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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109560
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20220721BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20220721BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20220721BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20220721BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20220721BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20220721BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20220721BHJP
【FI】
H02J3/38 180
H02J3/38 170
H02J3/14 130
H02J13/00 311T
H01M8/04 Z
H01M8/04537
H01M8/12 101
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004950
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小出 晋也
(72)【発明者】
【氏名】梶野 真一
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AB05
5G064AC06
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB21
5G064DA07
5G066AE09
5G066HA11
5G066HA13
5G066HB07
5G066KA11
5G066KB06
5G066KD01
5H126BB06
5H127AA06
5H127AA07
5H127AB02
5H127BA02
5H127BB02
5H127DA06
5H127DB66
5H127DB69
5H127DC91
(57)【要約】
【課題】自立運転時の電力の安定供給を図ることで利便性を向上させる。
【解決手段】電力供給システム10は、自立コンセント28に接続されると共に発電制御装置24と通信可能に構成され、電気機器の電源プラグが差し込まれる複数の差込口42を有するスマートコンセント40を備え、スマートコンセント40は、発電制御装置24から送信される指示に基づいて複数の差込口42の給電のオンオフを個別に切り替え可能で、複数の差込口42の消費電力を個別に検出して発電制御装置24に送信し、発電制御装置24は、複数の差込口42の合計消費電力が自立運転中の発電装置20の発電電力を上回る場合、合計消費電力が発電電力以下となるように給電をオフする対象の差込口42を選定し、そのオフ指示をスマートコンセント40に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統と連係して発電する連系運転と前記電力系統から独立して発電し自立コンセントから給電する自立運転とが可能な発電装置と、前記発電装置を制御する発電制御装置と、を備える電力供給システムであって、
前記自立コンセントに接続されると共に前記発電制御装置と通信可能に構成され、電気機器の電源プラグが差し込まれる複数の差込口を有するスマートコンセントを備え、
前記スマートコンセントは、前記発電制御装置から送信される指示に基づいて前記複数の差込口の給電のオンオフを個別に切り替え可能で、前記複数の差込口の消費電力を個別に検出して前記発電制御装置に送信し、
前記発電制御装置は、前記複数の差込口の消費電力を合わせた合計消費電力が前記自立運転中の前記発電装置の発電電力を上回る場合、前記合計消費電力が前記発電電力以下となるように給電をオフする対象の差込口を選定し、該対象の差込口の給電をオフするオフ指示を前記スマートコンセントに送信する
電力供給システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電力供給システムであって、
前記発電制御装置は、前記複数の差込口のうち消費電力の大きい差込口から順に給電をオフした場合の仮の合計消費電力を算出し、前記仮の合計消費電力を前記発電電力以下とするのに給電のオフが必要な差込口を前記対象の差込口に選定する
