を引き継いで搬送する第1搬出装置E11を設け、この第1搬出装置E11の搬送終端部を第3搬出装置E33に接続する。
上述の容器貯蔵部Q11における第1搬出コンベアQ23と平面視で直交する方向にトレーtを搬出する第4搬出コンベアQ26を、第3搬出コンベアQ25の上方を通過させて配置し、この第3搬出コンベアQ25の搬送終端部の下方に、落下するトレーtを受ける収容箱Q27を設置する。
【0105】
(挽き装置、第2収容装置)
図19に示すように、挽き装置H11の上流側には、上述の第2搬送装置A22の搬送終端部から第2食品原料MF2と原料片M2の混在物を引き継ぐ投入用コンベアH21を配置する。
この投入用コンベアH21を昇降させる昇降用シリンダーH22を設け、第2搬送装置A22の搬送終端部から投入用コンベアH21上に引き継いだ混合物を所定の高さまで上昇可能な構成とする。
また、上昇後の投入用コンベアH21の後側には、この投入用コンベアH21上の混合物を押し出す押出用シリンダーH222を配置する。
【0106】
上昇後における投入用コンベアH21の搬送終端部には、破砕装置H23の円筒状の胴体H24を駆動回転軸H25と一体で回転自在に軸架する。
この胴体H24の外周面には、駆動回転軸H25の軸心方向に所定の間隔をおいて多数の板状の回転体H26を取り付け、各回転体H26間に切削刃H27を渡架して取り付ける。
【0107】
切削刃H27の回転軌跡の外周をケーシングH28で覆い、このケーシングH28の後部に上述の混合物が投入される投入口H29を形成し、このケーシングH28の前下部は前下がりに傾斜した落下空間H30を覆うように前下がり傾斜させて設ける。
なお、駆動回転軸H25を回転駆動するモーター(図示省略)を備える。
これにより、押出用シリンダーH222を緩速で伸長作動させながら上述の混合物を破砕装置H23側へ押し出すと、この混合物の前端部から切削刃H27によって破砕され、この破砕物が落下空間H30を通過して下方へ落下する。
【0108】
落下空間H30の下方には、下側ほど幅が狭くなる桶状に形成したバケットH31を配置し、このバケットH31内の底部に、多数のパドルH32を取り付けた撹拌軸H33を駆動回転自在に配置する。
なお、この撹拌軸H33を回転駆動するモーター(図示省略)を備える。
これにより、落下空間H30からバケットH31内に落下した破砕物が、パドルH32の駆動回転によって撹拌されながら、前方へ搬送される。
【0109】
上述のバケットH31の底部前端部には、パドルH32の駆動回転によって搬送された破砕物を押し出す押出口H34を形成しており、この押出口H34から押し出された撹拌後の破砕物が前下方へ押し出される。
この押出口H34の前下方には、下側ほど幅が狭くなる桶状に形成したバケットH35を配置し、このバケットH35内の底部に、移送螺旋H36を駆動回転自在に配置する。
【0110】
この移送螺旋H36の移送終端部は二重螺旋に形成され、この部分をバケットH35の底部から前方へ突設したシリンダーH37内に嵌入させる。
移送螺旋H36の移送終端には、この移送螺旋H36と一体回転する刃体(図示省略)が備えられ、シリンダーH37の先端部は、この刃体が摺接する目抜き板体H38によって封鎖する。
なお、移送螺旋H36を回転駆動するモーター(図示省略)を備える。
【0111】
これにより、上述の押出口H34から押し出された撹拌後の破砕物がバケットH35内に落下し、移送螺旋H36によって移送され、シリンダーH37内で圧力を掛けられながら目抜き板体H38の目抜き孔から挽肉となって押し出される。
また、上述の第2搬出装置E22の搬送始端部を目抜き板体H38の下方まで侵入させて配置し、第3搬出コンベアQ25の搬送終端部から落下供給されるトレーtが、第2収容装置D22によって第2搬出装置E22の搬送始端部上に自動供給される構成とする。
図7に示すように、以上の図19に示す装置を一体化して、挽き装置H11を構成する。
【0112】
(各所に配備されたロボット)
(第1形態のロボット本体)
図20に、第1形態のロボット本体を示す。
この第1形態のロボット本体は、原料出荷工場Rに配備された原料出荷用ロボットR1と、貯蔵部I11に配備された第1搬出用ロボットI2および第2搬出用ロボットI22と、第1収容装置D11としての収容用ロボットD4と、出荷部J11に配備された第3搬出用ロボットI5と、洗浄室Wに配備された洗浄用ロボットW1に共用されるものである。
【0113】
この第1形態のロボット本体は、床面に設置する台座Z0に対して円筒状の旋回部Z1を縦軸中心に旋回自在に備え、この旋回部Z1の上部に左右の支持部Z2を固定する。
