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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109504
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】駆動装置および駆動装置セット
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/06 20060101AFI20220721BHJP
   F16H 19/04 20060101ALI20220721BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
H02K7/06 Z
F16H19/04 Z
H02K7/116
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004856
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 陽介
【テーマコード(参考)】
3J062
5H607
【Fターム(参考)】
3J062AA33
3J062AB05
3J062AC07
3J062BA01
3J062BA14
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB14
5H607CC03
5H607CC05
5H607DD03
5H607DD08
5H607EE33
5H607EE54
5H607JJ04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】安価で寸法精度が確保された駆動装置の提供。
【解決手段】本発明の駆動装置の一つの態様は、モータ本体20およびモータ本体によって第1の中心軸線J1周りに回転させられるピニオンギヤ5を有するギヤドモータ2と、ピニオンギヤに噛み合い第1方向に動作するラックギヤ3と、ギヤドモータおよびラックギヤを保持するフレーム10と、を備え、ピニオンギヤは、ギヤドモータの軸方向一方側に配置され、ギヤドモータは、軸方向他方側の端部に、軸方向に延びる柱状の突出部79を有し、フレームは、ギヤドモータの軸方向他方側の端面と隙間を介して対向する第1支持部19を有し、第1支持部は、突出部を径方向から支持可能な収容部19aを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ本体および前記モータ本体によって第1の中心軸線周りに回転させられるピニオンギヤを有するギヤドモータと、
前記ピニオンギヤに噛み合い第1方向に動作するラックギヤと、
前記ギヤドモータおよび前記ラックギヤを保持するフレームと、を備え、
前記ピニオンギヤは、前記ギヤドモータの軸方向一方側に配置され、
前記ギヤドモータは、軸方向他方側の端面に、軸方向に延びる柱状の突出部を有し、
前記フレームは、前記ギヤドモータの軸方向他方側の端面と隙間を介して対向する第1支持部を有し、
前記第1支持部は、前記突出部を径方向から支持可能な収容部を有する、
駆動装置。
【請求項2】
前記突出部の外周面と前記収容部の内側面との接触部には、前記突出部と前記第1支持部とを固定する溶接部が設けられる、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記フレームは、前記ギヤドモータの軸方向一方側の端部と接触する第2支持部を有し、
前記ギヤドモータの軸方向一方側の端部と前記第2支持部との境界には、前記端部と前記第2支持部とを固定する溶接部が設けられる、
請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記突出部は、一様な断面形状で軸方向に沿って延びる柱状であり、
前記突出部の断面形状の重心は、前記第1の中心軸線上にある、
請求項1~3のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記収容部は、前記ラックギヤの垂線方向に開放された形状である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記突出部は、矩形柱状である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記ギヤドモータは、伝達機構を有し、
前記モータ本体は、第2の中心軸線周りに回転し、
前記伝達機構は、
前記モータ本体による回転動力を、前記第2の中心軸線周りから前記第1の中心軸線周りへと伝達する軸間伝達部と、
前記軸間伝達部からの回転動力を減速して前記ピニオンギヤに伝える減速機構部と、を有し、
前記減速機構部は、
前記モータ本体と前記第1方向に並び、
軸方向一方側において、前記ピニオンギヤに連結され、
軸方向他方側において、前記軸間伝達部に連結され、
前記軸間伝達部は、
少なくとも2つの伝達歯車と、
前記伝達歯車を収容するフランジ部と、
カバー部と、を有し、
前記カバー部は、軸方向他方側の端部に前記突出部を有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の駆動装置である第1駆動装置と、
軸方向において前記第1駆動装置に並んで配置される第2駆動装置と、を備え、
前記ギヤドモータを第1ギヤドモータ、前記ラックギヤを第1ラックギヤ、前記フレームを第1フレームと、として、
前記第2駆動装置は、
前記第1ギヤドモータと同形状であり前記第1ギヤドモータに対して軸方向に反転して配置される第2ギヤドモータと、
