(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022010957
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】衣類用乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/12 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
D06F39/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111781
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 康平
【テーマコード(参考)】
3B165
【Fターム(参考)】
3B165AA24
3B165AB24
3B165AB29
3B165AC21
3B165AE07
3B165BA82
3B165CA01
3B165CA02
3B165CA03
3B165CA04
3B165CA05
3B165CA06
3B165CA08
3B165CB31
3B165EW01
3B165EW02
3B165EW05
3B165GA02
3B165GA12
3B165GH04
3B165JM02
(57)【要約】
【課題】料金の誤検知が生じにくい衣類用乾燥機を提供する。
【解決手段】衣類用乾燥機D1の筐体2は、略立方体をしており、天板20と、底板21と、前板22と、後蓋23と、左右一対の第1側板24及び第2側板25とで構成されている。温風生成ユニット10は、第1側板24に隣接して配置され、料金認識ユニット13は、前板22の第2側板25側の縁部に、配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
料金に応じた所定の時間、衣類を乾燥する衣類用乾燥機であって、
筐体と、前記筐体の内部に配置され、前記衣類を収容する収容室と、前記料金を認識する料金認識ユニットと、認識された前記料金に応じて駆動され、前記収容室に温風を送り込む温風生成ユニットとを備え、
前記温風生成ユニットは、供給された燃料を燃焼させて前記温風を生成するバーナと、前記バーナに点火するための放電装置とを有し、
前記筐体は、天板、底板、及び、前記天板と前記底板との間に位置し、上下方向に延設されている複数の側壁を有し、
前記複数の側壁は、第1の側壁と、前記第1の側壁に対向する第2の側壁とを含み、
前記バーナ及び前記放電装置の少なくとも一方は、前記第1の側壁に隣接して配置され、
前記料金認識ユニットは、前記第2の側壁に、又は、前記第2の側壁に隣接する他の側壁、前記天板若しくは前記底板の前記第2の側壁側の縁部に、配置されていることを特徴とする衣類用乾燥機。
【請求項2】
請求項1に記載の衣類用乾燥機において、
前記収容室は、前記衣類を収容する回転式のドラムと、前記ドラムを回転させる電動機とを有し、
前記複数の側壁は、第3の側壁と、前記第3の側壁に対向する第4の側壁とを含み、
前記電動機は、前記第3の側壁に隣接して配置され、
前記料金認識ユニットは、前記第4の側壁に、又は、前記第4の側壁に隣接する他の側壁、前記天板若しくは前記底板の前記第4の側壁側の縁部に、配置されていることを特徴とする衣類用乾燥機。
【請求項3】
請求項2に記載の衣類用乾燥機において、
前記電動機は、前記第3の側壁の下方部分に隣接して配置されていることを特徴とする衣類用乾燥機。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の衣類用乾燥機において、
前記収容室の少なくとも一部は、前記バーナ及び前記放電装置の少なくとも一方の配置位置と前記料金認識ユニットの配置位置との間に、位置していることを特徴とする衣類用乾燥機。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の衣類用乾燥機において、
前記料金認識ユニットは、前記第2の側壁の下方部分に、又は、前記第2の側壁に隣接する他の側壁の前記第2の側壁側の縁部の下方部分に、配置されていることを特徴とする衣類用乾燥機。
【請求項6】
料金に応じた所定の時間、衣類を乾燥する衣類用乾燥機であって、
筐体と、前記筐体の内部に配置され、前記衣類を収容する収容室と、前記料金を認識する料金認識ユニットと、認識された前記料金に応じて駆動され、前記収容室に温風を送り込む温風生成ユニットとを備え、
前記温風生成ユニットは、供給された燃料を燃焼させて前記温風を生成するバーナと、前記バーナに点火するための放電装置とを有し、
