(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022010958
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】フェイスシールド用取り付け具及び顔面保護具
(51)【国際特許分類】
A42B 3/20 20060101AFI20220107BHJP
A41D 13/11 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A42B3/20
A41D13/11 L
A41D13/11 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111782
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000152527
【氏名又は名称】日進工具株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】後藤 隆司
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107DA07
3B107DA08
3B107DA18
(57)【要約】
【課題】頭部保護具への着脱操作が容易であり、しかも高強度で位置ずれ等を生じない。
【解決手段】フェイスシールド1は、帽子2のつば部4に着脱可能である。フェイスシールド1は、帽子2のつば部4の中央部に着脱可能な中央取り付け部6と、つば部4の両側部に着脱可能な側部取り付け部7と、を有する。中央取り付け部6はつば部4に嵌合可能な溝部10aを有する係脱部10と、係脱部10の背面側に設けられていて固定面12aを有する固定部12とを設けた。側部取り付け部7はつば部4に嵌合可能な溝部14aを有する係脱部14と、係脱部14の背面側に設けられていて固定面15aを有する固定部15とを設けた。溝部10a、14aの内面にはつば部4を係止する凸部を有する。固定面12a、15aにはフェイスシールド面8が接着されていて、顔面を保護する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔面を保護するフェイスシールド部を備えたフェイスシールド用取り付け具であって、
前記取り付け具は、頭部保護具のつば部に着脱可能な溝部を設けた係脱部を有することを特徴とするフェイスシールド用取り付け具。
【請求項2】
前記係脱部における前記溝部を形成する内面に凸部が形成されている請求項1に記載されたフェイスシールド用取り付け具。
【請求項3】
前記フェイスシールド部の角度を調整可能とした請求項1または2に記載されたフェイスシールド用取り付け具。
【請求項4】
頭部保護具に取り付け可能な顔面保護具であって、
前記頭部保護具のつば部に着脱可能な取り付け具と、
前記取り付け具に固定されていて顔面を保護するフェイスシールド部と、を備え、
前記取り付け具は前記つば部に着脱可能な溝部を有する係脱部と、前記係脱部から延びていて前記フェイスシールド部を固定する固定部と、を有することを特徴とする顔面保護具。
【請求項5】
前記頭部保護具はつば部付き帽子であり、
前記取り付け具は前記つば部の中央と両側部に装着され、中央の前記取り付け具は両側部の前記取り付け具より前記固定部が短く形成されている請求項4に記載された顔面保護具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば新型コロナウイルス等の各種ウイルス等の飛沫による感染等を予防するためのフェイスシールド用取り付け具及び顔面保護具に関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウイルス等のウイルスは飛沫感染するため、感染疑いのある者と接近して会話等する場合には飛沫が飛散して話し相手の顔面等に付着することを阻止しなければならない。特に医療従事者や病院職員、或いはスーパーマーケット等の対面販売員やレジ担当者等は感染者や感染を疑われる者と直接対面したり会話したりすることが多いためフェイスシールド等を顔面に取り付けて保護することが必要である。
一般にフェイスシールドは頭部の額に装着するバンドに透明なプラスチック製の防護マスクが取り付けられており、略円弧状板のバンドやハチマキ状の支持具を使用者の額に弾性や係止具等で装着して、防護マスクを顔面に取り付けて保護している。防護マスクは目や口だけでなく鼻の粘膜等に飛沫が付着することを阻止できる。しかしながら、このような従来のフェイスシールドは顔を振ったり移動したりすると顔面からずれたりし易い。また、フェイスシールドの着脱作業に手間がかかり、作業の際に誤ってバンドやハチマキ状の支持具の前面に触れるとウイルス等に感染の恐れが生じる。
【0003】
また、バンドやハチマキ状の支持具に代えて、帽子に装着する従来のフェイスシールドとして、