前記ラックギヤと同形状であり前記第2ギヤドモータの前記ピニオンギヤに噛み合い第1方向に動作する第2ラックギヤと、
軸方向と直交する平面を基準として前記第1フレームの鏡面対称形状である第2フレームと、を有し、
前記突出部は、前記第1の中心軸線および前記第1方向からなる平面に対して対称形状である、
駆動装置セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置および駆動装置セットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン等の電子機器の薄型化が進む一方で、搭載されるギヤドモータにも薄型化が求められている。特許文献1には、このような薄型の電子機器に搭載するギヤボックス装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-47589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ますます小型化される電子機器においては、部品を動かすための駆動装置を設置するスペースが非常に限られている。このため、スライド動作させるためのギヤドモータと、回転動作させるためのギヤドモータとをそれぞれ電子機器に組み込むことが困難となっている。このような小型化された電子機器に搭載されるギヤドモータにおいては、より高度な寸法精度が求められ製造コストを圧迫するという問題があった。
【0005】
本発明の一つの態様は、安価に製造できる駆動装置および駆動装置セットの提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の駆動装置の一つの態様は、モータ本体およびモータ本体によって第1の中心軸線周りに回転させられるピニオンギヤを有するギヤドモータと、ピニオンギヤに噛み合い第1方向に動作するラックギヤと、ギヤドモータおよびラックギヤを保持するフレームと、を備え、ピニオンギヤは、ギヤドモータの軸方向一方側に配置され、ギヤドモータは、軸方向他方側の端部に、軸方向に延びる柱状の突出部を有し、フレームは、ギヤドモータの軸方向他方側の端面と隙間を介して対向する第1支持部を有し、第1支持部は、突出部を径方向から支持可能な収容部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によると、要求される寸法精度を緩和でき安価に製造できる駆動装置および駆動装置セットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態の駆動装置の分解斜視図である。
図2図2は、本実施形態の駆動装置の上面図である。
図3図3は、本実施形態の駆動装置の軸方向縦断面図である。
図4図4は、本実施形態の駆動装置の軸方向横断面図である。
図5図5は、本実施形態の駆動装置セットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る駆動装置1について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。以下の説明において特に断りのない限り、各中心軸線Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と呼び、+Z側を単に「軸方向一方側」と呼び、-Z側を単に「軸方向他方側」と呼ぶ。また、各中心軸線J周りの周方向を単に「周方向」とよび、各中心軸線Jに対する径方向を単に「径方向」と呼ぶ。
【0011】
さらに、本明細書の説明の簡易のために、Y軸方向を単に上下方向と呼び、+Y軸方向を単に上側とよび、-Y方向を単に下側と呼ぶ。なお、本明細書における上下方向は、説明の便宜のために設定する方向であって、駆動装置1の使用時の姿勢を限定するものではない。
【0012】
図1は、本実施形態の駆動装置1の分解斜視図である。図2は、駆動装置1の上面図である。図3は、駆動装置1の軸方向縦断面図である。本実施形態の駆動装置1は、Y軸方向に沿う寸法が抑制された薄型の電子機器に搭載される。
【0013】
図1に示すように、駆動装置1は、ギヤドモータ2と、ラックギヤ3と、フレーム10と、アタッチメント40と、を備える。
【0014】
ギヤドモータ2は、モータ本体20と、モータ本体20に接続される伝達機構30と、伝達機構30に接続されるピニオンギヤ5と、を有する。本実施形態においては、伝達機構30は、モータ本体20と第1方向(X軸方向)に並ぶ減速機構部60と、モータ本体20から減速機構部60へと回転動力を伝達する軸間伝達部70と、を有する。
【0015】
図3に示すように、モータ本体20は、第2の中心軸線J2に沿って延びる。また、減速機構部60は、第1の中心軸線J1に沿って延びる。第1の中心軸線J1と第2の中心軸線J2とは、互いに平行に延びる。
【0016】
モータ本体20のモータシャフト29は、第2の中心軸線J2周りを回転する。一方で、減速機構部60およびピニオンギヤ5は、第1の中心軸線J1周りを回転する。
【0017】
モータ本体20は、全体として第2の中心軸線J2を中心とする円柱状である。モータ本体20は、例えば、ステッピングモータである。
【0018】
図3に示すように、モータ本体20は、第2の中心軸線J2周りに回転するロータ21と、ロータ21を径方向外側から囲むステータ22と、さらにステータ22を径方向外側から囲むモータケース23と、を有する。ロータ21は、第2の中心軸線J2に沿って延びるモータシャフト29を有する。
【0019】
軸間伝達部70は、モータ本体20のモータシャフト29に接続される。軸間伝達部70は、モータ本体20の動力を減速機構部60に伝える。軸間伝達部70は、減速機構部60とは別に動力を減速する機能を有していてもよい。