前記筐体は、天板、底板、及び、前記天板と前記底板との間に位置し、上下方向に延設されている複数の側壁を有し、
前記バーナ及び前記放電装置の少なくとも一方は、前記天板及び前記底板の一方に隣接して配置され、
前記料金認識ユニットは、前記天板及び前記底板の他方に、又は、前記側壁の前記天板若しくは前記底板の他方側の縁部に、配置されていることを特徴とする衣類用乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、料金に応じた所定の時間、衣類を乾燥する衣類用乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コインランドリー、ホテル等に設置され、支払われた料金に応じて所定の時間駆動して、洗濯後の衣類等(いわゆる洗濯物であり、タオル、シーツ等の布製品も含む。)を、乾燥する衣類用乾燥機がある。この種の衣類用乾燥機としては、温風生成ユニットによって生成した温風を収容室に送り込んで、その収容室に収容された衣類等を乾燥するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の衣類用乾燥機では、温風生成ユニットは、バーナによる燃焼を利用するものであり、そのバーナ周辺の温度は、数百度に達することがある。一方、支払われた料金を認識するためのセンサ類等の使用上限温度は、数十度程度である場合が多い。そのため、この衣類用乾燥機では、温度の影響によって、料金を認識するためのセンサ類に誤検知が生じてしまうおそれがあった。
【0005】
また、そのバーナの点火には放電装置が用いられる場合があるが、その放電装置による点火の際には、周辺に配置されている他の電子機器に、電気的なノイズが発生する場合がある。そのため、この衣類用乾燥機では、電気的なノイズの影響によって、料金を認識するためのセンサ類に誤検知が生じてしまうおそれもあった。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、料金の誤検知が生じにくい衣類用乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の衣類用乾燥機は、
料金に応じた所定の時間、衣類を乾燥する衣類用乾燥機であって、
筐体と、前記筐体の内部に配置され、前記衣類を収容する収容室と、前記料金を認識する料金認識ユニットと、認識された前記料金に応じて駆動され、前記収容室に温風を送り込む温風生成ユニットとを備え、
前記温風生成ユニットは、供給された燃料を燃焼させて前記温風を生成するバーナと、前記バーナに点火するための放電装置とを有し、
前記筐体は、天板、底板、及び、前記天板と前記底板との間に位置し、上下方向に延設されている複数の側壁を有し、
前記複数の側壁は、第1の側壁と、前記第1の側壁に対向する第2の側壁とを含み、
前記バーナ及び前記放電装置の少なくとも一方は、前記第1の側壁に隣接して配置され、
前記料金認識ユニットは、前記第2の側壁に、又は、前記第2の側壁に隣接する他の側壁、前記天板若しくは前記底板の前記第2の側壁側の縁部に、配置されていることを特徴とする。
【0008】
このように、本発明の衣類用乾燥機では、第2の側壁は、第1の側壁に対向するように配置されている。また、温風生成ユニットのバーナ及び放電装置は、第1の側壁に隣接して配置され、料金認識ユニットは、第2の側壁に、又は、それに隣接する側壁、天板若しくは底板の第2の側壁側の縁部に配置されている。
【0009】
すなわち、バーナ及び放電装置と、料金認識ユニットとは、衣類用乾燥機の構造上で、大きく離れた位置に配置されている。これにより、料金認識ユニットには、バーナによる温度及び放電装置による電気的なノイズが、影響しにくくなる。したがって、本発明の衣類用乾燥機によれば、料金認識ユニットに対する熱及び電気的なノイズの影響を抑制して、料金の誤検知を生じにくくすることができる。
【0010】
また、本発明の衣類用乾燥機においては、
前記収容室は、前記衣類を収容する回転式のドラムと、前記ドラムを回転させる電動機とを有し、
前記複数の側壁は、第3の側壁と、前記第3の側壁に対向する第4の側壁とを含み、
前記電動機は、前記第3の側壁に隣接して配置され、
前記料金認識ユニットは、前記第4の側壁に、又は、前記第4の側壁に隣接する他の側壁、前記天板若しくは前記底板の前記第4の側壁側の縁部に、配置されていることが好ましい。
【0011】
衣類用乾燥機が回転式のドラムを採用したものである場合、そのドラムを回転させる電動機からも、料金認識ユニットに対して影響を与える電気的なノイズが発生するおそれがある。そこで、このように、その電動機に対しても料金認識ユニットを大きく離して配置するようにすると、料金認識ユニットに対するその電動機からの電気的なノイズの影響も抑制して、そのノイズによる料金の誤検知を生じにくくすることができる。