電力供給システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電力供給システムであって、
前記スマートコンセントは、前記複数の差込口の各々に対応付けられた優先順が定められており、
前記発電制御装置は、前記複数の差込口のうち前記優先順の低い差込口から順に給電をオフした場合の仮の合計消費電力を算出し、前記仮の合計消費電力を前記発電電力以下とするのに給電のオフが必要な差込口を前記対象の差込口に選定する
電力供給システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電力供給システムであって、
前記スマートコンセントは、前記複数の差込口のオンオフの状態を前記発電制御装置に送信し、
前記発電制御装置は、前記オフ指示を送信してから所定時間経過後に、該オフ指示に基づいてオフされたままの前記差込口の給電をオンするオン指示を前記スマートコンセントに送信する
電力供給システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電力供給システムであって、
前記発電制御装置は、前記発電装置が前記自立運転を開始する場合、前記複数の差込口の給電が同時にオンされないように、各差込口のオン指示を異なるタイミングで前記スマートコンセントに順次送信する
電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池やエンジン発電機などの発電装置を備え、停電時などに発電装置を自立運転させる電力供給システムが提案されている。例えば、特許文献1のシステムでは、電力系統との連係運転時は、発電電力を連系スイッチおよび配電盤を介して電気負荷などに供給し、停電時などの自立運転時には、自立スイッチを介して自立コンセント(自立出力端子)から電力を供給可能となっている。また、非特許文献1のシステムでは、自立コンセント(停電時自立発電専用コンセント)に接続している電気機器などの消費電力が発電電力を上回って過負荷が生じた場合、自立コンセントからの電力の供給が一時停止することと、過負荷防止のため自立コンセントに接続していた電気機器を取り外すように促すことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-121888号公報
【非特許文献1】「取扱説明書 エネファーム TypeS」,アイシン精機,p23、24
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した非特許文献1のシステムでは、自立運転時に過負荷が生じて電力の供給が一時停止すると、ユーザが自立コンセントから全ての電気機器を一旦取り外し、再供給された発電電力と消費電力を確認しながら電気機器を1つずつ自立コンセントに再接続する必要がある。このため、停電時などにユーザの負担が増して利便性が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、自立運転時の電力の安定供給を図ることで利便性を向上させることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の電力供給システムは、
電力系統と連係して発電する連系運転と前記電力系統から独立して発電し自立コンセントから給電する自立運転とが可能な発電装置と、前記発電装置を制御する発電制御装置と、を備える電力供給システムであって、
前記自立コンセントに接続されると共に前記発電制御装置と通信可能に構成され、電気機器の電源プラグが差し込まれる複数の差込口を有するスマートコンセントを備え、
前記スマートコンセントは、前記発電制御装置から送信される指示に基づいて前記複数の差込口の給電のオンオフを個別に切り替え可能で、前記複数の差込口の消費電力を個別に検出して前記発電制御装置に送信し、
前記発電制御装置は、前記複数の差込口の消費電力を合わせた合計消費電力が前記自立運転中の前記発電装置の発電電力を上回る場合、前記合計消費電力が前記発電電力以下となるように給電をオフする対象の差込口を選定し、該対象の差込口の給電をオフするオフ指示を前記スマートコンセントに送信する
ことを要旨とする。
【0008】
本発明の電力供給システムでは、発電装置の自立コンセントに接続されたスマートコンセントが、発電制御装置から送信される指示に基づいて複数の差込口の給電のオンオフを個別に切り替え可能で、複数の差込口の消費電力を個別に検出して発電制御装置に送信する。また、発電制御装置は、複数の差込口の合計消費電力が自立運転中の発電装置の発電電力を上回る場合、合計消費電力が発電電力以下となるように給電をオフする対象の差込口を選定し、対象の差込口のオフ指示をスマートコンセントに送信する。これにより、自立運転時に過負荷を防止して電力の安定供給を図ることができるから、過負荷によって電力供給が一時停止するなどを抑制することができる。このため、全ての電気機器を取り外して再接続するなどの負担をユーザに強いることがないから、利便性を向上させることができる。