【0020】
軸間伝達部70は、少なくとも2つの伝達歯車70aを有する。本実施形態では、軸間伝達部70は、3つの伝達歯車70a(入力歯車71、中間歯車72、および出力歯車73)を有する。軸間伝達部70は、さらに、中間シャフト72pと、出力シャフト73pと、フランジ部74と、カバー部75と、を有する。
【0021】
入力歯車71は、中心に貫通孔71hを有する。貫通孔71hには、モータシャフト29が挿入される。入力歯車71は、モータ本体20によって第2の中心軸線J2周りに回転させられる。
【0022】
中間歯車72は、入力歯車71に噛み合う。中間歯車72は、中心に貫通孔72hを有する。貫通孔72hには、中間シャフト72pが挿入される。中間歯車72は、入力歯車71によって中間シャフト72p周りに回転させられる。
【0023】
中間シャフト72pの位置は、第1の中心軸線J1と第2の中心軸線J2との間隔と、入力歯車71、中間歯車72、および出力歯車73の寸法とによって決定される。本実施形態では、中間シャフト72pは、第1の中心軸線J1および第2の中心軸線J2を含む平面よりも上側(+Y側)に配置される。
【0024】
出力歯車73は、中間歯車72に噛み合う。出力歯車73は、中心に孔73hを有する。孔73hには、出力シャフト73pが挿入される。出力歯車73は、中間歯車72によって第1の中心軸線J1周りに回転させられる。出力歯車73は、軸方向一方側(+Z側)に出力部73aを有する。出力部73aは、減速機構部60の第1太陽歯車61aを有する。
【0025】
図1に示すように、フランジ部74は、入力歯車71と、中間歯車72と、出力歯車73と、を収容する。フランジ部74は、入力歯車71を収容する第1円筒部76と、中間歯車72を収容する中間部77と、出力歯車73を収容する第2円筒部78と、を有する。
【0026】
第1円筒部76は、第2の中心軸線J2を中心とする円筒状である。第1円筒部76は、第1方向他方側(+X側)に小径部76aと、第1方向一方側(-X側)に大径部76bと、を有する。第1円筒部76の大径部76bの外径は、モータ本体20のモータケース23の外径とおよそ等しい。
【0027】
第2円筒部78は、第1の中心軸線J1を中心とする円筒状である。第2円筒部78は、第1方向他方側(+X側)に小径部78aと、第1方向一方側(-X側)に大径部78bと、を有する。第2円筒部78の大径部78bの外径は、減速機構部60のギヤケース69の外径とおよそ等しい。
【0028】
中間部77は、XY平面に平行な天板部77aを有する。本実施形態では、天板部77aの下側(-Z側)は、中間歯車と干渉しないように、円弧状の切り欠きを有する。天板部77aの上側面(+Y側面)は、モータケース23およびギヤケース69の最上面と同じY方向高さに位置する。
【0029】
図3に示すように、フランジ部74は、第1円筒部76、中間部77、および第2円筒部78の軸方向一方側(+Z側)の端部に接続される底面部74aを有する。底面部74aは、軸方向と直交する平面に沿う板状である。底面部74aは、第1の中心軸線J1、第2の中心軸線J2、および中間シャフト72pをそれぞれ中心とする3つの孔を有する。第1円筒部76に位置する第1孔76hには、モータ本体20が嵌め合わされる。中間部77に位置する中間孔77hには、中間シャフト72pが挿入される。第2円筒部に位置する第2孔78hには、出力部73aが挿入される。
【0030】
フランジ部74は、出力部73aを径方向外側から囲む連結部74bを有する。連結部74bは、第2円筒部78の軸方向一方側(+Z側)に位置する。連結部74bは、軸間伝達部70と減速機構部60とを連結する。本実施形態では、連結部74bは、減速機構部60のギヤケース69に挿入される。
【0031】
カバー部75は、入力歯車71と、中間歯車72と、出力歯車73と、を軸方向他方側(-Z側)から覆う頭頂部75aを有する。本実施形態においては、カバー部75の頭頂部75aは、ギヤドモータ2の軸方向他方側(-Z側)の端面75aに相当する。カバー部75は、フランジ部74の小径部76a、78aを径方向外側から囲む側壁部75bを有する。側壁部75bの外径は、フランジ部の大径部76b、78bの外径とおよそ等しい。
【0032】
頭頂部75aは、軸方向一方側面(+Z側面)に、軸方向他方側(-Z側)に窪み、中間シャフト72pが挿入される中間シャフト支持部75c、軸方向他方側(-Z側)に窪み、出力シャフト73pが挿入される出力シャフト支持部75dと、を有する。
【0033】
カバー部75は、頭頂部75aの軸方向他方側(-Z側)の端面に突出部79を有する。本実施形態では、突出部79は、一様な矩形断面形状で軸方向に沿って延びる柱状である。また、突出部79の断面形状の重心は、第1の中心軸線J1上にある。なお、ここで突出部79の断面形状とは、軸方向と直交する平面における突出部79の断面形状を意味する。
【0034】
本実施形態では、突出部79は、正方形断面を有する柱状である。突出部79は、第1方向と直交する平面(YZ平面)に沿う2つの突出部側面79a,79bを有する。突出部側面79aと突出部側面79bとが互いに平行であることで、後述する収容部19aへの挿入が容易になり、かつ、後述する収容部19aと突出部79との軸方向相対位置にばらつきが生じていても、互いの接触関係を維持できる。このため、突出部79と後述する第1支持部19とを溶接しやすい。突出部79の角部には、Rが設けられる。この構成により、後述する収容部19aへの挿入が容易になる。
【0035】