図8(a)、(b)、(c)に示すものが提案されている。
図8(a)に示すフェイスシールド100は、全周につば部101を備えた帽子102において、つば部101の内側にフェイスシールド100を固定して顔面を覆うものである。
図8(b)に示すフェイスシールド104は、野球帽105の両側部にピンで開閉可能に支持したフェイスシールド104を被せるものであり、フェイスシールド104は使用者の顔面に対して上方に回動可能としている。また、
図8(c)に示すフェイスシールド107は、全周につば部101を備えた帽子102において、上側からフェイスシールド107をつば部101に被せてあごの下側でひも108によって締め付け固定するものである。
【0004】
これら従来例1、2、3のフェイスシールド100、104、107は、帽子に対して取り付けてあるもので、使用者によるフェイスシールド100では分離・再装着操作ができなかった。また、フェイスシールド100、104は専用品のものしか取り付けられず、しかも変形し易くその強度が小さかった。しかも、フェイスシールド100、104、107は装着状態で帽子に対する角度調整が困難であった。
【0005】
これに対し、特許文献1に記載された保護具取り付け治具は防災ヘルメットに取り付ける保護具である。略円弧面状のフェイスシールドの枠体の前面に透明フィルムが固定され、両側部に延びる帯状端部にヘルメットのつば部に取り付ける治具が設置されている。この治具は下部に設けたU字状の係着部と円弧状に湾曲した板バネとの間にヘルメットのつば部を係合させている。更に、締め付けビスによって板バネの当接面をつば部に押え付けることで、フェイスシールドをヘルメットに固定している。この保護具取り付け治具はヘルメットの前面に強固にフェイスシールドを装着することができ、顔を振ったり移動したりしても顔面からずれたり外れたりしない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された保護具取り付け治具は締め付けビスでつば部に押し付けるため、ヘルメットのような高強度な装着具でないと治具の取り付けが困難であった。しかも、締め付けビスを用いるため着脱操作が煩雑で手間がかかるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、頭部保護具への着脱操作が容易であり、しかも高強度で位置ずれ等を生じないフェイスシールド用取り付け具及び顔面保護具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるフェイスシールド用取り付け具は、顔面を保護するフェイスシールド部を備えたフェイスシールド用取り付け具であって、取り付け具は、頭部保護具のつば部に着脱可能な溝部を設けた係脱部を有することを特徴とする。
本発明によれば、係脱部の溝部を帽子等の頭部保護具のつば部に嵌合することでフェイスシールド部を使用者の顔面に容易に装着でき、係脱部の溝部をつば部から外すことでフェイスシールド部を頭部保護具から取り外すことができる。
【0010】
また、係脱部における溝部を形成する内面に凸部が形成されていることが好ましい。
取り付け具の係脱部の溝部を頭部保護具のつば部に嵌合させると、凸部をつば部に係止できるため係脱部の離脱を防止できる。
【0011】
また、フェイスシールド部の角度を調整可能としてもよい。
取り付け具において、フェイスシールド部の角度が調整可能であるため、フェイスシールド部が使用者の顔面に近い位置になるよう固定部の角度を調整することができる。また、フェイスシールド部を使用者の顔面から離間させることで、顔面保護具を取り外さない状態で飲食等ができる。
【0012】
本発明による顔面保護具は、頭部保護具に取り付け可能な顔面保護具であって、頭部保護具のつば部に着脱可能な取り付け具と、取り付け具に固定されていて顔面を保護するフェイスシールド部と、を備え、取り付け具はつば部に着脱可能な溝部を有する係脱部と、係脱部から延びていてフェイスシールド部を固定する固定部と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、帽子やヘルメット等の頭部保護具に形成されたつば部に、顔面保護具の取り付け具に設けた係脱部の溝部を嵌合させて係止させることで、フェイスシールド部で使用者の顔面を覆って保護できる。顔面保護具を取り外す場合にも係脱部の溝部をつば部から離脱させれば容易に顔面保護具を頭部保護具から離脱できる。
【0013】
また、頭部保護具はつば部付き帽子であり、取り付け具はつば部の中央と両側部に装着され、中央の取り付け具は両側部の取り付け具より固定部が短く形成されていることが好ましい。