【0012】
また、本発明の衣類用乾燥機においては、収容室がドラムと電動機とを有している構成の場合、前記電動機は、前記第3の側壁の下方部分に隣接して配置されていることが好ましい。
【0013】
一般に、衣類用乾燥機の他の構成部材に比べ、電動機は重量のある部材である。そこで、このように、電動機を下方部分に配置するようにすると、衣類用乾燥機全体の重量バランスを良好にするものができる。ひいては、衣類用乾燥機の振動を抑制して、その振動に起因する料金認識ユニットの誤検知を生じにくくすることができる。
【0014】
また、本発明の衣類用乾燥機においては、
前記収容室の少なくとも一部は、前記バーナ及び前記放電装置の少なくとも一方の配置位置と前記料金認識ユニットの配置位置との間に、位置していることが好ましい。
【0015】
衣類を収容する収容室は、中空であり、その内部の空間で衣類の乾燥を行うものである。そのため、このように、その収容室の少なくとも一部をバーナ及び放電装置の少なくとも一方の配置位置と料金認識ユニットの配置位置との間に位置するように配置すると、その収容室によって、料金認識ユニットに影響を与える熱及び電気的なノイズを遮断することができる。これにより、さらに料金の誤検知を生じにくくすることができる。
【0016】
また、本発明の衣類用乾燥機においては、
前記料金認識ユニットは、前記第2の側壁の下方部分に、又は、前記第2の側壁に隣接する他の側壁の前記第2の側壁側の縁部の下方部分に、配置されていることが好ましい。
【0017】
また、この種の衣類用乾燥機は、コインランドリー等では、比較的高い位置に設置される場合が多い。そこで、このように料金認識ユニット(ひいては、それに接続される料金投入口等)を下方部分に配置すると、ユーザが料金の投入等を行いやすくなる。
【0018】
また、第1の側壁に隣接して配置される機器がバーナである場合、バーナによる熱は、筐体の内部の上方に集まる。そこで、このように料金認識ユニットを下方部分に配置すると、その熱による影響を抑制して、さらに料金の誤検知を生じにくくすることができる。
【0019】
また、本発明の衣類用乾燥機は、
料金に応じた所定の時間、衣類を乾燥する衣類用乾燥機であって、
筐体と、前記筐体の内部に配置され、前記衣類を収容する収容室と、前記料金を認識する料金認識ユニットと、認識された前記料金に応じて駆動され、前記収容室に温風を送り込む温風生成ユニットとを備え、
前記温風生成ユニットは、供給された燃料を燃焼させて前記温風を生成するバーナと、前記バーナに点火するための放電装置とを有し、
前記筐体は、天板、底板、及び、前記天板と前記底板との間に位置し、上下方向に延設されている複数の側壁を有し、
前記バーナ及び前記放電装置の少なくとも一方は、前記天板及び前記底板の一方に隣接して配置され、
前記料金認識ユニットは、前記天板及び前記底板の他方に、又は、前記側壁の前記天板若しくは前記底板の他方側の縁部に、配置されていることを特徴とする。
【0020】
この種の衣類用乾燥機では、構成機器のレイアウトの関係上、温風生成ユニットのバーナ又は放電装置を、天板及び底板の一方に配置する場合がある。そこで、そのような場合には、このように、料金認識ユニットを天板及び底板の他方に、又は、側壁の天板若しくは底板の他方側の縁部に配置すると、バーナ又は放電装置と料金認識ユニットとを離して配置することができる。
【0021】
これにより、料金認識ユニットには、バーナによる温度及び放電装置による電気的なノイズが、影響しにくくなる。したがって、本発明の衣類用乾燥機によれば、料金認識ユニットに対する熱及び電気的なノイズの影響を抑制して、料金の誤検知を生じにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態に係る衣類用乾燥機の構成を模式的に示す縦断面図。
【
図3】
図1の衣類用乾燥機の温風生成ユニット及びモータ並びに料金認識ユニットの位置を示す模式図。
【
図4】第1実施形態の変形例に係る衣類用乾燥機の温風生成ユニット及びモータ並びに料金認識ユニットの位置を示す模式図。
【
図5】第2実施形態に係る衣類用乾燥機の温風生成ユニット及びモータ並びに料金認識ユニットの位置を示す模式図。
【
図6】第3実施形態に係る衣類用乾燥機の温風生成ユニット及びモータ並びに料金認識ユニットの位置を示す模式図。
【
図7】第3実施形態の変形例に係る衣類用乾燥機の温風生成ユニット及びモータ並びに料金認識ユニットの位置を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下、
図1~