本実施形態では、突出部79は正方形断面を有する柱状であるが、これに限られない。例えば、突出部79は、円形断面を有する柱状であってもよい。また、本実施形態では、突出部79の内部は中実であるが、軽量化のために内部に空洞があってもよい。
【0036】
本実施形態では、減速機構部60は、遊星歯車機構である。減速機構部60は、軸間伝達部70に接続される。
【0037】
減速機構部60は、それぞれ、ギヤケース69と、第1太陽歯車61aと、3つの第1遊星歯車61bと、第1キャリア61cと、3つの第2遊星歯車62bと、第2キャリア62cと、3つの第3遊星歯車63bと、第3キャリア63cと、を有する。
【0038】
ギヤケース69は、フレーム10に固定される。すなわち、減速機構部60は、ギヤケース69においてフレーム10に支持される。ギヤケース69は、内歯ギヤ69aと、軸受支持部69dと、を有する。
【0039】
内歯ギヤ69aは、第1の中心軸線J1を中心として軸方向に延びる筒状である。内歯ギヤ69aは、第1遊星歯車61b、第2遊星歯車62bおよび第3遊星歯車63bに噛み合う。
【0040】
軸受支持部69dは、内歯ギヤ69aの軸方向一方側(+Z側)の端部に位置する。軸受支持部69dは、第1の中心軸線J1を中心として筒状に延びる。軸受支持部69dの内周面には滑り軸受が装着される。軸受支持部69dは、第2軸受7を保持する。軸受支持部69dは、第2軸受7を介して後述する円柱部64aを回転可能に支持する。
【0041】
図1に示すように、ギヤケース69は、軸受支持部69dに対応する外周面に、平面部69bを有する。本実施形態では、平面部69bは、第1方向両側(+X側、-X側)および上下方向両側(+Y側、-Y側)に、計4面設けられる。
【0042】
図3に示すように、第1太陽歯車61aは、軸間伝達部70の出力部73aに設けられ、第1の中心軸線J1を中心として回転する。3つの第1遊星歯車61bは、第1の中心軸線J1の周方向に等間隔に配置される。3つの第1遊星歯車61bは、第1太陽歯車61aに噛み合う。3つの第1遊星歯車61bは、第1太陽歯車61aの回転に伴い、第1の中心軸線J1の周りを公転回転する。
【0043】
第1キャリア61cは、第1円盤部61dと、3本の第1サブシャフト61eと、第2太陽歯車62aと、を有する。第1円盤部61dは、第1の中心軸線J1を中心として径方向に延びる。3本の第1サブシャフト61eは、第1円盤部61dから軸方向他方側(-Z側)に延びる。第2太陽歯車62aは、第1の中心軸線J1を中心として第1円盤部61dから軸方向一方側(+Z側)に延びる。
【0044】
3本の第1サブシャフト61eは、それぞれ第1遊星歯車61bを回転可能に支持する。第1キャリア61cは、3つの第1遊星歯車61bの公転回転に伴い、第1の中心軸線J1を中心として回転する。
【0045】
第2太陽歯車62aは、第1キャリア61cの一部であるため、第1遊星歯車61bの公転回転に伴い、第1の中心軸線J1を中心として回転する。
【0046】
3つの第2遊星歯車62bは、第1の中心軸線J1の周方向に等間隔に配置される。3つの第2遊星歯車62bは、第2太陽歯車62aに噛み合う。3つの第2遊星歯車62bは、第2太陽歯車62aの回転に伴い、第1の中心軸線J1の周方向に公転回転する。
【0047】
第2キャリア62cは、第2円盤部62dと、3本の第2サブシャフト62eと、第3太陽歯車63aと、を有する。第2円盤部62dは、第1の中心軸線J1を中心として径方向に延びる。3本の第2サブシャフト62eは、第2円盤部62dから軸方向他方側(-Z側)に延びる。第3太陽歯車63aは、第1の中心軸線J1を中心として第2円盤部62dから軸方向一方側(+Z側)に延びる。
【0048】
3本の第2サブシャフト62eは、それぞれ第2遊星歯車62bを回転可能に支持する。第2キャリア62cは、3つの第2遊星歯車62bの公転回転に伴い、第1の中心軸線J1を中心として回転する。
【0049】
第3太陽歯車63aは、第2キャリア62cの一部であるため、第2遊星歯車62bの公転回転に伴い、第1の中心軸線J1を中心として回転する。
【0050】
3つの第3遊星歯車63bは、第1の中心軸線J1の周方向に等間隔に配置される。3つの第3遊星歯車63bは、第3太陽歯車63aに噛み合う。3つの第3遊星歯車63bは、第3太陽歯車63aの回転に伴い、第1の中心軸線J1の周方向に公転回転する。
【0051】
第3キャリア63cは、第3円盤部63dと、3本の第3サブシャフト63eと、出力部64と、を有する。第3円盤部63dは、第1の中心軸線J1を中心として径方向に延びる。3本の第3サブシャフト63eは、第3円盤部63dから軸方向他方側(-Z側)に延びる。出力部64は、第1の中心軸線J1を中心として第3円盤部63dから軸方向一方側(+Z側)に延びる。
【0052】
3本の第3サブシャフト63eは、それぞれ第3遊星歯車63bを回転可能に支持する。第3サブシャフト63eは、3つの第3遊星歯車63bの公転回転に伴い、第1の中心軸線J1を中心として回転する。
【0053】
図3に示すように、出力部64は、第1の中心軸線J1を中心として延びる円柱部64aと、円柱部64aの先端面から軸方向(Z軸方向)に沿って延びる嵌合軸部65と、を有する。円柱部64aは、第2軸受7によって回転可能に支持される。また、出力部64の軸方向一方側(+Z側)を向く端面には、保持穴64bが設けられる。保持穴64bには、シャフト64pが挿入される。
【0054】
図1に示すように、嵌合軸部65は、中心軸線Jに沿って延びる柱部65aを有する。柱部65aは、軸方向から見て十字形状を有する。本実施形態では、柱部65aは、径方向に突出し軸方向に延びる4つのかかり部65bを有する。かかり部65bは、周方向に沿っておよそ90度間隔で並ぶ。
