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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109610
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】フライバックコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20220721BHJP
【FI】
H02M3/28 S
H02M3/28 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005009
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直久
(72)【発明者】
【氏名】永田 正浩
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA02
5H730AA14
5H730BB43
5H730BB57
5H730BB61
5H730DD04
5H730DD42
5H730DD43
5H730EE07
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】スイッチングロスやスイッチングノイズを低減することが可能なフライバックコンバータを提供する。
【解決手段】第1トランスTR1と、第1スイッチング素子Q1と、制御回路2と、駆動回路3と、整流平滑回路5とを備えるフライバックコンバータ1Aであって、第1スイッチング素子Q1の電流路の両端に接続された第1共振コンデンサC3と、第1共振コンデンサC3に直列接続された第1共振コイルN21と、第2スイッチング素子Q2とを備え、駆動回路3は、第2スイッチング素子Q2をオンさせた後、第2スイッチング素子Q2を流れる放電電流がゼロになってから第1スイッチング素子Q1をオンさせ、その後に第2スイッチング素子Q2をオフさせることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1トランスと、
前記第1トランスの一次側に設けられた第1スイッチング素子と、
制御信号を出力する制御回路と、
前記制御信号に基づいて前記第1スイッチング素子をオン/オフさせる駆動回路と、
前記第1トランスの二次側に設けられた直流化回路と、を備え、
前記第1スイッチング素子をオン/オフさせることにより前記第1トランスの二次側に誘起させた二次側電圧を、前記直流化回路により直流電圧に変換するフライバックコンバータであって、
前記第1スイッチング素子の電流路の両端に接続された第1共振コンデンサと、
前記第1スイッチング素子および前記第1共振コンデンサに直列接続された第1共振コイルと、
前記第1共振コンデンサからの放電電流が前記第1共振コイルを介して共振電流として流れる第2スイッチング素子と、を備え、
前記駆動回路は、
前記第2スイッチング素子をオンさせた後、前記第2スイッチング素子を流れる前記放電電流がゼロになってから前記第1スイッチング素子をオンさせて、前記第2スイッチング素子をオフさせる
ことを特徴とするフライバックコンバータ。
【請求項2】
第3スイッチング素子をさらに備え、
前記第3スイッチング素子は、前記第2スイッチング素子の制御端子に印加される電圧を引き抜くための経路を形成して前記第2スイッチング素子をオフさせ、
前記駆動回路は、
前記第2スイッチング素子がオンした後、前記第2スイッチング素子を流れる前記放電電流がゼロになってから前記第1スイッチング素子がオンするように、遅延時間が設定された第1遅延回路と、
前記第1スイッチング素子がオンした後、前記第3スイッチング素子に前記経路を形成させる第2遅延回路と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のフライバックコンバータ。
【請求項3】
主巻線および補助巻線を含む第2トランスと整流手段とをさらに備え、
前記主巻線は、前記第1共振コイルを構成し、
前記補助巻線は、前記整流手段を介して前記第1トランスの一次側に接続され、
前記主巻線に印加されている電圧に応じて前記補助巻線に誘起される電圧は、前記整流手段を介して前記第1トランスの一次側に回生される
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフライバックコンバータ。
【請求項4】
主巻線および補助巻線を含む第2トランスと整流手段とをさらに備え、
前記主巻線は、前記第1共振コイルを構成し、
前記補助巻線は、前記整流手段を介して前記第1トランスの二次側に接続され、
前記主巻線に印加されている電圧に応じて前記補助巻線に誘起される電圧は、前記整流手段を介して前記第1トランスの二次側に回生される