図4を参照して、第1実施形態に係る衣類用乾燥機について説明する。
【0024】
まず、
図1及び
図2を参照して、衣類用乾燥機D1の概略構成について説明する。
【0025】
図1に示すように、衣類用乾燥機D1は、衣類W(いわゆる洗濯物であり、衣服の他、タオル、シーツ等の布製品も含む。)を収容して回転しつつ乾燥する回転式のドラム1(収容室)を備えている。ドラム1は、回動自在な状態で筐体2の内部に配置されている。
【0026】
筐体2の背面壁2aには、正面に向かって延びる支持軸3が設けられている。支持軸3には、ドラム1のドラム回転軸1aが回転自在に装着されている。これにより、ドラム1は、横倒姿勢(軸線が水平方向となる姿勢)で、筐体2に対し、回転自在に支持されている。
【0027】
ドラム1の前端には、正面開放部1bが形成されている。筐体2の正面側には、ドラム1の正面開放部1bに対応する位置に、片開き式の扉4で覆われた衣類投入口2bが設けられている。衣類投入口2bの外周には、リング板5が装着されている。リング板5には、正面開放部1bを介して、ドラム1が回動自在な状態で支持されている。
【0028】
ドラム1の奥壁1cには、前述したドラム回転軸1aが設けられている。ドラム回転軸1aのドラム1の内部側の端部には、フィルタユニット6が取り付けられている。また、ドラム回転軸1aのドラム1の外部側の端部には、軸支されたドラム1の奥壁1cを補強するための補強板1dが取り付けられている。
【0029】
ドラム1の奥壁1cと筐体2の背面壁2aとの間には、ドラム1の内部の空気を筐体2の外部に導く排気路7が設けられている。排気路7の下流端には、筐体2の上部で開口する排気口7aが設けられている。排気路7の上流側には、ファンケース8aが配置されている。
【0030】
ファンケース8aの内部には、排湿ファン8bが収容されている。排湿ファン8bは、支持軸3に回転自在に支持されたファン回転軸8cを備えている。排湿ファン8bは、衣類Wの乾燥に伴い高湿度となったドラム1の内部の空気を排出するとともに、ドラム1の内部に温風を引き込む気流を発生させる。
【0031】
具体的には、排湿ファン8bが回転すると、まず、外気が筐体2の底部に形成されている給気口2cから筐体2の内部に取り込まれる。次に、筐体2の内部に取り込まれた外気は、後述するガスバーナ10aの炎に加熱されて温風となり、後述する温風ダクト11を通ってドラム1の内部に送られる。
【0032】
筐体2の内部には、ドラム1及び排湿ファン8bを回転させるためのモータ9(電動機)と、温風を生成する温風生成ユニット10と、生成された温風をドラム1の内部へ導く温風ダクト11と、乾燥運転時にモータ9の駆動、温風生成ユニット10の点消火動作等を制御するコントローラ12と、ユーザの投入した料金を認識するための料金認識ユニット13(
図1では不図示。
図2参照)が、配置されている。
【0033】
モータ9は、第1駆動軸9a及び第2駆動軸9bの2つの駆動軸を備えている。第1駆動軸9aとドラム1とには、第1伝動ベルト9cが掛け渡されている。第2駆動軸9bと排湿ファン8bのファン回転軸8cとには、第2伝動ベルト9dが掛け渡されている。
【0034】
第1駆動軸9aの回転力は、第1伝動ベルト9cを介してドラム1に伝達され、ドラム1を回転させる。このドラム1の回転により、ドラム1の内部に収容されている衣類Wは、定位置に留まることなく常に動かされる。
【0035】
第2駆動軸9bの回転力は、第2伝動ベルト9dを介してファン回転軸8cに伝達され、排湿ファン8bを回転させる。この排湿ファン8bの回転により、ドラム1の内部に気流が形成される。
【0036】
温風生成ユニット10は、ガスバーナ10a、ガス噴射ノズル10b、ガス供給弁装置10c及び放電装置10dを備えている。
【0037】
ガス供給弁装置10cから供給された燃料ガスは、ガス噴射ノズル10bからガスバーナ10aのガス入口10eへ向けて噴射される。噴射された燃料ガスは、ガス入口10e周辺の燃焼用空気とともにガスバーナ10aに導かれる。その後、その燃焼ガス及び燃焼用空気は、放電装置10dによって着火されて燃焼し、その燃焼によって外気が加熱され温風が生成される。
【0038】
なお、燃焼ガスとともにガスバーナ10aに供給される燃焼用空気は、加熱するための外気と同様に筐体2の底部の給気口2cから取り込まれる。
【0039】
温風ダクト11は、ガスバーナ10aの上方からリング板5に形成された温風出口5aまで延設されている。ガスバーナ10aにより加熱生成された温風は、温風ダクト11を通って温風出口5aへ導かれ、ドラム1の内部へ送り込まれる。
【0040】