【0055】
ピニオンギヤ5は、第1の中心軸線J1を中心として配置される。ピニオンギヤ5は、モータ本体20によって第1の中心軸線J1周りに回転させられる。図3に示すように、ピニオンギヤ5には、軸方向に貫通する貫通孔5hが設けられる。貫通孔5hには、シャフト64pが挿入される。
【0056】
ピニオンギヤ5の軸方向一方側(+Z側)を向く面には、嵌合凹部5aが設けられる。嵌合凹部5aには、出力部64の嵌合軸部65が嵌合する。これにより、ピニオンギヤ5は、伝達機構30を介して、モータ本体20に回転させられる。
【0057】
図3に示すように、シャフト64pは、第1の中心軸線J1を中心として延びる。シャフト64pの軸方向他方側(-Z側)の端部は、出力部64に支持され、軸方向一方側(+Z側)の端部は、第1軸受6を介してフレーム10に支持される。シャフト64pは、ピニオンギヤ5の第1の中心軸線J1周りの回転を補助する。
【0058】
図1に示すように、ラックギヤ3は、上下方向を板厚方向とする板状である。ラックギヤ3は、MIM(Metal Injection Molding、金属粉末射出成形)によって成形される。モータ本体20と減速機構部60とは、各中心軸線Jと直交する方向(本実施形態においてX軸方向)に隣り合って配置される。ラックギヤ3は、モータ本体20と減速機構部60とが並ぶ方向に沿って直線状に延びる。ラックギヤ3は、シャフト64pおよびピニオンギヤ5に対して下側(-Y側)に位置する。
【0059】
ラックギヤ3は、X軸方向に沿って並ぶ複数の歯面を有するギヤ本体部3bと、ギヤ本体部3bのZ軸方向の両側からそれぞれ突出する一対のレール部3aと、を有する。レール部3aは、ラックギヤ3の延在方向(X軸方向)に沿って延びる。
【0060】
ラックギヤ3のギヤ本体部3bは、ピニオンギヤ5に噛み合う。ラックギヤ3は、ピニオンギヤ5から出力される動力が伝わることで一方向に動作する。ラックギヤ3は、2つの中心軸線J1、J2と直交する方向に動作する。
【0061】
本明細書において、ラックギヤ3が動作する方向を第1方向と呼ぶ。本実施形態において、第1方向は、X軸と平行な方向である。ギヤ本体部3bにおいて複数の歯は、第1方向に沿って一定のギヤピッチで並ぶ。
【0062】
図1に示すように、フレーム10は、フレーム本体11を有する。フレーム10は、ギヤドモータ2およびラックギヤ3を保持する。フレーム本体11は、例えば、MIMによって成形される。
【0063】
フレーム本体11には、複数の固定部15が設けられる。固定部15は、上下方向と直交する平面(XZ平面)に沿う板状である。固定部15には、板厚方向に貫通する固定孔15aが設けられる。固定孔15aには、駆動装置1を外部部材(例えば、駆動装置1が格納される電子機器)に固定するためのネジが挿入される。フレーム本体11は、固定部15において、外部部材にネジ固定される。
【0064】
また、フレーム本体11は、第1側壁部13とモータ枠部14とを有する。第1側壁部13およびモータ枠部14は、2つの中心軸線J1、J2に沿って互いに並行して延びる。第1側壁部13とモータ枠部14との間には、ギヤドモータ2が配置される。第1側壁部13は、ラックギヤ3の動作方向である第1方向と直交する板状である。第1側壁部13およびモータ枠部14は、ギヤドモータ2の下側(-Y側)に沿う曲面をそれぞれ有する。
【0065】
フレーム本体11は、ギア支持枠部12を有する。図1に示すように、ギア支持枠部12は、フレーム本体11に対し軸方向一方側(+Z側)に配置される。ギア支持枠部12は、ピニオンギヤ5を四方から囲む枠状である。ギア支持枠部12に囲まれた平面視矩形状の包囲空間は、上下方向(Y軸方向)に開口する。ギア支持枠部12は、上下方向(Y軸方向)を開口方向とする上側開口部(開口部)12aおよび下側開口部12bを有する。下側開口部12bは、ラックギヤ3によって覆われる。また、上側開口部12aには、アタッチメント40が挿入される。
【0066】
ギア支持枠部12は、ピニオンギヤ5の軸方向一方側(+Z側)に位置する第1包囲壁12cと、軸方向他方側(-Z側)に位置する第2包囲壁12dと、第1方向一方側(-X側)に位置する第3包囲壁12eと、第1方向他方側(+X側)に位置する第4包囲壁12fと、を有する。第1~第4包囲壁12c~12fは、Y軸方向から見て矩形状に配置される。本実施形態では、第3包囲壁12eは、第1側壁部13の軸方向一方側(+Z側)に設けられる。
【0067】
第3包囲壁12eおよび第4包囲壁12fは、ラックギヤ3の上側に位置する。第3包囲壁12eおよび第4包囲壁12fの下端面は、ラックギヤ3のレール部3aを上側から摺動可能に支持する。これにより、フレーム本体11は、ラックギヤ3の第1方向への移動をガイドする。なお、摺動効率の観点から、第3包囲壁12eおよび第4包囲壁12fの下端面とラックギヤ3のレール部3aとの間には、若干の隙間が介在することが好ましい。
【0068】
第1包囲壁12cには、上側に開口する切欠12gが設けられる。第1包囲壁12cの切欠12gには、第1軸受6が挿入される。したがって、第1包囲壁12cは、第1軸受6を介してシャフト64pを支持する。
【0069】
第2包囲壁12dには、上側に開口する切欠12hが設けられる。第2包囲壁12dの切欠12hには、ギヤドモータ2の出力部64が挿入される。
【0070】
