IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 豊田合成株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-紫外発光装置 図1
  • 特開-紫外発光装置 図2
  • 特開-紫外発光装置 図3
  • 特開-紫外発光装置 図4
  • 特開-紫外発光装置 図5
  • 特開-紫外発光装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109528
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】紫外発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/56 20100101AFI20220721BHJP
【FI】
H01L33/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004905
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087723
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 修
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【弁理士】
【氏名又は名称】角谷 智広
(72)【発明者】
【氏名】松嶌 健史
(72)【発明者】
【氏名】下西 正太
(72)【発明者】
【氏名】松浦 健一
(72)【発明者】
【氏名】川岡 あや
(72)【発明者】
【氏名】守護 高志
(72)【発明者】
【氏名】袴田 新太郎
(72)【発明者】
【氏名】後藤 裕貴
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA03
5F142BA02
5F142BA32
5F142CA11
5F142CD02
5F142CD44
5F142CD47
5F142CG03
5F142CG14
5F142FA18
5F142GA31
(57)【要約】
【課題】 樹脂フィルムで覆われているとともに光取り出し効率が高い紫外発光装置を提供することである。
【解決手段】 紫外発光装置100は、基板110と、紫外発光素子120と、接合層130と、フッ素樹脂フィルム140と、フッ化炭素化合物160と、を有する。フッ素樹脂フィルム140は、紫外線を透過させる可撓性の材料である。基板110とフッ素樹脂フィルム140とは、これらの間に紫外発光素子120を挟んだ状態で配置されている。フッ化炭素化合物140は常温常圧で液体である。フッ化炭素化合物140は、紫外発光素子120の第2面120bとフッ素樹脂フィルム140との間の隙間をこれらに接触した状態で埋めており、紫外発光素子120の側面120cとフッ素樹脂フィルム140との間の隙間をこれらに接触した状態で埋めている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
紫外発光素子と、
接合層と、
フッ素樹脂フィルムと、
フッ化炭素化合物と、
を有し、
前記基板は、
前記紫外発光素子を実装するための実装面を有し、
前記紫外発光素子は、
電極を有する第1面と前記第1面の反対側の第2面と側面とを有し、
前記接合層は、
前記紫外発光素子の前記第1面の前記電極と前記基板の前記実装面の一部とを接合しており、
前記フッ素樹脂フィルムは、
紫外線を透過させる可撓性の材料であり、
前記基板と前記フッ素樹脂フィルムとは、
これらの間に前記紫外発光素子を挟んだ状態で配置されており、
前記フッ化炭素化合物は常温常圧で液体であり、
前記フッ化炭素化合物は、
前記紫外発光素子の前記側面と前記フッ素樹脂フィルムとの間の隙間をこれらに接触した状態で埋めていること
を含む紫外発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の紫外発光装置において、
前記フッ化炭素化合物は、
前記紫外発光素子の前記側面に面する側面部を有し、
前記フッ素樹脂フィルムは、
前記基板の側に側壁面を有し、
前記フッ素樹脂フィルムの前記側壁面は、
前記フッ化炭素化合物の前記側面部を間に挟んだ状態で前記紫外発光素子の前記側面と対面していること
を含む紫外発光装置。
【請求項3】
請求項2に記載の紫外発光装置において、
前記フッ化炭素化合物の前記側面部の厚みは、
前記基板の前記実装面から離れるほど薄くなっていること
を含む紫外発光装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の紫外発光装置において、