ドラム1の内部に送り込まれた温風は、ドラム1に収容されている衣類Wから湿気を吸収してその衣類Wを乾燥させる。衣類Wの乾燥に伴い高湿度となった温風(高湿温風)は、フィルタユニット6を通過して排湿ファン8bへ向かう。このとき、衣類Wから発生した糸屑類がフィルタユニット6に捕捉される。
【0041】
フィルタユニット6を経て排湿ファン8bへ向かった高湿温風は、排湿ファン8bの正面側から入って排湿ファン8bの外周に向かい、排気路7に集約されて排気口7aから機外に排出される。
【0042】
コントローラ12の前面側の下方部には、乾燥運転時にモータ9の駆動、温風生成ユニット10の点消火動作等に関する制御を選択するための操作パネル12aが設けられている。操作パネル12aは、後述する筐体2の前板22の下方部分から、露出している(
図2等参照)。
【0043】
図2に示すように、コントローラ12の側方には、料金認識ユニット13が配置されている。料金認識ユニット13は、硬貨、紙幣又は電子マネーによって支払われた料金を認識する料金認識センサ13aと、投入された硬貨及び紙幣を収容する収容ボックス13bとを備えている。
【0044】
料金認識センサ13aによって認識された料金は、コントローラ12に送信される。コントローラ12は、その料金に応じて、温風生成ユニット10の駆動可能時間を設定する。
【0045】
料金認識ユニット13は、前述のように、前板22の下方部分に配置されているコントローラ12の側方に配置されている。すなわち、料金認識ユニット13自体も、前板22の下方部分に配置されている。
【0046】
これは、後述するように、料金認識ユニット13に対するガスバーナ10aからの熱による影響を抑制するためである。また、この衣類用乾燥機D1のような衣類用乾燥機は、コインランドリー等では比較的高い位置に設置される場合が多いので、このように料金認識ユニット13(ひいては、それに接続される料金投入口等)を下方部分に配置することによって、ユーザが料金の投入等を行いやすくするためである。
【0047】
図2に示すように、筐体2は、略立方体をしており、天板20、底板21(
図2では不図示。
図3参照。)、並びに、天板20と底板21との間に位置し、上下方向に延設されている複数の側壁により構成されている。
【0048】
複数の側壁は、前板22、後蓋23、正面視で右側に位置している第1側板24(第1の側壁、第3の側壁)、及び、第1側板に対向するように配置され、正面視で左側に位置している第2側板25(第2の側壁、第4の側壁)(
図2では不図示。
図3参照。)を含んでいる。
【0049】
前板22の下方部からは、コントローラ12の操作パネル12aが露出している。前板22の操作パネル12aの側方となる位置には、料金認識ユニット13の前面部分が露出している。前板22の中央には、ドラム1に衣類を投入するための衣類投入口2bが設けられている。衣類投入口2bは、前述のように片開き式の扉4で覆われている。後蓋23は、前述の背面壁2aを構成している。
【0050】
ところで、衣類用乾燥機D1では、温風生成ユニット10は、ガスバーナ10aによる燃焼を利用するものであり、そのガスバーナ10a周辺の温度は、数百度に達することがある。一方、料金認識ユニット13の料金認識センサ13a等の使用上限温度は、数十度程度である。
【0051】
そのため、この衣類用乾燥機D1では、料金認識センサ13aの配置位置によっては、熱の影響によって、料金を認識するための料金認識センサ13a等に誤検知が生じてしまうおそれがあった。
【0052】
また、そのガスバーナ10aの点火には、放電装置10dが用いられている。そして、その放電装置10dによる点火の際には、周辺に配置されている他の電子機器に、電気的なノイズが発生する場合がある。
【0053】
そのため、この衣類用乾燥機D1では、料金認識センサ13aの配置位置によっては、電気的なノイズの影響によって、料金を認識するための料金認識センサ13a等に誤検知が生じてしまうおそれもあった。
【0054】
そこで、衣類用乾燥機D1では、料金認識ユニット13の料金認識センサ13aに、熱による影響、又は、電気的なノイズによる影響を抑制するために、筐体2の内部における料金認識センサ13aの配置を工夫している。以下においては、
図3を参照して、その配置について詳細に説明する。
【0055】
衣類用乾燥機D1では、高温が発生するガスバーナ10a、及び、電気的ノイズが発生する可能性のある放電装置10dを備えている温風生成ユニット10は、
図3に示すように、筐体2の内部で、第1側板24に隣接するように配置されている。
【0056】
これに対し、料金認識センサ13aを備えている料金認識ユニット13は、筐体2の内部で、第2側板25に隣接する前板22の第2側板25側の縁部に隣接するように配置されている。