ギア支持枠部12は、第2包囲壁12dの軸方向他方側(-Z側)に、保持枠17を有する。保持枠17は、第3包囲壁12eおよび第4包囲壁12fに軸方向に沿う位置にそれぞれ第1回転保持部17aおよび第2回転保持部17bを有する。第1回転保持部17aと第2回転保持部17bとは、ギヤケース69の2つの第1方向平面部69bを両側から挟み保持する。
【0071】
保持枠17は、第1回転保持部17aおよび第2回転保持部17bよりも下側(-Y側)に、第3回転保持部17cを有する。第3回転保持部17cは、ギヤケース69の下側(-Y側)平面部69bを、下側(-Y側)から支持する。
【0072】
フレーム10は、モータ本体20の軸方向一方側(+Z側)の端部と接触する第2支持部16を有する。第2支持部16は、保持枠17の第1方向他方側(+X側)に設けられる。モータ本体20の軸方向一方側の端部20aと第2支持部16との境界には、端部20aと第2支持部16とを固定する溶接部16aが設けられる。また、本実施形態では、第2支持部16には、溶接部16aは、上側に開口する切欠16bを有する。
【0073】
第1包囲壁12cおよび第2包囲壁12dの下端部には、それぞれラックガイド部18が設けられる。一対のラックガイド部18は、ギア支持枠部12の下側開口部12bに位置する。一対のラックガイド部18は、それぞれ互いに向き合う方向に突出する。また、一対のラックガイド部18は、それぞれ一様な断面でラックギヤ3が延びる方向(X軸方向)に沿って並行に延びる。
【0074】
ラックガイド部18は、ラックギヤ3に対し下側(-Y側)に位置する。ラックガイド部18には、複数の摺動台座18aを有する。本実施形態において、摺動台座18aは2つ設けられる。複数の摺動台座18aは、ラックギヤ3の駆動方向(X軸方向、第1方向)に沿って並ぶ。摺動台座18aは、上側(+Y側)に突出する。摺動台座18aは、ラックギヤ3のレール部3aを摺動可能に支持する。これにより、ギア支持枠部12は、ラックギヤ3のX軸方向(第1方向)に沿う移動をガイドする。
【0075】
ピニオンギヤ5からラックギヤ3への動力伝達によって、ラックギヤ3はピニオンギヤ5から下側の力を受ける。本実施形態によれば、ラックガイド部18は、摺動台座18aの先端面18fにおいてラックギヤ3のレール部3aを支持する。
【0076】
フレーム10は、ギヤドモータ2の軸方向他方側(-Z側)の端面と隙間を介して対向する第1支持部19を有する。第1支持部19は、軸方向と直交する平面に沿う板状である。第1支持部19は、第1側壁部13およびモータ枠部14の軸方向他方側(-Z側)の端部に接続される。本実施形態では、第1支持部19は、カバー部75の頭頂部75aの軸方向他方側(-Z側)の端面と隙間を介して対向して設けられる。
【0077】
第1支持部19は、カバー部75の突出部79を径方向から支持可能な収容部19aを有する。収容部19aは、ラックギヤ3の垂線方向(上方向、+Y方向)に開放された形状である。
【0078】
本実施形態では、収容部19aは、第1方向寸法が突出部79の第1方向寸法よりもわずかに大きい矩形である。また、収容部19aは、第1支持部19の厚さ方向に貫通する。収容部19aは、第1方向と直交する平面(YZ平面)に沿う2つの対向する収容部壁面19c,19dを有する。収容部壁面19cと収容部壁面19dとは、互いに平行である。突出部79は、収容部19aに対して上側(+Y側)から平行移動させることにより、収容部19aへと挿入可能である。
【0079】
突出部79が収容部19aへと挿入された状態において、収容部壁面19cと突出部79の突出部側面79aとは、接触する。また同様に、収容部壁面19dと突出部79の突出部側面79bとは、接触する。また、突出部79が挿入された状態において、突出部79の上面と第1支持部19の上面とは、同一平面上に位置する。これにより、突出部79と第1支持部19とを、より容易に溶接できる。
【0080】
ギヤドモータ2とフレーム10とを、第2支持部16側で接触させることで、第1支持部19とカバー部75の頭頂部75aとの間に隙間が設けられる寸法関係になっている。このため、ギヤドモータ2の軸方向寸法のばらつきに寄らずに、ピニオンギヤ5の軸方向の位置精度を高めることができる。
【0081】
突出部79の外周面と収容部19aの内側面との接触部には、突出部79と第1支持部19とを固定する溶接部19bが設けられる。溶接部19bを形成する溶接手段としては、例えばレーザ溶接が例示される。この場合の溶接部19bは、上側から突出部79と第1支持部19との境界部にレーザ光を照射することで形成される。
【0082】
アタッチメント40は、ギア支持枠部12の上側開口部12aを覆う天板部41と、天板部41から下側に突出しギア支持枠部12の上側開口部12aに挿入される第1補強壁(挿入部)45および第2補強壁(挿入部)46と、を有する。これにより第1補強壁45および第2補強壁46は、包囲空間に配置される。アタッチメント40は、MIMによって成形される。
【0083】
天板部41は、上下方向と直交する平面(XZ平面)に沿う板状である。天板部41には、板厚方向に貫通する窓部41wが設けられる。窓部41wは、ピニオンギヤ5の直上に位置し、ピニオンギヤ5を露出させる。
【0084】
天板部41は、ギア支持枠部12に搭載される。天板部41の下面は、ギア支持枠部12の上端面に接触する。また、天板部41の下面は、ギア支持枠部12に溶接等の接合手段によって固定される。
【0085】
天板部41の軸方向他方側(-Z側)の端部は、ギヤケース69の上側(+Y側)平面部69bを、上側(+Y側)から支持する。したがって、ギヤケース69の4つの平面部69bは、保持枠17と天板部41とによって、回転不可能に固定される。
【0086】
