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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109517
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】競技場
(51)【国際特許分類】
   E04H 3/14 20060101AFI20220721BHJP
   A63C 19/06 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
E04H3/14 Z
E04H3/14 E
A63C19/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004888
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】517064843
【氏名又は名称】河野 久米彦
(71)【出願人】
【識別番号】502410196
【氏名又は名称】株式会社 横河システム建築
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 久米彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼柳 隆
(72)【発明者】
【氏名】宮田 智夫
(72)【発明者】
【氏名】朱 大立
(72)【発明者】
【氏名】村岡 真
(72)【発明者】
【氏名】今井 卓司
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 峰義
(57)【要約】
【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解消することであり、すなわち特許文献1の多目的スポ―ツ施設のように広大な土地を必要とせず、またコート変更作業(ラインの除去新設)を行うことなく異種の競技コートに変更することができる競技場を提供することである。
【解決手段】本願発明の競技場は、競技が行われる競技エリアを有し、基礎底盤と昇降レール、競技盤格納庫、個別競技盤を備えたものである。このうち個別競技盤は、競技盤格納庫内で固定レール上に載置されて固定レール上を略水平方向にスライド可能なものであり、その上面には個別競技用コートが設けられている。そして昇降レールを固定レールの高さまで上昇させると固定レールに接続され、これにより個別競技盤は昇降レール上を競技エリアに向かってスライド移動していく。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
競技が行われる競技エリアを有する競技場において、
前記競技エリアに配置される基礎底盤と、
前記競技エリアに配置され、上下に移動可能な昇降レールと、
前記競技エリアに隣接する競技盤格納庫と、
前記競技盤格納庫内で固定レール上に載置され、該固定レール上を水平又は略水平方向にスライド可能な個別競技盤と、を備え、
前記個別競技盤の上面には、競技用のラインが付された個別競技用コートが設けられ、
前記昇降レールを前記固定レールの高さまで上昇させると、該昇降レールが該固定レールに接続され、前記個別競技盤は該昇降レール上を前記競技エリアに向かってスライド移動する、
ことを特徴とする競技場。
【請求項2】
前記競技盤格納庫内には、上下に並ぶ複数段の前記固定レールが設置されるとともに、該固定レール上にはそれぞれ異なる種別の前記個別競技用コートを有する前記個別競技盤が載置され、
所望の前記個別競技盤を載置する前記固定レールの高さまで前記昇降レールを上昇させることによって、所望の該個別競技盤が前記競技エリアに向かってスライド移動する、
ことを特徴とする請求項1記載の競技場。
【請求項3】
前記競技盤格納庫は、前記競技エリアの一方側に隣接する右側競技盤格納庫と、該競技エリアの他方側に隣接する左側競技盤格納庫と、からなり、
前記個別競技盤は、右側個別競技盤と、左側個別競技盤と、からなり、
前記右側個別競技盤は前記右側競技盤格納庫の前記固定レール上に載置されるとともに、前記左側個別競技盤は前記左側競技盤格納庫の前記固定レール上に載置され、
前記右側個別競技盤と前記左側個別競技盤は、互いに近づくように前記昇降レール上でスライド移動する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の競技場。
【請求項4】