前記フッ化炭素化合物は、
前記紫外発光素子の前記第2面に面する上面部を有し、
前記フッ素樹脂フィルムは、
前記基板の側に天井面を有し、
前記フッ素樹脂フィルムの前記天井面は、
前記フッ化炭素化合物の前記上面部を間に挟んだ状態で前記紫外発光素子の前記第2面と対面していること
を含む紫外発光装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の紫外発光装置において、
前記フッ素樹脂フィルムは、
前記基板の側に天井面を有し、
前記フッ素樹脂フィルムの前記天井面は、
前記紫外発光素子の前記第2面と接触していること
を含む紫外発光装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の紫外発光装置において、
前記フッ化炭素化合物は、
前記基板の前記実装面と前記紫外発光素子の前記第1面との間の隙間を埋めていること
を含む紫外発光装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の紫外発光装置において、
前記フッ化炭素化合物は、
前記基板の前記実装面と前記紫外発光素子の前記第1面との間の隙間を埋めていないこと
を含む紫外発光装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の紫外発光装置において、
前記フッ化炭素化合物は、
紫外線を透過させるフィラーを含有し、
前記フィラーの屈折率は、
1.2以上1.6以下であること
を含む紫外発光装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の紫外発光装置において、
接着剤層を有し、
前記接着剤層は、
前記基板の前記実装面と前記フッ素樹脂フィルムとを接着しているとともに、
前記紫外発光素子の前記第2面と前記フッ素樹脂フィルムとの間には存在しないこと
を含む紫外発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の技術分野は、紫外発光素子を有する紫外発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可視光を発する発光装置においては、基板に実装した半導体発光素子を樹脂で封止する。封止樹脂は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂である。これらの樹脂の屈折率は大気の屈折率よりも大きい。そのため、半導体発光素子と封止樹脂との界面における反射が抑制される。つまり、光取り出し効率が高い。
【0003】
近年、紫外発光素子を用いた発光装置が研究開発されてきている。紫外線はシリコーン樹脂、エポキシ樹脂を変性させる。紫外線により硬化または劣化した樹脂はクラックの原因となる。このため、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂を用いない紫外発光装置が開発されてきている。例えば、特許文献1には、紫外発光素子の直上に屈折率差緩和物質20としてフッ素樹脂を用いる技術が開示されている(特許文献1の段落[0025])。これにより、屈折率1.7程度の紫外発光素子と、屈折率1の大気との間の屈折率差を緩和している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-311707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、紫外発光装置には、紫外発光素子の周囲を樹脂フィルムで覆うものがある。樹脂フィルムは可撓性であり、紫外発光素子の外形形状に合わせて変形する。この場合に、紫外発光素子と樹脂フィルムとの間に隙間が生じる。この隙間には空気が入っている。紫外発光素子と空気との間の屈折率の差が大きいため、全反射する臨界角は小さい。つまり、紫外発光素子から発せられる光が空気との境界で全反射を起こしやすい。
【0006】
この紫外発光装置の光取り出し効率は低い傾向にある。したがって、樹脂フィルムを用いる場合であっても、屈折率差を緩和し、光取り出し効率を向上させることが好ましい。
【0007】
本明細書の技術が解決しようとする課題は、樹脂フィルムで覆われているとともに光取り出し効率が高い紫外発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様における紫外発光装置は、基板と、紫外発光素子と、接合層と、フッ素樹脂フィルムと、フッ化炭素化合物と、を有する。基板は、紫外発光素子を実装するための実装面を有する。紫外発光素子は、電極を有する第1面と第1面の反対側の第2面と側面とを有する。接合層は、紫外発光素子の第1面の電極と基板の実装面の一部とを接合している。フッ素樹脂フィルムは、紫外線を透過させる可撓性の材料である。基板とフッ素樹脂フィルムとは、これらの間に紫外発光素子を挟んだ状態で配置されている。フッ化炭素化合物は常温常圧で液体である。フッ化炭素化合物は、紫外発光素子の側面とフッ素樹脂フィルムとの間の隙間をこれらに接触した状態で埋めている。