この左右の支持部Z2の上端部間に第1アームZ3の下端部を嵌入させ、第1関節軸Z31で上下回動自在に軸支する。
第1アームZ3の上端部は、左右の第2アームZ4の下端部間に嵌入させ、第2関節軸Z41で上下回動自在に軸支する。
左右の第2アームZ4の上端部間には、第3アームZ5の基部を第3関節軸Z51で上下回動自在に軸支する。
なお、第3アームZ5の先端上部にカメラCA1を装備する。
【0114】
(第2形態のロボット本体)
図21に、第2形態のロボット本体を示す。
この第2形態のロボット本体は、調整工程Bに配備された調整用ロボットB1と、選別工程Fに配備された選別用ロボットF1とに共用されるものである。
【0115】
この第2形態のロボット本体も、床面に設置する台座Z0に対して円筒状の旋回部Z1を縦軸中心に旋回自在に備え、この旋回部Z1の上部に左右の円形の支持部Z22を固定する。
この左右の支持部Z22の間に第1アームZ33の下端部を嵌入させ、第1関節軸Z313で上下回動自在に軸支する。
第1アームZ33の上端部に固定した左右の支持部Z34の間に、第2アームZ44の基部を嵌入させ、第2関節軸Z42で上下回動自在に軸支する。
なお、第2アームZ44の先端上部にカメラCA2を装備する。
【0116】
(各ロボットの旋回部)
図21に、第1形態および第2形態のロボット本体に共用される旋回部の構造を示す。
すなわち、台座Z0の中心部に固定軸Z01を回動不能に垂直方向へ起立させ、旋回部Z1の下面に固定した円盤Z02の中心孔が、固定軸Z01に対して回動自在に嵌合するように、旋回部Z1を台座Z0上に載置する。
【0117】
固定軸Z01の上端部には固定側ギヤZ03を固定し、旋回部Z1の内周面に固定した旋回用モーターZ04側の出力ギヤZ05に噛み合わせる。
また、旋回部Z1の内部には、旋回用モーターZ04を駆動制御する旋回用コントローラーZ06を設ける。
固定軸Z01の上方には、この固定軸Z01に対する旋回部Z1の縦軸回動角度を検出する旋回角度センサーZ07を配置し、この旋回角度センサーZ07を旋回用コントローラーZ06に接続する。
【0118】
(各ロボットの各中間関節部)
図23に、第1形態および第2形態のロボット本体に共用される関節部の構造を示す。
この関節部の構造は、第1形態のロボット本体における第1関節軸Z31部分と、第2関節軸Z41部分と、第3関節軸Z51部分、および、第2形態のロボット本体における第1関節軸Z313部分と、第2関節軸Z42部分の構造に共用する。
すなわち、平面視でコ字形状に形成した支持部材ZZ1内にアームと一体の可動部材ZZ2を嵌入させ、この可動部材ZZ2の端部に固定した軸ZZ3を支持部材ZZ1に対して上下回動自在に軸受する。
【0119】
軸ZZ3の左右両端部には入力ギヤZZ4を固定し、この入力ギヤZZ4を、支持部材ZZ1内に設けた関節回動用モーターZZ5の左右の出力ギヤZZ6に噛み合わせる。
また、支持部材ZZ1内には、関節回動用モーターZZ5の駆動状態を制御する関節回動用コントローラーZZ7と、支持部材ZZ1に対する可動部材ZZ2の回動角度を検出する関節回動角度センサーZZ8を設ける。
【0120】
(搬出用ロボットのエンドエフェクター)
図24に、第1搬出用ロボットI2におけるエンドエフェクター部分の構造を示す。
このエンドエフェクターは、第1形態のロボット本体の第3アームZ5の先端部に取り付けるものである。
すなわち、第3アームZ5の先端部に取り付けるリスト部Z7には、平面視でコ字形状に形成したリスト支持部材Z71と、このリスト支持部材Z71に対して回動自在に嵌入したボックス形状のリスト部材Z72と、このリスト部材Z72の端面に対して回転自在に支持した支持部材Z73を備える。
【0121】
リスト部材Z72の壁体に固定した固定軸Z74の先端部に固定プーリーZ75を固定し、リスト部材Z72に内蔵したリスト回転用モーターZ76の出力軸に出力プーリーZ77を取り付け、固定プーリーZ75と出力プーリーZ77にわたってタイミングベルトZ78を巻き掛ける。
リスト部材Z72の壁体における固定軸Z74の固定部と対向する部位に、この固定軸Z74と同一軸心を有する回転軸Z79を軸受し、この回転軸Z79の内側端部にベベルギヤZ80を取り付け、この回転軸Z79の外側端部には入力プーリーZ81を取り付ける。
【0122】
リスト部材Z72に内蔵したリスト旋回用モーターZ82の出力軸に取り付けた出力プーリーZ83と、上述の入力プーリーZ81とにわたってタイミングベルトZ84を巻き掛ける。