【0009】
本発明の電力供給システムにおいて、前記発電制御装置は、前記複数の差込口のうち消費電力の大きい差込口から順に給電をオフした場合の仮の合計消費電力を算出し、前記仮の合計消費電力を前記発電電力以下とするのに給電のオフが必要な差込口を前記対象の差込口に選定するものとしてもよい。こうすれば、合計消費電力を速やかに発電電力以下に抑えつつ、必要以上に差込口をオフするのを防止することができる。
【0010】
本発明の電力供給システムにおいて、前記スマートコンセントは、前記複数の差込口の各々に対応付けられた優先順が定められており、前記発電制御装置は、前記複数の差込口のうち前記優先順の低い差込口から順に給電をオフした場合の仮の合計消費電力を算出し、前記仮の合計消費電力を前記発電電力以下とするのに給電のオフが必要な差込口を前記対象の差込口に選定するものとしてもよい。こうすれば、ユーザは必要性が高い電気機器を優先順の高い差込口に接続すればよいから、過負荷を防止しつつ利便性をより向上させることができる。
【0011】
本発明の電力供給システムにおいて、前記スマートコンセントは、前記複数の差込口のオンオフの状態を前記発電制御装置に送信し、前記発電制御装置は、前記オフ指示を送信してから所定時間経過後に、該オフ指示に基づいてオフされたままの前記差込口の給電をオンするオン指示を前記スマートコンセントに送信するものとしてもよい。こうすれば、消費電力低減のために一旦オフされた差込口であっても、別の電気機器が接続された場合などに給電を再開することができるから、利便性をより向上させることができる。
【0012】
本発明の電力供給システムにおいて、前記発電制御装置は、前記発電装置が前記自立運転を開始する場合、前記複数の差込口の給電が同時にオンされないように、各差込口のオン指示を異なるタイミングで前記スマートコンセントに順次送信するものとしてもよい。こうすれば、電気機器への給電開始時の突入電流が重なることによる過負荷を抑制して、電力の安定供給を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】電力供給システム10の構成の概略を示す構成図である。
図2】オン指示送信処理の一例を示すフローチャートである。
図3】比較例の自立運転開始時における消費電力の推移を示す説明図である。
図4】本実施形態の自立運転開始時における消費電力の推移を示す説明図である。
図5】オフ指示送信処理の一例を示すフローチャートである。
図6】オン指示再送処理の一例を示すフローチャートである。
図7】変形例のオフ指示送信処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための形態について説明する。図1は、電力供給システム10の構成の概略を示す構成図である。電力供給システム10は、発電装置20と、操作パネル(リモコン)30と、スマートコンセント40とを備える。
【0015】
発電装置20は、例えば固体酸化物形燃料電池として構成されており、単相3線式の電力系統1と連系した連系運転と、電力系統1から独立した自立運転とが可能である。発電装置20は、水素を含む燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガス(エア)とにより発電する燃料電池スタック21と、燃料電池スタック21により発電された直流電力を交流電力に変換して出力するパワーコンディショナ22と、自立運転時に電力を出力するための自立コンセント28と、発電装置20の発電制御を含むシステム全体を制御する発電制御装置24とを備える。なお、発電装置20は、固体高分子形など他の種類の燃料電池であってもよい。また、発電装置20は、燃料電池に限られず、原動機(ガスエンジンなど)からの動力により発電するものなど他の種類の発電装置であってもよい。
【0016】
パワーコンディショナ22には、電力系統1に接続された系統連系用の電力ラインと、自立コンセント28に接続された自立出力用の電力ラインとが接続されている。パワーコンディショナ22は、系統連系用の電力ラインに取り付けられた連系スイッチ25と、自立出力用の電力ラインに取り付けられた自立スイッチ27とのオンオフを、発電制御装置24から送信される制御信号に基づいて切り替え可能となっている。パワーコンディショナ22は、連系運転を行う場合には連系スイッチ25をオンすると共に自立スイッチ27をオフし、自立運転を行う場合には自立スイッチ27をオンすると共に連系スイッチ25をオフする。