【0009】
この紫外発光装置においては、紫外発光素子の側面と樹脂フィルムとの間の隙間にフッ化炭素化合物が充填されている。そのため、紫外発光素子の側面は空気に接触していない。このため、紫外発光素子から発せられる光が紫外発光素子と空気との界面で反射されるおそれがない。したがって、この紫外発光装置は高出力である。
【発明の効果】
【0010】
本明細書では、樹脂フィルムで覆われているとともに光取り出し効率が高い紫外発光装置が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態の発光装置100の概略構成図である。
図2】第1の実施形態の発光装置100の製造方法を説明するための図(その1)である。
図3】第1の実施形態の発光装置100の製造方法を説明するための図(その2)である。
図4】第1の実施形態の発光装置100の製造方法を説明するための図(その3)である。
図5】第1の実施形態の変形例における発光装置200の概略構成図である。
図6】第1の実施形態の変形例における発光装置300の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施形態について、紫外発光装置を例に挙げて図を参照しつつ説明する。しかし、本明細書の技術はこれらの実施形態に限定されるものではない。実施形態とは異なる構造を有していても構わない。そして、それぞれの図における各層の厚みの比は、概念的に示したものであり、実際の厚みの比を示しているわけではない。
【0013】
(第1の実施形態)
1.発光装置
図1は、第1の実施形態の発光装置100の概略構成図である。図1に示すように、発光装置100は、基板110と、紫外発光素子120と、接合層130と、フッ素樹脂フィルム140と、接着剤層150と、フッ化炭素化合物160と、空気層170と、を有する。発光装置100は、紫外線を発する紫外発光装置である。
【0014】
基板110は、紫外発光素子120を実装するための基板である。基板110は、実装面110aを有する。実装面110aは、紫外発光素子120を実装するための面である。基板110は、基材111と、回路パターン112、113と、スルーホール114と、を有する。回路パターン112は、基板110の実装面110aの側のパターンである。回路パターン113は、基板110の実装面110aの反対側のパターンである。スルーホール114は、回路パターン112と回路パターン113とを電気的に接続する。スルーホール114は金属で充填されている。実装面110aは、回路パターン112の表面である。
【0015】
紫外発光素子120は、紫外光を発する半導体発光素子である。紫外発光素子120の発光波長は、例えば、200nm以上320nm以下である。紫外発光素子120は接合層130を介して基板110に実装されている。紫外発光素子120は、第1面120aと第2面120bと側面120cとを有する。第1面120aは電極を有する。第1面120aは基板110の実装面110aと対面している。第2面120bは第1面120aの反対側の面である。第2面120bは紫外発光素子120の外部に光を取り出す光取り出し面である。第2面120bはフッ素樹脂フィルム140と対面している。側面120cは、第1面120aおよび第2面120b以外の面である。
【0016】
接合層130は、紫外発光素子120を基板110に実装するための層である。接合層130は、紫外発光素子120の第1面120aの電極と、基板110の実装面110aの回路パターン112と、を接合する。接合層130の材質は、例えば、Au-Sn半田である。
【0017】
フッ素樹脂フィルム140は、紫外発光素子120から発せられる紫外光を外部に好適に取り出すための透光性フッ素樹脂フィルムである。フッ素樹脂フィルム140は、もちろん、紫外線を透過させる。フッ素樹脂フィルム140は撓むことが可能な可撓性材料である。フッ素樹脂フィルム140は、撓んだ状態で基板110に接着されている。フッ素樹脂フィルム140は、例えば、FEPである。フッ素樹脂フィルム140の屈折率は、大気の屈折率より大きい。フッ素樹脂フィルム140の屈折率は、例えば、1.2以上1.6以下である。
【0018】
フッ素樹脂フィルム140は、基板110の側に天井面141と側壁面142と平坦面143とを有する。天井面141は紫外発光素子120の第2面120bと対面している。側壁面142は紫外発光素子120の側面120cと対面している。平坦面143は接着剤層150と接触している。平坦面143は接着剤層150を介して基板110に接着されている。