リスト部材Z72における回転軸Z79と直交する方向に軸受した出力軸Z85の内側端部にベベルギヤZ86を取り付け、このベベルギヤZ86を上述のベベルギヤZ80と噛み合わせる。
上述の支持部材Z73は、出力軸Z85の先端部に固定する。
【0123】
リスト部材Z72内には、上述のリスト回転用モーターZ76とリスト旋回用モーターZ82の駆動状態を制御するリスト回動用コントローラーZ87と、リスト支持部材Z71に対するリスト部材Z72の回転角度を検出する回転角度センサーZ88と、回転軸Z79の回転角度からリスト支持部材Z71に対する支持部材Z73の回転角度(ひねり角度)を検出する回転角度センサーZ881を内蔵する。
【0124】
しかして、上述の支持部材Z73内に、2つのフック状部材Z89を平行に備える積出具Z90の基部を嵌合させて固定する。
このフック状部材Z89は、その先端が枝肉または部分肉MF1に突き刺さるように鋭利に形成し、その長手方向中間部に凹部Z90Aを形成する。
これにより、フック状部材Z89を枝肉または部分肉MF1に突き刺し、凹部Z90Aによって抜け落ちを防止して、この枝肉または部分肉MF1を吊り上げて移動させることができる。
【0125】
すなわち、第3アームZ5の先端上部に装備したカメラCA1によって第1食品原料MF1を撮像し、画像処理によって輪郭を抽出し、この第1食品原料MF1の上端部にフック状部材Z89を突き刺して保持するように、第1搬出用ロボットI2の各部を作動制御する。
そして、この第1食品原料MF1を吊り下げたまま移動させ、第1搬送装置A11のフックA112に引っ掛けて受け渡すように、第1搬出用ロボットI2の各部を作動制御する。
【0126】
(調整用ロボットのエンドエフェクター)
図25に、調整用ロボットB1におけるエンドエフェクター部分の構造を示す。
このエンドエフェクターは、第2形態のロボット本体の第2アームZ44の先端部に取り付けるものである。
リスト部Z7の構成は上述のものと同様であるため説明を省略する。
【0127】
しかして、上述の支持部材Z73内に、ナイフ状部材Z91を備える調整具Z92の基部を嵌合させて固定する。
このナイフ状部材Z91によって、枝肉または部分肉MF1から骨片や筋を切除することができる。
すなわち、第2アームZ44の先端上部に装備したカメラCA2によって第1食品原料MF1を撮像し、画像解析によって骨片や筋の位置と輪郭を抽出し、この位置および輪郭に沿ってナイフ状部材Z91の刃先を挿し込んだまま移動させて、この骨片や筋を切除し脱落させるように構成する。
【0128】
または、ナイフ状部材Z91の刃先を調整対象の第1食品原料MF1に差し込み、切除するときにナイフ状部材Z91に受ける反力によって骨片や筋の輪郭を判定しながら、これらを切除するように構成してもよい。
【0129】
(選別用ロボットのエンドエフェクター)
図26図27に、選別用ロボットF1におけるエンドエフェクター部分の構造を示す。
このエンドエフェクターは、第2形態のロボット本体の第2アームZ44の先端部に取り付けるものである。
リスト部Z7の構造は上述のものと同様であるため説明を省略する。
【0130】
しかして、上述の支持部材Z73の側壁に空気出し入れ口Z93を設け、この空気出し入れ口Z93に空気吸排管(図示省略)を接続する。
支持部材Z73の先端面には、3本の指状部材Z94を備えた空洞部Z95を合成樹脂で一体成型した把持具Z96を固定する。
上述の空洞部Z95の内部空間は、支持部材Z73の内部空間と連通させる。
【0131】
この構成により、空気出し入れ口Z93に負圧を掛けることで空洞部Z95内の空気が吸い出され、空洞部Z95が変形し、3本の指状部材Z94の先端部が接近し、原料片m2、屑肉m4、骨片、筋などを掴んで移動させることができる。
すなわち、第2アームZ44の先端上部に装備したカメラCA2によって、コンベアS上にある調整後の第1食品原料MF1と、切除された骨片や筋および原料片m2を撮像し、画像処理による各輪郭の抽出によってこれらを判別する。
判別された骨片や筋および原料片m2を指状部材Z94によって掴み、上述のように所定の位置へ移動させる。
【0132】
(洗浄用ロボットのエンドエフェクター)
図28に、洗浄用ロボットW1のエンドエフェクター部分を示す。
このエンドエフェクターは、第1形態のロボット本体の第3アームZ5の先端部に取り付けるものである。
リスト部Z7の構成は上述のものと同様であるため説明を省略する。
【0133】
しかして、上述の支持部材Z73の側壁に給水口Z97を設け、この給水口Z97に給水菅(図示省略)を接続する。