顔面保護具の取り付け具を頭部保護具のつば部に装着する際、中央の取り付け具は両側部の取り付け具より固定部が短いため、使用者の目視による視界を妨げることがない。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るフェイスシールド用取り付け具及び顔面保護具によれば、頭部保護具のつば部に、取り付け具における係脱部の溝部を嵌合させることで、フェイスシールド部を使用者の前面に保持でき、取り外す場合も係脱部の溝部をつば部から離脱させればよいため、頭部保護具に対する取り付け具の着脱操作が容易である。しかも、装着状態で、頭部保護具に取り付け具を堅固に装着でき、顔を振ったり移動したりしてもフェイスシールド部がずれたり外れたりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態によるフェイスシールドを帽子に装着した状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すフェイスシールドの斜視図である。
【
図3】フェイスシールドに設けた中央取り付け部を示すもので、(a)は背面図、(b)は側面図である。
【
図4】フェイスシールドに設けた側部取り付け部を示すもので、(a)は背面図、(b)は側面図である。
【
図5】第一変形例によるフェイスシールドを他の種類の帽子に装着した斜視図である。
【
図6】第二変形例による取り付け部を示す側面図である。
【
図7】実施例と従来例1、2、3の特徴を比較した表である。
【
図8】(a)は従来例1、(b)は従来例2、(c)は従来例3を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態による顔面保護具について添付図面に基づいて説明する。
図1乃至
図4は本発明の実施形態による顔面保護具であるフェイスシールド1を示すものである。
図1及び
図2において、頭部保護具である帽子2は使用者が頭部に被る略半球状の本体3の前側につば部4が形成されている。帽子2は一般に布製または合成樹脂製の野球帽とされている。フェイスシールド1は帽子2のつば部4に着脱可能に装着するものである。つば部4は湾曲が小さく平面に近い形状で、中央部に対して両側の側縁部が僅かに湾曲している。
【0017】
フェイスシールド1は、つば部4の中央部に装着される中央取り付け部6とつば部4の両側部にそれぞれ装着される一対の側部取り付け部7とを有している。中央取り付け部6及び側部取り付け部7は例えば合成樹脂製または金属製である。しかも、中央取り付け部6と側部取り付け部7の前面には、フェイスシールド部として例えば無色透明な合成樹脂製のフェイスシールド面8が接着されている。フェイスシールド面8はつば部4の外周面形状に沿って略U字状に湾曲した曲面を有し、使用者の顔面を覆う面積を有している。
【0018】
中央取り付け部6及び側部取り付け部7は、
図3及び
図4に示すように、それぞれ所定幅を有する断面略F字状の板部によって形成されている。
図3に示す中央取り付け部6において、上部側の係脱部10にはつば部4に嵌合させるための溝部10aが形成され、溝部10aの内面には下側の面に凸部11が形成されている。凸部11は線状に形成されているが、これに限らずドット状等の適宜形状を採用できる。
そして、係脱部10の溝部10aを帽子2のつば部4に嵌合することで、凸部11がつば部4の下面に係合して離脱を阻止できる。なお、凸部11は溝部10aの内面の上側の面に形成してもよいし、上側及び下側の両側の面に形成してもよい。
【0019】
係脱部10の背面側には係脱部10に対して斜め外側に傾斜して下方に延びる板状の固定部12が形成されている。固定部12の外表面をなす固定面12aには例えば接着剤または両面テープ等によってフェイスシールド面8を接着することができる。この場合、フェイスシールド面8は固定部12の固定面12aに沿って接着されて固定される。係脱部10に対する固定部12の角度θ1は例えば鈍角に設定されている。
この場合、固定部12は帽子2のつば部4の中央部に位置するため、使用者の目視範囲を妨げないように短く設定することが好ましい。係脱部10に対する固定部12の角度θ1が大きすぎるとフェイスシールド面8が使用者の顔面から離れて覆うことができなくなるので、直角に近い鈍角であることが好ましい。或いは角度θ1は直角または鋭角に設定されていてもよい。
【0020】
また、側部取り付け部7も中央取り付け部6と同様な形状を有している。即ち、つば部4を嵌合させる溝部14aを有する係脱部14と、係脱部14に対して斜めに形成された板状の固定部15と、を有している。係脱部14において、溝部14aの内面の下面及び/または上面に凸部16が形成され、固定部15の外面にはフェイスシールド面8を接着するための固定面15aが形成されている。しかも、側部取り付け部7の係脱部14に対する固定部15の角度θ2は例えば鈍角に設定され、固定部15は固定部12より長い長さに設定されている。
なお、凸部11、16は溝部10a、14aの開口側(先端側)に設けることが好ましい。
【0021】