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフライバックコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライバックコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
図4に、従来のフライバックコンバータ11を示す。フライバックコンバータ11は、トランスTR11と、トランスTR11の一次側に設けられたスイッチング素子Q11(例えば、FET)と、制御信号を出力する制御回路12と、制御信号に基づいてスイッチング素子Q11をオン/オフさせる駆動回路13と、トランスTR11の二次側に設けられた整流平滑回路14とを備える。
【0003】
フライバックコンバータ11では、制御回路12が制御信号としてPWM信号を出力し、駆動回路13を介してスイッチング素子Q11のPWM制御を行う。スイッチング素子Q11のPWM制御により、トランスTR11の二次側に二次側電圧が誘起される。二次側電圧は、整流平滑回路14で整流および平滑されて直流電圧に変換される。
【0004】
駆動回路13は、ダイオードD11,D12および抵抗R11,R12を備える。ダイオードD11および抵抗R11は、スイッチング素子Q11のゲートを駆動する(ゲート電圧を印加する)ための経路を形成し、ダイオードD12および抵抗R12は、スイッチング素子Q11のゲートに印加された電圧を引き抜くための経路を形成する。
【0005】
この構成により、駆動回路13は、スイッチング素子Q11のゲート駆動を最適化することができる。例えば、スイッチング素子Q11のゲートに対する充電電流値と放電電流値とを別々に設定することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9-102736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のフライバックコンバータ11では、スイッチング素子Q11のスイッチングがハードスイッチングであり、スイッチング波形の立ち上がりが急峻であるため、スイッチングロスが発生したり、スイッチングノイズが発生したりするという問題がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、スイッチングロスやスイッチングノイズを低減することが可能なフライバックコンバータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るフライバックコンバータは、
第1トランスと、
前記第1トランスの一次側に設けられた第1スイッチング素子と、
制御信号を出力する制御回路と、
前記制御信号に基づいて前記第1スイッチング素子をオン/オフさせる駆動回路と、
前記第1トランスの二次側に設けられた直流化回路と、を備え、
前記第1スイッチング素子をオン/オフさせることにより前記第1トランスの二次側に誘起させた二次側電圧を、前記直流化回路により直流電圧に変換するフライバックコンバータであって、
前記第1スイッチング素子の電流路の両端に接続された第1共振コンデンサと、
前記第1スイッチング素子および前記第1共振コンデンサに直列接続された第1共振コイルと、
前記第1共振コンデンサからの放電電流が前記第1共振コイルを介して共振電流として流れる第2スイッチング素子と、を備え、
前記駆動回路は、
前記第2スイッチング素子をオンさせた後、前記第2スイッチング素子を流れる前記放電電流がゼロになってから前記第1スイッチング素子をオンさせて、前記第2スイッチング素子をオフさせることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、第2スイッチング素子がオンするときは、放電電流が共振電流として流れるので、スイッチングロスは低減される。第1スイッチング素子がオンするときは、第2スイッチング素子がオンで電圧がゼロ付近になり、かつ電流がゼロになるので、スイッチングロスは低減される。第2スイッチング素子がオフするときは、第1スイッチング素子がオンで電圧がゼロ付近になり、かつ電流がゼロになるので、スイッチングロスは低減される。第1スイッチング素子がオフするときは、電圧がゼロ付近から第1共振コンデンサの充電に応じて徐々に上昇するので、スイッチングロスおよびスイッチングノイズは低減される。
【0011】
前記フライバックコンバータは、
第3スイッチング素子をさらに備え、
前記第3スイッチング素子は、前記第2スイッチング素子の制御端子に印加される電圧を引き抜くための経路を形成して前記第2スイッチング素子をオフさせ、
前記駆動回路は、
前記第2スイッチング素子がオンした後、前記第2スイッチング素子を流れる前記放電電流がゼロになってから前記第1スイッチング素子がオンするように、遅延時間が設定された第1遅延回路と、