支持部材Z73内に、ノズルZ98の基部を嵌合させて固定する。
このノズルZ98の先端には、水を拡散させて噴出させる多孔部材Z99を備える。
また、第3アームZ5の先端上部に装備したカメラCA1によって、洗浄室Wに搬入された切断装置C11を撮像し、ノズルZ98が、多方向から引継回転体C411等の設定部位を向くように、洗浄用ロボットW1の各部が制御される。
【0134】
(制御システム)
図29に、制御システムUのブロック回路図を示す。
この制御システムUは、各装置の夫々を独立して制御する第2制御装置K22群と、この第2制御装置K22群を統括制御する第1制御装置K11から構成する。
【0135】
(第2制御装置)
まず、各装置に備えた第2制御装置K22について説明する。
第1搬送装置A11には、第2制御装置K22の一つである第1搬送コントローラーX1を備える。
この第1搬送コントローラーX1の入力側に、上述のスプロケットA113の回転数から搬送距離と搬送速度を検出する搬送センサーX11と、フックA112に掛かる吊り下げ荷重を検出する吊り下げ荷重センサーX12と、第1搬送装置A11から発する音や振動を検出する故障予兆センサーX13を接続する。
【0136】
また、この第1搬送コントローラーX1の入出力側には、無線LANの送受信機X14を接続する。
第1搬送コントローラーX1の出力側には、吊持搬送用駆動モーターA119を接続する。
【0137】
コンベアSには、第2制御装置K22の一つであるコンベアコントローラーX2を備える。
このコンベアコントローラーX2の入力側に、上述の引継搬送用駆動モーターS8の回転数から搬送距離と搬送速度を検出する搬送センサーX21と、コンベアSから発する音や振動を検出する故障予兆センサーX22を接続する。
【0138】
また、このコンベアコントローラーX2の入出力側には、無線LANの送受信機X23を接続する。
コンベアコントローラーX2の出力側には、引継搬送用駆動モーターS8を接続する。
切断装置C11には、第2制御装置K22の一つである切断コントローラーX3を備える。
【0139】
この切断コントローラーX3の入力側に、上述の供給用モーターC215の回転数から搬送距離と搬送速度を検出する供給センサーX31と、揺動用モーターC223の回転数から揺動位置と揺動速度を検出する揺動センサーX32と、切断用モーターC311の回転数から切断刃の速度を検出する切断刃速度センサーX33と、引継用モーターC412の回転位相から肉片m1の搬送位置と搬送速度を検出する引継センサーX34Aと、折り畳み用モーターC511の往復回転数から肉片m1の切り出し枚数を検出する切り出し枚数センサーX34と、搬送用モーターC616の回転数から搬送ベルトC613の搬送距離と搬送速度を検出する搬送センサーX35と、往復摺動用モーターC618の回転数から搬送ベルトC613の搬送終端部の前後方向摺動位置を検出する摺動位置センサーX36と、切断装置C11から発する音や振動を検出する故障予兆センサーX37を接続する。
【0140】
また、この切断コントローラーX3の入出力側には、無線LANの送受信機X38を接続する。
切断コントローラーX3の出力側には、供給用モーターC215と、揺動用モーターC223と、切断用モーターC311と、引継用モーターC412と、折り畳み用モーターC511と、摺動用モーターC516と、搬送用モーターC616と、前部揺動モーターC617と、往復摺動用モーターC618を接続する。
【0141】
第1収容装置D11には、第2制御装置K22の一つである収容コントローラーX4を備える。
この収容コントローラーX4の入力側に、エアシリンダーD112の伸縮位置を検出するポジションセンサーX41と、移送用モーターT14の回転数から移送チェーンT13の移送位置と移送速度を検出する移送センサーX42と、回動用モーターT20の回転数から剥離アームT18の揺動位置と揺動速度を検出する揺動センサーX43と、第1収容装置D11から発する音や振動を検出する故障予兆センサーX44を接続する。
【0142】
また、この収容コントローラーX4の入出力側には、無線LANの送受信機X45を接続する。
収容コントローラーX4の出力側には、エアシリンダーD112作動用のバルブソレノイドX46と、移送用モーターT14と、回動用モーターT20を接続する。
【0143】
挽き装置H11には、第2制御装置K22の一つである挽きコントローラーX5を備える。