【0057】
ここで、前述のように、第2側板25は、第1側板24に対向するように配置されている。また、温風生成ユニット10のガスバーナ10a及び放電装置10dは、第1側板24に隣接して配置され、料金認識ユニット13は、第2側板25に隣接する前板22の第2側板25側の縁部に隣接するように配置されている。
【0058】
すなわち、ガスバーナ10a及び放電装置10dと、料金認識ユニット13とは、衣類用乾燥機D1の構造上で、大きく離れた位置に配置されている。これにより、料金認識センサ13aには、ガスバーナ10aによる熱及び放電装置10dによる電気的なノイズが、影響しにくくなる。
【0059】
なお、衣類用乾燥機D1では、温風生成ユニット10においてガスバーナ10aが採用されている。そのガスバーナ10aによる熱は、筐体2の内部の上方に集まる。これに対し、前述のように、料金認識ユニット13は、その熱の集まりにくい下方部分に配置されている。これによっても、料金認識ユニット13に対するガスバーナ10aの熱による影響が抑制されている。
【0060】
また、
図3に示すように、衣類用乾燥機D1では、ドラム1を筐体2の略中央部に配置している。すなわち、ドラム1の少なくとも一部は、高温が発生するガスバーナ10a、及び、電気的ノイズが発生する可能性のある放電装置10dを備えている温風生成ユニット10の配置位置と、料金認識センサ13aを備えている料金認識ユニット13の配置位置との間に、位置している。
【0061】
これにより、衣類Wを収容する収容室である(すなわち、中空の)ドラム1によって、料金認識ユニット13に影響を与える熱及び電気的なノイズを遮断することができるようになっている。
【0062】
ここで、ドラム1は回転式のドラムであり、筐体2の内部には、その回転のためのモータ9が配置されている。そして、このモータ9からも、料金認識ユニット13に対して影響を与える電気的なノイズが発生するおそれがある。
【0063】
また、一般に、衣類用乾燥機D1の他の構成部材に比べ、モータ9は重量のある部材である。そのため、その配置位置が適切でない場合には、モータ9の駆動によって生じる振動が大きくなってしまうおそれがある。その結果、その振動の影響によって、料金認識ユニット13において、料金の誤検知が生じてしまうおそれもある。
【0064】
そこで、衣類用乾燥機D1では、モータ9も、筐体2の内部であって温風生成ユニット10よりも後方となる位置で、第1側板24の下方部分に隣接するように配置されている。
【0065】
これにより、料金認識センサ13aに対するモータ9からの電気的なノイズの影響も、温風生成ユニット10からの電気的なノイズの影響と同様に、距離及びドラム1の存在によって、抑制されるようになっている。また、モータ9を下方部分に配置することによって、衣類用乾燥機D1全体の重量バランスを良好にするものができるので、衣類用乾燥機D1の振動も抑制されるようになっている。
【0066】
したがって、衣類用乾燥機D1によれば、料金認識ユニット13に対する熱、電気的なノイズ、及び、振動の影響を抑制して、それらの影響に起因する料金の誤検知を生じにくくすることができる。
【0067】
なお、本実施形態の衣類用乾燥機D1においては、高温が発生するガスバーナ10a及び電気的ノイズが発生する可能性のある放電装置10dを備えている温風生成ユニット10、並びに、電気的ノイズ及び振動が発生する可能性のある電動機であるモータ9を、筐体2の内部で、第1側板24の下方部分に前後に並べて配置している。そして、これに対し、料金認識ユニット13を、第1側板24に対向する第2側板25に隣接する前板22の第2側板側の端部に設けている。
【0068】
しかし、本発明の衣類用乾燥機は、温風生成ユニットの配置基準となる第1の側壁と、料金認識ユニットの配置基準となる第2の側壁とが対向している構成、又は、電動機の配置基準となる第3の側壁と料金認識ユニットの配置基準となる第4の側壁とが対向している構成であればよい。
【0069】
そのため、本実施形態のように第1の側壁及び第3の側壁を、第1側板24とするのであれば、温風生成ユニット10及びモータ9は、第1側板24に隣接する位置(
図3において、薄いハッチングを付して示した領域)であれば、その下方部分以外の位置に配置してもよい。
【0070】
また、温風生成ユニット10(すなわち、ガスバーナ10a及び放電装置10d)とモータ9とを並べて配置せずに、ガスバーナ10aと、放電装置10dと、モータ9とを、独立して配置してもよい。
【0071】
また、第1の側壁及び第3の側壁を、第1側板24とすると、第2側板25が、第2の側壁及び第4の側壁となる。そのため、料金認識ユニット13は、第2側板25に、又は、第2側板25に隣接する天板20、底板21、前板22若しくは後蓋23の第2側板25側の縁部に、隣接するように配置すればよい。具体的には、