本実施形態によれば、アタッチメント40は、ギア支持枠部12に固定される。より具体的には、アタッチメント40の天板部41が、上側開口部12aの縁に固定される。天板部41とギア支持枠部12との固定部は、第1~第4包囲壁12c~12fの上端面にバランスよく配置される。
【0087】
第1補強壁45および第2補強壁46は、軸方向と直交する平面(XY平面)に沿って延びる。第1補強壁45と第2補強壁46とは、軸方向に対向する。第1補強壁45は、ピニオンギヤ5の軸方向一方側(+Z側)に位置する。
【0088】
第2補強壁46は、ピニオンギヤ5の軸方向他方側(-Z側)に位置する。すなわち、アタッチメント40をギア支持枠部12に装着した状態で、第1補強壁45と第2補強壁46との間には、ピニオンギヤ5が配置される。
【0089】
第1補強壁45は、ギア支持枠部12の第1包囲壁12cに沿って延びて接触する。一方で、第2補強壁46は、ギア支持枠部12の第2包囲壁12dに沿って延びて接触する。
【0090】
第2補強壁46には、下側に開口する切欠46aが設けられる。切欠46aは、下側に開口する。第2補強壁46の切欠46aには、ギヤドモータ2の出力部64が挿入される。
【0091】
第1補強壁45には、軸方向に貫通する保持孔45aが設けられる。保持孔45aは、第1の中心軸線J1を中心とする円形である。保持孔45aには、第1軸受6が挿入される。したがって、第1補強壁45は、第1軸受6を介してシャフト64pを支持する。
【0092】
第1補強壁45および第2補強壁46は、下端部において下側を向くガイド面47を有する。ガイド面47は、それぞれラックギヤ3のレール部3aの直上に位置する。第1補強壁45および第2補強壁46は、ラックギヤ3の動作を上側からガイドする。すなわち、第1補強壁45および第2補強壁46は、ラックギヤ3の動作を上側(+Y側)からガイドするガイド面47を有する。なお、ラックギヤ3が、ピニオンギヤ5から動力を伝達されピニオンギヤ5から下向きの力を受ける際、ガイド面47とラックギヤ3との間には、隙間が生じる。
【0093】
本実施形態によれば、駆動装置1は、モータ本体20およびモータ本体20によって第1の中心軸線J1周りに回転させられるピニオンギヤ5を有するギヤドモータ2と、ピニオンギヤ5に噛み合い第1方向に動作するラックギヤ3と、ギヤドモータ2およびラックギヤ3を保持するフレーム10と、を備え、ピニオンギヤ5は、ギヤドモータ2の軸方向一方側に配置され、ギヤドモータ2は、軸方向他方側の端面に、軸方向に延びる柱状の突出部79を有し、フレーム10は、ギヤドモータ2の軸方向他方側の端面75aと隙間を介して対向する第1支持部19を有し、第1支持部19は、突出部79を径方向から支持可能な収容部19aを有する。この構成によれば、ギヤドモータ2は、端面75aと第1支持部19との隙間の範囲で、フレーム10に対して軸方向に移動可能となる。このため、要求されるギヤドモータ2とフレーム10との軸方向精度を緩和でき、安価な駆動装置1を提供できる。また、ギヤドモータ2とフレーム10との軸方向他方側における固定は、軸方向に平行な面に沿って行われる。ギヤドモータ2とフレーム10とにそれぞれ突出部79と収容部19aとを設けることで、少ない箇所での固定を行うことができる。
【0094】
また、本実施形態によれば、突出部79の外周面と収容部19aの内側面との接触部には、突出部79と第1支持部19とを固定する溶接部19bが設けられる。固定手段として溶接を採用する場合において、少ない箇所での固定を行うことができるという効果をより有用に得られる。
【0095】
また、本実施形態によれば、フレーム10は、ギヤドモータ2の軸方向一方側の端部20aと接触する第2支持部16を有し、ギヤドモータ2の軸方向一方側の端部20aと第2支持部16との境界には、端部20aと第2支持部16とを固定する溶接部16aが設けられる。この構成においては、ギヤドモータ2の軸方向一方側の端部20aと第2支持部16とにおいて溶接することで、ギヤドモータ2とフレーム10との位置決めを行うことができる。溶接部16aにおいてギヤドモータ2とフレーム10との位置決めを行うため、軸方向他方側(-Z側)において軸方向に自由度の高い突出部79および収容部19aという構成を採用する本発明においても、ギヤドモータ2とフレーム10との所望の相対位置を確定できる。さらに、本実施形態のように、モータ本体20と減速機構部60とを軸方向と直交する方向に並べた構成においては、ピニオンギヤ5などの可動部から離れた位置でギヤドモータ2とフレーム10とを固定できる。これにより、溶接工程時に要求される作業精度を緩和することができる。
【0096】
また、本実施形態によれば、突出部79は、一様な断面形状で軸方向に沿って延びる柱状であり、突出部79の断面形状の重心は、第1の中心軸線J1上にある。この構成においては、ギヤドモータ2にかかるトルクが大きい場合であっても、相対的にトルクの大きい第1の中心軸線J1周りの回転に対してより良好にギヤドモータ2とフレーム10と固定できる。
【0097】
また、本実施形態によれば、収容部19aは、ラックギヤ3の垂線方向に開放された形状である。この構成においては、ギヤドモータ2に対してフレーム10の上側(+Y側)が解放された構成となるため、ギヤドモータ2とフレーム10とを容易に組み立てることができる。
【0098】
また、本実施形態によれば、突出部79は、矩形柱状である。この構成においては、突出部79の収容部19aへの組み立ての容易さと、突出部79と収容部19aとの噛み合いによる回転に対する抵抗とを両立できる。特に、固定手段として溶接を採用する場合において、溶接するための接触部を一方向に広範囲に露出させることができ、溶接工程の作用性を高めることができる。この効果は、収容部19aは、ラックギヤ3の垂線方向に開放された形状である場合において、さらに有用に得られる。