前記第1スイッチング素子がオンした後、前記第3スイッチング素子に前記経路を形成させる第2遅延回路と、を備えるよう構成できる。
【0012】
前記フライバックコンバータは、
主巻線および補助巻線を含む第2トランスと整流手段とをさらに備え、
前記主巻線は、前記第1共振コイルを構成し、
前記補助巻線は、前記整流手段を介して前記第1トランスの一次側に接続され、
前記主巻線に印加されている電圧に応じて前記補助巻線に誘起される電圧は、前記整流手段を介して前記第1トランスの一次側に回生されるよう構成できる。
【0013】
前記フライバックコンバータは、
主巻線および補助巻線を含む第2トランスと整流手段とをさらに備え、
前記主巻線は、前記第1共振コイルを構成し、
前記補助巻線は、前記整流手段を介して前記第1トランスの二次側に接続され、
前記主巻線に印加されている電圧に応じて前記補助巻線に誘起される電圧は、前記整流手段を介して前記第1トランスの二次側に回生されるよう構成できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スイッチングロスやスイッチングノイズを低減することが可能なフライバックコンバータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係るフライバックコンバータの回路図である。
図2】第1スイッチング素子および第2スイッチング素子のオン/オフのタイミングを説明するための図である。
図3】第2実施形態に係るフライバックコンバータの回路図である。
図4】従来のフライバックコンバータの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るフライバックコンバータの実施形態について説明する。
【0017】
[第1実施形態]
図1に、本発明の第1実施形態に係るフライバックコンバータ1Aを示す。フライバックコンバータ1Aは、入力端子T1,T1’および出力端子T2,T2’と、第1トランスTR1と、制御回路2と、駆動回路3と、第1スイッチング素子Q1と、第2スイッチング素子Q2を含むARCP回路4と、第3スイッチング素子Q3と、整流平滑回路5とを備える。
【0018】
入力端子T1および出力端子T2は、高電位側の端子であり、入力端子T1’および出力端子T2’は、低電位側の端子である。入力端子T1,T1’間には、コンデンサC1が接続されている。
【0019】
第1トランスTR1は、一次巻線N11および二次巻線N12を備える絶縁トランスである。一次巻線N11および二次巻線N12は、コイルの巻き方向が逆になっている。一次巻線N11の一端(黒丸側)は、入力端子T1に接続され、一次巻線N11の他端は、第1スイッチング素子Q1の電流路を介して入力端子T1’に接続される。二次巻線N12の一端(黒丸側)は、出力端子T2’に接続され、二次巻線N12の他端は出力端子T2に接続される。
【0020】
制御回路2は、PWM制御を行うための汎用のフライバックコンバータ制御ICである。制御回路2は、例えば、CMOSで構成され、制御信号(本実施形態では、PWM信号)を出力する。制御回路2の制御信号は、駆動回路3を介して、第1スイッチング素子Q1、第2スイッチング素子Q2および第3スイッチング素子Q3の各制御端子に印加される。
【0021】
駆動回路3は、制御回路2の制御信号に基づいて、第1スイッチング素子Q1、第2スイッチング素子Q2および第3スイッチング素子Q3をオン/オフさせる回路である。駆動回路3は、ダイオードD1~D3と、抵抗R1~R5と、本発明の「第1遅延回路」に相当する遅延回路3aと、本発明の「第2遅延回路」に相当するコンデンサC2とを備える。遅延回路3aは、例えば、コンデンサで構成される。
【0022】
駆動回路3に入力された制御信号は、ダイオードD1、遅延回路3aおよび抵抗R1を介して第1スイッチング素子Q1の制御端子に印加され、抵抗R2を介して第2スイッチング素子Q2の制御端子に印加され、ダイオードD1、遅延回路3a、抵抗R3およびコンデンサC2を介して第3スイッチング素子Q3の制御端子に印加される。
【0023】
駆動回路3では、ダイオードD2および抵抗R4が、第1スイッチング素子Q1の制御端子に印加された電圧を引き抜く経路となり、ダイオードD3および抵抗R5が、第3スイッチング素子Q3の制御端子に印加された電圧を引き抜く経路となる。
【0024】
第1スイッチング素子Q1は、例えば、FET(本実施形態では、NチャネルMOSFET)で構成される。第1スイッチング素子Q1は、ゲートが駆動回路3の抵抗R1に接続され、ドレインが第1トランスTR1の一次巻線N11を介して入力端子T1に接続され、ソースが入力端子T1’に接続される。第1スイッチング素子Q1のゲート・ソース間には、セルフターンオン現象を防止するための抵抗R6が設けられている。