前記基礎底盤を昇降させる基礎底盤昇降装置を、さらに備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の競技場。
【請求項5】
前記基礎底盤の上面に、前記個別競技用コートが設けられた、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の競技場。
【請求項6】
前記個別競技盤の下面であって前記昇降レールの垂直又は略垂直方向に、下弦材が設けられた、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の競技場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、バスケットボールやバレーボール、フットサルなどを行う競技場に関するものであり、より具体的には、多種の競技を選択的に実施することができる競技場に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
バスケットボールやバレーボール、バドミントンなどは、通常、スポーツアリーナや体育館といった施設(以下、「屋内競技用施設」という。)で行われる。そしてこの屋内競技用施設は、特定の競技のみ(例えば、バスケットボールのみ)を行う専用施設として利用されることは稀であり、多種多様な競技を行うために利用されるのが一般的である。
【0003】
各種競技は、当然ながらそれぞれルールや競技スぺースが異なり、また競技用のラインも異なる。例えばバスケットボールでは、センターラインとサイドライン、エンドラインに加え、センターサークルやフリースローライン、3ポイントラインなども設けられる。またバレーボールでは、センターラインとサイドライン、エンドラインのほか、アタックラインが設けられる。同様に、フットサルやバドミントン、ハンドボール、屋内テニスなどもそれぞれ特有のラインが設けられる。
【0004】
このようにそれぞれ競技によってコートに設けられるラインが異なるため、競技種類が変更されるたびに前回競技のラインを除去あるいはカムフラージュし、次回競技用として新たにラインを付していく作業(以下、「コート変更作業」という。)が必要であった。そしてコート変更作業は、床面が損傷するおそれがあるうえ、手間と時間を要することから短期間(例えば、同日)で異種の競技を実施することができないといった問題を抱えていた。そのため、競技種類を変更する際のコート変更作業をより効率的に実施できる技術が切望されていた。そこで、これまでもコート変更作業を省略することができる技術が提案されており、例えば特許文献1では一つの領域内に多種の競技用コートがあらかじめ設けられた多目的スポ―ツ施設について提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-142010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示される多目的スポ―ツ施設は、同じ施設内に陸上競技用トラックや5人制フットボール用のコート、バレーボール用のコート、バスケットボール用のコートなどが配置されており、それぞれのコートにはあらかじめ各競技に応じたラインが付されている。そのためこの多目的スポ―ツ施設では、コート変更作業を行うことなく複数種類の競技を実施することができる。しかしながら、多種の競技用コートを配置するが故に自ずとその占有面積は大きくなり、つまりこれを建設するためには広大な土地を要することから、用地費用を考えると相当な建設予算を確保しなければならない。また、施設内があまりに広大であるがために、観客席から目的の競技用コートがはるか遠方に位置することもあり、観客にとっては著しく観戦し難いといった問題も指摘することができる。
【0007】
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解消することであり、すなわち特許文献1の多目的スポ―ツ施設のように広大な土地を必要とせず、またコート変更作業(ラインの除去新設)を行うことなく異種の競技コートに変更することができる競技場を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、個別競技用コートを格納する格納スペースを設けることとし、この個別競技用コートを競技エリアと格納スペースの間で往来可能にする、という点に着目して開発されたものであり、従来にはない発想に基づいて行われた発明である。
【0009】