【0017】
発電制御装置24は、図示しないCPUやROM,RAM,入出力ポートなどを備え、パワーコンディショナ22の図示しない制御部や操作パネル30などと通信可能に接続されており、操作パネル30を介してスマートコンセント40とも通信可能となっている。発電制御装置24は、図示しない電流センサからの検出電流や電圧センサからの検出電圧、操作パネル30からの操作信号などを受信して、電力系統1の停電を検出したり、パワーコンディショナ22に制御信号を出力したり、操作パネル30を介してスマートコンセント40に制御信号を出力したりする。電力供給システム10が設置された住宅の居住者等のユーザは、操作パネル30を操作することにより、発電装置20の運転やスマートコンセント40に関する各種設定や各種指示などが可能となっている。また、発電制御装置24は、操作パネル30に表示信号を送信して、発電装置20の運転状態やスマートコンセント40の作動状態(各差込口42のオンオフ状態)などの各種情報を表示する。
【0018】
操作パネル30は、タッチパネル式の表示画面32と、全体の制御を行う制御部36と、所定の通信規格による無線通信が可能な通信部38とを備える。制御部36は、ユーザによる表示画面32へのタッチ操作により入力された各種設定や各種指示などを発電制御装置24に送信したり、発電制御装置24から送信された各種情報を表示画面32に表示したりする。通信部38は、所定の通信規格として、例えばWi-Fiダイレクト(登録商標)やBluetooth(登録商標)などにより、通信対象機器との間で無線通信が可能となっている。
【0019】
スマートコンセント40は、複数の負荷L(電気機器)の電源プラグPが差し込まれる複数の差込口42と、各差込口42の給電のオンオフを個別に切り替える複数の切替スイッチ44と、全体の制御を行う制御部46と、所定の通信規格による無線通信が可能な通信部48とを備える。このスマートコンセント40は、自立コンセント28の差込口に接続されている。図1では、複数の負荷Lとして負荷L1(エアコン)と負荷L2(冷蔵庫)と負荷L3(照明)の3つの負荷を例示する。また、スマートコンセント40の複数の差込口42として、各負荷L1~L3の電源プラグP1~P3が差し込まれる3つの差込口42a~42cを例示し、複数の切替スイッチ44として、各差込口42a~42cへの給電のオンオフを個別に切り替える3つの切替スイッチ44a~44cを例示する。通信部48は、操作パネル30の通信部38と同じ通信規格により、通信部38と通信可能となっている。制御部46は、操作パネル30(通信部38)との通信により、発電制御装置24から各差込口42の給電のオン指示またはオフ指示を受信すると、各差込口42に対応する切替スイッチ44を個別にオンまたはオフする。また、制御部46は、各差込口42に差し込まれた(接続された)負荷Lの消費電力を個別に検出可能となっており、操作パネル30との通信により、各差込口42(切替スイッチ44)の給電のオンオフの状態や各差込口42(負荷L)の消費電力を操作パネル30を介して発電制御装置24に送信する。
【0020】
次に、こうして構成された電力供給システム10の動作、特に停電などにより電力系統1の電力供給が停止した場合に発電装置20を自立運転する際の動作について説明する。図2は、オン指示送信処理の一例を示すフローチャートであり、発電制御装置24により実行される。発電制御装置24は、停電時の自立出力を開始したか否かを判定し(S100)、自立出力を開始していないと判定すると、そのまま本処理を終了する。一方、発電制御装置24は、自立出力を開始したと判定すると、番号nを値1に初期化してから(S110)、n番目の差込口42のオン指示をスマートコンセント40に送信する(S120)。オン指示を受信したスマートコンセント40の制御部46は、オン指示に基づいてn番目の差込口42に対応する切替スイッチ44をオンする。例えば、番号nが値1の場合、1番目の差込口42aのオン指示が送信され、スマートコンセント40の制御部46は、差込口42aに対応する切替スイッチ44aをオンする。
【0021】
発電制御装置24は、S120でオン指示を送信すると、番号nがスマートコンセント40の差込口42の数と一致するか否かを判定し(S130)、一致していないと判定すると、スイッチオン後の突入電流が収まるのに必要な時間として定められた所定の待機時間が経過したか否かを判定する(S140)。あるいは、発電制御装置24は、S140では、スマートコンセント40から送信される消費電力の情報に基づき、S120でオン指示した差込口42aにおいてスイッチオン後の突入電流が収まって一定の消費電力が数秒間継続したなど、消費電力が安定したか否かを判定してもよい。
【0022】