【0025】
ARCP回路4は、コンデンサC3と、第2トランスTR2と、ダイオードD4,D5と、第2スイッチング素子Q2と、抵抗R7とを備える。
【0026】
コンデンサC3は、本発明の「第1共振コンデンサ」に相当し、第1スイッチング素子Q1のドレイン・ソース間に接続される。
【0027】
第2トランスTR2は、主巻線N21および補助巻線N22を備える絶縁トランスである。主巻線N21は、本発明の「第1共振コイル」に相当し、一端(黒丸側)が第1スイッチング素子Q1のドレインに接続される。主巻線N21は、リーケージインダクタンスL1を有し、コンデンサC3からの放電電流は、コンデンサC3の静電容量とリーケージインダクタンスL1の値とで決定される共振電流となる。補助巻線N22は、一端および他端がダイオードD4,D5を介して入力端子T1に接続され、センタータップが入力端子T1’に接続される。
【0028】
第2スイッチング素子Q2は、例えば、FET(本実施形態では、NチャネルMOSFET)で構成される。第2スイッチング素子Q2は、ゲートが駆動回路3の抵抗R2に接続され、ドレインが第2トランスTR2の主巻線N21を介して第1スイッチング素子Q1のドレインに接続され、ソースが入力端子T1’に接続される。第2スイッチング素子Q2のゲート・ソース間には、セルフターンオン現象を防止するための抵抗R7が設けられている。
【0029】
第3スイッチング素子Q3は、例えば、バイポーラトランジスタ(本実施形態では、NPN型のバイポーラトランジスタ)で構成される。第3スイッチング素子Q3は、ベースが駆動回路3の抵抗R3および抵抗R5に接続され、コレクタが抵抗R2と第2スイッチング素子Q2のゲートとの接続点に接続され、エミッタが入力端子T1’に接続される。第3スイッチング素子Q3のベース・エミッタ間には、コンデンサC2および抵抗R8が接続される。
【0030】
整流平滑回路5は、本発明の「直流化回路」に相当し、ダイオードD6とコンデンサC4とを備える。第1トランスTR1の二次巻線N12に誘起された二次側電圧は、整流平滑回路5によって整流および平滑され、出力端子T2,T2’から出力される。
【0031】
次に、図1および図2を参照し、フライバックコンバータ1Aの動作について説明する。図2において、(A)は制御信号、(B)は第2スイッチング素子Q2のゲート電圧、(C)は第1スイッチング素子Q1のゲート電圧、(D)は第2スイッチング素子Q2のドレイン電流、(E)は第1スイッチング素子Q1のドレイン電流の状態を示す。
【0032】
制御回路2からハイレベルの制御信号(例えば、Va[V]の電圧信号)が出力されると、制御信号は抵抗R2を介して第2スイッチング素子Q2のゲートに印加され、第2スイッチング素子Q2がオンする(図2の時刻t1)。
【0033】
第2スイッチング素子Q2がオンすると、コンデンサC3に充電された電荷が、放電電流として第2トランスTR2の主巻線N21および第2スイッチング素子Q2の電流路(ドレイン・ソース間)を流れる。コンデンサC3からの放電電流は、コンデンサC3の静電容量とリーケージインダクタンスL1の値とで決定される共振電流となるため、正弦波状に緩やかに変化する(図2(D)参照)。その結果、第2スイッチング素子Q2がオンするときは、第2スイッチング素子Q2のスイッチングロスは低減される。
【0034】
コンデンサC3からの放電電流が第2トランスTR2の主巻線N21に流れると、第2トランスTR2の補助巻線N22に電圧が誘起される。補助巻線N22に誘起された電圧は、ダイオードD4を介してコンデンサC1に回生される。コンデンサC3からの放電電流が流れ終り、主巻線N21の電圧極性が反転すると、補助巻線N22に誘起された電圧も極性が反転する。この極性が反転した反転電圧は、ダイオードD5を介してコンデンサC1に回生される。
【0035】
制御回路2から出力されたハイレベルの制御信号は、ダイオードD1、遅延回路3aおよび抵抗R1を介して第1スイッチング素子Q1のゲートに印加される。このため、第1スイッチング素子Q1は、第2スイッチング素子Q2と比較して遅延回路3aで設定された遅延時間だけ遅れてオンする。本実施形態では、第2スイッチング素子Q2を流れるコンデンサC3からの放電電流がゼロになった時点(図2の時刻t2)で第1スイッチング素子Q1がオンするように、遅延回路3aの遅延時間が設定される。
【0036】
これにより、第1スイッチング素子Q1がオンするときは、コンデンサC3からの放電電流がゼロになり、かつ第2スイッチング素子Q2がオンしているため第1スイッチング素子Q1のドレイン・ソース間の電圧はゼロ付近になる。その結果、第1スイッチング素子Q1がオンするときのスイッチングロスは低減される。
【0037】