本願発明の競技場は、競技が行われる競技エリアを有し、基礎底盤と昇降レール、競技盤格納庫、個別競技盤を備えたものである。このうち基礎底盤は、競技エリアに配置されるもので、昇降レールは、競技エリアに配置されて上下に移動可能なものである。また競技盤格納庫は、競技エリアに隣接する収容空間であり、個別競技盤は、競技盤格納庫内で固定レール上に載置されて固定レール上を略水平方向(水平を含む)にスライド可能なものである。なお個別競技盤の上面には、競技用のラインが付された個別競技用コートが設けられている。そして、昇降レールを固定レールの高さまで上昇させると、昇降レールが固定レールに接続され、これにより個別競技盤は昇降レール上を競技エリアに向かってスライド移動していく。
【0010】
本願発明の競技場は、複数の個別競技盤を備えたものとすることもできる。この場合、競技盤格納庫内には上下に並ぶ複数段の固定レールが設置され、そして固定レール上にはそれぞれ異なる種別の個別競技用コートが付された個別競技盤が載置される。そして、所望の個別競技盤を載置する固定レールの高さまで昇降レールを上昇させることによって、所望の個別競技盤が競技エリアに向かってスライド移動していく。
【0011】
本願発明の競技場は、競技盤格納庫が右側競技盤格納庫と左側競技盤格納庫からなるものとすることもできる。なお、右側競技盤格納庫は競技エリアの一方側に隣接し、左側競技盤格納庫は競技エリアの他方側に隣接する。この場合、個別競技盤も右側個別競技盤と左側個別競技盤とからなるものとされ、右側個別競技盤が右側競技盤格納庫の固定レール上に載置されるとともに、左側個別競技盤が左側競技盤格納庫の固定レール上に載置される。そして、右側個別競技盤と左側個別競技盤は、互いに近づくように昇降レール上でスライド移動していく。
【0012】
本願発明の競技場は、基礎底盤を昇降させる基礎底盤昇降装置をさらに備えたものとすることもできる。
【0013】
本願発明の競技場は、基礎底盤の上面に個別競技用コートが設けられたものとすることもできる。
【0014】
本願発明の競技場は、個別競技盤に下弦材が設けられたものとすることもできる。なお、この下弦材は、個別競技盤の下面であって昇降レールの略垂直方向(垂直を含む)に設けられる。
【発明の効果】
【0015】
本願発明の競技場には、次のような効果がある。
(1)一つの競技施設で、多種多様な競技を行うことができる。
(2)コート変更作業(ラインの除去新設)を行うことなく異種の競技コートに変更することができることから、短期間で次の競技の準備を整えることができる。
(3)従来と同様の面積で構築でき、すなわち特許文献1のように広大な土地を必要としないことから、建設コストが高騰することがなく、また観客席から観戦し難いといった不都合も回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本願発明の競技場を模式的に示す平面図。
図2】本願発明の競技場を主軸方向で切断した模式的に示す断面図。
図3】競技盤格納庫を模式的に示す部分断面図。
図4】(a)はハンドボール用コートが設けられたハンドボール用個別競技盤を示す平面図、(b)はフットサル用コートが設けられたフットサル用個別競技盤を示す平面図、(c)はバレーボール用コートが設けられたバレーボール用個別競技盤を示す平面図、(d)はバスケットボール用コートが設けられたバスケットボール用個別競技盤を示す平面図、(e)は人工芝テニス用コートが設けられたオムニコート用個別競技盤を示す平面図、(f)はクレーテニス用コートが設けられたクレーテニス用個別競技盤を示す平面図。
図5】(a)は主軸方向で切断した個別競技盤の一部を模式的に示す断面図、(b)は主軸直角方向で切断した個別競技盤の半分を模式的に示す断面図。
図6】昇降レールを利用した個別競技盤のスライド移動を断面図で説明するステップ図。
図7】昇降レールを利用した個別競技盤のスライド移動を平面図で説明するステップ図。
図8】(a)は客席スタンドよりも下方に配置された基礎底盤を模式的に示す断面図、(b)は基礎底盤昇降装置によって最高位置まで上昇した場合の基礎底盤を模式的に示す断面図。
図9】昇降レールが基礎底盤レベルに配置された状態から、左右の個別競技盤を引き出すまでの手順を断面図で示すステップ図。
図10】左右の個別競技盤が中央付近で当接した状態から、個別競技が実施可能な状態とするまでの手順を断面図で示すステップ図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願発明の競技場の実施形態の一例を、図に基づいて説明する。
【0018】