そして、発電制御装置24は、S140で所定の待機時間が経過したと判定すると、番号nを値1だけインクリメントしてから(S150)、n番目の差込口42のオン指示を送信するS120の処理を行う。例えば、番号nが値2の場合、2番目の差込口42bのオン指示が送信され、スマートコンセント40の制御部46は、差込口42bに対応する切替スイッチ44bをオンする。こうしてスマートコンセント40の各差込口42を時間差をもって順にオンしていき、S130で番号nが差込口42の数と一致した、即ち全ての差込口42のオン指示を送信したと判定すると、本処理を終了する。
【0023】
ここで、図3は比較例の自立運転開始時における消費電力の推移を示す説明図であり、図4は本実施形態の自立運転開始時における消費電力の推移を示す説明図である。図3の比較例では、差込口42a~42cのオン指示をスマートコンセント40に同時に送信するものであり、差込口42a~42cに接続された負荷L1~L3(電気機器)に時刻t1で同時に給電が開始されるため、発電電力を超える比較的大きな突入電流が発生して過負荷が継続することがある。この過負荷が許容範囲を超えると、電力の供給を一時停止するなどの対応が必要となり、ユーザに不便なものとなる。一方、本実施形態では、時刻t11で差込口42aのオン指示をスマートコンセント40に送信して差込口42aに接続された負荷L1のみに給電が開始されるから、突入電流を抑えることができる。また、時刻t11から所定の待機時間が経過(または消費電力が安定)した時刻t12で差込口42bのオン指示をスマートコンセント40に送信して差込口42bに接続された負荷L2に給電が開始される。同様に、時刻t12から所定の待機時間が経過(または消費電力が安定)した時刻t13で差込口42cのオン指示をスマートコンセント40に送信して差込口42cに接続された負荷L3に給電が開始される。このように、本実施形態では、各負荷L1~L3への給電が同時に開始されないから、突入電流の重なりによる過負荷を抑制することができる。なお、時刻t13のように、給電されている負荷が多くなっていると、スイッチオン時に合計消費電力が発電電力を超過することはあるが、突入電流の重なりはないので許容範囲内に収めることが可能となる。このため、電力の供給を停止するなどの対応をすることなく適切に電力を供給することができる。
【0024】
次に、自立運転中のスマートコンセント40への指示の送信処理について説明する。図5は、オフ指示送信処理の一例を示すフローチャートであり、図6は、オン指示再送処理の一例を示すフローチャートである。図5のオフ指示送信処理では、発電制御装置24は、自立出力中であるか否かを判定し(S200)、自立出力中でないと判定すると、本処理を終了する。一方、発電制御装置24は、自立出力中であると判定すると、スマートコンセント40から送信された各差込口42の消費電力とオンオフ状態とを取得する(S210)。次に、発電制御装置24は、各差込口42の消費電力を合計した合計消費電力が、発電装置20の自立発電電力(自立出力)を超えるか否かを判定し(S220)、合計消費電力が自立発電電力を超えないと判定すると、そのまま本処理を終了する。なお、S220で合計消費電力を算出できればよいから、S210では少なくとも各差込口42の消費電力を取得すればよい。
【0025】
一方、発電制御装置24は、S220で合計消費電力が自立発電電力を超えると判定すると、各差込口42を消費電力の大きい順に並べ替え(S230)、並び順が上位の差込口42の消費電力を合計消費電力から減算して(S240)、減算後の消費電力が自立発電電力以下となったか否かを判定する(S250)。S230~S250では、消費電力が最も大きい差込口42をオフした場合の仮の合計消費電力を求め、その仮の合計消費電力が自立発電電力以下となるか否かを判定する処理となる。例えば図1の負荷L1~L3の場合、通常は負荷L1のエアコンの消費電力が最も大きいから、まず負荷L1の差込口42aをオフした場合の仮の合計消費電力が自立発電電力以下となるかが判定される。発電制御装置24は、S250で減算後の合計消費電力が自立発電電力以下でないと判定すると、S240,S250の処理を繰り返す。即ち、合計消費電力が自立発電電力以下となるまで、消費電力の大きいものから順次減算していくのである。
【0026】
そして、発電制御装置24は、S250で減算後の合計消費電力が自立発電電力以下となったと判定すると、減算した(減算対象となった)差込口42のオフ指示をスマートコンセント40に送信して(S260)、本処理を終了する。オフ指示を受信したスマートコンセント40の制御部46は、オフ指示に基づいて差込口42に対応する切替スイッチ44をオフする。このように、合計消費電力が自立発電電力を超過する場合に、各差込口42を個別にオフするから、過負荷を抑制しつつ一部の負荷L(電気機器)を継続使用させることが可能となる。