この挽きコントローラーX5の入力側に、第2搬送装置A22の搬送終端部に備えた駆動ローラーA222を駆動する搬送モーターA223の回転数から搬送距離と搬送速度を検出する搬送センサーX51と、投入用コンベアH21を駆動する投入用モーターH211の回転数から投入距離と投入速度を検出する投入センサーX52と、昇降用シリンダーH22の伸縮位置を検出するポジションセンサーX53と、押出用シリンダーH222の伸縮位置を検出するポジションセンサーX54と、破砕装置H23の駆動回転軸H25を駆動する駆動モーターH251の回転数から切削刃H27の周回速度を検出する周回速度センサーX55と、撹拌軸H33を駆動する駆動モーターH331の回転数から撹拌軸H33の回転速度を検出する回転速度センサーX56と、移送螺旋H36を駆動する駆動モーターH361の回転数から移送螺旋H36の回転速度を検出する移送速度センサーX57と、第2搬出装置E22の駆動ローラーを駆動する駆動モーターE221の回転数から搬出距離と搬出速度を検出する搬出センサーX58を接続する。
【0144】
また、この挽きコントローラーX5の入出力側にには、無線LANの送受信機X59を接続する。
挽きコントローラーX5の出力側には、搬送モーターA223と、投入用モーターH211と、昇降用シリンダーH22を伸縮作動させるバルブソレノイドX60と、押出用シリンダーH222を伸縮作動させるバルブソレノイドX61と、駆動モーターH251と、駆動モーターH331と、駆動モーターH361と、駆動モーターE221と、トレー自動供給装置のアクチュエーターX62を接続する。
【0145】
第1形態のロボットには、第2制御装置K22の一つである第1ロボットコントローラーX7を備える。
この第1ロボットコントローラーX7に、旋回用コントローラーZ06と、関節回動用コントローラーZZ7と、リスト回動用コントローラーZ87を接続する。
【0146】
上述の旋回コントローラーZ06には、カメラCA1と、旋回角度センサーZ07と、旋回用モーターZ04を接続する。
上述の関節回動用コントローラーZZ7には、関節回動角度センサーZZ8と、関節回動用モーターZZ5を接続する。
上述のリスト回動用コントローラーZ87には、回動角度センサーZ88と、回動角度センサーZ881と、リスト回動用モーターZ76と、リスト旋回用モーターZ82を接続する。
なお、この第1ロボットコントローラーX7の入出力部に無線LANの送受信機X71を接続する。
【0147】
第2形態のロボットには、第2制御装置K22の一つである挽き第2ロボットコントローラーX8を備える。
この第2ロボットコントローラーX8に接続されるコントローラーおよびセンサー、アクチュエーター類、送受信機は、上述の第2ロボットコントローラーX7と同様であるため、説明を省略する。(カメラの符号CA1がCA2に変わり、送受信機の符号X71がX81に変わるのみ。)
【0148】
(第1制御装置)
図29に示すように、監視室N22に備えた第1制御装置K11は、上述の複数の第2制御装置K22と無線LANで接続され、各第2制御装置K22の異常発生状態や稼働状態を統括制御するものである。
この第1制御装置K11の入力側には、プロセスセンターPC内の全ての加工工程を起動するための起動スイッチY1と、加工工程の全てを停止させる全体停止スイッチY2と、加工工程の一部を選択して停止させる選択停止スイッチY3と、加工速度を段階的に設定する加工速度設定スイッチY4と、加工速度を微調整する加工速度調整ダイヤルY5と、警報発動スイッチY6と、緊急通報スイッチY7と、加工工程外にある洗浄用ロボットW1等を手動で起動および停止する外部機器操作スイッチY8を接続する。
【0149】
また、この第1制御装置K11の入力側には、第1食品原料MF1、第2食品原料MF2、肉片m1、原料片m2、挽肉m3、屑肉m4等の加工物の動きを検出する多数の画像センサーYCAを接続する。
この画像センサーYCAは複眼式のカメラであり、加工工程内の多数箇所に設置され、その撮像結果から、加工工程において搬送される加工物が、第1食品原料MF1、第2食品原料MF2、肉片m1、原料片m2、挽肉m3、屑肉m4のいずれであるかを判別でき、これらが搬送されている位置および速度も算出できる。
上述のロボットのアームに取り付けたカメラCA1およびCA2も、同様の構成とすればよい。
【0150】
また、この第1制御装置K11の入出力部には、上述の各第2制御装置K22に備えた送受信機と無線LANによる通信関係を構築するための送受信機Y8Aを接続する。
この第1制御装置K11の出力側には、警報装置YY1と、パイロットランプYY2と、加工工程に設置した各装置の稼働状態をモニタリングするための稼働状態表示装置YY3と、作業負荷の変動状態をモニタリングするための負荷表示装置YY4を接続する。