図1は本願発明の競技場100を模式的に示す平面図であり、図2は本願発明の競技場100を模式的に示す断面図である。図1に示すように本願発明の競技場100は、中央に競技エリアGAが形成されるとともに、競技エリアGAの周囲に客席スタンドSTが設置され、そして競技エリアGAに隣接する位置であって客席スタンドSTの内部に競技盤格納庫200が形成されたものである。また図2に示すように競技場100は、競技エリアGAに配置される昇降レール300と基礎底盤400、そして競技盤格納庫200内に格納される個別競技盤600を備えており、さらに基礎底盤400の下方に配置される基礎底盤昇降装置500を備えたものとすることもできる。
【0019】
個別競技盤600は、その上面に所定の競技用ラインが付された個別競技用コートが設けられており、すなわちその競技専用として利用される床面である。例えば、バスケットボール用コートが設けられた個別競技盤は当然ながらバスケット専用として利用され、フットサル用コートが設けられた個別競技盤はもちろんフットサル専用として利用される。また個別競技盤600は、昇降レール300上を略水平(水平を含む)にスライド移動する構成とされ、競技エリアGAまで移動することによって当該競技を実施することができる。なお便宜上ここでは、個別競技盤600がスライド移動する方向のことを「主軸方向」、この主軸方向に直交する方向のことを「主軸直角方向」ということとする。
【0020】
競技盤格納庫200に2以上の個別競技盤600を格納することとし、それぞれ異なる種類の個別競技用コートが設けられていれば、複数種類の競技を実施することができて好適となる。この場合図2に示すように、競技盤格納庫200内に2以上の多段(図では4段)で個別競技盤600を格納するとよい。いわば箪笥の引き出しのように、多段で格納された個別競技盤600をそれぞれ個別に出し入れすることができる構造とするわけである。もちろん多段配置に限らず、競技盤格納庫200に1種類の(つまり1段で)個別競技盤600を格納する構成とすることもできる。
【0021】
図1図2では、競技エリアGAに隣接する一方側(図では左側)に左側競技盤格納庫200Lが形成され、競技エリアGAに隣接する他方側(図では右側)に右側競技盤格納庫200Rが形成されている。そして、左側競技盤格納庫200Lには左側個別競技盤600Lが格納され、右側競技盤格納庫200Rには右側個別競技盤600Rが格納されている。つまり、競技盤格納庫200が左側競技盤格納庫200Lと右側競技盤格納庫200Rによって構成され、個別競技盤600が左側個別競技盤600Lと右側個別競技盤600Rによって構成されている。この場合、左側個別競技盤600Lと右側個別競技盤600Rは、互いに近づくようにスライド移動し、競技エリアGAで形成される個別競技用コートを利用する。なお本願発明の競技場100は、図1図2の例に限らず、競技エリアGAに隣接するどちらか一方側のみに競技盤格納庫200が形成されたものとすることもできる。この場合、競技盤格納庫200には全面の(つまり、左右に分割されていない)個別競技盤600が格納され、この個別競技盤600が競技エリアGAまでスライド移動する。
【0022】
以下、本願発明の競技場100を構成する主な要素ごとに詳しく説明する。なお便宜上ここでは、競技盤格納庫200が左側競技盤格納庫200Lと右側競技盤格納庫200Rによって構成され、それぞれの競技盤格納庫200に4段の個別競技盤600が格納された例で説明することとする。
【0023】
(競技盤格納庫と固定レール)
図3は、競技盤格納庫200を模式的に示す部分断面図であり、便宜上、左側競技盤格納庫200Lのみを示している。この図に示すように競技盤格納庫200は、客席スタンドSTの内部に形成される中空の収容空間であり、この収容空間内には個別競技盤600の数だけ、つまりここでは4段の固定レール610が設置される。この固定レール610は、略水平(水平を含む)であって主軸方向となるように配置されるもので、個別競技盤600を支持するため主軸直角方向(図では奥行方向)に並ぶように2以上の列で配置するとよい。あるいは板状の固定レール610を配置してもよい。ただし、個別競技盤600が固定レール610上を中央方向に(つまり競技エリアGAに向かって)スライド移動するため、固定レール610の上面(個別競技盤600との接触面)は摩擦係数が小さい(滑りやすい)材料あるいはローラー(例えば、コロ)などを利用するとよい。
【0024】
(個別競技盤)