係脱部14に対する固定部15の角度θ2が大きすぎるとフェイスシールド面8が使用者の顔面を覆うことができなくなるので、直角に近い鈍角であることが好ましい。或いは角度θ2は直角または鋭角に設定されていてもよい。固定部15は顔面の側部に位置するため使用者の視界を外れており、固定部15の長さが固定部12の長さより大きくてもかまわない。これにより、フェイスシールド面8の固定強度を向上できる。
そのため、
図2に示すように、フェイスシールド1はフェイスシールド面8の上部中央に中央取り付け部6が固定面12aで接着され、その両側部に2個の側部取り付け部7がそれぞれ固定面15aで接着されて一体化されている。
【0022】
本実施形態によるフェイスシールド1は上述した構成を有しており、次に帽子2への装着方法と使用方法について説明する。
使用者は、つば部4付きの帽子2を被る前に、フェイスシールド面8の上部中央に中央取り付け部6の固定面12aを両面テープ等で固定し、フェイスシールド面8の上部両側部に側部取り付け部7の固定面15aを両面テープ等で固定する。これによって、フェイスシールド1を製造できる。
【0023】
次に、フェイスシールド1の中央取り付け部6について、帽子2のつば部4の中央に溝部10aを嵌合させて係止させる。そして、フェイスシールド1の両側部の側部取り付け部7について、つば部4の両側側部に溝部14aをそれぞれ嵌合させて係止させる。これにより、
図1に示すように、フェイスシールド1を帽子2のつば部4に装着できる。
そして、フェイスシールド1を取り付けたつば部4付きの帽子2を頭部に被る。これにより、フェイスシールド1のフェイスシールド面8は使用者の顔面を覆う位置に保持される。
或いは、この装着方法に代えて、先に中央取り付け部6及び側部取り付け部7を帽子2のつば部4に取り付けてもよい。その後に、フェイスシールド面8を中央取り付け部6及び側部取り付け部7の固定部12、15の固定面12a、15aに両面テープ等で固定してもよい。
【0024】
これらの場合、中央取り付け部6の固定部12は側部取り付け部7の固定部15より短いため、使用者の視界の妨げにならない。両側の側部取り付け部7は視界の範囲から外れるため、固定部15の長さが長くても目視の邪魔にならず、つば部4にフェイスシールド1を堅固に保持できる。そのため、使用者が上下方向を向いたり横を向いたりしても、フェイスシールド1は頭部に被った帽子2の動きに追随するため位置ずれ等を起こさない。
【0025】
なお、中央取り付け部6及び側部取り付け部7の固定部12、15を角度θ1、θ2で適宜角度に調整したものを使用することで、使用者の顔面に対してフェイスシールド1の角度を適宜調整することができる。
また、フェイスシールド1の取り外しに際し、フェイスシールド1を付けた帽子2ごと頭部から外してもよいし、帽子2のつば部4からフェイスシールド1の中央取り付け部6及び側部取り付け部7を引っ張って取り外してもよい。この場合、中央取り付け部6及び側部取り付け部7をつば部4から強く引き抜けば溝部10a、14aを引き抜くことができる。
或いは、帽子2のつば部4に取り付けた中央取り付け部6及び側部取り付け部7の固定面12a、15aからフェイスシールド面8を剥がして取り外してもよい。この場合、フェイスシールド面8を交換することで、つば部4に取り付けた中央取り付け部6及び側部取り付け部7を繰り返し使用することができる。
【0026】
上述したように本実施形態によるフェイスシールド1によれば、使用者が被ったつば部4付きの帽子2に対し、フェイスシールド1の中央取り付け部6及び側部取り付け部7の溝部10a、14aをつば部4の中央部及び両側部に嵌合させることで、フェイスシールド面8を顔面の前面に簡単且つ高強度に装着できる。しかも、係脱部10、14に対する固定部12、15の角度θ1、θ2の異なる中央取り付け部6及び側部取り付け部7を使用することで、フェイスシールド面8の取り付け角度を変更、調整できる。
本実施形態によるフェイスシールド1は、つば部4に対してフェイスシールド1の取り付け強度が高い上に、中央取り付け部6及び側部取り付け部7は使用者の目視の邪魔にならない。
また、使用者からフェイスシールド1を取り外す場合には、フェイスシールド面8を中央取り付け部6及び側部取り付け部7から取り外すか、帽子2を脱ぐか、中央取り付け部6及び側部取り付け部7を帽子2のつば部4から引き抜けばよく、簡単である。
【0027】
以上、本発明の実施形態によるフェイスシールド1について説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の異なる形態や態様を採用できることはいうまでもない。これらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
以下に本発明の実施形態によるフェイスシールド1の変形例について説明するが、上述した実施形態の部分や部品と同一または同様なものについては同一の符号を用いて説明を行うものとする。