図3において濃いハッチングを付して示した領域に配置すればよい。
【0072】
また、料金認識ユニット13は、第2側板25に、又は、第2側板25に隣接する天板20、底板21、前板22若しくは後蓋23の第2側板25側の縁部に、直接取り付けてもよい。
【0073】
なお、本実施形態では、第1側板24を、第1の側壁及び第3の側壁とし、第2側板25を、第2の側壁及び第4の側壁としている。しかし、当然のことながら、
図4に示す変形例に係る衣類用乾燥機D2のように、左右を反転させて、第2側板25を、第1の側壁及び第3の側壁とし、第1側板24を、第2の側壁及び第4の側壁としてもよい。
【0074】
[第2実施形態]
以下、
図5を参照して、第2実施形態に係る衣類用乾燥機について説明する。
【0075】
なお、本実施形態の衣類用乾燥機D3は、ガスバーナ10a及び放電装置10dを備えている温風生成ユニット10、並びに、モータ9の配置位置と、料金認識ユニット13の配置位置とが異なることを除き、第1実施形態の衣類用乾燥機D1と同様の構成を備えている。
【0076】
そのため、以下の説明においては、それらの配置位置についてのみ説明する。また、第1実施形態の衣類用乾燥機D1と同一の構成又は対応する構成については、同一の符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
【0077】
図5に示すように、衣類用乾燥機D3では、後蓋23を、温風生成ユニット10及び電動機であるモータ9を配置するための基準である、本発明における第1の側壁及び第3の側壁としている。
【0078】
そのため、高温が発生するガスバーナ10a及び電気的ノイズが発生する可能性のある放電装置10dを備えている温風生成ユニット10、並びに、電気的ノイズ及び振動が発生する可能性のある電動機であるモータ9は、筐体2の内部で、後蓋23に隣接する位置に配置される。
【0079】
具体的には、
図5において、薄いハッチングを付して示した領域に配置される。さらに具体的には、例えば、
図5に示すように、温風生成ユニット10及びモータ9は、筐体2の内部で、後蓋23の下方部分に隣接して配置される。
【0080】
そして、衣類用乾燥機D3では、後蓋23に対向する前板22を、料金認識ユニット13を配置するための基準である、本発明における第2の側壁及び第4の側壁としている。
【0081】
そのため、料金認識ユニット13は、前板22に、又は、前板22に隣接する天板20、底板21、第1側板24若しくは第2側板25の前板22側の縁部に、隣接するように配置される。
【0082】
具体的には、
図5において濃いハッチングを付して示した領域に配置される。さらに具体的には、例えば、
図5に示すように、料金認識ユニット13は、筐体2の内部で、前板22の下方部分に隣接して配置される。
【0083】
[第3実施形態]
以下、
図6及び
図7を参照して、第3実施形態に係る衣類用乾燥機について説明する。
【0084】
なお、本実施形態の衣類用乾燥機D4は、ガスバーナ10a及び放電装置10dを備えている温風生成ユニット10、並びに、モータ9の配置位置と、料金認識ユニット13の配置位置とが異なることを除き、第1実施形態の衣類用乾燥機D1と同様の構成を備えている。
【0085】
そのため、以下の説明においては、それらの配置位置についてのみ説明する。また、第1実施形態の衣類用乾燥機D1と同一の構成又は対応する構成については、同一の符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
【0086】
図6に示すように、衣類用乾燥機D4では、天板20を、温風生成ユニット10及び電動機であるモータ9を配置するための基準としている。
【0087】
そのため、高温が発生するガスバーナ10a及び電気的ノイズが発生する可能性のある放電装置10dを備えている温風生成ユニット10、並びに、電気的ノイズ及び振動が発生する可能性のある電動機であるモータ9は、筐体2の内部で、天板20に隣接する位置に配置される。具体的には、
図6において、薄いハッチングを付して示した領域に配置される。
【0088】
そして、衣類用乾燥機D4では、天板20に対向する底板21を、料金認識ユニット13を配置するための基準としている。
【0089】
そのため、料金認識ユニット13は、底板21に、又は、底板21に隣接する前板22、後蓋23、第1側板24若しくは第2側板25の前板22側の縁部に、隣接するように配置される。
【0090】
具体的には、