個別競技盤600は、板状のものであり、既述したとおりその上面には個別競技用コートが設けられている。図4は、個別競技用コートが設けられた個別競技盤600の例を示す平面図であり、(a)はハンドボール用コートが設けられたハンドボール用個別競技盤600aであり、(b)はフットサル用コートが設けられたフットサル用個別競技盤600b、(c)はバレーボール用コートが設けられたバレーボール用個別競技盤600c、(d)はバスケットボール用コートが設けられたバスケットボール用個別競技盤600d、(e)は人工芝テニス用コートが設けられたオムニコート用個別競技盤600e、(f)はクレーテニス用コートが設けられたクレーテニス用個別競技盤600fである。図4に示すような個別競技盤600を複数用意すると、多種多様な競技を行うことができる。また、オムニコート用個別競技盤600eとクレーテニス用個別競技盤600fのように、競技用コートは同じであってもその材質を変える(芝とクレーなど)ことで、競技種目の選択肢を増やすこともできる。なお図4に示した競技用コートはあくまで例示であって、当然ながら個別競技盤600には卓球やバドミントンなどあらゆる種類の競技用コートを設けることができる。
【0025】
図5は、個別競技盤600を模式的に示す図であり、(a)はその一部を主軸方向で切断した断面図、(b)はその半分を主軸直角方向で切断した断面図である。この図に示すように個別競技盤600は、薄肉の床板材620を備えており、この床板材620の上面に個別競技用コートが設けられる。通常、個別競技用コートは比較的大きな面積を要することから、図5(a)に示すように複数の床板材620を連結しながら全体面を形成するとよい。また、床板材620は薄肉であるが故に撓みが生じやすく、そのため床板材620の下面には主軸直角方向に延びる支持梁630や支持台640を設置するとよい。さらに補強のため、床板材620の下方(例えば支持梁630の下側)には主軸直角方向に延びる下弦材650を張設することもできる。なお、支持台640が固定レール610や昇降レール300上に載置された状態で個別競技盤600はスライド移動するため、少なくとも支持台640の下面(昇降レール300等との接触面)は摩擦係数が小さい(滑りやすい)材料(例えば、硬質スタイルフォームなど)を利用するとよい。
【0026】
(昇降レール)
昇降レール300は、競技エリアGAまで個別競技盤600をスライド移動させるために利用されるもので、上下に移動(つまり昇降)可能な構成とされる。なお、昇降レール300を昇降させるにあたっては、上方に配置されたウィンチ等を利用したり、下方に配置されたジャッキ等を利用したり、従来用いられている種々の技術を活用することができる。また昇降レール300は、固定レール610と同様、個別競技盤600を支持するため主軸直角方向に並ぶように2列で配置するとよい。さらに、個別競技盤600が昇降レール300上をスライド移動するため、昇降レール300の上面(個別競技盤600との接触面)は固定レール610と同様、摩擦係数が小さい(滑りやすい)材料を利用するとよい。
【0027】
ここで図6図7を参照しながら、昇降レール300を利用して、個別競技盤600をスライド移動させる手順について説明する。図6図7は、昇降レール300を利用した個別競技盤600のスライド移動を説明するステップ図であり、図6は断面図で示し、図7は平面図で示している。まず図6(a)に示すように、昇降レール300を上昇させていく。そして図6(b)に示すように、目的とする個別競技盤600を載置した固定レール610の高さでその上昇を停止する。なお、ここではフットサルを行うこととし、そのため昇降レール300は上から2段目に配置されたオムニコート用(人工芝テニス用コート具備)個別競技盤600eまで上昇して停止する。このとき、昇降レール300の上面高さと固定レール610の上面高さが略一致(一致を含む)するように、昇降レール300の停止高さを調整するとよい。
【0028】
昇降レール300が所定高さで停止し、昇降レール300の上面と固定レール610の上面が接続されると、図6(c)や図7(a)に示すように、オムニコート用個別競技盤600eを中央方向に(つまり競技エリアGAに向かって)スライド移動させる。より詳しくは、固定レール610上から徐々に昇降レール300上に引き渡されるように、オムニコート用個別競技盤600eがスライド移動していく。なお、個別競技盤600をスライド移動させるにあたっては、ローラーチェーンやジャッキ、ウィンチなど従来用いられている種々の技術を活用することができる。
【0029】
図7(a)に示すように、左右の昇降レール上をオムニコート用個別競技盤600eが互いに近づくようにスライド移動していくと、両者は中央付近で当接する。これにより図7(b)に示すように、競技エリアGA内にフットサル用コートが形成される。
【0030】
(基礎底盤と礎底盤昇降装置)