【0151】
(加工工程の同期制御)
上述の切断工程のうちの一つの工程と、挽き工程を例示して説明する。
まず、各第2制御装置K22と第1制御装置K11との通信関係が成立した状態で、監視室N22内の作業者が起動スイッチY1を押すと、加工工程の同期制御が開始される。
これによって、貯蔵部I11内の第1搬出用ロボットI2と第2搬出用ロボットI22が、第1ロボットコントローラーX7と第2ロボットコントローラーX8により制御され、自律作業を開始する。
【0152】
第1搬出用ロボットI2は、カメラCA1によって第1食品原料MF1を撮像し、この第1食品原料MF1の上端部にフック状部材Z89を突き刺して持ち上げ、第1搬送装置A11のフックA112に引っ掛ける。
このとき、吊り下げ荷重センサーX12の検出結果が第2ロボットコントローラーX8から第1制御装置K11側へ送信され、この第1制御装置K11から第1搬送コントローラーX1への搬送開始指令によって第1搬送装置A11が搬送を開始する。
この第1搬出用ロボットI2による貯蔵部I11内からの第1食品原料MF1の搬出タイミングおよび搬出速度は、第1ロボットコントローラーX7と第1制御装置K11との相互通信により、第1制御装置K11側で監視および自動調整される。
【0153】
第1食品原料MF1が第1搬送装置A11の搬送終端部付近まで搬送されてきたことが、この付近に設置された画像センサーYCAの撮像結果から第1制御装置K11によって判定されると、この第1制御装置K11から調整用ロボットB1の第2ロボットコントローラーX8への作業開始指令によって、この調整用ロボットB1が自律作動を開始する。
調整用ロボットB1は、カメラCA2による第1食品原料MF1の撮像結果に基づいてナイフ状部材Z91を移動させ、この第1食品原料MF1から骨片や筋などの原料片m2を切除する。
この調整用ロボットB1による第1食品原料MF1の調整速度は、第2ロボットコントローラーX8と第1制御装置K11との相互通信により、第1制御装置K11側で監視および自動調整される。
調整用ロボットB1による第1食品原料MF1の調整完了情報は、調整用ロボットB1の第2ロボットコントローラーX8から第1制御装置K11へ送信される。
【0154】
そして、第1制御装置K11から、次工程にある選別用ロボットF1の第2ロボットコントローラーX8へ作業開始指令が送信され、調整用ロボットF1が自律作動を開始する。
これにより、調整後の第1食品原料MF1と切除された骨片や原料片m2は、コンベアS上において搬送されながら選別用ロボットF1の自律作動によって選別され、薄切りに適した第1食品原料MF1は姿勢を整えられて切断装置C11側へ送られる。
骨片は廃棄物容器F2へ入れられ、原料片m2は原料片搬送装置G11上へ置かれる。
【0155】
この選別用ロボットF1による選別速度は、第2ロボットコントローラーX8と第1制御装置K11との相互通信により、第1制御装置K11側で監視および自動調整される。
また、コンベアSの搬送速度は、コンベアコントローラーX2と第1制御装置K11との相互通信により、第1制御装置K11側で監視および自動調整される。
【0156】
選別用ロボットF1による第1食品原料MF1と骨片や原料片m2の選別完了情報が、選別用ロボットF1の第2ロボットコントローラーX8から第1制御装置K11へ送信される。
そして、第1制御装置K11から切断装置C11の切断コントローラーX3へ作業開始指令が送信され、切断装置C11が自動作動を開始する。
これにより、まず、切断装置C11側へ送られる第1食品原料MF1は、画像センサーYCAによる撮像結果から、第1制御装置K11によってその大きさ、形状、搬送速度が算出される。
【0157】
切断装置C11へ供給された第1食品原料MF1は、この切断装置C11によって薄く切断されて肉片m1となって切り出される。
この肉片m1の切り出し速度は、切り出し位置付近に配置した画像センサーYCAによる撮像結果から第1制御装置K11によって算出される。
切断装置C11による肉片m1の切り出し速度は、切断コントローラーX3と第1制御装置K11との相互通信により、第1制御装置K11側で監視および自動調整される。
【0158】
そして、第1制御装置K11から第1収容装置D11の収容コントローラーX4へ作動指令が出力され、第1収容装置D11が自動収容作動を開始する。
これにより、切断装置C11によって切り出された肉片m1は、順次、第1収容装置D11に供給され、自動的にトレーtに収容される。