【0027】
図6のオン指示再送処理では、発電制御装置24は、自立出力中であるか否かを判定し(S300)、自立出力中でないと判定すると、本処理を終了する。一方、発電制御装置24は、自立出力中であると判定すると、スマートコンセント40から送信された各差込口42のオンオフ状態を取得する(S310)。次に、発電制御装置24は、図5の処理でオフ指示した差込口42がオフ状態であるか否か(S320)、図5の処理でオフ指示を送信してから所定時間が経過したか否か(S330)、をそれぞれ判定する。なお、所定時間は、例えばオフされた差込口42の負荷L(電気機器)の電源プラグPを一旦取り外してから、その差込口42に別の負荷Lの電源プラグPを接続するのに必要となる程度の時間に定められている。オフ指示した差込口42がオフ状態でないと判定したり、オフ指示から所定時間が経過していないと判定すると、本処理を終了する。
【0028】
一方、発電制御装置24は、オフ指示した差込口42がオフ状態のままであり、オフ指示から所定時間が経過していると判定すると、その差込口42のオン指示をスマートコンセント40に再送して(S340)、本処理を終了する。オン指示を受信したスマートコンセント40の制御部46は、オン指示に基づいて差込口42に対応する切替スイッチ44をオンする。これにより、停電中などに一旦オフとされた差込口42であっても、所定時間が経過すれば再びオンとして電力供給を再開することができる。このため、例えばユーザが、オフ状態とされた差込口42に消費電力の小さい別の負荷L(電気機器)を接続し直した場合などに使用させることができる。なお、発電制御装置24は、スマートコンセント40から送信された各差込口42のオンオフ状態に基づいて、操作パネル30の表示画面32に各差込口42の使用可否(オンオフ状態)を表示してもよい。こうすれば、ユーザは、表示画面32を見て給電が再開された差込口42を把握することができる。
【0029】
以上説明した電力供給システム10では、発電制御装置24が、複数の差込口42の合計消費電力が発電装置20の自立発電電力を上回る場合、合計消費電力が自立発電電力以下となるように給電をオフする差込口42を選定してオフ指示をスマートコンセント40に送信する。スマートコンセント40は、オフ指示に基づいて差込口42の給電をオフに切り替える。これにより、自立運転時の過負荷を防止して電力の安定供給を図ることができるから、ユーザの負担が増えるのを防止して利便性を向上させることができる。
【0030】
また、発電制御装置24は、複数の差込口42のうち消費電力の大きいものから順にオフした場合の仮の合計消費電力を算出し、仮の合計消費電力を自立発電電力以下とするのにオフが必要な差込口42を選定するから、合計消費電力を速やかに自立発電電力以下に抑えつつ、必要以上に差込口42をオフするのを防止することができる。
【0031】
また、発電制御装置24は、オフ指示を送信してから所定時間経過後に、オフされたままの差込口42のオン指示をスマートコンセント40に再送するから、一旦オフされた差込口42でも別の負荷Lが接続された場合などに給電を開始することができるため、利便性をさらに向上させることができる。なお、オフ指示された場合の負荷L(電気機器)が接続されたままの場合、オン指示の再送により差込口42がオンとなっても、オフ指示送信処理でその差込口42の再度オフ指示が送信されてオフされることはある。
【0032】
また、発電制御装置24は、自立運転開始時に、複数の差込口42が同時にオンされないように、各差込口42のオン指示を異なるタイミングで順次送信するから、各負荷Lへの突入電流の重なりによる過負荷を抑制して、電力の安定供給を図ることができる。
【0033】
上述した実施形態では、合計消費電力が自立発電電力を超える場合、複数の差込口42のうち消費電力の大きいものから順にオフしたが、これに限られず、消費電力の小さいものから順にオフしてもよいし、消費電力以外の順でオフしてもよい。図7は、変形例のオフ指示送信処理を示すフローチャートである。変形例では、実施形態と同じ処理には同じステップ番号を付してその説明を省略する。変形例のオフ指示送信処理では、S220で合計消費電力が自立発電電力を超えると判定すると、各差込口42の優先順に基づいて消費電力を並べ替え(S230b)、優先順が下位の差込口42の消費電力を合計消費電力から減算して(S240b)、減算後の消費電力が自立発電電力以下となったか否かを判定する(S250)。S230b~S250では、優先順が最も低い差込口42を除いた仮の合計消費電力を求め、その仮の合計消費電力が自立発電電力以下となるか否かを判定する処理となる。
【0034】