図8に示すように基礎底盤400は、競技エリアGAに配置される版状の床部材であり、個別競技盤600を下方から支持することができるものである。基礎底盤400も個別競技に利用することができ、その場合は上面に個別競技用コートが設けられる。なお基礎底盤400は、個別競技盤600よりも比較的硬質な床部材とすることが望ましく、したがって基礎底盤400の上面には硬質な床面でプレーされるバスケットボール用コートを設けるとよい。
【0031】
図8(a)に示す基礎底盤400は客席スタンドSTよりも下方にあり、そのため観客は、基礎底盤400上に載置された個別競技盤600(あるいは基礎底盤400)で行われる個別競技を観戦し難い。そこで、基礎底盤400を昇降させる基礎底盤昇降装置500を設けるとよい。この基礎底盤昇降装置500は、図8に示すように基礎底盤400の下方に配置され、例えばジャッキ等によって基礎底盤400を持ち上げるとともに引き降ろすことができるものである。図8(b)に示すように、基礎底盤昇降装置500を利用して基礎底盤400を所定高さ(図では最高位置)まで上昇させることによって、観客は個別競技盤600(あるいは基礎底盤400)で行われる個別競技を観戦しやすくなるわけである。
【0032】
(使用例)
続いて、図9図10を参照しながら本願発明の競技場100の使用例について説明する。図9は、昇降レール300が基礎底盤400レベルに配置された状態から、左右の個別競技盤600を引き出すまでの手順を断面図で示すステップ図であり、図10は、左右の個別競技盤600が中央付近で当接した状態から、個別競技が実施可能な状態とするまでの手順を断面図で示すステップ図である。
【0033】
図9(a)では昇降レール300が基礎底盤400レベルに配置されている。そこで図9(b)に示すように、目的の個別競技盤600を載置した固定レール610の高さまで昇降レール300を上昇させる。昇降レール300の上面と固定レール610の上面が接続されると、図9(c)に示すように、左側個別競技盤600Lを中央方向(図では右側)にスライドさせるとともに、右側個別競技盤600Rを中央方向(図では左側)にスライドさせる。
【0034】
図10(d)では、左側個別競技盤600Lの右端と右側個別競技盤600Rの左端が競技エリアGA内で当接し、それぞれスライド移動を停止している。ただし、この状態における個別競技盤600は昇降レール300のみによって支持されていることから、その上面で競技を行うにはやや不安定である。そこで図10(e)に示すように、基礎底盤昇降装置500によって基礎底盤400を上昇させ、上昇してきた基礎底盤400で個別競技盤600を堅固に支持するとよい。あるいは図10(f)に示すように、昇降レール300によって個別競技盤600を降下させ、降下してきた個別競技盤600を基礎底盤400で堅固に支持することもできる。
【0035】
競技が終了すると、上記した逆の手順を実施することによって、左側個別競技盤600Lが左側競技盤格納庫200Lに格納されるとともに、右側個別競技盤600Rが右側競技盤格納庫200Rに格納される。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本願発明の競技場は、バスケットボールやバレーボール、バドミントン、フットサル、屋内テニスなど種々の競技を実施する施設で有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
100 本願発明の競技場
200 (競技場の)競技盤格納庫
200L (競技盤格納庫の)左側競技盤格納庫
200R (競技盤格納庫の)右側競技盤格納庫
300 (競技場の)昇降レール
400 (競技場の)基礎底盤
500 (競技場の)基礎底盤昇降装置
600 (競技場の)個別競技盤
600L (個別競技盤の)左側個別競技盤
600R (個別競技盤の)右側個別競技盤
600a (個別競技盤のうちの)ハンドボール用個別競技盤
600b (個別競技盤のうちの)フットサル用個別競技盤
600c (個別競技盤のうちの)バレーボール用個別競技盤
600d (個別競技盤のうちの)バスケットボール用個別競技盤
600e (個別競技盤のうちの)オムニコート用個別競技盤
600f (個別競技盤のうちの)クレーテニス用個別競技盤
610 (競技場の)固定レール
620 (個別競技盤の)床板材
630 (個別競技盤の)支持梁
640 (個別競技盤の)支持台
650 (個別競技盤の)下弦材
GA 競技エリア
ST 客席スタンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10