【0019】
接着剤層150は、基板110とフッ素樹脂フィルム140とを接着する。基板110とフッ素樹脂フィルム140とは紫外発光素子120を間に挟んだ状態で配置されている。接着剤層150は、この状態で基板110とフッ素樹脂フィルム140とを接着している。接着剤層150は、基板110の実装面110aとフッ素樹脂フィルム140とを接着している。接着剤層150は、紫外発光素子120の第2面120bとフッ素樹脂フィルム140との間には存在しない。
【0020】
フッ化炭素化合物160は、紫外発光素子120とフッ素樹脂フィルム140との間に位置している。
【0021】
空気層170は、基板110と紫外発光素子120との間に位置する閉空間である。空気層170には、気体が充填されている。気体は、例えば、大気である。空気層170は、基板110の実装面110aと紫外発光素子120の第1面110aとの間に位置している。なお、紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cと、フッ素樹脂フィルム140と、の間には空気層は存在しない。
【0022】
2.フッ化炭素化合物
2-1.フッ化炭素化合物の領域
フッ化炭素化合物160はCF結合を有するポリマーである。フッ化炭素化合物160は常温常圧で液体である。フッ化炭素化合物160における炭素原子数は、フッ化炭素化合物160におけるフッ素原子数の1.9倍以下である。フッ化炭素化合物160は、例えば、パーフルオロポリエーテル(PFPE)である。フッ化炭素化合物160の屈折率は、大気より大きく紫外発光素子120と同程度以下であればよい。フッ化炭素化合物160の屈折率は、例えば、1.2以上1.6以下である。
【0023】
図1に示すように、フッ化炭素化合物160は、紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cとフッ素樹脂フィルム140とに接触している状態で、紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cと、フッ素樹脂フィルム140との間の隙間を埋めている。
【0024】
フッ化炭素化合物160は、上面部161と、側面部162と、を有する。上面部161と側面部162とはつながっている。上面部161は紫外発光素子120の第2面120bに面する。側面部162は紫外発光素子120の側面120cに面する。
【0025】
上面部161は、紫外発光素子120の第2面120bとフッ素樹脂フィルム140の天井面141との間に挟まれた領域である。上面部161は直方体形状である。その直方体形状の縦横の長さは、紫外発光素子120の縦横の長さと等しい。
【0026】
側面部162は、紫外発光素子120の側面120cとフッ素樹脂フィルム140の側壁面142と基板110の実装面110aとに囲まれた領域である。側面部162は、紫外発光素子120の側面120cとフッ素樹脂フィルム140の側壁面142と基板110の実装面110aとに接触している。側面部162は、紫外発光素子120の周囲を取り囲んでいる。側面部162の形状は環状である。
【0027】
紫外発光素子120の側面120cに接触しているフッ化炭素化合物160の側面部162の厚みは、基板110の実装面110aから離れるほど薄くなっている。
【0028】
フッ素樹脂フィルム140の天井面141は、フッ化炭素化合物160の上面部161を間に挟んだ状態で紫外発光素子120の第2面120bと対面している。フッ素樹脂フィルム140の側壁面142は、フッ化炭素化合物160の側面部162を間に挟んだ状態で紫外発光素子120の側面120cと対面している。
【0029】
また、フッ化炭素化合物160は、基板110の実装面110aと紫外発光素子120の第1面120aとの間の隙間を埋めていない。
【0030】
2-2.フッ化炭素化合物の効果
フッ化炭素化合物160が紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cを覆っている。フッ化炭素化合物160の屈折率は、大気の屈折率より大きく紫外発光素子120の屈折率と同程度以下である。このため、紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cから出射しようとする光は、フッ化炭素化合物160との境界面で全反射されにくい。つまり、紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cにおける光取り出し効率は高い。
【0031】
3.屈折率