【0028】
図5は本発明によるフェイスシールド1の第一変形例を示す図である。
本変形例によるフェイスシールド1Aにおいて、帽子2Aはつば部4が凸曲面状に湾曲して形成され、中央部に対して両側部が相対的に低い位置に形成されている。そのため、つば部4の中央と両側部とに中央取り付け部6と側部取り付け部7を溝部10a、14aで嵌合して装着する。その後、中央取り付け部6及び側部取り付け部7の各固定面12a、15aにフェイスシールド面8を接着する。
【0029】
その際、つば部4が凸曲面状に湾曲しているため、フェイスシールド面8がつば部4の外周側輪郭に対して一部が上側に突出してかぶさるように湾曲して取り付けられる。この場合でも、上述した第一実施形態と同様にフェイスシールド面8で使用者の顔面を保護できる。本変形例の場合、つば部4の湾曲形状に応じてフェイスシールド面8を固定するために、中央取り付け部6及び側部取り付け部7をつば部4に取り付けた後に、各固定面12a、15aにフェイスシールド面8を固定することが好ましい。
なお、
図1に示す実施例によるフェイスシールド1のように、中央取り付け部6及び側部取り付け部7にフェイスシールド面8を接着した後で、帽子2Aのつば部4に取り付けてもよい。この場合でも、側部取り付け部7における係脱部14の溝部14aの嵌合深さを調整することで、帽子2Aのつば部4に装着可能である。
【0030】
次に本発明の第二変形例について
図6により説明する。
図6は中央取り付け部6の変形例を示す側面図である。本変形例において、中央取り付け部6の固定部12は、係脱部10の下側部分に例えば断面略くの字状またはW字状に折り曲げたヒンジ部18が形成され、その下側に固定面12bが下方に延びている。そのため、ヒンジ部18で下側の固定面12bの角度を調整することができる。同様に側部取り付け部7においても係脱部14の下側の固定部15にヒンジ部18が設けられている。この場合、ヒンジ部18の角度変更を容易にできるように、ヒンジ部18の厚みをその上下部分より小さくして変形可能に形成することが好ましい。
【0031】
特に中央取り付け部6の固定部12におけるヒンジ部18の下側の固定面12bを角度調整することによって、この部分の固定面12bの角度を顔面に対して接近または離間させるよう変化させることができる。そのため、フェイスシールド面8を顔面により近接した角度位置に傾斜させることで、使用者の顔面の保護がより確実になる。また、フェイスシールド面8を顔面からより離間した角度位置に傾斜させて、使用者がフェイスシールド1を装着した状態での飲食物等を取り易くなる。
この変形例の場合、中央取り付け部6及び側部取り付け部7における固定部12、15の角度θ1、θ2を変更しなくてもフェイスシールド面8の角度を調整できる。
【0032】
次に、本発明の実施形態によるフェイスシールド1と
図8に示す上述した従来例1、2、3との特徴の比較を
図7に示す表1に表示する。
表1に示す結果から、実施例は従来例1、2、3と比較して、任意の帽子2に装着でき、しかもつば部4に対する着脱が容易である。また、フェイスシールド1の固定強度が高く、顔面や帽子2のつば部4に対するフェイスシールド面8の角度調整を容易に行うことができる。
【0033】
また、上述した実施形態では、フェイスシールド1、1Aの取り付け具として、つば部4の中央部に装着する中央取り付け部6と両側部に装着する一対の側部取り付け部7を設けたが、取り付け具は必ずしも3個設ける必要はなく、1個または2個でもよいし、4個以上でもよい。中央取り付け部6及び側部取り付け部7の固定面12a、12b、15aに対するフェイスシールド面8の固定は接着剤や両面テープ等に限定されることなく、ネジ固定や板バネ等による圧着等でもよい。
また、上述の実施形態では中央取り付け部6及び側部取り付け部7の係脱部10、14の溝部10a、14aに凸部11を形成した。しかし、溝部10aの上下の間隔をつば部4と同程度またはそれ以下に設定すれば、凸部11は設けなくてもよい。溝部10a、14aの嵌合圧力でつば部4に固定できる。
【0034】
なお、上述した実施形態では、野球帽の帽子2のつば部4にフェイスシールド1を着脱可能に装着したが、頭部保護具として帽子2の野球帽に代えて
図8(a)、(c)に示すように全周につば部のある帽子を使用してもよい。或いは、帽子2に代えてヘルメット等にフェイスシールド1を装着してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1、1A フェイスシールド
2、2A 帽子
4 つば部
6 中央取り付け部(取り付け具)
7 側部取り付け部(取り付け具)
8 フェイスシールド面
10、14 係脱部
10a、14a 溝部
11、16 凸部
12、15 固定部
12a、12b、15a 固定面
18 ヒンジ部