この第1収容装置D11による収容速度は、収容コントローラーX4と第1制御装置K11との相互通信により、第1制御装置K11側で監視および自動調整される。
【0159】
一方、第2搬出用ロボットI22は、カメラCA2によって貯蔵部I11内の第2食品原料MF2を撮像し、自律作動してこの第2食品原料MF2を第2搬送装置A22の搬送始端部上へ置く。
第2搬送装置A22は起動スイッチY1の押し操作によって駆動を開始しており、第2搬出用ロボットI22が第2食品原料MF2を第2搬送装置A22上に置くタイミングと、第2搬送装置A22による第2食品原料MF2の搬送速度は、第2ロボットコントローラーX8と第1制御装置K11との相互通信により、第1制御装置K11側で監視および自動調整される。
【0160】
第2搬送装置A22によって搬送され、原料片m2と合流した第2食品原料MF2が挽き装置H11の供給口付近に備えた画像センサーYCAで撮像され、この撮像情報が挽き装置H11の挽きコントローラーX5から第1制御装置K11へ送信される。
そして、第1制御装置K11から挽きコントローラーX5へ作動開始指令が送信されて、挽き装置H11が自動作動を開始する。
これにより、挽き装置H11に供給された第2食品原料MF2は、挽き装置H11によって挽肉m3に加工され、第2収容装置D22によってトレーtに収容される。
【0161】
この挽き装置H11による挽き速度、および、第2収容装置D22による収容速度は、挽きコントローラーX5と第1制御装置K11との相互通信により、第1制御装置K11側で監視および自動調整される。
この挽き工程によって挽肉m3を収容したトレーtと、上述の切断工程によって肉片m1を収容したトレーtは、第3搬出装置E33によって合流搬送されるが、この第3搬出装置E33上でトレーtが溢れることのないよう、第1制御装置K11によって上流の各装置の作業状態が監視および自動調整される。
【0162】
以上のようにして、貯蔵部I11からの搬出、搬送、調整、選別、切断、(挽き)、収容、出荷部J11への搬出の全ての工程の搬送速度および搬送量が一定の関係を維持するように、第1制御装置K11から各第2制御装置K22への指令によって各工程での作業速度が同期制御される。
すなわち、貯蔵部I11に貯蔵されている第1食品原料MF1の量と、第1搬送装置A11によって搬送される第1食品原料MF1の量と、調整装置B11によって調整される第1食品原料MF1の量と、切断装置C11から切り出される肉片m1の量と、第1収容装置D11によって容器に収容される肉片m1の量と、第1搬出装置E11によって搬出されるトレーtの量とが所定の関係に維持されるように、各装置の作動速度または作動タイミングが自動的に調整される。
【0163】
また、貯蔵部I11に貯蔵されている第2食品原料MF2の量と、第2搬送装置A22によって搬送される第2食品原料MF2の量と、挽き装置H11および第2収容装置D22によって容器に収容される挽肉m3の量と、第2搬出装置E22によって搬出されるトレーtの量とが所定の関係に維持されるように、各装置の作動速度または作動タイミングが自動的に調整される。
【0164】
また、第1搬出装置E11と第2搬出装置E22から単位時間当たりに搬出されるトレーtの数が、第3搬出装置E33によって単位時間当たりに搬出可能なトレーtの数を超えないよう、全ての工程の作業速度が第1制御装置K11と各第2制御装置K22の相互通信によって自動的に制御される。
【0165】
なお、画像センサーYCAを用いることなく、各装置のコントローラーの入力側に接続された上述の各センサーの検出結果によって各装置の作動速度や作動タイミングを判定し、同様の同期制御を行なう構成とすることもできる。
【0166】
(異常発生時の生産能力維持制御)
上述の同期制御中に、複数の切断加工経路または挽き加工経路において、いずれかの工程に異常が発生し、この異常が発生した工程に備える装置の第2制御装置K22から第1制御装置K11へ異常信号が送信された場合、または第1制御装置K11で異常発生と判定された場合に、第1制御装置K11から、異常が発生した工程にある装置の第2制御装置K22へ停止指令が発出され、この装置および工程を含む一連の加工経路が自動的に停止するように構成する。
これに加え、第1制御装置K11から、異常が発生していない他の加工経路に備えた各装置の第2制御装置K22へ増速指令が発出され、各工程が自動的に増速し、この加工経路における単位時間当たりの加工量が増加するように構成する。