紫外発光素子120の屈折率は1.7程度である。フッ化炭素化合物160の屈折率は1.2以上1.6以下の程度である。フッ素樹脂フィルム140の屈折率は1.2以上1.6以下の程度である。大気の屈折率は1である。フッ化炭素化合物160の屈折率はフッ素樹脂フィルム140の屈折率よりも大きいとよい。紫外発光素子120、フッ化炭素化合物160、フッ素樹脂フィルム140の順で屈折率が高い。この場合には、各材料同士の境界で全反射が生じにくい。
【0032】
第1の実施形態では、紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cは、空気層170と接触していない。前述のように紫外発光素子120の屈折率は空気層170の屈折率より十分に大きい。紫外発光素子120のうち外部に光を取り出す第2面120bおよび側面120cが屈折率の低い空気層170と接触していないため、紫外発光素子120からの光は素子外部に出射しやすい。したがって、発光装置100の光取り出し効率は高い。
【0033】
3.製造方法
3-1.素子実装工程
図2に示すように、基板110の実装面110aに紫外発光素子120を実装する。基板110の実装面110aの上に半田を載せる。紫外発光素子120の第1面120aの電極が半田と接触するように半田の上に紫外発光素子120を載せる。そして、例えば、リフローにより紫外発光素子120を基板110に実装する。
【0034】
3-2.フッ化炭素化合物供給工程
図3に示すように、紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cにフッ化炭素化合物160を供給する。この段階では、フッ化炭素化合物160は紫外発光素子120の側面120cには接触していない。
【0035】
3-3.接着工程
図4に示すように、基板110の実装面110aの上に接着剤層150を塗布する。その後、フッ素樹脂フィルム140を撓ませて基板110の実装面110aに接着させる。これにより、発光装置100が製造される。
【0036】
4.第1の実施形態の効果
フッ化炭素化合物160が紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cを覆っている。このため、紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cから素子外部に出射しようとする光は、フッ化炭素化合物160との境界面で全反射されにくい。つまり、紫外発光素子120の第2面120bおよび側面120cの光取り出し効率は高い。
【0037】
5.変形例
5-1.フッ化炭素化合物
図5は、第1の実施形態の変形例における発光装置200の概略構成図である。発光装置200は、基板110と、紫外発光素子120と、接合層130と、フッ素樹脂フィルム240と、接着剤層150と、フッ化炭素化合物260と、空気層170と、を有する。
【0038】
フッ素樹脂フィルム240は、基板110の側に天井面241と傾斜面241と平坦面243とを有する。フッ素樹脂フィルム240の天井面241は紫外発光素子120の第2面120bと接触しており、フッ化炭素化合物260と接触していない。つまり、フッ素樹脂フィルム240の天井面241と紫外発光素子120の第2面120bとの間には隙間が無く、隙間を埋めるフッ化炭素化合物260が存在しない。
【0039】
この場合であっても、紫外発光素子120からの光はフッ素樹脂フィルム240に好適に入射する。つまり、紫外発光素子120から好適に光が取り出される。
【0040】
発光装置200を製造するために、フッ素樹脂フィルム140を紫外発光素子120に押圧する力を上げればよい。
【0041】
5-2.空気層
図6は、第1の実施形態の変形例における発光装置300の概略構成図である。発光装置300は、基板110と、紫外発光素子120と、接合層130と、フッ素樹脂フィルム140と、接着剤層150と、フッ化炭素化合物360と、を有する。
【0042】
発光装置300は、基板110の実装面110aと紫外発光素子120の第1面110aとの間に空気層を有さない。その代わりに、フッ化炭素化合物360が、基板110の実装面110aと紫外発光素子120の第1面110aとの間の隙間を埋めている。
【0043】
この場合であっても、紫外発光素子120からの光はフッ化炭素化合物360を透過した後にフッ素樹脂フィルム140に好適に入射する。つまり、紫外発光素子120から好適に光が取り出される。
【0044】
発光装置300を製造するために、紫外発光素子120の第2面120bに供給するフッ化炭素化合物360の量を増やせばよい。フッ化炭素化合物360は、紫外発光素子120の第2面120から零れて基板110の実装面110aにある程度広がってもよい。または、別途アンダーフィルにより、接合層130の周囲にフッ化炭素化合物360を供給してもよい。