ここで、優先順は、差込口42のそれぞれに対応付けて定められており、ユーザが操作パネル30を操作して定めてもよいし、予め定められていてもよい。後者の場合、例えば優先順の高い方から差込口42a,42b,42cなどとしてもよい。なお、スマートコンセント40の各差込口42の状態を操作パネル30に表示する際に、優先順を合わせて表示してもよい。発電制御装置24は、S250で減算後の合計消費電力が自立発電電力以下でないと判定すると、S240,S250の処理を繰り返す。即ち、合計消費電力が自立発電電力以下となるまで、優先順の低いものから順次減算していくのである。この変形例では、ユーザは、使用したい電気機器を優先順の高い差込口42に接続すればよいから、自立運転時に過負荷が生じるのを防止しつつ利便性をより向上させることができる。
【0035】
また、消費電力の大きいものから順にオフする処理と、優先順の低いものから順にオフする処理とを組み合わせてもよい。例えば、複数の差込口42を、少なくとも1のグループ内に2以上の差込口42が含まれるように複数のグループに分け、各グループの優先順を定めるものとする。そして、合計消費電力が自立発電電力を超える場合、優先順の最も低いグループを選定し、選定したグループ内に2以上の差込口42が含まれていれば消費電力の大きい差込口42を選定してオフすればよい。こうすれば、ユーザが使用したい電気機器を使用させやすくすると共に、合計消費電力を速やかに自立発電電力以下に抑えることができる。
【0036】
実施形態や変形例では、消費電力の大きい順や優先順の低い順など所定順に基づいて差込口42をオフしたが、これに限られるものではない。例えば、各差込口42の消費電力を組み合わせた合計消費電力が、自立発電電力以下で且つ最も自立発電電力に近くなるような組み合わせを選び、その組み合わせから外れた差込口42をオフしてもよい。
【0037】
実施形態では、自立運転開始時に各差込口42のオン指示を異なるタイミングでスマートコンセント40に送信したが、これに限られず、各差込口42のオン指示を同じタイミングで送信するもののスマートコンセント40が時間差をもって各差込口42をオンするものなどとしてもよい。あるいは、自立運転の開始時に各差込口42のオン指示を同じタイミングで送信して複数の差込口42が同時にオンされてもよいが、突入電流が重なるのを防止するため、実施形態のようにするものが好ましい。
【0038】
実施形態では、オフ指示を送信してから所定時間経過後にオン指示を送信したが、これに限られず、所定時間経過後にオン指示を送信しなくてもよい。また、ユーザの操作パネル30の操作に基づいてオン指示を送信してもよい。こうすれば、ユーザが電気機器を接続し直したタイミングで適切にオン指示を送信することができる。
【0039】
実施形態では、自立コンセント28が1つ設けられたものを例示したが、これに限られず、自立コンセント28が複数設けられてもよく、複数の自立コンセント28の各々にスマートコンセント40が接続されるものとしてもよい。
【0040】
実施形態では、発電制御とスマートコンセント40の制御とを行う発電制御装置24が発電装置20内に設けられたが、これに限られず、発電装置40外に設けられてもよい。また、発電制御装置24は、操作パネル30を介してスマートコンセント40と通信したが、これに限られず、直接通信してもよい。
【0041】
実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施形態では、発電装置20が「発電装置」に相当し、発電制御装置24が「発電制御装置」に相当し、スマートコンセント40が「スマートコンセント」に相当し、電力供給システム10が「電力供給システム」に相当する。
【0042】
なお、実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0043】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、電力供給システムの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 電力系統、10 電力供給システム、20 発電装置、21 燃料電池スタック、22 パワーコンディショナ、24 発電制御装置、25 連系スイッチ、27 自立スイッチ、28 自立コンセント、30 操作パネル(リモコン)、32 表示画面、36 制御部、38 通信部、40 スマートコンセント、42,42a~42c 差込口、44,44a~44c 切替スイッチ、46 制御部、48 通信部、L,L1~L3 負荷(電気機器)、P,P1~P3 電源プラグ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7