遅延回路3aを経由したハイレベルの制御信号は、抵抗R3およびコンデンサC2を介して第3スイッチング素子Q3のベースに印加される。このため、第3スイッチング素子Q3は、第1スイッチング素子Q1と比較するとコンデンサC2による遅延時間だけ遅れてオンする。第3スイッチング素子Q3がオンすると、第3スイッチング素子Q3のコレクタ・エミッタ間が第2スイッチング素子Q2のゲート電圧V2を引き抜くための経路となるため、第2スイッチング素子Q2がオフする(図2の時刻t3)。
【0038】
第2スイッチング素子Q2がオフするときは、第2スイッチング素子Q2のドレイン電流がゼロになり、かつ第1スイッチング素子Q1がオンしているため第2スイッチング素子Q2のドレイン・ソース間の電圧はゼロ付近になる。その結果、第2スイッチング素子Q2がオフするときのスイッチングロスは低減される。
【0039】
制御回路2からローレベルの制御信号(例えば、0[V]の電圧信号)が出力されると、第1スイッチング素子Q1のゲート電圧V1はダイオードD2および抵抗R4を介して引き抜かれるため、第1スイッチング素子Q1はオフする(図2の時刻t4)。また、第2スイッチング素子Q2はオフ状態を維持する。
【0040】
第1スイッチング素子Q1がオフすると、第1スイッチング素子Q1のドレイン・ソース間の電圧は、ゼロ付近からコンデンサC3の充電に応じて徐々に上昇する。このため、第1スイッチング素子Q1がオフするときのスイッチングロスは低減され、スイッチングノイズも低減される。
【0041】
結局、第1実施形態に係るフライバックコンバータ1Aによれば、第1スイッチング素子Q1および第2スイッチング素子Q2のスイッチングロスが低減されるため、電力変換効率を改善することができ、かつスイッチングノイズ(特に、第1スイッチング素子Q1のオフ時のスイッチングノイズ)を低減することができる。
【0042】
さらに、第1実施形態に係るフライバックコンバータ1Aによれば、制御回路2として、マイコンを使用することなく、汎用のフライバックコンバータ制御ICを使用できるため、構成を簡素化して低コスト化を図ることができる。
【0043】
[第2実施形態]
図3に、本発明の第2実施形態に係るフライバックコンバータ1Bを示す。フライバックコンバータ1Bは、ARCP回路4に含まれる第2トランスTR2の補助巻線N22およびダイオードD4,D5の接続先が第1実施形態と異なり、それ以外の構成が第1実施形態と共通する。
【0044】
補助巻線N22は、一端および他端がダイオードD4,D5を介して第1トランスTR1の二次側に設けられたコンデンサC4の一端に接続され、センタータップがコンデンサC4の他端に接続される。この構成により、補助巻線N22に誘起された電圧(または反転電圧)は、ダイオードD4(またはD5)を介してコンデンサC4に回生される。
【0045】
本実施形態のように、補助巻線N22による回生を第1トランスTR1の二次側に移動させることで、ダイオードD4,D5として、一般的なpn接合ダイオードではなく、耐圧は低いがスイッチング速度が早くVFの低いダイオード(例えば、ショットキーバリアダイオード)を使用することができる。
【0046】
[変形例]
以上、本発明に係るフライバックコンバータの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0047】
本発明のフライバックコンバータは、第1トランスと、第1トランスの一次側に設けられた第1スイッチング素子と、制御信号を出力する制御回路と、制御信号に基づいて第1スイッチング素子をオン/オフさせる駆動回路と、第1トランスの二次側に設けられた直流化回路と、第1スイッチング素子の電流路の両端に接続された第1共振コンデンサと、第1共振コンデンサに直列接続された第1共振コイルと、第1共振コンデンサからの放電電流が第1共振コイルを介して共振電流として流れる第2スイッチング素子とを備え、駆動回路が、第2スイッチング素子をオンさせた後、第2スイッチング素子を流れる放電電流がゼロになってから第1スイッチング素子をオンさせて、第2スイッチング素子をオフさせるのであれば、適宜構成を変更できる。
【0048】
本発明の第1遅延回路は、第2スイッチング素子がオンした後、第2スイッチング素子を流れる放電電流がゼロになってから第1スイッチング素子がオンするように、遅延時間が設定されているのであれば、適宜構成を変更できる。
【0049】
本発明の第2遅延回路は、第1スイッチング素子がオンした後、第3スイッチング素子に経路(第2スイッチング素子の制御端子に印加される電圧を引き抜くための経路)を形成させるのであれば、適宜構成を変更できる。
【符号の説明】
【0050】
1A,1B フライバックコンバータ
2 制御回路
3 駆動回路
3a 遅延回路
4 ARCP回路
5 整流平滑回路
図1
図2
図3
図4