図6において濃いハッチングを付して示した領域に配置される。さらに具体的には、例えば、
図6に示すように、料金認識ユニット13は、筐体2の内部で、前板22の下方部分に隣接して配置される。
【0091】
なお、本実施形態では、天板20を、第1の側壁及び第3の側壁とし、底板21を、第2の側壁及び第4の側壁としている。しかし、当然のことながら、
図7に示す変形例に係る衣類用乾燥機D5のように、上下を反転させて、底板21を、第1の側壁及び第3の側壁とし、天板20を、第2の側壁及び第4の側壁としてもよい。
【0092】
[その他の実施形態]
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
【0093】
例えば、上記実施形態では、
図3等に示すように、筐体2は、略立方体をしており、天板20、底板21、前板22、後蓋23、第1側板24、及び、第2側板25で構成されている。
【0094】
しかし、本発明の衣類用乾燥機の筐体は、そのような構成に限定されるものではなく、天板、底板、及び、天板と底板との間に位置し、上下方向に延設されている複数の側壁を有しているものであればよい。そのため、例えば、前板、後板及び一対の側板の間にさらに側板を配置して、平面視で多角形状の筐体であってもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、料金認識ユニット13が、ガスバーナ10a、放電装置10d及び電動機であるモータ9のいずれからも離間した位置に配置されている。しかし、本発明の衣類用乾燥機は、そのような構成に限定されるものではなく、バーナ、放電装置及び電動機のいずれか1つに対して、離間して配置されていればよい。
【0096】
また、上記実施形態では、料金認識ユニット13が、ガスバーナ10a、放電装置10d及び電動機であるモータ9を、いずれも1つの側板、天板、後蓋を基準として配置している。これは、本発明における第1の側壁及び第3の側壁としてある1つの側壁を採用するとともに、第2の側壁及び第4の側壁として対向する1つの側壁を採用したためである。
【0097】
しかし、本発明の衣類用乾燥機は、このような構成に限定されるものではなく、バーナ、放電装置及び電動機の基準となる側壁は、各々で異なるものであってもよい。
【0098】
そのため、例えば、料金認識ユニットを、前板の下方部分であって、正面視で左側となる位置(例えば、
図3参照)に配置した場合には、バーナ及び放電装置を、
図5に示す第2実施形態のように後蓋を基準として配置するとともに、電動機であるモータを、
図3に示す第1実施形態のように正面視で右側の側板を基準として配置してもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、収容室として、回転式のドラム1を採用している。しかし、本発明の収容室は、そのような構成に限定されるものではなく、筐体の内部に配置され、衣類を収容するものであればよい。そのため、例えば、回転式以外のものであってもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、料金認識ユニット13の配置位置と、ガスバーナ10a、放電装置10d及び電動機であるモータ9の配置位置との間に、収容室であるドラム1の少なくとも一部が位置するように構成されている。
【0101】
しかし、本発明の衣類用乾燥機は、そのような構成に限定されるものではない。そのため、例えば、料金認識ユニットの配置位置と、バーナ、放電装置及び電動機の配置位置との間に、熱又は電気的ノイズに対する遮蔽板が配置されている場合等には、必ずしも、その間に収容室が配置されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1…ドラム(収容室)、1a…ドラム回転軸、1b…正面開放部、1c…奥壁、1d…補強板、2…筐体、2a…背面壁、2b…衣類投入口、2c…給気口、3…支持軸、4…扉、5…リング板、5a…温風出口、6…フィルタユニット、7…排気路、7a…排気口、8a…ファンケース、8b…排湿ファン、8c…ファン回転軸、9…モータ(電動機)、9a…第1駆動軸、9b…第2駆動軸、9c…第1伝動ベルト、10…温風生成ユニット、10a…ガスバーナ、10b…ガス噴射ノズル、10c…ガス供給弁装置、10d…放電装置、10e…ガス入口、11…温風ダクト、12…コントローラ、12a…操作パネル、13…料金認識ユニット、13a…料金認識センサ、13b…収容ボックス、20…天板、21…底板、22…前板、23…後蓋、24…第1側板(第1の側壁、第3の側壁)、25…第2側板(第2の側壁、第4の側壁)、D1,D2,D3,D4,D5…衣類用乾燥機、W…衣類。