これによって、異常発生時におけるプロセスセンターPC全体としての加工能力(生産能力)の低下を少なくすることができる。
【0167】
(制御条件の変更)
上述の各第2制御装置K22に設定された制御条件を、状態表示装置(請求項の「監視装置」)N11からの遠隔操作によって変更可能に構成する。
すなわち、監視室N22の状態表示装置N11に制御条件変更操作具(図示省略)を設け、この制御条件変更操作具の操作によって、第1制御装置K11から第2制御装置K22へ変更指令が発出され、これを受けた第2制御装置K22が、自ら記憶していた閾値などの制御条件を書き換えるように構成する。
【0168】
(複数のプロセスセンター間での制御プログラムの共用)
上述の加工工程の同期制御および異常発生時の生産能力維持制御を行なうために第1制御装置K11および各第2制御装置K22に記憶した制御プログラム(例えば切断装置C11の第2制御装置K22に記憶された肉厚の設定値等の各種の設定値や閾値等を含む)は、他の場所に設置されたプロセスセンターでの加工工程に共用できるものとする。
【0169】
すなわち、貯蔵部I11における第1搬出用ロボットI2または第2搬出用ロボットI22を含め、切断加工経路における第1搬送装置A11、調整装置B11、選別装置F11、切断装置C11、第1収容装置D11、第1搬出装置E11、第3搬出装置E33等の各装置、または、挽き加工経路における第2搬送装置A22、挽き装置H11、第2収容装置D22、第2搬出装置E22、第3搬出装置E33等の各装置を、同様の構造および制御仕様として設置した複数のプロセスセンター間では、第1制御装置K11および各第2制御装置K22に記憶した制御プログラムを共用して同期制御および生産能力維持制御を行なえるものとする。
【0170】
これによって、例えば一つのプロセスセンターPCで異常が発生して加工経路が停止したり、この一つのプロセスセンターPCでの加工能力を超える出荷量が要求されるような事態が生じた場合に、他の(最寄りの)プロセスセンターに制御プログラムを渡して(またはこのプロセスセンターの第1制御装置K11に送信して)、この制御プログラムを第1制御装置K11および各第2制御装置K22に記憶させて各加工経路で同様の食品加工を行なわせ、上述の事態に対応することができる。
【0171】
(搬送工程の雰囲気の低温維持)
図1図3図4図5図7図9において、切断装置C11の上流側の部位、第2搬送装置A22、搬送部C61、第1搬出装置E11、第2搬出装置E22、挽き装置H11の上流側の部位、第3搬出装置E33、出荷部J11の上流側の部位を覆う透明のカバーCOの一部を記載している。
すなわち、第1食品原料MF1、第2食品原料MF2、肉片m1、肉片m1を収容したトレーt、挽肉m3を収容したトレーtなど、食肉(食品)が通過する部分全体をカバーCOで覆う構成とし、このカバーCOの内部に冷気発生装置(図示省略)から冷気を流し、例えば摂氏10度以下の低温に保持することで、食品衛生面での品質向上を図っている。
このカバーCOと冷気発生装置を、請求項において「低温維持手段L」と称する。
【符号の説明】
【0172】
A1 第1搬送工程
A11 第1搬送装置
A2 第2搬送工程
A22 第2搬送装置
B 調整工程
B1 調整用ロボット
B11 調整装置
C 切断工程
C11 切断装置
D1 第1収容工程
D11 第1収容装置
D2 第2収容工程
D22 第2収容装置
E1 第1搬出工程
E11 第1搬出装置
E2 第2搬出工程
E22 第2搬出装置
E3 第3搬出工程
F 選別工程
F1 選別用ロボット
F11 選別装置
G 原料片搬送工程
G11 原料片搬送装置
H 挽き工程
H11 挽き装置
I 貯蔵工程
I11 貯蔵部
J 出荷工程
K11 第1制御装置
K22 第2制御装置
L 低温維持手段
MF1 第1食品原料
MF2 第2食品原料
m1 肉片(食品片)
m2 原料片
m3 挽肉(挽肉様食品)
N11 状態表示装置(監視装置)
N22 監視室(室)
PC プロセスセンター(食品加工設備)
t 容器


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図16
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図18
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図26
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図28
図29