【0045】
5-3.フィラー
フッ化炭素化合物160は紫外線を透過させるフィラーを含有してもよい。フィラーの材質は、例えば、フッ素パウダー、シリカである。フィラーの屈折率は、フッ化炭素化合物160の屈折率と同程度であるとよい。フィラーの屈折率は、例えば、1.2以上1.6以下である。フィラーの粒子径は、例えば、20nm以上50μm以下である。フッ化炭素化合物160に占めるフィラーの存在比は、例えば、0.1wt%以上50wt%以下である。
【0046】
フィラーがシリカのようにフッ素を含まない材料である場合には、フィラーが紫外線を吸収するおそれがある。この場合には、フィラーの粒子径は、紫外発光素子120の発光波長のピーク値よりも小さければよい。フィラーの粒子径は、例えば、20nm以上100nm以下である。
【0047】
フッ化炭素化合物160の静粘度および動粘度を調整するためにフィラーは好適である。つまり、滴下する際には滴下しやすいように動粘度が低いとよい。フッ化炭素化合物160が紫外発光素子120の側面120cを垂れた後に側面部162が好適な形状を保つような静粘度の値を用いるとよい。
【0048】
5-4.天井面
天井面141は基板110の実装面110aに平行な平面である。しかし、天井面141は基板110の実装面110aに平行でなくてもよい。また、天井面141は曲面であってもよい。
【0049】
5-5.接着面
フッ素樹脂フィルム140は、基板110の側に接着剤を塗布した接着面を有していてもよい。この場合には、接着面の接着剤がフッ素樹脂フィルム140とフッ化炭素化合物160との間に配置されることとなる。接着面の接着剤がフッ化炭素化合物160と接触する面積が大きい。このため、図1に示すように、基板110の実装面110aの上にのみ接着剤があることが好ましい。
【0050】
5-6.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
【0051】
(付記)
第1の態様における紫外発光装置は、基板と、紫外発光素子と、接合層と、フッ素樹脂フィルムと、フッ化炭素化合物と、を有する。基板は、紫外発光素子を実装するための実装面を有する。紫外発光素子は、電極を有する第1面と第1面の反対側の第2面と側面とを有する。接合層は、紫外発光素子の第1面の電極と基板の実装面の一部とを接合している。フッ素樹脂フィルムは、紫外線を透過させる可撓性の材料である。基板とフッ素樹脂フィルムとは、これらの間に紫外発光素子を挟んだ状態で配置されている。フッ化炭素化合物は常温常圧で液体である。フッ化炭素化合物は、紫外発光素子の側面とフッ素樹脂フィルムとの間の隙間をこれらに接触した状態で埋めている。
【0052】
第2の態様における紫外発光装置においては、フッ化炭素化合物は、紫外発光素子の側面に面する側面部を有する。フッ素樹脂フィルムは、基板の側に側壁面を有する。フッ素樹脂フィルムの側壁面は、フッ化炭素化合物の側面部を間に挟んだ状態で紫外発光素子の側面と対面している。
【0053】
第3の態様における紫外発光装置においては、フッ化炭素化合物の側面部の厚みは、基板の実装面から離れるほど薄くなっている。
【0054】
第4の態様における紫外発光装置においては、フッ化炭素化合物は、紫外発光素子の第2面に面する上面部を有する。フッ素樹脂フィルムは、基板の側に天井面を有する。フッ素樹脂フィルムの天井面は、フッ化炭素化合物の上面部を間に挟んだ状態で紫外発光素子の第2面と対面している。
【0055】
第5の態様における紫外発光装置においては、フッ素樹脂フィルムは、基板の側に天井面を有する。フッ素樹脂フィルムの天井面は、紫外発光素子の第2面と接触している。
【0056】
第6の態様における紫外発光装置においては、フッ化炭素化合物は、基板の実装面と紫外発光素子の第1面との間の隙間を埋めている。
【0057】
第7の態様における紫外発光装置においては、フッ化炭素化合物は、基板の実装面と紫外発光素子の第1面との間の隙間を埋めていない。
【0058】
第8の態様における紫外発光装置においては、フッ化炭素化合物は、紫外線を透過させるフィラーを含有する。フィラーの屈折率は、1.2以上1.6以下である。
【0059】
第9の態様における紫外発光装置は、接着剤層を有する。接着剤層は、基板の実装面とフッ素樹脂フィルムとを接着しているとともに、紫外発光素子の第2面とフッ素樹脂フィルムとの間には存在しない。
【符号の説明】
【0060】
100…発光装置
110…基板
120…紫外発光素子
130…接合層
140…フッ素樹脂フィルム
150…接着剤層
160…フッ化炭素化合物
170…空気層
図1
図2
図3
図4
図5
図6