【0099】
また、本実施形態によれば、ギヤドモータ2は、伝達機構30を有し、伝達機構30は、モータ本体20による回転動力を、第2の中心軸線J2周りから第1の中心軸線J1周りへと伝達する軸間伝達部70と、軸間伝達部70からの回転動力を減速してピニオンギヤ5に伝える減速機構部60と、を有し、減速機構部60は、モータ本体20と第1方向に並び、軸方向一方側において、ピニオンギヤ5に連結され、軸方向他方側において、軸間伝達部70に連結され、軸間伝達部70は、少なくとも2つの伝達歯車70aと、伝達歯車70aを収容するフランジ部74と、カバー部75と、を有し、カバー部75は、軸方向他方側の端面に突出部79を有する。この構成においては、モータ本体20と減速機構部60とを軸方向と直交する方向に並べた本実施形態の構成においては、複数の部材の軸方向寸法を管理する必要があるため、本発明の軸方向寸法の要求精度を緩和する効果をより有用に得られる。
【0100】
図5は、本実施形態の駆動装置セット100の斜視図である。駆動装置セット100は、本実施形態の第1駆動装置1と、軸方向において第1駆動装置1に並んで配置される第2駆動装置101と、を備える。
【0101】
以下の説明において、第1駆動装置1に係る構成要素と第2駆動装置101に係る構成要素とを区別する場合、例えば、上述のギヤドモータ2を第1駆動装置1に係る第1ギヤドモータ2と呼称し、第2駆動装置101に係るギヤドモータを第2ギヤドモータ102と呼称する。
【0102】
第2駆動装置101は、第2ギヤドモータ102と、第2ラックギヤ103と、第2フレーム110と、第2アタッチメント140と、を備える。
【0103】
第2ギヤドモータ102は、第1ギヤドモータ2と同等の要素である。第2駆動装置101において、第2ギヤドモータ102は、第1ギヤドモータ2に対して軸方向に反転して配置される。第2ラックギヤ103は、第1ラックギヤ3と同等の要素である。第2ラックギヤ103は、第2ギヤドモータ102のピニオンギヤ105に噛み合い第1方向に動作する。第2フレーム110は、XY平面を基準として第1フレーム10の鏡面対称形状である。第2アタッチメント140は、第1アタッチメント40と同等の要素である。
【0104】
本実施形態によれば、駆動装置セット100は、第1駆動装置1と、軸方向において第1駆動装置1に並んで配置される第2駆動装置101と、を備え、ギヤドモータ2を第1ギヤドモータ2、ラックギヤ3を第1ラックギヤ3、フレーム10を第1フレーム10、として、第2駆動装置101は、第1ギヤドモータ2と同形状であり第1ギヤドモータ2に対して軸方向に反転して配置される第2ギヤドモータ102と、ラックギヤ3と同形状であり第2ギヤドモータ102のピニオンギヤ105に噛み合い第1方向に動作する第2ラックギヤ103と、軸方向と直交する平面を基準として第1フレーム10の鏡面対称形状である第2フレーム110と、を有し、突出部79,179は、第1の中心軸線J1および第1方向からなる平面に対して対称形状である。この構成においては、同一製品のギヤドモータ2を互いに反転させて第1ギヤドモータ2と第2ギヤドモータ102として対称形状の第1フレーム10および第2フレーム110と共に採用できる。第1フレーム10と第2フレーム110とを対称形状のフレームとすることで、同一のギヤドモータを採用するために異なる形状のフレームを採用する場合と比較して、解析、試験等による強度設計を簡素化できる。
【0105】
さらに、本実施形態のようにモータ本体20と減速機構部60とを並べて配置する場合においてはギヤドモータ2の対称性が失われるため、同一製品のギヤドモータ2を互いに反転させて第1ギヤドモータ2と第2ギヤドモータ102として対称形状の第1フレーム10および第2フレーム110と共に採用できるという効果をより有用に得られる。
【0106】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0107】
例えば、駆動装置セットは、第1および第2のギヤドモータに加えて、さらに第3のギヤドモータを備え、ラックギヤの動力をさらに高めてもよい。また、上述の実施形態では、モータ本体がステッピングモータである場合について説明したが、これに限定されない。
【0108】
また、本実施形態において、モータ本体20と並べて配置された遊星歯車機構を構成する減速機構部60が記載されているが、これに限られない。減速機構部60は、例えば、他の伝達機構であってもよく、さらに、駆動装置は伝達機構を有しなくてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1…駆動装置,第1駆動装置、2…ギヤドモータ,第1ギヤドモータ、3…ラックギヤ,第1ラックギヤ、5,105…ピニオンギヤ、10…フレーム,第1フレーム、16…第2支持部、16a…溶接部、19…第1支持部、19a…収容部、19b…溶接部、20…モータ本体、20a…ギヤドモータの軸方向一方側の端部、30…伝達機構、60…減速機構部、70…軸間伝達部、70a…伝達歯車、74…フランジ部、75…カバー部、75a…端面、79,179…突出部、100…駆動装置セット、101…第2駆動装置、102…第2ギヤドモータ、103…第2ラックギヤ、110…第2フレーム、J1…第1の中心軸線、J2…第2の中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5